JPH0776253A - 自動車用エアバッグドアのベルト取付構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 エアバッグ展開時におけるエアバッグドアの
ベルト部材の破断および取付座部の破損を防いで、当該
ベルト部材をエアバッグ収容部に確実かつ強固に固定す
る。 【構成】 ベルト部材１２の一端側がバックル部材２０
を介してエアバッグ収容部１５に取り付けられてなるエ
アバッグドアのベルト取付構造であって、前記バックル
部材は固定部２３を有していて、該固定部において前記
エアバッグ収容部に固着されているとともに、前記バッ
クル部材には複数の平行なベルト挿通口２５が形成され
ていて前記ベルト部材は該ベルト挿通口に巻回しされて
おり、かつ前記バックル部材に組着される押さえバンド
部材２２によって前記ベルト挿通口間におけるベルト部
材の巻回し部２６が押圧固定されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は自動車用エアバッグド
アのベルト取付構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】たとえば、自動車の助手席側のエアバッ
グ装置は、助手席前面の車室側部材（具体的にはインス
トルメントパネル）内部に装着される。この車室側部材
にはエアバッグ展開開口部が形成されていて、該開口部
は平時には車室側部材と同種の外観をもったエアバッグ
ドアによって覆われている。そして、一旦衝突などによ
って車両が大きな衝撃を受けたときには、前記開口部内
のエアバッグ収容部（キャニスター）に収納されている
エアバッグが作動し膨張して、このエアバッグの膨張に
よって前記展開開口部を覆っているエアバッグドアが押
し広げられ、該開口部より該エアバッグが車室内へ展開
し乗員を安全に保護する。

【０００３】本発明者らは、先に、車室側部材に設けら
れたエアバッグ展開開口部を被覆するために該開口部に
取り付けられるエアバッグドアであって、前記エアバッ
グドアは一端が該エアバッグドアの裏面側に取り付けら
れ他端が前記開口部内のエアバッグ収容部の取付部に取
り付けられた可撓性ヒンジ部材によって結合されている
とともに、さらに前記エアバッグドアは前記ヒンジ部の
前方両側部において、一端が該エアバッグドアの裏面側
に取り付けられ他端が前記開口部内のエアバッグ収容部
の取付部に取り付けられたドア開度を規制するベルト部
材によって連結されていることを特徴とする自動車エア
バッグドアの構造を提供した（平成５年６月２５日出
願）。

【０００４】その一例を図１８および図１９に示す。符
号１３０はエアバッグドアで、可撓性ヒンジ部材１３１
およびベルト部材１３２によって、エアバッグ展開開口
部１３４を覆っている。符号１３３は車室側部材、１３
５はエアバッグ収容部である。図１９に示されるよう
に、このベルト部材１３２は、取付板１３６を介し、ボ
ルト１３７によってエアバッグ収容部１３５に一体に固
定される。図１９において符号１３８は取付ボルト、１
３９はワッシャー、１４０はナットである。

【０００５】この構造によれば、エアバッグからの衝撃
エネルギーが可撓性ヒンジ部材の伸びによって緩和され
るとともに、その開口速度がベルト部材によってフロン
トガラス直前で減速されるので、ガラスやドアの破損の
心配がなくなる。そのため、かかる破損に伴う飛散物が
なくなり安全性の面においても極めて有効である。

【０００６】しかるに、この構造にあっては、エアバッ
グ展開時にドアに加わる力は、前記ベルト部材１３２を
通じてエアバッグ収容部１３５側の取付部１４１に集中
する。そのため、図２０および図２１に示したように、
前記ベルト部材１３２が、エアバッグドアの開口時の引
張力によって、ベルト部材に設けたボルト挿通用孔１４
２の部分で破断したり引き裂かれたりすることがあっ
た。

【０００７】そのため、ベルト部材に孔を空けることな
くバックル状の部品に挿通して固定する方法もあるが、
前記バックルが樹脂製の場合には、強度面で今一つ満足
いくものではなかった。さらに、振動でベルトが緩むの
を防ぐために、ベルト端末を縫い合わせる必要があり、
工数が増えコスト高となっていた。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】この発明は、このよう
な問題点に鑑み提案されたものであって、エアバッグ展
開時におけるエアバッグドアのベルト部材の破断および
取付座部の破損を防いで、当該ベルト部材をエアバッグ
収容部に確実かつ強固に固定することのできる自動車用
エアバッグドアのベルト取付構造を提供しようとするも
のである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】すなわち、この発明は、
ベルト部材の一端側がエアバッグドアに取り付けられ他
端側がバックル部材を介してエアバッグ収容部に取り付
けられてなるエアバッグドアのベルト取付構造であっ
て、前記バックル部材は固定部を有していて、該固定部
において前記エアバッグ収容部に固着されているととも
に、前記バックル部材には複数の平行なベルト挿通口が
形成されていて前記ベルト部材は該ベルト挿通口に巻回
しされており、かつ前記バックル部材に組着される押さ
えバンド部材によって前記ベルト挿通口間におけるベル
ト部材の巻回し部が押圧固定されていることを特徴とす
る自動車用エアバッグドアのベルト取付構造に係る。

【００１０】

【実施例】以下添付の図面に従ってこの発明を詳細に説
明する。図１はこの発明構造の一例を示す断面図、図２
はバックル部材の一例を示す斜視図、図３は図２に示さ
れたバックル部材にベルト部材を取り付けた状態を示す
断面図、図４はこの発明の構造を概略的に示した図、図
５はその他の例を示す図、図６はバックル部材の他の例
を示す斜視図、図７は図６に示されたバックル部材にベ
ルト部材を取り付けた状態を示す断面図、図８はさらに
バックル部材の他の例を示す斜視図、図９は図８に示さ
れたバックル部材にベルト部材を取り付けた状態を示す
断面図である。

【００１１】図１０以下はこの発明構造に用いられる押
さえバンド部材の他の例を示したものである。図１０は
押さえバンド部材の一例を示した斜視図、図１１はその
他の例を示した斜視図、図１２は押さえバンド部材の他
の例を示した斜視図、図１３は同じく他の例を示した斜
視図、図１４はさらに同じく他の例を示した斜視図、図
１５は押さえバンド部材の他の例を示した斜視図、図１
６は同じく他の例を示した斜視図、図１７はさらに他の
例を示した斜視図である。

【００１２】図１に示されるように、この発明構造は、
エアバッグＢの展開に際し、ベルト部材１２を破断させ
ることなく強固にエアバッグ収容部１５に固定し、かつ
ベルト部分の縫製などの後加工を必要とせず簡単かつ確
実に取り付けるための構造である。

【００１３】エアバッグドア１０は、所定のドア形状に
形成された公知の構造よりなり、ヒンジ部材１１および
ベルト部材１２を介してエアバッグ収容部１５に取り付
けられ、エアバッグ展開開口部１６を覆う。エアバッグ
収容部１５は前記エアバッグ展開開口部１６の内側に設
けられており、その内部にエアバッグＢが折り畳まれて
収容されている。

【００１４】この例において、前記ヒンジ部材１１には
ネット状の可撓性ヒンジ部材が用いられており、前記エ
アバッグドア１０をエアバッグ収容部１５に対して柔軟
かつ屈曲可能に結合されている。符号１３はヒンジ部材
１１の取付板、１４はその取付具である。この可撓性ヒ
ンジ部材を構成する材質としては、エアバッグドアが展
開する際の引張荷重に耐えうる強度を有することが必要
である。たとえば、ナイロン６またはナイロン６−６繊
維、あるいはポリエステル繊維、アラミド繊維などの強
靱な繊維が好適である。なお、このヒンジ部材１１を金
属または樹脂などによって構成してもよい。

【００１５】ベルト部材１２は、前記ヒンジ部材１１の
前方両側に設けられており、一端がエアバッグドア１０
の裏側に、他端がバックル部材２０を介してエアバッグ
収容部１５の前側上方に取り付けられている。なお、こ
のベルト部材１２は、適宜の引張強度を有しているとと
もに、エアバッグが展開する際に、エアバッグドア１０
がフロントガラスに当たる直前に止まる程度の開度に開
口せしめる長さに形成される。そのため、エアバッグド
アが開口する際に、当該エアバッグドアがフロントガラ
スや車室側部材に直接衝突するのを防ぐことができる。

【００１６】前記ベルト部材１２には、前記ヒンジ部材
１１と同様の強靱な材質が用いられる。たとえば、ナイ
ロン６またはナイロン６−６繊維、あるいはポリエステ
ル繊維、アラミド繊維などが好適で、これらの繊維は適
宜に平織、綾織、絡織などでベルト状に構成される。な
お、熱による劣化を防止する目的で、シリコンゴムやテ
フロンなどで表面を被覆してもよい。

【００１７】バックル部材２０は、図２および図３に示
されるように、バックル本体２１と押さえバンド部材２
２とからなる。バックル本体２１は、樹脂または金属な
どからなり、固定部２３と幅広の係止部２４とを有して
いる。このバックル本体２１は、前記固定部２３をボル
ト２８などでエアバッグ収容部１５に取り付けることに
より固着される。符号２９は前記固定部２３に設けられ
たボルト孔である。

【００１８】バックル本体２１には複数の平行なベルト
挿通口２５が設けられているとともに、これらの各ベル
ト挿通口２５間には、ベルト部材１２の巻回し部２６が
設けられている。図３から理解されるように、エアバッ
グドア１０に取り付けられたベルト部材１２は、このベ
ルト挿通口２５から挿通され、巻回し部２６に巻回しさ
れる。なお、この実施例では二本のベルト挿通口２５，
２５が形成されている。

【００１９】樹脂によって前記バックル本体２１を構成
する場合、バックルに求められる性質を考慮して、適度
な耐熱性、耐衝撃性および引張破断強度を有する材質を
用いることが好ましい。具体的には、耐熱性が８０℃以
上（ＡＳＴＭ Ｄ６４８；４．６ｋｇ荷重）、耐衝撃性
が３０ｋｇ・ｃｍ／ｃｍ以上（ＡＳＴＭ Ｄ２５６；２
３℃ノッチ付き）、引張破断強度が１５０ｋｇ／ｃｍ²
（ＪＩＳ Ｋ７１１３；８０℃）程度である。

【００２０】押さえバンド部材２２は、前記バックル本
体２１の巻回し部２６に巻き回しされたベルト部材１２
を外側から押圧固定するためのもので、当該バックル本
体２１に組着されて用いられる。この実施例において、
前記押さえバンド部材２２は環状に形成されており、バ
ックル本体２１の固定部２３から挿通され、巻回し部２
６でベルト部材１２を押圧固定する。なお、この押さえ
バンド部材２２の内径は、前記バックル本体２１の係止
部２４の幅より細く形成されていて、組着された押さえ
バンド部材２２を当該係止部２４で係止させて抜けない
ようにする。また、前記押さえバンド部材２２は長期に
わたってベルト部材１２を押圧する必要があるので、ガ
ラス転移温度が８０℃以上でクリープ特性に優れたプラ
スチック材料、および加硫ゴムまたはバネ鋼が好まし
い。

【００２１】この構造によれば、エアバッグドア１０の
取付座部１７に挿通されたベルト部材１２は、その両端
がバックル本体２１の一方のベルト挿通孔２５ａに挿通
される。そして、巻回し部２６にベルト部材１２を巻回
しながら、両端を他方のベルト挿通孔２５ｂに挿通す
る。前記バックル本体２１の巻回し部２６には、前記固
定部２３側から押さえバンド部材２２が挿通され、前記
巻回し部２６と当該押さえバンド部材２２との間でベル
ト部材１２が強固に押圧固定される。このようにして、
バックル部材２０が取り付けられたベルト部材１２は、
当該バックル部材２０の固定部２３をボルト２８などに
よってエアバッグ収容部１５に固着することによって簡
単かつ確実に取り付けることができる。したがって、ベ
ルトどうしを縫い合わせる必要がないため、かかるエア
バッグドアのベルト取付作業を効率よく行うことができ
る。また、ベルト部材にはボルトなどのための孔が設け
られないので、ベルト部材本来の強度が保持される。

【００２２】なお、ベルト部材の巻回し例を図４および
図５に示す。図４は、二本のベルト部材１２，１２をエ
アバッグドア両側の取付座部１７，１７にそれぞれ挿通
し、輪状にして前記ベルト部材１２の両端をともにバッ
クル部材２０，２０のベルト挿通孔２５，２５に挿通し
た例である。

【００２３】また、図５は一本のベルト部材１８の端部
を一のバックル部材２０に巻回し、エアバッグ収容部１
５に固定する。そして、前記ベルト部材１８の他端をエ
アバッグドア側の取付座部１７，１７に順次挿通し、同
様にして他のバックル部材２０に巻回しして再びエアバ
ッグ収容部１５に固定した例である。

【００２４】図６ないし図９はこの考案構造に用いられ
るバックル部材の他の例を示したものである。図６に示
されるバックル部材３０は、二本の平行なベルト挿通孔
３５，３５の間に形成されるベルト部材の巻回し部３６
が、図のような凸形状に形成されている。符号３１はバ
ックル本体、３２は押さえバンド部材である。この構造
によれば、図７に図示されるように、バックル部材３０
とエアバッグ収容部１５が平面で接するので、エアバッ
グ収容部１５への取付が容易かつ確実となる。

【００２５】図８および図９に示されるバックル部材４
０は、バックル本体４１に三本の平行なベルト挿通口４
５，４５，４５が設けられた例である。それによって、
このバックル本体４１には二か所の巻回し部４６，４６
が形成される。前記バックル本体４１に組着される押さ
えバンド部材４２は、前記二か所の巻回し部４６，４６
を押圧するように二本のバンド４４，４４を有してい
る。

【００２６】また、図１０ないし図１７は押さえバンド
部材の他の例を示したもので、図１０は中央で屈曲した
平板状のバンド本体５１の一端に係止爪５２を、他端に
前記係止爪５２と係合する係合孔部５３を設けている。
この押さえバンド部材５０は樹脂よりなり、バックル本
体の巻回し部に組着され、前記係止爪５２を係合孔部５
３に係合させることによりバックル本体上下からベルト
部材を挟んで押圧固定するものである。

【００２７】図１１は、図１０で示された押さえバンド
部材を二列に並べて設けた例で、図６に図示したよう
に、巻回し部が二か所に形成されたバックル本体に好適
に用いられる。符号６０は押さえバンド部材、６１はバ
ンド本体、６２は係止爪、６３は係合孔部である。

【００２８】図１２は、環状の押さえバンド部材７０に
バネクリップ７１，７１を設けた例である。このバネク
リップ７１は樹脂よりなり、押さえバンド部材７０の内
面に向かって折り曲げた状態で突出形成されていて、ベ
ルト部材に対してたるみ方向には自由にスライドし、引
張方向にはベルト部材と干渉して固定するようにバック
ル部材に組着される。

【００２９】図１３は図１２で示された押さえバンド部
材が二列に並べ設けられた例である。符号８０は押さえ
バンド部材、８１はバネクリップである。

【００３０】さらに図１４ないし図１７は、押さえバン
ド部材をバネ鋼やステンレス鋼などの金属によって形成
した場合に好ましい形状を示す。図１４において符号９
０は押さえバンド部材、９１はバックル通し部、９２，
９２はバネクリップである。

【００３１】また、図１５は図１４で示した押さえバン
ド部材を二列に並べて設けた例である。符号１００は押
さえバンド部材、１０１はバックル通し部、１０２はバ
ネクリップである。

【００３２】図１６において符号１１０は押さえバンド
部材、１１１はバンド本体、１１２は係止爪、１１３は
係合孔である。また、図１７のように、前記押さえバン
ド部材を二列に並べ設けてもよい。符号１２０は押さえ
バンド部材である。

【００３３】

【発明の効果】以上図示し説明したように、この発明構
造によれば、エアバッグ展開時におけるエアバッグドア
のベルト部材の破断および取付座部の破損を防ぐだけで
なく、当該ベルト部材をエアバッグ収容部に強固に固定
することができる。また、ベルト部材は、押さえバンド
部材によってバックル部材に確実に押圧固定されてお
り、縫製などの後加工をすることなくバックル部材をボ
ルトなどでエアバッグ収容部に固定するだけで簡単かつ
確実に取り付けることができる。したがって、かかるベ
ルト部材の取付作業の能率を上げることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明構造の一例を示す断面図である。

【図２】バックル部材の一例を示す斜視図である。

【図３】図２に示されたバックル部材にベルト部材を取
り付けた状態を示す断面図である。

【図４】この発明の構造を概略的に示した図である。

【図５】その他の例を示す図である。

【図６】バックル部材の他の例を示す斜視図である。

【図７】図６に示されたバックル部材にベルト部材を取
り付けた状態を示す断面図である。

【図８】さらにバックル部材の他の例を示す斜視図であ
る。

【図９】図８に示されたバックル部材にベルト部材を取
り付けた状態を示す断面図である。

【図１０】押さえバンド部材の一例を示した斜視図であ
る。

【図１１】その他の例を示した斜視図である。

【図１２】押さえバンド部材の他の例を示した斜視図で
ある。

【図１３】同じく他の例を示した斜視図である。

【図１４】さらに同じく他の例を示した斜視図である。

【図１５】押さえバンド部材の他の例を示した斜視図で
ある。

【図１６】同じく他の例を示した斜視図である。

【図１７】さらに他の例を示した斜視図である。

【図１８】従来の自動車用エアバッグドアの一例を示す
断面図である。

【図１９】そのベルト取付構造を示す分解斜視図であ
る。

【図２０】ベルト部材が破断した状態を示す斜視図であ
る。

【図２１】ベルト部材が破断した他の状態を示す斜視図
である。

【符号の説明】

１０ エアバッグドア １１ ヒンジ部材 １２ ベルト部材 １５ エアバッグ収容部 ２０ バックル部材 ２１ バックル本体 ２２ 押さえバンド部材 ２３ 固定部 ２５ ベルト挿通孔 ２６ ベルト巻回し部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ベルト部材の一端側がエアバッグドアに
   取り付けられ他端側がバックル部材を介してエアバッグ
   収容部に取り付けられてなるエアバッグドアのベルト取
   付構造であって、 前記バックル部材は固定部を有していて、該固定部にお
   いて前記エアバッグ収容部に固着されているとともに、 前記バックル部材には複数の平行なベルト挿通口が形成
   されていて前記ベルト部材は該ベルト挿通口に巻回しさ
   れており、かつ前記バックル部材に組着される押さえバ
   ンド部材によって前記ベルト挿通口間におけるベルト部
   材の巻回し部が押圧固定されていることを特徴とする自
   動車用エアバッグドアのベルト取付構造。