JPH0779850B2 - 予作動式スプリンクラー設備 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、隠蔽型（コンシールド型）スプリンクラーヘ
ッドを利用した予作動式のスプリンクラー設備に関す
る。

［従来の技術］ 従来、スプリンクラーヘッドを使用した消火設備と火災
感知器を使用した火災報知設備とは全く分離して設けら
れている。

［発明が解決しようとする課題］ しかしながら、このような消火設備と火災報知設備にあ
っては、スプリンクラーヘッドと火災感知器を別途設置
しなければならないので、設備コストが高く、また設置
工事も煩雑となり、更に感知器とスプリンクラーヘッド
の両方が天井面に付くので、美観上も好ましくない問題
があった。

また、予作動式のスプリンクラー設備を構成する場合に
も、別途設けた火災感知器からの信号により予作動弁を
開放するようにしていた。

本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたも
ので、隠蔽型スプリンクラーヘッドに使用されているカ
バープレートを有効に利用してスプリンクラーヘッド自
体に火災感知器として機能を持たせるようにしたスプリ
ンクラーヘッドを利用した予作動式スプリンクラー設備
を提供することを目的とする。

［課題を解決するための手段］ この目的を達成するため本発明は次のように構成する。

まず本発明は、閉鎖型スプリンクラーヘッド本体の作動
温度よりも低い温度で作動して落下するカバープレート
を備えたスプリンクラーヘッドが接続された分岐管に、
通常時消火用水の供給を阻止する予作動弁が設けられ、
該予作動弁の一次側に消火ポンプを備えると共に二次側
に逆止弁を介してコンプレッサーより圧縮空気が送ら
れ、定常監視状態で前記分岐管に圧縮空気を封じ込めて
いる予作動式スプリンクラー設備を対象とする。

このような予作動式スプリンクラー設備につき本発明に
あっては、スプリンクラーヘッド本体側にカバープレー
トの落下を検出して火災検出信号を送出するスイッチン
グ手段と、スイッチング手段からの火災検出信号を受け
て警報を行うと共に起動信号を出力する受信機とを備
え、予作動弁は、受信機からの起動信号により開放する
電磁弁と前記スプリンクラーヘッドの作動により前記分
岐管内に封じ込められていた圧縮空気が放出した際の減
圧を受けて開放する減圧作動型パイロット弁を直列に設
けた減圧起動配管を有し、電磁弁と減圧作動型パイロッ
ト弁の両方の開放時に減圧起動配管は開放されて弁を開
放するようにしたものである。

［作用］ このような構成を備えた本発明の予作動式スプリンクラ
ー設備によれば、スプリンクラーヘッドは、火災の熱を
受けると、まずカバープレートが作動して落下し、この
カバープレートの落下によりそれまで装着状態で例えば
オフしていたマイクロスイッチがオンして火災検出信号
を出力するようになる。この火災検出信号を受けた受信
機は警報を行うと共に予作動弁の減圧起動配管に設けた
電磁弁に起動信号を出力し、電磁弁を開放させる。続い
てスプリンクラーヘッドが作動すると、分岐管内に封じ
込められていた圧縮空気が放出され、分岐管内の減圧を
受けて、予作動弁の減圧起動配管に設けてある電磁弁と
直列に設けられた減圧作動型パイロット弁が開放され
る。電磁弁と減圧作動型パイロット弁の両方が開放され
ることで、減圧起動配管が開放され、これにより初めて
予作動弁が開放されて消火用水が供給される。

［実施例］ 第1A図は本発明のスプリンクラーヘッドの実施例を予作
動式スプリンクラー設備と共に示した実施例構成図であ
る。

第1A図において、10は本発明のスプリンクラーヘッドで
あり、取付金具12により天井14の取付穴16に装着されて
いる。スプリンクラーヘッド本体18の上部は分岐管20に
接続した立下り管22の端部にねじ込まれ、またスプリン
クラーヘッド本体18の中央部に感熱分解部24を組込み、
上部のガスケット（弁部材）26を支持して放水穴を閉鎖
している。この実施例の感熱分解部24はガラス管内に、
火災時の温度上昇によって膨張した結果、所定の作動温
度でガラス管が破壊するような液体を封入した速動型の
感熱分解部を使用している。この速動型の感熱分解部24
の作動温度は、例えば74℃に設定されている。

スプリンクラーヘッド18の下端部にはデフレクター28が
固定され、デフレクター28の下側に皿状のカバープレー
ト30が装着されている。即ち、第1B図に示すようにカバ
ープレート30の内側の３ケ所に略Ｌ字型の合成樹脂片33
が間にバネ板35を介して低温ハンダ32により固定されて
おり、この合成樹脂片33によりカバープレート30をデフ
レクター28に装着する。低温ハンダ32の作動温度（溶融
温度）はスプリンクラーヘッド本体18側の作動温度、即
ち感熱分解部24の作動温度より低い作動温度に設定され
ている。例えば感熱分解部24の作動温度を74℃とする
と、低温ハンダ32の作動温度は68℃に設定されている。

このようなカバープレート30を備えたスプリンクラーヘ
ッド10に対し本発明にあっては、取付金具12の右側下部
に示すようにマイクロスイッチ34が取付けられ、マイク
ロスイッチ34の先端からカバープレート30の内面にスイ
ッチノブ36が伸びており、スイッチノブ36は図示の組込
み状態でマイクロスイッチ34側に押込まれて内部のスイ
ッチ接点をオフとしており、この状態で火災による熱を
受けて低温ハンダ32が溶けカバープレート30が落下する
と、スイッチノブ36の係止が解除されて下方に突出する
ことでマイクロスイッチ34に内蔵したスイッチ接点をオ
ンし、火災検出信号を受信機60に出力するようになる。

次に本発明のスプリンクラーヘッド10を用いた予作動式
スプリンクラー設備を説明する。

スプリンクラーヘッド10に対する分岐管20には予作動弁
40が設けられ、予作動弁40の一次側は消火ポンプ42に接
続されている。予作動弁40には減圧起動配管44が設けら
れ、この減圧起動配管44に電磁弁46と減圧作動型パイロ
ット弁48を直列に設けている。

また予作動弁40の二次側に対しては逆止弁41を介してコ
ンプレッサー50より圧縮空気が送られており、定常監視
状態で予作動弁40の二次側となる分岐管20に圧縮空気を
封じ込めている。このコンプレッサー50からの配管には
減圧検出用の圧力スイッチ52が設けられ、減圧時のスイ
ッチオン信号で配管の破損等を知らせる減圧警報を出さ
せる。

消火ポンプ42はポンプ制御盤54による運転制御を受け、
水源14からの消火用水を加圧供給する。ポンプ制御盤54
はポンプ吐出側に設けた圧力タンク56のポンプ起動用の
圧力スイッチ58の減圧検出信号を受けて消火ポンプ42を
始動する。

一方、本発明のスプリンクラーヘッド10に設けたマイク
ロスイッチ34からの火災検出信号は受信機60に与えられ
ている。受信機60はスプリンクラーヘッド10に設けたマ
イクロスイッチ34からの火災検出信号を受けると、火災
警報を行うと共に予作動弁40の減圧起動配管44に設けた
電磁弁46に起動信号を出力して電磁弁46を開放させる。
また必要に応じて受信機60からポンプ制御盤54に信号を
送って消火ポンプ42の運転停止を行なうこともできる。

次に第２図の動作フロー図を参照して第1A,1B図の実施
例の動作を説明する。

まずS1で火災が発生したとすると、火災による熱をスプ
リンクラーヘッド10が受け、まずカバープレート30をデ
フレクター28に係着している合成樹脂片33の低温ハンダ
32が作動温度に達して溶融し、S2に示すようにカバープ
レート30が落下する。このカバープレート30の落下によ
りマイクロスイッチ34のスイッチノブ36のオフ状態の係
止が解除され、S3でマイクロスイッチ34のスイッチ接
点、即ち警報接点が作動し、火災受信機60に対し火災検
出信号を出力する。マイクロスイッチ34からの火災検出
信号を受けて受信機60はS4で火災警報を出す。続いて受
信機60はS5で予作動弁40の減圧起動配管44に設けた電磁
弁46に起動信号を出力し、電磁弁46を開放させる。

続いてカバープレート30が落下することでスプリンクラ
ーヘッド10の感熱分解部24の温度上昇が加速し、作動温
度に達すると感熱分解部24が自己破壊し、ガスケット26
の保持を解除することでスプリンクラーヘッド10がS6で
作動する。

このようなS1〜S6の動きに伴い並列に示すように同時に
火災が拡大していく。

S6でスプリンクラーヘッド10が作動すると分岐管20内に
封じ込められていた圧縮空気が放出され、分岐管20の減
圧を受けて減圧作動型パイロット弁48がS7で開放され
る。この時、電磁弁46は受信機60からの起動信号により
既に開いていることから、減圧起動配管44が開放され、
この減圧起動配管44の開放によりS8で予作動弁40が開放
される。

ここで２つの弁、即ち電磁弁46、減圧作動型パイロット
弁48により予作動弁40の作動が禁止されていることか
ら、通常、ダブルインターロック方式として知られてい
る。

S8で予作動弁40が開放すると、消火ポンプ42までの一次
側配管内がS9に示すように減圧し、この配管内の減圧は
圧力タンク56にも生ずることから、圧力タンク56に設け
た始動用の圧力スイッチ58がS10で作動し、ポンプ制御
盤54はS11で消火ポンプ42を始動する。S11で始動した消
火ポンプ42により水源14からの消火用水が加圧供給さ
れ、開放状態にある予作動弁40を通って分岐管20に供給
され、S6で既に開放状態にあるスプリンクラーヘッド10
から散水され、S13の消火を行なうようになる。

尚、第1A,1B図の実施例にあってはカバープレート30を
低温ハンダ32によりスプリンクラーヘッド本体側に固着
した場合を例にとるものであったが、スプリンクラーヘ
ッド本体側の作動温度より低い作動温度で変形してカバ
ープレート30の保持を解除する形状記憶金属を使用した
スプリンクラーヘッドについても全く同様に適用するこ
とができる。

また感熱分解部24として作動液をガラス管に封入した速
動型を例にとっているが、ハンダによる固着で閉鎖状態
に保持しているメカニカルリンクを使用した感熱分解部
をもつスプリンクラーヘッドであっても良いことは勿論
である。

更に第1A,1B図にあってはスプリンクラーヘッド10から
の火災検出信号とスプリンクラーヘッドに対する配管の
減圧により予作動弁を開いて消火ポンプ起動により消火
用水を加圧供給する予作動式スプリンクラー設備を例に
とるものであったが、これ以外の閉鎖型のスプリンクラ
ーヘッドを使用した適宜のスプリンクラー設備につき、
火災を検出する手段として使用することができる。

［発明の効果］ 以上説明してきたように本発明によれば、カバープレー
トの落下を検出して火災検出信号を送出するスイッチ手
段を設けることで、別途感知器を設置することなく、ス
プリンクラーヘッドを設置するだけで火災検出信号を得
ることができ、更にこの火災検出信号を利用して予作動
式スプリンクラー設備を構築できるので、設備コストが
安価で設置工事も容易となり、更に感知器を別途設ける
必要がないことから美観上も好ましいものとできる。

【図面の簡単な説明】

第1A,1B図は本発明の一実施例を予作動式スプリンクラ
ー設備と共に示した実施例構成図； 第２図は第1A図の動作フロー図である。 図中、 10:スプリンクラーヘッド 12:取付金具 14:天井 16:取付穴 18:スプリンクラーヘッド本体（SP本体） 20:分岐管 22:立下り管 24:感熱分解部 26:ガスケット 28:デフレクター 30:カバープレート 32:低温ハンダ 34:マイクロスイッチ（スイッチング手段） 36:スイッチノブ 40:予作動弁 42:消火ポンプ 44:減圧起動配管 46:電磁弁 48:減圧作動型パイロット弁 50:コンプレッサー 52:圧力スイッチ（空気減圧警報用） 54:ポンプ制御盤 56:圧力タンク 58:圧力スイッチ（ポンプ始動用） 60:受信機

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】閉鎖型スプリンクラーヘッド本体の作動温
   度よりも低い温度で作動して落下するカバープレートを
   備えたスプリンクラーヘッドが接続された分岐管に、通
   常時消火用水の供給を阻止する予作動弁が設けられ、該
   予作動弁の一次側に消火ポンプを備えると共に二次側に
   逆止弁を介してコンプレッサーより圧縮空気が送られ、
   定常監視状態で前記分岐管に圧縮空気を封じ込めている
   予作動式スプリンクラー設備であって、 前記スプリンクラーヘッド本体側に前記カバープレート
   の落下を検出して火災検出信号を送出するスイッチング
   手段と、 該スイッチング手段からの火災検出信号を受けて警報を
   行うと共に起動信号を出力する受信機とを備え、 前記予作動弁は、受信機からの前記起動信号により開放
   する電磁弁と前記スプリンクラーヘッドの作動により前
   記分岐管内に封じ込められていた圧縮空気が放出した際
   の減圧を受けて開放する減圧作動型パイロット弁を直列
   に設けた減圧起動配管を有し、該電磁弁と減圧作動型パ
   イロット弁の両方の開放時に該減圧起動配管は開放され
   て弁を開放することを特徴とする予作動式スプリンクラ
   ー設備。