JPH077899B2 - 音質調整装置 - Google Patents

音質調整装置

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JPH077899B2
JPH077899B2 JP62319452A JP31945287A JPH077899B2 JP H077899 B2 JPH077899 B2 JP H077899B2 JP 62319452 A JP62319452 A JP 62319452A JP 31945287 A JP31945287 A JP 31945287A JP H077899 B2 JPH077899 B2 JP H077899B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、任意の振幅周波数特性及び位相周波数特性を
実現するトランスバーサル・フィルタ(以下、FIRフィ
ルタと呼ぶ)を用いた音質調整装置に関するものであ
る。
従来の技術 近年、音響装置のディジタル化に伴ない、FIRフィルタ
を用いたイコライザの開発が求められている。
しかし従来、振幅周波数特性と位相周波数特性を一つの
FIRフィルタにより、それぞれ独立に制御することはで
きなかった。
第11図に、従来の振幅周波数特性のみを制御することが
できるFIRフィルタを用いた音質調整装置のブロック図
を示す。第11図において、1は任意の振幅周波数特性|H
(ω)|を入力する振幅入力手段、5は入力された振幅
周波数特性を伝達関数としてこの伝達関数を逆フーリエ
変換することによりフィルタ係数を求める逆フーリエ変
換手段、6は求まったフィルタ係数をFIRフィルタに設
定する設定手段、7は実際に与えられた振幅周波数特性
を実現するFIRフィルタ、8はFIRフィルタ7に信号を入
力する信号入力手段、9はFIRフィルタ7により処理さ
れた結果を出力する信号出力手段である。
希望する振幅周波数特性|H(ω)|は、振幅入力手段1
により入力される。第12図Aに入力された振幅周波数特
性の例を示す。第12図Aにおいて、黒丸で入力ポイント
を示している。
次に、逆フーリエ変換手段5において伝達関数 H(ω)=|H(ω)| ……(1) としてH(ω)を逆フーリエ変換することによりフィル
タ係数(H(ω)に対するインパルス応答)を求めるこ
とができる。
逆フーリエ変換は、次式のように実行する。
h(n)=1/N×ΣH(ω)×ejωn ……(2) (ω=2π/N×K 0≦n≦N−1) (2)式で求まったh(n)はフィルタ係数として設定
回路6によって、FIRフィルタ7に設定され、ここで与
えられた振幅周波数特性が実現されることとなる。位相
周波数特性は(1)式で伝達関数を与えたことにより直
線位相となる。
発明が解決しようとする問題点 しかしながら第11図で示した従来例では、最初に述べた
ように任意の振幅周波数特性は実現できるが、位相周波
数特性はFIRフィルタのタップ係数の数により一義的に
決まる直線位相となり、位相周波数特性は任意に設定す
ることはできないという欠点があった。また、ある回路
が持つ振幅位相特性を平坦特性となるように補正しよう
とすると回路の振幅,位相特性を測定してこれを振幅お
よび位相入力手段で入力しなければならなかった。
本発明は、上記問題点に鑑み、任意の振幅周波数特性と
任意の位相周波数特性をそれぞれ独立に設定でき、また
入力されたインパルス応答信号より入力インパルス応答
信号と逆の特性の振幅,位相特性をもつ伝達関数が簡単
に求められ、これを装置の入力手段で入力された振幅位
相特性に足し合わせた振幅位相特性を実現するFIRフィ
ルタによる音質調整装置を提供するものである。
問題点を解決するための手段 上記問題点を解決するため本発明は、任意の振幅周波数
特性を入力する振幅入力手段と、位相周波数特性を入力
する位相入力手段と、入力された振幅,位相周波数特性
より伝達関数を演算する入力伝達関数演算手段と、イン
パルス信号を発生する手段と、信号入力手段から入力さ
れた前記インパルス信号に対するインパルス応答波形の
記憶手段と、記憶されたインパルス応答のフーリエ変換
手段と、フーリエ変換手段で得られた伝達関数の共役伝
達関数演算手段と、共役伝達関数演算手段で求まった伝
達関数の各周波数での位相特性を保存したままそのスカ
ラー(振幅)値がもとのスカラー(振幅)値の逆数とな
る伝達関数を求める逆振幅伝達関数演算手段と、入力伝
達関数演算手段で求まった伝達関数と逆振幅伝達関数演
算手段で求まった伝達関数とを周波数軸上あるいは時間
軸上でたたみ込みを行うたたみ込み手段と、たたみ込み
手段により求ったインパルス応答をフィルタ係数として
トランスバーサルフィルタに設定する設定手段と、設定
された係数のフィルタを実現するトランスバーサル・フ
ィルタとを具備し、信号入力手段によって入力された信
号をトランスバーサル・フィルタを介して音質調整する
構成となっている。
作用 本発明は上記した構成により、振幅入力手段及び位相入
力手段により希望する振幅周波数特性,位相周波数特性
が入力されこれより入力伝達関数がもとめられる。ま
た、信号入力手段で入力された接続される機器あるいは
音場のインパルス応答データをフーリエ変換し、共役伝
達関数演算手段及び逆振幅伝達関数演算手段で前記入力
されたインパルス応答とは逆の振幅,位相特性を持つ伝
達関数を求め、これと入力伝達関数とをたたみ込むこと
により音質調整器に接続された機器あるいは音場の特性
を補正し、入力された振幅,位相特性を機器の出力ある
いは音場で実現できるインパルス応答がトランスバーサ
ルフィルタ係数として求まり、これがフィルタ係数とし
てトランスバーサル・フィルタに設定されることにより
入力手段により入力された希望の特性が実現されるもの
である。
実 施 例 以下、本発明の一実施例について図面を参照しながら説
明する。
第1図は、本発明の一実施例における音質調整装置のブ
ロック図を示すものである。
第1図において、1は振幅周波数特性を入力する振幅入
力手段、2は位相周波数特性を入力する位相入力手段、
3は入力された振幅・位相周波数特性から伝達関数を求
める入力伝達関数演算手段、11は信号入力手段8から入
力されたインパルス応答波形を記憶する記憶手段、12は
記憶手段11に記憶されているインパルス応答波形を周波
数軸伝達関数に変換するフーリエ変換手段、13はフーリ
エ変換手段12で求まった伝達関数の共役伝達関数を求め
る共役伝達関数演算手段、14は共役伝達関数演算手段13
で求まった共役伝達関数のそれぞれの周波数について、
その位相値を保存したまま振幅値をもとの振幅値の逆数
値にする逆振幅伝達関数演算手段、4は入力伝達関数演
算手段3及び逆振幅伝達関数演算手段14で求まった両伝
達関数を周波数軸上あるいは時間軸上でたたみ込み演算
を行い、時間軸上でインパルス応答係数を求めるたたみ
込み手段、6はたたみ込み手段4で求まったインパルス
応答係数をFIRフィルタ7にフィルタ係数として設定す
る設定手段、10は信号入力手段8に入力されるインパル
ス応答波形を求めるために、音質調整装置に接続される
機器あるいは音場に入力するためのインパルスを発生す
るインパルス発生手段、15はFIRフィルタ7の出力信
号、インパルス信号のいずれかを選択するスイッチであ
る。
以下、本実施例の動作について図面に従って説明する。
第2図はインパルス発生手段10より発生されたインパル
ス信号が信号出力手段9、デジタル・アナログ変換器1
6、電力増幅器17を経てスピーカ18に供給される。マイ
クロホン19にはスピーカ18と音場30がもつ両特性がたた
み込まれたインパルス応答波が入力され、マイクアンプ
20、アナログ・デジタル変換器21を介して信号入力手段
1にインパルス応答波形が入力され記憶手段11に記憶さ
れる。第3図aに入力されたインパルス応答波形を示
す。これをフーリエ変換した結果が第3図bであり、R
は伝達関数の実数項、Iは虚数項である。●,×は標本
化周波数ポイントを示す。横軸は周波数でπはサンプリ
ング定理でいうナイキスト周波数であり0〜πの範囲で
伝達関数を示している。フーリエ変換後の伝達関数は0
〜2πの範囲で求まり実数項はπに対して偶関数,虚数
項は奇関数であることは衆知のことであるので0〜πの
範囲で示した。当然π〜2πの範囲についても0〜πと
同様の演算操作を行うものである。フーリエ変換手段12
の結果は第3図bで示されるが、この伝達関数を共役伝
達関数演算手段13を通すことにより、第3図cで示され
る伝達関数が求められる。これを振幅A及び位相で表
わしたものが第4図aである。逆振幅伝達関数演算手段
14に第4図aで示した伝達関数を通すことにより、第4
図bで示される伝達関数が求まる。第4図bに示される
伝達関数の各周波数での位相は第4図aと同じ、各周
波数での振幅A′は第4図aの各周波数での振幅Aの逆
数1/Aである。
一方、振幅入力手段1、位相入力手段2で入力された振
幅特性,位相特性をもとに入力伝達関数演算手段13で求
めた伝達関数の一例を第5図に示す。簡単のため位相項
は全てゼロに等しいとした。
第4図bの伝達関数と第5図の伝達関数をたたみ込み手
段4でたたみ込んで得た結果を設定手段6を介してFIR
フィルタ7に設定することにより音質調整器は第6図a
で示すインパルス応答波形を持つ特性を持ち第2図のマ
イクロホン19位置でのインパルス応答は第6図cで示し
たように軸対称型のインパルス応答となる。すなわち直
線位相特性となり第3図bで示した伝達関数が持つ位相
歪も補正できたことを示している。第6図bはスピーカ
19、音場30のインパルス応答である。もちろん第5図に
示した入力された位相特性が平坦でなければ入力された
位相特性が実現される。また、マイクロホン19の位置で
の振幅特性は、第4図aで示した振幅歪が補正され、そ
の上に第5図に示した振幅特性が実現される。すなわ
ち、スピーカ18と音場30が持つ特性が補正されマイクロ
ホン19の位置では第5図で示した特性と同一の特性が得
られる。
第7図にたたみ込み手段40の他の実施例を示す。401は
周波数軸上でのたたみ込みを行う周波数軸上たたみ込み
手段であり、402は周波数軸上たたみ込み手段401で求ま
った伝達関数を逆フーリエ変換する逆フーリエ変換手段
である。周波数軸上たたみ込み手段401の主な演算は各
周波数ポイントでの複素数乗算である。
第8図にたたみ込み手段41第2の実施例を示す。403,40
4は逆フーリエ変換を行う逆フーリエ変換手段であり、4
05は逆フーリエ変換手段403,403で求まったインパルス
応答実数項の時間軸上でのたたみ込み演算を行う時間軸
上たたみ込み手段である。
第9図に本発明の第2の実施例を示す。30は記憶手段11
に記憶されたインパルス応答波形にハミング,ハニン
グ,矩形窓等の窓関数を乗ずる窓関数手段である。イン
パルス応答波形には音場特性の場合、非常に遅れた反射
波が含まれる場合が多くある。この様な反射波を含めた
音場特性の補正を行うことが良い場合もあるが、かえっ
てこの非常に遅れてくる反射波を無視して補正を行った
方が音質として良好な結果が得られることが多い。第10
図aに記憶手段11に記憶されたインパルス応答波形を、
第10図bに窓関数手段30により乗算される窓関数を、第
10図cにフーリエ変換手段12に入力される窓関数手段30
の出力波形を示す。
発明の効果 以上のように本発明によれば、本音質調整装置が接続さ
れる機器あるいは音場の持つ振幅,位相周波数特性を共
に補正し平坦にできると共に、振幅,位相入力手段で入
力された振幅,位相特性を接続された機器の出力、ある
いは音場での音圧として容易に実現できるものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の第1の実施例における音質調整装置の
ブロック図、第2図は音質調整装置でスピーカ及び音場
の特性を含んだインパルス応答波形を測定する場合のブ
ロック図、第3図,第4図は本発明の伝達関数変換の特
性図、第5図は入力伝達関数を示す特性図、第6図は本
装置FIRフィルタに設定されるFIRフィルタ係数の形状及
びこの形状のインパルス波が音場にスピーカを介して発
せられた時、マイクロホン位置でのインパルス応答波形
図、第7図,第8図はたたみ込み手段の構成例を示すブ
ロック図、第9図は本発明の第2の実施例のブロック
図、第10図はインパルス応答波形に対する窓関数乗算処
理を説明するための波形図、第11図は従来の音質調整装
置のブロック図、第12図は同入力状態を示す周波数特性
図である。 1……振幅入力手段、2……位相入力手段、3……入力
伝達関数演算手段、4……たたみ込み手段、6……設定
手段、8……信号入力手段、9……信号出力手段、10…
…インパルス発生手段、11……記憶手段、12……フーリ
エ変換手段、13……共役伝達関数演算手段、14……振幅
伝達関数演算手段、15……スイッチ。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】任意の振幅周波数特性を入力する振幅入力
    手段と、位相周波数特性を入力する位相入力手段と、入
    力された振幅・位相周波数特性により伝送関数を演算す
    る入力伝達関数演算手段と、インパルス信号を発生する
    手段と、信号入力手段から入力された前記インパルス信
    号に対するインパルス応答波形を記憶する記憶手段と、
    記憶されたインパルス応答波形のフーリエ変換手段と、
    前記フーリエ変換手段で得られた伝達関数の共役伝達関
    数を演算する共役伝達関数演算手段と、前記共役伝達関
    数演算手段で求まった伝達関数の各周波数での位相特性
    を保存したままその振幅値がもとの振幅値と逆数となる
    伝達関数を求める逆振幅伝達関数演算手段と、前記入力
    伝達関数演算手段で求まった伝達関数と前記逆振幅伝達
    関数演算手段で求まった伝達関数とをたたみ込み演算を
    行うたたみ込み手段と、たたみ込み手段で得られたトラ
    ンスバーサルフィルタ係数をトランスバーサルフィルタ
    に設定する設定手段と、設定された係数のフィルタを実
    現する前記トランスバーサルフィルタとを具備し、前記
    信号入力手段によって入力された信号を前記トランスバ
    ーサルフィルタを介して音質調整する音質調整装置。
  2. 【請求項2】たたみ込み手段は、入力伝達関数演算手段
    で求まった伝達関数と逆振幅伝達関数演算手段で求まっ
    た伝達関数を周波数軸上でたたみ込むことにより得た伝
    達関数を逆フーリを変換することを特徴とする特許請求
    の範囲第1項記載の音質調整装置。
  3. 【請求項3】たたみ込み手段は、入力伝達関数演算手段
    で求まった伝達関数及び逆振幅伝達関数演算手段で求ま
    った伝達関数を共に逆フーリエ変換し、逆フーリエ変換
    後の実数項を用いて時間軸上のたたみ込みを行うことを
    特徴とする特許請求の範囲第1項記載の音質調整装置。
  4. 【請求項4】記憶手段に記憶されたデータに窓関数を乗
    ずる窓関数手段を持ち、前記窓関数手段の出力をフーリ
    エ変換することを特徴とする特許請求の範囲第1項記載
    の音質調整装置。
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