JPH0780922B2 - キチンスポンジ - Google Patents

キチンスポンジ

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JPH0780922B2
JPH0780922B2 JP62019496A JP1949687A JPH0780922B2 JP H0780922 B2 JPH0780922 B2 JP H0780922B2 JP 62019496 A JP62019496 A JP 62019496A JP 1949687 A JP1949687 A JP 1949687A JP H0780922 B2 JPH0780922 B2 JP H0780922B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は,キチンスポンジに関するものであり,さらに
詳しくは柔軟性が高く,とくに創傷被覆保護材や化粧用
具として好適に用いられるキチンスポンジに関するもの
である。
(従来の技術) キチンからなるスポンジとしては,例えば特開昭61-533
39号公報に湿潤強度の高い多孔性キチン成形体が記載さ
れている。このキチン成形体は,キチン溶液に水溶性高
分子物質を分散して凝固し,次いで水溶性高分子物質を
溶出除去する方法により得られている。
また,本発明者らは,上記の方法により得られたキチン
スポンジをアルカリ処理することにより,タンパク吸収
能力の高いキチンスポンジが得られることを見出し,先
に提案した(特願昭60-194087号)。
(発明が解決しようとする問題点) しかし,上記のごときキチンスポンジは,乾燥時の柔軟
性に乏しく,曲げると亀裂を生じ易いという欠点を有し
ていた。そのため,例えば,シート状スポンジを小さく
折り畳むとか,あるいはロール状に丸めて使用するよう
な場合には,前もってスポンジを湿潤しておく必要があ
った。
本発明の目的は,柔軟性を有するキチンスポンジを提供
することにある。また,本発明の他の目的は,気孔率が
高く,湿潤強度も高く,しかも柔軟性を有するキチンス
ポンジを提供することにある。
(問題点を解決するための手段) 本発明者らは,上記のごとき問題点のないキチンスポン
ジを提供すべく鋭意検討の結果,キチンスポンジに柔軟
化剤を付与することにより上記の目的が達成しうること
を見出し,本発明を完成した。
すなわち,本発明は,水不溶性のキチンからなり,少な
くとも80%の気孔率を有するキチンスポンジに,柔軟化
剤が付与されていることを特徴とするキチンスポンジを
要旨とするものである。
本発明における水不溶性のキチンとは,甲殻類,昆虫類
等の外骨格を酸及びアルカリによって処理してカルシウ
ムならびにタンパク質を除去することによって得られる
ポリ(N−アセチル−D−グリコサミン),あるいはそ
れらの誘導体のうち,水に溶解しないものをいう。かか
るキチンの誘導体としては,例えばキチンのアセチルア
ミノ基の一部が脱アセチルしたもの,エーテル化物,エ
ステル物,ヒドロキシエチル化物,O−エチル化物等があ
げられ,その具体例としてポリ〔N−アセチル−6−
(2−ヒドロキシエチル)−D−グルコサミン〕,ポリ
〔N−アセチル−6−O−(エチル)−D−グルコサミ
ン〕等があげられる。
本発明にいう気孔率とは,スポンジ容積に占める気孔容
積の割合(%)を意味し,乾燥スポンジの容積(Vcm3
と,重さ(Wg)と,キチンの比重(1.4g/cm3)とから次
式により算出される。
本発明のキチンスポンジは,上記により定義される気孔
率が少なくとも80%,好ましくは少なくとも85%,特に
好ましくは少なくとも90%のものである。
本発明のキチンスポンジを製造するには,例えば,キチ
ンを溶剤に溶解し,スポンジ状に成形したのち,柔軟化
剤を付与すればよい。
すなわち,まず,キチンを溶剤に溶解してキチンドープ
を得る。溶剤としては,例えば,トリクロロ酢酸とハロ
ゲン化炭化水素との混合物,塩化リチウムとN−メチル
ピロリドンとの混合物,塩化リチウムとジメチルアセト
アミドとの混合物,あるいは酢酸水溶液などのキチンの
公知の溶剤が使用できる。キチンドープ中の好ましくキ
チン濃度,使用するキチンの重合度により異なるが,0.0
5〜50w/w%,とくに0.1〜25w/w%,最適には0.3〜10w/w
%である。
ついで,得られたキチンドープに水溶性高分子物質を添
加し,分散させる。水溶性高分子物質としては,好まし
くは常温では水に不溶であるが,熱水には溶解する性質
をもつものが使用される。このような物質の具体例とし
ては,ポリビニルアルコール,ポリエチレングリコー
ル,ポリプロピレングリコール,寒天粉末,可溶性デン
プンなどがあげられるが,特にポリビニルアルコールが
好ましく用いられる。ポリビニルアルコールとしては60
℃以上の温水に溶解し,ケン化度が95モル%以上で,重
合度が50〜2000のものが好ましく用いられる。これらの
水溶性高分子物質をキチンドープに混合することにより
水溶性高分子物質が分散したキチンドープを得ることが
できる。水溶性高分子物質の好ましい混合割合は重量比
でキチンドープ/水溶性高分子物質が1/5〜10/1となる
範囲である。
以上のようにして得られた水溶性高分子物質が分散した
キチンドープを凝固液にて凝固した後,水溶性高分子物
質を溶出除去することによりキチンスポンジを得ること
ができる。
凝固液としては,水や,メタノール,エタノール,イソ
プロパノールなどのアルコール溶液や,アセトンなどの
ケトン溶液やあるいはこれらのアルカリ性溶液が好まし
く用いられる。その具体例としては,水酸化ナトリウ
ム,水酸化カリウムあるいはアンモニアを含んだ水又は
アルコール溶液があげられる。
凝固した成形体から水溶性高分子物質を溶出除去するに
は,水又は少量の塩類を含む水を用い,80〜120℃の温度
で一時間以上処理する方法が好ましく採用される。
このようにして得られたキチンスポンジに柔軟化剤を付
与することにより本発明のキチンスポンジを得ることが
できる。
本発明にいう柔軟化剤とは,キチンスポンジに柔軟性を
付与しうるものを意味し,本発明においては,それらの
うち,とくに水溶性であり,常温常圧で不揮発性であ
り,しかも常温で液状であるものが好ましく使用され
る。そのような柔軟化剤の具体例としては,エチレング
リコール,プロピレングリコール,グリセリン,ブチレ
ングリコール,ポリソルベート80などの多価アルコール
類,ジエチレングリコール,ポリエチレングリコール,
ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコ
ール類,ハチミツ,加水ラノリンなどがあげられるが,
とくに好ましく用いられるのはポリエチレングリコール
200,400,600あるいは1500である。
キチンスポンジに柔軟化剤を付与するには,例えば,柔
軟化剤を直接キチンスポンジに噴霧してもよいが,より
好ましくは柔軟化剤を含有する水溶液にキチンスポンジ
を浸漬したのち,乾燥すればよい。
使用する柔軟化剤の好ましい濃度は,0.01w/w%以上,さ
らには0.05〜20w/w%,最適には0.1〜10w/w%である。
浸漬する場合の浸漬時間は1分以上が好ましく,30分程
度で十分であり,浸漬温度は室温いよいが,殺菌処理を
施す場合には120℃で行えばよい。
キチンスポンジを乾燥する方法には,例えば,通風乾
燥,熱風乾燥,真空乾燥,凍結乾燥,マイクロ波乾燥な
どがあげられるが,気孔率の高いスポンジが得られる点
で凍結乾燥が望ましい。乾燥により水分のみが除去され
る結果,柔軟化剤を含むキチンスポンジが得られる。
柔軟化剤の付与量(Ag)は,キチンスポンジの保水時の
重量(W1g),乾燥時の重量(W2g)と,使用した柔軟化
剤水溶液の濃度(Cw/w%)とから次式によって算出する
ことができる。
A=(W1-W2)×C/100 本発明のキチンスポンジにおいて柔軟化剤の付与率,い
いかえればキチンスポンジ重量に占める柔軟化剤の重量
は,好ましくは0.005%以上,さらに好ましくは0.01〜1
0%,最適には0.05〜5%である。
(実施例) 以下に実施例をあげ,本発明をさらに具体的に説明す
る。
実施例1,比較例1 キチン粉末(新日本化学製)2gを,8w/w%の塩化リチウ
ムを含むジメチルアセトアミド98gに溶解して透明なキ
チンドープを得た。このキチンドープにポリビニルアル
コール〔ポバールUF−170GS,ユニチカケミカル(株)
製:重合度170,ケン化度95モル%以上〕60gを添加して
攪拌し,均一に分散させた。次いで,減圧下脱泡したの
ち,ガラス板上に2mmの厚み,10cm角の広さに流延し,水
中に浸漬して凝固させた。ガラス板から剥離したのち,2
lの水に浸漬し,水を交換しながら,120℃で30分間の処
理を3回行い,ポリビニルアルコールを溶出除去して多
孔性のシートを2枚得た。
得られたシートのうち,1枚はポリエチレングリコール40
0の2w/w%水溶液に室温で10分間浸漬したのち凍結乾燥
し(実施例1),残りの1枚は水を含んだ状態のまま凍
結乾燥した(比較例1)。
このようにして得られたシートのうち,実施例1のシー
トは,乾燥状態でもしっとりとした感触で,曲げても折
れなかったのに対し,比較例1のシートはカサカサした
感触で,剛直であり,曲げると折れてしまった。
なお,2枚のシートの気孔率はともに98%であり,湿潤強
度も優れており,また実施例1におけるポリエチレング
リコールの付与率は0.8%であった。
実施例2 キチン粉末(新日本化学製)3gを,8w/w%の塩化リチウ
ムを含むN−メチルピロリドン97gに溶解して透明なキ
チンドープを得た。このキチンドープに実施例1で用い
たのと同じポリビニルアルコール50gを添加して攪拌
し,均一に分散させた。次いで,減圧下脱泡したのち,
ガラス板上に1mmの厚み,10cm角の広さに流延し,その上
にガーゼを密着させたのち,水中に浸漬して凝固させ
た。ガラス板から剥離したのち,2lの水に浸漬し,水を
交換しながら,120℃で30分間の処理を3回行い,ポリビ
ニルアルコールを溶出除去して,片面にガーゼが密着し
ている多孔性のシートを得た。
得られたシートを,5w/w%のグリセリン水溶液に120℃で
15分間浸漬したのち,凍結乾燥して片面にガーゼの密着
したキチンスポンジを得た。
得られたキチンスポンジの気孔率は97%であり,湿潤強
度にも優れており,グリセリンの付与率は2%であっ
た。
このキチンスポンジは,乾燥状態でもしなやかで,しっ
とりとしており,そのうえガーゼで補強されているの
で,創傷部保護材として極めて有用なものであった。
実施例3,比較例2 キトサン粉末(新日本化学製)3gとポリビニルアルコー
ル30gに2w/w%酢酸水溶液97gを添加し,室温で攪拌し
た。得られた混合物をガラス板上に1mmの厚みに流延し,
4w/w%水酸化ナトリウム水溶液に室温で約12時間浸漬し
て凝固させた。ガラス板から剥離したのち水洗し,さら
に水中に浸漬して水を交換しながら,120℃で30分間の処
理を3回行い,ポリビニルアルコールを溶出除去して多
孔性のシートを2枚得た。
得られたシートのうち,1枚はポリエチレングリコール40
0の1w/w%水溶液に室温で10分間浸漬したのち凍結乾燥
し(実施例3),残り1枚は水を含んだ状態のまま凍結
乾燥した(比較例2)。
このようにして得られたシートのうち,実施例3のシー
トは,乾燥状態でもしっとりとした感触で,曲げても折
れず,吸水性も良好であったのに対し,比較例2のシー
トはカサカサした感触で,剛直であり,曲げると折れる
うえ,吸水速度は遅かった。
なお,2枚のシートの気孔率はともに97%であり,湿潤強
度も優れており,また実施例3におけるポリエチレング
リコールの付与率は0.3%であった。
参考例 実施例1で得られた本発明の柔軟なキチンスポンジと,
比較例1で得られたキチンスポンジを美容用スポンジと
して使用した。
すなわち,スポンジにパック剤を含浸させ,皮膚に密着
させたところ,皮膚への密着度,使用感等には殆ど差は
なかった。しかし,パック剤を含浸させる前の乾燥状態
では,実施例1のスポンジの方が美容用スポンジとして
好適に使用することができた。
(発明の効果) 本発明のキチンスポンジは,気孔率が高く,湿潤時にも
堅牢な性質を保ち,キチン自体がもつ優れた生体適合性
を備え,かつ,キチンの欠点である剛直性の改良され
た,しなやかで,しっとりとした感触のスポンジであ
る。したがって,本発明のキチンスポンジは,例えば創
傷カバー材,創傷部充填材などの医用材料として,ある
いは化粧用材料として好適に用いられる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水不溶性のキチンからなり,少なくとも80
    %の気孔率を有するキチンスポンジに,柔軟化剤が付与
    されていることを特徴とするキチンスポンジ。
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WO2010114097A1 (ja) * 2009-04-01 2010-10-07 オーミケンシ株式会社 スポンジの製造方法

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