JPH0772576B2 - 緩衝材 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は、バンパー、特に、弾性物質で形成された円
形あるいは楕円形のチューブ内に緩衝構造体が一体的に
形成されたバンパーに関する。

［従来の技術］ ゴムあるいは弾性プラスチック等の弾性物質を円筒状に
形成することにより緩衝作用を得られることは広く知ら
れている。しかしながら、この場合、このような緩衝作
用の寿命は短い。つまり、ゴムあるいは弾性プラスチッ
クは、長期の使用により円筒形状が変形し衝撃を緩和で
きなくなる。

［発明が解決しようとする課題］ 上記のように、従来のバンパーは、長期の使用により円
筒形状が変形し、衝撃を緩和できなくなるという問題が
ある。

そこで、この発明の目的は、緩衝作用を長期に亘って維
持することのできるバンパーを提供することにある。

［課題を解決するための手段］ 上記目的を達成するために、この発明によれば、弾性物
質で形成され、両側壁の内部に縦方向の折曲誘導孔を有
するチューブ本体と、前記チューブ本体の下部に形成さ
れた取付けペースと、前記チューブ本体内に一体的に形
成された衝撃吸収構造体と、を備え、前記衝撃吸収構造
体は、前記チューブ本体の厚さよりも厚さの薄く、低い
弾性度を有し、前記チューブ本体に一体的に形成される
平坦な弾性プレート及びＸ字状プレートから構成される
ことにより、前記チューブ本体の圧縮力と前記衝撃吸収
構造体の引張力の補完作用により衝撃を吸収することを
特徴とする緩衝材が提供される。

［作用］この発明は、外部衝撃吸収材と、外部衝撃吸収
材と一体に形成され、外部衝撃吸収材を介して伝達され
る衝撃力を自身の伸長および圧縮により吸収できる衝撃
吸収構造を有するゴム製緩衝材における長時間使用時の
円筒対の折曲部位への応力の過度の集中を除去すること
で緩衝吸収能力を連続的に持続させることを技術課題と
し、その特有の構成により、 ア）外力により、ゴムチューブのチューブ本体が屈曲変
形されることによる１次吸収、 イ）ゴムチューブのチューブ本体が屈曲変形されること
で、衝撃吸収構造体すなわち平行プレートならびにＸ字
状プレートに提供される伸長力及び圧縮力の相互作用に
よる２次吸収、 ウ）ゴムチューブのチューブ本体が屈曲変形されたの
ち、取付けスペースに伝達される残りの外力に対する取
付けスペース自身の弾性変形による３次吸収、および、 エ）ゴムチューブのチューブ本体に折曲誘導孔（小孔）
を設けることによるチューブ本体の特定の点（箇所）へ
の衝撃力の集中の阻止、 などによって、外部からの衝撃力を、十分な耐久性を保
持しつつ、確実に減衰させることができる。

また、ゴムチューブのチューブ本体及び取付けスペース
は、衝撃力を吸収するために必要な所定の厚さを有し、
屈曲変形及び弾性変形の双方により、衝撃力を吸収され
る。

［実施例］ 以下、図面を参照しながら、この発明の実施例について
説明する。

第１図に示された第１の実施例によれば、ゴムチューブ
（１）内には、一対のゴムプレート（２），（２′）が
互いに平行に一体的に形成され、ゴムチューブ（１）の
軸方向に沿って伸びている。ゴムプレート（２），
（２′）間には、Ｘ状の断面を有するＸ状プレート
（３）が一体的に形成されている。また、ゴムチューブ
の下部には、取付けスペース（４）が形成されている。
なお、ゴムプレート（２），（２′）に平行であって、
Ｘ状プレート（３）の交点を含む面内に対応するゴムチ
ューブ（１）の厚さの部分すなわちチューブ本体の両側
側壁には、符号を付さない小孔が形成されている。ゴム
チューブ（１）の断面形状は、円形あるいは楕円形でも
よく、また、このチューブは弾性プラスチックで形成さ
れてもよい。

第６図に示すように、ゴムチューブ（１）は、矢印で示
された衝撃を受けると、図示のように、間隔（ｗ）を有
する楕円形状に変形する。同時に、ゴムプレート
（２），（２′）及びＸ状プレート（３）は、ゴムチュ
ーブ（１）が容易に変形することを防止するように、か
つ、ゴムチューブ（１）の弾性を保持するように伸縮さ
れる。そのため、Ｘ状プレート（３）は、均整の取れた
衝撃緩衝を達成できるよう左右均一に伸縮される。ま
た、符号を付さない２つの小孔は、ゴムチューブ（１）
に反復的に提供される衝撃力により、ゴムチューブ
（１）に過度の応力が集中することを阻止できる。

より詳細には、 ア）外力により、ゴムチューブ（１）のチューブ本体が
屈曲変形されることによる１次吸収、 イ）ゴムチューブ（１）のチューブ本体が屈曲変形され
ることで、衝撃吸収構造体すなわち平行プレートならび
にＸ字状プレートに提供される伸長力及び圧縮力の相互
作用による２次吸収、 ウ）ゴムチューブ（１）のチューブ本体が屈曲変形され
たのち、取付けスペースに伝達される残りの外力に対す
る取付けスペース自身の弾性変形による３次吸収、およ
び、 エ）ゴムチューブ（１）のチューブ本体に折曲誘導孔
（小孔，符号なし）を設けることによるチューブ本体の
特定の点（箇所）への衝撃力の集中の阻止、 などによって、外部からの衝撃力を、十分な耐久性を保
持しつつ、確実に減衰させることが可能であって、さら
に、衝撃力を吸収するために必要な所定の厚さを有する
ゴムチューブのチューブ本体及び取付けスペースによる
屈曲変形及び弾性変形の双方により、衝撃力が吸収され
る。

すなわち、衝撃荷重がゴムチューブ（１）の内部で順次
に分散されて作用するため、緩衝材のいづれの箇所にも
衝撃荷重が一時に集中的に作用することが防止され、ゴ
ムチューブ（１）のチューブ本体が衝撃荷重により屈曲
される時、屈曲誘導孔（小孔）の部位が屈曲されるた
め、反復的衝撃荷重が加わっても屈曲部位に過度の応力
が集中することも防止できる。

このことから、本願発明のバンパーは、衝撃エネルギー
の反復作用にもかかわらず安定な衝撃吸収能力を有する
だけでなく強い耐久性を提供できる。換言すれば、本願
発明のバンパーは、構造力学上、ゴムチューブ（１）の
チューブ本体の屈曲変形と衝撃吸収構造体すなわちＸ状
プレート（３）の弾性及び剛性反発力が最適状態で互い
に補完されて発揮されるように構成されているので高い
衝撃吸収能力を提供できる。

第２図に示された第２の実施例によれば、ゴムバンパー
は、船、つまり港での使用を目的として形成されてい
る。この実施例では、緩衝部（５），（５′）を形成す
る一対のチューブが並列に連結されている。そして、接
続部（６）、接続プレート（７），（７′）および取付
けスペース（８）が、緩衝部（５），（５′）と一体的
に形成されている。必要であれば、緩衝部（５），
（５′）を一層大きな幅に形成してもよい。

第３図に示された第３の実施例によれば、チューブは、
ゴムあるいはプラスチックにより楕円形に形成されてい
る。そして、チューブ内には、平坦なプレート（10）お
よびＸ状プレート（11）が放射状に一体的に形成されて
いる。

また、第４図に示された実施例では、厚く形成された平
坦なプレート（12）およびＸ状プレートと、径方向に伸
びた接続プレート（14），（14′）とを備え、接続プレ
ートは、衝撃を均一に吸収するように薄く形成されてい
る。また、ゴムあるいは弾性プラスチックから成るチュ
ーブ内には、チューブの均一な伸縮性および弾性を得る
ために、チューブ構造体（15），（15′）が一体的に形
成されている。

第５図に示すように、緩衝構造体は、円形チューブ（1
6）、小径の円形チューブ（17），（17′）および径方
向に伸びた放射状プレート（18）により形成されてもよ
い。

このように、ゴムあるいは弾性プラスチックなどの弾性
物質で形成されたバンパーの構造は、必要に応じて、上
述した種々の構成から選択される。

バンパーは、その優れた衝撃緩衝（吸収）作用により、
第８図あるいは第９図に示すように、自動車あるいは船
の本体を保護することができる。

また、この発明のバンパーは、水の漏出を防止するため
にダムのゲートの底に使用してもよく、その他、種々の
分野に利用することができる。

なお、第１図ないし第５図に示されたバンパーは、それ
ぞれ、短く形成されているが、バンパーの長さは、必要
に応じて決められるとともに、第７図に示すように、バ
ンパーの両端部は、空気圧縮作用を生出するように、必
要に応じて閉塞されてもよい。

［発明の効果］ 上記のように構成されたバンパーによれば、外部衝撃吸
収材と、外部衝撃吸収材と一体に形成され、外部衝撃吸
収材を介して伝達される衝撃力を自身の伸長および圧縮
により吸収できる衝撃吸収構造を有するゴム製緩衝材に
おける長時間使用時の円筒対の折曲部位への応力の過度
の集中を除去することにより、衝撃吸収能力を連続的に
持続させることが可能で、その結果、長期に亘って円筒
形状を保持し、十分な緩衝作用を維持することができ
る。

図面の簡単な説明 第１図は、この発明の第１の実施例に係るゴムバンパー
をその一部を破断して示す斜視図、第２図ないし第５図
は、この発明の第２ないし第５の実施例に係るバンパー
をそれぞれ示す斜視図、第６図は、第１図に示されたバ
ンパーが衝撃を受けて変形した状態を示す側面図、第７
図は、両端が気密に閉塞されたバンパーの実施例を示す
断面図、第８図は、この発明のバンパーを自動車に適用
した実施例を概略的に示す図、第９図は、この発明のバ
ンパーを港に適用した実施例を概略的に示す図である。

１…ゴムチューブ、2,2′…ゴムプレート、3,11…Ｘ状
プレート、5,5′…緩衝部。

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】弾性物質で形成され、両側壁の内部に縦方
   向の折曲誘導孔を有するチューブ本体と、前記チューブ
   本体の下部に形成された取付けペースと、前記チューブ
   本体内に一体的に形成された衝撃吸収構造体と、を備
   え、 前記衝撃吸収構造体は、前記チューブ本体の厚さよりも
   厚さの薄く、低い弾性度を有し、前記チューブ本体に一
   体的に形成される平坦な弾性プレート及びＸ字状プレー
   トから構成されることにより、前記チューブ本体の圧縮
   力と前記衝撃吸収構造体の引張力の補完作用により衝撃
   を吸収することを特徴とする緩衝材。
2. 【請求項２】複数の前記チューブ本体が上下水平連結幹
   により並列に連結され、前記水平連結幹の間には前記水
   平連結幹よりも厚さの薄く弾性度が小さい複数の引張部
   材が水平に連結されていることを特徴とする請求項１記
   載の緩衝材。
3. 【請求項３】前記チューブ本体は、楕円形の横断面を有
   することを特徴とする請求項１記載の緩衝材。
4. 【請求項４】前記チューブ本体の両端は、空気圧縮作用
   を生出するよう気密されていることを特徴とする請求項
   １記載の緩衝材。
5. 【請求項５】前記折曲誘導孔は前記チューブ本体の内周
   面の両側に形成されていることを特徴とする請求項１記
   載の緩衝材。