JPH0771535A - 補強用繊維コードおよびそれを用いたゴム−コード複合体 - Google Patents

補強用繊維コードおよびそれを用いたゴム−コード複合体

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JPH0771535A
JPH0771535A JP22122093A JP22122093A JPH0771535A JP H0771535 A JPH0771535 A JP H0771535A JP 22122093 A JP22122093 A JP 22122093A JP 22122093 A JP22122093 A JP 22122093A JP H0771535 A JPH0771535 A JP H0771535A
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JP
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twist
cord
rubber
twisting
fiber cord
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JP22122093A
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Yasuyuki Nakanishi
康之 中西
Hideaki Kawahara
英昭 川原
Masaki Ochiai
政喜 落合
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Bando Chemical Industries Ltd
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Bando Chemical Industries Ltd
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  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)
  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 テープ状の繊維束を構成するフィラメント群
の引き揃え状態を改善し、補強用繊維コードのコード強
力維持率、寸法安定性および耐屈曲疲労性等の物性を良
くする。それを心線として用いたゴム−コード複合体の
耐久性を良くする。 【構成】 テープ状の繊維束を構成するフィラメント群
に上撚りの撚り係数Kの1/3(又は1/4)以下でか
つK=100以上の撚り回数の下撚りを施した後、上撚
りを下撚りと反対方向(又は同方向)に施して補強用繊
維コードを構成する。また、このアラミド繊維コードを
心線3として歯付ベルト1(ゴム−コード複合体)を製
造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コード強力維持率、寸
法安定性および耐屈曲疲労性等の物性に優れた補強用繊
維コードおよびそれを心線として用いた耐久性に優れた
伝動ベルト等のゴム−コード複合体の改良に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】例えばゴム−コード複合体としての伝動
ベルトは、補強用繊維コードがベルト本体を構成するゴ
ム層に埋設されている。この補強用繊維コードとして
は、強力が大きくかつ伸びが小さい特性を有するアラミ
ド繊維コードが広く知られており、例えば特開昭54−
135954号公報に記載されているように、アラミド
繊維を撚り係数1.4〜2.6で太さ3000〜500
0d(デニール)に仕上げた繊維コードを歯付ベルトの
補強コードとして用いる技術はその一例である。
【0003】近時、このようなアラミド繊維コードとし
て、原糸を複数本引き揃えて撚糸とし、これに樹脂処理
及びレゾルシン−ホルマリン−ゴムラテックス(以下、
RFLという)溶液によるディップ処理を加えることに
よって接着性を付与し、さらにゴム糊を付着してオーバ
ーコートしたものが実用化されている。このアラミド繊
維コードを補強コードとして用いたベルトでは、コード
のほつれ性とベルトの耐屈曲疲労性とが改善されること
が報告されている。
【0004】しかし、上記のような心線とゴムの接着性
やほつれ性を改善するには、これだけでは不十分であ
り、無撚りのテープ状のフィラメント群に何らかの接着
剤処理を施す必要がある。この処理の必要性は、特にゴ
ムとの接着性の悪いアラミド繊維は勿論のこと、他種の
有機繊維、無機繊維にも共通にいえることである。
【0005】特開昭61−166838号公報に記載さ
れている技術はその一例であって、この技術は、予めゴ
ム糊又はRFL溶液により接着処理されたアラミド繊維
を集めて撚りを加え、さらに接着処理を加えることによ
り屈曲疲労安定性及びほつれ性を改善するとともに接着
力をも向上させ、これにより伝動ベルト等に好適なアラ
ミド繊維とゴム配合物との複合体を得ようとするもので
ある。
【0006】また、特開平1−207480号公報に記
載されている技術は、無撚りのアラミド繊維にエポキシ
化合物とゴムラテックスとを含む処理剤を付与した後、
加熱処理し、次いで、加撚りし接着剤を付与することに
よってベルトカット面における単糸のほつれを防止可能
なアラミド繊維コードとなし、これにより伝動ベルトの
耐久性等を向上させようとするものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、未処理ある
いは処理された繊維束は、実質的に無撚りと考えられる
状態ではボビンやチーズ、ケーキ巻きと呼ばれる形状に
なっており、この状態で繊維束はテープ状になってい
る。
【0008】また、歯付ベルトをはじめとする伝動ベル
ト、特に寸法安定性および耐屈曲疲労性を必要とする伝
動ベルトにおいては、片撚りコードの方が双撚りコード
に比べてコード引張り弾性率が高くかつ耐屈曲疲労性が
良いことから有利である。
【0009】しかし、上記テープ状の繊維束を複数本引
き揃えてから片撚りすると、引き揃える前の繊維束同士
が撚糸工程で合糸する際に面接触するために滑らず、引
き揃え状態が非常に悪くなり、そのためにコードの撚糸
後の強力維持率が高くならず、また、屈曲や伸長に対す
る疲労性も良いものとはならない。
【0010】本発明はかかる点に鑑みてなされたもので
あり、その目的とするところは、テープ状の繊維束を構
成するフィラメント群の上撚りと下撚りとの撚り係数K
の関係を適正に設定することにより、フィラメント群の
引き揃え状態を改善し、補強用繊維コードのコード強力
利用率、寸法安定性および耐屈曲疲労性等の物性を良く
せんとすることにある。さらには、それを心線として用
いることにより伝動ベルト等のゴム−コード複合体の耐
久性を良くせんとすることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の第1の解決手段は、テープ状の繊維束を構
成するフィラメント群に上撚りの撚り係数K
【数3】 T:10cm当たりの撚り回数 D:繊維束のデニール数 の1/3以下でかつK=100以上の撚り回数の下撚り
を施した後、上撚りを下撚りと反対方向に施して補強用
繊維コードを構成したことを特徴とする。
【0012】本発明の第2の解決手段は、テープ状の繊
維束を構成するフィラメント群に上撚りの撚り係数Kの
1/4以下でかつK=100以上の撚り回数の下撚りを
施した後、上撚りを下撚りと同方向に施して補強用繊維
コードを構成したことを特徴とする。
【0013】本発明の第3の解決手段は、第1,2の解
決手段において、テープ状の繊維束を構成するフィラメ
ント群をシランカップリング剤、エポキシ樹脂、イソシ
アネート樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、RF
L溶液およびゴム糊等からなる接着剤の少なくとも1種
以上の接着剤で1段階もしくは多段階処理したことを特
徴とする。
【0014】本発明の第4の解決手段は、第1〜3の解
決手段において、上撚り後のコード素材をシランカップ
リング剤、エポキシ樹脂、イソシアネート樹脂、ポリウ
レタン樹脂、アクリル樹脂、RFL溶液およびゴム糊等
からなる接着剤の少なくとも1種以上の接着剤で1段階
もしくは多段階処理したことを特徴とする。
【0015】本発明の第5の解決手段は、ゴム層と、こ
のゴム層に埋設され複合体長手方向に延びる心線とでゴ
ム−コード複合体を構成する。この際、上記心線として
第1〜4の解決手段の補強用繊維コードを用いたことを
特徴とする。
【0016】本発明に係る補強用繊維コードを心線とす
るゴム−コード複合体の一例として、図1に歯付ベルト
1を示す。この歯付ベルト1は、歯付ベルト1の長手方
向に延びる背ゴム2と、背ゴム2に埋設され歯付ベルト
1の長手方向に延びる複数の心線3と、上記背ゴム2上
において歯付ベルト1の長手方向に沿って適宜ピッチで
配設される複数の歯ゴム4とからなっており、背ゴム2
及び歯ゴム4の表面にはカバー帆布5が接着されてい
る。
【0017】背ゴム2及び歯ゴム4の材質は、周知のク
ロロスルフォン化ポリエチレンゴム(CSM)、アルキ
ル化クロロスルフォン化ポリエチレン(ACSM)、又
はアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)の二重
結合部分に80重量%以上の水素添加した水素化アクリ
ロニトリル−ブタジエンゴム(H−NBR)等の耐熱劣
化性の向上した材料が用いられ、さらに、上記H−NB
Rと不飽和カルボン酸金属塩とを混合した材料が好まし
く用いられる。なお、ベルト性能に応じて上記以外の適
当な材料を用いても良いことはいうまでもない。
【0018】カバー帆布5は歯付ベルト1の長手方向に
伸縮性を有する織物を用いるのが好ましく、この織物を
構成する織物は、シランカップリング剤、エポキシ樹脂
溶液、イソシアネート樹脂溶液、ポリウレタン樹脂溶
液、アクリル樹脂溶液、RFL溶液及びゴム糊等から選
ばれたものの組合わせで段階的に処理されることが望ま
しい。また、ゴム糊ディップ処理の代わりにゴムのコー
ティングやトッピング等の塗込みを用いるのもよい。こ
のような織物は、上記のような接着剤又はゴムによって
処理された後、ベルト成形時にベルトを構成するゴムや
繊維コード等と接着される。カバー帆布5の材質は、ポ
リアミド繊維、ポリエステル繊維及び芳香族ポリアミド
繊維等から選ばれた組合わせからの構成が好ましく用い
られる。
【0019】心線3としての補強用繊維コードは、例え
ばアラミド繊維、ポリアリレート繊維及びポリパラフェ
ニレンベンズビスオキサゾール繊維等の有機繊維が好ま
しいが、これに限らず、無機繊維であってもよい。心線
3としてアラミド繊維を用いた場合を例に挙げて説明す
ると、アラミド繊維コードは、0.75〜6dのアラミ
ド繊維のフィラメントを200〜2000本集束させた
繊維束(フィラメント群)が、無撚又はあま撚りの状態
下において、シランカップリング剤、エポキシ樹脂、イ
ソシアネート樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、
RFL溶液およびゴム糊等からなる接着剤の少なくとも
1種以上の接着剤で1段階もしくは多段階処理され、し
かる後に約250℃で1〜2分間熱処理されることによ
ってアラミド繊維コード素材が形成される。
【0020】かかるアラミド繊維コード素材において
は、樹脂成分の固化体は繊維束を構成するフィラメント
群の間に均一にかつ十分に分布介在し、上記アラミド繊
維コード素材におけるフィラメントの擦れ合いによる毛
羽立ちを防止する機能を果たすとともにフィラメント同
士を十分に接着して結束効果を奏している。この樹脂成
分の固化体が含浸されたアラミド繊維コード素材は、無
撚又はあま撚りのフィラメント群を構成するアラミド繊
維集束体の前処理時にターンプーリの通過や、ボビンや
紙管への巻取り等の加工工程上、真円とはなり得ず、テ
ープ状になっている。
【0021】そして、このテープ状の繊維束を構成する
フィラメント群(アラミド繊維コード素材)に下撚りを
施した後、上撚りを施することによりアラミド繊維コー
ドが形成される。上撚りと下撚りとの関係は、両者が互
いに逆方向に撚られている場合には、下撚りの撚り係数
Kが上撚りの撚り係数Kの1/3以下でかつK=100
以上になるような撚り回数で下撚りを施す。
【0022】一方、上撚りと下撚りとが互いに同方向に
撚られている場合には、下撚りの撚り係数Kが上撚りの
撚り係数Kの1/4以下でかつK=100以上になるよ
うな撚り回数で下撚りを施す。
【0023】なお、必要により、上撚り後のアラミド繊
維コード素材を、シランカップリング剤、エポキシ樹
脂、イソシアネート樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル
樹脂、RFL溶液およびゴム糊等からなる接着剤の少な
くとも1種以上の接着剤で1段階もしくは多段階処理す
ることが望ましい。
【0024】アラミド繊維コード素材の製品化に用いら
れる材料は下記のものが好ましく使用される。
【0025】RFL溶液は、レゾルシンとホルマリンと
の初期縮合物をラテックスと混合したもので、レゾルシ
ンとホルマリンとのモル比は1:0.5〜3の範囲にお
いて高い接着力が得られる。上記レゾルシンとホルマリ
ンとの初期重合物は、ラテックスのゴム分100重量部
に対しその樹脂分が2〜30重量部となるようにラテッ
クスと混合されたもので、全固形濃度が5〜40%の濃
度となるように調整されている。
【0026】上記ラテッックスは、スチレン−ブタジエ
ン−ビニルピリジン三元共重合体、クロロスルフォン化
ポリエチレン、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、エ
ピクロルヒドリン、SBR、クロロプレンゴム、塩素化
ブタジエン、オレフィン−ビニルエステル共重合体及び
天然ゴム等のラテックス又はそれらの混合体である。
【0027】
【作用】上記の構成により、本発明の第1,2の解決手
段では、上撚り前にテープ状の繊維束を構成するフィラ
メント群に所定の下撚りが施されていることから、フィ
ラメント群の引き揃え状態が良くなり、補強用繊維コー
ドのコード強力維持率が向上し、寸法安定性および耐屈
曲疲労性等の物性が良くなる。
【0028】本発明の第3,4の解決手段では、テープ
状の繊維束を構成するフィラメント群に接着剤のディッ
プ処理が施されていることから、繊維束の集束性、フィ
ラメント同士やゴムとの接着性およびカット面での繊維
コードのほつれ性が向上する。
【0029】本発明の第5の解決手段では、第1〜4の
解決手段の補強用繊維コードが心線として用いられてい
ることから、その特性によって強力が高く、寸法安定性
も良く、さらには接着性および耐屈曲疲労性が優れ、し
かもカット面での心線ほつれのないゴム−コード複合体
が得られる。
【0030】
【実施例】以下、本発明に係る実施例を詳細に説明す
る。
【0031】実験例1,2では、アラミド繊維からなる
補強用繊維コードをゴム−コード複合体としての歯付ベ
ルト1の心線3に用いた場合を示す。
【0032】(実験例1)アラミド繊維のフィラメント
群よりなる1500dの原糸(商品名Kevlar 119〜
デュポン社製、以下同じ)を、エポキシ樹脂(商品名デ
ナコールEX521〜ナガセ化成工業株式会社製、以下
同じ)に少量のNBRラテックス(商品名Nippol
1562 日本ゼオン株式会社製、以下同じ)と架橋
剤とを配合して水に15重量%濃度とした前処理液に含
浸した。
【0033】引き揚げて250℃で1分間ベーキングす
ることによりエポキシ樹脂を主とする成分の固化体がフ
ィラメントに付着してなるアラミド繊維コード素材を調
製した。
【0034】次に、NBRラテックスを用いて濃度30
重量%のRFL溶液をつくり、このRFL溶液を上記ア
ラミド繊維コード素材に含浸した後250℃で1分間熱
処理し、テープ状の繊維束を作成した。そして、このテ
ープ状繊維束に撚り係数K=800以下の下撚りを施し
た。
【0035】その後、上記のように処理された下撚りア
ラミド繊維コード素材を3本引き揃え、下撚りと反対方
向に撚り係数K=800で撚り合わせて上撚りを施した
後、クロロスルフォン化ポリエチレンを主成分としたゴ
ム糊の20重量%溶液にディッピングし、引き揚げた
後、100℃で1分間乾燥させることによりゴム層を被
覆した。上記の各処理及び加工を経てアラミド繊維コー
ドが製造される。
【0036】そして、図1に示すように、上記のように
して得られたアラミド繊維コードを心線3として用いる
ことによって、実験例1に係るゴム−コード複合体とし
ての伝動ベルトの一例である歯付ベルト1が製造され
る。カバー帆布5としては、ベルト幅方向に延びる糸に
6,6ナイロン糸を使用し、ベルト長手方向に延びる糸
に工業用6,6ナイロンのウーリー加工を使用する。ま
た、背ゴム2と歯ゴム4としては水素化ニトリルゴムを
主原料とするゴム組成物を用いる。
【0037】なお、上記歯付ベルト1は上記各材料を用
い通常の圧入法によって製造され、歯ピッチは8mmの
STS歯型であり、歯数113,ベルト幅19mmのも
のである。
【0038】上記した実験例1における各歯付ベルトを
図2に示すような屈曲試験機にセットして740時間走
行させた。そして走行後における供試各ベルトのベルト
強力維持率および寸法変化率を測定し、その実験データ
を図3に示す。
【0039】なお、図2において1は歯付ベルト、6は
ドライブプーリ、7はドリブンプーリ、8はアイドラー
プーリ、9はウエイト、9aは支点であり、テスト時の
歯付ベルト1の周長は904mmでドライブプーリ6の
回転数は5500rpmであった。
【0040】(実験例2)上撚り係数K=800、下撚
り係数K=600以下とするとともに、両者を同方向に
撚って実験例1と同様の実験を行った。その結果により
得た実験データを図4に示す。
【0041】(実験例3)上撚り係数K=1200、下
撚り係数K=600以下とするとともに、両者を逆方向
に撚って実験例1と同様の実験を行った。その結果によ
り得た実験データを図5に示す。
【0042】図3〜図5中、×印はベルト走行後の寸法
変化率を、△印はベルト走行後の強力維持率を、○印は
コード強力をそれぞれ示す。
【0043】図3の実験データによれば、下撚り係数K
=100以上でコード強力が高くなっている。また、下
撚り係数K=100〜300でベルト強力維持率が高く
なっている。さらに、下撚り係数K=250以下でベル
ト寸法変化率が小さくなっていることが判る。したがっ
て、実験例1では、下撚り係数K=100〜250の範
囲が最も好ましい値であり、この範囲で耐久性に優れた
歯付ベルト1が得られる。
【0044】図4の実験データによれば、下撚り係数K
=100以上でコード強力が高くなっている。また、下
撚り係数K=100〜300でベルト強力維持率が高く
なっている。さらに、下撚り係数K=200以下でベル
ト寸法変化率が小さくなっていることが判る。したがっ
て、実験例2では、下撚り係数K=100〜200の範
囲が最も好ましい値であり、この範囲で耐久性に優れた
歯付ベルト1が得られる。
【0045】図5の実験データによれば、下撚り係数K
=100以上でコード強力が高くなっている。また、下
撚り係数K=100〜300でベルト強力維持率が高く
なっている。さらに、下撚り係数K=250以下でベル
ト寸法変化率が小さくなっていることが判る。したがっ
て、実験例3では、下撚り係数K=100〜250の範
囲が最も好ましい値であり、この範囲で耐久性に優れた
歯付ベルト1が得られる。
【0046】なお、上記各実験例では、歯付ベルトにつ
いてのものであるが、他の伝動ベルトや搬送用ベルトに
ついても同様の特性が得られることはいうまでもなく、
さらには、補強用繊維コードを心線として用いるゴム−
コード複合体であればベルトに限らない。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1,2に係
る本発明によれば、上撚り前にテープ状の繊維束を構成
するフィラメント群に所定の撚り係数で下撚りを施した
ので、フィラメント群の引き揃え状態を良くすることが
でき、補強用繊維コードのコード強力維持率の向上、寸
法安定性および耐屈曲疲労性等の物性を良くすることが
できる。
【0048】請求項3,4に係る本発明によれば、テー
プ状の繊維束を構成するフィラメント群に接着剤のディ
ップ処理を施したので、繊維束の集束性、フィラメント
同士やゴムとの接着性およびカット面での繊維コードの
ほつれ性を向上させることができる。
【0049】請求項5に係る本発明によれば、請求項1
〜4の補強用繊維コードを心線として用いたので、その
特性によって強力、寸法安定性、接着性、耐屈曲疲労性
およびカット面での心線ほつれ等の面においてゴム−コ
ード複合体に著効を発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】歯付ベルトの斜視図である。
【図2】屈曲走行試験の説明図である。
【図3】撚り係数とベルト走行後の寸法変化率、強力維
持率およびコード強力との関係を示す実験例1の実験デ
ータである。
【図4】撚り係数とベルト走行後の寸法変化率、強力維
持率およびコード強力との関係を示す実験例2の実験デ
ータである。
【図5】撚り係数とベルト走行後の寸法変化率、強力維
持率およびコード強力との関係を示す実験例3の実験デ
ータである。
【符号の説明】
1 歯付ベルト(ゴム−コード複合体) 2 背ゴム 3 心線 4 歯ゴム

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 テープ状の繊維束を構成するフィラメン
    ト群に上撚りの撚り係数K 【数1】 T:10cm当たりの撚り回数 D:繊維束のデニール数 の1/3以下でかつK=100以上の撚り回数の下撚り
    を施した後、上撚りを下撚りと反対方向に施してなるこ
    とを特徴とする補強用繊維コード。
  2. 【請求項2】 テープ状の繊維束を構成するフィラメン
    ト群に上撚りの撚り係数K 【数2】 T:10cm当たりの撚り回数 D:繊維束のデニール数 の1/4以下でかつK=100以上の撚り回数の下撚り
    を施した後、上撚りを下撚りと同方向に施してなること
    を特徴とする補強用繊維コード。
  3. 【請求項3】 テープ状の繊維束を構成するフィラメン
    ト群が、シランカップリング剤、エポキシ樹脂、イソシ
    アネート樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、レゾ
    ルシン−ホルマリン−ゴムラテックス溶液およびゴム糊
    等からなる接着剤の少なくとも1種以上の接着剤で1段
    階もしくは多段階処理されていることを特徴とする請求
    項1,2記載の補強用繊維コード。
  4. 【請求項4】 上撚り後のコード素材が、シランカップ
    リング剤、エポキシ樹脂、イソシアネート樹脂、ポリウ
    レタン樹脂、アクリル樹脂、レゾルシン−ホルマリン−
    ゴムラテックス溶液およびゴム糊等からなる接着剤の少
    なくとも1種以上の接着剤で1段階もしくは多段階処理
    されていることを特徴とする請求項1〜3記載の補強用
    繊維コード。
  5. 【請求項5】 ゴム層と、このゴム層に埋設され複合体
    長手方向に延びる心線とを備え、上記心線は請求項1〜
    4に記載された補強用繊維コードであることを特徴とす
    る補強用繊維コードを用いたゴム−コード複合体。
JP22122093A 1993-09-06 1993-09-06 補強用繊維コードおよびそれを用いたゴム−コード複合体 Withdrawn JPH0771535A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010099897A (ja) * 2008-10-22 2010-05-06 Yokohama Rubber Co Ltd:The スパイラルホースの製造方法
JP2011163445A (ja) * 2010-02-09 2011-08-25 Bando Chemical Industries Ltd 歯付ベルト
JP2012219387A (ja) * 2011-04-05 2012-11-12 Mitsuboshi Belting Ltd アラミド心線及び動力伝動用ベルト

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