JPH0780920B2 - 単クローン性抗cea抗体5 - Google Patents

単クローン性抗cea抗体5

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JPH0780920B2
JPH0780920B2 JP4155792A JP15579292A JPH0780920B2 JP H0780920 B2 JPH0780920 B2 JP H0780920B2 JP 4155792 A JP4155792 A JP 4155792A JP 15579292 A JP15579292 A JP 15579292A JP H0780920 B2 JPH0780920 B2 JP H0780920B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、癌胎児性抗原(以下C
EAという)の抗原決定基に対して特異性を有する単ク
ローン性抗体に関する。
【0002】
【従来の技術】CEAは周知の癌関連胎児性抗原であっ
て、分子量約20万±8万、糖と蛋白質との比約1:1
の、ある種の糖蛋白質である。癌抗原CEAがヒトの消
化器のアデノカルシノーマに存在することは、 Gold 及
び Freedman よって報告された〔 J. Exp. Med., 121,
439 (1965); ibid., 122, 467 (1965)〕。CEAはその
血中濃度をイムノアッセイによって測定し、これを癌組
織の存在及びその消長を示すマーカーとして臨床的に癌
の診断及び治療や各種の基礎医学研究に用いられてお
り、その有用性及び重要性は周知である。しかし、ある
種のCEA関連正常抗原が存在しており、これらはCE
Aと免疫学的交叉反応性を有しているので、CEAの癌
特異性が不明確になっている。
【0003】この種のCEA関連抗原の例は、非特異的
交叉反応抗原(以下NCAという)及び正常糞便抗原
(以下NFAという)である。NCAは分子量約8万±
3万、糖含量約40〜60%のある種の糖蛋白質で、例
えばヒトの肺や脾に存在している〔Proc. Natl. Acad.
Sci. USA., 69, 2492 (1972) 〕。次にNFAはさらに
NFA−1、NFA−2及び正常糞便交叉反応抗原(以
下NFCAという)に分類される。NFA−2は分子量
20万±5万、糖と蛋白質との比約1:1のある種の糖
蛋白質で、その抗原性及び理化学的性状はCEAと極め
て類似している。NFA−1及びNFCAはNFA−2
の分解産物であると思われる。NFA−1は分子量約2
〜3万、糖含量約13%の小分子抗原であり、NFCA
は分子量約8万±3万の1種の糖蛋白質である。他に、
ヒトの正常糞便中に糞便非特異的交叉反応抗原(以下f
−NCAという)という抗原が存在している。f−NC
Aの抗原性は前記のNCAと実質的に同一で、CEA、
NFCA及びNFA−2と交叉反応性を示す。従って、
ヒトの正常糞便中には、本発明の目的に関係のある4種
のCEA関連抗原が存在している。
【0004】癌マーカーとしてのCEAの有用性を改良
するために、CEA関連抗原とCEAとを正確に識別し
なければならない。このために、CEAの抗原決定基に
対して明確な特異性を有する抗CEA抗体の提供が従来
試みられている。しかし、公知の各種の多クローン性抗
体には、反応特異性が不明確であるという共通の欠点が
ある。すなわち、これらの多クローン性CEA抗体は、
各種の抗体混合物であって、CEA分子上の多くの抗原
決定基のほとんど全部と反応性を有している。この欠点
をなくするために、各種の単クローン性CEA抗体が重
要視されている。その理由は次のとおりである。
【0005】(1) 細胞融合という常法によって得ら
れる単クローン性CEA抗体は、唯一つの抗原決定基に
対してのみ特異性を有しているから、抗原との反応性が
均一であろう。 (2) 単クローンの増殖によって、所望の均一性をも
つ多量の抗体が得られるであろう。 (3) 多種類の単クローンを得ることができる。これ
らは全体として、公知の多クローン性抗CEA抗体と同
様に広範囲の特異性を持つであろう。 このようにして、単クローン性抗CEA抗体の製造が、
例えば次の文献にあるように試みられている。Accolla,
R. S. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 77, 56
3 (1980); Mitchell, K. F., Cancer Immunol, Immunot
her., 10, 1 (1980); Rogers, G.T.et al., Br. J. Can
cer, 43, 1 (1981); Kupchik, H. Z. et al., Cancer R
es ., 41, 3306 (1981)。
【0006】これら既報の単クローン性抗体の反応特異
性は、次のとおりに要約される。 (1) Accolla ら。 2つのハイブリドーマから得ら
れた抗体はNGP(NCAと同等であると思われる)と
微弱に反応し、CEAと強く反応した。これらの2つの
抗体とCEAとの反応には競合的阻害が見られなかっ
た。各抗体はCEA分子上の別の抗原決定基と反応する
ようである。 (2) Mitchell。 1つの抗CEA抗体が得られた。
これはCEAと反応したがNCAと反応しなかった。C
EAとの反応を多クローン性ヤギ抗CEA抗体で阻止で
きなかった。 (3) Rogersら。 1つの単クローン性抗CEA抗体
が得られた。これは腫瘍組織からのCEA標品と弱く反
応したが、患者の血清中のCEAと強く反応した。 (4) Kupchik 。 9個のクローンのうちの1個の単
クローン性抗CEA抗体検討された。その反応特異性と
多クローン性ヤギ抗CEA抗体と比較したところ単クロ
ーン性抗CEA抗体は、多クローン性抗CEA抗体と反
応するCEA分子のうちの1部のCEAとのみ反応し
た。 これらの公知の単クローン性抗CEA抗体の反応の特異
性についてのより詳しい検索はなされていない。
【0007】この間に我々は、ある種のCEA関連抗原
すなわち前記のNFA−1、NFA−2及びNFCAが
ヒトの正常糞便に存在することを見出し、これらの分離
に成功した〔特開昭56−46819号、Cancer Res.,
41, 713-720 (1981) 〕。さらにこれらのCEA関連正
常抗原を用いてCEA分子の抗原構造を調べた結果、C
EA分子上の多くの抗原決定基を、例えば次のとおりに
分類し得ることを提案した。
【0008】(1) 個体特異的抗原決定基 免疫抗原として用いた個々のCEA標品にのみ見出され
る特異的な抗原決定基で、他の個体から得られたCEA
標品には見出されないもの。 (2) CEA特異決定基 癌組織から得られたCEA標品に共通して見出される抗
原決定基であるが、NFAやNCAなどCEA関連正常
抗原には見出されない。最も癌特異性の高い抗原決定基
である。 (3) NFA−1共通決定基 CEA、NFA−2及びNFA−1の3者に共通して見
出される抗原決定基で、CEA分子上の主要抗原決定基
の1つである。 (4) NFCA共通決定基 CEA、NFA−2及びNFCAの3者に共通して見出
される抗原決定基で、これもCEA分子上の主要抗原決
定基の1つである。 (5) NCA共通決定基 CEA、NFA−2、NFCA及びNCAの4者に共通
して見出される抗原決定基で、CEA及び関連抗原に最
も広く共通して認められる抗原決定基である。 本発明は、我々がヒトの正常糞便から分離した上記のC
EA関連抗原を用いることによって、単クローン性抗C
EA抗体産生能を有する単クローンを、抗原との反応性
の観点において選別し得るという知見に基いている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、癌胎児性抗
原に対して特異的な単クローン性抗体を提供することを
目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、次の方法で得
られる特異的な単クローン性抗体を提供する。本発明に
より、第1哺乳動物を最初の個体の癌胎児性抗原(以
下、第1癌胎児性抗原という)で免疫することによっ
て、前記抗原に対する抗体産生能を有する細胞を産生さ
せ、生じた細胞をこの哺乳動物から採取し、採取された
細胞を第2哺乳動物由来のミエローマの株化細胞と融合
させ、こうして得られた融合細胞をクローニングに付
し、得られた単クローン性ハイブリドーマを培養し、得
られた培養液から所望の単クローン性抗体を回収し、そ
の際(イ)前記第1癌胎児性抗原を第1マーカー抗原と
して用い、前記単クローン性ハイブリドーマを前記第1
マーカー抗原と反応する抗体の産生能を基準として選別
し、(ロ)前記回収工程において、免疫した最初の個体
以外の個体の癌胎児性抗原(以下、第2癌胎児性抗原と
いう)、正常糞便抗原1、正常糞便抗原2および非特異
的交叉反応抗原からなる群から選ばれた2種以上の抗原
を選別用マーカー抗原として用いて、前記単クローン性
ハイブリドーマを選別用マーカー抗原との反応性を基準
として選別し、かつその際(ハ)正常糞便抗原2を第2
マーカー抗原として用いて単クローン性ハイブリドーマ
を選別し、正常糞便抗原2と反応する抗体(抗体B)産
生能をもつ単クローン性抗体を分離し、次に正常糞便抗
原1を第3マーカー抗原として用いて正常糞便抗原1と
反応しない抗体産生能をもつ単クローン性ハイブリドー
マを分離し、次に非特異的交叉性反応抗原を第4マーカ
ー抗原として用いて非特異的交叉反応抗原との反応性を
有する抗体産生能をもつ単クローン性ハイブリドーマを
分離し、選別され単クローン性ハイブリドーマを培養し
て所望の抗体を得る工程からなる、癌胎児性抗原に対し
て特異性をもつ単クローン性抗体の製法によって、癌胎
児性抗原の個体非特異的な部分、正常糞便抗原2および
非特異的交叉反応抗原との反応性を有するが、癌胎児性
抗原の個体特異的な部分および正常糞便抗原1との反応
性を有しない単クローン性抗体(抗体5)が得られる。
【0011】実用的な回収工程において、第1癌胎児性
抗原、第2癌胎児性抗原、正常糞便抗原1、正常糞便抗
原2及び非特異的交叉反応抗原からなる群から選ばれた
2種以上の抗原を選別用マーカー抗原として用いること
によって、前記ハイブリドーマによって産生された単ク
ローン性抗体を、選別用マーカー抗原との反応性に基づ
いて選別する。好ましくは、前記の選別は、各種標識物
質で標識されたマーカーを用いるイムノアッセイ法によ
って行なわれる。
【0012】本発明による単クローンから得られる単ク
ローン性抗体は、CEA分子上の対応する抗原決定基と
の反応が均一かつ明確であるから、例えばヒトの診断治
療のような臨床応用や各種の基礎医学研究用に有利に用
いることができる。
【0013】本発明の単クローンを、例えば次のように
常法によって得ることができる。免疫される哺乳動物
は、例えばマウス、ラット、モルモットのような小動物
でも、ウサギ、ヤギ、牛、馬のような大動物でもよい。
動物を常法により免疫する。例えばマウスを、所与のC
EA標品すなわち第1CEA20μg を含むフロイント
の完全アジュバントを用いた乳化液0.2mlの皮下注射
によって免疫し、5週間後に食塩水0.2ml中の同量の
CEAの静脈注射によって免疫する。3日後に常法によ
り動物の脾及びリンパ節細胞を採取する。採取された抗
体産生細胞と適当な腫瘍細胞〔例えばP3−X63−A
g8、6、5、3、(例えばP3−X63−Ag8−u
1)、Sp2/0−Ag14,210,RCY3、Ag
1、2、3など〕とを1×108 抗体産生細胞/ml対1
−2×107 腫瘍細胞/mlの比で、すなわち5対1から
10対1の比で混合し、常法により、例えばHVJ(仙
台ウイルス)又はPEG(ポリエチレングリコール)を
用いて融合する。HAT培地を用いて選別すると、正常
細胞は死滅し、融合細胞が残存する。第1CEAと反応
する抗体産生能の観点において、融合細胞を選別する。
選別された融合細胞は抗CEA抗体産生能を有する融合
細胞である。これを常法によりクローニングし、獲られ
た単クローンを、単クローン由来の抗体とCEA及びC
EA関連抗原との反応性の観点から選別する。それ自体
公知のイムノアッセイ法によって実用的に選別すること
ができる。下記に実施例で用いた選別法はFarrの硫安沈
殿法〔Farr, R. S., J. Inf. Dis., 103, 239 (1958)〕
である。CEA関連抗原の実用的な例は正常成人糞便由
来のNFA−1、NFA−2及びf−NCAで、これら
の性状は前記のとおりである。これらのCEA関連抗原
の製造は後記参考例に記載されている。
【0014】後記実施例1において行なわれた選別の結
果が表1に示されている。
【0015】
【表1】
【0016】本発明の方法によって得られる単クローン
性抗体を、表1に示すように分類することができる。抗
体1は、第1癌胎児性抗原との反応性を有するが、第1
癌胎児性抗原以外の癌胎児性抗原、正常糞便抗原1、正
常糞便抗原2及び非特異的交叉反応抗原の中のいずれの
抗原とも反応性を有しない単クローン性抗体である。抗
体2は、2つ以上の癌胎児性抗原との反応性を有する
が、正常糞便抗原1、正常糞便抗原2及び非特異的交叉
反応抗原の中のいずれの抗原との反応性も有しない単ク
ローン性抗体である。抗体3は、2つ以上の癌胎児性抗
原との反応性を有し、正常糞便抗原1及び正常糞便抗原
2との反応性を有するが、非特異的交叉反応抗原との反
応性を有しない単クローン性抗体である。抗体4は、2
つ以上の癌胎児性抗原及び正常糞便抗原2との反応性を
有するが、正常糞便抗原1及び非特異的交叉反応抗原と
の反応性を有しない単クローン性抗体である。抗体5
は、2つ以上の癌胎児性抗原、正常糞便抗原2及び非特
異的交叉反応抗原との反応性を有するが、正常糞便抗原
1との反応性を有しない単クローン性抗原である。実用
的に、これらの単クローン性抗体は、抗血清の形状であ
る。
【0017】表1において、正常成人糞便由来のCEA
関連抗原NFA−2は放射性ヨード標識され、次に単ク
ローン培養上清に加えられ、ラジオイムノアッセイが行
なわれる。その結果、単クローン(クローンA、実施例
1では約10株)と単クローン(クローンB、実施例1
では約200株)が選別される。クローンAの産生する
抗体AはNFA−2と反応しない。クローンBの産生す
る抗体BはNFA−2と反応する。抗体AはヒトのCE
Aと反応し、正常成人糞便由来のCEA関連抗原と反応
しない。
【0018】1つ以上の第2CEA(実施例では4種)
を用いて、同様の方法でラジオイムノアッセイを行なう
と、クローンAからクローンA1(実施例1では8株)
の産生する抗体1は、第1CEAと反応するが第2CE
Aと反応しない。クローンA2の産生する抗体2は第1
及び第2CEAと反応する(実施例1では2株)。
【0019】同様の方法でNFA−1を用いて、NFA
−2と反応する抗体を産生するクローンBを選別する
と、クローンB1及びB2が得られる。クローンB1
(実施例1では約70株)の産生する抗体3は、NFA
−1及びNFA−2と反応する。クローンB2(実施例
1では約100株)の産生する抗体はB2は、NFA−
2と反応し、NFA−1と反応しない。NFA−1の分
子量は小さいが、抗原活性は強いので、実施例1では約
70株のクローンB1が得られた。
【0020】f−NCAを用いて同様の方法でクローン
B2から、クローンB2−1(実施例では約60株)と
B2−2(実施例1では約40株)が選別される。クロ
ーンB2−1の産生する抗体4はf−NCAと反応しな
いが、クローンB2−2の産生する抗体5はf−NCA
と反応する。
【0021】所望により、NFA−2以外の他の抗原を
クローニングで得られたクローンの最初の選別に用いる
ことができる。例えば、NFA−1を最初に用いること
により、産生される抗体とのNFA−1との反応性の観
点から単クローンを選別することができる。
【0022】本発明による単クローン性抗CEA抗体を
各種の臨床的用途及び基礎医学研究用に有利に用いるこ
とができる。例えば、抗体2は臨床用に最も有利であ
り、抗体3は血中CEA濃度の測定に価値があると考え
られる。なお、本発明による単クローンを常法によって
工業的規模で増殖することができる。
【0023】本発明による単クローン性抗CEA抗体の
用法は抗体の反応特異性及び用途によって異なるが、代
表的な用法の例を次に例示する。
【0024】I.組織学的検索法 例えば細胞の浮遊液又は塗抹標本あるいは組織切片のよ
うな細胞標品を本発明の単クローン性抗CEA抗体で3
7℃で30分処理し、食塩水で充分に洗浄した後、蛍光
色素(tetra methylrhodamine isothiocyanate又はfluo
rescein isothiocyanate )で標識した抗マウス免疫グ
ロブリン抗体溶液で37℃で30分処理し、蛍光顕微鏡
を用いて蛍光陽性の細胞を検索する。所望により蛍光色
素の代わりに抗マウス免疫グロブリン抗体に結合された
ペルオキシダーゼを用いる酵素抗体法による検索も可能
である。
【0025】II.血中CEA濃度測定法 本発明の単クローン性抗CEA抗体による血中CEA濃
度の正確な測定は、次に例示するように、例えば硫安沈
殿によるFarrの方法、抗マウス免疫グロブリンを用いる
二抗体法、ジルコニウムゲルを用いるZゲル法及び固相
抗体サンドイッチ法などによって行なうことができる。
【0026】(1) 抗マウス免疫グロブリン抗体によ
る二抗体法の例。 ヒトの血清50μl をプラスチックチューブ(例えば、
栄研チューブNo. 1:栄研化学社製;径9.8mm、長さ
8cm)に入れ、0.5%BSAを含む0.1M酢酸緩衝
液(pH6.0)200μl を加えて希釈する。0.1
M酢酸緩衝液(pH6.0)で50倍に希釈した正常マ
ウス血清を用いて、適当に希釈された本発明の単クロー
ン性抗CEA抗体液50μl をとり、上記チューブに入
れて37℃で30分反応させる。後記参考例1記載の方
法で調製され 125Iで標識された適当なCEA標品
(1.5ng)の酢酸緩衝液溶液(50μl )をチューブ
に加え37℃で1時間反応させる。次いで正常マウス血
清(×50;50μl )中の免疫グロブリンを充分に沈
降させ得る量の抗マウス免疫グロブリン抗体を含むウサ
ギ又はヤギ抗マウス免疫グロブリン血清100μl を反
応混合液に加え4℃で一夜反応させる。生じた沈降物を
遠心操作(3000r.p.m./30分)で落し、0.9%
食塩溶液で沈降物を洗浄したのち、沈降物の放射活性を
ガンマー計測機で測定する。CEAを1ng/mlから50
ng/mlまでの各濃度で含有する0.1M酢酸塩緩衝液
(子牛ガンマグロブリン1.2%及びBSA0.5%と
を含み、pH6.0)を検体血清と同様に処理し、標準
検量線を作製する。検体血清中のCEAの測定値より血
中CEA濃度を算出する。
【0027】正常人血清の測定値(正常値)は用いる単
クローン性抗CEA抗体の種類により一般に異なるの
で、簡単には特定できないが、平均正常値に標準偏差
(S.D.)の2倍の値を加えた値以上の値を病的高値
として悪性腫瘍検出の判断に用いることが実用的であ
る。
【0028】(2) 固相抗体サンドイッチ法の例。 この方法は最も高感度である。原理は、プラスチック製
ビーズ又はチューブに本発明で得られた単クローン性抗
CEA抗体の中の一種の抗体を固相一次抗体として吸着
結合させる。この固相一次抗体と検体中のCEAとを反
応させたのち、一次抗体とは対応する抗原決定基の異な
った別の単クローン性抗CEA抗体を 125Iでヨード化
した標識二次抗体として反応させると、検体中のCEA
量に応じて標識二次抗体が結合する。既知量のCEAを
同じ操作で測定して得た検量線より検体中のCEA量を
算出する。
【0029】(a) 固相一次抗体の作製 一次抗体としてどのような特性をもった単クローン性抗
CEA抗体を選ぶかは測定系の目的により変わり得る
が、最も普遍的な目的には、CEA分子上の最も主な抗
原部位と考えられるNFA−1共通部分に向けられた抗
体3を選ぶとよいので、抗体3の例について次に説明す
る。抗体3として分類された単クローン性抗CEA抗体
の中からCEAとの反応親和性(Ka)が強い(少なく
ともKa≧1×109-1)ものを選ぶ。
【0030】Kaの測定は次のように行なう。抗体3標
品の一定量(例えば10μg )に最高200μg までの
いろいろな量の 125Iで標識されたCEA〔0.01M
硼酸緩衝食塩水(B.B.S.)pH8.0;正常ウサ
ギ血清(1%)及びNaN3(0.05%)を含む〕を加え
る。各混合液を37℃、18時間保温した後、それぞれ
75%飽和硫安液(400μl )を加え、4℃に1時間
保ち、次に遠心処理(1800×g/30分間)により
上清を除去する。沈降物を50%飽和硫安溶液で洗浄す
る。上清(200μl )及び沈降物の放射活性をガンマ
カウンターを用いて測定する。同様の方法をくり返し、
結合されたCEAと遊離CEAとの比を求め、これから
常法〔Steward M. W. & Petty R. E., Immunol., 22, 7
47 (1972)〕により反応親和性(Ka)を算出する。こ
うして得られた高親和性の抗体3標品をラウリル硫酸ナ
トリウム(0.01%)、EDTA(0.05%)を含
む0.001Mリン酸緩衝液(pH6.0)で例えば5
00倍に希釈し(抗体濃度として5〜10μg /ml程
度)、これをプラスチックビーズ又はチューブのコーチ
ングに用いる。
【0031】固相マトリックスとしては各種のプラスチ
ック製チューブやビーズを用い得るが、例えば直径約6
mmのポリスチレンビーズ(例えば米国、Precision Plas
ticBall社製)を充分洗浄した後、上記単クローン性抗
CEA抗体(抗体3)溶液に浸し、室温に一夜静置す
る。ビーズを2回蒸留水で洗浄した後、0.001Mグ
リシン塩酸緩衝液(pH2.3)で処理し、さらに蒸留
水で2回洗浄した後、0.5Mの食塩と0.5%ウシ血
清アルブミン(BSA)とを含む0.1Mリン酸塩緩衝
液中に3時間浸し、最後は真空乾燥して冷所に保存す
る。
【0032】(b) 標識二次抗体の作製 標識二次抗体として何を用いるかにより、得られる結果
は著しく異なる。後記表2からわかるように、例えば抗
体2を二次抗体として用いることによって得られるCE
A測定系は、癌組織中のCEAとのみ反応するが、NF
AやNCAとは反応しない、最高の特異性をもつ系であ
るが、抗体5を二次抗体として用いることによって得ら
れる測定系は、CEAと共にNFA−1以外のすべての
関連抗原をも測定し得る系である。また抗体3として同
定される各種抗体の中でも、その抗体と反応する抗原決
定基が一次抗体の抗原決定基と同一のものは二次抗体に
用い得ないが、抗体3に属する抗体の中でも、一次抗体
の対応する抗原決定基以外の抗原決定基と反応するもの
であれば、二次抗体として用いることができる。次の例
は、抗体2を用いた最高の癌特異性を有する測定系であ
る。
【0033】抗体2として同定された各種抗体の中か
ら、CEAとの反応親和恒数の最も高い(少なくともK
a≧1×109-1)ものを選ぶ。CEAとセファロー
ス4Bを結合(10mg/1.0gドライゲル)させたC
EA吸着剤を用いて、上記単クローン性抗CEA抗体を
特異的に精製し(参考例2参照)、得られた抗体標品を
公知のクロラミンT法〔Hunter & Greenwood, 196 2, N
ature (London) 194, 495〕により 125Iで標識し、放
射活性の強さ約5 nCi/ng抗体の標識抗体を得る。所望
により、 125Iの代りにペルオキシダーゼなどの酵素で
標識した二次抗体を用いることもできる。
【0034】(c) ラジオイムノアッセイ 検体として得たヒト血清(又は血漿)50μl をプラス
チック製試験管(例えば栄研チューブ9.8×80mm)
にとり、BSA(0.5%)を含む0.1M酢酸緩衝液
(pH6.0)を200μl 加え、これに上記の抗CE
A抗体を結合したビーズ1個を入れ、室温で試験管を回
転させながら4時間反応させる。反応後、反応液を吸引
除去し、0.9%食塩水1mlで1回洗浄し、抗体2をヨ
ード化して得た標識二次抗体液(1%BSAを含む0.
05Mトリス塩酸緩衝液で約600 nCi/mlに希釈した
標識抗体)を200μl 加え、室温で回転させながら2
4時間反応させる。反応終了後、0.9%食塩水で2回
洗浄した後、ビーズの放射活性をガンマーカウンターで
測定する。
【0035】検量線作製用として、精製CEAを1ng/
ml、3ng/ml、10ng/ml、30ng /ml及び100ng
/mlの濃度に、1.2%ウシガンマグロブリン及び0.
5%BSAを含む0.1M酢酸緩衝液(pH6.0)で
調製した各標準溶液を用いる。各標準溶液50μl をと
り、上記検体の処置と同様の操作によって、抗体でコー
チングされたビーズ及び放射性ヨードで標識された二次
抗体とそれぞれ反応させる。このようにして、各種標準
溶液の放射活性(B cpm)を得る。B cpmからCEAを
含まないコントロールの値B′を差し引いたB−B′を
算出し、対応するCEA濃度をプロットして検量線を描
き、これを用いて検体中のCEA濃度を算出する。
【0036】抗体2を標識二次抗体と用いた本例では、
正常人血清又は血漿との反応は弱い。さらに正常人のC
EA濃度の平均値は用いる抗CEA抗体標品の特性、例
えばその親和恒数Kaによって著しく異なり、具体的数
値を容易に特定できない。しかし実用的には正常人の平
均値に標準偏差(S.D.)の2倍の値を加えた値以上
の値を病的高値として悪性腫瘍の検出の判断に用いるこ
とができる。
【0037】本発明による単クローン性抗CEA抗体を
用いることによって、従来の多クローン性及び単クロー
ン性抗CEA抗体を同じ目的に用いる場合に比較して、
所望の抗原濃度をいっそう正確に測定することができ
る。
【0038】癌の診断治療のほかに、本発明による単ク
ローン性抗CEA抗体を、例えば、細胞の悪性変化に伴
なう遺伝子発見の胎児期への先祖帰り現象としてのCE
A産生やCEAの生物活性及び分子構造の解明に用いる
ことができる。
【0039】下記の本発明の実施例において、Farrのラ
ジオイムノアッセイ法は次の通り行なわれた。125Iで
標識されたCEA標品(5−10ng;50μl )及び単
クローンの培養上清(50μl )を96ウエルのマイク
ロタイタープレートの各ウエルに入れ、よく混合した。
37℃で1時間静置した後、飽和硫安液(100μl )
を各ウエルに加え、さらに37℃で1時間静置した。次
に反応混合物を遠心処理(2000r.p.m./30分間)
して上清を分離し、その100μl の放射活性をガンマ
カウンターで測定した。抗体とともに沈降した放射性C
EAの量から、単クローン性抗CEA抗体産生能をもつ
融合細胞が同定された。
【0040】
【実施例1】約5週令のBALB/cマウス(SPFマ
ウス:静岡県実験動物農業協同組合より入手)2匹をC
EA(参考例1の方法で調製)で免疫した。すなわち各
動物について、初回20μg のCEAをフロイントの完
全アジュバント(DIFCO 社製)を用いた乳化液0.2ml
とともに腹腔内投与し、5週間後に同量のCEA(食塩
水0.2ml中CEA20μg )を各マウスの静脈内に投
与した。その3日後に動物を殺し、脾及びリンパ節より
抗体産生細胞(類リンパ球)を採取した。約1×108
個の類リンパ球と1×107 個のアザグアニン耐性マウ
ス骨髄腫由来株化細胞P3−X63−Ag8−ul〔 Y
elton, D. E. et al.,Curr. Top. Microbiol. Immuno
l., 81, 1 (1978) 〕と混合した。45%(v/v )ポリ
エチレングリコール4000(米国シグマ社製)1mlを
混合物に滴下し、37℃に7分間保ち、その後D−ME
M(日水製薬製)15mlを混合物に滴下することによ
り、ポリエチレングリコールを希釈した。
【0041】融合細胞をD−MEM(30ml)で洗い、
10%ウシ胎児血清(FCS)(米国Gibco 製)、ペニ
シリン(100単位/ml)とゲンタマイシン(50μg
/ml)とを含むD−MEM(100ml)中に浮遊させ
た。細胞浮遊液(各1ml)を96のウエルに入れ(各2
4ウエルのミクロタイター板使用)、炭酸ガス存在下で
37℃に一夜放置した後、HAT培地(4×10-7Mの
アミノプテリン、1.6×10-5Mのチミジン及び1×
10-4Mのヒポキサンチンを含む培地、pH7)各1ml
を各ウエルに分注し、次に培地の半分を2日おきに新し
いHAT培地と取りかえた。11日目に培地の半分をH
T培地(上記HAT培地からアミノプテリンを除いたも
の)と取りかえ、次に2日おきに培地の半分を10%F
CSを含むD−MEMと取りかえた。ほとんど全部(9
8%以上)の培地で融合細胞の発育が認められた。培地
の上清を各ウエルから採取し、前記の第1CEAを用い
るFarr の硫安沈殿法によって抗CEA抗体を産生する
融合細胞(ハイブリドーマ)を選別した。次に抗CEA
抗体産生能を有すると認められた融合細胞を次のように
限界希釈法によって単クローン化した。
【0042】10%のFCS(ウシ胎児血清)を含むD
−MEMで融合細胞を3細胞/mlになるように希釈し、
各0.2mlをミクロタイタープレートの各ウエルに入れ
た。X線照射された若いBALB/cマウスの胸腺細胞
(約5×106 細胞/ml)を含むD−MEMを用いて3
7℃で2週間培養後、ウエル中で増殖する細胞を単クロ
ーン融合細胞として同定し、さらに限界希釈法をくり返
し行なうことにより、単クローン性を確実にした。こう
して培養上清中に約10ng/ml以上の抗CEA抗体産生
能をもつ単クローン性融合細胞が得られた。
【0043】実施例1で用いられた第1CEAは後記参
考例1記載の方法で得られたものであるが、所望により
その他の適当なCEA標品を同じ目的に用いることもで
きる。2匹のマウスより通常20〜30個の単クローン
性抗CEA抗体産生融合細胞が得られる。上記操作を十
数回繰り返して得られた約300株の抗CEA抗体産生
融合細胞の培養上清と放射性ヨードで標識したCEA、
NFA−2、NFA−1及びf−NCAとの反応性をFa
rrの硫安沈殿法によるラジオイムノアッセイによって検
索した。結果を前記の表1に示す。
【0044】
【実施例2】実施例1の方法で得られた抗体1から5ま
で(表1参照)を別々に第1CEA、第2CEA及び正
常人糞便由来のCEA関連抗原すなわちNFA−1、N
FA−2及びf−NCAを用いたFarrのラジオイムノア
ッセイ法によって調べ、全抗体1から5までと、上記全
抗原との反応性を解明した。その結果を示す表2におい
て、「+」「−」は反応性の有無を表わしている。
【0045】
【表2】 単クローン性抗CEA抗体とCEA及びCEA関連抗原との反応性 抗 原 抗体 1 2 3 4 5 ヒトCEA第1* + + + + + 第2** − + + + + 正常関連抗原 NFA−1 − − + − − NFA−2 − − + + + f−NCA − − − − + (注) * 動物免疫用CEA ** 第1CEA以外のCEA
【0046】表2から本発明の単クローン性抗CEA抗
体が次の反応特異性を有していることがわかる。 (1) 全部の抗体1ー5は第1CEAすなわち動物の
免疫に用いられたCEAと反応する。 (2) 抗体1は第1CEAのみと反応する個体特異的
抗体である。本抗体は個体ごとの癌の診断治療に有用で
あると考えられる。 (3) 抗体2は第1CEA及び第2CEAと反応する
が、すべてのCEA関連正常糞便抗原すなわちNFA−
1、NFA−2及びf−NCAと反応しない。なお、実
施例1では別々の患者から得られた4つのCEA標品を
第2CEAとして用いた。本抗体は抗CEA特異抗体で
あって、最高の癌特異性を有するから、各種の臨床用
(例えば、癌の診断確定、放射性物質や抗癌剤を癌組織
に送るための担体など)や基礎医学研究用等普遍的な用
途に使用することができる。 (4) 抗体3は第1CEA及び第2CEAと反応する
ほか、NFA−1及びNFA−2とも反応するので、実
用的価値のある抗体である。また抗体3産生能をもつ単
クローンを他の抗体産生能をもつ単クローンよりも簡単
な方法で選別することができる。 (5) 他の抗体すなわち抗体4、5も、従来の多クロ
ーン性及び単クローン性抗CEA抗体とくらべて、より
明確な反応特異性と均一性とを有している。
【0047】
【実施例3】抗CEA抗体産生融合細胞をBALB/c
マウスの腹腔内に移植して単クローン性抗CEA抗体を
生産した例。市販(静岡県実験動物農業協同組合より入
手)BALB/cマウス(5〜6週令、雌又は雄)を試
験動物として用いた。各マウスの腹腔に0.5mlのプリ
スタンを投与し、7〜10日後に5×106 〜107
/mlの単クローン性融合細胞(実施例1の方法で得たも
の)を含むD−MEM(0.5ml)を同じく腹腔内に注
射した。7〜10日後充分に腹水が貯留したマウスから
腹腔穿刺によって腹水を採取し、以後、2日おきに5回
腹水を採取した後、マウスを殺して全採血した。得られ
る腹水量は融合細胞の性状により異なり、約2mlから2
0mlであったが、平均約10mlが得られた。各動物の腹
水及び血清中に含まれる単クローン性抗CEA抗体の濃
度も融合細胞の性状により異なり、約1mg/mlから約1
0mg/mlであった。得られる抗体の量も2〜3mgから1
00mg以上とかなりの差が認められた。
【0048】
【参考例】下記の参考例において、加圧風乾法による溶
液の濃縮は次の方法によって行なわれた(以下風乾法と
いう)。風乾されるべき溶液を数本のセロファンチュー
ブに入れた。例えば溶液(3 l)を8〜9本のチューブ
(米国ビスキング社製、18/32、長さ150cm)に
分注し、チューブの上部を適当な導管を介して、例えば
加圧機に連結した。チューブを垂直に支え、下方約1/
5を脱塩水又は適当な緩衝液を満たした容器に浸漬し、
残りの部分に扇風機からの風を当てた。
【0049】
【参考例1】本明細書記載のCEA標品は、特記しない
限り、次の方法によって作成された〔資料。特開昭56
−47762号公報〕。ヒトの大腸癌肝転移巣120g
に生理食塩水700mlを加えてすりつぶし、遠心処理
(9000r.p.m./40分間)により上清を得た。上清
710mlに60%過塩素酸溶液80ml(過塩素酸濃度
0.6M)を加え、生じた沈殿を遠心処理(9000r.
p.m./40分間)により除去し、得られた上清を一夜流
水で透析し、過塩素酸及び透析性不純物を除去した。透
析内液をセロファンチューブ(ビスキング製、18/3
2、長さ150cm)3本に分注し、前記の風乾法により
合計8mlに濃縮した。濃縮液を遠心処理(15000r.
p.m./30分間)することにより、CEA粗抽出液を得
た。
【0050】セファロース4B(スエーデン国、ファル
マシア・ファイン・ケミカルズ製)のカラム(2.6×
171cm)を0.05Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH
5.2)で洗浄し、上記のCEA粗抽出液7.5mlを負
荷し、上記と同様の緩衝液で溶出した。カラムの溶媒容
量と同じ位置に溶出する分画4B−1のほか、それぞれ
2.1、2.5及び2.7倍の位置に溶出する分画4B
−2ないし4B−4が得られた。CEAの大部分を含む
分画4B−2を回収し、前記の風乾法により濃縮液
(3.5ml)を得た。セファロース6B(スエーデン
国、ファルマシア・ファイン・ケミカルズ製)のカラム
(1.9×145cm)を上記と同様の緩衝液で洗浄し、
上記の濃縮液3.5mlを負荷し、同様の緩衝液で溶出
し、カラムの溶媒容量の1.6倍の位置に非対称形のピ
ークが出現した。溶出の初期に得られる分画6B−1
(約20ml)は高分子量の不純物を含み、終りに得られ
る分画6B−3(約1/3)はNCA(非特異的交叉反
応抗原)を含んでいた。全体の約2/3に相当する中間
部(約60ml)を回収して集め、風乾法によって分画6
B−2(3ml)を得た。セファデックスG−200(ス
エーデン国、ファルマシア・ファイン・ケミカルズ製)
のカラム(1.9×145cm)を上記と同様のリン酸ナ
トリウム緩衝液で洗浄した後、分画6B−2(3ml)を
負荷して、同様の緩衝液で溶出したところ、カラムの溶
媒容量の約1.2倍の位置に対称形のピークが出現し
た。このピークの中間3/4に位置する分画(約45m
l)を回収して集め、風乾法により濃縮した。この濃縮
液から精製されたCEA(50mg)が回収された。その
高純度であることが、例えば免疫電気泳動法(ウサギ抗
体使用)によって確認された。精製されたCEAは一種
の糖蛋白質であって、分子量は約20万±8万、糖と蛋
白質との比は約1:1、紫外線吸収スペクトルにおける
極大吸収は277nm、小さな肩部が283nmに見られ
た。
【0051】
【参考例2】本明細書記載のCEA関連正常抗原すなわ
ちNFA−1、NFA−2及びf−NCAは次の方法に
よって得られた(資料。特開昭56−46819号公
報)。成人の正常糞便250gを0.6M過塩素酸溶液
2500mlに加え、よく撹拌し、ガーゼで濾過し、食物
残渣などの不溶解物を除いた。これを遠心処理(700
0r.p.m./30分間)して得た上清を流水で一夜透析し
て、過塩素酸及び透析性不純物を除いた。透析内液を9
本のセロファンチューブ(ビスキング製、18/32、
長さ150cm)に分注し、前記の風乾法で合計30mlま
で濃縮した。同様の操作を4回くり返すことにより、合
計120mlの粗抽出液を得た。このものは合計約10mg
の所望のCEA関連正常抗原を含有していた。
【0052】特異抗CEA抗体と結合された抗CEA抗
体吸着剤(10mg、後記の方法で製造された)を上記の
粗抽出液に加え、4℃で24時間反応させた。反応液を
除去した後、冷硼酸緩衝液(pH=8.0;0.01M
硼酸緩衝液;0.15MのNaClを含む)で洗浄し、グリ
シン塩酸緩衝液(0.175M;pH2.3;200m
l)で抽出した後、グリシンNaOH緩衝液(1.0M;p
H=9)で中和することにより、粗CEA関連抗原(乾
燥重量9mg)を含む溶液を得た。この溶液を上記の風乾
法で1.2mlまで濃縮し、セファロース6B(スエーデ
ン国、ファルマシア・ファイン・ケミカルズ製)のカラ
ム(1.3×80cm)に負荷した。リン酸塩緩衝液
(0.01M;pH5.0;0.15M NaCl を含む)
で溶出し、各1mlの分画を試験管に分取した。試験管番
号60〜75及び81〜95をそれぞれ集め分画1と分
画2とした。
【0053】分画1を約1mlに濃縮し、セファデックス
G−200(100ml)カラムに負荷し、前記と同様の
リン酸塩緩衝液で溶出し、各1mlの分画を試験管に分取
した。精製NFA−2を含む試験管番号30〜40を集
めて濃縮した。この濃縮液自体を精製NFA−2の標品
としてそのまま用いることができる。こうして得られた
NFA−2は一種の糖蛋白質であって、分子量20万±
3万、糖と蛋白質との比約1:1、紫外線吸収スペクト
ルにおいて極大吸収は277nmにある。本品のアミノ酸
組成はCEAのものと極めて類似し、NFA−2のNH2
末端アミノ酸の配列は少なくとも11位まではCEAの
ものと同一である。
【0054】ジエチルアミノエチル・セルロース・クロ
マトグラフィーによって、分画2から褐色色素を除き
〔Cancer Res., 41, 713 (1981) 参照〕、残りの溶液
に、後記の抗NCA抗体吸着剤3.5mlを加えた。混合
物を4℃で2日間反応させた。吸着剤を回収し、よく洗
浄し、次にグリシン塩酸緩衝液(0.175M;pH=
2.3;20ml)で溶出し、次にグリシンNaOH緩衝液
(1M;pH=9)で中和し、その後B.B.S.に対
して透析し、透析内液を風乾法で濃縮した。この濃縮液
は精製NCA(乾燥重量1mg)を含み、それ以上精製し
なくても、本発明の目的に用いられる。こうして得られ
たf−NCAは一種の糖蛋白質で、分子量8万±3万、
糖含量約20%である。本品のNH2 末端アミノ酸配列の
うち、少なくとも20位まではCEAと同一である。f
−NCAの理化学的性状は、例えば肺や脾に存在するN
CAのものと実質的に同一である。
【0055】上記の抗NCA抗体吸着剤に吸着されなか
った物質を含む溶液を0.5mlに濃縮し、セファデック
スG−100スーパーファイン(スエーデン国、ファル
マシア・ファイン・ケ1 カルズ製)のカラム(1.3×
43.4cm)に負荷し、前記と同様のリン酸塩緩衝液
(0.01M;pH5.0;0.15M NaCl を含む)
で溶出し、試験管に各1mlずつ分取した。試験管番号4
5〜55(分画a)及び65〜75(分画b)をそれぞ
れ回収して集めた。セファデックスG−100スーパー
ファインの同じカラム(1.3×43.4cm)を用い
て、分画a及びbをそれぞれ再度クロマトグラフ処理し
た。このようにして、分画aから精製NFCA、分画b
から精製NFA−1(各乾燥重量0.5mg)が得られ
た。これらはさらに精製することなく、本発明の目的に
用いることができた。こうして得られたNFA−1は一
種の糖蛋白質で、分子量2万ないし3万、糖含量約13
%である。NFA−1のアミノ酸組成はCEAのものに
類似であるが、しかしフェニルアラニン、リジン及びプ
ロリンのようないくつかのアミノではわずかではあるが
有意な差異が見られた。しかし、NFA−1のNH2
端アミノ酸配列はCEA、NFA−2又はNCAのもの
と全く異なっている。
【0056】前述の抗CEA抗体吸着剤及び抗NCA抗
体吸着剤は次の方法で得られたものである。参考例1の
方法で得られたCEA標品(乾燥重量10mg)を常法に
よりCNBrセファロース4B(乾燥ゲル1g;スエー
デン国、ファルマシア・ファイン・ケミカルズ製)と結
合させてCEA吸着剤を得た。これを抗CEA血清(5
0ml )と4℃で3日間反応させた。この抗血清をつく
るために、任意のCEAを用いることができる。抗CE
A抗体を結合したCEA吸着剤を回収し、蛋白質の出現
を認めなくなるまで冷B.B.S.で洗浄し、次にグリ
シン塩酸緩衝液(各10ml;0.175M;pH=2.
3)で5回溶出した。溶出された液を集めてグリシンNa
OH緩衝液(1M;pH=9)で中和し、次にB.B.
S.に対して4℃で一夜透析した。透析内液を10mlま
で濃縮した。この液は特異的多クローン性抗CEA抗体
50mgを含んでいた。上記の方法を2回くり返すことに
よって得られた濃縮液20mlは、特異的に精製された多
クローン性抗CEA抗体100mgを含んでいた。こうし
て得られた多クローン性抗CEA抗体100mgをCNB
Rセファロース4B(10g;スエーデン国、ファルマ
シア・ファイン・ケミカルズ製)と常法によって結合し
た。これによって、特異的に精製された抗CEA抗体1
00mgと結合された所望の抗CEA抗体吸着剤が得られ
た。抗CEA抗体の代りに抗NCA抗体を用いて、上記
の方法をくり返すことによって、セファロース4Bと結
合された抗NCA抗体吸着剤が得られる。
【0057】
【発明の効果】本発明により得られる単クローン性抗体
は癌胎児性抗原と特異的に反応する抗体であるのみでな
く、抗体1、2、3、4、5のいずれも他の抗体とは異
なった反応性を示す。例えば抗体1は個体特異的反応性
を示し、抗体2は癌胎児性抗原特異的である。抗体3、
4、5のいずれもそれぞれ、正常糞便抗原1及び非特異
的交叉反応抗原との反応性において特徴的反応性を示す
ので、それぞれの抗体に応じた特徴的な用途がある。す
なわち特に抗体2は癌特異性の高い抗体として、腫瘍マ
ーカーとしての癌胎児性抗原の定量や検出において甚だ
有用である。抗体3、4、5についても、各抗原分子の
分子構造や組織内分布の解析に甚だ有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01N 33/577 B (C12P 21/08 C12R 1:91)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1哺乳動物を最初の個体の癌胎児性抗
    原で免疫することによって前記抗原に対する抗体産生
    能を有する細胞を産生させ、生じた細胞をこの哺乳動物
    から採取し、採取された細胞を第2哺乳動物由来のミエ
    ローマの株化細胞と融合させ、こうして得られた融合細
    胞をクローニングに付し、得られた単クローン性ハイブ
    リドーマを培養し、得られた培養液から所望の単クロー
    ン性抗体を回収し、その際(イ)前記最初の個体の癌胎
    児性抗原を第1マーカー抗原として用い、前記単クロー
    ン性ハイブリドーマを前記第1マーカー抗原と反応する
    抗体の産生能を基準として選別し、(ロ)前記回収工程
    において、免疫した最初の個体以外の個体の癌胎児性抗
    原、正常糞便抗原1、正常糞便抗原2および非特異的交
    叉反応抗原からなる群から選ばれた2種以上の抗原を選
    別用マーカー抗原として用いて、前記単クローン性ハイ
    ブリドーマを選別用マーカー抗原との反応性を基準とし
    て選別し、かつその際(ハ)正常糞便抗原2を第2マー
    カー抗原として用いて単クローン性ハイブリドーマを選
    別し、正常糞便抗原2と反応する抗体(抗体B)産生能
    をもつ単クローン性抗体を分離し、次に正常糞便抗原1
    を第3マーカー抗原として用いて正常糞便抗原1と反応
    しない抗体産生能をもつ単クローン性ハイブリドーマ
    分離し、次に非特異的交叉性反応抗原を第4マーカー抗
    原として用いて非特異的交叉反応抗原との反応性を有す
    る抗体産生能をもつ単クローン性ハイブリドーマを分離
    し、選別され単クローン性ハイブリドーマを培養して所
    望の抗体を得る工程からなる、癌胎児性抗原に対して特
    異性をもつ単クローン性抗体の製法によって得られた、
    癌胎児性抗原の個体非特異的な部分、正常糞便抗原2お
    よび非特異的交叉反応抗原との反応性を有するが、癌胎
    児性抗原の個体特異的な部分および正常糞便抗原1との
    反応性を有しない単クローン性抗体(抗体5)。
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