JPH0783254A

JPH0783254A - ブレーキ用ディスク

Info

Publication number: JPH0783254A
Application number: JP23056193A
Authority: JP
Inventors: Takehiro Ishiura; 武弘石浦; Yoko Hirata; 洋子平田
Original assignee: Mitsubishi Motors Corp
Current assignee: Mitsubishi Motors Corp
Priority date: 1993-09-16
Filing date: 1993-09-16
Publication date: 1995-03-28

Abstract

(57)【要約】【目的】本発明は、自動車等のディスクブレーキ装置
に用いて好適の、ブレーキ用ディスクに関し、ブレーキ
ディスクの摩擦熱による熱変形を防止して、ブレーキジ
ャダー等を防止できるようにすることを目的とする。【構成】円盤状の摩擦部と、摩擦部を車輪側に固定す
るための取付部５とからなるブレーキ用ディスク１にお
いて、摩擦部を、表裏の摩擦面３Ａを形成する２つの摩
擦層３と、２つの摩擦層３の間に介在され耐熱材からな
る中間層２とから構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自動車等のディスクブ
レーキ装置に用いて好適の、ブレーキ用ディスクに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】近年、自動車等の車両では、車輪と一体
となって回転するブレーキディスク（又は、ディスクロ
ータ）をブレーキパッドで挟みつけて、その摩擦力によ
り制動力を得るようなディスクブレーキ装置が普及して
いる。このようなディスクブレーキ装置は、ドライバの
ブレーキペダルを踏む力にリニアに反応するのでドライ
バビリティにすぐれ、制動力を安定して得ることができ
るものである。

【０００３】図３にディスクブレーキ装置に用いられる
ブレーキディスクを示すが、このようなブレーキディス
ク１は、一般に鋳造により成形されており、材質として
は耐磨耗性に優れ、鋳造性の良いねずみ鋳鉄が広く採用
されている。なお、符号５は、ブレーキディスク１を車
輪側に固定するための車輪取付部である。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のねずみ鋳鉄のブレーキディスク１では、耐熱
性が十分に確保されていない場合があり、制動を繰り返
し行なった時に、ブレーキディスク１とこれに摺接する
ブレーキパッド（図示せず）との間に発生する摩擦熱に
よって、ブレーキディスク１が図４に示すように波打ち
変形（又はウェービング）することが考えられる。

【０００５】このように、ブレーキディスク１が波打ち
変形してしまうと、制動トルクが変動してしまい、車両
にブレーキジャダー等が生じてしまう場合がある。本発
明は、このような課題に鑑み創案されたもので、摩擦熱
による波打ち変形を防止して、ブレーキジャダー等を防
止できるようにした、ブレーキ用ディスクを提供するこ
とを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】このため、請求項１記載
の本発明のブレーキ用ディスクは、円盤状の摩擦部と、
該摩擦部を車輪側に固定するための取付部とからなるブ
レーキ用ディスクにおいて、該摩擦部が、表裏の摩擦面
を形成する２つの摩擦層と、該２つの摩擦層の間に介在
され耐熱材からなる中間層とから構成されていることを
特徴としている。

【０００７】また、請求項２記載の本発明のブレーキ用
ディスクは、上記請求項１記載の構成に加えて、該摩擦
層が、ねずみ鋳鉄により形成され、該中間層が鉄ニッケ
ル合金で形成されていることを特徴としている。また、
請求項３記載の本発明のブレーキ用ディスクは、上記請
求項１又は２記載の構成に加えて、該中間層が該取付部
まで延設されていることを特徴としている。

【０００８】また、請求項４記載の本発明のブレーキ用
ディスクは、上記請求項１又は２記載の構成に加えて、
該摩擦層と該取付部とが同一部材により形成されている
ことを特徴としている。また、請求項５記載の本発明の
ブレーキ用ディスクは、上記請求項１〜４のいずれかに
記載の構成に加えて、該中間層に軸方向に貫通する貫通
穴が形成され、該２つの摩擦層が該貫通穴を介して一体
化されていることを特徴としている。

【０００９】さらに、請求項６記載の本発明のブレーキ
用ディスクは、上記請求項１〜５のいずれかに記載の構
成に加えて、該中間層が、該摩擦部内に鋳込まれている
ことを特徴としている。

【００１０】

【作用】上述の請求項１記載の本発明のブレーキ用ディ
スクでは、ブレーキディスクの摩擦面に制動力が入力さ
れと、摩擦面を形成する２つの摩擦層の間の耐熱材から
なる中間層により、ブレーキディスク全体の剛性が確保
され、摩擦面の熱変形が抑止される。

【００１１】また、上述の請求項２記載の本発明のブレ
ーキ用ディスクでは、摩擦層がねずみ鋳鉄により形成さ
れるので耐摩耗性に優れ、中間層が鉄ニッケル合金で形
成されるので耐熱性に優れており、ブレーキディスクの
波打ち現象が防止される。また、上述の請求項３記載の
本発明のブレーキ用ディスクでは、中間層がディスク取
付部まで延設されるので、ブレーキディスクの剛性がよ
り確保される。

【００１２】また、上述の請求項４記載の本発明のブレ
ーキ用ディスクでは、ディスク取付部と摩擦層とが同一
部材により形成されるので、耐熱材は中間層のみに使用
されることになる。また、上述の請求項５記載の本発明
のブレーキ用ディスクでは、ブレーキディスクの中間層
に設けられた貫通穴の内部に摩擦層が進入して２つの摩
擦層が一体化されているので、制動時の摩擦力に対して
ブレーキディスクには十分な強度が確保される。

【００１３】また、上述の請求項６記載の本発明のブレ
ーキ用ディスクでは、中間層は摩擦部内に鋳込まれて構
成されるので、比較的簡単に、且つ低コストで製造する
ことができる。

【００１４】

【実施例】以下、図面により、本発明の実施例について
説明する。まず、本発明の第１実施例としてのブレーキ
用ディスクについて説明すると、図１はその全体構成に
ついて説明するための模式図であって、（ａ）はその中
間層の形状を示す模式的な斜視図、（ｂ）はその中間層
を示す断面図、（ｃ）はその全体構成を示す断面図であ
る。

【００１５】図１（ｃ）に示すように、ブレーキディス
ク１の厚み方向の中心部にこのブレーキディスク１の中
間層としての骨格部２が配置されており、この骨格部２
の両側に摩擦層３が配設されている。この摩擦層３に
は、ブレーキパッド（図示省略）に摺接させることによ
り、摩擦力が発生するような摩擦面３Ａが設けられてお
り、耐磨耗性に優れたねずみ鋳鉄等により形成されてい
る。これにより、ブレーキディスク１の両面からブレー
キパッドが摺接したときに、確実に制動力が得られるよ
うになっている。

【００１６】また、図１（ａ），（ｂ）に示すように、
骨格部２は円盤形状に形成されている。この骨格部２
は、ブレーキディスク１全体の剛性を確保するための部
材であって、耐熱強度が高く、熱膨張率の小さい鉄ニッ
ケル合金等により形成されている。このため、摩擦面３
Ａに高熱の摩擦熱が発生しても、ブレーキディスク１が
熱変形することなく、安定した制動トルク得ることがで
きるようになっている。

【００１７】また、図１（ａ）に示すように、骨格部２
には複数の貫通穴４が設けられており、摩擦層３の成形
時に、この貫通穴４に熔解したねずみ鋳鉄が鋳込まれる
ようになっている。そして、これにより骨格部２とこの
骨格部２の両側の摩擦層３とが一体化され、ブレーキデ
ィスク１全体が骨格部２を内蔵した鋳造物として形成さ
れるのである。

【００１８】なお、図１（ｃ）中、符号５はブレーキデ
ィスク１を車輪側に固定するための車輪取付部であり、
この車輪取付部５は、本実施例では、摩擦層３のねずみ
鋳鉄により形成されている。本発明の第１実施例として
のブレーキ用ディスクは、上述のように構成されている
ので、ブレーキディスク１に高熱の摩擦熱が発生して
も、骨格部２が耐熱強度の高い鉄ニッケル合金等により
形成されているため、ブレーキディスク１全体の剛性を
確保することができ、ブレーキディスク１の熱変形（主
に、波打ち変形）を防止することができる。

【００１９】これにより、常に安定した制動トルクを得
ることができ、ブレーキジャダーの発生を防止すること
ができる。また、摩擦層３及び摩擦面３Ａは、摩擦材と
して、従来からブレーキディスクに採用されているねず
み鋳鉄を用いているので、コストの増加を抑制すること
ができるとともに、十分な制動力を得ることができる。

【００２０】さらに、骨格部２と摩擦層３とを一体化し
てブレーキディスク１を構成することにより、骨格部２
と摩擦層３とを剥離するように作用する力に対して十分
な強度を得ることができ、これにより骨格部２と摩擦層
３との剥離を防止することができる。また、摩擦層３を
鋳造により成形することにより、本ブレーキディスク１
を比較的容易に製造することができる。

【００２１】次に本発明の第２実施例としてのブレーキ
用ディスクについて説明すると、図２はその全体構成に
ついて説明するための模式図であって、（ａ）はその中
間層の形状を示す模式的な斜視図、（ｂ）はその中間層
を示す断面図、（ｃ）はその全体構成を示す断面図であ
る。図２（ａ），（ｂ）に示すように、中間層としての
骨格部２は、段のついた円盤形状に形成されており、ブ
レーキディスク１を車輪側に固定するための車輪取付部
５と鍔状部分２Ａとからなっている。

【００２２】また、図２（ｃ）に示すように、骨格部２
はブレーキディスク１の厚み方向の中心部に配置されて
おり、この骨格部２の両側に摩擦層３が配設されてい
る。骨格部２は、ブレーキディスク１全体の剛性を確保
するための部材であって、耐熱強度の高く、熱膨張率の
小さい鉄ニッケル合金等により形成されている。また、
摩擦層３には、ブレーキパッド（図示省略）に摺接させ
ることにより、摩擦力が発生するような摩擦面３Ａが設
けられており、耐磨耗性に優れたねずみ鋳鉄等により形
成されている。これにより、ブレーキディスク１の両面
からブレーキパッドが摺接したときに、確実に制動力が
得られるようになっている。

【００２３】このため、摩擦層３に高熱の摩擦熱が発生
しても、ブレーキディスク１が熱変形することなく、安
定した制動トルクを得ることができるようになってい
る。また、図２（ａ）に示すように、骨格部２には複数
の貫通穴４が設けられており、摩擦層３の成形時に、こ
の貫通穴４に熔解したねずみ鋳鉄が鋳込まれるようにな
っている。

【００２４】そして、これによりブレーキディスク１全
体が、骨格部２とこの骨格部２の両側の摩擦層３とが一
体化された鋳造物として形成されるのである。本発明の
第２実施例としてのブレーキ用ディスクは、上述のよう
に構成されているので、ブレーキディスク１に高熱の摩
擦熱が発生しても、骨格部２が耐熱強度の高い鉄ニッケ
ル合金等により形成されているため、ブレーキディスク
１全体の剛性を確保することができ、ブレーキディスク
１の熱変形（主に、波打ち変形）を防止することができ
る。

【００２５】これにより、常に安定した制動トルクを得
ることができ、ブレーキジャダーの発生を防止すること
ができる。また、摩擦層３は、摩擦材として、従来から
ブレーキディスク採用されているねずみ鋳鉄を用いてい
るので、コストの増加を抑制することができるととも
に、十分な制動力を得ることができる。

【００２６】さらに、骨格部２と摩擦層３とを一体化し
てブレーキディスク１を構成することにより、骨格部２
と摩擦層３とを剥離するように作用する力に対して十分
な強度を得ることができ、これにより骨格部２と摩擦層
３との剥離を防止することができる。また、摩擦層３を
鋳造により成形することにより、本ブレーキディスク１
を比較的容易に製造することができる。

【００２７】なお、上述した骨格部２の部材は、鉄ニッ
ケル合金に限られるものではなく、熱膨張率が小さく、
且つ十分な耐熱性を有するものであれば、これを用いて
も良い。

【００２８】

【発明の効果】以上詳述したように、請求項１記載の本
発明のブレーキ用ディスクによれば、円盤状の摩擦部
と、該摩擦部を車輪側に固定するための取付部とからな
るブレーキ用ディスクにおいて、該摩擦部が、表裏の摩
擦面を形成する２つの摩擦層と、該２つの摩擦層の間に
介在され耐熱材からなる中間層とから構成されることに
より、ブレーキディスク全体の剛性を確保することがで
き、ブレーキディスク１の熱変形を防止できる。

【００２９】これにより、常に安定した制動トルクを得
ることができ、ブレーキジャダーの発生を防止すること
ができる。また、請求項２記載の本発明のブレーキ用デ
ィスクによれば、該摩擦層が、ねずみ鋳鉄により形成さ
れ、該中間層が鉄ニッケル合金で形成されるという構成
により、コストの増加を抑制することができるととも
に、十分な制動力を確保することができる。

【００３０】また、請求項３記載の本発明のブレーキ用
ディスクによれば、該中間層が該取付部まで延設されて
いるという構成により、ディスク全体の強度を確保する
ことができ、コストの増加も抑制することができる。ま
た、請求項４記載の本発明のブレーキ用ディスクによれ
ば、該摩擦層と該取付部とが同一部材により形成される
という構成により、コストの増加をさらに抑制しなが
ら、摩擦層の熱変形を防止することができる。

【００３１】また、請求項５記載の本発明のブレーキ用
ディスクによれば、該中間層に、軸方向に貫通する貫通
穴が形成され、該２つの摩擦層が、該貫通穴を介して一
体化されるという構成により、中間層と摺接層との剥離
を防止することができる。また、請求項６記載の本発明
のブレーキ用ディスクによれば、該中間層が、該摩擦部
内に鋳込まれるという構成により、ブレーキパッド摺接
時に発生する摩擦力に対して十分な強度を得ることがで
き、また比較的容易に製造することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例としてのブレーキ用ディス
クにおける全体構成について説明するための模式図であ
って、（ａ）はその中間層の形状を示す模式的な斜視
図、（ｂ）はその中間層を示す断面図、（ｃ）はその全
体構成を示す断面図である。

【図２】本発明の第２実施例としてのブレーキ用ディス
クにおける全体構成について説明するための模式図であ
って、（ａ）はその中間層の形状を示す模式的な斜視
図、（ｂ）はその中間層を示す断面図、（ｃ）はその全
体構成を示す断面図である。

【図３】従来のブレーキディスクを示す模式的な斜視図
である。

【図４】従来のブレーキディスクの熱変形時の形状を模
式的に示す図である。

【符号の説明】

１ブレーキディスク２中間層としての骨格部２Ａ鍔状部分３摩擦面４貫通穴５車輪取付部

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】円盤状の摩擦部と、該摩擦部を車輪側に
固定するための取付部とからなるブレーキ用ディスクに
おいて、該摩擦部が、表裏の摩擦面を形成する２つの摩擦層と、
該２つの摩擦層の間に介在され耐熱材からなる中間層と
から構成されていることを特徴とする、ブレーキ用ディ
スク。
【請求項２】該摩擦層が、ねずみ鋳鉄により形成さ
れ、該中間層が鉄ニッケル合金で形成されていることを
特徴とする、請求項１記載のブレーキ用ディスク。
【請求項３】該中間層が該取付部まで延設されている
ことを特徴とする、請求項１又は２記載のブレーキ用デ
ィスク。
【請求項４】該摩擦層と該取付部とが同一部材により
形成されていることを特徴とする、請求項１又は２記載
のブレーキ用ディスク。
【請求項５】該中間層に、軸方向に貫通する貫通穴が
形成され、該２つの摩擦層が、該貫通穴を介して一体化
されていることを特徴とする、請求項１〜４のいずれか
に記載のブレーキ用ディスク。
【請求項６】該中間層が、該摩擦部内に鋳込まれてい
ることを特徴とする、請求項１〜５のいずれかに記載の
ブレーキ用ディスク。