JPH0779108A - 誘電体共振器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、誘電体共振器の共振周波数の微妙な
調整を可能にしつつ、共振器の小型化と軽量化、さらに
は実装空間の利用効率の向上を図ることのできる誘電体
共振器を提供することを目的とする。 【構成】本発明は、上面に誘電体共振素子を配した誘電
体基板の上部空間を導電シールドケースにより収容した
誘電体共振器において、導電シールドケースの一部に間
隙を設け、前記誘電体共振素子上方かつ前記間隙下方に
おいて傾斜を有する誘電体板を配設することで前記共振
素子を封止し、前記間隙より挿入される金属導体板を設
けたことを特徴とする。 【効果】誘電体共振器の共振周波数の微妙な調整を可能
にしつつ、共振器の小型化と軽量化、さらには実装空間
の利用効率の向上を図ることが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、特にマイクロ波帯で使
用される誘電体共振器に係り、特に共振周波数調整機構
を備えた誘電体共振器に関する。

【０００２】

【従来の技術】衛星通信や移動体通信においてマイクロ
波周波数帯に適合する共振器として用いられる誘電体共
振器はセラミック等の強誘電体によって形成され、結合
回路と組み合わせ、これを導電性の金属ケース内に収容
して共振器を構成しており、この共振器の共振周波数は
誘電体の誘電率や外形寸法によって決定される。

【０００３】しかし、誘電体の外形寸法を適宜加工して
所望の共振周波数に調整するには、誘電体として主に用
いられるセラミックが硬質材料であるためにその切削加
工はかなり難しく、また外形寸法の加工によって所望の
共振周波数に調整するには調整幅に限度があり、精度良
く微調整を行い得ない。そこで誘電体共振器に共振周波
数の微調整が行えるような構成を持たせる必要が生じ
る。

【０００４】ところで、誘電体共振器は、外部から導電
性の物質を遠近させると、外的条件の変化の影響によっ
て共振周波数が変動することが知られている。この性質
を用いて、従来、誘電体共振器の共振周波数を調整する
方法として、誘電体共振素子上方より金属導体を接離さ
せることによって、共振周波数の調整を行う技術が開示
されている（実公昭６１−４１２８６、特開昭６３−１
５５０４）。

【０００５】例えば図３に示すように誘電体基板１上に
スペーサ２を介して誘電体共振素子３が固設され、該誘
電体基板１の裏面を接地導体とする導体底板４に接合固
定するとともに、該誘電体基板１の外周を含む直上空間
を導電シールドケース５によって包被し、更に該誘電体
共振素子３の直上に対向する該導電シールドケース５の
天蓋にあたる上面壁に、周波数調整ねじ６を回転可能に
螺合させ、該ねじ６を回動操作することにより、該誘電
体共振素子３に対する離間長を可変に構成している。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来の技
術においては、周波数調整用のねじ６の上部がシールド
ケース５上面に突出してしまう。また、調整ねじを支持
し、且つそのネジ孔を刻設するためにシールドケースの
肉厚にも一定の制限を受け、言い換えれば薄肉化が困難
である。従って誘電体共振器自体の小型軽量化が妨げら
れ、しかも機械的振動によるねじの弛みに基づく共振周
波数の不安定化を生ずる等の障害があった。

【０００７】また実装時においても、前記調整用ねじを
回動するために実装空間を必要とし、実質的な実装効率
が低下してしまう。

【０００８】本発明の目的はかかる従来技術の欠点に鑑
み、誘電体共振器の共振周波数の微妙な調整を可能にし
つつ、共振器の小型化と軽量化、更には実装空間の利用
率の向上を図ることの出来る誘電体共振器を提供するこ
とにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記技術的課
題を解決するために、図１乃至図２に示すように、シー
ルドケース上部の適当な位置に間隙を設けるとともに、
誘電体共振素子上方の空間において前記誘電体共振素子
の上部かつ前記間隙の下部の領域内に傾斜を有する誘電
体板を設置することによって前記誘電体共振素子を前記
シールドケース及び誘電体板によって封止する構造、言
い換えるならば、前記シールドケースの内部空間を前記
誘電体板によって、前記誘電体共振素子が封止される領
域と前記シールドケースにおける前記間隙の存在する領
域とに分離されている構造において、金属導体板を前記
間隙より挿入して誘電体共振器を構成したことを特徴と
する。

【００１０】ここで傾斜を有する誘電体板とは、例えば
図１に示す台形状に限定されるものではなく、結果的に
この誘電体板上面に沿って、金属導体板が移動すること
によって誘電体共振素子と前記金属導体板との垂直距離
を変化させられるような形状であれば良い。

【００１１】

【作用】かかる構成によれば、金属導体板を側面から移
動させることによって調整が可能となり、従来技術に示
すようにシールドケース上面に周波数調整用ねじが突出
することがなく、しかもシールドケース天井下方空間に
も垂直方向に進退する導体が配設されることもなくなる
ので、シールドケースの薄肉化が容易に達成される。さ
らには、調整ねじを支持するためのねじ孔等を刻設する
必要も生じないために、シールドケースの肉厚にも制限
を受けず容易に薄層化が達成される。

【００１２】また、これに加えて上部突出部分がないた
めに実装時の空間利用効率を向上させることが可能にな
る。

【００１３】そして調整後は、シールドケースと所望の
共振周波数を実現する金属導体板を固定することによっ
て機械的振動によって変動等が生じることがなく、共振
周波数の安定化を実現できる。

【００１４】また本発明は傾斜を有する誘電体板上にお
ける金属導体板の位置移動により誘電体共振素子との間
の相対距離を連続的に可変させることができ、しかも誘
電体板の傾斜角度や、誘電率を任意に設定することによ
り、その物理的距離あるいは電気的距離の可変幅も任意
に設定することができ、これにより任意の可変範囲にお
いて共振周波数を精度よく且つ再現性よく連続的に調整
することが可能となる。

【００１５】これらにより、製品としての製造工程にお
いて各構成部材を組み立てつつ周波数調整作業を連続的
かつ高能率に行うことができるとともに、安定した品質
の小型軽量な誘電体共振器を得ることが出来る。

【００１６】

【実施例】以下に図面を用いて本発明の好適な実施例に
ついて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に
記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その他相
対配置等、特に特定的な記載がない限り、この発明の範
囲をそれのみに限定する主旨ではなく、単なる説明例に
過ぎないものである。

【００１７】図１乃至図２は、本発明の実施例に係わる
誘電体共振器を示し、図１は縦断面図、図２は斜視図を
それぞれあらわしている。

【００１８】同図において、誘電体共振素子３は誘電体
基板１上に固設されており、そして該基板１は、上壁の
一部に間隙７が設けられたシールドケース５内に収容さ
れている。

【００１９】該シールドケース５は、傾斜を有する誘電
体板８によって、該共振素子３の存在する領域と該間隙
７の存在する領域が隔てられており、これにより共振素
子３は、シールドケース５及び誘電体板８によって機密
に封止されることになる。

【００２０】また間隙７より挿入される金属導体板９は
誘電体板８上において変位可能に取り付けられるように
なっており、該誘電体板８の傾斜に沿った移動が自由な
構造となっている。

【００２１】かかる状態において、本発明による共振器
を治具に組み込んだ上で、金属板９を移動させながら、
金属導体板９の傾斜方向にわたる長さを所望の共振周波
数を実現するように調整した後に金属導体板９を前記シ
ールドケース５に導電性接着することによって所望の共
振周波数を得ることが可能となる。

【００２２】すなわち図１の状態から金属導体板９を誘
電体板８に沿って移動させることにより、共振素子３と
の相対的な位置関係を連続的に変化させることが出来
る。

【００２３】したがって金属導体板９を移動させなが
ら、共振周波数を測定し、所望の位置を決め、必要に応
じて金属導体板９の長さを調整した後、シールドケース
５と金属導体板９との接着によって固定することにより
組立及び周波数調整作業が円滑且つ能率的に遂行される
ことになり、その結果、高歩留りでかつ安定した高品質
の誘電体共振器を提供する事が出来る。

【００２４】なお、前記誘電体板８の傾斜角度を任意に
設定することによって、前記誘電体共振素子３と前記金
属導体板９との物理的な相対位置を任意に設定できると
同時に前記誘電体板８の誘電率をかえることにより、電
気的な相対関係をも変化させることができるので、設計
上および組立上も有利である。

【００２５】

【発明の効果】以上説明したように本発明の構成ならび
に方法によれば、前記した誘電体共振器の共振周波数の
微妙な調整を可能にしつつ、共振器の小型化と軽量化、
さらには実装空間の利用効率の向上を図ることができる
等の種々の著効を奏せしめることが可能となる

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す縦断面図。

【図２】本発明の一実施例を示す斜視図。

【図３】従来例を示す縦断面図

【符号の説明】

１ 誘電体基板 ２ スペーサ ３ 誘電体共振素子 ４ 導体底板 ５ シールドケース ６ 周波数調整ねじ ７ 間隙 ８ 誘電体板 ９ 金属導体板

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】上面に誘電体共振素子を配した誘電体基板
   の上部空間を導電シールドケースにより収容した誘電体
   共振器において、前記導電シールドケースのの一部に間
   隙を形成し、前記誘電体共振素子上方でありかつ前記間
   隙下方に前記誘電体基板に対し傾斜を有して誘電体板を
   配設することで前記共振素子を封止し、前記間隙から金
   属導体板を挿入し前記誘電体基板上を変位可能に構成し
   たことを特徴とする誘電体共振器。