JPH078132A - アワビ等の無剥離による栽培方法 - Google Patents

アワビ等の無剥離による栽培方法

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JPH078132A
JPH078132A JP5212063A JP21206393A JPH078132A JP H078132 A JPH078132 A JP H078132A JP 5212063 A JP5212063 A JP 5212063A JP 21206393 A JP21206393 A JP 21206393A JP H078132 A JPH078132 A JP H078132A
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Shuichi Iwasa
秀一 岩佐
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    • Y02A40/81Aquaculture, e.g. of fish

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】アワビ等の栽培初期における餌料硅藻の追加補
給と、アワビ等を人為的に剥離することなく栽培が可能
な方法とを開発する。 【構成】この発明は、栽培初期の人工採苗時には、アワ
ビ1等の付着器2相互の縁辺部を隣接させて多段状と
し、栽培中期及び後期の中間育成時及び養殖時には当該
付着器2相互の縁辺部を接続させてラムダ(ギリシャ文
字のΛ)状または三角柱状に組み立て、さらにこの組み
立てた当該付着器2の縁辺部を相互に隣接させて多重状
としてアワビ等を栽培することを特徴とする。また、栽
培初期の人工採苗時から屈曲自在の折曲げ部を有するア
ワビ等の付着器2を使用し、栽培初期の人工採苗時には
折り畳んで多重状とし、栽培中期及び後期の中間育成時
及び養殖時には当該付着器2を開いてラムダ状または三
角柱状にして上記のとおりアワビ1等を栽培することを
特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、アワビのほか、トコ
ブシ、サザエ、ウニ等の物体に付着して棲息し、その発
生初期に付着硅藻を主な餌料とする水棲動物の栽培方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】アワビ、トコブシ、サザエ、ウニ等の物
体に付着して棲息し、その発生初期に付着硅藻を主な餌
料とする水棲動物の栽培技術は、非常に類似しているの
で、以下の技術的な説明は、アワビを例にして行う。
【0003】アワビの人工採苗は、海水中で親アワビに
産卵・放精の誘発を行って、これを授精させ、授精卵が
浮遊幼生から付着幼生に成長する頃に餌料となる硅藻を
培養させた付着器を海水中に垂下して、これにアワビの
幼生を付着させている。餌料硅藻は、海水中に垂下した
アワビの付着器に光を当てることにより自然に培養され
るが、アワビの成長に伴ってアワビの摂餌量が餌料硅藻
の培養量を上回るようになり餌料不足となる。また、一
般的に行われているアワビの栽培初期の人工採苗方法で
は、餌料となる硅藻を追加する手段がないので、餌料硅
藻が不足してきた頃、未だ幼弱なアワビを付着器から人
為的に剥離し、別の付着器に移植してワカメ、アラメ等
の餌料海藻を与えて中間育成を行っている。したがっ
て、アワビは餌料不足によって活力が低下し、歩留まり
も低下する。ここまでの作業は、通常、多大な設備投資
と維持管理経費を要する陸上水槽で行われている。一般
的ではないが、設備投資と維持管理経費が少なくて済
む、海面利用の人工採苗が一部で行われているが、この
場合でも、餌料硅藻が不足しはじめた時点で一旦アワビ
を人為的に剥離し、この時期にはアワビが幼弱なため管
理が容易な陸上水槽に移し、別の付着器に移植してアワ
ビを中間育成し、アワビがワカメ、アラメ等の餌料海藻
が容易に摂餌できるに大きさにまで成長した時点でアワ
ビを人為的に剥離し、別の付着器に移植して中間育成籠
に収容し、再び海面を利用して中間育成を行っている。
さらに、アワビを商品サイズまで養殖する場合は、アワ
ビを人為的に剥離し、大きくなるアワビに適した形状の
付着器に移植している。このように、アワビ栽培の従来
の技術は、付着器からのアワビの剥離作業がつきもので
あり、また多大な設備投資と維持管理経費を要する陸上
水槽を必要としている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
(ア)アワビの剥離作業は、多大な時間と労力を要する
うえ、剥離時のアワビ付着面の損傷によるへい死、活力
低下等この剥離作業がアワビに及ぼす悪影響は大きく、
これがアワビの栽培を行う上での大きな障害となってい
る。麻酔を使用してアワビを剥離する場合でも、剥離に
は手間を要する。剥離作業の省略による省力化は、アワ
ビの栽培を行っている全国各地の漁業協同組合、栽培漁
業センター等の機関にとって、ぜひ解決したい切実な問
題である。 (イ)栽培初期の餌料不足は、アワビの活力低下と、そ
の後の成長の阻害要因となっており、決して好ましいこ
とではない。さらに、栽培初期に餌料硅藻を追加する手
段がないことが、人工採苗から中間育成、さらに養殖ま
で海面の一貫利用ができない最大の原因となっている。 (ウ)アワビの人工採苗の栽培初期に餌料となる硅藻の
追加供給が行え、かつ、アワビを剥離することなく、ア
ワビが付着したままで養殖までが一貫して行える方法が
開発できれば、経費負担の少ない海面でのアワビの一貫
栽培と、アワビの剥離作業の省略による省力化と、剥離
作業によるアワビへの悪影響の防止ができる。 したがって、この発明は、アワビ等の、栽培初期におけ
る餌料硅藻の追加補給と、アワビ等を人為的に剥離する
ことなく栽培が可能な方法とを開発することにより、栽
培初期の餌料不足を防止してアワビ等の活力向上を図る
とともに、人工採苗から中間育成及び養殖まで一貫して
海面利用による栽培を可能とし、もってアワビ等の健苗
栽培による歩留まりの向上、栽培技術の省力化、及び栽
培経費の節減に寄与しようとするものである。
【0005】
【課題点を解決するための手段】栽培初期の人工採苗時
には、アワビ等の付着器相互の縁辺部を隣接させて多段
状とし、栽培中期及び後期の中間育成時及び養殖時には
当該付着器相互の縁辺部を接続させてラムダ(ギリシャ
文字のΛ)状または三角柱状に組み立て、さらにこの組
み立てた当該付着器の縁辺部を相互に隣接させて多重状
としてアワビ等を栽培することを特徴とする。さらに、
栽培初期の人工採苗時から屈曲自在の折曲げ部を有する
付着器を使用し、栽培初期の人工採苗時には折り畳んで
多重状とし、栽培中期及び後期の中間育成時及び養殖時
には当該付着器を開いてラムダ状または三角柱状にして
上記のとおりアワビ等を栽培することを特徴とする。以
上の構成からなるアワビ等の栽培方法である。
【0006】
【作用】この発明の作用について、図1により、アワビ
(1)の無剥離による栽培方法の手順を順次説明する。
アワビの栽培初期の人工採苗時には、図1Λのとおり、
付着器(2)の縁辺部を隣接させて多段状に重ね海水中
に垂下しておけば、この付着器(2)にアワビの餌料と
なる硅藻が付着する。この海水中にアワビの受精卵また
は浮遊幼生を投入しておけば、やがて図1Λのとおり、
この付着器にアワビ(1)の幼生がほぼ万遍なく付着し
て、硅藻を摂餌するようになる。この作業とは別に、図
1Bのとおり、予め別の付着器(2)を海水中に垂下し
て硅藻を培養しておく。図1Aの状態でしばらくアワビ
(1)を栽培しておけば、極端にアワビの付着密度が低
い場合を除き、アワビ(1)の成長に伴って摂餌量が餌
料硅藻の培養量を上回るようになるので、この餌料硅藻
が不足する前に、図1Bの付着器(2)と、アワビが付
着している図1Aの付着器(2)とを交互に組み合わ
せ、図1C及び図1Dのように再び付着器(2)の縁辺
部を隣接させて栽培を継続すれば、アワビ(1)は、図
1E及び図1Fのように新たに組み込まれた硅藻が多量
に付着している方の付着器(2)に自らが移動して硅藻
を摂餌するようになる。また、アワビ(1)の移動によ
りアワビ付着密度が低下した当初からの付着器(2)に
も硅藻の培養が進行することとなる。なおも、アワビ
(1)の成長に伴って餌料硅藻が不足する場合には、図
1C及び図1Dと同様の付着器(2)の組み替え作業を
適宜繰り返す。このことにより、アワビを人為的に剥離
することなく、成長に合わせたアワビ付着面積の拡大に
よる付着密度の調整と、アワビの剥離作業の省略による
アワビの損傷防止が図られる。また、栽培初期の人工採
苗時に餌料硅藻の追加補給が可能となるので、ワカメ、
アラメ等の海藻が容易に摂餌できる大きさにまでアワビ
を栽培することができるため、健苗栽培による歩留まり
の向上が図られる。
【0007】アワビの栽培中期及び栽培後期の中間育成
時及び養殖時には、アワビが付着したままの付着器
(2)相互の縁辺部を接続させて、図1Gのとおり、ラ
ムダ(ギリシャ文字のΛ)状の付着器(3)、または、
図1Hのとおり、三角柱状の付着器(4)に組み立て、
さらに図1I及び図1Jのとおり、これらの縁辺部を相
互に隣接させて多重状とする。このことにより、ワカ
メ、アラメ等の餌料海藻の投与が容易となるうえに、付
着器(2)の材質を不透明または半透明のものとすれ
ば、ラムダ状の付着器(3)及び三角柱状の付着器
(4)には暗部ができて、アワビ(1)が好む棲息場所
が確保される。さらに、アワビの成長に伴って、アワビ
付着密度が高くなりすぎた場合には、図1K及び図1L
のとおりアワビ(1)が付着している当該付着器と、別
に用意したラムダ状の付着器(3)、または三角柱状の
付着器(4)とを、それぞれに交互に隣接させて同様の
栽培を継続すれば、アワビ(1)が自ら移動拡散するの
で、人為的にアワビ(1)を剥離することなく、付着面
積の拡大による付着密度の調整が図られる。さらに、ア
ワビ(1)の成長に伴って付着密度が高くなりすぎた場
合には、図1K及び図1Lと同様の組み替え作業の繰り
返しにより、アワビ(1)の付着密度の調整が行える。
なお、付着器(2)、ラムダ状の付着器(3)及び三角
柱状の付着器(4)相互の縁辺部の隣接方法は、必ずし
も密着して隣接させる必要はなく、アワビの移動が可能
な幅と状態で隣接させれば十分にことたりる。
【0008】また、アワビ栽培初期の人工採苗時から、
図1Gのラムダ状の付着器(3)の接続部を屈曲自在と
して折り畳んで多重状とし、または、図1Hの三角柱状
の付着器(4)の接続部を屈曲自在としてエヌ(ローマ
字のN)状として折り畳んで多重状とし、これらの縁辺
部を多段状に重ねて図1Aと同様に海水中に垂下してお
けば、その外側面に硅藻が付着し、これにともなってア
ワビも外側面に付着する。中間育成時及び養殖時には、
折り畳んでいた当該ラムダ状の付着器(3)を開いて図
1Gと同様のラムダ状とし、または折り畳んでいた当該
三角柱状の付着器(4)を開いて図1Hと同様の三角柱
状にすれば、外側面に付着しているアワビが内側面にも
移動してくるので、付着面積の拡大による密度の調整が
図られるとともに、暗部ができてアワビが好む棲息場所
が確保され、さらに、付着器を組み立てる手間が省略で
きる等の、より一層の効果がある。
【0009】アワビ以外の、トコブシ、サザエ、ウニ等
の物体に付着して棲息し、その発生初期に付着硅藻を主
な餌料とする水棲動物の従来の栽培技術は、このアワビ
の栽培技術に非常に類似しているので、この発明は、こ
れら水棲動物の栽培技術に利用できる。
【0010】
【実施例】栽培初期の実施例は、次のとおり。 (ア)アワビの栽培初期の人工採苗時には、図2のとお
り、付着器(2)をホルダー(5)に収納し、ゴムまた
は紐(6)によって固定し、多段状に隣接して装着して
海水中に垂下し、餌料となる硅藻の付着培養を待つ。な
お、付着器(2)には、栽培後期の作業の利便を図るた
めに、当初から接続用の孔(7)を縁辺部に、海水交換
とアワビの移動用の孔(8)を中央部に、それぞれ開け
ておく。多段状に隣接させる方法としては、図2のとお
りの波板を使用すれば、付着器(2)の縁辺部の山の一
つを重ねあわせることにより、しっかりと当該付着器が
隣接できて便利である。この、接続用の孔(7)を省略
して粘着テープで接続する方法もある。また、付着器
(2)は、図2のような波板状のもののほか、平板状の
ものを使用してもよい。さらに、付着器(2)の表面
に、おうとつ(凹凸)を設ければ、栽培初期の幼弱なア
ワビの付着が容易になる。特に海面利用による人工採苗
時には、幼弱なアワビが風波の影響により脱落すること
が防止できて、より一層のアワビの歩留まり向上が図ら
れる。 (イ)人工採苗を海面で行う場合には、図3のとおり、
生簀(9)の内側に、水密性の袋(10)を張り込んで
おく。さらに、付着器(2)を収納したホルダー(5)
を、ホルダー収納枠(11)に収納して海中に垂下する
方法をとれば、その後の付着器の組み替え作業、餌料硅
藻増殖のための反転作業に便利である。なお、図3のと
おり、ホルダー収納枠(11)の底面と側面に網(1
2)を張ってホルダー収納枠(11)を函状にしておけ
ば、ホルダー(5)の固定、アワビ(1)の落下防止、
及び海藻の投与に便利である。 (ウ)次に、付着器(2)に、硅藻を適度に付着培養し
た時点でアワビ(1)の受精卵または浮遊幼生を、上記
(イ)の海水中に投入すれば、一週間前後でアワビ
(1)が付着器(2)に付着し、やがて餌料硅藻を摂餌
するようになる。なお、海面利用の場合には、アワビ
(1)が付着器(2)に付着したことを確認のうえ、図
3の生簀(9)の内側に張り込んだ水密性の袋(10)
を適当に切り裂くか、または水密性の袋(10)に予め
設けている窓を開けるかの方法で、海水の交換を図る。 (エ)アワビ(1)の成長に伴って餌料となる硅藻が不
足する前に、図4のとおり別途に海水中に垂下して餌料
硅藻を培養しておいた付着器(2)と、アワビが付着し
ている付着器(2)とを交互に隣接して組み合わせ、同
様の栽培を継続する。このことにより、アワビは、新た
に組み込まれた硅藻が多量に付着している付着器に自ら
移動して硅藻を摂餌するようになるとともに付着密度が
低下した当初からの付着器にも硅藻の培養が行われ、ア
ワビを剥離することなく餌料硅藻の補給が行える。 (オ)さらに、餌料硅藻が不足する場合には、上記
(エ)の付着器(2)の組み替え作業を繰り返す。 (カ)アワビの付着密度が高く、大きく成長して硅藻の
摂餌量が多くなり、硅藻の培養が間に合わないときの手
段として、ホルダー収納枠(11)内に塩蔵ワカメ等
の、やわらかくて摂餌しやすい餌料海藻を投与して、餌
料硅藻の補助をすることもある。前述のとおり、ホルダ
ー収納枠(11)を網(12)で囲って函状としておけ
ば、餌料海藻が逸散するのを防止できる。
【0011】栽培中期及び栽培後期の実施例は、次のと
おり。 (ア)アワビの中間育成及び養殖を行う栽培中期及び後
期には、アワビ(1)が付着したままの付着器(2)の
縁辺部の接続用の孔(7)を、紐(13)で相互に結び
付けて接続させ、図5のラムダ状の付着器(3)、また
は図6の三角柱状の付着器(4)を組み立てる。 (イ)これを図7及び図8のとおり、付着器収納枠(1
4)に縁辺部を相互に隣接させて多重状として収納し、
蓋(15)をかぶせてゴムまたは紐(6)で固定する。 (ウ)これを、図9のとおり、網状の容器(16)に収
納して吊り紐(17)で海水中に垂下し、餌料となるワ
カメ、アラメ等の海藻を投与して中間育成及び養殖を行
う。なお、網状の容器(16)の代わりに、海面に張り
込んだ生簀(9)を用いる方法もある。陸上水槽で中間
育成及び養殖を行う場合には、網状の容器(16)及び
生簀(9)の使用を省略できる。 (エ)さらに、アワビ(1)の成長により付着密度が高
くなりすぎた場合には、アワビ(1)が付着している当
該付着器と、別に用意したラムダ状の付着器(3)とを
図7のとおり交互に隣接させ、または、当該付着器と三
角柱状の付着器(4)とを図8のとおり交互に隣接させ
て栽培を継続すれば、アワビ(1)が自然に移動拡散
し、アワビを剥離することなく付着密度の調整が図られ
る。 (オ)なおも、アワビの成長にともなって付着密度が高
くなりすぎた場合には、上記(エ)の作業を繰り返す。
【0012】栽培初期の人工採苗時から、屈曲自在の折
り曲げ部を有するアワビ等の付着器を使用する場合、そ
の折り曲げ方は、複数の付着器を紐(11)状のもので
接続させてその接続部を折り曲げる方法、複数の付着器
を粘着テープで接続させてその接続部を折り曲げる方
法、単板のしなやかな材質の付着器にミゾ等を付けて折
り曲げ部を設けて折り曲げる方法がある。
【0013】アワビの栽培は、人工採苗、中間育成、及
び養殖が、それぞれ独立に実施されることや、人工採苗
と中間育成、及び中間育成と養殖が組み合わせて実施さ
れることがある。この発明は、これらの時期を分割した
栽培方法にも対応できる。
【0014】ラムダ状とした付着器(3)、または三角
柱状とした付着器(4)を、図10のとおり、多重状と
したうえに、さらに多段状とする方法もある。この方法
を用いてアワビを栽培すれば、ワカメ、アラメ等の餌料
海藻を投与した場合、これら餌料海藻が底に沈み、これ
に伴ってアワビの大多数が底部の付着器に移動して付着
する。したがって、アワビの付着密度が低い場合に、こ
の方法を利用して、底部のアワビが多数付着した付着器
を集め、さらに同様の栽培方法を繰り返せば、アワビの
付着密度を高めることができ、効率のよいアワビの栽培
が行える。
【0015】アワビの付着密度が極端に低い場合、ラム
ダ状とした付着器(3)、または三角柱状とした付着器
(4)を多重状として、図11のとおり垂直にしてアワ
ビを栽培すれば、上記と同様に餌料海藻が最底部に沈
み、これに伴ってアワビの大多数が最底部の付着器に移
動して付着する。この方法の場合、いきなり垂直に立て
るのではなく、アワビの移動を観察しながら徐々に傾け
て行けば、アワビを無理なく移動させられる。
【0016】なお、アワビも意志を持った生命体であ
り、例外的な動きをするものもある。この場合には、や
むなく例外的な措置として、これら小数のアワビ(1)
を剥離して移植させることもある。
【0017】
【発明の効果】
(ア)この発明により、人工採苗、中間育成及び養殖ま
でのアワビの栽培が一貫して海面で実施可能となり、設
備投資と維持管理に多大な経費がかかる陸上水槽を必ず
しも必要としなくなる。したがって、零細な沿岸漁業者
にも手軽にアワビ等の栽培が実施できるようになり、漁
家所得の向上に寄与できる。 (イ)この発明により、アワビの栽培初期において、餌
料硅藻の追加補給が可能となり、ワカメ、アラメ等の餌
料海藻が容易に摂餌できる大きさにまで、餌料硅藻でア
ワビを栽培することができるようになる。したがって、
アワビの健苗栽培による歩留まりの向上に寄与できる。 (ウ)従来の技術では、アワビの剥離作業に多大な時間
と労力を要していたが、この発明によって剥離作業が省
略できてアワビ栽培の省力化に寄与できる。 (エ)アワビの付着面を剥離作業によって傷つけること
がなくなり、さらに一層のアワビの歩留まり向上による
アワビの増産に寄与できる。 (オ)この発明を、従来から陸上水槽を使用して行って
きたアワビの栽培にも応用することができ、この応用に
より、アワビの栽培初期における餌料硅藻の追加補給、
剥離作業の省略による省力化とアワビ損傷の防止が図ら
れて、一層のアワビの歩留まり向上によるアワビの増産
に寄与できる。 (カ)この発明は、アワビに限らず、生態が類似するト
コブシ、サザエ、ウニ等の物体に付着して棲息し、その
発生初期に付着硅藻を主な餌料とする水棲動物の栽培に
も利用できる。したがって、これら水棲動物の栽培技術
の向上にも寄与できる。
【0018】
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の作用を示した説明図である。
【図2】この発明の実施例を示した説明図である。
【図3】この発明の実施例を示した説明図である。
【図4】この発明の実施例を示した説明図である。
【図5】この発明の実施例を示した説明図である。
【図6】この発明の実施例を示した説明図である。
【図7】この発明の実施例を示した説明図である。
【図8】この発明の実施例を示した説明図である。
【図9】この発明の実施例を示した説明図である。
【図10】この発明の実施例を示した説明図である。
【図11】この発明の実施例を示した説明図である。
【符号の説明】
1 アワビ 2 付着器 3 ラムダ状の付着器 4 三角柱状の付着器 5 ホルダー 6 ゴムまたは紐 7 接続用の孔 8 海水交換とアワビの移動用の孔 9 生簀 10 水密性の袋 11 ホルダー収納枠 12 網 13 紐 14 付着器収納枠 15 蓋 16 網状の容器 17 吊り紐

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】栽培初期の人工採苗時には、アワビ等の付
    着器相互の縁辺部を隣接させて多段状とし、栽培中期及
    び後期の中間育成時及び養殖時には当該付着器相互の縁
    辺部を接続させてラムダ(ギリシャ文字のΛ)状または
    三角柱状に組み立て、さらにこの組み立てた当該付着器
    の縁辺部を相互に隣接させて多重状としてアワビ等を栽
    培することを特徴とするアワビ、トコブシ、サザエ、ウ
    ニ等の物体に付着して棲息する水棲動物の栽培方法。
  2. 【請求項2】栽培初期の人工採苗時から屈曲自在の折曲
    げ部を有するアワビ等の付着器を使用し、栽培初期の人
    工採苗時には折り畳んで多重状とし、栽培中期及び後期
    の中間育成時及び養殖時には当該付着器を開いてラムダ
    状または三角柱状にすることを特徴とする請求項1の栽
    培方法。
JP5212063A 1993-06-28 1993-06-28 アワビ等の無剥離による栽培方法 Pending JPH078132A (ja)

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