JPH0780091A - 緊急避難用降下脱出装置 - Google Patents

緊急避難用降下脱出装置

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JPH0780091A
JPH0780091A JP25222493A JP25222493A JPH0780091A JP H0780091 A JPH0780091 A JP H0780091A JP 25222493 A JP25222493 A JP 25222493A JP 25222493 A JP25222493 A JP 25222493A JP H0780091 A JPH0780091 A JP H0780091A
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reel
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wire
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JP25222493A
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Toshio Okamura
俊雄 岡村
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 小型で、携帯に適し、避難者の体重の大小に
関係なく、一定速度で降下脱出できるような緊急避難用
降下脱出装置を提供する。 【構成】 ケース部材20内にリールやドラムを回転自
在に支持収容して、リールやドラムに、人体の体重を支
持可能な高張力線材60を多重に巻装してその端部をケ
ース部材外へ導出し、ケース部材内にリールやドラムを
ウォームギヤ機構を介して回転駆動する電動式回転駆動
機構を設け、ケース部材に、人体を連結支持する為のベ
ルト状吊り部材70,76を設け、緊急避難時に、高張
力線材の端部を建物側の固定部材に固定し、ベルト状吊
り部材を介してケース部材に人体を連結し、電動式回転
駆動機構によりリールやドラムを低速で回転駆動して、
高張力線材をリールから繰り出しつつ、建物の外壁に沿
って、地上へ降下脱出することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、緊急避難用降下脱出
装置に関し、特に、低層ないし高層建物(ホテル、オフ
ィスビル、デパート等々)の火災時に窓やベランダから
地上へ脱出する為の、特に携帯に便利な小型の緊急避難
用降下脱出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、緊急避難用降下脱出装置として
は、比較的低層の建物からの脱出に適用する為に、建物
内に設置される固定式の脱出装置が実用に供されてい
る。これは、合成樹脂製ロープを巻装したロープドラム
と、ロープドラムの回転をを減速する歯車機構等からな
り、脱出の際には、このロープの先端側を避難者の体に
巻き付けてから、窓やベランダ等から建物の壁に沿って
降下していくように構成されている。
【0003】一方、本願発明者は、先の特許出願、特開
昭60−137370号公報において、携帯に便利な携
帯用の緊急避難用降下脱出装置を提案した。この脱出装
置は、小型の本体ケース内に、細径の高張力線材が多重
に巻装されたリールと、このリールにブレーキ力を付加
するブレーキ機構と、ブレーキ力を調節するブレーキ力
調節機構とを設け、本体ケースに人体を支持する為のベ
ルト状吊り部材を設けたものである。この脱出装置によ
り脱出する際には、高張力線材の先端側を建物内の固定
部材に固定し、ベルト状吊り部材を避難者の体に連結
し、高張力線材をリールから繰り出しながら、窓やベラ
ンダから建物の外壁に沿って下降し、ブレーキ力調節機
構でブレーキ力を調節することにより、下降速度を適当
な速度に調節しつつ、地上まで脱出する。
【0004】他方、前記公報に記載のものと略同目的の
シリコンオイル方式の緊急避難用降下脱出装置も実用化
されている。この脱出装置では、合成樹脂製の直径5m
m程度の特殊ロープやワイヤーを、避難者に連結され避
難者と一体に下降する本体中に巻き込み、その本体中に
おいて半液体状のシリコンオイルの粘性を活用して制動
することで、低速の下降速度にて降下脱出するように構
成されているようである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の固定式の脱出装
置は、建物内に設置するのを前提しているため、大型で
携帯に適さず、ロープが建物内の装置本体から繰り出さ
れる関係上、ロープは常に窓枠等と摩擦接触することに
なるから、ロープとしては細径の高張力線材を適用でき
ず、小型化することが困難である。本発明者が提案した
前記公報に記載の脱出装置では、下降速度が、体重とブ
レーキ力とに依存するが、高所から下降中にブレーキ力
を適切に調節することが殆ど不可能であるし、また、ブ
レーキ機構の摩擦特性も変動しやすいため、適切な下降
速度を保証できないという問題がある。
【0006】前記シリコンオイル方式の脱出装置は、シ
リコンオイルの粘性を活用してブレーキ力を発生する構
成であるから、ブレーキ力にバラツキが生じやすいとい
う問題がある。そして、ワイヤーを細径化し過ぎるとブ
レーキ力が減少することから、合成樹脂製の直径5mm
程度のロープやワイヤーを活用するらしいが、このよう
に太いロープやワイヤーを活用する場合には、ロープや
ワイヤーが長くなる程装置が大型化し、携帯性に欠ける
という問題がある。本発明の目的は、小型で携帯に適
し、避難者の体重の大小に関係なく、一定速度で下降で
きるような緊急避難用降下脱出装置を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の緊急避難用降
下脱出装置は、ケース部材と、ケース部材に回転自在に
収容されたリールと、前記リールをウォームギヤ機構を
介して回転駆動可能な電動式回転駆動手段と、前記リー
ルに多重に巻装され人体の体重を支持可能な高張力線材
であって前記電動式回転駆動手段でリールを回転させな
がら外部へ繰り出し可能な細径の高張力線材と、前記ケ
ース部材に連結され人体を支持するためのベルト状吊り
部材とを備えたものである。
【0008】請求項2の緊急避難用降下脱出装置は、ケ
ース部材と、ケース部材に回転自在に収容されたドラム
と、前記ドラムをウォームギヤ機構を介して回転駆動可
能な電動式回転駆動手段と、前記ドラムに多重に巻装さ
れ人体の体重を支持可能な高張力線材であって前記回転
駆動手段でドラムを回転させながら外部へ繰り出し可能
な細径の高張力線材と、前記ケース部材に連結され人体
を支持するためのベルト状吊り部材とを備えたものであ
る。
【0009】ここで、前記電動式回転駆動手段は、前記
ウォームギヤ機構と、電動モータと、モータに給電する
為のバッテリを含む構成(請求項1に従属の請求項
3)、前記ウォームギヤ機構は、リールに一体又は別体
に形成されたウォームホイールと、このウォームホイー
ルに噛合されたウォームギヤとを含む構成(請求項1に
従属の請求項4)、前記電動式回転駆動手段は、前記ウ
ォームギヤ機構と、電動モータと、前記モータに給電す
る為のバッテリを含む構成(請求項2に従属の請求項
5)、前記ウォームギヤ機構は、ドラムに一体又は別体
に形成されたウォームホイールと、このウォームホイー
ルに噛合されたウォームギヤとを含む構成(請求項2に
従属の請求項6)、
【0010】前記張力部材は、人体の体重を支持可能な
強度を有し、建物の数階〜数十階の高さに相当する長さ
を有する高張力の金属製の単線状又はワイヤー状の線材
からなる構成(請求項4又は請求項6に従属の請求項
7)、前記張力線材は、人体の体重を支持可能な強度を
有し、建物の数階〜数十階の高さに相当する長さを有す
る高張力の合成樹脂製の単線状又はワイヤー状の線材か
らなる構成(請求項4又は請求項6に従属の請求項
8)、等の種々の態様に構成できる。
【0011】
【発明の作用及び効果】請求項1の脱出装置において
は、低層ないし高層建物に火災等が発生して、緊急避難
の必要が生じた場合、高張力線材の端部を建物内の強固
な固定物等に巻き付けて固定し、ケース部材に連結され
たベルト状吊り部材によって人体をケース部材に支持し
てから、避難者が窓やベランダ等から屋外に出て建物の
外壁に沿って下方へ降下を始める。このとき、電動式回
転駆動手段により、ウォームギヤ機構を介して、リール
を回転駆動すると、高張力線材は、リールから順次ケー
ス外へ略一定の速度で繰り出されるので、この高張力線
材の繰り出しを介して、避難者はケース部材と一緒に順
次下方へ略一定の下降速度で安全に降下脱出することが
できる。
【0012】電動式回転駆動手段により、ウォームギヤ
機構を介して、リールを回転駆動するので、避難者の体
重の影響で下降速度が変化することがなく、略一定の下
降速度で降下できるし、また、ウォームギヤ機構は、減
速率が大きいため、モータを小型化でき、装置の小型・
軽量化が可能となる。特に、高張力線材の端部を建物側
に固定し、脱出装置のケース部材及びその内部構成とと
もに下降するように構成したので、高張力線材と建物側
部材との摩擦接触で高張力線材の損傷が生じる虞がない
から、高張力線材を強度の許容範囲内において極力細径
化することが可能になる。これにより、装置を著しく小
型・軽量化でき、製作コストも安価にすることができ
る。特に、小型・軽量化は、携帯性の面で重要な要素で
ある。更に、ウォームギヤ機構は、ロック機能を有する
ため、万一、モータやその電気系統の故障時にも、落下
・墜落の虞はない。
【0013】この脱出装置は、主として、旅行者やビジ
ネスマンが常時携帯するのに適するものであるが、この
脱出装置の用途は、これに限定されるものでなく、低層
ないし高層のオフィスビル等で勤務している一般の人々
にとっても、有用なる脱出装置であり、小型・軽量な脱
出装置であるので、各自がロッカーや机の引出し等の僅
かのスペースに保管しておくことが出来る。また、ホテ
ルやデパート、又はその他の建物等において、各室毎に
その室内の人員数だけの脱出装置を常設しておくことも
望ましい。
【0014】請求項2の装置においては、高張力線材を
ドラムに巻装する点で請求項1と異なるのみで、基本的
に請求項1と同様の作用・効果が得られるが、ドラムを
活用するため、非常に長い高張力線材を巻装できる等、
設計の自由度が向上する。請求項3においては、電動式
回転駆動手段が、ウォームギヤ機構と電動モータとバッ
テリを含むので、部品点数が少なくて小スペースのケー
ス部材内に組み込むことができて、小型化を図ることが
できる。請求項4の装置においては、ウォームギヤ機構
が、リールに一体又は別体に設けられたウォームホイー
ルと、このウォームホイールに噛合されたウォームギヤ
とを含むので、電動モータの回転を効率良く減速してリ
ールに伝達することができ、また、確実な回転動力の伝
達を行うことができる。、請求項5の装置においては、
請求項3と同様の作用・効果が得られる。請求項6の装
置においては、請求項4と同様の作用・効果が得られ
る。
【0015】請求項7の装置においては、高張力線材と
して高張力の金属製の単線状又はワイヤ状の線材を使用
するので、高張力線材を細径化して、装置全体を小型化
できる。請求項8の装置においては、高張力線材として
高張力の合成樹脂製の単線状又はワイヤ状の線材を使用
しているので、装置全体の軽量化を図ることができる。
【0016】
【実施例】以下、この発明の緊急避難用降下脱出装置の
実施例について図面を参照して説明する。図1〜図3に
示すように、緊急避難用降下脱出装置10は、偏平な直
方体状のケース部材20と、ケース部材20に回転自在
に収容されたリール30と、このリール30をウォーム
ギヤ機構40を介して回転駆動可能な電動式回転駆動機
構50と、前記リール30に多重に巻装され人体の体重
を支持可能な高張力のワイヤ状の高張力線材60と、前
記ケース部材20に連結され人体を支持するベルト吊り
部材70,76とを備えている。ケース部材20はリー
ル収容空間21等を有する金属製又は合成樹脂製のケー
ス本体22と、このケース本体22に複数のビス23に
よって固定される金属製又は合成樹脂製のカバー24と
からなる。尚、軽量化の為、ケース部材20を比重の小
さな材料(例えば、アルミ合金、チタン合金、軽量で強
度に優れる合成樹脂等)で構成することが望ましい。
【0017】前記リール30は、ケース部材20のケー
ス本体22とカバー24との間に挿通された枢軸25に
ベアリング26を介して回転自在に支持されたスリーブ
31の両端に一対の同径の円盤32,33を固着した構
造であり、前記リール30において、円盤32,33の
間においてスリーブ31には、建物の数階〜数十階に相
当する長さを有する高張力線材60が多重に巻装され
て、高張力線材60の端部は、ケース部材20の外部へ
導出されている。前記高張力線材60は、単線状又はワ
イヤ状の高張力の可撓性の線材であって、金属製又は合
成樹脂製の高張力の線材(ピアノ線の単線、ピアノ線等
の高張力鋼からなる細径のワイヤ、アラミド繊維等の合
成樹脂製の高張力の単線、アラミド繊維等の高張力合成
樹脂製のワイヤ状のより線、等)で構成されている。こ
の高張力の線材を構成する材料としては、高張力線材6
0を極力細径化する為に、引張強度が約100Kg/mm×
mm以上の材料を適用することが望ましい。
【0018】次に、電動式回転駆動機構50について説
明する。この電動式回転駆動機構50は、ウォームギヤ
機構40と、ウォームギヤ機構40を介してリール30
を回転駆動する電動モータ51と、この電動モータ51
に給電する為のバッテリ52と、その他付属電気機器等
で構成されている。前記ウォームギヤ機構40は、前記
リール30の一方の円板33からなるウォームホイール
41と、このウォームホイール41の外周部の歯部41
aに噛合したウォームギヤ42等で構成されている。つ
まり、円板33の外周部の厚肉部37には、ウォームホ
イール41の歯部41aが形成されている。尚、円板3
2の外周部の歯部41aは省略可能である。前記ウォー
ムギヤ42の一端はモータ51の出力軸53に連結さ
れ、出力軸53とウォームギヤ42の他端部は、ベアリ
ング27,28によって夫々回転自在に支持されてい
る。従って、モータ51を回転駆動して、ウォームギヤ
機構40を介して、高張力線材60を繰り出す方向へリ
ール30を低速で回転駆動することができる。尚、ウォ
ームホイール41の歯部41aで高張力線材60を損傷
しないように、歯部41aの角部41b、及び、この角
部41bに対向する角部41cに丸みを付けることが望
ましい。
【0019】直流モータからなる前記モータ51の回転
速度は、バッテリ52の電圧が一定のとき一定速度とな
るが、このモータ51の回転速度と、ウォームギヤ機構
40の減速比とで、脱出下降時の下降速度が、例えば1
〜2m/sec 程度の低速となるように設定されている
が、前記の下降速度より低速又は高速に設定してもよ
い。下降脱出中におけるバッテリ52の電圧は略一定
で、モータ51の回転速度が略一定であるため、避難者
の体重に大小に係わらず、略一定の下降速度で、降下脱
出することができる。但し、モータ51へ供給する電圧
を大小2段階に切換え可能に構成して、下降速度を大小
2段階に切換え可能に構成してもよい。
【0020】ここで、仮に、人体の体重を100Kg、高
張力線材60の多重巻き部分の初期の最大半径を7cm、
ウォームホイール41の半径を10cmとすると、ウォー
ムホイール41からウォームギヤ42に作用する力は、
100×7/10Kg=70Kgとなるが、ウォームホイー
ル41とウォームギヤ42間に作用する静止摩擦係数を
約0.1、ウォームギヤ42の半径を1.5cmとし、
ウォームギヤ42のリード角を無視して、モータ51の
必要トルクTを概算すると、T=70Kg×0.1×1.
5cm=10.5Kg・cmとなり、モータ51としては、
非常に小型のモータを適用可能であることが判る。それ
故、ウォームギヤ機構40の静止摩擦係数を小さくする
程、また、ウォームホイール41を大径化する程、ま
た、高張力線材60の多重巻き部分の初期の最大半径を
小径化する程、モータ51の必要トルクを小さくしてモ
ータ51を小型化できる。但し、降下開始後には、前記
静止摩擦係数よりも格段に小さな動摩擦係数から必要ト
ルクTが決定される。
【0021】前記バッテリ52は、電動モータ51に確
実に給電可能な電気配線で接続され、バッテリ52を着
脱可能にする為に、ケース部材20の外面部には、スラ
イド可能なスライド蓋54が設けられている。次に、電
気系統の一例について説明すると、図4に示すように、
モータ51とバッテリ52を接続する回路には、起動ス
イッチとしてのスイッチ55が設けられ、バッテリ52
の電圧チェックの為にバッテリ52に並列に、発光ダイ
オード57とスイッチ58とが設けられ、発光ダイオー
ド57に並列に抵抗59が接続され、モータ51を駆動
する際に点灯する発光ダイオード56は、バッテリ52
とスイッチ55に並列接続されている。そして、スイッ
チ55と、スイッチ58と、両発光ダイオード56,5
7は、図1に示すように、ケース部材20の表面部に設
けられている。
【0022】前記の電気回路において、スイッチ58を
ONさせて発光ダイオード57を点灯させることによ
り、バッテリ52の電圧をチェックでき、また、緊急避
難の際に、スイッチ55をONにすると、モータ51に
給電されるとともに、発光ダイオード56が点灯するの
で、モータ51が作動していることが判る。
【0023】次に、ベルト状吊り部材及びその他の構成
について、補足的に説明する。図1、図2に示すよう
に、ケース部材20の上端部には、リール収容空間21
から外部に通ずる線材導出口29が形成され、この線材
導出口29の内部側の両側に案内ロール61,62が回
転自在に枢支され、リール30から繰り出される高張力
線材60が案内ロール61,62で案内されて滑らかに
繰り出される。前記高張力線材60の先端部には係止フ
ック61が取り付けられていて、高張力線材60を建物
内の固定部材(ベッド、机の脚、ドアのノブ、窓枠、水
道の蛇口、等々)に巻き付けたときに、この係止フック
61を掛けることにより、高張力線材60の端部を建物
内の固定部材に固定できるように構成されている。
【0024】次に、図1、図2に示すように、ケース部
材20の下端部の両端近傍部には、貫通孔34,34が
形成され、これらの貫通孔34,34に側面視コ字形の
ベルト支持部材71,72の枢軸73,74が夫々貫通
され、このベルト支持部材71,72にベルト状の1対
の吊りベルト70の上端部が夫々連結されている。この
吊りベルト70の下端側には、強度に優れる布製のパン
ツ75が設けられ、このパンツ75の上端部には、一般
的なベルトと略同様のバックル77付きの腰部支持用ベ
ルト76が固着され、1対の吊りベルト70の下端部
は、ベルト76に連結されている。尚、パンツ75は省
略可能であるが、パンツ75を省略する場合には、ベル
ト76を胸部の回りの脇の下に位置させて、1対の吊り
ベルト70を両手で夫々握って降下脱出することもでき
る。
【0025】従って、パンツ75をはいてからベルト7
6を締めることにより、1対の吊りベルト70を介し
て、ケース部材20に人体を支持させることができる。
尚、1対の吊りベルト70と腰部支持用ベルト76とが
ベルト状吊り部材に相当する。一方、前記ケース部材2
0の上部寄り部の左右両端近傍部には、1対の長孔3
5,36が形成され、避難者が、手の指を長孔35,3
6に入れて握り部35a,36aを左右の手で握ること
ができるように構成されている。
【0026】次に、前記の緊急避難用降下脱出装置の使
用方法と作用について説明する。ビルやホテル等に火災
等が発生して緊急降下脱出する際に、最初に、スイッチ
55を操作してモータ51を短時間だけ駆動して高張力
線材60を必要長さ分だけ繰り出す。次に、高張力線材
60の端部を建物内の固定部材等に巻き付けて係止フッ
ク61で固定し、次に、パンツ75をはき、ケース部材
20に連結された吊りベルト70とベルト76により人
体をケース部材20に支持可能な状態にする。
【0027】次に、必要に応じて高張力線材60を必要
長さ分だけ繰り出してから、避難者が窓やベランダ等か
ら建物の外壁外へ乗り出して、高張力線材60を張った
状態にし、スイッチ55を操作して電動モータ51を駆
動すると、ウォームギヤ機構40を介してリール30が
回転し、高張力線材60がリール30から順次繰り出さ
れるので、略一定の速度で降下して地上へ脱出すること
ができる。尚、モータ51の回転速度及びリール30の
回転速度は一定であるが、高張力線材60の繰り出しに
応じて多重巻き部分の径が減少していくので、降下速度
は下降する程低下し、地上に達する頃の降下速度は非常
に低速となる。
【0028】前述のように、モータ51の回転速度を略
一定に保持し、ウォームギヤ機構40を介してリール3
0が回転駆動されるため、避難者の体重の大小に関係な
く、略一定の下降速度を実現できる。そして、減速率が
大きなウォームギヤ機構40を用いるため、モータ51
の小型化が可能となるし、また、ウォームギヤ機構40
には、ロック機能があるため、降下途中において、仮に
モータ51への給電が停止しても、その位置で停止する
のみで、落下状に降下することはない。
【0029】前記吊りベルト70とベルト76とパンツ
75により、左右の手の握力に依存することなく、人体
を安定した安全な姿勢に保持できるので、降下脱出中に
苦痛を感じることもなく、大人に限らず子供等を脱出さ
せることも可能になる。また、避難者はケース部材20
の1対の握り部35aを両手で握りながら降下できるの
で、安全な状態で且つ安心して降下できる。更に、高張
力線材60の端部は、建物側に固定されているから、高
張力線材60が窓枠やベランダの手すり等と摩擦接触す
ることがないので、高張力線材60が摩耗により破損す
る虞がない。これにより、高張力線材60の細径化を図
り、脱出装置10の小型化を図ることができる。
【0030】モータ51の小型化と、その結果のバッテ
リ52の小型化と、高張力線材60の細径化とにより、
脱出装置10を小型・軽量化し、偏平化してあるので、
旅行時や出張時等における携帯に有利であり、また、脱
出装置10をホテルの各室やビル内に設置しておく際に
も、スペース的に有利である。
【0031】尚、前記電気回路において、発光ダイオー
ド57とスイッチ58とにより、バッテリ52の電圧を
チェックできるので、バッテリ52の交換に有利であ
り、発光ダイオード56とスイッチ55により、モータ
51の作動状態を確認できるので、使用前や使用中に作
動状態を確認できる。
【0032】次に、前記ウォームホイール41は、装置
の小型化の為に円板33と兼用するように構成したが、
ウオームギヤ機構40のウォームホイールを、次のよう
に構成することもできる。図5に示すように、リール3
0の円板32A,33Aの外周部に厚肉部37を形成し
て、それら厚肉部37の外周面部にウォームホイール4
1Aの歯部41aを形成する。この場合、ウォームホイ
ール41Aは、円板32A,33Aで構成されることに
なる。
【0033】図6に示すように、リール30の円盤32
B,33Bとは、独立のウォームホイール41Bが、一
方の円盤33Bの外面に固定的に設けられ、ウォームホ
イール41Bの外周部に、リール30の外周側に位置す
る筒状部45が形成され、その筒状部45にウォームホ
イール41Bの歯部41aが形成されている。図7に示
すように、リール30の円板32C,33Cとは、独立
の十分な厚さのウォームホイール41Cが、一方の円盤
33Cの外側に接近状に設けられ、ウォームホイール4
1Cの外周部に、歯部41aが形成されている。尚、ウ
ォームホイール41Cは、リール30と一体回転するよ
うに構成してある。
【0034】次に、別実施例に係る緊急避難用降下脱出
装置100について説明する。図8、図9に示すよう
に、脱出装置100は、直方体状のケース部材120
と、ケース部材120に回転自在に支持して収容された
ドラム130と、前記ドラム130をウォームギヤ機構
140を介して回転駆動可能な電動式回転駆動機構15
0と、ドラム130に多重に巻装された前記と同様の高
張力線材160であって前記回転駆動機構150でドラ
ム130を回転させながら外部へ繰り出し可能な細径の
高張力線材160と、ケース部材120に連結され人体
を支持するための吊りベルト170を含む前記実施例と
同様のベルト状吊り部材とを備えている。尚、高張力線
材160は、ケース部材120の上壁に開口された取り
出し用長孔121から上方へ導出される。
【0035】前記ドラム130は、1対の円板132,
133と、それらの中心部を連結する軸部材134と、
両円板132,133間において軸部材134に外装し
て固着されたスリーブ135を有し、軸部材134の両
端部は、ケース部材120に回転自在に枢支されてい
る。前記電動式回転駆動機構150は、電動モータ15
1と、このモータ151に給電するバッテリ152と、
モータ151の回転駆動力をドラム10に伝達する伝達
機構180と、前記実施例と同様の電気回路とを有し、
この伝達機構180は、傘歯車181,182と、ウォ
ームギヤ機構140とを備えている。
【0036】前記モータ151は、ケース部材120の
隅部のドラム130と干渉しない位置に、ドラム130
と平行に向けて配置され、モータ151の出力軸151
aは、1対の傘歯車181,182を介してウォームギ
ヤ142に連動連結されている。前記ウォームギヤ機構
140は、ウォームギヤ142と、これに噛合されたウ
ォームホイール141とからなり、ウォームホイール1
41は、一方の円板131の外側に配置されて、軸部材
143に固着されている。尚、モータ151は、固定バ
ンド190でケース部材120に固定され、バッテリ1
52も同様に、固定具によりケース部材120に固定さ
れている。
【0037】前記ケース部材120の下面には、図10
に示すように、ケース部材120の長手方向に向けて長
い凹部123が設けられ、この凹部123にコ字形の2
つの握り部材124,125が枢軸126,127によ
って、回動にて引き出し収納可能に設けられている。更
に、ケース部材120の下端部の左右両端部には、両先
端部にネジ部を有するコ字形のベルト支持部材175,
176がナット177,178によって取り付けられ、
このベルト支持部材175,176に1対の吊りベルト
170の上端部が夫々取り付けられている。
【0038】この緊急避難用降下脱出装置100の作用
及び効果については、基本的に前記実施例の緊急避難用
降下脱出装置10と同様であるが、この脱出装置100
においては、ドラム130に前記実施例のものと同様の
高張力線材160を巻装するため、建物の数十階にも相
当する長さの高張力線材160を巻装するのに適してい
る。
【0039】尚、前記ケース部材120の外形形状は、
図示のものに限定されず、種々の外形形状に構成できる
が、脱出装置100を小型化する為に、ケース部材12
0内のデッドスペースを極力小さく構成することが望ま
しい。但し、携帯用以外の脱出装置100であって、建
物内に常備しておく為の脱出装置100の場合には、ケ
ース部材120の外形は多少大きくてもよいが、この場
合、電動式回転駆動機構150に種々の変形を付加する
ことができる。例えば、電気回路に、逆転用のスイッチ
や電気回路を設け、リール130を高速で巻き取り方向
へ回転駆動可能に構成すれば、1台の脱出装置100を
順々に使用することにより、複数人の緊急降下脱出に適
用可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る緊急避難用降下脱出装置
の外観を示す斜視図である。
【図2】図1の緊急避難用降下脱出装置の縦断面図であ
る。
【図3】図2の III−III 線断面図である。
【図4】図1の緊急避難用降下脱出装置の電気系統の電
気回路図である。
【図5】変形例に係るウォームギヤ機構の要部断面図で
ある。
【図6】別の変形例に係るウォームギヤ機構の要部断面
図である。
【図7】別の変形例に係るウォームギヤ機構の要部断面
図である。
【図8】本発明の別実施例に係る緊急避難用降下脱出装
置の横断面図である。
【図9】図8の緊急避難用降下脱出装置の縦断面図であ
る。
【図10】図8の緊急避難用降下脱出装置の握り部材と
その近傍部の縦断面図である。
【図11】図10に示す握り部材の斜視図である。
【図12】図8の緊急避難用降下脱出装置の吊りベルト
の取付け部を示す縦断面図である。
【符号の説明】
10 緊急避難用降下脱出装置 20 ケース部材 30 リール 40 ウォームギヤ機構 50 電動式回転駆動手段 60 高張力線材 70 吊りベルト 76 腰部支持用ベルト 100 緊急避難用降下脱出装置 120 ケース部材 130 ドラム 140 ウォームギヤ機構 150 電動式回転駆動手段 160 高張力線材 170 吊りベルト

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケース部材と、ケース部材に回転自在に
    収容されたリールと、前記リールをウォームギヤ機構を
    介して回転駆動可能な電動式回転駆動手段と、前記リー
    ルに多重に巻装され人体の体重を支持可能な高張力線材
    であって前記電動式回転駆動手段でリールを回転させな
    がら外部へ繰り出し可能な細径の高張力線材と、前記ケ
    ース部材に連結され人体を支持するためのベルト状吊り
    部材と、 を備えたことを特徴とする緊急避難用降下脱出装置。
  2. 【請求項2】 ケース部材と、ケース部材に回転自在に
    収容されたドラムと、前記ドラムをウォームギヤ機構を
    介して回転駆動可能な電動式回転駆動手段と、前記ドラ
    ムに多重に巻装され人体の体重を支持可能な高張力線材
    であって前記回転駆動手段でドラムを回転させながら外
    部へ繰り出し可能な細径の高張力線材と、前記ケース部
    材に連結され人体を支持するためのベルト状吊り部材
    と、 を備えたことを特徴とする緊急避難用降下脱出装置。
  3. 【請求項3】 前記電動式回転駆動手段は、前記ウォー
    ムギヤ機構と、電動モータと、前記モータに給電する為
    のバッテリを含むことを特徴とする請求項1に記載の緊
    急避難用降下脱出装置。
  4. 【請求項4】 前記ウォームギヤ機構は、リールに一体
    又は別体に形成されたウォームホイールと、このウォー
    ムホイールに噛合されたウォームギヤとを含むことを特
    徴とする請求項1に記載の緊急避難用降下脱出装置。
  5. 【請求項5】 前記電動式回転駆動手段は、前記ウォー
    ムギヤ機構と、電動モータと、前記モータに給電する為
    のバッテリを含むことを特徴とする請求項2に記載の緊
    急避難用降下脱出装置。
  6. 【請求項6】 前記ウォームギヤ機構は、ドラムに一体
    又は別体に形成されたウォームホイールと、このウォー
    ムホイールに噛合されたウォームギヤとを含むことを特
    徴とする請求項2に記載の緊急避難用降下脱出装置。
  7. 【請求項7】 前記張力部材は、人体の体重を支持可能
    な強度を有し、建物の数階〜数十階の高さに相当する長
    さを有する高張力の金属製の単線状又はワイヤー状の線
    材からなることを特徴とする請求項4又は請求項6に記
    載の緊急避難用降下脱出装置。
  8. 【請求項8】 前記張力線材は、人体の体重を支持可能
    な強度を有し、建物の数階〜数十階の高さに相当する長
    さを有する高張力の合成樹脂製の単線状又はワイヤー状
    の線材からなること特徴とする請求項4又は請求項6に
    記載の緊急避難用降下脱出装置。
JP25222493A 1993-09-13 1993-09-13 緊急避難用降下脱出装置 Pending JPH0780091A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100676706B1 (ko) * 2006-03-16 2007-02-01 김종익 완강기를 갖는 구명 조끼

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