JPH0774100A - 半導体装置の製造方法 - Google Patents
半導体装置の製造方法Info
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- JPH0774100A JPH0774100A JP23886793A JP23886793A JPH0774100A JP H0774100 A JPH0774100 A JP H0774100A JP 23886793 A JP23886793 A JP 23886793A JP 23886793 A JP23886793 A JP 23886793A JP H0774100 A JPH0774100 A JP H0774100A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 GaAs基板上で歪InGaAsをチャンネ
ルとする2DEGFETのチャンネルIn組成を増加さ
せる。 【構成】 MBE法により、半絶縁性GaAs基板1上
にGaAsバッファ層2を600℃で形成後、基板温度
を490℃以下に下げ、InGaAsチャンネル層3お
よびAlGaAsスペーサ層4を形成後、600℃へ昇
温後、N−AlGaAs電子供給層5およびN−GaA
sコンタクト層6を形成する。AlGaAsスペーサ層
の厚みは3分子層厚以上にする。
ルとする2DEGFETのチャンネルIn組成を増加さ
せる。 【構成】 MBE法により、半絶縁性GaAs基板1上
にGaAsバッファ層2を600℃で形成後、基板温度
を490℃以下に下げ、InGaAsチャンネル層3お
よびAlGaAsスペーサ層4を形成後、600℃へ昇
温後、N−AlGaAs電子供給層5およびN−GaA
sコンタクト層6を形成する。AlGaAsスペーサ層
の厚みは3分子層厚以上にする。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、Inを含有する半導体
層で形成される半導体装置の製造方法に関する。
層で形成される半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】分子線エピタキシー(MBE)法、有機
金属気相成長(MOCVD)法等により作製される、G
aAs基板上のAlGaAs/InGaAs/GaAs
系材料、InP基板上のAlInAs/InGaAs系
材料等は、民生用品であるトランジスタ、レーザダイオ
ード等に広く用いられている。この中で、GaAs基板
上において歪InGaAsを用いる構造は、1μm近傍
でのレーザダイオードに活用され、また歪InGaAs
をチャンネルとする二次元電子ガス電界効果トランジス
タ(2DEGFET)は、低雑音FET、パワーFET
等において広く製品レベルで用いられている。図4は、
従来の歪InGaAs層をチャンネルとする2DEGF
ET成長層の断面図と、これをMBEにより作製する時
の標準的な成長法を説明したものである。この構造は、
半絶縁性GaAs基板1上に、成長温度600℃でGa
Asバッファ層2を8000オングストローム成長後、
Asビームを照射しながら成長中断を行い、基板温度を
チャンネル成長用の温度(T2)530℃程度へ下げ、
InGaAsチャンネル層3を成長する。その後、10
オングストロームのAlGaAsスペーサ層4、400
オングストロームのN−AlGaAs電子供給層5、さ
らに800オングストロームのN−GaAsコンタクト
層6を成長する。歪InGaAsチャンネル層3の成長
中において、基板温度を550℃程度以上にすると、I
n原子の成長表面からの再蒸発が起こるため、通常この
層は530℃程度で成長する。一方、チャンネル層以降
のAlGaAsは、良好な結晶性を得るには比較的高い
温度を要するために、従来ではAlGaAsスペーサ層
4の成長開始と同時に基板温度を530℃から600℃
程度まで急激に上昇させる。用いられるAl組成は0.
2から0.3であり、N型層の形成には、Siを濃度2
×1018cm-3程度ドーピングして用いる。標準的に用
いられるチャンネル層3のIn組成は0.15程度、そ
の厚みは150オングストローム程度である。なお、成
長中に用いるAs分圧は約1.5×10-5Torrである。
金属気相成長(MOCVD)法等により作製される、G
aAs基板上のAlGaAs/InGaAs/GaAs
系材料、InP基板上のAlInAs/InGaAs系
材料等は、民生用品であるトランジスタ、レーザダイオ
ード等に広く用いられている。この中で、GaAs基板
上において歪InGaAsを用いる構造は、1μm近傍
でのレーザダイオードに活用され、また歪InGaAs
をチャンネルとする二次元電子ガス電界効果トランジス
タ(2DEGFET)は、低雑音FET、パワーFET
等において広く製品レベルで用いられている。図4は、
従来の歪InGaAs層をチャンネルとする2DEGF
ET成長層の断面図と、これをMBEにより作製する時
の標準的な成長法を説明したものである。この構造は、
半絶縁性GaAs基板1上に、成長温度600℃でGa
Asバッファ層2を8000オングストローム成長後、
Asビームを照射しながら成長中断を行い、基板温度を
チャンネル成長用の温度(T2)530℃程度へ下げ、
InGaAsチャンネル層3を成長する。その後、10
オングストロームのAlGaAsスペーサ層4、400
オングストロームのN−AlGaAs電子供給層5、さ
らに800オングストロームのN−GaAsコンタクト
層6を成長する。歪InGaAsチャンネル層3の成長
中において、基板温度を550℃程度以上にすると、I
n原子の成長表面からの再蒸発が起こるため、通常この
層は530℃程度で成長する。一方、チャンネル層以降
のAlGaAsは、良好な結晶性を得るには比較的高い
温度を要するために、従来ではAlGaAsスペーサ層
4の成長開始と同時に基板温度を530℃から600℃
程度まで急激に上昇させる。用いられるAl組成は0.
2から0.3であり、N型層の形成には、Siを濃度2
×1018cm-3程度ドーピングして用いる。標準的に用
いられるチャンネル層3のIn組成は0.15程度、そ
の厚みは150オングストローム程度である。なお、成
長中に用いるAs分圧は約1.5×10-5Torrである。
【0003】歪InGaAsをチャンネルとする2DE
GFETが、GaAsをチャンネルとする同FETに対
して有する優位性は、得られる大きな二次元電子ガス濃
度、優れた電子の閉じ込め効果、InGaAs中での電
子輸送特性の良さなどで説明される。そこで次に、より
一層のデバイス特性向上のために、チャンネルIn濃度
を従来用いている0.15程度より大きくしたいという
要望が生じる。しかしながら、MBE法を用いた標準的
に使われているInGaAsチャンネルの成長条件下で
は、In組成を増加させていくと、組成0.25を越え
たあたりから、RHEED観察により確かめられるIn
GaAs成長表面は三次元化し、実際ホール測定から得
られる2DEGFET構造の移動度にも極端な劣化がみ
られる。これに関して、In表面偏析を考慮することに
より、移動度の劣化を伴う三次元成長の発生機構を原子
レベルで説明するモデルが、我々の研究結果から提案さ
れている。即ち、標準的なInGaAsの成長条件下で
は、0.8程度の割合で起きるInとGa原子の置換現
象の結果、In原子の大きな表面偏析が生じる。これに
より、成長表面にIn原子の蓄積が生じ、設計値In組
成の増大に伴い、その量は1MLを越えて増加する。そ
してこの量が1.8ML近傍の臨界値に達したところ
で、表面に存在するIn自体が成長の三次元化を引き起
こしてしまう。この時の設計In組成が、0.25程度
以上であるというものである。
GFETが、GaAsをチャンネルとする同FETに対
して有する優位性は、得られる大きな二次元電子ガス濃
度、優れた電子の閉じ込め効果、InGaAs中での電
子輸送特性の良さなどで説明される。そこで次に、より
一層のデバイス特性向上のために、チャンネルIn濃度
を従来用いている0.15程度より大きくしたいという
要望が生じる。しかしながら、MBE法を用いた標準的
に使われているInGaAsチャンネルの成長条件下で
は、In組成を増加させていくと、組成0.25を越え
たあたりから、RHEED観察により確かめられるIn
GaAs成長表面は三次元化し、実際ホール測定から得
られる2DEGFET構造の移動度にも極端な劣化がみ
られる。これに関して、In表面偏析を考慮することに
より、移動度の劣化を伴う三次元成長の発生機構を原子
レベルで説明するモデルが、我々の研究結果から提案さ
れている。即ち、標準的なInGaAsの成長条件下で
は、0.8程度の割合で起きるInとGa原子の置換現
象の結果、In原子の大きな表面偏析が生じる。これに
より、成長表面にIn原子の蓄積が生じ、設計値In組
成の増大に伴い、その量は1MLを越えて増加する。そ
してこの量が1.8ML近傍の臨界値に達したところ
で、表面に存在するIn自体が成長の三次元化を引き起
こしてしまう。この時の設計In組成が、0.25程度
以上であるというものである。
【0004】一方、それではこのモデルに基づいて考え
ると、0.25よりもチャンネルのIn組成を大きくす
るには、In偏析を抑制し、表面に蓄積するIn量を減
らしてやれば良いと期待される。実際、これはInGa
Asの成長温度(T2)を低下させること、もしくはI
nGaAs成長中のAs分圧を上げることにより成し遂
げられる(豊島「歪InGaAsの成長法」1993年
3月特許公開技報に掲載済)。即ち、図4において、G
aAsバッファ層2を成長後、成長中断により基板温度
を530℃よりさらに低い温度T2へ低下させた後In
GaAsを成長し、その後再び成長中断を行い基板温度
を530℃へ上昇させ、AlGaAsスペーサ層4以後
の成長を先と同様に行う。図5には、In組成0.3
5、厚さ70オングストロームのInGaAsチャンネ
ルを持つ図4の構造(但し、N−GaAs層の厚みは5
0オングストローム、Al組成は0.30)を、この方
法でT2を400℃から520℃へ変化させて成長した
場合に得られる二次元電子ガスの移動度の測定結果を示
す。InGaAs成長中のAs圧は3.5×10-5Torr
に増加させた。図5より、成長温度を490℃よりも低
くすることにより、室温移動度5,800cm2/V
s、77Kでは18,800cm2/Vsと高い値が得
られることが分かる。測定された電子濃度は1.7×1
012cm-2であった。成長温度490℃で若干の移動度
の減少が見られ、520℃では完全な劣化が見られる
が、これはInGaAsチャンネル成長中のRHEED
パターンが、490℃でやや散漫になり、520℃では
完全に三次元化することと符合する。
ると、0.25よりもチャンネルのIn組成を大きくす
るには、In偏析を抑制し、表面に蓄積するIn量を減
らしてやれば良いと期待される。実際、これはInGa
Asの成長温度(T2)を低下させること、もしくはI
nGaAs成長中のAs分圧を上げることにより成し遂
げられる(豊島「歪InGaAsの成長法」1993年
3月特許公開技報に掲載済)。即ち、図4において、G
aAsバッファ層2を成長後、成長中断により基板温度
を530℃よりさらに低い温度T2へ低下させた後In
GaAsを成長し、その後再び成長中断を行い基板温度
を530℃へ上昇させ、AlGaAsスペーサ層4以後
の成長を先と同様に行う。図5には、In組成0.3
5、厚さ70オングストロームのInGaAsチャンネ
ルを持つ図4の構造(但し、N−GaAs層の厚みは5
0オングストローム、Al組成は0.30)を、この方
法でT2を400℃から520℃へ変化させて成長した
場合に得られる二次元電子ガスの移動度の測定結果を示
す。InGaAs成長中のAs圧は3.5×10-5Torr
に増加させた。図5より、成長温度を490℃よりも低
くすることにより、室温移動度5,800cm2/V
s、77Kでは18,800cm2/Vsと高い値が得
られることが分かる。測定された電子濃度は1.7×1
012cm-2であった。成長温度490℃で若干の移動度
の減少が見られ、520℃では完全な劣化が見られる
が、これはInGaAsチャンネル成長中のRHEED
パターンが、490℃でやや散漫になり、520℃では
完全に三次元化することと符合する。
【0005】従って、低温、高As圧下におけるIn表
面偏析抑制条件を用いると、InGaAsの二次元成長
を保ち、組成0.35までの高In化が可能になること
が確かめられた。なお、この低温,高As圧下での成長
が、高In組成InGaAsの二次元成長を持続させる
事実自体は、我々が考慮したIn偏析の理解はないもの
の、例えばアプライド・フィジックス・レター誌第57
巻、144頁、1990年(Applied Physics Letter
s,vol.57,144(1990))等により既に報告されている。
面偏析抑制条件を用いると、InGaAsの二次元成長
を保ち、組成0.35までの高In化が可能になること
が確かめられた。なお、この低温,高As圧下での成長
が、高In組成InGaAsの二次元成長を持続させる
事実自体は、我々が考慮したIn偏析の理解はないもの
の、例えばアプライド・フィジックス・レター誌第57
巻、144頁、1990年(Applied Physics Letter
s,vol.57,144(1990))等により既に報告されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、さらに
チャンネルIn組成を従来の方法で増加させようとして
も移動度の劣化が生じ、もはやこれ以上のIn組成の増
加、従ってこれに伴うデバイス特性の向上が望めなかっ
た。本発明の目的は上記問題点を解決し、さらなるチャ
ンネルIn組成の増加を達成できる2DEGFET構造
の成長に関する半導体装置の製造方法を提供することに
ある。
チャンネルIn組成を従来の方法で増加させようとして
も移動度の劣化が生じ、もはやこれ以上のIn組成の増
加、従ってこれに伴うデバイス特性の向上が望めなかっ
た。本発明の目的は上記問題点を解決し、さらなるチャ
ンネルIn組成の増加を達成できる2DEGFET構造
の成長に関する半導体装置の製造方法を提供することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、基板上に49
0℃以下の温度でInを含む第1の半導体層、および該
第1の半導体層よりもInの含有率が小さい第2の半導
体層を順次形成し、その後前記第1の半導体層および前
記第2の半導体層の温度を上昇させる工程を含むことを
特徴とする半導体装置の製造方法である。
0℃以下の温度でInを含む第1の半導体層、および該
第1の半導体層よりもInの含有率が小さい第2の半導
体層を順次形成し、その後前記第1の半導体層および前
記第2の半導体層の温度を上昇させる工程を含むことを
特徴とする半導体装置の製造方法である。
【0008】
【実施例】次に本発明の実施例について説明し、同時に
本発明の作用についても説明する。図1は、さらにチャ
ンネルを高In化することを可能とする本発明の2DE
GFET構造の成長法の実施例を説明するための断面図
と成長法の説明図である。本実施例では、歪InGaA
sチャンネルのIn組成を0.4に上げ、その厚みを5
0オングストロームとする事を試みた。まず、従来例と
同様に半絶縁性GaAs基板1上に8000オングスト
ロームのGaAsバッファ層2を600℃で成長後、成
長中断を行いながら基板温度を下げた後、InGaAs
チャンネル層3までを成長する。この時、InGaAs
の成長温度(T1)は490℃以下で変化させ成長を試
みた。さらに、InGaAsと同じ低温で10オングス
トロームのAlGaAsスペーサ層4を成長した後、成
長中断を行いながら基板温度を600℃へ昇温し、最後
に600℃で400オングストロームのN−AlGaA
s電子供給層5、50オングストロームのN−GaAs
コンタクト層6を成長した。成長中断はAs圧下で、温
度が設定値に安定するまで60秒以上設けた。
本発明の作用についても説明する。図1は、さらにチャ
ンネルを高In化することを可能とする本発明の2DE
GFET構造の成長法の実施例を説明するための断面図
と成長法の説明図である。本実施例では、歪InGaA
sチャンネルのIn組成を0.4に上げ、その厚みを5
0オングストロームとする事を試みた。まず、従来例と
同様に半絶縁性GaAs基板1上に8000オングスト
ロームのGaAsバッファ層2を600℃で成長後、成
長中断を行いながら基板温度を下げた後、InGaAs
チャンネル層3までを成長する。この時、InGaAs
の成長温度(T1)は490℃以下で変化させ成長を試
みた。さらに、InGaAsと同じ低温で10オングス
トロームのAlGaAsスペーサ層4を成長した後、成
長中断を行いながら基板温度を600℃へ昇温し、最後
に600℃で400オングストロームのN−AlGaA
s電子供給層5、50オングストロームのN−GaAs
コンタクト層6を成長した。成長中断はAs圧下で、温
度が設定値に安定するまで60秒以上設けた。
【0009】図2には、本発明の方法で成長した2DE
GFET構造の室温、77K暗中でのホール測定結果を
四角印でプロットした。チャンネル層およびスペーサ層
を400℃から460℃の範囲で成長させた場合、移動
度は室温において5,000cm2/Vs以上、77K
においても10,000cm2/Vs以上と高い値が得
られることが分かる。490℃でチャンネル層、スペー
サ層を成長した場合は、やや移動度の減少を示すが、こ
れは、この温度が高In組成InGaAsチャンネル成
長にはやや高いことを示している。注目すべきは最適成
長温度の範囲であり、現成長条件下では430±30℃
と60℃の温度マージンがあり、これは実用化を考えた
場合充分な成長再現性が確保できる値である。比較のた
め、従来の方法で、同じ2DEGFET構造を成長した
場合に得られるホール測定結果を図2の丸印で示す。こ
の場合は、成長温度をいくら変化させても、室温、77
Kとも1,000cm2/Vs以下の実用に耐えない移
動度しか得られず、本発明の効果は明白である。
GFET構造の室温、77K暗中でのホール測定結果を
四角印でプロットした。チャンネル層およびスペーサ層
を400℃から460℃の範囲で成長させた場合、移動
度は室温において5,000cm2/Vs以上、77K
においても10,000cm2/Vs以上と高い値が得
られることが分かる。490℃でチャンネル層、スペー
サ層を成長した場合は、やや移動度の減少を示すが、こ
れは、この温度が高In組成InGaAsチャンネル成
長にはやや高いことを示している。注目すべきは最適成
長温度の範囲であり、現成長条件下では430±30℃
と60℃の温度マージンがあり、これは実用化を考えた
場合充分な成長再現性が確保できる値である。比較のた
め、従来の方法で、同じ2DEGFET構造を成長した
場合に得られるホール測定結果を図2の丸印で示す。こ
の場合は、成長温度をいくら変化させても、室温、77
Kとも1,000cm2/Vs以下の実用に耐えない移
動度しか得られず、本発明の効果は明白である。
【0010】図3は、InGaAsチャンネルの成長温
度を460℃と一定にして、本発明と従来の方法を用い
て2DEGFET構造を成長した場合において、得られ
る移動度のIn組成依存性をまとめて示したものであ
る。In組成0.35まではどちらの成長方法でも得ら
れる移動度は変わらない。従って、本発明には結晶性が
成長温度に敏感だとされるAlGaAsスペーサ層を4
60℃という低温で成長する過程が含まれるが、これは
結果的に問題ないことが確認される。組成が0.35よ
り大きくなると、これまで述べたように、従来の成長方
法ではもはや良好な移動度は得られない。一方、本発明
の方法を用いれば、In組成を0.45まで増加させて
も従来例のような急激な移動度の劣化を回避でき、その
結果、良好な移動度が保たれる。得られた移動度は、I
n組成が0.30の時、室温で6,400cm2/V
s、77Kでは19,300cm2/Vsであり、In
組成が0.45の時は、室温で3,600cm2/V
s、77Kで6,500cm2/Vsであった。
度を460℃と一定にして、本発明と従来の方法を用い
て2DEGFET構造を成長した場合において、得られ
る移動度のIn組成依存性をまとめて示したものであ
る。In組成0.35まではどちらの成長方法でも得ら
れる移動度は変わらない。従って、本発明には結晶性が
成長温度に敏感だとされるAlGaAsスペーサ層を4
60℃という低温で成長する過程が含まれるが、これは
結果的に問題ないことが確認される。組成が0.35よ
り大きくなると、これまで述べたように、従来の成長方
法ではもはや良好な移動度は得られない。一方、本発明
の方法を用いれば、In組成を0.45まで増加させて
も従来例のような急激な移動度の劣化を回避でき、その
結果、良好な移動度が保たれる。得られた移動度は、I
n組成が0.30の時、室温で6,400cm2/V
s、77Kでは19,300cm2/Vsであり、In
組成が0.45の時は、室温で3,600cm2/V
s、77Kで6,500cm2/Vsであった。
【0011】本発明による移動度の大幅な向上の物理的
原因を考察するため、成長中のRHEED観察を行っ
た。これによれば、InGaAsの成長温度を490℃
以下にすれば、In組成0.45もしくはそれ以上の場
合においても、その表面は二次元性を保って成長してい
た。しかしながら、従来の成長法では、InGaAs成
長後に基板温度を530℃へ昇温する過程において、表
面の三次元化が生じることが明らかとなり、これが移動
度を劣化させる要因であると考えられる。従って従来の
場合、InGaAs成長直後には、低温、高As4圧成
長によるIn偏析抑制により、蓄積された表面In量は
臨界値以下であるが、引き続く昇温過程において、下地
のInGaAsに埋め込まれたInが固相拡散により表
面に現れ、その結果、表面Inの総量が臨界値に達する
ことにより、表面の新たな三次元化が生じるのではない
かと考えられる。一方、本発明の場合は、低温、高As
分圧下で成長することにより二次元性を保っている高I
n組成InGaAsチャンネルの表面上に、同じ温度で
AlGaAsスペーサ層をキャップとして成長すること
により、表面は安定化されると考えられる。
原因を考察するため、成長中のRHEED観察を行っ
た。これによれば、InGaAsの成長温度を490℃
以下にすれば、In組成0.45もしくはそれ以上の場
合においても、その表面は二次元性を保って成長してい
た。しかしながら、従来の成長法では、InGaAs成
長後に基板温度を530℃へ昇温する過程において、表
面の三次元化が生じることが明らかとなり、これが移動
度を劣化させる要因であると考えられる。従って従来の
場合、InGaAs成長直後には、低温、高As4圧成
長によるIn偏析抑制により、蓄積された表面In量は
臨界値以下であるが、引き続く昇温過程において、下地
のInGaAsに埋め込まれたInが固相拡散により表
面に現れ、その結果、表面Inの総量が臨界値に達する
ことにより、表面の新たな三次元化が生じるのではない
かと考えられる。一方、本発明の場合は、低温、高As
分圧下で成長することにより二次元性を保っている高I
n組成InGaAsチャンネルの表面上に、同じ温度で
AlGaAsスペーサ層をキャップとして成長すること
により、表面は安定化されると考えられる。
【0012】本実施例では、高In化されたInGaA
s表面は、10オングストロームのAlGaAsスペー
サ層の成長で、600℃もしくはそれ以上の昇温過程に
対し安定化されることを述べたが、他のRHEED実験
等から、この昇温に耐え得るスペーサ層として機能する
最小の厚みはたかだか3分子層厚(1分子層は2.8オ
ングストローム)あれば良く、またAlGaAsでもG
aAsでもその機能に差が見られないことが確かめられ
た。また、N型もしくはP型にドーピングした層をキャ
ップとして用いても良い。もちろんチャンネルに用いる
InGaAsよりもIn組成が低い他のInGaAsを
キャップとして用いても、その厚みを適当に選ぶことに
より同等の効果が得られる。また上記の例では、材料系
として、GaAs基板上のInGaAs成長における、
使用可能なIn組成の増加を例として本発明を説明した
が、材料系はそれに限られることなく、GaAs基板上
のAlInAs、またInP基板上のInGaAsもし
くはAlInAs成長等の、Inを含有する材料系一般
にも本発明は同様に適用可能である。
s表面は、10オングストロームのAlGaAsスペー
サ層の成長で、600℃もしくはそれ以上の昇温過程に
対し安定化されることを述べたが、他のRHEED実験
等から、この昇温に耐え得るスペーサ層として機能する
最小の厚みはたかだか3分子層厚(1分子層は2.8オ
ングストローム)あれば良く、またAlGaAsでもG
aAsでもその機能に差が見られないことが確かめられ
た。また、N型もしくはP型にドーピングした層をキャ
ップとして用いても良い。もちろんチャンネルに用いる
InGaAsよりもIn組成が低い他のInGaAsを
キャップとして用いても、その厚みを適当に選ぶことに
より同等の効果が得られる。また上記の例では、材料系
として、GaAs基板上のInGaAs成長における、
使用可能なIn組成の増加を例として本発明を説明した
が、材料系はそれに限られることなく、GaAs基板上
のAlInAs、またInP基板上のInGaAsもし
くはAlInAs成長等の、Inを含有する材料系一般
にも本発明は同様に適用可能である。
【0013】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による半導
体装置の製造方法は、In含有率のより少ない半導体層
よりなるキャップ層をIn含有層上に成長することによ
り、該In含有層表面を熱的に安定化することができ、
その結果、歪In含有層において使用可能なIn組成の
範囲を大幅に増大することができる。その結果、高In
化されたIn含有層を、2DEGFETのみならず種々
のデバイスへ応用することが可能となり、半導体装置の
大幅な特性向上を図ることが可能となると共に、半導体
装置の構造設計自由度を大幅に広げることが出来る。
体装置の製造方法は、In含有率のより少ない半導体層
よりなるキャップ層をIn含有層上に成長することによ
り、該In含有層表面を熱的に安定化することができ、
その結果、歪In含有層において使用可能なIn組成の
範囲を大幅に増大することができる。その結果、高In
化されたIn含有層を、2DEGFETのみならず種々
のデバイスへ応用することが可能となり、半導体装置の
大幅な特性向上を図ることが可能となると共に、半導体
装置の構造設計自由度を大幅に広げることが出来る。
【図1】本発明の一実施例による二次元電子ガストラン
ジスタの断面図とその成長方法を説明する概略図であ
る。
ジスタの断面図とその成長方法を説明する概略図であ
る。
【図2】本発明の効果を説明するための、InGaAs
成長温度と移動度との関係を示す図である。
成長温度と移動度との関係を示す図である。
【図3】本発明の効果を説明するための、In組成と移
動度との関係を示す図である。
動度との関係を示す図である。
【図4】従来の二次元電子ガストランジスタの断面図と
その成長方法を説明する概略図である。
その成長方法を説明する概略図である。
【図5】従来の成長方法によるInGaAs成長温度と
移動度との関係を示す図である。
移動度との関係を示す図である。
1 半絶縁性GaAs基板 2 GaAsバッファ層 3 InGaAsチャンネル層 4 AlGaAsスペーサ層 5 N−AlGaAs電子供給層 6 N−GaAsコンタクト層
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年4月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 29/778 21/338 29/812
Claims (1)
- 【請求項1】 基板上に490℃以下の温度でInを含
む第1の半導体層、および該第1の半導体層よりもIn
の含有率が小さい第2の半導体層を順次形成し、その後
前記第1の半導体層および前記第2の半導体層の温度を
上昇させる工程を含むことを特徴とする半導体装置の製
造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23886793A JPH0774100A (ja) | 1993-08-31 | 1993-08-31 | 半導体装置の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23886793A JPH0774100A (ja) | 1993-08-31 | 1993-08-31 | 半導体装置の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0774100A true JPH0774100A (ja) | 1995-03-17 |
Family
ID=17036440
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP23886793A Pending JPH0774100A (ja) | 1993-08-31 | 1993-08-31 | 半導体装置の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0774100A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6051506A (en) * | 1996-06-29 | 2000-04-18 | Hyundai Electronics Industries Co., Ltd. | Method of fabrication ultra-frequency semiconductor device |
JP2012513107A (ja) * | 2008-12-20 | 2012-06-07 | フラウンホッファー−ゲゼルシャフト ツァ フェルダールング デァ アンゲヴァンテン フォアシュンク エー.ファオ | オプトエレクトロニック半導体素子およびその製造方法 |
JP2020017659A (ja) * | 2018-07-26 | 2020-01-30 | 富士通株式会社 | 赤外線検出器、撮像素子、光半導体装置 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0346241A (ja) * | 1989-07-14 | 1991-02-27 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 半導体ヘテロ構造およびその製造方法 |
-
1993
- 1993-08-31 JP JP23886793A patent/JPH0774100A/ja active Pending
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0346241A (ja) * | 1989-07-14 | 1991-02-27 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 半導体ヘテロ構造およびその製造方法 |
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US6051506A (en) * | 1996-06-29 | 2000-04-18 | Hyundai Electronics Industries Co., Ltd. | Method of fabrication ultra-frequency semiconductor device |
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