JPH0780711A - 打撃力可変型震動ドリル - Google Patents

打撃力可変型震動ドリル

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JPH0780711A
JPH0780711A JP23033793A JP23033793A JPH0780711A JP H0780711 A JPH0780711 A JP H0780711A JP 23033793 A JP23033793 A JP 23033793A JP 23033793 A JP23033793 A JP 23033793A JP H0780711 A JPH0780711 A JP H0780711A
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JP
Japan
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cam
striking
spindle
vibration
drill
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JP23033793A
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English (en)
Inventor
Michio Okumura
道男 奥村
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Makita Corp
Original Assignee
Makita Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 スプリングの反発力によって震動を発生させ
る形式の震動ドリルにおいて、使用者の被加工物に対す
る震動ドリルの押し付け力に関係なく、震動の大きさを
一定に保持できるようにする。 【構成】 スプリング19の他端を軸方向に移動可能に
支持されたリテーナ15によって受け、このリテーナ1
5の軸方向の位置を外部から変更することによって前記
スプリング19の弾性力を変更可能な構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、軸方向に打撃を与え
つつドリルビットを回転させて穿孔加工を行うことがで
きる震動ドリルであって、打撃力を任意に設定できる打
撃力可変型震動ドリルに関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に、震動ドリルには、打撃カムの
震動をスピンドルに直接伝達する打撃力の大きいもの
と、打撃カムをスプリングによって軸方向に逃がし、ス
プリングの反発による打撃カムの震動をスピンドルに伝
達する打撃力の比較的小さいものとの2タイプがある。
このうち後者のタイプには、例えば実公平2−3016
9号公報に開示されているようにスプリングの反発力が
一定すなわち打撃力が一定であるタイプと、例えば特開
平4−300112号公報に開示されているように作業
者の被加工物に対する震動ドリルの押し付け力を調整す
ることによってスプリングの反発力を変化させ、これに
より打撃力を可変とした構成のものがあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来より
打撃力を可変とした構成のものが提供されていたのであ
るが、これは上記したように作業者の被加工物に対する
震動ドリルの押し付け力を調整することによって打撃力
を変化させる構成であったので、設定される打撃力は作
業者の手加減に左右され、このため打撃力にはバラつき
があり、一定値に管理することは非常に困難であった。
また、打撃力はその全域においてスプリングの反発力を
利用する構成であったので、前記したようなカムの震動
を直接スピンドルに伝達して大きな打撃力を得るという
ことができず、硬い材料の孔明け作業には不向きである
という問題があった。
【0004】一方、カムの震動をスピンドルに直接伝達
するタイプにあっては大きな打撃力を得ることはできる
ものの、常に大きな震動を与えつつ使用するため作業者
の疲労が大きく、このため長時間の作業に不向きである
という問題があった。
【0005】そこで、本発明は、作業者の被加工物に対
する震動ドリルの押し付け力とは関係なく打撃力を変更
可能であり、かつ打撃力を最大とした場合には打撃カム
の打撃力が直接スピンドルに伝達されて従来の可変タイ
プでは得ることのできなかった大きな打撃力をも得るこ
とのできる打撃力可変型震動ドリルを提供することを目
的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1記載
の発明では、軸方向に移動可能なスピンドルと、このス
ピンドルに固着された回転カムと、この回転カムのカム
面と凹凸係合可能なカム面を備え、前記スピンドルとは
独立して軸方向に移動可能な打撃カムと、この打撃カム
を前記回転カムに対して弾性押圧するためのスプリング
とを備えた震動ドリルであって、前記スプリングの他端
を軸方向に移動可能に支持されたリテーナによって受
け、このリテーナの軸方向の位置を外部から変更するこ
とによって前記スプリングの弾性力を変更可能な構成と
したことを特徴とする打撃力可変型震動ドリルを案出し
た。
【0007】また、請求項2記載の発明では、上記請求
項1記載の構成に加えて、スピンドルの後退可能な範囲
を規制して、回転カムのカム面と打撃カムのカム面とが
係合不能な状態を実現するためのモード切換え手段を備
えたことを特徴とする打撃力可変型震動ドリルを案出し
た。
【0008】
【作用】請求項1記載の構成によれば、外部から操作し
てリテーナの軸方向の位置を変更することによってスプ
リングの弾性力が変更される。この点、従来の可変タイ
プにあっては使用者の被加工物に対する震動ドリルの押
し付け力を変化させることによってスプリングの弾性力
を変化させる構成であった。従って、本願発明に係る震
動ドリルによれば、使用者の押し付け力とは無関係にス
プリングの弾性力を任意に変更させることができるの
で、打撃力を一定に管理し易くなる。
【0009】また、リテーナの位置を最大限に打撃カム
に近づけてスプリングを完全な圧縮状態とすることによ
り、このスプリングの弾性機能をなくすことができる。
スプリングを完全な圧縮状態としてその弾性機能をなく
すと、打撃カムとリテーナは直結されて一体に移動する
状態となる。このため、スピンドルが回転して回転カム
に回転力が付与されてこの回転カムのカム面が打撃カム
のカム面を乗り越えるためには、打撃カムとリテーナひ
いては当該震動ドリル自体がスピンドルに対して軸方向
に移動する必要がある。すなわち、この直結状態にあっ
ては打撃カムの打撃力が直接スピンドルに伝達される状
態となるため、スプリングの反発力による場合よりも大
きな打撃力を得ることができる。
【0010】また、請求項2記載の構成によれば、モー
ド切換え手段を切り換えることにより当該震動ドリルを
震動ドリルとして使用できる「震動モード」と震動のな
い単なるドリルとしての「ドリルモード」に使い分ける
ことができる。すなわち、「震動モード」に切り換える
とスピンドルの後退可能な範囲は十分に確保されるので
回転カムと打撃カムが係合する状態が得られ、従って回
転カムが回転すると打撃カムによる打撃が回転カムすな
わちスピンドルに対して与えられる。一方、「ドリルモ
ード」に切り換えるとスピンドルの後退可能な範囲が制
限されて回転カムと打撃カムが係合不能となるため打撃
カムの回転カムに対する打撃は発生せず、従って回転カ
ムすなわちスピンドルはなんら震動を受けることなく回
転する。
【0011】
【実施例】次に、本発明の実施例を図1ないし図10に
基づいて説明する。図1は、本例の震動ドリル1を示し
ているが、この図1では打撃力が最も弱い位置に設定さ
れた状態を示している。
【0012】この震動ドリル1は、概ねL型をなすハウ
ジング2と、このハウジング2の先端に、スピンドル3
の軸回りに回転可能に取付けられたフロントケース4と
を備えている。ハウジング2の後部にはモータ5が内蔵
され、このモータ5はスイッチ6の操作によって起動停
止される。
【0013】モータ5の出力軸5aには遊星歯車機構8
が組付けられ、この遊星歯車機構8には、中間軸9に支
持された変速機構10が噛み合わされている。従って、
モータ5の回転は、遊星歯車機構8、変速機構10を経
て中間軸9に伝達される。中間軸9は、ベアリング9
b,9cによってモータ5の出力軸5aと平行に配置さ
れて回転自在に支持されている。
【0014】変速機構10は、中間軸9に軸方向に移動
可能に支持された大ギヤ10cと小ギヤ10dを備え、
両ギヤ10c,10dはスプリング10a,10bによ
って中間軸9上の一定位置に付勢されている。一方、図
7に示すようにハウジング2には、外部からスライド操
作可能な切換えスイッチ10fが設けられており、この
スライドスイッチ10fは連結バー10gを介して、上
記両ギヤ10c,10d間に配置された連結部材10h
に係止されている。従って、使用者がスライドスイッチ
10fをスライド操作すると大ギヤ10cと小ギヤ10
dが一体となって中間軸9上を移動し、大ギヤ10c若
しくは小ギヤ10dのいずれか一方が、中間軸9に固定
されたピン10eに係合されて中間軸9と回転について
連結され、これにより大ギヤ10c若しくは小ギヤ10
dの何れかを選択して遊星歯車機構8の回転を中間軸9
に伝達できるようになっている。
【0015】中間軸9に伝達された回転は、その先端に
形成されたギヤ部9a、スピンドル3の後端に取付けら
れたギヤ11を経てスピンドルに伝達される。ギヤ11
はキー11aおよび止め輪11bによってスピンドル3
と回転および軸方向について一体に取付けられている。
【0016】スピンドル3はベアリング3a,3bを介
して回転可能かつ軸方向に移動可能に支持されている。
スピンドル3の先端側を支持するベアリング3aは、フ
ロントケース4に支持されている。一方、スピンドル3
の後端側を支持するベアリング3bは、カムケース18
を介してハウジング2に支持されている。このカムケー
ス18については後述する。このスピンドル3の先端側
はフロントケース4から突き出され、この突き出された
部分にはドリルビットを装着するためのチャック12が
取付けられている。
【0017】ベアリング3a,3bとの間においてスピ
ンドル3には、図示左側から順に回転カム13、打撃カ
ム14、リテーナ15、スラストニードルベアリング1
6、スライダー17が支持されている。回転カム13
は、スピンドル3に対する圧入とキー13aによって回
転および軸方向についてスピンドル3に一体に固定され
ている。この回転カム13と打撃カム14の相互に対向
する面には、それぞれフェースギヤ状のカム面13c,
14cが形成されており、図では両カム面13c,14
cが噛み合った状態が示されている。スピンドル3と一
体となって回転カム13が回転するためには、そのカム
面13cが打撃カム14のカム面14cを乗り越える必
要があり、このため後述するように打撃カム14が後退
しまたは震動ドリル1自体が後退され、これによりスピ
ンドル3に軸方向の打撃が加えられる。
【0018】打撃カム14は、スピンドル3とは軸回り
の回転および軸方向の移動に関して独立している。この
打撃カム14は後述するように回転不能であるがスピン
ドル3とは独立して軸方向に移動するようになってい
る。この打撃カム14の図示左端面はワッシャ14aを
間にしてベアリング3aに当接されており、この当接状
態から図示左方には移動不能となっている。この打撃カ
ム14とリテーナ15との間にはスプリング19が介装
されているため、打撃カム14は図示左方に付勢されて
ベアリング3aに当接している。
【0019】打撃カム14の周面には相互に対向する二
つの平坦面14b,14bが形成されている。一方、リ
テーナ15には、この打撃カム14の二面幅とほぼ同じ
間隔で対設された二本のアーム15a,15aを備えて
おり、この二本のアーム15a,15aが上記両平坦面
14b,14bの外周側に嵌め込まれている。このた
め、打撃カム14とリテーナ15は相互に回転不能であ
るが、軸方向については相互に移動可能となっている。
また、同時にこのリテーナ15の両アーム15a,15
aは、ハウジング2の内周面に形成された平坦面2a,
2aに軸方向移動可能に当接されているため、リテーナ
15はハウジング2に対して回転不能かつ軸方向に移動
可能となっている。
【0020】次に、スラストニードルベアリング16は
リテーナ15とスライダー17との間に配置され、これ
もスピンドル3に対して軸方向に移動可能に支持されて
いる。スライダー17もスピンドル3に対して軸回りに
回転可能かつ軸方向に移動可能に支持されており、また
リテーナ15はスプリング19の反発力によって図示右
方に付勢されているので、リテーナ15、スラストニー
ドルベアリング16およびスライダー17は一体となっ
て軸方向に移動する一方、スライダー17はリテーナ1
5に対して軸回りに回転可能となっている。
【0021】このスライダー17は、図4に示すように
円盤部17aの対向する二箇所の側部からスピンドル3
の軸方向に沿って先端側に延びる係止アーム17b,1
7bと後端側に延びる調整爪17c,17cを備えてい
る。両調整爪17c,17cの先端には図示するよう半
円状の突起17eが形成されている。また、円盤部17
aの中心の孔17dにスピンドル3が遊挿されている。
【0022】両係止アーム17b,17bは、図3およ
び図8に示すようにフロントケース4の内周面に形成さ
れた溝部4a,4aにそれぞれ嵌め込まれており、この
ためフロントケース4を回転させるとこのスライダー1
7も一体となって回転する。一方、調整爪17c,17
cは前記したカムケース18のカム溝18a内に挿入さ
れて、その底面に突き当てられている。
【0023】このカムケース18はハウジング2に対し
て回転不能かつ軸方向移動不能に固定されており、その
スライダー17側の側面に上記したカム溝18aが全周
にわたって形成されている。このカム溝18aの底面1
8bは、図5および図6に示すように半周ごとに傾斜し
て形成され、かつこの底面18bには周方向に一定の間
隔で断面略半円形の凹溝18cが形成されている。この
ため、上記したようにフロントケース4を回転するとス
ライダー17が回転し、これに伴って調整爪17c,1
7cが相対的にカム溝18aの底面18bに沿って移動
し、結果的にスライダー17は軸方向にも移動する。ス
ライダー17が軸方向に移動すれば、スラストニードル
ベアリング16を経てリテーナ15もスプリング19の
付勢力に抗して若しくは付勢力によって軸方向に移動す
る。リテーナ15が軸方向に移動することによってスプ
リング19の付勢力が変化する。
【0024】図1に示した状態は、調整爪17cの先端
が底面18bの最も低い位置に位置し、従ってカム溝1
8aの最も深い位置に挿入されている状態であり、スラ
イダー17は最も後端寄り(図1において右寄り)に位
置しており、従ってリテーナ15も最も後端寄りに位置
して、スプリング19の付勢力は最も弱い状態になって
いる。このため、この図1の状態で当該震動ドリル1を
使用すれば、非常に弱い打撃力を伴いながら孔明け作業
がなされる。
【0025】この打撃力の最も弱い状態からフロントケ
ース4を一定方向に回転させると、調整爪17cはカム
ケース18の底面18bを徐々に登っていき、従ってス
ライダー17が徐々に先端寄りに移動する。すると、ス
プリング19の付勢力は徐々に高められて打撃力は大き
くなる。
【0026】フロントケース4を一定方向へ最大限に回
転させた時の状態が図9に示されている。この状態は、
調整爪17cの先端が底面18bの最も高い位置に位置
し、従ってカム溝18aの最も浅い位置に挿入された状
態であり、スライダー17は最も先端より(図1におい
て左寄り)に位置しており、従ってリテーナ15も最も
先端寄りに位置している。最早この状態では、スプリン
グ19はリテーナ15と打撃カム14との間で完全に圧
縮されて弾性機能を失った状態となる。この場合には、
回転カム13のカム面13cが打撃カム14のカム面1
4cを乗り越えるには、使用者の当該震動ドリル1を押
さえ付ける力に抗して震動ドリル1自体が移動する必要
がある。従って、使用者の押さえ付ける力によっては非
常に大きな打撃力が得られる。
【0027】次に、モード切換え手段について説明す
る。図示するようにスピンドル3の後端面にはスチール
ボール20が落とし込み状にして嵌め込まれている。一
方、このスチールボール20の後方にはモード切換え用
のロッド21がハウジング2を左右に横切るようにして
配置されている。ハウジング2のほぼ中程には、ブロッ
ク体状のロッドケース22が左右を横切るようにして取
付けられており、上記ロッド21は、このロッドケース
22に左右に貫通して形成された支持孔22a内に軸方
向に移動可能に挿入されている。このロッド21はロッ
ドケース22よりも長くなっており、このため図8およ
び図10に示すようにそのいずれか一方の端部が必ずハ
ウジング2に形成された凹部2b内に突き出されるよう
になっている。そして、このロッド21の中央部は両端
部の大径部21aよりも小径に形成されて小径部21b
とされており、この大径部21aまたは小径部21bを
上記スチールボール20の後方に位置させることにより
スピンドル3の後退可能な位置を変化させるようになっ
ている。上記スチールボール20およびロッド21を主
体として本例のモード切換え手段が構成されている。
【0028】このモード切替え手段によれば、図8にお
いて上側の凹部2bからロッド21を押し込んで「震動
モード」とすると、スチールボール20の後方には小径
部21bが位置されてスピンドル3は所定位置まで後退
可能となり、これにより前記したように回転カム13の
カム面13cと打撃カム14のカム面14cとの噛合い
状態が実現され、当該震動ドリル1を震動ドリルとして
用いることができる。図1、図8および図9はこの「震
動モード」の状態を示している。
【0029】一方、図10は「ドリルモード」に切り換
えられた状態を示している。すなわち、図8に示す「震
動モード」の状態において図示下側の凹部2bを経てロ
ッド21を押し込むと図10に示す「ドリルモード」に
切り換わる。この「ドリルモード」の状態にあっては、
スチールボール20の後方には大径部21aが位置され
るのでスピンドル3は上記「震動モード」の場合に比し
てより手前で後退を阻止されることなる。従って、この
場合には回転カム13のカム面13cと打撃カム14の
カム面14cは噛み合うことができず(打撃カム14は
ワッシャ14aに当接してそれ以上先端側に移動できな
い)、このため両カム面13c,14cが噛み合うこと
によって初めて発生する打撃は発生せず、従って当該震
動ドリル1を単なるドリルとして用いることができる。
【0030】本例は以上のような構成としたことから、
次のような作用効果を奏する。すなわち、打撃カム14
の回転カム13に対する打撃力すなわち震動の強さは、
スプリング19の弾性力を変化させることにより変化
し、スプリング19の弾性力は、リテーナ15の軸方向
の位置を変化させることにより変化する。そして、リテ
ーナ15の位置は、フロントケース4を回転してスライ
ダー17の位置を変化させることにより変化させること
ができる。従って、フロントケース4を回転させれば、
震動を大きくしまたは小さくすることができる。しかも
フロントケース4の回転量によって震動の強弱を任意に
設定できる。
【0031】このように、フロントケース4の位置およ
び回転量を調整することによって震動の強弱を設定する
構成であるので、従来のように使用者の被加工物に対す
る震動ドリルの押し付け力とは関係なく震動の強弱は設
定され、従って当該震動ドリル1の震動の強さを一定に
管理することは容易になされる。
【0032】また、フロントケース4を「震動大」の方
向へ最大限に回転させると、リテーナ15は最も打撃カ
ム14に近づき、従ってスプリング19は打撃カム14
とリテーナ15との間で完全に圧縮されて弾性機能を失
った状態となり、打撃カム14はリテーナ15すなわち
ハウジング2側に直結された状態となる。このとこか
ら、スプリングの反発力に依らない大きな震動を発生さ
せることもできる。
【0033】さらに、モード切換え手段によれば、ロッ
ド21の押込み側を選択することにより当該震動ドリル
1を「震動モード」と「ドリルモード」とに切り換えて
使用することができる。すなわち、ロッド21をハウジ
ング2の一方の凹部2bから押し込んで図8に示す「震
動モード」とすると、このロッド21の小径部21bが
スチールボール20の後方に位置される。これによりス
ピンドル3は回転カム13のカム面13cと打撃カム1
4のカム面14cが噛み合うまで後退可能となり、従っ
て震動を発生可能な状態となる。
【0034】一方、ハウジング2の他方の凹部2bから
ロッド21を逆方向に押し込んで図10に示す「ドリル
モード」とすると、スチールボール20の後方には大径
部21aが位置する。このため、上記「震動モード」の
場合に比してスピンドル3は大径部21aと小径部21
bとの半径差の分だけ手前で後退不能となる。このこと
から、打撃カム14がワッシャ14aを経てベアリング
3aに当接されてそれ以上先端側へ移動不能となってい
ることもあって、回転カム13は打撃カム14に十分接
近できないためカム面13cとカム面14cは噛合い不
能となる。そして、両カム面13c,14cが噛み合わ
ないので、回転カム13すなわちスピンドル3は打撃カ
ム14からなんら打撃を受けることなく回転する。よっ
て、この「ドリルモード」の時には当該震動ドリル1を
単なるドリルとして使用することができる。
【0035】以上説明したように、本例の震動ドリル1
によれば従来のように使用者の手加減によって震動の強
弱は変化しないので、一定の強さの震動で孔明け加工を
することができる。また、フロントケース4の回転量に
よって震動の強弱を設定する構成であるので、震動の強
さの管理が容易になる。
【0036】さらに、スプリングの反発力によらない大
きな震動を与えることもでき、逆に震動を全く与えるこ
となく単なるドリルとしても使用することができ、一台
の震動ドリル1で様々な態様の孔明け加工を施すことが
できる。
【0037】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、震動の大
きさを任意の値に簡単に設定できるばかりでなく、一旦
設定された震動の大きさを一定に保持することが容易に
なる。また、スプリングの反発力に依らないで大きな震
動を発生させることも簡単にできる。請求項2記載の発
明によれば、全く震動のない単なるドリルとして当該震
動ドリルを用いることができ、一台の震動ドリルで様々
な態様の孔明け加工を施すことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示し、震動ドリルの縦断面図
である。
【図2】図1のA−A線断面図であり、スライダーおよ
びカムケースの正面図である。
【図3】図1のB−B線断面図であり、リテーナと打撃
カムおよびスライダーとフロントケースとの関係を示す
正面図である。
【図4】スライダーの全体斜視図である。
【図5】カムケースの正面図である。
【図6】カム溝の展開側面図である。
【図7】図1のC−C線断面図であり、変速機構の縦断
面図である。
【図8】震動ドリル先端部の横断面図であり、リテーナ
が最も後退して震動が最も小さく設定された状態を示
す。
【図9】同じく震動ドリル先端部の横断面図であり、リ
テーナが最も前進して震動が最も大きく設定された状態
を示す。
【図10】ドリルモードに切り換えられた時の震動ドリ
ル先端部の横断面図である。
【符号の説明】
1…震動ドリル 2…ハウジング、2b…凹部 3…スピンドル 4…フロントケース、4a…溝部 5…モータ 10…変速機構 13…回転カム、13c…カム面 14…打撃カム、14c…カム面 15…リテーナ 17…スライダー、17b…係止アーム、17c…調整
爪 18…カムケース、18a…カム溝、18b…底面、1
8c…凹溝 19…スプリング 20…スチールボール 21…ロッド、21a…大径部、21b…小径部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸方向に移動可能なスピンドルと、この
    スピンドルに固着された回転カムと、この回転カムのカ
    ム面と凹凸係合可能なカム面を備え、前記スピンドルと
    は独立して軸方向に移動可能な打撃カムと、この打撃カ
    ムを前記回転カムに対して弾性押圧するためのスプリン
    グとを備えた震動ドリルであって、前記スプリングの他
    端を軸方向に移動可能に支持されたリテーナによって受
    け、このリテーナの軸方向の位置を外部から変更するこ
    とによって前記スプリングの弾性力を変更可能な構成と
    したことを特徴とする打撃力可変型震動ドリル。
  2. 【請求項2】 スピンドルの後退可能な範囲を規制し
    て、回転カムのカム面と打撃カムのカム面とが係合不能
    な状態を実現するためのモード切換え手段を備えたこと
    を特徴とする請求項1記載の打撃力可変型震動ドリル。
JP23033793A 1993-09-16 1993-09-16 打撃力可変型震動ドリル Pending JPH0780711A (ja)

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