JPH078516Y2 - トラバーサを有するロープ巻取装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、モータにより駆動される巻取ドラムと、当該
巻取ドラムよりロープを繰り出し入れする際に巻取ドラ
ムの巾方向にロープを案内移動させるトラバーサを配置
したトラバーサを有するロープ巻取装置に関するもので
ある。

（従来の技術） 従来からのトラバーサを有するロープ巻取装置の１実施
例について、第４図および第５図に図示し以下に説明す
る。第４図および第５図において、ロープ巻取装置は次
の様に構成されている。ロープを繰り出し入れする巻取
ドラム1,2,3の夫々は、ドラム軸４にその中心を連結さ
れ、両側板5,6間に前記ドラム軸４を介して回転自在に
支持されている。ドラム軸４にはギア７を設けており、
このギア７は側板５に回転自在に支持された軸８に設け
たギア９に噛合うよう配置されている。軸８は、モータ
10の回転が伝達されるようモータ10と軸８の夫々に配置
したスプロケット11,12とこのスプロケット11,12間をチ
ェーン13により連結している。よって各巻取ドラム1,2,
3は、モータ10を駆動することにより軸８を介して回転
するようになっている。この様に構成された巻取装置に
は、次の如くに構成されたトラバーサを有している。両
側板5,6に軸50,51より夫々その一端を揺動自在に枢支さ
れた左右一対のアーム52,53を配置し、この左右一対の
アーム52,53の他端間にシャフト15を前記ドラム軸４に
並設して回転自在に支持させている。シャフト15にはこ
のシャフト15に外嵌して摺動自在にガイド部材16,17,18
を配置し、各ガイド部材16,17,18には４面ローラで構成
されたロープ案内具20,21,22と支持部材23,24,25を夫々
取り付けている。各支持部材23,24,25は、アーム52,53
間に設けられた支持棒19に摺動自在に係合するよう配置
されており、各ガイド部材16,17,18がシャフト15を中心
に回転しそれにともなってロープ案内具20,21,22が回転
するのを阻止するために設けてある。前記シャフト15上
には、無端状の往復送りネジを巻取ドラム１に対峙した
ドラム巾間に設けており、ガイド部材16に配置した係合
片（図示しない）をこのネジに係合させてある。よって
シャフト15を回転させることにより、ガイド部材16は巻
取ドラム１のドラム巾間を往復移動するようになってい
る。一方シャフト15の回転は、次の様にしてモータ10の
回転が伝達されるようになっている。すなわちモータ10
により回転駆動される軸８の回転を適宜の伝達手段によ
り変速機26を介してアーム52の軸50に伝達し、この軸50
とシャフト15間をスプロケットとチェーン等の伝達手段
で連結することで、モータ10の回転がシャフト15に伝達
される。よって巻取ドラム１とシャフト15は、モータ10
によって回転され、シャフト15は変速機26によりその回
転を段階的に変速できるようにしてある。つまり巻取ド
ラム１に巻回されたロープ径によりロープ案内具20の送
り量を調整できるようにしているものである。なおガイ
ド部材17,18は、夫々各巻取ドラム2,3に対峙した位置で
シャフト15の回転によるガイド部材16の往復移動に連動
して移動するよう、ガイド部材16とガイド部材17間およ
びガイド部材17とガイド部材18間を夫々連結棒27,28で
連結している。この様にすることによりシャフト15に１
個の無端状の往復送りネジを刻設するのみで、夫々のガ
イド部材17,18を連動させて往復移動させることができ
るようにしたものである。アーム52と側板５の適所間に
はシリンダ29を配置し、アーム52,53を軸50,51を枢支点
に揺動させて、ロープ案内具20,21,22をロープの指向方
向に向けるようにしている。

この様に構成された従来のトラバーサを有するロープ巻
取装置は、モータ10により駆動される巻取ドラム1,2,3
に夫々巻回されたロープを繰り出し入れされる際に、夫
々のロープを各巻取ドラム1,2,3の巾方向に案内移動さ
せ、しかもロープ径によって巻取ドラム１回転当りロー
プが巻取ドラム巾方向に移動する量が異なることから、
変速機26により巻取ドラム1,2,3の回転に対してシャフ
ト15の回転を変速機26によって調整して、ロープ径に応
じて巻取ドラムの回転に対するロープの送り量を変更で
きるようにしている。

（考案が解決しようとする問題点） ところがこのようなトラバーサを有するロープ巻取装置
は、ロープ径に応じて巻取ドラムの回転に対するロープ
の送り量の変更を変速機26を用いて対応しようとするも
のであるから、巻取ドラムの回転に同期してトラバーサ
機能させるためのシャフト15への回転伝達に変速機26を
介装させる必要があり、回転伝達経路が複雑となり、コ
ストがかかる。また変速機26を配置するに比較的大きい
スペースを必要とし、変速機26そのものも比較的高価で
あるなどの問題点を有している。

本考案は、このような問題点を解決するために、ロープ
径に応じて巻取ドラムの回転に対するロープの送り量の
変更を変速機を用いずに解決する新規なトラバーサを有
するロープ巻取装置を提供することを目的とするもので
ある。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するために本考案のトラバーサを有する
ロープ巻取装置は、 モータにより駆動される巻取ドラムと、当該巻取ドラム
よりロープを繰り出し入れする際に巻取ドラムの巾方向
にロープを案内移動させるトラバーサを配置したトラバ
ーサを有するロープ巻取装置であって、特に、前記トラ
バーサは、巻取ドラムの回転と同期して回転駆動され且
つその外周に長手方向に離隔して夫々ピッチの異なる複
数の無端状の往復送りネジを刻設したシャフトと、ロー
プ案内具を備え前記シャフトに外嵌されたガイド部材
と、このガイド部材と前記シャフトの各往復送りネジを
係脱可能に係合する係合片とからなり、前記係合片によ
るガイド部材と各往復送りネジとの係合をロープ径に応
じて選択しうるよう構成してあることを特徴とするもの
である。

（作用） 上記の如き構成をもつ本考案のトラバーサを有するロー
プ巻取装置は、シャフトに刻設された複数の無端状の往
復送りネジのうちロープ径に合った前記往復送りネジ
を、係合片によりガイド部材と前記往復送りネジとを係
合させて選択できるようにしたものであるから、巻取ド
ラムに巻回されたロープ径に応じて巻取ドラムの回転に
対するようトラバーサの送り量の変更が簡単な構造であ
りながら容易にできるものである。

（実施例） 以下本考案のトラバーサを有するロープ巻取装置の１実
施例として、第１図〜第３図に図示し説明する。第１図
〜第３図において、符号１〜14、符号50〜53、符号19〜
22、および符号29については、第４図、第５図に図示し
従来技術で説明したものと同じであるので説明を略す
る。30は、シャフトであって、アーム52,53の先端部間
にドラム軸４に並設して回転自在に支持され且つその外
周に長手方向に離隔して夫々ピッチの異なる３種類の無
端状の往復送りネジを刻設している。この往復送りネジ
のピッチは、各巻取ドラム1,2,3に巻回されるロープ径
に合ったピッチでシャフト30に刻設されており、本実施
例の場合往復送りネジを３種類設けているから、３種類
のロープ径のロープを各巻取ドラム1,2,3に巻回できる
ようになっている。31,32,33は、ガイド部材であって、
夫々ロープ案内具20,21,22を備え、前記シャフト30に外
嵌している。34は、係合片であって、第１図のＸ−Ｘ断
面を図示した第３図に図示の如く、シャフト30に直交す
る様にガイド部材32に開けた穿設部35を埋設する如くガ
イド部材32にボルト37,38で取り付けられ、その先端部
を半月状とし、シャフト30を外嵌するようにガイド部材
32に開けた穴36より突出する如く取り付けられている。
またこの係合片34の半月状部は、その巾をシャフト30の
外周に刻設した往復送りネジの巾にほぼ合わせて設けら
れている。更にこの係合片34の半月状部は、シャフト30
の外周に刻設された往復送りネジのピッチに合うよう半
月状部の傾きを、変化できるように、係合片34の基端側
を軸受39で回転自在に支持され、ガイド部材32に取り付
けられている。一方ガイド材31,33についても同様に係
合片34を取り付けられるように穿設部35およびボルト3
7,38の締付穴を設けてある。またシャフト30の外周に刻
設した３種の往復送りネジは、各巻取ドラム1,2,3に夫
々対峙しており、そのネジ長さを各巻取ドラム巾に合わ
せて刻設されている。40,41は、シャフト30に外嵌され
た各ガイド部材31,32,33間に連結された連結材であっ
て、各ガイド部材31,32,33を夫々各巻取ドラム1,2,3に
対峙させるようその長さを決定し配置されている。42
は、一端をガイド部材32に止着し他端を支持棒19に摺動
自在に係合された支持部材であって、ロープ案内具21が
シャフト30を軸に回転しないよう、支持棒19にガイド部
材32を係止させるために配置したものである。ロープ案
内具20,22の回転については、各ガイド部材31,33が連結
材40,41でガイド部材３に連結されているものであるか
ら、同様にこの支持部材42を介して阻止される。一方シ
ャフト30の回転は、次の如くモータ10の回転駆動が伝達
される様になっている。すなわちモータ10の回転駆動が
伝達され各巻取ドラム1,2,3を回転させるためのギア９
を配置した軸８にスプロケット43を配置し、アーム52の
揺動支点である軸50にスプロケット44を配置し、これら
のスプロケット43,44間にチェーン45で連結して軸８の
回転を軸50に一旦伝達させる。次に軸50上に更にスプロ
ケット46を配置し、シャフト30上にスプロケット47を配
置しておき、この両者のスプロケット間をチェーン48で
連結して軸50の回転をシャフト30に伝達させる様になっ
ている。この様にしてモータ10の回転駆動は、各巻取ド
ラム1,2,3を回転駆動させるとともに、シャフト30を回
転駆動させる。そしてシャフト30は各巻取ドラム1,2,3
の回転に同期して回転する様になっている。

このように構成されたトラバーサを有するロープ巻取装
置は次の様に作用するものである。いま各巻取ドラム1,
2,3に巻回されたロープ径ピッチに合った往復送りネジ
が、巻取ドラム１に対峙したシャフト30の外周に刻設さ
れているとすると、係合片34をボルト37,38を緩めガイ
ド部材32から抜いて、ガイド部材31の穿設部35に埋設す
る如くボルト37,38により取り付ける。そしてモータ10
を回転駆動させると、各巻取ドラム1,2,3の回転ととも
に、係合片34が前記往復送りネジに係合してガイド部材
31を巻取ドラム１の巾方向にドラム巾間往復移動する。
よってガイド部材31に備えたロープ案内具20も同様に往
復移動してロープを案内移動させる。一方ガイド部材3
2,33には係合片34を取り付けていないので、各ガイド部
材32,33はガイド部材31に各連結材40,41を介して連結さ
れていることから、ガイド部材31の往復移動に同期し
て、各巻取ドラム2,3のドラム巾方向に各ドラム巾間往
復移動する。すなわちロープ案内具21,22の夫々が、各
巻取ドラム2,3に対峙してドラム巾方向にドラム巾間往
復移動して夫々の巻取ドラム2,3に巻回したロープを案
内移動させる。そして各巻取ドラム1,2,3の回転に対し
て、各ロープ案内具20,21,22を各巻取ドラム1,2,3に巻
回されたロープ径に合ったスピードで往復移動させて、
ロープを案内させるものであるから、各巻取ドラム1,2,
3を巻回されたロープを乱巻きすることなく巻取った
り、繰り出すことができるものである。次に各巻取ドラ
ム1,2,3に夫々巻回されたロープ径のピッチに合った往
復送りネジが、巻取ドラム２に対峙したシャフト30の外
周に刻設されている場合について説明する。ガイド部材
31に取り付けられた係合片34をボルト37,38を緩めて外
し、ガイド部材32の穿設部35に埋設する如くボルト37,3
8により取り付ける。そしてモータ10を回転駆動すれ
ば、係合片34が巻取ドラム２に対峙してシャフト30に刻
設した往復送りネジに係合して、各ロープ案内具20,21,
22を同様に往復移動させる。そしてこの場合にも、ロー
プ径に合ったスピードで各ロープ案内具20,21,22を往復
移動させることができる。また本実施例にあっては、巻
取ドラム３に対峙したシャフト30の外周に上述した往復
送りネジと異なるピッチの往復送りネジを刻設してお
り、係合片34をこの往復送りネジに係合するように、ガ
イド部材33に係合片34を取り付ければ、上述とは異なる
ロープ径のロープを各巻取ドラム1,2,3に巻回すること
を可能としている。

（考案の効果） 本考案は、以上の如く構成し作用するものであるから、
係合片によりガイド部材とロープ径に合った往復送りネ
ジを係合させて、ロープの送り量を簡単に変更できるよ
うにしてトラバーサ機能をもたせたものであるから、従
来技術で変速機を用いて行うようにしたトラバーサ機能
のものに比べ、トラバーサ機能させるためのシャフトへ
の回転伝達経路を簡単に構成することができ、比較的高
価な変速機を必要とせず、それを配置するスペースも必
要としないなどの効果を奏する。

【図面の簡単な説明】 第１図、第２図は、本考案に係るトラバーサを有するロ
ープ巻取装置の説明図、第３図は、第１図のＸ−Ｘ断面
図、第４図、第５図は、従来のトラバーサを有するロー
プ巻取装置の説明図である。 1,2,3;巻取ドラム、30;シャフト、31,32,33;ガイド部
材、34;係合片

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】モータにより駆動される巻取ドラムと、当
   該巻取ドラムよりロープを繰り出し入れする際に巻取ド
   ラムの巾方向にロープを案内移動させるトラバーサを配
   置したトラバーサを有するロープ巻取装置であって、特
   に、前記トラバーサは、巻取ドラムの回転と同期して回
   転駆動され且つその外周に長手方向に離隔して夫々ピッ
   チの異なる複数の無端状の往復送りネジを刻設したシャ
   フトと、ロープ案内具を備え前記シャフトに外嵌された
   ガイド部材と、このガイド部材と前記シャフトの各往復
   送りネジを係脱可能に係合する係合片とからなり、前記
   係合片によるガイド部材と各往復送りネジとの係合をロ
   ープ径に応じて選択しうるよう構成してあることを特徴
   とするトラバーサを有するロープ巻取装置。