JPH0781606A - 電動式パワーステアリング装置 - Google Patents

電動式パワーステアリング装置

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JPH0781606A
JPH0781606A JP22912593A JP22912593A JPH0781606A JP H0781606 A JPH0781606 A JP H0781606A JP 22912593 A JP22912593 A JP 22912593A JP 22912593 A JP22912593 A JP 22912593A JP H0781606 A JPH0781606 A JP H0781606A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電動式パワーステアリング装置において、安
価かつ簡単な構成で操舵フィーリングを向上し、また、
急激な外乱変動が発生しても過大電流が流れないように
する。 【構成】 モータ6に印加する操作量とモータ6から得
られるモータ電流との差に基づいて推定される外乱推定
値に補償要素を乗じた値がフィードフォーワード量演算
部38に与えられる。フィードフォーワード演算部38
は入力値に、車速Vsによって決定された車速演算定数
を乗算し、その結果を目標値応答部26にフィードフォ
ーワードする。フィードフォーワード量演算部38の出
力が目標値応答部26の加算部28に与えられ、電流目
標値に加算される。外乱推定値が大きくなると、フィー
ドフォーワード量が小さくなり、モータの回転速度が大
きいときは制御力が働く。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両に用いて好適な電
動式パワーステアリング装置に係わり、詳しくはモータ
の回転出力によって操舵力を補助するパワーステアリン
グ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、車両のパワーステアリング装置と
して油圧式に代えてモータを用いた電動式のものが使用
されており、モータはアクチュエータとして小型、軽量
等の利点から今後とも増加傾向にある。従来のパワース
テアリング装置では、トルクセンサによって操舵系の操
舵トルクを検出するとともに、車速センサによって車速
を検出し、これらの検出結果に基づいて操舵系に連結さ
れたモータの駆動力を制御し、パワーアシストを行って
いる。そして、一般的には車速感応型であり、低車速で
は軽く、高車速では重くなるようにトルクセンサ入力に
応じてアシスト力を制御している。そして、一般的には
速度感応型であり、低車速では軽く、高車速では重くな
るようにトルクセンサ入力に応じてアシスト力を制御し
ている。
【0003】ところで、従来のパワーステアリング装置
にあっては、モータ制御の方法として、ソフトウェアに
よるフィードバック電流制御方式を採用しているが、こ
の制御方法ではフィードバック演算をモータの電気的時
定数に対応する速度で行なう必要があるので、低電圧用
の直流モータなどの電気的時定数が小さいモータの制御
では制御系の高速化を図らなければならない。このた
め、高速のプロセッサを利用する必要があるので、コン
トローラが高価になるという問題点があった。この問題
点を解消するために本出願人は、電流制御部における制
御について、目標値応答部と外乱補償部とからなる構成
の外乱をフィードフォーワードする制御装置を案出し
た。
【0004】また、従来のパワーステアリング装置にあ
っては、アシスト用モータのトルクをギヤで減速してラ
ック軸等に伝達するように構成しているので、アシスト
用のモータの慣性モーメントがあたかも大きくなったよ
うに作用し、また、ギヤのフリクションが影響して高車
速時の収斂性が悪化したり、低車速時のハンドル戻り特
性が悪化するという問題点があった。この問題点を解消
するために本出願人は、舵角速度に応じた粘性指令値
(高車速時:粘性付加、低車速時:粘性を打ち消す)を
加える装置を案出した(例えば特開平3−178868
号公報参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本出願
人によって改良された従来の電動式パワーステアリング
装置にあっては、次のような問題点があった。すなわ
ち、外乱値をフィードフォワード制御する制御方式にあ
っては、電流性部を安価にすることができる反面、高車
速時の収斂性や低車速時のハンドル戻り特性が良好では
ない。また、この制御方式にあっては、通常の操舵時に
は十分な応答特性が得られるが、ハンドルをロックエン
ドに当てたときや、タイヤが縁石にぶつかったときな
ど、急激な外乱変動が生じたときに十分な外乱補償が行
えず、このようなときにはモータに過大な電流が流れ
る。一方、舵角速度に応じた粘性指令値を加える制御方
式にあっては、高車速時の収斂性や低車速時のハンドル
戻り特性を改善できるが、操舵速度センサ等を使用する
ので高価になり、また、制御系が複雑になる。
【0006】そこで本発明は、安価かつ簡単な構成で操
舵フィーリングが良く、また急激な外乱変動が発生して
も過大電流が流れることがない電動式パワーステアリン
グ装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の発明による電動式パワーステアリン
グ装置は、操舵系に連結され、操舵補助トルクを発生す
るモータと、車速を検出する車速検出手段と、与えられ
た電流目標値に応じてモータ制御のための操作量を決定
する目標値応答手段と、前記目標値応答手段から与えら
れる操作量に応じて前記モータを駆動するモータ駆動手
段と、前記モータに印加する操作量と前記モータから得
られるモータ電流との差に基づいて外乱を推定する外乱
推定手段とを備えた電動式パワーステアリング装置にお
いて、前記車速検出手段の出力値に応じて前記外乱推定
手段の出力値を変化させ、その結果を前記電流目標値に
フィードフォーワード制御するフィードフォーワード手
段を有することを特徴とする。
【0008】また、請求項2記載の発明による電動式パ
ワーステアリング装置は、前記外乱推定値の変化量を検
出する外乱変化量検出手段を有し、この外乱変化量検出
手段の出力値に応じて前記外乱推定手段の出力値を変化
させ、その結果を前記電流目標値にフィードフォーワー
ド制御することを特徴とする。
【0009】また、請求項3記載の発明による電動式パ
ワーステアリング装置は、操舵系に連結され、操舵補助
トルクを発生するモータと、車速を検出する車速検出手
段と、与えられた電流目標値に応じてモータ制御のため
の操作量を決定する目標値応答手段と、前記目標値応答
手段から与えられる操作量に応じて前記モータを駆動す
るモータ駆動手段と、前記モータに印加する操作量と前
記モータから得られるモータ電流との差に基づいて外乱
を推定する外乱推定手段と、前記外乱推定手段の出力値
を前記電流目標値にフィードフォーワード制御するフィ
ードフォーワード手段とを備えた電動式パワーステアリ
ング装置において、前記外乱推定値から前記モータの速
度を推定するモータ速度推定手段と、前記モータ速度推
定手段の出力値に応じて前記電流目標値を変化させる電
流目標値可変手段とを設けたことを特徴とする。
【0010】また、請求項4記載の発明による電動式パ
ワーステアリング装置は、前記モータ速度推定手段の出
力値を前記車速検出手段の出力値に応じて変化させるモ
ータ速度推定値可変手段を有することを特徴とする。
【0011】また、請求項5記載の発明による電動式パ
ワーステアリング装置は、操舵系に連結され、操舵補助
トルクを発生するモータと、車速を検出する車速検出手
段と、与えられた電流目標値に応じてモータ制御のため
の操作量を決定する目標値応答手段と、前記目標値応答
手段から与えられる操作量に応じて前記モータを駆動す
るモータ駆動手段と、前記モータに印加する電圧操作量
と前記モータから得られるモータ電流との差に基づいて
外乱を推定する外乱推定手段とを備えた電動式パワース
テアリング装置において、前記外乱推定手段の出力値を
前記電流目標値にフィードフォーワード制御するローパ
スフィルタを有し、前記ローパスフィルタは、前記車速
検出手段の出力値に応じてカットオフ周波数が変化する
ことを特徴とする。
【0012】
【作用】請求項1記載の発明では、検出された車速に応
じて外乱推定値の電流目標値へのフィードフォーワード
量が変化する。したがって、高車速時には制動力が働く
ので、しっかりとした手ごたえで安定感のある操舵特性
になり、また収斂性が向上する。低車速時はハンドル復
帰時に十分な復帰方向の電流が流れるので、戻り特性が
向上する。
【0013】また、請求項2記載の発明では、外乱推定
値の変化量が検出され、この外乱の変化量に応じて外乱
推定値の電流目標値へのフィードフォーワード量が変化
する。したがって、ハンドルをロックエンドに当てたと
きや、タイヤが縁石にぶつかったときなどに急激な外乱
変動が発生しても、モータに過大電流が発生することが
ない。
【0014】また、請求項3記載の発明では、外乱推定
値からモータの速度が推定され、この推定したモータ速
度に応じて電流目標値が変化する。したがって、外乱推
定値から推定したモータ速度推定値に基づいてモータの
慣性、粘性、動摩擦等を制御するので、操舵特性(収斂
性、戻り特性、手ごたえ感)が向上する。
【0015】また、請求項4記載の発明では、検出した
車速に応じて推定したモータ速度が変化する。したがっ
て、高車速時ではしっかりとした手ごたえで安定感のあ
る操舵特性になり、また、収斂性が向上する。低車速時
ではハンドル復帰時に十分な復帰方向の電流が流れるの
で、戻り特性が向上する。
【0016】また、請求項5記載の発明では、外乱推定
値がローパスフィルタを通して電流目標値へフィードフ
ォーワード制御されると共に、検出した車速に応じてロ
ーパスフィルタのカットオフ周波数を変化させ、フィー
ドフォーワード量が変化する。したがって、高車速時は
しっかりとした手ごたえで安定感度のある操舵特性にな
り、また、収斂性が向上する。、
【0017】
【実施例】以下、本発明を図面に基づいて説明する。 実施例1.図1は本発明に係る電動パワーステアリング
装置の実施例1が適用されるステアリング機械系の一例
を示す構成図である。この図において、操舵ハンドル1
の回転力はハンドル軸を介してピニオンギアを含むステ
アリングギア2に伝達されるとともに、上記ピニオンギ
アによりラック軸3に伝達され、さらにナックルアーム
等を経て車輪4が転向される。また、コントロール装置
5により制御駆動される操舵アシスト(補助)モータ
(DCモータ)6の回転力がピニオンギアを含むステア
リングギア7とラック軸3との噛み合いによりラック軸
3に伝達され、ハンドル1による操舵を補助することに
なる。ハンドル1とモータ6の回転軸はギア2、7およ
びラック軸3により機械的に連結されている。
【0018】操舵トルクセンサ21により操舵トルクが
検出され、車速センサ22により車速が検出される。そ
して、これらの検出トルク、車速等に基づきコントロー
ル装置5によってモータ6が制御される。コントロール
装置5およびモータ6には車両に搭載されたバッテリ8
から、その動作電力が供給される。コントロール装置5
は電流検出器、モータ6を駆動する駆動回路、モータ6
の全体的な制御を統括するコンピュータ(CPU、例え
ばマイクロプロセッサ)、メモリ、コンピュータと上記
入出力機器とのインタフェース回路等から構成されてい
る。
【0019】図3は、上記コントロール装置5に内蔵さ
れたコンピュータの各種機能をブロック的に、他の入出
力機器、各種回路を示すブロック図とともに描いたもの
である。この図において、アシスト指令部10にはトル
クセンサ(操舵トルク検出手段)21の検出トルクVt
と車速センサ(車速検出手段)22の検出車速Vsとが
与えられる。アシスト指令部10内のアシストトルク指
示関数部13は検出トルクVtに応じてモータ6によっ
て発生すべきアシストトルクを示す指令値を出力する。
また、乗算定数関数部14は検出車速Vsに応じて定数
を発生し、この定数が乗算演算部15において上記アシ
ストトルク指令値に乗じられる。この結果、乗算演算部
15から出力されるアシストトルク値は図2に示すよう
に検出トルクVtと検出車速Vsによって定められた値
となる。
【0020】図2は、操舵トルクVtに応じて一定範囲
の操舵トルクVtに対してはこれに略比例するモータ電
流が流れ(アシストトルクが発生し)、上記範囲を超え
ると、ある一定のモータ電流が流れるように、また車速
Vsに応じて、車速Vsが速いときにはモータ電流を少
なくし、車速Vsが遅いときにはモータ電流を多くする
ように、モータ6を制御するためのアシスト指令が発生
することを表わしている。
【0021】一方、検出トルクVtは位相補償部16に
も与えられる。この位相補償部16においては検出トル
クVtの微分値が計算され、微分乗算定数関数部17で
発生した車速Vsに応じた定数をその微分値に乗算した
信号を出力する。この出力が乗算演算部15の出力に加
算部18で加算されることにより、アシスト指令部10
の出力となって電流制御部25に供給される。電流制御
部25は、例えば4個のスイッチング素子を含むHブリ
ッジ駆動法にしたがうPWM(Pulse With Modulatio
n)パルスを用いたチョッパ動作によってモータ6を駆
動制御するものである。
【0022】電流制御部25は、目標値応答部26と外
乱補償部27とから構成されている。目標値応答部26
において、与えられる電流目標値(アシスト指令部10
に基づき生成される)と外乱補償部27から与えられる
外乱補償値とが加算部28で加算され、電流操作量とな
る。この電流操作量は印加電圧演算部29において電圧
操作量に変換される。具体的には印加電圧演算部29
は、入力する電流操作量にモータ6の電機子抵抗Rを乗
ずることにより電圧操作量を算出する。電圧操作量の極
性が極性判別部30で判別されるとともに上記操作量に
基づいてデューティー演算部31においてPWMパルス
のデューティー比が決定される。これらの判別された極
性と決定されたデューティー比はモータ駆動部32に与
えられる。モータ駆動部32は、これらの値に基づいて
Hブリッジ型に配線された4個のスイッチング素子をオ
ン/オフ制御してモータ6を駆動する。
【0023】外乱補償部27は、電機子電流検出部3
3、減算部34、電流操作量検出部35、補償要素3
6、車速演算定数関数部37およびフィードフォーワー
ド量演算部38を含んでいる。この実施例では、外乱推
定は電流操作量と電流検出値との差に基づいて行われ
る。電流操作量検出部35と電機子電流検出部33のゲ
インは例えば共に「1」に設定される。電流操作量検出
部35を経て得られる電流操作量と電機子電流検出部3
3によって検出された電機子電流との差が補償要素36
に与えられる。補償要素365「1」またはフィルタ要
素で与えられる。電機子電流検出部33、減算部34お
よび電流操作量検出部35は外乱推定手段100を構成
する。
【0024】外乱推定値に補償要素を乗じた値がフィー
ドフォーワード量演算部38に与えられる。フィードフ
ォーワード演算部38は入力値に、車速Vsによって図
4に示すように決定された車速演算定数を乗算する。そ
して、その結果を外乱補償部27の出力として目標値応
答部26にフィードフォーワード制御する。フィードフ
ォーワード量演算部38は外乱推定値が大きくなると、
フィードフォーワード量を小さくする。図5にその特性
を示す。フィードフォーワード量演算部38の出力は目
標値応答部26の加算部28に与えられ、電流目標値に
加算される。外乱推定値が大きくなると、フィードフォ
ーワード量が小さくなり、モータの回転速度が大きいと
きは制御力が働く。このように、この実施例では車速セ
ンサ22の出力値Vsに応じて外乱推定値のフィードフ
ォーワード量を変化させる。したがって、高車速時には
制動力が働くので、しっかりとした手ごたえで安定感の
ある操舵特性になり、また収斂性が向上する。また、低
車速時はハンドル復帰時に十分な復帰方向の電流が流れ
るので、戻り特性が向上する。
【0025】実施例2.次に、図6は本発明に係る電動
パワーステアリング装置の実施例2のコントロール装置
5に内蔵されたコンピュータの各種機能をブロック的
に、他の入出力機器、各種回路を示すブロック図ととも
に描いたものである。なお、この図において、前述した
図3と共通する部分には同一の符号を付してその説明を
省略する。この実施例は、外乱補償部27に、外乱の変
化量を検出し、この変化量に応じた値を出力する外乱変
化量検出部39と、この外乱変化量検出部39から出力
される外乱変化量に応じた値を外乱推定値の補償要素3
6を通過した値に加算し、その結果を外乱補償部27の
出力として目標値応答部26にフィードフォ−ワード制
御するフィードフォーワード量演算部38とを設けたも
のである。
【0026】外乱の変化量の検出は例えば微分値を算出
することで行う。具体的には前回の制御周期での外乱と
今回算出した外乱との差を求めることにより算出するこ
とができる。また、別の方法として、外乱変化量がある
閾値以上の時のみ外乱変化量に応じた値を外乱推定値の
補償要素を通過したあとの値に加算してもよい。このよ
うに、この実施例では外乱推定値の変化量に応じてフィ
ードフォーワード量を変化させる。したがって、ハンド
ル1をロックエンドに当てたときや、タイヤが縁石にぶ
つかったときなどに急激な外乱変動が発生しても、モー
タ6に過大電流が発生することがない。また、これによ
り過大電流をチェックすることによる電気回路の故障の
検出が容易に行えるので、システムの信頼性が向上す
る。また、不必要な過大電流の発生を防止でき、発熱を
減少させることができるので、モータおよび制御装置の
寿命が延び、また燃費も向上する。
【0027】実施例3.次に、図7は本発明に係る電動
パワーステアリング装置の実施例3のコントロール装置
5に内蔵されたコンピュータの各種機能をブロック的
に、他の入出力機器、各種回路を示すブロック図ととも
に描いたものである。なお、この図において、前述した
図3と共通する部分には同一の符号を付してその説明を
省略する。この実施例は、外乱推定値からモータ速度を
推定するモータ速度推定部40と、推定したモータ速度
に基づいて摩擦補償を行う摩擦補償部41と、推定した
モータ速度に基づいて粘性補償を行う粘性補償部42
と、推定したモータ速度を微分してモータ加速度を算出
するモータ加速度算出部43と、モータ加速度に基づい
てモータ6のロータ慣性補償を行う慣性補償部44と、
慣性補償部44の出力と粘性補償部42の出力との差を
とる減算部45と、減算部45の出力と摩擦補償部41
の出力とを加算する加算部46と、電流目標値(アシス
ト指令部10に基づき生成される)に加算部46の出力
を加算する加算部47とを設けたものである。
【0028】モータ速度の推定は外乱推定値をハイパス
フィルタに通すことで行う。この場合、電源電圧変動や
モータパラメータ変動などの外乱は変動がゆっくりして
いるため、ハイパスフィルタを用いることで外乱推定値
の中に含まれた各種の外乱の中からモータ速度に関する
情報が取り出せる。このように、この実施例ではモータ
速度推定値に応じて電流目標値を変化させる。したがっ
て、外乱推定値から推定したモータ速度推定値に基づい
てモータ6の慣性、粘性、動摩擦等を制御するので、操
舵特性(収斂性、戻り特性、手ごたえ感)が向上する。
また、電流目標値と実電流とが一致するように制御する
構成であることから、設計や調整がしやすく、また、両
方の値を比較することで装置の異常を検出しやすい。
【0029】実施例4.次に、図8は本発明に係る電動
パワーステアリング装置の実施例4のコントロール装置
5に内蔵されたコンピュータの各種機能をブロック的
に、他の入出力機器、各種回路を示すブロック図ととも
に描いたものである。なお、この図において、前述した
図3と共通する部分には同一の符号を付してその説明を
省略する。この実施例は、モータ速度推定部40と、車
速Vsによって図9に示すように決定された車速演算定
数を出力する車速演算定数関数部37と、モータ速度推
定値に車速演算定数を乗算する乗算演算部48とを設け
たものである。モータ速度推値に車速演算定数を乗算し
た結果は、加算部47によってアシスト指令部10の出
力に加算され、電流目標値として電流制御部25に供給
される。
【0030】このように、この実施例ではモータ速度推
定値と検出した車速Vsに応じて電流目標値を変化させ
る。したがって、高車速時ではしっかりとした手ごたえ
で安定感のある操舵特性になり、また、収斂性が向上す
る。低車速時ではハンドル復帰時に十分な復帰方向の電
流が流れるので、戻り特性が向上する。
【0031】実施例5.次に、図10は本発明に係る電
動パワーステアリング装置の実施例5のコントロール装
置5に内蔵されたコンピュータの各種機能をブロック的
に、他の入出力機器、各種回路を示すブロック図ととも
に描いたものである。なお、この図において、前述した
図3と共通する部分には同一の符号を付してその説明を
省略する。この実施例は、この図に示すように、外乱推
定値を補償要素36を通して電流目標値にフィードフォ
ーワード制御する。ここでの補償要素36はカットオフ
周波数を可変にできるローパスフィルタになっており、
このカットオフ周波数を車速Vsによって図11に示す
ように決定された車速演算定数に示す比率で変化させ
る。具体的にはローパスフィルタの演算周期を車速が上
がるに伴い長くする。その他の方法としては、ローパス
フィルタの演算定数を変更することでカットオフ周波数
を変更させてもよい。
【0032】このように、この実施例では、外乱推定値
をローパスフィルタを通して電流目標値へフィードフォ
ーワード制御すると共に、検出した車速に応じてローパ
スフィルタのカットオフ周波数を変化させ、フィードフ
ォーワード量を変化させる。したがって、高車速時には
モータの逆起電圧の発生によりモータに制御力を発生さ
せ、収斂性を向上することができる。
【0033】なお、上記各実施例では、パワーステアリ
ング装置に適用した場合であったが、その他、例えばエ
ンジンコントロール制御、定走行制御、シフト制御、サ
スペンション制御、4WD(4輪駆動)制御、4WS
(4輪操舵)制御、足回り制御に適用できる。
【0034】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、外乱推定
値をフィードフォーワードする量を車速検出手段の出力
値により変化させるようにしたので、簡単な構成で、高
車速時はしっかりと手ごたえで安定感のある操舵特性が
得られるとともに収斂性の向上が得られる。また、低車
速時にはハンドル復帰時に十分な復帰方向の電流を流す
ことができることから、戻り特性が向上する。
【0035】請求項2記載の発明によれば、外乱推定値
の変化量を検出し、その変化量に応じてフィードフォー
ワード量を変化させるようにしたので、ハンドルをロッ
クエンドに当てたときやタイヤが縁石に衝突したときな
どに急激な外乱変動が発生してもモータに過大電流が流
れることがない。
【0036】請求項3記載の発明によれば、外乱推定値
からモータの速度を推定し、その推定値に応じて電流目
標値を変化させるようにしたので、外乱推定値から抽出
したモータ速度推定値によってモータの慣性・粘性・動
摩擦などを制御できることから、安価に操舵特性(収斂
性、戻り特性および手ごたえ感)を向上させることがで
きる。
【0037】請求項4記載の発明によれば、車速検出手
段の出力値に基づいてモータ速度推定値を変化させるこ
とにより、電流目標値を変化させるようにしたので、請
求項3記載の発明による効果に加えて、高車速時はしっ
かりとした手ごたえで安定感のある操舵特性が得られる
とともに、収斂性が向上する。また、低車速時にはハン
ドル復帰時に十分な復帰方向の電流が流れることから、
戻り特性が向上する。
【0038】請求項5記載の発明によれば、外乱推定値
をローパスフィルタを通して電流目標値にフィードフォ
ーワード制御し、さらに該ローパスフィルタのカットオ
フ周波数を車速検出手段の出力値により変化させるよう
にしたので、高車速時はしっかりと手ごたえで安定感の
ある操舵特性が得られるとともに、収斂性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電動式パワーステアリング装置の
実施例1が適用されるステアリング機械系の一例を示す
構成図である。
【図2】同実施例のアシストトルクの特性を示す図であ
る。
【図3】同実施例のコントロール装置に内蔵されたCP
Uの各種機能を示すブロック図である。
【図4】同実施例のモータ速度推定値に対する車速演算
定数を示す特性図である。
【図5】同実施例の外乱推定値に対するフィードフォー
ワード量演算部出力を示す特性図である。
【図6】本発明に係る電動式パワーステアリング装置の
実施例2のコントロール装置に内蔵されたCPUの各種
機能を示すブロック図である。
【図7】本発明に係る電動式パワーステアリング装置の
実施例3のコントロール装置に内蔵されたCPUの各種
機能を示すブロック図である。
【図8】本発明に係る電動式パワーステアリング装置の
実施例4のコントロール装置に内蔵されたCPUの各種
機能を示すブロック図である。
【図9】同実施例の電動式パワーステアリング装置にお
けるモータ速度推定値に対する車速演算定数を示す特性
図である。
【図10】本発明に係る電動式パワーステアリング装置
の実施例5のコントロール装置に内蔵されたCPUの各
種機能を示すブロック図である。
【図11】同実施例のモータ速度推定値に対する車速演
算定数を示す特性図である。
【符号の説明】
22 車速センサ(車速検出手段) 36 補償要素(ローパスフィルタ) 38 フィードフォーワード量演算部(フィードフォー
ワード手段) 39 外乱変化量検出部(外乱変化量検出手段) 40 モータ速度推定部(モータ速度推定手段) 47 加算部(電流目標値可変手段) 48 乗算演算部(モータ速度推定値可変手段) 100 外乱推定手段

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 操舵系に連結され、操舵補助トルクを発
    生するモータと、 車速を検出する車速検出手段と、 与えられた電流目標値に応じてモータ制御のための操作
    量を決定する目標値応答手段と、 前記目標値応答手段から与えられる操作量に応じて前記
    モータを駆動するモータ駆動手段と、 前記モータに印加する操作量と前記モータから得られる
    モータ電流との差に基づいて外乱を推定する外乱推定手
    段と、を備えた電動式パワーステアリング装置におい
    て、 前記車速検出手段の出力値に応じて前記外乱推定手段の
    出力値を変化させ、その結果を前記電流目標値にフィー
    ドフォーワード制御するフィードフォーワード手段を設
    けたことを特徴とする電動式パワーステアリング装置。
  2. 【請求項2】 前記外乱推定値の変化量を検出する外乱
    変化量検出手段を設け、 前記フィードフォーワード手段は、前記外乱変化量検出
    手段の出力値に応じて前記外乱推定手段の出力値を変化
    させ、その結果を前記電流目標値にフィードフォーワー
    ド制御することを特徴とする請求項1記載の電動式パワ
    ーステアリング装置。
  3. 【請求項3】 操舵系に連結され、操舵補助トルクを発
    生するモータと、 車速を検出する車速検出手段と、 与えられた電流目標値に応じてモータ制御のための操作
    量を決定する目標値応答手段と、 前記目標値応答手段から与えられる操作量に応じて前記
    モータを駆動するモータ駆動手段と、 前記モータに印加する操作量と前記モータから得られる
    モータ電流との差に基づいて外乱を推定する外乱推定手
    段と、 前記外乱推定手段の出力値を前記電流目標値にフィード
    フォーワード制御するフィードフォーワード手段と、を
    備えた電動式パワーステアリング装置において、 前記外乱推定値から前記モータの速度を推定するモータ
    速度推定手段と、 前記モータ速度推定手段の出力値に応じて前記電流目標
    値を変化させる電流目標値可変手段と、を設けたことを
    特徴とする電動式パワーステアリング装置。
  4. 【請求項4】 前記モータ速度推定手段の出力値を前記
    車速検出手段の出力値に応じて変化させるモータ速度推
    定値可変手段を設けたことを特徴とする請求項3記載の
    電動式パワーステアリング装置。
  5. 【請求項5】 操舵系に連結され、操舵補助トルクを発
    生するモータと、 車速を検出する車速検出手段と、 与えられた電流目標値に応じてモータ制御のための操作
    量を決定する目標値応答手段と、 前記目標値応答手段から与えられる操作量に応じて前記
    モータを駆動するモータ駆動手段と、 前記モータに印加する電圧操作量と前記モータから得ら
    れるモータ電流との差に基づいて外乱を推定する外乱推
    定手段と、を備えた電動式パワーステアリング装置にお
    いて、 前記外乱推定手段の出力値を前記電流目標値にフィード
    フォーワード制御するローパスフィルタを設け、 前記ローパスフィルタは、前記車速検出手段の出力値に
    応じてカットオフ周波数が変化することを特徴とする電
    動式パワーステアリング装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003081111A (ja) * 2001-09-17 2003-03-19 Nissan Motor Co Ltd 車両用操舵制御装置
WO2004106143A1 (ja) * 2003-05-30 2004-12-09 Nsk Ltd. 電動パワーステアリング装置の制御装置
KR100906278B1 (ko) * 2007-02-28 2009-07-06 미쓰비시덴키 가부시키가이샤 차량용 조타 장치

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