JPH0779192A - 中継増幅装置の送信電力検出回路 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 自動車電話，携帯電話システムの不感地対策
として立体駐車場や地下商店街等に分散配置された無線
中継装置の送信出力に、送信電力検出回路から漏れて重
畳される３次歪成分を軽減する。 【構成】 増幅器２の送信出力Ｐ₁ に対応する電力を方
向性結合器３によって抽出し、減衰器１２を介しアイソ
レーションアンプ１３で順方向増幅した信号Ｐ₂を整流
回路１１で整流して所望の検出電圧Ｖ_D1が得られるよう
に構成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は最近急速に需要が増えた
自動車電話，携帯電話システムにおける地下商店街，立
体駐車場等の不感地対策として多数設置された無線中継
増幅装置に関し、特に、その安定なサービス維持と保守
のために付加されている遠隔監視用の送信電力検出回路
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】電波の不感地帯に設備される無線中継増
幅装置は、基地局からの下り回線電波を受信，増幅して
移動局に対して送出し、移動局からの上り回線電波を受
信，増幅して基地局に対して送出する双方向中継器であ
る。下り回線電波と上り回線電波の搬送周波数は互いに
異なる帯域に割当てられている。また、複数の移動局が
同時に通話を行うため、多周波信号を同時に増幅する中
継増幅器は、非線形歪による相互変調（ＩＭ）歪を抑圧
する数々の工夫がなされている。不感地帯に分散配置さ
れた中継増幅装置には、保守のため、あるいはその動作
を遠隔監視するために、送信電力検出回路が付加されて
いる。

【０００３】図１（Ａ）は本発明を適用する中継増幅装
置のブロック図である。図において、１，５は送受共用
アンテナに接続されたアンテナ共用器である。例えば、
下り回線信号はアンテナ共用器１から増幅器２で増幅さ
れ、方向性結合器３，アイソレータ４を経てアンテナ共
用器５に入力される。また、上り回線信号はアンテナ共
用器５から増幅器７で増幅され、方向性結合器８，アイ
ソレータ９を経てアンテナ共用器１に入力される。上
り，下りとも増幅器２及び７で増幅された送信電力は、
方向性結合器３及び８でそれぞれその一部が抽出されて
送信電力検出回路６及び１０で整流され、それぞれ送信
電力に対応した直流電圧Ｖ_D1，Ｖ_D2が得られる。

【０００４】図２は従来の送信電力検出回路６’の詳細
回路図であり、ダイオードを用いた整流回路１１で構成
されている。上り回線の送信電力検出回路１０も同様の
構成である。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上述のような従来の送
信電力検出回路の場合、送信電力に応じた所定の直流検
出電圧Ｖ_D を得るためのレベル調整は、次のような方法
で行われている。 （１）方向性結合器３の結合度を変化させる。 （２）整流回路１１のオフセット電圧（バイアス電圧）
Ｖ_B を変化させる。 この場合、送信出力レベルが大きいとき、整流回路でダ
イオードの非直線性による歪が発生する。特に、送信出
力が多周波信号のときダイオードの３次歪による相互変
調歪が帯域内に発生し、その歪成分が方向性結合器を逆
流して送信出力に重畳される場合がある。先に述べたよ
うに、中継増幅器では相互変調歪の発生を極力抑えてい
る。しかし、それにもかかわらず、その送信出力に送信
電力検出回路からの相互変調歪成分が重畳されると通信
に悪影響を及ぼし、サービスの低下をひき起こす問題が
生ずる。

【０００６】本発明の目的は、上記のような送信電力検
出回路からの漏れによる中継増幅器の出力相互変調歪の
劣化が起こらない中継増幅装置の送信電力検出回路を提
供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の中継増幅装置の
送信電力検出回路は、基地局から移動局に対する下り回
線信号および移動局から基地局に対する上り回線信号を
双方向中継増幅する中継増幅装置の送信電力を検出する
ために、増幅器からの送信出力に対応した電力を抽出す
る方向性結合器と、該方向性結合器からの抽出電力を増
幅するアイソレーションアンプと、該アイソレーション
アンプの出力を整流して前記送信出力に対応した検出電
圧を出力する整流回路とを備えたことを特徴とするもの
である。

【０００８】

【実施例】図１（Ｂ）は本発明の実施例の要部を示すブ
ロック図である。図において、６は図１（Ａ）の下り回
線の送信電力検出回路であるが、上り回線の送信電力検
出回路１０も同様の回路構成である。１２は抵抗減衰器
（ＡＴＴ）であり、１３はアイソレーションアンプであ
る。１１は従来と同じダイオードを用いた整流回路であ
る。

【０００９】アイソレーションアンプ１３は、順方向の
増幅度（利得）に対して逆方向の減衰量を大きく抑圧し
た増幅器であり、例えば、通常の増幅器では順方向の利
得が２０ｄＢのとき逆方向の減衰量が約１０ｄＢである
のに対し、減衰量が約２０ｄＢ以上に抑えられている増
幅器である。

【００１０】また、抵抗減衰器１２は、例えば、約３ｄ
Ｂの減衰量を有し、方向性結合器３への逆流を抑えると
同時にアイソレーションアンプ１３の入力インピーダン
スを安定化する機能を有する。更に、この減衰器１２の
値を調節することにより装置間のレベルのばらつきを吸
収して検出電圧Ｖ_D1またはＶ_D2の値を所望の値に設定す
ることができる。しかし、装置間のばらつきが少ない場
合は減衰器１２を省略し、整流回路１１のバイアス電圧
Ｖ_B を調整することによって目的を達成することもでき
ることはいうまでもない。

【００１１】次に、本発明の構成と従来の構成の歪成分
漏れ量を比較する。図１（Ｂ）において、増幅器２の出
力レベルをＰ₁ 、方向性結合器３の結合度を−Ｌ₁ 、Ａ
ＴＴ１２の減衰量を−Ｌ₂ 、アイソレーションアンプ１
３の利得をＧ₁ とすると、整流回路１１の入力レベルＰ
₂ は次の（１）式で示される。 Ｐ₂ ＝Ｐ₁ ＋Ｌ₁ ＋Ｌ₂ ＋Ｇ₁ ………（１） このＰ₂ の値によって検出電圧Ｖ_D1が決定される。これ
に対して、図２の従来の場合は、次式（２）で示され
る。 Ｐ₂ ＝Ｐ₁ ＋Ｌ₁ ………（２）

【００１２】一方、方向性結合器３の出力端への整流回
路１１からの歪漏れ量Ｘは、比例係数をｋとすると、Ｐ
₂ ×ｋである。従って、図２の従来回路では、Ｘ＝（Ｐ
₁ ＋Ｌ₁ ）ｋとなり、図１（Ｂ）の本発明の回路では、
Ｘ＝（Ｐ₁ ＋Ｌ₁ ＋Ｌ₂ ＋Ｇ₁ −Ｇ₃ ）ｋとなる。但
し、Ｇ₃ はアイソレーションアンプ１３の逆方向利得、
ｋは入力レベルに比例したダイオードの歪発生量であ
る。具体的な値として、Ｐ₁ ＝３０ｄＢ、Ｌ₁ ＝−２０
ｄＢの場合、図２の従来回路では、Ｐ₂ ＝１０ｄＢであ
る。これに対して図１（Ｂ）の本発明回路では、Ｇ₁ ＝
１０ｄＢ、Ｌ₂ ＝−１０ｄＢならば、Ｐ₂ ＝１０ｄＢと
なる。この場合の歪漏れ量Ｘは、それぞれ次式で示され
る。 図２の場合、Ｘ＝１０・ｋ （ｄＢ） 図１（Ｂ）の場合、Ｘ＝（３０−２０−１０−Ｇ₃ ）・
ｋ （ｄＢ） Ｇ₃ は一般的に２０〜３０ｄＢなので、Ｇ₃ ＝２０ｄＢ
とすると、本発明の回路では、Ｘ＝−２０・ｋ（ｄＢ）
となり、大幅に漏れ量が改善される。

【００１３】また、Ｐ₁ に対して、検出電圧Ｐ_D1が所望
の電圧に満たない場合、Ｌ₂ ＜Ｇ₁とし、その逆なら
ば、Ｌ₂ ＞Ｇ₁ とすればよい。これは、アイソレーショ
ンアンプ１３のダイナミックレンジを充分大きくすれば
よい。

【００１４】

【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明を実
施することにより、送信出力に対応する検出電圧の設定
範囲が広くなり、しかも、整流回路で発生する３次歪成
分が中継増幅装置の送信出力に及ぼす影響を著しく軽減
することができるため、実用上の効果は極めて大きい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を適用する中継増幅装置のブロック図と
本発明の要部詳細ブロック図である。

【図２】従来の送信電力検出回路のブロック図である。

【符号の説明】

１，５ アンテナ共用器 ２，７ 増幅器 ３，８ 方向性結合器 ４，９ アイソレータ ６，１０ 送信電力検出回路 １１ 整流回路 １２ 減衰器 １３ アイソレーションアンプ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｈ０４Ｂ 17/00 Ｇ 7406−5Ｋ (72)発明者 小田 順一郎 秋田県南秋田郡天王町天王字長沼64 五洋 電子工業株式会社内 (72)発明者 杉本 和幸 秋田県南秋田郡天王町天王字長沼64 五洋 電子工業株式会社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 基地局から移動局に対する下り回線信号
   および移動局から基地局に対する上り回線信号を双方向
   中継増幅する中継増幅装置の送信電力を検出するため
   に、 増幅器からの送信出力に対応した電力を抽出する方向性
   結合器と、 該方向性結合器からの抽出電力を増幅するアイソレーシ
   ョンアンプと、 該アイソレーションアンプの出力を整流して前記送信出
   力に対応した検出電圧を出力する整流回路とを備えたこ
   とを特徴とする中継増幅装置の送信電力検出回路。