JPH0773748B2 - コーナーピースの供給方法及び供給装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本願発明は、断面矩形状の空調用
ダクトを製作する場合であって、ダクトの開口端縁にお
けるコーナー部を補強するため、外向きフランジ及びそ
の先端折曲片により形成された凹部内に、Ｌ形のコーナ
ーピースを挿入する場合に、コーナーピースを上記コー
ナー部の凹部上まで供給する方法及び供給装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】図１は、空調用ダクトの製造途中の斜視
図を示しており、ダクト本体１は、表面処理鉄板等から
なる４枚の側板１ａを断面矩形状に組み合わせ、各突き
合わせ部２をかしめにより結合してある。各側板１ａ
は、それぞれ開口側の端縁に、側板１ａと直角な外向き
フランジ３を一体に有し、各フランジ３は、その外端
に、フランジ３と直角な折曲片６を一体に有し、それら
により、ダクト開口端縁に断面コの字形の凹部を形成し
ている。また、各側板１ａには、図２に示すように折曲
片６の先端縁と平行でかつ概ね同じ高さで直線状に延び
ると共に外方に突出した断面円弧形の凸条７が形成され
ている。上記隣接するフランジ間のコーナー部４を埋め
ると共にフランジ３同士の結合を補強するために、コー
ナー部４の凹部上にＬ形のコーナーピース５を載せ置
き、そして、挿入機により、上方からＬ形のコーナーピ
ース５を押し込む。さらに、折曲片６の上端をかしめる
ことにより、コーナーピース５を固定している。

【０００３】従来、コーナーピースの供給方法として
は、たとえば、人手により１つづつコーナー部に載せ置
いたり、あるいは、水平な滑動用ガイド板上を、前後方
向進退駆動自在なプッシャにより、ストック部分から前
開き状の姿勢で移送する供給装置を利用して、自動的に
上記コーナー部の凹部上に載せ置いたりしている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記前者の人
手による従来方法では、作業能率がよくなく、また、そ
の載置位置がずれる場合がよくある。また、後者の従来
方法によると、作業能率は、ある程度向上するが、次の
ような課題が残る。

【０００５】コーナーピースを供給装置によりコーナー
部に載せ置く場合、フランジの折曲片よりもかなり高い
位置から落下供給するよりも、フランジの折曲片の高さ
に近い位置から水平方向に移送して、供給する方が、精
度よく、かつ、正常な姿勢でコーナーピースを載せ置く
ことができる。ところが、４枚の側板１ａにより矩形状
に組み立てられているダクト本体１は、側板１ａの相互
の上下のずれや、フランジ３のねじれによる側板１ａと
の角度のばらつきなどが生じている場合がよくある。こ
のような場合、上記のようにフランジ３の折曲片６の高
さに近い高さで、水平姿勢で凹部上に供給すると、上方
にずれた側板１ａの折曲片６に衝突したりして、供給不
良を起こすことがよくある。一方、移送高さ自体を高く
すると、上記のように高い位置から落下供給することに
なるので、正常な姿勢でコーナーピースを載せ置くこと
ができなくなる場合が多い。

【０００６】本願発明の目的は、コーナーピースの供給
行程において、ダクト本体のコーナー部への供給作業が
円滑かつ精度よく行えるコーナーピースの供給方法及び
供給装置を提供することである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本願の請求項１記載のコ
ーナーピースの供給方法は、断面矩形状のダクトの開口
端縁部分に、外向きフランジとその外端の折曲片とで断
面コの字形の凹部を有すると共に、上記フランジ近傍の
ダクト側板に外方突出状の凸条を有するダクトのコーナ
ー部に対し、プッシャにより、Ｌ形のコーナーピース
を、前開き状の姿勢で滑動用ガイド板上を前方へ移送
し、上記コーナー部の凹部上に載せ置くコーナーピース
の供給方法において、Ｌ形コーナーピースの左右両前端
部がガイド板より高くなるように前上がり状の傾斜姿勢
にして、コーナー部の凹部上へと載せ置くことを特徴と
するコーナーピースの供給方法である。

【０００８】請求項２記載の供給装置は、ダクトのコー
ナー部に対し、プッシャにより、Ｌ形のコーナーピース
を、前開き状の姿勢で滑動用ガイド板上を前方へ移送
し、上記コーナー部の凹部上に載せ置くコーナーピース
の供給装置において、ダクト本体のコーナー部寸前まで
ほぼ水平に延びる滑動用ガイド板と、前後方向に進退駆
動自在で上記滑動用ガイド板上のコーナーピースを前方
のコーナー部まで押動するプッシャとを備え、上記ガイ
ド板の前端部近傍であって、コーナーピースの左右両端
部に対応する位置に、左右１対の前上がり状の傾斜台を
設けたことを特徴とするコーナーピースの供給装置であ
る。

【０００９】

【００１０】

【作用】滑動用ガイド板上のコーナーピースを、プッシ
ャにより、前開き状の水平姿勢で前方のダクト本体配置
側へ押し出し、移送する。該移送の最終の段階、すなわ
ち、滑動用ガイド板の前端部において、左右１対の傾斜
台があることにより、コーナーピースの左右両前端部
が、傾斜台に乗り上がる。一方、コーナーピースの後端
曲り角部は滑動用ガイド板の高さに維持されているの
で、コーナーピース全体としては前上がり状の傾斜姿勢
となり、その傾斜姿勢でダクト本体のコーナー部の凹部
上に載せられる。したがって、フランジの折曲片の高さ
にずれがあっても、それに衝突することなく、それを乗
り越えて所定の位置まで供給され、供給不良は生じな
い。

【００１１】また、コーナーピースは、後端部について
は、折曲片とほぼ同じ高さの滑動用ガイド板の面から供
給されるので、載せ置き位置にずれが生じたり、騒音が
発生したりすることが少ない。

【００１２】

【実施例】図３は、本願発明にかかるコーナーピースの
供給装置を備えた装置の全体平面図を示しており、平面
状の基盤１１は、図示しないが床面から脚を介して一定
高さに固定されており、上記基盤１１には、本体ダクト
供給側となる前側から順に、コーナーピースの挿入機Ｍ
1 と供給装置Ｍ2 が並べて設けられている。

【００１３】コーナーピースの供給装置Ｍ2 は、水平な
滑動用ガイド板１３と、ロッドレスシリンダ１４と、該
シリンダ１４により前後に進退駆動する板状のプッシャ
１５を備えており、滑動用ガイド板１３上の中間ストッ
ク部には、多数のＬ形コーナーピース５が積み重ねら
れ、該コーナーピース５は、左右１対の支え柱１７によ
り、後方移動不能に係止されている。また、コーナーピ
ース５の前方には、下から２段目以上のコーナーピース
５が前方に移動しないように、滑動用ガイド板１３から
一定高さ上方に邪魔板１８が配置されている。

【００１４】挿入機Ｍ1 は、基盤１１に設けられた正方
形状の取付孔２１に、正方形状の固定ベース２２が下側
から水平姿勢に嵌め込まれ、ボルトなどにより基盤１１
に固定されている。取付孔２１及び固定ベース２２は、
上方からみてその対角線の１つＤ1 −Ｄ1 が、前後方向
に沿う姿勢に配置されており、固定ベース２２のほぼ中
央部の上方に、前開き状のＬ形（Ｖ形）の昇降アーム２
３が配置され、また、固定ベース２２の前半部には、ホ
ームベース形（家形５角形）のダクト位置決め用ブロッ
ク２５が設けられている。

【００１５】図８は挿入機Ｍ1 の平面拡大図であり、位
置決め用ブロック２５の後部には、後方突出状の９０°
挟角のＬ形当接面２５ａが形成され、その先端は上記中
心Ｏ近傍に位置している。昇降アーム２３は、前開きハ
の字形の前端縁を有しており、該ハの字形前端縁の交叉
部分には、固定ベース２２の中心Ｏに対応する位置に円
弧形の切欠き３０が形成されている。

【００１６】昇降アーム２３のハの字形前端部の下面に
は、挟角θが９０°で、前開きハの形に配置された１対
の押込片３１が固着され、該押込片３１と昇降アーム２
３により、挿入機構２９を構成している。両押込片３１
の前端縁の延長線は、ほぼ上記中心Ｏ位置で交叉するよ
うに配置されている。

【００１７】昇降アーム２３の左右両端部には、１対の
ねじ付きボス２７が固着され、各ボス２７には垂直な連
結ロッド２６の上端が螺着されている。両連結ロッド２
６は、固定ベース２２の中心Ｏを通る左右方向の対角線
Ｄ2 −Ｄ2 上に配置されると共に、図示しない油圧シリ
ンダ等の駆動機構に連結し、該駆動機構により、連結ロ
ッド２６を介して上記昇降アーム２３を昇降するように
なっている。

【００１８】該挿入機Ｍ1 は、挿入作業に続いてかしめ
作業も行えるようになっており、そのために、固定ベー
ス２２内には、左右１対のかしめ機構収納凹部３４が形
成されており、各凹部３４内には、図９に示すように、
上記各押込片３１と平行で、回動自在なかしめ機構３５
が収納され、適宜の駆動機構により、回動するようにな
っている。

【００１９】図４は、供給装置Ｍ2 のみを示す拡大平面
図であり、滑動用ガイド板１３は左右両端に立ち上がり
状の側壁部１３ａを一体に有し、ガイド板１３の前端部
には、仮想線で示すセット位置のダクト本体１のフラン
ジ３の外方端縁の形状に沿う直角Ｌ形の切欠き２０が形
成されており、また、前端部全体として、Ｗ形に形成さ
れている。

【００２０】邪魔板１８は、左右に延びるクロスステー
２４を介してガイド板側壁１３ａの上端部に固定されて
いる。プッシャ１５の前端縁１５ａは、挟角９０°で、
前方に向いて開くＬ形に切り欠かれている。

【００２１】ガイド板１３上の前部の左右両端部には、
コーナーピース５の左右両端部に対応する位置に、傾斜
台１９がそれぞれ設けられている。該傾斜台１９は、図
７に示すように、前上がり状に傾斜しており、その後端
部は、ガイド板１３の表面に滑らかに接続している。

【００２２】図４のＶ−Ｖ断面を示す図５において、挿
入機用固定ベース２２の上面は、基盤１１の上面と同一
平面に揃えられている。ロッドレスシリンダ１４は、基
盤１１の下面に固定されると共に、前後方向に水平移動
するスライダ部１４ａを有し、該スライダ部１４ａは、
基盤１１に形成された前後方向に長い孔１１ａを通って
上方に突出し、該スライダ部１４ａの上端に、プッシャ
１５の後部が連結されている。プッシャ１５はガイド板
１３の上面に滑動自在に載っている。ガイド板１３は、
たとえば、スペーサ３２を介して基盤１１の上方に固定
されており、その高さは、セット位置のダクト本体１の
折曲片６の上端縁とほぼ同じ高さに設定されている。

【００２３】

【供給方法の一例】図３において、支え柱１７の前側、
すなわちストック部分に、前開き状の姿勢で多数のコー
ナーピース５を積み重ねて置く。そして、ロッドレスシ
リンダ１４を作動させて、図５のスライダ部１４ａを前
進させることにより、プッシャ１５をガイド板１３の上
面で前進摺動させ、最下端部のコーナーピース５を、前
方に押し出す。

【００２４】最下段のコーナーピース５は上記のよう
に、ガイド板１３上を摺動して前方へと移動するが、２
段目及びそれより上のコーナーピース５は、邪魔板１８
に阻止されることにより、前方へは移動せず、したがっ
て、上記最も下段のコーナーピース５のみが前方に抜け
出し、２段目以上のコーナーピース５は、一旦、プッシ
ャ１５の上に載ることになる。

【００２５】移送されるコーナーピース５がガイド板１
３の前部にくると、図６に示すように、その左右両前端
部が各傾斜台１９に乗り上がり、一方、後端の中央曲り
角部はガイド板１３の面高さに位置したままとなる。し
たがって、図７に示すように前上がり状の傾斜姿勢とな
り、たとえ、仮想線で示すようにフランジ３の折曲片６
が上方にずれてガイド板１３よりも高くなっていても、
コーナーピース５はそれに衝突することなく、コーナー
部の凹部上に円滑に載せ置かれる。

【００２６】載せ置きが完了すると、図５のプッシャ１
５は後退する。この時、プッシャ１５上に残っているス
トック部のコーナーピース５は、支え柱１７によって係
止されているので、後方へは移動しない。

【００２７】プッシャ１５が、支え柱１７よりも後方に
後退すると、ストック部分のコーナーピース５は、いわ
ゆる「ダルマ落とし」のようにコーナーピース１個分降
下し、ガイド板１３上に載る。

【００２８】コーナーピース供給後の挿入及びかしめ方
法を簡単に説明する。図９の（ａ）において、ダクト本
体１のコーナー部の凹部上に載せられたコーナーピース
５を、アーム２３の下降駆動により、押込片３１でもっ
て、凸条７を乗り越えて押し込み、図９の（ｂ）のよう
に、コーナーピース５をフランジ３に水平姿勢で押し付
ける。

【００２９】次に、図９の（ｃ）に示すように、押込片
３１によって、一定押圧力でコーナーピース５をフラン
ジ３に押し付けた状態を保ちながら、かしめ機構３５が
矢印Ａ方向に回動し、爪部３５ａでもって折曲片６の上
端部を凹部内方へとかしめ、これにより、コーナーピー
ス５を強固に固定する。

【００３０】

【発明の効果】以上説明したように、本願発明は、 （１）コーナーピース５を、滑動用ガイド板１３上で水
平方向に押し出してダクト本体１のコーナー部上に移送
供給する方法及び装置において、コーナーピース５の姿
勢を前上がり状の傾斜姿勢に変更するので、ダクト本体
１の側板相互間の上下のずれ、曲がり角度の変化あるい
はフランジ３のたわみ等により、フランジ３の折曲片６
が上方へとずれていても、それらに衝突することなく、
円滑に所定の凹部上に載せ置くことができ、供給不良が
生じない。

【００３１】なお、滑動用ガイド板１３を、セット位置
のダクト本体１の折曲片６とほぼ同一高さに配置する
と、コーナーピース５は、後端部については、折曲片６
とほぼ同じ高さで供給されるので、高位置から落下供給
されるような場合に比べて、載せ置き位置にずれが生じ
たりすることがない。

【図面の簡単な説明】

【図１】 ダクトの半製品の斜視図である。

【図２】 コーナーピースを挿入固定した状態を示す一
部横断斜視図である。

【図３】 本願発明にかかる供給装置を備えた装置の全
体平面図である。

【図４】 図３の供給装置のみを示す拡大平面図であ
る。

【図５】 図４のＶ−Ｖ断面図である。

【図６】 コーナーピースが傾斜台に乗り上げた状態を
示す前面図である。

【図７】 図６のVII−VII断面図である。

【図８】 挿入機のみを示す拡大平面図である。

【図９】 図８のIX−IX断面図であって、挿入かしめ行
程を順に示す作動説明図である。

【符号の説明】

１ ダクト本体 ３ フランジ ５ コーナーピース ６ 折曲片 １３ 滑動用ガイド板 １４ ロッドレスシリンダ １５ プッシャ １９ 傾斜台 ２２ 固定ベース ３１ 押込片

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 断面矩形状のダクトの開口端縁部分に、
   外向きフランジとその外端の折曲片とで断面コの字形の
   凹部を有すると共に、上記フランジ近傍のダクト側板に
   外方突出状の凸条を有するダクトのコーナー部に対し、
   プッシャにより、Ｌ形のコーナーピースを、前開き状の
   姿勢で滑動用ガイド板上を前方へ移送し、上記コーナー
   部の凹部上に載せ置くコーナーピースの供給方法におい
   て、Ｌ形コーナーピースの左右両前端部がガイド板より
   高くなるように前上がり状の傾斜姿勢にして、コーナー
   部の凹部上へと載せ置くことを特徴とするコーナーピー
   スの供給方法。
2. 【請求項２】 ダクトのコーナー部に対し、プッシャに
   より、Ｌ形のコーナーピースを、前開き状の姿勢で滑動
   用ガイド板上を前方へ移送し、上記コーナー部の凹部上
   に載せ置くコーナーピースの供給装置において、ダクト
   本体のコーナー部寸前までほぼ水平に延びる滑動用ガイ
   ド板と、前後方向に進退駆動自在で上記滑動用ガイド板
   上のコーナーピースを前方のコーナー部まで押動するプ
   ッシャとを備え、上記ガイド板の前端部近傍であって、
   コーナーピースの左右両端部に対応する位置に、左右１
   対の前上がり状の傾斜台を設けたことを特徴とするコー
   ナーピースの供給装置。