JPH0781150B2 - ガス化炉 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はガス化炉に係り、特に、石炭を酸素、空気など
のガス化剤を用いて高温下でガス化するに好適なガス化
炉に関する。

〔従来の技術〕 石炭ガス化炉は炉壁の底部にスラグ水砕室が連結され、
ガス化室とスラグ水砕室とがスラグ流下通路としてのス
ラグタップを介して連通し、ガス化室で生成された溶融
スラグがスラグタップを介してスラグ水砕室へ流下され
るように構成されている。

ところが、溶融スラグは温度の低いスラグタップの壁面
を伝わって流下するため、流下途中で固化しスラグタッ
プが閉塞する恐れがある。

そこで、実開昭61−120793号公報に記載されているよう
に、ガス化室底部とスラグ水砕室との間に燃焼室を設
け、この燃焼室に加熱バーナを配置し、スラグタップか
ら流下する溶融スラグを加熱バーナで加熱し、流下時に
溶融スラグがスラグタップの壁面で固化するのを防止す
ることが行われている。

〔発明が解決しようとする課題〕 しかし、従来の構成では、燃焼室を形成すると共に加熱
バーナを燃焼室に設置しなければならず、さらに加熱バ
ーナに用いる重油などの燃料が必要となり、装置が大型
化すると共にコストアップとなる。

また、加熱バーナから発生する燃焼ガスによりガス化室
内の石炭ガス化ガスが希釈されるという問題がある。

本発明の目的は、溶融スラグの熱エネルギーを利用し、
溶融スラグが固化することなく溶融スラグをガス化室か
らスラグ水砕室へ流下させることができるガス化炉を提
供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

前記目的を達成するために、本発明は、ガス化室を構成
する炉壁の底部にスラグ水砕室が連結され、前記炉壁底
部にガス化室内の溶融スラグをスラグ水砕室へ導くスラ
グ流下通路が形成されたガス化炉において、炉壁底部の
スラグ流下通路開口端部に炉壁底面より上方に突出した
凸部を形成し、この凸部の略中心部にスラグ流下通路と
連通する連通路を形成し、この連通路の頂部側に連通路
より小径のオリフィスを形成してなるガス化炉を構成し
たものである。

〔作用〕

ガス化炉を炉壁底部のスラグ流下通路開口端部に、炉壁
底面より上方に突出した凸部が形成されているため、こ
の凸部は炉壁底部に貯留した溶融スラグによって加熱さ
れる。そして溶融スラグの貯留量が一定量を越えると、
この溶融スラグがオリフィス、連通路を介してスラグ流
下通路からスラグ水砕室側へ流下する。このとき溶融ス
ラグはオリフィスを介して流下するので、スラグ流下通
路の内壁面に当たることなくスラグ水砕室側に流下す
る。このため溶融スラグは温度の低いスラグ流下通路壁
面と触れることなく流下し、固化するのが防止される。

〔実施例〕

以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。

第１図および第２図において、石炭ガス化炉10はケーシ
ング12、断熱材14、耐火材16により炉壁が形成されてお
り、炉壁中に４台の石炭バーナ18が設置されている。そ
して各炉壁によりガス化炉10の内部にガス化室20が形成
されている。ガス化炉10の底部にはスラグ水砕室22が連
結されており、ガス化室20とスラグ水砕室22とがスラグ
流下通路24を介して連通している。すなわちガス化炉10
の底部には溶融スラグ26をスラグ水砕室22へ導くスラグ
流下通路24が形成されている。スラグ流下通路24のガス
化室20側はスラグタップ28として形成されており、スラ
グタップ28開口端部には炉壁底面30より上方に突出した
環状の凸部32が堰として膨出形成されている。この凸部
32の中心部には連通路34が形成されており、連通路34の
頂部側には連通路34より小径のオリフィス36が形成され
ている。さらに凸部32の頂部側にはオリフィス36と連通
する複数の溝38が形成されている。すなわち凸部32は溶
融スラグ26を一定量ガス化炉10の底部側に貯留させると
共に凸部32の上部側まで貯留した溶融スラグ26を溝38、
オリフィス36、連通路34を介してスラグ流下通路24側へ
導くように構成されている。

スラグ水砕室22は冷却水入口ノズル40、冷却水出口ノズ
ル42、スラグ排出口44を備えており、冷却水入口ノズル
40より導入した冷却水46により溶融スラグ26を冷却して
水砕スラグ48としてスラグ排出口44から排出するように
構成されている。

以上の構成において、各石炭バーナ18からガス化室20内
に酸化剤と共に石炭が供給されると石炭の一部が酸化さ
れ、ガス化室20内が約1500〜1700℃に加熱される。そし
て残りの石炭がこの高温下でガス化される。一方、石炭
中の灰分は溶融状態の溶融スラグ26となってガス化炉10
底部側に貯留する。

ガス化炉10の底部に溶融スラグ26が貯留すると、凸部32
の周囲は溶融スラグ26からの伝熱により加熱されると共
に、1500〜1600℃の高温状態にあるガス化室20からの輻
射熱によって加熱される。これにより凸部32の周囲は溶
融スラグ26の融点（約1400℃）以上に保たれる。

このような状態において、溶融スラグ26の貯留量が一定
量を越えると、溶融スラグ26が溝38を伝わってオリフィ
ス36から連通路34内に流下する。このとき溶融スラグ26
は温度の低いスラグタップ28の壁面に触れることなくス
ラグ水砕室22内に流下する。このため溶融スラグ26が流
下する途中で固化するのが防止され、溶融スラグの固化
によってスラグ流下通路が閉塞されるのを防止すること
ができる。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明によれば、溶融スラグが液
状のままスラグ水砕室へ流下するため、溶融スラグが流
下する途中で固化するのが防止される。さらに加熱バー
ナなどの加熱手段を設けなくても溶融スラグの熱エネル
ギーを利用し溶融スラグを液状のままでスラグ水砕室へ
流下させることができるため、石炭ガス化ガスの希釈が
防止できると共に、装置の小型化およびコスト低減に寄
与することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す要部縦断面図、第２図
は第１図のII−II線に沿う断面図である。 10……ガス化炉、12……ケーシング、14……断熱材、16
……耐火材、18……石炭バーナ、20……ガス化室、22…
…スラグ水砕室、24……スラグ流下通路、26……溶融ス
ラグ、28……スラグタップ、32……凸部、34……連通
路、36……オリフィス、38……溝、44……スラグ排出
口。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ガス化室を構成する炉壁の底部にスラグ水
   砕室が連結され、前記炉壁底部にガス化室内の溶融スラ
   グをスラグ水砕室へ導くスラグ流下通路が形成されたガ
   ス化炉において、炉壁底部のスラグ流下通路開口端部に
   炉壁底面より上方に突出した凸部を形成し、この凸部の
   略中心部にスラグ流下通路と連通する連通路を形成し、
   この連通路の頂部側に連通路より小径のオリフィスを形
   成してなることを特徴とするガス化炉。