JPH078394Y2 - 船舶の推進装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は船舶の推進装置に関するものである。

［従来の技術］ 近年、船舶の航行速度の向上を図ることが要求されてい
るが、その要求に応えるべく船舶にウォータジェットポ
ンプ方式の推進装置を導入することが提案されている。

第４図及び第５図はウォータジェットポンプ方式の推進
装置の基本的な配置を示し、船舶１の喫水線ｌ下の船尾
没水部２に船体長手方向に延びる導水管３を形成し、該
導水管３の船首Ａ側端部に取水管４を、また船尾Ｂ側端
部に推進口５をそれぞれ船体外部と連通可能に設け、前
記導水管３内に船首側スクリュープロペラ６と船尾側ス
クリュープロペラ７とを同軸に枢支するようにしてい
る。

船舶１を航行させる際には、船首側スクリュープロペラ
６と船尾側スクリュープロペラ７とを同方向に、且つ船
尾側スクリュープロペラ７を船首側スクリュープロペラ
６よりも高回転数で回転させ、船首側スクリュープロペ
ラ６によって取水管４から導水管３内に吸引した海水
を、船尾側スクリュープロペラ７によって増速して推進
口５より噴出させるようにする。

船首側スクリュープロペラ６と船尾側スクリュープロペ
ラ７とを回転させる具体的な手段としては、第６図に示
すような動力伝達機構８がある。

動力伝達機構８は、船体長手方向に延びる第１の推進軸
９の中間部に、船体長手方向に延びる中空の第２の推進
軸10を回転自在に嵌合し、前記第１、第２の推進軸9,10
をハウジング11に枢支し、前記第１の推進軸９の船首Ａ
側端部に出力ギヤ12を固着し、前記第２の推進軸10の船
首Ａ側端部に入力ギヤ13を固着し、前記ハウジング11に
第１の推進軸９と平行に枢支した中間軸14に出力側中間
ギヤ15を前記出力ギヤ12と噛合可能に固着するととも
に、入力側中間ギヤ16を前記入力ギヤ13と噛合可能に固
着している。

前記動力伝達機構８を、導水管３の前部推進軸貫通部17
の船首Ａ側に、第１、第２の推進軸9,10の船尾Ｂ側端部
が前部推進軸貫通部17を貫通して導水管３内に位置する
ように配設し、第１の推進軸９の船尾Ｂ側端部に船尾側
スクリュープロペラ７を固着し、第２の推進軸10の船尾
Ｂ側端部に船首側スクリュープロペラ６を固着し、第１
の推進軸９の船首Ａ側端部に主機関出力軸18を連結する
ようにしている。

出力ギヤ12と出力側中間ギヤ15のギヤ比並びに、入力側
中間ギヤ16と入力ギヤ13のギヤ比は、船舶１の推進効率
が最も良くなる船首側スクリュープロペラ６と船尾側ス
クリュープロペラ７の回転比、すなわち、船首側スクリ
ュープロペラ６が0.4〜0.5回転に対し、船尾側スクリュ
ープロペラ７が１回転の割合を保ち得るように設定され
ている。

上述の動力伝達機構８においては、主機関出力軸18の回
転力は第１の推進軸９に伝達されるとともに、出力ギヤ
12及び出力側中間ギヤ15を介して中間軸14に伝達され、
更に入力側中間ギヤ16及び入力ギヤ13を介して第２の推
進軸10に伝達されるので、船首側スクリュープロペラ６
と船尾側スクリュープロペラ７は同方向に、且つ船尾側
スクリュープロペラ７は船首側スクリュープロペラ６よ
りも高回転数で回転するようになる。

［考案が解決しようとする課題］ しかし、上述の動力伝達機構８は、強度面で問題を有
し、主機関出力軸18の回転力がさほど大きくない場合に
は容易に実施することが可能であるが、主機関出力軸18
の回転力が大きい場合には、出力ギヤ12、入力ギヤ13、
出力側中間ギヤ15、入力側中間ギヤ16を大きくする必要
がある。

また、出力ギヤ12、入力ギヤ13、出力側中間ギヤ15、入
力側中間ギヤ16を大きな回転力に耐え得るような機械的
強度を備えたものとすると、動力伝達機構８が大型化し
て、船舶１の船尾部内に納まらなくなってしまうという
問題がある。

本考案は上述の問題点を解決するもので、動力伝達機構
を小型化し、船尾部に設置可能にすることを目的として
いる。

［課題を解決するための手段］ 上記目的を達成するため、本考案の船舶の推進装置で
は、ハウジング21に回転自在に支持された第１の推進軸
19と、該第１の推進軸19の中間部に回転自在に外嵌され
且つ前記のハウジング21に回転自在に支持された第２の
推進軸20と、前記の第１の推進軸19に固着された出力ギ
ヤ22と、該出力ギヤ22を周方向に取り囲むように略等間
隔に配置され且つそれぞれが出力ギヤ22に噛合するよう
に前記のハウジング21に回転自在に支持された複数箇の
出力側中間ギヤ24と、前記の出力ギヤ22を中心として各
出力側中間ギヤ24のそれぞれを取り囲むように配置され
且つ該出力側中間ギヤ24のそれぞれに噛合するように前
記のハウジング21に回転自在に支持された環状の出力側
内歯ギヤ25と、前記の第２の推進軸20に固着された入力
ギヤ23と、該入力ギヤ23を周方向に取り囲むように略等
間隔に配置され且つそれぞれが入力ギヤ23に噛合するよ
うに前記のハウジング21に回転自在に支持された複数箇
の入力側中間ギヤ26と、前記の入力ギヤ23を中心として
各入力側中間ギヤ26のそれぞれを取り囲むように配置さ
れ且つ該入力側中間ギヤ26のそれぞれに噛合するように
前記のハウジング21に回転自在に支持された環状の入力
側内歯ギヤ27とを備え、該入力側内歯ギヤ27と出力側内
歯ギヤ25とを互いに周方向へ変位しないように連結し、
前記の第１の推進軸19の船尾側端部に船尾側スクリュー
プロペラ７を取り付け、前記の第２の推進軸20の船尾側
端部に船首側スクリュープロペラ６を取り付け、前記第
１の推進軸19の船首側端部に主機関出力軸18を連結して
いる。

［作用］ 主機関出力軸18の回転力は、第１の推進軸19を介して船
尾側スクリュープロペラ７に伝達され、該船尾側スクリ
ュープロペラ７が主機関出力軸18と同方向に回転する。

また、主機関出力軸18の回転力は、第１の推進軸19、出
力ギヤ22、出力側中間ギヤ24、出力側内歯ギヤ25、入力
側内歯ギヤ27、入力側中間ギヤ26、入力ギヤ23、第２の
推進軸20を介して船首側スクリュープロペラ６に伝達さ
れ、該船首側スクリュープロペラ６が主機関出力軸18に
対して逆方向に回転する。

［実施例］ 以下、図面に基づいて本考案の実施例を説明する。

第１図から第３図は本考案の一実施例であり、図中第４
図から第６図と同一の符号を付した部分は同一物を表わ
している。

船体長手方向に延びる第１の推進軸19の中間部に、船体
長手方向に延びる中空の第２の推進軸20を回転自在に嵌
合し、前記第１、第２の推進軸19,20をハウジング21に
枢支し、第１の推進軸19の船首Ａ側端部に出力ギヤ22を
固着し、第２の推進軸20の船首Ａ側端部に入力ギヤ23を
固着する。

前記出力ギヤ22と噛合可能な３個の出力側中間ギヤ24
と、該出力側中間ギヤ24と噛合可能な出力側内歯ギヤ25
とを前記ハウジング21に枢支する。

出力側中間ギヤ24は、各軸心間の距離が等しくなるよう
にハウジング21に枢支されている。

前記入力ギヤ23と噛合可能で、且つ各軸心間の距離が等
しくなるようにハウジング21に枢支された３個の入力側
中間ギヤ26と、該入力側中間ギヤ26と噛合可能な入力側
内歯ギヤ27とを前記ハウジング21に枢支するとともに、
出力側内歯ギヤ25と入力側内歯ギヤ27とを連結して動力
伝達機構28を形成する。

前記動力伝達機構28を、導水管３の前部推進軸貫通部17
の船首Ａ側に、第１、第２の推進軸19,20の船尾Ｂ側端
部が前部推進軸貫通部17を貫通して導水管３内に位置す
るように配設し、第１の推進軸19の船尾Ｂ側端部に船尾
側スクリュープロペラ７を固着し、第２の推進軸20の船
尾Ｂ側端部に船首側スクリュープロペラ６を固着し、第
１の推進軸19の船首Ａ側端部に主機関出力軸18を連結す
る。

出力側中間ギヤ24を介した出力ギヤ22と出力側内歯ギヤ
25のギヤ比並びに、入力側中間ギヤ26を介した入力側内
歯ギヤ27と入力ギヤ23のギヤ比は、船舶１の推進効率が
最も良くなる船首側スクリュープロペラ６と船尾側スク
リュープロペラ７の回転比、すなわち、船首側スクリュ
ープロペラ0.4〜0.5回転に対し、船尾側スクリュープロ
ペラ１回転の割合を保ち得るように設定されている。

以下、本実施例の作動について説明する。

主機関出力軸18の回転力は、第２図に示す如く、第１の
推進軸19、出力ギヤ22、３個の出力側中間ギヤ24を介し
て出力側内歯ギヤ25に伝達され、該出力側内歯ギヤ25は
第１の推進軸19と反対方向に回転する。

同時に、第３図に示す如く、入力側内歯ギヤ27は出力側
内歯ギヤ25と同方向へ同回転数で回転し、入力側内歯ギ
ヤ27の回転力は、３個の入力側中間ギヤ26、入力ギヤ23
を介して第２の推進軸20に伝達され、該第２の推進軸20
は入力側内歯ギヤ27と反対方向に回転する。

導水管３内の船首側スクリュープロペラ６と船尾側スク
リュープロペラ７は同方向に、且つ0.4〜0.5対１の回転
数で回転し、船首側スクリュープロペラ６が取水管４よ
り導水管３内へ吸引した海水を、船尾側スクリュープロ
ペラ７によって増速して推進口５より噴出させて船舶１
を航行させる。

本実施例では、出力ギヤ22の回転力を３個の出力側中間
ギヤ24を介して出力側内歯ギヤ25へ、また入力側内歯ギ
ヤ27の回転力を３個の入力側中間ギヤ26を介して入力ギ
ヤ23へ伝達しているので、回転力が分散して伝達されて
力の集中が発生することがないので、大きな動力の伝達
が可能となり、各ギヤに破損を生じさせることなく装置
の小型化を図ることができる。

なお、本考案の船舶の推進装置は、上述の実施例にのみ
限定されるものではなく、船首側スクリュープロペラ６
と船尾側スクリュープロペラ７を船舶１の船体外部に配
設した構成とすること、出力側中間ギヤ24と入力側中間
ギヤ26の数を変更することなど本考案の要旨を逸脱しな
い範囲内において種々変更を加え得ることは勿論であ
る。

［考案の効果］ 以上説明したように本考案の船舶の推進装置によれば、
下記の如き種々の優れた効果を奏し得る。

（１）出力ギヤ22の回転力を、複数箇の出力側中間ギヤ
24を介して出力側内歯ギヤ25に伝達し、該出力側内歯ギ
ヤ25に連結された入力側内歯ギヤ27の回転力を、複数箇
の入力側中間ギヤ26を介して入力ギヤ23に伝達するの
で、各ギヤ22,24,25,26,27,23の間で授受される力が分
散することになり、これらの各ギヤ22,24,25,26,27,23
に破損が生じることがなくなる。

（２）各ギヤ22,24,25,26,27,23の間で授受される力が
分散するので、各ギヤ22,24,25,26,27,23の機械的強度
を小さくすることが可能になり、装置の小型化を図るこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の平面図、第２図は第１図の
II-II矢視図、第３図は第１図のIII-III矢視図、第４図
はウォータジェットポンプ方式の推進装置の基本的な配
置を示す図、第５図は第４図のＶ−Ｖ矢視図、第６図は
従来の船舶の推進装置の動力伝達機構の平面図である。 図中、６は船首側スクリュープロペラ、７は船尾側スク
リュープロペラ、18は主機関出力軸、19は第１の推進
軸、20は第２の推進軸、21はハウジング、22は出力ギ
ヤ、23は入力ギヤ、24は出力側中間ギヤ、25は出力側内
歯ギヤ、26は入力側中間ギヤ、27は入力側内歯ギヤを示
す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ハウジング（21）に回転自在に支持された
   第１の推進軸（19）と、該第１の推進軸（19）の中間部
   に回転自在に外嵌され且つ前記のハウジング（21）に回
   転自在に支持された第２の推進軸（20）と、前記の第１
   の推進軸（19）に固着された出力ギヤ（22）と、該出力
   ギヤ（22）を周方向に取り囲むように略等間隔に配置さ
   れ且つそれぞれが出力ギヤ（22）に噛合するように前記
   のハウジング（21）に回転自在に支持された複数箇の出
   力側中間ギヤ（24）と、前記の出力ギヤ（22）を中心と
   して各出力側中間ギヤ（24）のそれぞれを取り囲むよう
   に配置され且つ該出力側中間ギヤ（24）のそれぞれに噛
   合するように前記のハウジング（21）に回転自在に支持
   された環状の出力側内歯ギヤ（25）と、前記の第２の推
   進軸（20）に固着された入力ギヤ（23）と、該入力ギヤ
   （23）を周方向に取り囲むように略等間隔に配置され且
   つそれぞれが入力ギヤ（23）に噛合するように前記のハ
   ウジング（21）に回転自在に支持された複数箇の入力側
   中間ギヤ（26）と、前記の入力ギヤ（23）を中心として
   各入力側中間ギヤ（26）のそれぞれを取り囲むように配
   置され且つ該入力側中間ギヤ（26）のそれぞれに噛合す
   るように前記のハウジング（21）に回転自在に支持され
   た環状の入力側内歯ギヤ（27）とを備え、該入力側内歯
   ギヤ（27）と出力側内歯ギヤ（25）とを互いに周方向へ
   変位しないように連結し、前記の第１の推進軸（19）の
   船尾側端部に船尾側スクリュープロペラ（７）を取り付
   け、前記の第２の推進軸（20）の船尾側端部に船首側ス
   クリュープロペラ（６）を取り付け、前記第１の推進軸
   （19）の船首側端部に主機関出力軸（18）を連結したこ
   とを特徴とする船舶の推進装置。