JPH0776130B2 - 切削工具用立方晶窒化硼素基超高圧焼結体の製造法 - Google Patents

切削工具用立方晶窒化硼素基超高圧焼結体の製造法

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JPH0776130B2
JPH0776130B2 JP62030838A JP3083887A JPH0776130B2 JP H0776130 B2 JPH0776130 B2 JP H0776130B2 JP 62030838 A JP62030838 A JP 62030838A JP 3083887 A JP3083887 A JP 3083887A JP H0776130 B2 JPH0776130 B2 JP H0776130B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、耐摩耗性(粒子の耐脱落性)にすぐれ、特
に浸炭焼入鋼などの高硬度鋼の仕上加工に切削工具とし
て使用するのに適した立方晶窒化硼素(以下、CBNで示
す)基超高圧焼結体の製造法に関するものである。
〔従来の技術〕
近年、浸炭焼入鋼などの高硬度鋼の切削工具用として、
高い硬度を有するCBNを基とした超高圧焼結体の開発が
進み、このようなCBN基超高圧焼結体として、例えば、
周期律表の4a族、5a族、および6a族金属の炭化物、窒化
物、硼化物、珪化物、Al2O3、MgO、AlN、Si3N4のうちの
1種または2種以上:20〜80重量%、CBNおよび不可避不
純物:残り、からなる組成を有するものが提案されてい
る(特公昭57−3631号公報参照)。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、上記の従来のCBN基超高圧焼結体のう
ち、Tiの窒化物と、CBNおよび不可避不純物とからなるC
BN基超高圧焼結体を仕上加工用の切削工具として、例え
ばHRC:60以上の硬さを有する浸炭焼入鋼を施削するのに
用いた場合には、精々H7公差(外径寸法20mmであると0
〜21μ)の寸法精度と3〜4Sの面粗度を得るのが限界で
あって、従来、高硬度鋼の研削加工において得られてい
る寸法精度と面粗度に及ばず、そのため、高硬度鋼の研
削加工から、より加工能率の高い切削加工へと移行しつ
つある現状において、上記CBN基超高圧焼結体では、高
硬度鋼の仕上加工用切削工具とした場合、満足な寸法精
度と面粗度を得ることができず、したがって上記の従来
CBN基超高圧焼結体においては、切削工具として利用で
きる範囲が制限されるという問題があり、このようなCB
N基超高圧焼結体が高硬度鋼の仕上加工にも利用できる
ためには、当面、被加工物を少なくともH6考査(外径20
mmの被削材の場合、0〜13μ)の寸法精度および2Sの面
粗度に仕上げられることが必要である。
〔問題点を解決するための手段】
そこで、本発明者等は、上述のような従来CBN基超高圧
焼結体のもつ問題点を解決するために種々研究を重ねた
結果、 (1) Tiの窒化物、および/または炭窒化物(以下、
それぞれTiN、およびTiCNで示し、これらをまとめてTi
化合物という)とCBNとからなるCBN基超高圧焼結体(以
下、焼結体ともいう)中で、Ti化合物粒子どうし、およ
びCBN粒子どうしが接触したところでは、結合強度の弱
いガラス相が界面に形成されやすく、このガラス相は、
切削加工中に刃先温度が上昇することによって粒界強度
を低下させるため、刃先表面で前記粒子を十分に保持で
きず、それによって粒子は早目にその表面から脱落し
て、そこに比較的大きな凹部が生じるので、前記ガラス
相に富む材料を切削工具として使用した場合は、製品の
寸法精度と面粗度が低下すること、 (2) 一方、Ti化合物粒子とCBN粒子との界面では安
定な硼化チタン(以下、TiB2で示す)が形成され、この
安定なTiB2に富んだ反応相は、上記とは逆に、刃先温度
が上昇しても十分な粒界強度を維持して粒子をしっかり
と保持し、それにより粒子は刃先表面から脱落しないで
徐々に摩耗して、その表面には前記凹部が生じないの
で、刃先表面は切削加工中比較的滑らかに維持され、し
たがって、前記反応相に富むCBN基超高圧焼結体を切削
工具して使用した場合は、製品の寸法精度と面粗度が向
上すること、 (3) 粒子界面において、前記ガラス相の形成を減ら
すとともに、前記TiB2に富んだ反応相の形成を増大させ
るためには、Ti化合物粒子とCBN粒子との粒度を揃え、
かつ両者の容量を基にした配合割合をなるべく等しくす
ればよいこと、 (4) Ti化合物粒子とCBN粒子とからなる焼結体の特
性を損わない範囲で前記第(3)項記載の要求を満たす
ためには、原料粉末であるTi化合物粉末とCBN粉末の平
均粒径をいずれも0.5〜5μとするとともに、それらの
間の平均粒径比を相互に0.5〜2.0の範囲内におさめ、か
つ両者の配合割合を、容量%で、Ti化合物粉末:40〜60
%、CBN粉末:残り、とすればよいこと、 (5) 前記第(4)項記載の焼結体中に含まれる不純
物のうち、例えばボールミルのような混合装置による混
合、またはその他の原因によって混入してくる鉄族金属
とWからなる不純物を混合粉末から除去して、その含有
量を、0.5容量%以下に抑えると、この結果の焼結体は
靭性が向上するとともに、それの高温における耐融着
性、したがって耐摩耗性が向上するので、このような耐
熱性をそなえた焼結体では、高温に曝される高速切削に
おいてもすぐれた寸法精度と面粗度を維持できること、 以上(1)〜(5)に示される研究結果を得たのであ
る。
この発明は、上記の研究結果に基づいてなされたもの
で、すぐれた「粒子の耐脱落性」を有し、特に浸炭焼入
鋼などの高硬度鋼の仕上加工において製品の寸法精度と
面粗度を改善できる切削工具として用いるのに適したCB
N基超高圧焼結体を製造する方法を提供することを目的
とし、 原料粉末として、いずれも0.5〜5μの平均粒径を有す
るTiN粉末、TiCN粉末、およびCBN粉末を用い、これらの
原料粉末を、 TiN粉末および/またはTiCN粉末からTi化合物粉末:40〜
60容量%、CBN粉末:残り、の割合で、かつTi化合物粉
末/CBN粉末の平均粒径比が0.5〜2を満足する条件で配
合すると共に、混合粉末中に混入するFe,Ni,Co、および
Wのうちの1種または2種以上からなる不純物を除去し
て、混合粉末中の前記不純物の含有量を0.5重量%以下
とすることにより、実質的にTi化合物粒子どうしおよび
CBN粒子どうしの接触がなく、Ti化合物粒子とCBN粒子の
界面にTiB2に富んだ反応相が存在する組織を有する切削
工具用CBN基超高圧焼結体を製造する方法に特徴を有す
るものである。
つぎに、この発明の方法において、製造条件を上記の通
りに限定した理由を説明する。
A.配合組成 Ti化合物粉末には、体に耐融着性と耐摩耗性を付与する
作用があるが、その割合が40%(容量%、以下同じ)未
満では、耐摩耗性が不足するようになるとともに、CBN
粒子に対するTi化合物粒子の量が少なくなり過ぎて、CB
N粒子どうしの接触が増大し、それによって前記ガラス
相の形成が著しくなって焼結体の耐摩耗性が一層低下
し、また前記割合が60%を越えると、CBN粒子の量が少
なくなり過ぎて、焼結体の熱伝導性が不足し、刃先に溶
着が起りやすくなるとともに、Ti化合物粒子どうしの接
触が増大し、それによってやはり前記ガラス相の形成が
著しくなって焼結体の耐摩耗性が低下し、もって、いず
れの場合にも、これを浸炭焼入鋼などの高硬度鋼の仕上
加工に使用すると、製品の寸法精度と面粗度が低下する
ようになることから、その割合を40〜60%と定めた。
なお、混合粉末中に混入する不純物のうち、鉄族金属と
Wとからなる不純物は、焼結時にBと化合して部分的に
液相を生じ、それによってTi化合物粒子の成長に促して
焼結体の靭性を低下させるとともに、前記不純物と化合
した状態で焼結体中に含まれるB成分は、切削時に高温
に曝されることによって被削材中に拡散しやすくなり、
その結果刃先の耐溶着性を低下させてそれの摩耗を急激
に増大させる作用をもつので、格別の耐熱性と強度を付
与して、これを高速切削にも適したものとするために、
これら不純物を混合粉末から除去して、その含有量を0.
5%以下に抑えるのが肝要である。
B.平均粒径 CBN粉末およびTi化合物粉末の平均粒径がそれぞれ0.5μ
未満になると、焼結体中のそれらの粒子は小さくなり過
ぎて同種の粒子が互に凝集しやすくなり、それによって
CBN粒子どうしまたはTi化合物粒子どうしの接触が増大
して、粒界強度を低下させるガラス相が形成しやすくな
り、一方CBN粉末の平均粒径が5μを越えると、焼結体
中のCBN粒子自体が脆くなって焼結体の強度および耐摩
耗性が低下し、もって製品の寸法精度と面粗度が劣化す
るようになり、また前記ガラス相の形成を避けるにはTi
化合物粉末の平均粒径をCBN粉末のそれと揃える必要が
あることから、Ti化合物粉末およびCBN粉末の平均粒径
をいずれも0.5〜5μと定めた。
C.平均粒径化 Ti化合物粉末とCBN粉末の平均粒径が前記範囲内にあっ
ても、それら相互の平均粒径比が0.5未満となるか、ま
たは2.0を越すと、焼結体中でTi化合物粒子とCBN粒子と
の接触界面が減少し、同種の粒子どうしの界面で形成さ
れるガラス相の割合が増大して、前述のような不都合を
生ずるところから、このTi化合物粉末とCBN粉末との平
均粒径比を0.5〜2.0と定めた。
なお、この発明の方法を実施するに際しては、通常の超
高圧焼結法、すなわち、まず原料粉末として、いずれも
平均粒径が0.5〜2.0の範囲内にあるCBN粉末、TiN粉末、
およびTiCN粉末を用意し、これら原料粉末のうちからTi
化合物粉末とCBN粉末との平均粒径比が0.5〜2.0の範囲
内となるものを適宜選択して所定の配合組成に配合し、
混合し、ついで、例えば、混合粉末調製中に、ボールミ
ルのような混合装置から混入してきた前記不純物を除去
するために、例えば、アセトン等の溶剤と混ざり合っ
て、またスラリー状となっている混合粉末中で磁石をゆ
るやかに回転させ、それによって鉄族金属およびそれら
と結合しているWを磁石に吸着する方法、あるいは混合
粉末を乾燥した後、それを酸洗して前記不純物を選択的
に溶解する方法などを利用することにより除去して、鉄
族金属とWからなる不純物の含有量を0.5%以下に低減
し、つぎに混合粉末の状態、あるいは圧粉体の状態で、
必要に応じてWC基超硬合金製プレートなどと一緒に、金
属容器に挿入し、これを800〜1200℃の温度に加熱して
真空脱ガスを行って封入し、引続いてこの封入容器を超
高圧高温発生装置に装着してから圧力および温度を上
げ、圧力:40〜70Kb、、温度:1200〜1600℃の範囲内の圧
力および温度に数分〜数10分保持した後、冷却し、最終
的に圧力を解放することからなる基本的工程がとられ
る。
さらに、この発明の方法で製造されたCBN基超高圧焼結
体を切削工具として使用するに当っては、単独で、ある
いはWC基超硬合金やサーメットなどの高剛性焼結体と複
合させた状態で、スローアウエイチップとして用いて
も、さらにこれらのチップをWC基超硬合金や焼入鋼など
でつくられたホルダの先端部にろう付けにより取り付け
た状態で用いてもよい。
〔実施例〕
ついで、この発明の方法を実施例によって説明する。
原料粉末として、平均粒径:0.8μ、1.5μ、および3μ
を有するCBN粉末、同0.4μ、1μ、および3μを有する
TiN粉末、および同1.5μ、3μおよび6μを有するTiC
0.50.5粉末を用意し、これら原料粉末を、それぞれ第
1表に示される配合組成に配合した後、ボールミルによ
りアセトン中で5時間混合して、主として混合装置に由
来する鉄族金属とWからなる不純物をいずれも約2%含
む混合粉末とし、ついでこのアセトンと混ざってスラリ
ー状となっている混合粉末中に、表面をテフロンシート
(ただしテフロンは米国デュポン社の商標)で被った円
柱状の永久磁石を挿入し、前記スラリー状混合粉末中で
ゆるやかに回転させて鉄族金属とWからなる不純物を吸
着除去し、それによってこの不純物含有量が第1表に示
されるように低減した混合粉末を調製し、ついで、この
ように調製した混合粉末を2ton/cm2の圧力で直径:13mm
×厚さ:1.5mmの寸法を有する円板状圧粉体に成形した
後、これらの圧粉体を、超高圧高温発生装置の容器内に
装入し、圧力:50Kb、温度:1500℃、保持時間:5分の条件
で超高圧焼結することによって本発明法1〜11を実施
し、実質的に配合組成と同一の成分組成をもち、かつ原
料粉末と実質的に同一の平均粒径を有するTi化合物粒子
とCBN粒子からなるCBN基超高圧焼結体を製造した。
さらに比較のため、第1表に示される通り、配合組成、
Ti化合物粉末とCBN粉末の平均粒径、およびこれら平均
粒径相互の比のうちのいずれかがこの発明の範囲から外
れた条件(第1表中に※印で示す)とする以外は同一の
条件で比較法1〜5を行ない、CBN基超高圧焼結体を製
造した。
ついで、この結果得られた各種のCBN基超高圧焼結体に
ついて、靭性を評価する目的で靭性破壊値を測定し、ま
た高温における耐溶着性並びに耐摩耗性を評価するとと
もに高硬度鋼の仕上加工において得られる寸法精度と面
粗度を評価する目的で、上記各焼結体から切削チップを
切出し、WC基超硬合金製ホルダにろう付けし、研磨仕上
げしてTNGA332の工具形状とした後、 被削材:SCM−415の浸炭焼入鋼(表面硬さ:HRC60±1、
浸炭層深さ:0.7mm以上)の丸棒(直径:150mm)、 切削速度:150m/min、 切込み:0.05mm、 送り:0.05mm/rev.、 切削時間:20min、 の条件で連続切削試験を実施して、切刃の逃げ面摩耗幅
を測定するとともに、切断後の製品について、面粗度を
表面粗さ計によって測定した。これらの測定結果を第2
表に示した。
〔発明の効果〕
第1,2表に示される結果から、本発明法1〜11で製造さ
れたCBN基超高圧焼結体は、いずれも高い靭性と耐摩耗
性、さらに耐熱性をそなえているところから、高速切削
ですぐれた切削性能を発揮するとともに、浸炭焼入鋼の
仕上加工においてすぐれた寸法精度と面粗度を有する製
品を製造することができるのに対し、比較法1〜5に見
られるように、配合組成、粉末の平均粒径、および粉末
の平均粒径比のうちのいずれかがこの発明の範囲から外
れた条件で製造されたCBN基超高圧焼結体では、前記寸
法精度と面粗度が劣っていることがわかる。
上述のように、この発明の方法によれば、特にすぐれた
「粒子の耐脱落性」をそなえ、かつすぐれた耐熱性と靭
性を有し、したがって浸炭焼入鋼などの高硬度鋼の仕上
加工に切削工具として使用した場合、高速切削でもすぐ
れた寸法精度と面粗度を確保できるCBN基超高圧焼結体
を製造することができるのである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田島 逸郎 埼玉県大宮市北袋町1―297 三菱金属株 式会社中央研究所内 (56)参考文献 特開 昭54−73810(JP,A) 特開 昭61−146763(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】立方晶窒化硼素基超高圧焼結体を製造する
    方法において、原料粉末として、いずれも0.5〜5μの
    平均粒径を有する窒化チタン粉末、炭窒化チタン粉末、
    および立方晶窒化硼素粉末を用い、これらの粉末を、 窒化チタン粉末および/または炭窒化チタン粉末からな
    るTi化合物粉末:40〜60容量%、 立方晶窒化硼素粉末:残り、 の割合で、かつ上記Ti化合物粉末/立方晶窒化硼素粉末
    の平均粒径比が0.5〜2を満足する条件で配合すると共
    に、混合粉末中に混入するFe,Ni,Co、およびWのうちの
    1種または2種以上からなる不純物を除去して、混合粉
    末中の前記不純物の含有量を0.5容量%以下とすること
    により、実質的にTi化合物粒子どうしおよび立方晶窒化
    硼素粒子どうしの接触がなく、これらTi化合物粒子と立
    方晶窒化硼素粒子の界面に硼化チタンに富んだ反応相が
    存在する組織を有する立方晶窒化硼素基超高圧焼結体を
    製造することを特徴とする切削工具用立方晶窒化硼素基
    超高圧焼結体の製造法。
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