JPH0782291A - 水溶性アンスラサイクリン誘導体 - Google Patents

水溶性アンスラサイクリン誘導体

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JPH0782291A
JPH0782291A JP24967293A JP24967293A JPH0782291A JP H0782291 A JPH0782291 A JP H0782291A JP 24967293 A JP24967293 A JP 24967293A JP 24967293 A JP24967293 A JP 24967293A JP H0782291 A JPH0782291 A JP H0782291A
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JP24967293A
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English (en)
Inventor
Akira Nakabayashi
暁 中林
Makoto Taniguchi
谷口  誠
Shiyuuko Udagawa
周子 宇田川
Noriko Horinaga
紀子 堀永
Takeo Miyazawa
健夫 宮沢
Tatsuro Ouchi
辰郎 大内
Osamu Tsuchiya
修 土屋
Yasushi Takagi
泰 高木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Microbial Chemistry Research Foundation
Meiji Seika Kaisha Ltd
Original Assignee
Microbial Chemistry Research Foundation
Meiji Seika Kaisha Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 制癌剤として有用であり、非酵素的に加水分
解できる新規なアンスラサイクリン水溶性誘導体を提供
する。 【構成】 一般式Iで表わされてアンスラサイクリン系
化合物の14位の水酸基と、ポリオキシエチレン基を含
むカルボン酸とのエステル結合体の形である水溶性アン
スラサイクリン誘導体。〔但しR1 は水酸基、低級アル
コキシ基、アミノ基、モノ−低級アルキルアミノ基、ジ
−低級アルキルアミノ基、カウンター陰イオンをもつト
リ−低級アルキルアンモニウム基、またはカルボキシ−
低級アルコキシ基を表し、R2 は式II、II′、III また
はIII′で表されるスペーサーの基を意味する。〕 【効果】 水溶性が高く、制癌剤としての性状に優れ
る。また、本誘導体の生体内での非酵素的加水分解が促
進されることにより、薬効について個体差や種差の減少
という特性も有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、制癌剤として有用であ
るアンスラサイクリン類の新規な水溶性誘導体およびそ
の製造法、ならびに制癌剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】アンスラサイクリン類抗生物質として
は、ダウノマイシン(米国特許第3,616,242 号明細書)
およびアドリアマイシン(米国特許第 3,590,028号明細
書)が知られており、実験腫瘍に対して広い抗癌スペク
トルを有するのみならず、癌の化学療法剤として広く臨
床治療に利用されている。
【0003】アドリアマイシンおよびダウノマイシンは
次の式(A)で表される化合物である。 (式中、R′は水素原子または水酸基を表す)。
【0004】また、アドリアマイシンやダウノマイシン
の抗腫瘍効果よりさらに高い抗腫瘍効果を持つ、下記の
式(B)で表される新規アンスラサイクリン系化合物と
して7−O−(2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α
−L−タロピラノシル)アドリアマイシノンが提供され
ている(特開昭62−145097号明細書)。
【0005】
【0006】ついで、同発明者らによって、式(B)で
表される化合物の水溶性アンスラサイクリン誘導体とし
て、下記の一般式(C)で表される14位のカルボン酸
エステル誘導体が提供された(特開昭63−14199
2号および特開平1-193283号明細書)。
【0007】 〔式中、R″は、基−O−CO-(CH2 t Hまたは基
−O−CO-(CH2 qCOOH(tは、0または1〜
6の整数であり、qは0または1〜10の整数である)
を表す〕。
【0008】また一方、種々の薬効をもつ種々の医薬化
合物、すなわち薬物にポリオキシエチレン鎖を結合させ
てなるポリオキシエチレン誘導体が種々合成されてい
る。それら誘導体のポリオキシエチレン部分は、薬効の
持続性の延長と水溶性の付与のために有効であることが
報告されている[例えば、J. Med. Chem.,16巻 573頁(1
973); Eur. J. Med. Chem., 11巻 256頁(1976); J. Me
d. Chem.,24巻 622頁(1981)参照]。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】アンスラサイクリン誘
導体、特に、特開昭62−145097号明細書に記載
された式(B)のアドリアマイシノン誘導体は水に対す
る溶解性が低く、注射剤として用いるには難点があっ
た。また、特開昭63−141992号および特開平1
−193283号明細書に示された式(C)の水溶性誘
導体は、これらも、必ずしも十分に満足な水溶性がある
とは言えないことと、投与後に生体内の酵素反応に依存
して抗癌活性の式(B)の化合物を遊離、放出するプロ
ドラッグであるために、血中での該プロドラッグの動態
に大きく左右されて薬効に種差、および個体差を生じる
ことが難点であった。
【0010】そこで本発明者らは、水に対する溶解性が
高いものであり、合成が容易であり、さらにまた生体内
ペーハー(pH)の作用下で、酵素の作用を受けなくと
も、即ち主に非酵素的加水分解により式(B)の殺細胞
活性の化合物を遊離、放出できるプロドラッグ誘導体を
提供する目的で研究を進めた。かゝる性質のプロドラッ
グ誘導体は、主に、非酵素的加水分解により抗腫瘍活性
の物質を遊離するため、生体内の薬効発現の強度や速度
に対する個体差および種差は小さくなることが期待され
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】
【0012】
【発明の構成】本発明者らは、研究の結果、アンスラサ
イクリン系水溶性誘導体として、下記一般式(I)で示
される新規14位エステル誘導体を合成することに成功
した。この一般式(I)の誘導体は水溶性が高く、合成
が容易であり、かつ生体内で式(B)で示される殺細胞
活性の化合物を遊離、放出するプロドラッグとして有効
であることが認められた。
【0013】すなわち、第1の本発明によると、下記の
一般式(I)
【0014】〔式中、nは1〜100の整数を表し、R
1 は水酸基、低級アルコキシ基、アミノ基、モノ−低級
アルキルアミノ基、ジ−低級アルキルアミノ基、カウン
ター陰イオンをもつトリ−低級アルキルアンモニウム
基、またはカルボキシ−低級アルコキシ基を表し、R2
は下記一般式(II)、(II′)、(III) または(III′) で表されるスペーサーの基を意味し、ただしmは1〜8
の整数である〕で表されるアンスラサイクリン系水溶性
誘導体、またはそれの製剤学的に許容し得る塩が提供さ
れる。
【0015】前記一般式(I)を有する化合物は、必要
に応じて製剤学的に許容しうる塩にすることができる。
そのような塩としては、カルボン酸におけるナトリウム
塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、アミンにおける
塩酸塩、臭酸塩、硫酸塩やリン酸塩などの鉱酸塩もしく
はパラトルエンスルホン酸塩、酢酸、ギ酸などの有機酸
の付加塩が挙げられる。
【0016】本発明による一般式(I)の化合物におい
て、nが1である場合のオキシエチレン基は該化合物に
水溶性を付与し、またnが2以上の整数である場合のポ
リオキシエチレン(基として表す場合はPOEと略記す
る;トリオキシエチレンを基として表す場合はTOEと
略記する)基は、さらに強い水溶性を与える。しかも、
本発明者らは、一般式(I)の化合物の如くに、ポリオ
キシエチレン基を含むカルボン酸誘導体と前記の式
(B)のアドリアマイシノン誘導体の14位のアルコー
ル性水酸基とをエステル結合させると、その14位の水
酸基の所に形成されたエステル結合は生理食塩水溶液中
および血清中におけるペーハー (pH6.5 〜8.5)におい
て主に非酵素的な加水分解を起して、切断されることを
見いだした。
【0017】一般式(I)の本発明化合物は、14位ア
ルコール体である式(B)のアンスラサイクリン系化合
物と後記の一般式(V)で示されるスペーサーの基(R
2 )及びポリオキシエチレン鎖を含むカルボン酸とのエ
ステル誘導体である。本発明化合物のうち、後記の実施
例1〜実施例10の例示された化合物について、水に対
する溶解度と水中における加水分解速度の試験を実施し
た。
【0018】(1)水に対する溶解性の試験 本発明の実施例1〜10の各化合物の水に対する溶解性
は、いずれも非常に良く、pH6.5 のリン酸緩衝液[0.
05Mリン酸二水素ナトリウム+水酸化ナトリウム水溶液
により調整]への溶解度(室温)は、いずれも40mg
/ml以上(ただし実施例7の化合物では約10mg/
ml)の量が溶解した。対照化合物として用いた特開昭
63−141992号明細書の実施例5(b)の化合物
すなわち7−O−(2,6−ジデオキシ−2−フルオロ
−α−L−タロピラノシル)アドリアマイノシン 14
−O−ヘミピメレイトの溶解度は33mg/mlであった。
【0019】(2)非酵素的加水分解速度の試験 pH7.6 のリン酸緩衝液[ 0.1Mリン酸二水素カリウム
+リン酸一水素二ナトリウム水溶液]に実施例1〜10
の各化合物を溶解し、それらの溶液中での、37℃におけ
る14位エステル結合の加水分解による、式(B)の化
合物すなわち7−O−(2,6−ジデオキシ−2−フル
オロ−α−L−タロピラノシル)アドリアマイシノンの
遊離速度を測定したが、その結果は次の表1に示すとう
りであった。
【0020】
【0021】以上の結果からも明らかなように、一般式
(I)の本発明化合物は、水に対する溶解性が非常に高
く、また適正な時間内に徐々にそれらの水溶液中でも殺
細胞活性本体へと変換され、投与後に生体内の薬効発現
に個体差および種差の影響の少ない利点を有する有用な
抗腫瘍剤のプロドラッグである。
【0022】本発明の化合物(I)は、本発明による
と、次に示す方法によって製造することができる。すな
わち、その方法は下記の一般式(IV)[式中、Xは塩
素、臭素またはヨウ素原子を表す]で示されるアンスラ
サイクリン化合物すなわち、14−ハロ−7−O−
(2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α−L−タロピ
ラノシル)ダウノマイシノンを、不活性な極性溶媒中で
下記の一般式(V)(式中、R1 ,R2 ,nは、前記の
意味を表す)で示されるポリオキシエチレンカルボン酸
のアルカリ金属塩と反応させるか、もしくは一般式
(V)(式中、R1 ,R2,nは、前記の意味を表す)
で表されるポリオキシエチレンカルボン酸を有機塩基、
好ましくはトリエチルアミンなどの三級有機塩基の存在
下に反応させることからなる。
【0023】
【0024】本発明化合物(I)の上記の製造方法にお
いて、式(IV)のアンスラサイクリン化合物と一般式
(V)のポリオキシエチレンカルボン酸化合物(以下、
単にPOE酸ということもある)から、一般式(I)の
化合物を製造するには、通常0〜100℃、好ましくは
室温〜70℃の温度で、1〜48時間、好ましくは3〜
24時間撹拌下に両者の化合物の反応を行う。反応に用
いる溶媒は、不活性な極性溶媒、好ましくはN,N−ジ
メチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシドなどが用
いられる。
【0025】用いる式(V)のポリオキシエチレンカル
ボン酸のうち、後記の式(Vb)で示される二塩基酸を
式(IV)のアンスラサイクリン化合物1当量と反応させ
る場合には、式(Vb)の二塩基酸の1〜2当量分のモ
ノ金属塩を用いて反応させるか、あるいは二塩基酸1〜
2当量分を用いて同時に二塩基酸に対して1当量分の有
機塩基を存在させて反応させることが重要である。
【0026】上記の製造方法の原料である式(IV)の化
合物は、例えば14−ブロモ−7−O−(2,6−ジデ
オキシ−2−フルオロ−3,4−O−イソプロピリデン
−α−L−タロピラノシル)ダウノマイシノンであって
もよく、これは、例えば特開昭63−141992号明
細書に記載の方法に従って製造される。この化合物を用
いると、縮合反応生成物から保護基の3,4−O−イソ
プロピリデン基を常法で脱離させることを要する。
【0027】更に、上記の一般式(V)で表されるポリ
オキシエチレンカルボン酸は、後記の一般式(Va)の
ポリオキシエチレン−モノカルボン酸、後記の一般式(V
b)のポリオキシエチレン−ジカルボン酸、後記の一般式
(Vc)のポリオキシエチレン−モノカルボン酸、ある
いは後記の一般式(Ve)で表わされる第4級アンモニ
ウム基をもつポリオキシエチレン−モノカルボン酸であ
ることができる。
【0028】一般式(V)の化合物(POE酸)は、公
知のポリオキシエチレン類、あるいはポリオキシエチレ
ンアミンから出発して合成できる。ポリオキシエチレン
アミン(POEアミン)は公知であるかまたは公知の方
法に従って製造される[例えば、Polym. Bull.(Berli
n), 18巻 487-493頁 (1992); Tetrahedron 40巻1581頁
(1984); Eur. Polym. J., 19巻1177頁(1983)参照]。
【0029】たとえば、後記の一般式(VI)のポリオキ
シエチレンアミンの調製は、ポリオキシエチレンもしく
はポリオキシエチレンモノメチルエーテルの末端の一つ
の水酸基を、下記の反応チャート(a)に示す如く、ハ
ロ基またはスルホニルオキシ基のような脱離性基へと変
換し、さらにアジド基と置換後、還元するなどの手法を
用いることができる。具体的には、下記の式(a)のポ
リオキシエチレンもしくはポリオキシエチレンモノメチ
ルエーテルを、十分に脱水乾燥したのちに、不活性溶媒
中、チオニルクロリドやオキシ塩化リンなどでハロゲン
化するか、または塩基存在下にp−トルエンスルホニル
化をして、末端の水酸基1箇を脱離基へと変換して式
(b)の化合物を生成する。ついでN,N−ジメチルホ
ルムアミドなどの不活性な極性溶媒中、好ましくは室温
〜100℃に加熱しながら式(b)の化合物にナトリウ
ムアジドなどアジドイオンを作用させて、アジド基など
アミノ基へと変換しうる基を導入して式(c)の化合物
とすることができる。アジド基をもつ式(c)の化合物
の場合には、ついでパラジウム/カーボンやリンドラー
触媒などの接触還元用触媒を用いて、水素還元によりア
ジド基をアミノ基とすることにより下記の式(VI)のポ
リオキシエチレンアミンを合成できる。
【0030】反応チャート(a)
【0031】上記の式中、Yは、ハロゲン原子(好適に
は、塩素、臭素またはヨード原子)やp−トルエンスル
ホニルオキシ基などの、求核置換反応に通常用いられる
脱離基を表す。nは1〜100の整数を表す。R3 は水
素またはメチル基、一般的には低級アルキル基、等を表
す。
【0032】後記の一般式(Va)によって表されるポ
リオキシエチレン−モノカルボン酸は、上記のポリオキ
シエチレンアミン(VI)を、公知の方法(酸無水物法や
DCCなど縮合剤法など)に従って、下記の反応チャー
ト(b)に示す如く、スペーサー部分となる式HOOC
− (CH2 m −COOHのジカルボン酸とアミド結合
させることにより製造することができる。
【0033】反応チャート(b) (式中、R3 、m、nは前記の意味を表す)。
【0034】後記の一般式(Vb)で表されるポリオキ
シエチレン−ジカルボン酸または、ポリオキシエチレン
カルボン酸モノメチルエーテルは、ポリオキシエチレン
またはポリオキシエチレンモノメチルエーテルから公知
であるかまたは公知の方法に従って製造される[例え
ば、Polym. Bull.(Berlin), 18巻 487-493頁(1992);Tet
rahedron,40巻1581頁(1984)参照]。具体的には、下記
の反応チャート(c) に示す如く、ポリオキシエチレン
を、十分に脱水乾燥したのちに、N,N-ジメチルホルムア
ミドやジオキサンなどの不活性溶媒中、水素化ナトリウ
ムまたは水素化カリウムなどのアルカリ塩基を作用させ
て後記の式(a')または(a'') で示されるアルコキシドと
したあと、ブロモ酢酸やα−ブロモプロピオン酸などの
式(d) のα−ハロカルボン酸またはそのエステル体を反
応させることにより得られる。なお、必要ならば、この
ように生成された式(Vb)のジエステルを加水分解さ
せることにより、式(Vb)のポリオキシエチレン−ジ
カルボン酸または式(Vc)のポリオキシエチレン−カ
ルボン酸モノメチルエーテルを得ることができる。
【0035】反応チャート(c)
【0036】(上記式中、Aはナトリウムなどの金属原
子を示し、Yは、前記と同じ意味を表し、R3 、R4
水素原子またはメチル基を表し、R5 は水素原子または
メチル基などの低級アルキル基を表す)。もし、式(V
b)または式(Vc)の化合物でR5 が低級アルキル基
である場合、さらに公知の方法によってアルカリ加水分
解をしてポリオキシエチレン−ジカルボン酸〔式(V
b)中、R5 が水素原子である化合物]またはポリオキ
シエチレンカルボン酸モノメチルエーテル[式(Vc)中、
3 がメチル基、R5 が水素原子である化合物〕を得る
ことができる。
【0037】後記の一般式(Vd)で表されるポリオキ
シエチレンアンモニウム誘導体〔式(Vd)中、Zは、
アジド基、アミノ基、モノメチルアミノ基またはカルボ
キシメチルオキシ基を表す化合物である〕は、公知であ
るか公知の方法に従って製造される。具体的には例え
ば、下記の反応チャート(d) に示す如く、式(e) のモノ
ハロポリオキシエチレンに十分量のトリメチルアミンや
ジメチルアミンなどの式(f)のアミンをそれらの水溶
液または不活性有機溶媒溶液中で耐圧反応容器内にて加
熱して反応させると、式(g)のアンモニウム化合物を
生成できる。また、式(e)の化合物にアジド塩などを
反応させて置換反応によりアジド基を導入して式(V
d)の化合物(Zはアジド基であり、sはゼロを表す)
を生成したあと、適当な合成段階で還元をすることによ
ってアミノ体とすることができる。
【0038】また、式(g)の化合物の末端の水酸基
は、先と同様にしてアミノ基とすると、式(Vd)中、
Zはアミノ基を表す化合物を得る。更に、式(g)の化
合物の水酸基に前記と同様にして適当な段階で酢酸基を
導入すると、式(Vd)でZはカルボキシメチルオキシ
基を表す化合物を生成することができる。式(Vd)
中、Zがアミノ基の場合の化合物は、前記の式(Va)
の化合物の製造の場合と同様にして、スペーサー(II)
の基(R2 )を挿入したカルボン酸誘導体(Ve)とす
ることができる。さらに、式(Vd)のZがカルボキシ
メチルオキシ基の場合の化合物は、これにさらに一般式
HOOC-(CH2 −NH2 (m=1〜8)で表わされるβ−
アラニンやグリシンなどのアミノ酸を公知の方法によっ
て縮合させて、スペーサー(II′)の基を挿入したポリ
オキシエチレンカルボン酸(Ve)を得ることができ
る。
【0039】反応チャート(d)
【0040】上記の式中、Y、R2 およびR5 は前記の
意味を表し、sは0〜3の整数を表す。Zは、ハロゲン
原子、アジド基またはアミノ基を表す。もし、式(V
e)でR5 が低級アルキル基である場合の化合物は、こ
れをさらに公知の方法によってアルカリ加水分解をして
ポリオキシエチレンカルボン酸[式(Ve)中、R5
水素原子、R2 、s、nは前記の意味を表す場合の化合
物]を製造することができる。
【0041】なおまた、一般式(I)の本発明化合物の
うち、スペーサーの基R2 が-(CH2 m CONH- である化
合物を製造する方法の別法としては、前記の式(B)の
アンスラサイクリン化合物の14位水酸基に、または式
(IV)の化合物の14位ハロ基に次の一般式 (式中、mは1〜8の整数である)のジカルボン酸を反
応させて次の一般式 〔式中、mは1〜8の整数である〕のヘミエステル化合
物を生成させ(特開昭63−141992号明細書参
照)、次いで一般式(VIII)のヘミエステル化合物に次の
一般式 〔式中、nおよびR1 は前記の意味をもつ〕のポリオキ
シエチレンアミン化合物を縮合剤、例えばDCCの存在
下に常法でアミド結合させることから成る方法によって
も、一般式(I)の本発明化合物の或る型のものを製造
できる(後記の実施例9および10参照)。
【0042】この別法方法における式(VIII)の化合物と
式(IX)のアミン化合物との縮合反応は、ペプチド合成
で知られる慣用の反応手法で行い得る。
【0043】更に、一般式(I)の本発明化合物は、こ
れを有効成分として用いて、製剤学的に許容できる固体
または液体状の担体と混和することにより制癌剤組成物
とすることができる。従って、第2の本発明によると、
一般式(I)のアンスラサイクリン系水溶性誘導体また
はそれの製剤学的に許容できる塩を有効成分として含有
してなる、制癌剤が提供される。
【0044】一般式(I) の本発明化合物を実際に投与す
る場合には、一般に非経口的に投与するが、本発明の制
癌剤では、本発明化合物を医薬製剤の分野で用いられる
通常の製剤学的に許容できる固体又は液体状の担体と混
ぜて投与することができる。
【0045】更に、たがいに加水分解速度が大小異なる
2種またはそれ以上の複数の本発明化合物を選択して組
み合わせたうえで、通常の製剤学的に許容できる固体又
は液体状の担体と混ぜ製剤化して非経口的に投与するこ
とができる。この後者の場合、本発明化合物の複数種の
適当な組み合わせによって、投与後に体内に殺細胞活性
をもつ式(B)の化合物が総体的に滞留できる時間を長
く持続させることが可能である。
【0046】それ故、第3の本発明によると、一般式
(I)で示されるアンスラサイクリン系水溶性誘導体ま
たはその製剤学的に許容できる塩の2種あるいはそれ以
上の混合物を有効成分として含有することを特徴とす
る、制癌剤組成物が提供される。
【0047】一般的な投与方法としては、動物の場合、
腹腔内注射、皮下注射、静脈又は動脈への血管内注射及
び局所投与等の注射剤として、ヒトの場合は静脈又は動
脈への血管内注射又は局所投与等の注射剤として投与さ
れ、その投薬量は動物試験の結果及び種々の情況を勘案
して総投与量が一定量を越えない範囲で、連続的又は間
けつ的に投与することができる。
【0048】しかし、その投与量は投与方法、患者、又
は被処理動物の状況例えば年令、体重、性別、感受性、
食餌、投与時間、投与方法、併用する薬剤、患者又はそ
の病気の程度に応じて適宜に変えて投与することはもち
ろんである。一定の条件の下における適量と投与回数
は、上記の指針を基として専門医の適量決定試験によっ
て決定されなければならない。これらの投与条件は、経
口投与においても同様に考慮される。
【0049】
【発明の効果】本発明による一般式(I)の新規なアン
スラサイクリン系水溶性誘導体は、優れた抗腫瘍効果を
有し、水に対する溶解性が向上し、かつ非酵素的な加水
分解によっても殺細胞活性のある式(B)のアンスラサ
イクリン化合物本体を円滑に遊離して、生体内の薬効の
発現に種差や個体差も少なくなるなどの有利な特性があ
り、癌の治療剤として有用である。また、加水分解速度
が異なる、本発明化合物を複数種組み合せて非経口投与
することにより、薬効の持続時間を延長できる。次に実
施例をあげて、本発明をさらに具体的に説明する。
【0050】
【実施例】参考例1 モノメトキシポリオキシエチレンアミン(式VIの化合物
でR3 =メチル基)[POEアミン化合物(1)]の製
造 次式 で示されるポリオキシエチレンモノメチルエーテル(#
550)(平均重合度:12)を脱水して乾燥した後、
1,2−ジクロルエタン200ml、塩化p−トルエン
スルホニル11.4g、トリエチルアミン11.1mlを加え、
室温で3時間半撹拌下に反応した。1,2−ジクロルエ
タンを減圧留去した後、生成したトシル化ポリオキシエ
チレンモノメチルエーテルを含む残留物にN,N−ジメ
チルホルムアミド140ml、アジ化ナトリウム 6.5g
を加えて、室温で3日間撹拌した。酢酸エチルを加え、
ろ過したろ液を濃縮し、これをシリカゲルカラムクロマ
トグラフィー(溶出溶媒:クロロホルム−メタノール,
50:1容量比)で精製して、ポリオキシエチレンモノ
メチルエーテル(#550)のアジド体を 9.9g得た。
【0051】このポリオキシエチレンモノメチルエーテ
ル(#550)のアジド体を、エタノール中p−トルエ
ンスルホン酸 1.5モル等量の共存下,リンドラー触媒で
2時間水素還元して、次式 で示される標題化合物(nの平均値:12)(以下、P
OEアミン化合物(1)という)を9g得た。
【0052】実施例1 14−O−(2−モノメトキシポリオキシエチレンカル
バモイル−アセチル)−7−O−(2,6−ジデオキシ
−2−フルオロ−α−L−タロピラノシル)アドリアマ
イシノン
【0053】マロン酸モノエチルエステル510mg、
ジクロルメタン−アセトニトリル(1:2容量比)混
液、N−ヒドロキシコハク酸イミド380mg、N、
N′−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC) 1.2
g、参考例1のPOEアミン化合物(1) 1.4gを加え
て室温で1晩撹拌した。さらに、マロン酸モノエチルエ
ステルを 0.5mmol加えて,室温で5時間撹拌した。
酢酸エチルを加えて、ろ過し、ろ液を濃縮した。濃縮物
を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:
クロロホルム−メタノール(20:1容量比)、ア
セトン)で精製した。これを1N水酸化ナトリウムで処
理したのち、セファデックス LH−20で精製して次
で示されるメトキシPOE酸(以下、化合物(2)とい
う)を450mg得た。
【0054】アルゴンガス気流下、14−ブロモ−7−
O−(2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α−L−タ
ロピラノシル)ダウノマイシノン(以下、M1−Brと
略す)200mgをN,N−ジメチルホルムアミド3m
lに溶解し化合物(2)233mgを加えて、室温で3
時間半撹拌した。イソプロピルエーテル(IPE)を加
えて沈殿させ、沈殿物をろ取した。これをシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:クロロホルム−メ
タノール,10:1容量比)で精製して標題化合物(n
の平均値:12)を90mg得た。
【0055】1H−NMRスペクトル(重クロロホル
ム)δppm :14.00(1H,s),13.18(1H,s), 8.01(1H,d),
7.79(1H,t), 7.40(1H,d), 5.62(1H,bd),5.35(1H,d), 5.
31(1H,bs), 5.19(1H,d), 4.59(1H,bd), 4.08(3H,s),3.3
7(3H,s), 3.28(1H,bd), 2.97(1H,bd), 1.41(3H,d). [α]D 25+159°(c 0.02,CHCl3 −MeO
H,1:1容量比)
【0056】実施例2 14−O−(3−モノメトキシポリオキシエチレンカル
バモイル−プロピオニル)−7−O−(2,6−ジデオ
キシ−2−フルオロ−α−L−タロピラノシル)アドリ
アマイシノン
【0057】POEアミン化合物(1)500mgにア
セトニトリル5ml、無水コハク酸70mg、トリエチ
ルアミン200μlを加えて室温で1晩撹拌した。反応
液を濃縮しシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出
溶媒:クロロホルム−メタノール,10:1容量比)で
精製して次式 で示されるメトキシPOE酸化合物(以下、化合物
(3)という)を228mg得た。
【0058】化合物(3)220mgをN,N−ジメチ
ルホルムアミド3mlに溶解しトリエチルアミン50μ
l加え、さらにM1−Br 187mgを加えて室温で
3時間撹拌した。イソプロピルエーテルを加えて沈殿さ
せた後、沈殿物をろ取した。これをシリカゲルカラムク
ロマトグラフィー(溶出溶媒:クロロホルム−メタノ
ール,30:1容量比、アセトン)で精製して標題化
合物(nの平均値:12)を210mg得た。
【0059】1H−NMRスペクトル(重クロロホル
ム) δppm :13.99(1H,s),13.15(1H,s), 8.00(1H,d),
7.78(1H,t), 7.39(1H,d), 5.61(1H,bd),5.30(1H,d),
5.29(1H,bs), 5.13(1H,d), 4.56(1H,bd), 4.16(1H,bq),
4.07(3H,s), 3.64(4H,s), 3.37(3H,s), 2.82(2H,t), 2.
58(2H,t), 1.40(3H,d). [α]D 25+123°(c 0.013,CHCl3 −MeO
H,1:1容量比)
【0060】実施例3 14−O−(4−モノメトキシポリオキシエチレンカル
バモイル−ブチリル)−7−O−(2,6−ジデオキシ
−2−フルオロ−α−L−タロピラノシル)アドリアマ
イシノン
【0061】POEアミン化合物(1)702mgにア
セトニトリル5ml、無水グルタル酸114mg、トリ
エチルアミン280μlを加えて室温で1晩撹拌した。
さらに反応液に無水グルタル酸 0.2モル等量分加えて、
室温で3時間撹拌した後,濃縮しシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(溶出溶媒:クロロホルム−メタノー
ル,20:1容量比)で精製して次式 で示されるメトキシPOE酸化合物(以下、化合物
(4)という)を234mg得た。
【0062】化合物(4)185mgを常法によりナト
リウム塩としたあと、アルゴンガス気流下、N,N−ジ
メチルホルムアミド3mlに溶解したM1−Br159
mgに加えて、室温で2時間半撹拌した。イソプロピル
エーテルを加えて沈殿させ、沈殿物をろ取して、シリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:クロロホル
ム−メタノール,20:1容量比)で精製して標題化合
物(nの平均値:12)を280mg得た。
【0063】1H−NMRスペクトル(重クロロホルム
−重メタノール,8:1) δppm :14.00(1H,s), 13.
18(1H,s), 8.01(1H,d), 7.79(1H,t), 7.40(1H,d),5.61
(1H,bd), 5.31(1H,bs), 5.30(1H,d), 5.11(1H,d), 4.59
(1H,bd),4.08(3H,s), 3.38(3H,s), 3.26(1H,bd), 2.97
(1H,bd), 1.41(3H,d). [α]D 25+103°(c 0.035,CHCl3 −MeO
H,1:1容量比)
【0064】実施例4 14−O−(2−モノメトキシポリオキシエチレンオキ
シ−アセチル)−7−O−(2,6−ジデオキシ−2−
フルオロ−α−L−タロピラノシル)アドリアマイシノ
【0065】ポリオキシエチレンモノメチルエーテル
(#550) 5.5gを脱水乾燥した後、N,N−ジメチ
ルホルムアミド80ml、60%水素化ナトリウム45
0mgを加えて数分間撹拌した。ここへブロモ酢酸1.67
g、60%水素化ナトリウム480mgを加えて3時間
撹拌した。酢酸を加え中和したあと濃縮し、ついでシリ
カゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:クロロホ
ルム−メタノール,10:1容量比)で精製して次式 で示されるメトキシPOE酸化合物(以下、化合物
(5)という)を670mg得た。
【0066】アルゴンガス気流下、M1−Br130m
gにN,N−ジメチルホルムアミド3ml、化合物
(5)140mg、トリエチルアミン35μlを加えて
室温で2時間撹拌した。イソプロピルエーテルを加えて
沈殿させ、沈殿物をろ取した後、シリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(溶出溶媒:クロロホルム−メタノー
ル,20:1容量比)で精製して標題化合物(nの平均
値:12)を70mg得た。
【0067】1H−NMRスペクトル(重クロロホル
ム) δppm :14.03(1H,s),14.02(1H,s), 8.03(1H,d),
7.80(1H,t), 7.41(1H,d), 5.63(1H,bd),5.38(1H,d),
5.34(1H,bs), 5.16(1H,d), 4.56(1H,bd), 4.33(2H,s),
4.09(3H,s), 3.38(3H,s), 1.41(3H,d). [α]D 25+178°(c 0.008,CHCl3 −MeO
H,1:1容量比)
【0068】実施例5 14−O−(2−モノメトキシポリオキシエチレンオキ
シ−プロピオニル)−7−O−(2,6−ジデオキシ−
2−フルオロ−α−L−タロピラノシル)アドリアマイ
シノン
【0069】ポリオキシエチレンモノメチルエーテル
(#550) 5.5gを脱水乾燥後、アルゴンガス気流下
ジオキサン100ml、水素化ナトリウム1gを加えて
15分間撹拌した。ここへ2−ブロモプロピオン酸90
0μlを加えて70℃で3時間、ついで50℃で1晩撹
拌した。反応液にメタノール4mlを加えた後濃縮し
た。濃縮液にシリカゲル5gを加え、ハイフロでろ過し
たのち濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー
(溶出溶媒:クロロホルム−メタノール、5:1 容量比)
で精製して次式 で示されるメトキシPOE酸化合物(以下、化合物
(6)という)を1.4g得た。
【0070】化合物(6)219mgを常法によりナト
リウム塩としたあと、アルゴンガス気流下、N,N−ジ
メチルホルムアミドド3mlに溶解したM1−Br20
0mgに加えて、室温で2時間半撹拌した。イソプロピ
ルエーテルを加えて沈殿させ、沈殿物をろ取した後シリ
カゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:クロロホ
ルム−メタノール,50:1容量比)で生成して標題化
合物(nの平均値:12)を240mg得た。
【0071】1H−NMRスペクトル(重クロロホル
ム) δppm :14.03(1H,s),13.19(1H,s), 8.03(1H,d),
7.80(1H,t), 7.42(1H,d), 5.64(1H,bd),5.41(1/2H,d),
5.35(1H,bs), 5.33(1/2H,d), 5.22(1/2H,d), 5.14(1/2
H,d),4.60(1H,bd), 4.23(1H,m), 4.10(3H,s), 3.39(3H,
s), 1.55(3/2H,d),1.54(3/2H,d), 1.433(3/2H,d), 1.42
9(3/2H,d). [α]D 25+139°(c 0.018,CHCl3 −MeO
H,1:1容量比)
【0072】実施例6 14−O−(3−モノメトキシポリオキシエチレンカル
バモイル−プロピオニル)−7−O−(2,6−ジデオ
キシ−2−フルオロ−α−L−タロピラノシル)アドリ
アマイシノン
【0073】ポリオキシエチレンモノメチルエーテル
(#1900)(平均重合度:43)9.5gを脱水乾燥
した後、1,2−ジクロルエタン200ml、塩化p−
トルエンスルホニル 1.9g、トリエチルアミン 2.1ml
を加え、室温で4時間半攪拌した。さらに塩化p−トル
エンスルホニル 1.9gを加えて室温で2晩反応した。そ
の後、反応液を濃縮した。その濃縮液に酢酸エチル50
0ml、飽和硫酸ナトリウム水溶液500mlを加えて
抽出操作を行い、酢酸エチル層を得た。この操作を2回
繰り返したあと、酢酸エチル層を濃縮してポリオキシエ
チレンモノメチルエーテル(#1900)のトシル化体
を 2.5g得た。
【0074】このポリオキシエチレンモノメチルエーテ
ル(#1900)のトシル化体 2.5gにN,N−ジメチ
ルホルムアミド30ml、アジ化ナトリウム119mg
を加えて室温で1晩撹拌した。酢酸エチルを加えて、沈
澱物をろ過した後、ろ液のN,N-ジメチルホルムアミドを
留去してポリオキシエチレンモノメチルエーテル(#1
900)のアジド化体を2.03g得た。
【0075】ポリオキシエチレンモノメチルエーテル
(#1900)のアジド化体2.02gにエタノール25m
l、無水コハク酸165mgを加えてリンドラー触媒で
3時間水素還元した。シリカゲルカラムクロマトグラフ
ィー(溶出溶媒:クロロホルム−メタノール,20:1
容量比)で精製して次式 で示されるメトキシPOE酸化合物(nの平均値:43)
(化合物(8)という)を510mg得た。
【0076】化合物(8)を常法によりナトリウム塩と
した後、アルゴンガス気流下N,N−ジメチルホルムア
ミド2mlに溶解したM1−Br70mgに加え、室温
で2時間15分撹拌した。イソプロピルエーテルを加え
て沈澱させ沈殿物をろ取した。これをシリカゲルカラム
クロマトグラフィー(溶出溶媒:クロロホルム−メタノ
ール,50:1容量比)で精製して標題化合物(nの平
均値:43)を100mg得た。
【0077】1H−NMRスペクトル(重クロロホルム
−重メタノール,8:1) δppm :14.02(1H,s), 13.
21(1H,s), 8.02(1H,d), 7.79(1H,t), 7.40(1H,d),5.61
(1H,bd), 5.31(1H,bs), 5.29(1H,bd), 5.12(1H,bd), 4.
56(1H,bd),4.08(3H,bs), 3.37(3H,s), 2.81(2H,bt), 2.
58(2H,bt). [α]D 25+65°(c 0.03,CHCl3 −MeO
H,1:1容量比)
【0078】実施例7 14−O−(3−[2−{2−(2−メトキシエトキ
シ)エトキシ}エチルカルバモイル]−プロピオニル)
−7−O−(2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α−
L−タロピラノシル)アドリアマイシノン
【0079】式:H3 COCH2 CH2 −(OCH2
2 2 −OHで示されるトリエチレングリコールモノ
メチルエーテル 4.1gを脱水乾燥した後、1,2−ジク
ロルエタン100ml、塩化p−トルエンスルホニル
9.5g、トリエチルアミン10.3mlを加えて室温で3時
間半撹拌した。反応液を濃縮した後N,N−ジメチルホ
ルムアミド100ml、アジ化ナトリウム 8.1gを加え
て、室温で3日間撹拌した。酢酸エチルを加えてろ過し
て、ろ液を濃縮した。これをシリカゲルカラムクロマト
グラフィー(溶出溶媒:クロロホルム−酢酸エチル,5
0:1容量比)で精製してトリエチレングリコールモノ
メチルエーテルのアジド化体800mgを得た。
【0080】トリエチレングリコールモノメチルエーテ
ルのアジド化体800mgをトシル酸 1.5モル等量存在
下エタノール中リンドラー触媒で2時間水素還元した。
得られたトリエチレングリコールモノメチルエーテルの
アミノ体650mgにアセトニトリル6ml、無水コハ
ク酸205mg、トリエチルアミン565μlを加えて
室温で1晩撹拌した。反応液を濃縮した後、レジンHP
−20を用いたカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:
メタノール)で生成し、さらにシリカゲルカラムクロマ
トグラフィー(溶出溶媒:クロロホルム−メタノー
ル,10:1容量比;トルエン−メタノール,2:1
容量比)で精製して次式 で示されるメトキシTOE酸化合物(以下、化合物
(9)という)を273mg得た。
【0081】化合物(9)を常法によりナトリウム塩と
したあと、アルゴンガス気流下N,N-ジメチルホルムアミ
ド3mlに溶解したM1−Br200mgに加え、室温
で2時間撹拌した。イソプロピルエーテルを加えて沈殿
させたあと、ろ取した沈澱物をシリカゲルカラムクロマ
トグラフィー(溶出溶媒:クロロホルム−メタノール,
50:1容量比)で精製し標題化合物を244mg得
た。
【0082】1H−NMRスペクトル(重クロロホル
ム) δppm :14.02(1H,s),13.22(1H,s), 8.03(1H,d),
7.80(1H,t), 7.41(1H,d), 5.61(1H,bd),5.30(1H,bs),
5.297(1H,d), 5.14(1H,d), 4.57(1H,bd), 4.17(1H,bq),
4.09(3H,s), 3.39(3H,s), 3.28(1H,bd), 3.01(1H,bd),
2.82(2H,t),2.58(2H,t), 1.39(3H,d). [α]D 25+134°(c 0.016,CHCl3 −MeO
H,1:1容量比)
【0083】実施例8 14−O−(3−[2−{2−(2−ヒドロキシエトキ
シ)エトキシ}エチルカルバモイル]−プロピオニル)
−7−O−(2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α−
L−タロピラノシル)アドリアマイシノン
【0084】式:Cl−CH2 CH2 O−CH2 CH2
O−CH2 CH2 OHで示される2−[2−(2−クロ
ロエトキシ)エトキシ]エタノール 8.4gを脱水乾燥し
た後、N,N−ジメチルホルムアミド50ml、アジ化
ナトリウム 6.5gを加えて、アルゴンガス気流下3日間
撹拌した。N,N−ジメチルホルムアミドを減圧留去し
て、トリエチレングリコールのモノアジド体を得た。こ
のうち1gをエタノール中、無水コハク酸 0.684gと共
に、リンドラー触媒で2時間水素還元した。さらにシリ
カゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:クロロホ
ルム−メタノール,10:1容量比)で精製して次式 で示されるTOE酸化合物(以下、化合物(10)とい
う)を210mg得た。
【0085】M1−Br 1gをN,N−ジメチルホル
ムアミド10mlに溶解し、TOE酸誘導体(10)4
78mgを加え、トリエチルアミン270μlを加えて
アルゴンガス気流下、室温で 5.2時間撹拌した。イソプ
ロピルエーテルを加えて沈殿させ、ろ取したあとシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:クロロホル
ム−メタノール,15:1容量比)で精製して標題化合
物を910mg得た。
【0086】1H−NMRスペクトル(重クロロホルム
−重メタノール,8:1) δppm :14.02(1H,s), 13.
25(1H,s), 8.04(1H,d), 7.80(1H,t), 7.42(1H,d),5.61
(1H,bd), 5.31(1H,bs), 5.30(1H,d), 5.16(1H,d), 4.58
(1H,d),4.09(3H,s), 3.29(1H,dd), 3.09(2H,dt), 3.02
(1H,bd), 2.84(2H,t),2.58(2H,t), 2.49(1H,bd), 2.17
(1H,dd), 1.40(3H,d). [α]D 25+191°(c 0.018,CHCl3 −MeO
H,1:1容量比)
【0087】実施例9 14−O−(3−[2−{2−(2−トリメチルアミノ
エトキシ)エトキシ}エチルカルバモイル]−カプロイ
ル)−7−O−(2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−
α−L−タロピラノシル)アドリアマイシノン・クロリ
【0088】2−[2−(2−クロロエトキシ)エトキ
シ]エタノール 8.7mlと30%トリメチルアミン水溶
液13.8gを封管に入れ、70℃で 4.5時間反応させた。
ついで揮発成分を留去した。得られたアンモニウム体
3.0gに塩化チオニル12mlを加え、2時間50℃に
加熱撹拌した。さらに揮発成分を留去して除いたあと、
N,N′−ジメチルホルムアミド20mlに溶解し、ア
ジ化ナトリウム 1.3gを加え、70℃で10時間撹拌し
た。クロロホルム30mlを加えたあと、濾過してろ液
を濃縮した。残渣を95%エタノール35mlに溶解し
たあと、リンドラー触媒 3.0gを加え、室温で一晩水素
還元した。反応液を常法に従って処理したあと、レジン
HP−20(溶出溶媒:H2 O)で精製して次式 で示されるTOEアミン化合物(11)を2.45g得た。
【0089】7−O−(2,6−ジデオキシ−2−フル
オロ−α−L−タロピラノシル)アドリアマイシノン
14−O−ヘミピメレイト1.41g[特開昭63−141
992号明細書の実施例5(b)の化合物;略号FAD
104化合物]、N−ヒドロキシコハク酸イミド240
mg、およびN、N′−ジシクロヘキシルカルボジイミ
ド440mgをN,N−ジメチルホルムアミド20ml
に溶解し、室温で2時間撹拌したあと、上記のTOEア
ミン化合物(11)360mgを加え、室温で一晩撹拌
した。反応後、そのままシリカゲルカラムクロマトグラ
フィー(溶出溶媒:クロロホルム−メタノール−水,1
20:40:1、 10:10:3容積比)で精製して
標題化合物を650mg得た。
【0090】1H−NMRスペクトル(重メタノール)
δppm :5.47(1H,bd), 5.32(1H,d),5.112(1H,d), 5.11
(1H,bs), 4.52(1H,bd), 4.34(1H,m),4.02(1H,s),3.10(1
H,bd), 2.96(1H,bd), 1.35(3H,d). [α]D 25+218°(c 0.02,MeOH)
【0091】実施例10 14−O−(6−モノメトキシポリオキシエチレンカル
バモイル−カプロイル)7−O−(2,6−ジデオキシ
−2−フルオロ−α−L−タロピラノシル)アドリアマ
イシノン
【0092】7−O−(2,6−ジデオキシ−2−フル
オロ−α−L−タロピラノシル)アドリアマイシノン
14−O−ヘミピメレイト350mg[特開昭63−1
41992号明細書の実施例5(b)の化合物]、参考
例1で得たPOEアミン化合物(1)300mg、およ
びN、N′−ジシクロヘキシルカルボジイミド540m
gをN,N−ジメチルホルムアミド3mlに溶解し、室
温で2晩撹拌した後、反応液を濾過した。ろ液のN,N
−ジメチルホルムアミドを留去し、残渣を小量のクロロ
ホルム−メタノール混液(2:1容量比)に溶解したあ
と、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:
クロロホルム−メタノール,40:1容量比、20:1
容量比、15:1容量比の3種)で精製して標題化合物
(nの平均値:12)を100mg得た。1 H−NMRスペクトル(重クロロホルム) δppm :1
4.03(1H,s),13.20(1H,bs), 8.03(1H,d), 7.79(1H,t),
7.41(1H,d), 5.63(1H,bd),5.33(1H,d), 5.29(1H,d), 5.
08(1H,d), 4.58(1H,bd), 4.09(3H,s),3.38(3H,s), 1.41
(3H,d). [α]D 25+105°(c 0.012,CHCl3 −MeO
H,1:1容量比)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宇田川 周子 神奈川県横浜市港北区師岡町760番地 明 治製菓株式会社薬品総合研究所内 (72)発明者 堀永 紀子 神奈川県横浜市港北区師岡町760番地 明 治製菓株式会社薬品総合研究所内 (72)発明者 宮沢 健夫 東京都中央区京橋2丁目4番16号 明治製 菓株式会社内 (72)発明者 大内 辰郎 大阪府箕面市粟生間谷東6−12−13 (72)発明者 土屋 修 神奈川県横浜市緑区荏田東三丁目1番17− 201号 (72)発明者 高木 泰 神奈川県横浜市旭区東希望が丘98番地5

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の一般式(I) 〔式中、nは1〜100の整数を表し、R1 は水酸基、
    低級アルコキシ基、アミノ基、モノ−低級アルキルアミ
    ノ基、ジ−低級アルキルアミノ基、カウンター陰イオン
    をもつトリ−低級アルキルアンモニウム基、またはカル
    ボキシ−低級アルコキシ基を表し、R2 は下記一般式
    (II)、(II′)、(III) または(III′) で表されるスペーサーの基を意味し、ただしmは1〜8
    の整数である〕で表されるアンスラサイクリン系水溶性
    誘導体、またはそれの製剤学的に許容し得る塩。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の一般式(I)で示される
    アンスラサイクリン系水溶性誘導体またはその製剤学的
    に許容できる塩を有効成分として含有してなる、制癌
    剤。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の一般式(I)で示される
    アンスラサイクリン系水溶性誘導体またはその製剤学的
    に許容できる塩の2種あるいはそれ以上の混合物を有効
    成分として含有することを特徴とする、制癌剤組成物。
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