JPH0777523A - クロロシラン類中の超微量リンの定量方法 - Google Patents

クロロシラン類中の超微量リンの定量方法

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JPH0777523A
JPH0777523A JP24754593A JP24754593A JPH0777523A JP H0777523 A JPH0777523 A JP H0777523A JP 24754593 A JP24754593 A JP 24754593A JP 24754593 A JP24754593 A JP 24754593A JP H0777523 A JPH0777523 A JP H0777523A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 クロロシラン類に酸化剤を加えてクロロシラ
ン類に含まれるリン化合物をオキシ三塩化リンに転換さ
せた後、このオキシ三塩化リンをクロロシラン類から分
離し、次いで分離したオキシ三塩化リンを定量すること
を特徴とするクロロシラン類中の超微量リンの定量方
法。 【効果】 本発明の定量方法は下記のような利点を有す
る。 (1)特定の形態に着目した定量方法であるため、本質
的に分析環境からのコンタミネーションを受けず、超微
量分析を行う際に行われる試験室のクリーン化が必要は
ない。 (2)%オーダー〜2pptまで精度よく定量でき、適
用濃度範囲が極めて広い。 (3)迅速である(30分以内/1件が可能である)。 (4)分析に要する試料量は、通常わずかに1mlで済
む。 (5)試料有姿をそのまま直接、分析する方法として
は、最高感度を持つ方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、トリクロロシラン及び
テトラクロロシラン等のクロロシラン類に含まれる超微
量のリンを高精度で、かつ迅速に定量する方法に関し、
特に半導体用クロロシラン類中に含まれるリンの定量に
好適な超微量リンの定量方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来か
ら、リンの定量法としては、化学分析法、機器分析法な
どの多くの方法が採用されているが、半導体用クロロシ
ラン類(ノンドープレベル)中に含まれるリンの量はp
ptレベルの超微量であるため、適用できる分析法がな
かった。また、ppbレベルまでのリンを定量する場
合、前処理及び濃縮を高度にクリーン化(0.3μm対
応、クラス1)した環境において、上記化学分析法及び
機器分析法のうちの多種類の分析法を適用することがで
きるが、いずれの分析法を用いた場合も分析にかかるコ
ストは膨大であり、また処理時間も多く要するため、迅
速性に欠けるという問題があった。
【0003】ところで、従来、リンの測定方法として、
揮発性リン化合物を検出して定量する炎光光度検出器付
きガスクロマトグラフィー装置(FPD)を使用する測
定方法があるが、上記半導体用クロロシラン類中のリン
含有量をFPDを用いて測定した場合、以下の問題点が
生じる。 (1)要求される測定感度に到達しない。 (2)測定試料を水素炎と混合燃焼させるため、クロロ
シラン類から生成するSiO2粉が検出器の光路中に堆
積してしまい、このため測定感度が低下し、最終的には
全く感度がなくなってしまう。
【0004】本発明は上記事情に鑑みなされてもので、
トリクロロシラン及びテトラクロロシラン等の特に半導
体用のクロロシラン類に含まれる超微量のリンを高精度
で、かつ迅速に定量する方法を提供することを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者は上記
目的を達成するため鋭意検討を行った結果、トリクロロ
シラン及びテトラクロロシラン等のクロロシラン類に過
酸化水素、硝酸、過マンガン酸カリウム、過ヨウ素酸カ
リウム、過ヨウ素酸塩等の酸化剤の1種又は2種以上を
加え、上記クロロシラン類中に含まれるリン化合物を高
沸誘導体化してオキシ三塩化リンに変化させ、該オキシ
三塩化リンを上記クロロシラン類から分離して濃縮し、
該濃縮したオキシ三塩化リンを定量することにより、ト
リクロロシラン及びテトラクロロシラン等のクロロシラ
ン類に含まれる超微量のリンを高精度で、かつ迅速に定
量することができることを知見した。
【0006】即ち、本発明者は、ガスクロマトグラフ質
量分析装置を用いてクロロシラン類中のリン化合物を定
性した結果、三塩化リンPCl3(沸点75℃)とオキ
シ三塩化リンPOCl3(沸点105℃)の2種のリン
化合物が含まれること、かつ三塩化リンは経時に従って
徐々にオキシ三塩化リンに転換することを知見した。即
ち、後述する表1に示すように20ppmの三塩化リン
は72時間で約3%の転換率を有するものであった)。
【0007】このような知見から、更に検討を進めた結
果、、クロロシラン類中のリン化合物(特に三塩化リ
ン)をオキシ三塩化リンに積極的に転換させ、高沸点誘
導体化を計ることにより、このオキシ三塩化リンをクロ
ロシラン類から容易に分離し得、この分離したオキシ三
塩化リンを定量すれば、定量装置として上記FPDを用
いた場合もFPDがコンタミネーションを受けることが
ないこと、また上記三塩化リンのオキシ三塩化リンへの
転換には酸化剤を用いることが迅速性、確実性などの点
から有利であることを知見し、本発明をなすに至ったも
のである。
【0008】従って、本発明は、クロロシラン類に酸化
剤を加えてクロロシラン類に含まれるリン化合物をオキ
シ三塩化リンに転換させた後、このオキシ三塩化リンを
クロロシラン類から分離し、次いで分離したオキシ三塩
化リンを定量することを特徴とするクロロシラン類中の
超微量リンの定量方法を提供する。
【0009】以下、本発明につき更に詳述すると、本発
明のクロロシラン類中の超微量リンの定量方法は、まず
クロロシラン類に酸化剤を加えてクロロシラン類中のリ
ン化合物(主として三塩化リン)をオキシ三塩化リンに
100%転換させる。
【0010】この場合、本発明法が適用されるクロロシ
ラン類としては、トリクロロシラン、テトラクロロシラ
ン、ジクロロシランなどが挙げられる。
【0011】また、酸化剤としては、三塩化リンをオキ
シ三塩化リンに転換し得るものであればよいが、特に過
酸化水素、硝酸、過マンガン酸カリウム、過ヨウ素酸カ
リウム、過ヨウ素酸が好ましく、中でも過酸化水素及び
硝酸が転換速度の点から好ましい。なお、酸化剤の添加
量、処理時間は特に制限されず、所用量の酸化剤を用い
て三塩化リンからオキシ三塩化リンに100%転換され
るように所用時間放置すればよい。
【0012】次に、本発明においては、このようにリン
化合物をオキシ三塩化リンに転換させた後、このオキシ
三塩化リンをクロロシラン類から分離し、次いで分離し
たオキシ三塩化リンを定量するものである。この場合オ
キシ三塩化リンの分離を熱伝導度検出器付きガスクロマ
トグラフ(TCD−GC)にて行うと共に、オキシ三塩
化リンの定量を炎光光度検出器付きガスクロマトグラフ
(FPD−GC)にて行うことが好ましく、また分離し
たオキシ三塩化リンをガラスビーズに低温で繰り返し吸
着させることにより濃縮した後、これを急速に加熱する
ことにより溶出したオキシ三塩化リンを定量するように
することが好ましい。
【0013】この点につき更に詳述すると、例えば図1
に示す装置を用い、オキシ三塩化リンの分離、濃縮、定
量を行うことができる。
【0014】ここで、図1において、AはTCD−GC
であり、1は分離カラム、2は対照カラム、3はTCD
検出器、4は切換コック、5は抵抗カラム、6は圧力
計、7はバルブである。このTCD−GCにおいて、上
記リン化合物がオキシ塩化リンに転換されたクロロシラ
ン類がキャリアーガスと共に分離カラム1に導入され、
ここでクロロシラン類とこれに含まれる上記オキシ塩化
リンが分離される。この場合、クロロシラン類はオキシ
塩化リンよりも速く分離カラム1を通過するので、TC
D検出器3によりクロロシラン類が検出されている場合
は切換コック4を図中点線に示す流路に切換え、クロロ
シラン類を系外に排出する。次いで、TCD検出器3で
オキシ塩化リンが検出された時は切換コック4を図中実
線に示す流路に切換え、後述する濃縮装置Bに送るもの
である。
【0015】この場合、分離カラム1としては、例えば
直径が4mmで長さが1mのガラス製のものを使用する
ことができる。分離カラム1には液体と担体とが充填さ
れるが、液体としてはシリコーンオイルなどが好適に用
いられる。また、担体としてはケイソウ土のシラン処理
品などを用いることができ、キャリアーガスとしてはヘ
リウム、窒素などを用いることが好ましい。
【0016】Bは上述したように濃縮装置であり、内部
にガラスビーズが充填されたU字管状の捕集カラム8と
これを冷却するための液体窒素冷却器9とからなり、上
記捕集カラム8には、カラム加熱用の電熱コイル10が
巻きつけられている。ここで、上記TCD−GCで分離
されたオキシ塩化リンはこの濃縮装置Bの捕集カラム8
内のガラスビーズに液体窒素による冷却下に捕集、濃縮
される。オキシ塩化リンが所定量捕集された後は、上記
TCD−GCの切換コック4を切換えて点線で示す流路
構成とし、キャリアーガスを流路11を通して捕集カラ
ム8に送ると共に、上記電熱コイル10を通電し、約1
50〜200℃に急速に加熱してオキシ塩化リンを図中
Cで示すFPD−GCに送るものである。
【0017】このFPD−GCにおいて、12は分離カ
ラム、13,14,15はそれぞれ切換コック、16,
17はそれぞれ抵抗カラム、18は圧力計、19はバル
ブであり、20はFPD検出器である。上記捕集カラム
8から溶出されたオキシ塩化リンは、クロロシラン類中
のリン化合物をH22やHNO3などの還元剤でオキシ
塩化リンに転換する際、クロロシラン類とH22やHN
3などの還元剤中の水分が反応した結果生じたシラノ
ール系成分を含む場合があり、これがそのままFPD検
出器20に導入された場合、この成分も水素炎と混合燃
焼する際に生成するSiO2粉が検出器の光路に堆積
し、感度を低下させるおそれがあるので、上記捕集カラ
ム8からのオキシ塩化リンはそのままFPD検出器20
に導入せず、まず分離カラム12でオキシ塩化リンをシ
ラノール系不純物と分離し、このようにして精製したオ
キシ塩化リンをFPD検出器20に送るものである。
【0018】即ち、捕集カラム8からのオキシ塩化リン
は、切換コック13を実線に示す流路に切換えることに
より分離カラム12に導入する。ここで、オキシ塩化リ
ン中のシラノール系不純物は分離カラム12を早く通過
するので、まず切換コック14を実線に示す流路に切換
えて系外に排出し、シラノール系不純物が分離されたら
切換コック14を点線に示す流路に切換え、シラノール
系不純物が分離除去されたオキシ塩化リンをFPD検出
器20に送り、オキシ塩化リンを定量するものである。
【0019】この場合、分離カラム12としては、例え
ば直径が3mmで長さが2mのものを使用することがで
きる。分離カラム12には上記分離カラム1と同様に液
体と担体とが充填されるが、液体としてはシリコーンオ
イルなどが好適に用いられる。また、担体としてはケイ
ソウ土のシラン処理品などを用いることができ、キャリ
アーガスとしてはヘリウム、窒素などを用いることが好
ましく、ガス流量は80〜100ml/分とすることが
できる。なお、試料を燃焼させるために用いるガスとし
ては、窒素と水素との混合ガスを用いることができる。
【0020】
【実施例】以下、実験例と実施例を示し、本発明を具体
的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるも
のではない。
【0021】[実験例1]試料としてトリクロロシラン
及びテトラクロロシランを用い、表1に示す条件で種々
の酸化剤を用いた場合の三塩化リンからオキシ三塩化リ
ンへの転換率について種々検討を行ったところ、表1及
び図2に示す結果を得た。なお、処理は室温で行った。
【0022】
【表1】
【0023】[実験例2]図1に示したTCD−GCに
おいて、表2に示す条件でトリクロロシランとオキシ塩
化リンとの分離を行った。その結果を図3に示す。
【0024】
【表2】
【0025】[実験例3]図1に示したTCD−GCに
おいて、表3に示す条件で濃縮装置で捕集されたオキシ
塩化リンとシラノール系不純物の分離を行った。その結
果を図4に示す。
【0026】
【表3】
【0027】[実験例4]試料としてリン濃度が0.1
ppb、1ppb、100ppbのトリクロロシランを
用い、図1の捕集カラム8における濃縮回数を1回と
し、表2,3と同様の条件でFPD検出器による測定ま
での操作を行い、適用濃度範囲を調べたところ、図5に
示す結果が得られた。図5から本発明のリンの定量法は
pptオーダーのリンの定量にも適用できることがわか
った。
【0028】[実験例5]試料としてリン濃度が50p
ptのテトラクロロシランを用い、実験例4と同様にし
てFPD検出器による測定までの操作を行った。この場
合、捕集カラム8における濃縮回数を1,2,4,6,
8,10,12回としたところ、図6に示す結果が得ら
れた。図6に示す結果から、本発明の濃縮の有効性が明
らかになった。
【0029】[実施例]5pptのリンを三塩化リンと
して含むトリクロロシラン及びテトラクロロシランに酸
化剤として過酸化水素水溶液を使用し、0.5時間放置
した。次いで図1に示す装置を用い、表2,3に示す条
件でリンの定量を行った。この場合、濃縮回数は10回
とし、5回繰り返して定量した。結果を表4に示す。表
4の結果から、本発明の定量方法の有効性が認められ
る。
【0030】
【表4】
【0031】
【発明の効果】本発明の定量方法は下記のような利点を
有する。 (1)特定の形態に着目した定量方法であるため、本質
的に分析環境からのコンタミネーションを受けず、超微
量分析を行う際に行われる試験室のクリーン化が必要は
ない。 (2)%オーダー〜2pptまで精度よく定量でき、適
用濃度範囲が極めて広い。 (3)迅速である(30分以内/1件が可能である)。 (4)分析に要する試料量は、通常わずかに1mlで済
む。 (5)試料有姿をそのまま直接、分析する方法として
は、最高感度を持つ方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るリンの定量に用いる測定装置の一
例を示す工程図である。
【図2】各種酸化剤を用いた場合における三塩化リンか
らオキシ三塩化リンへの転換率の経時変化を示すグラフ
である。
【図3】トリクロロシランとオキシ三塩化リンの分離状
態を示すガスクロマトグラムである。
【図4】シラノール系不純物とオキシ三塩化リンの分離
状態を示すガスクロマトグラムである。
【図5】試料中のリン濃度とリン濃度測定値との関係を
示すグラフである。
【図6】オキシ三塩化リンの濃縮回数とリン濃度測定値
との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 熱伝導度検出器付きガスクロマトグラフィー 3 熱伝導度検出器 8 捕集カラム 11 炎光光度検出器付きガスクロマトグラフィー 12 炎光光度検出器

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クロロシラン類に酸化剤を加えてクロロ
    シラン類に含まれるリン化合物をオキシ三塩化リンに転
    換させた後、このオキシ三塩化リンをクロロシラン類か
    ら分離し、次いで分離したオキシ三塩化リンを定量する
    ことを特徴とするクロロシラン類中の超微量リンの定量
    方法。
  2. 【請求項2】 酸化剤が、過酸化水素、硝酸、過マンガ
    ン酸カリウム、過ヨウ素酸カリウム、及び過ヨウ素酸か
    ら選ばれたものである請求項1記載の定量方法。
  3. 【請求項3】 オキシ三塩化リンの分離を熱伝導度検出
    器付きガスクロマトグラフにて行うと共に、オキシ三塩
    化リンの定量を炎光光度検出器付きガスクロマトグラフ
    にて行うようにした請求項1又は2記載の定量方法。
  4. 【請求項4】 分離したオキシ三塩化リンをガラスビー
    ズに低温で繰り返し吸着させることにより濃縮した後、
    これを急速に加熱することにより溶出したオキシ三塩化
    リンを定量するようにした請求項3記載の定量方法。
  5. 【請求項5】 クロロシラン類がトリクロロシラン又は
    テトラクロロシランである請求項1乃至4のいずれか1
    項記載の定量方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010066251A (ja) * 2008-08-12 2010-03-25 Mitsubishi Materials Corp クロロシラン類の分析装置および分析方法
JP2013015390A (ja) * 2011-07-04 2013-01-24 Shin Etsu Chem Co Ltd シラン・クロロシラン類のガスクロマトグラフ分離方法およびガスクロマトグラフィ用カラム
JP2016125911A (ja) * 2015-01-05 2016-07-11 信越化学工業株式会社 元素分析方法

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