JPH0771482B2 - 組換え菌体の培養方法 - Google Patents

組換え菌体の培養方法

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JPH0771482B2
JPH0771482B2 JP25046091A JP25046091A JPH0771482B2 JP H0771482 B2 JPH0771482 B2 JP H0771482B2 JP 25046091 A JP25046091 A JP 25046091A JP 25046091 A JP25046091 A JP 25046091A JP H0771482 B2 JPH0771482 B2 JP H0771482B2
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dhfr
protein
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正寛 巌倉
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工業技術院長
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ジヒドロ葉酸還元酵素
(以下DHFR)遺伝子もしくはその誘導体遺伝子を有
する発現プラスミドを含有する大腸菌の培養条件を改良
することにより、DHFRもしくはその誘導体を効率よ
く生産させることに関するものである。本発明の産業上
の利用分野としては、微生物工業、発酵工業、医薬品製
造の分野である。
【0002】
【従来の技術】DHFRは,種々の抗菌剤のターゲット
として知られており,本酵素を特異的に阻害する薬剤の
いくつかは化学療法剤として利用されている。このこと
から,DHFRは化学療法剤の開発研究には欠かせない
ものである。また、本酵素反応を利用して葉酸化合物の
特異的還元反応を行うことができること、また、補酵素
であるNADPHの検出・定量にも用いることができ
る。更に、DHFRのカルボキシ末端側に異種ポリペプ
チドもしくはタンパク質を結合した融合タンパク質(D
HFR誘導体)がDHFRの機能を保持することを明ら
かにして、その利用方法が種々明かにされている。DH
FRの高効率発現用プラスミドとしては、pTP64−
1が作成されている(特許第1567509号)。ま
た、DHFR誘導体の高効率発現プラスミドとしては、
pTP64−1由来のpTP70−1(特開昭63−2
67276号公報)、また、それ由来のpMEK2(特
開平1−252289号公報)、pLEK1(特開平1
−252290号公報)、pBK1(特開平1−252
286号公報)などを代表に多くのプラスミドが本発明
者らにより作成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の技術は、組換え
DNA技術を利用してDHFR及びその誘導体を大腸菌
の菌体中に大量に作らせることを目的に行われたもので
あり、プロモーターおよびSD配列の改良により高効率
発現が達成されている。しかしながら、上記発明におい
ては、菌体の培養方法に関して通常に行われている方法
しか検討しておらず、培養方法を更に検討した場合に、
より生産効率のよい培養条件があるのか否かに関しては
全く不明であった。そこで、本発明者らは、組換え菌体
の培養条件に関して種々検討した。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、培養条件
を検討している間に、通常行われている同一温度を用い
る方法ではなくて、温度をシフトさせることにより生産
効率が向上することを見いだし本発明の培養方法を考案
するに至った。本発明者らが用いているプラスミドに関
しては、温度に依存して制御を受けるような機構は全く
知られておらず通常の思考方法ではとうてい試行しえな
い培養方法である。
【0005】
【発明の構成】本発明におけるDHFR誘導体とは、ジ
ヒドロ葉酸還元酵素遺伝子のカルボキシ末端側に異種ポ
リペプチドもしくはタンパク質が結合した融合タンパク
質をいう。また、pTP64−1誘導体とは、pTP6
4−1中のpHFR遺伝子が、DHFR誘導体遺伝子に
置き換えられた組換えプラスミドをいう。本発明に係わ
る組換え菌体の培養方法は、組換えプラスミドDTP6
4−1もしくはその誘導体を有する大腸菌を用いて、D
HFRもしくはその誘導体を大腸菌の菌体内に発現蓄積
する場合に限定される。pTP64−1の誘導体として
は、pTP70−1、pMEK2、pLEK1、pBK
1などを例示することができるが、pTP64−1由来
のプラスミドであれば、本発明が適用できると考えられ
る。
【0006】次に、本発明の菌体の培養方法は、培養す
る温度を30℃もしくはそれ以下の温度を用いて一度培
養した後、温度を37℃もしくはその以上で42℃以下
の温度に高めて更に1から3時間培養することに特徴を
有する。用いられる培地として、実施例では、YT培地
を利用した例を示すが、他の培地でも同様な結果が示さ
れており、本発明は用いられる培地の組成には制限され
ない。
【0007】本発明の培養方法を用いることにより、菌
体中のDHFRもしくはDHFR誘導体の含量は、30
℃の一定温度で培養した場合の約3倍、37℃の一定温
度で培養した場合の約2倍増大する。
【0008】本発明の実施例で述べられるように、大腸
菌の培養は好気的な振とう培養法が用いられるが、通気
培養との有為な差を認めることはできない。従って、本
発明の培養方法は、振とうもしくは通気などの好気的条
件の作成方法には制限されない。
【0009】本発明に関する菌体中のDHFRの含有量
の測定は、破砕菌体から得られる無細胞抽出液中のDH
FRが示す酵素活性を測定することにより行う。DHF
R酵素活性は,反応液 (0.05mMのジヒドロ葉
酸、0.06mMのNADPH、12mMの2−メルカ
プトエタノ−ル、50mMのリン酸緩衝液(pH7.
0))を、1mlのキュベットとり、これに酵素液を加
え、分光光度計をもちいて、340nmの吸光度の時間
変化を30℃で測定することにより行う。酵素1ユニッ
トは、上記反応条件において、1分間に1マイクロモル
のジヒドロ葉酸を還元するのに必要な酵素量として定義
する。この測定は、分光光度計を用いて容易に行うこと
ができる。
【0010】本発明に用いられる試薬、装置等は、特に
限定して記載した以外、通常の市販品を利用することが
できる。また、ここに記載した種々の操作は、この分野
の当業者であれば、なんの問題もなく再現よく行うこと
ができる。なお、用いられる市販の試薬品は、特級以上
の品質が要求される。
【0011】
【実施例】次に本発明の実施例をしめす。 実施例1 pTP64−1を含有する大腸菌(特許第156750
9号、微工研寄託番号FERM P−5451)を、
50mlのYT+Ap培地(培地1l中に,5gのNa
Cl、5gの酵母エキス、8gのトリプトン、及び50
mgのアンピシリンナトリウムを含む液体培地)を用い
て、26℃、30℃、及び37℃でクレットユニットが
約100になるまで培養する(対数成長期の後期)。そ
の後、一時間おきにクレットユニットを測定し、同時に
培養液を1ml分取し、エッペンドルフの遠心チューブ
にいれ、遠心分離することにより菌体を沈澱として集め
る。菌体を0.2mlの50mMリン酸緩衝液(pH
7.0)に懸濁し、音波破砕法で菌体を破砕する。これ
を遠心分離し、無細胞抽出液を調製する。無細胞抽出液
中のDHFR活性を測定する。得られたDHFR活性の
値を用いた菌体のクレットユニット(この値は菌体培養
液中の菌体数に比例する。)の値で割った値を求める。
この値は、培養菌体中のDHFR量を表す。また、同様
にして、30℃で培養したクレットユニットが約100
になるまで培養した後、37もしくは42℃に温度を上
げた菌体に関しても同様に測定する。その結果を以下の
表に示す。30℃から37もしくは42℃に温度を上
げ、3時間培養することにより約2もしくは3倍DHF
R生産量が増大した。30℃から37℃に温度を上げた
場合、37℃で培養を続けた場合より約50%生産量が
増大した。また、42℃に上げた場合は、更に増大し
た。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 培養温度 クレットユニット 菌体の成長度 DHFR活性 が100以降の (クレットユニット)(活性ユニット/クレット 培養時間(時間) ユニット) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 26℃ 0 95 0.7 1 130 0.8 2 150 0.7 3 155 0.9 30℃ 0 105 1.1 1 140 1.3 2 155 1.1 3 155 1.2 37℃ 0 100 1.6 1 150 1.4 2 160 1.6 3 165 1.5 30−>37℃ 0 105 1.1 1 140 1.4 2 160 1.8 3 160 2.2 30−>42℃ 0 105 1.1 1 150 2.6 2 155 3.0 3 155 3.2 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0012】実施例2 同様の実験を、pTP70−1、pMEK2、pLEK
1及びpBK1を含有する大腸菌について行った。結果
を以下の表に示す。この表においては、温度を上げて
(30−>42℃及び30−>37℃)3時間後にどの
くらいDHFR活性が増大するかを示している。いずれ
の場合も、温度が上昇することにより、DHFR生産の
顕著な増大が認められた。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− プラスミド DHFR活性の増大(倍) −−−−−−−−−−−−−−−−− 30−>37℃ 30−>42℃ −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− pTP70−1 1.7 2.8 pMEK2 1.5 2.5 pLEK1 1.5 3.0 pBK1 1.8 3.1 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0013】
【発明の効果】本発明に従えば、DHFRもしくはDH
FR誘導体の大腸菌での生産効率を2ないし3倍向上さ
せることができる。また、pTP64−1の誘導体のプ
ラスミドを含有する大腸菌においては、培養温度が37
℃程度であっても成長できないものがある。そのような
場合でも成長できる温度で対数成長期の後期にまで培養
してから、37℃もしくは42℃などの温度にすること
によって組換えタンパク質の生産効率を高めることが可
能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:19)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組換えプラスミドpTP64−1または
    pTP64−1中のジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子が、ジ
    ヒドロ葉酸還元酵素のカルボキシ末端側に異種ポリペプ
    チドもしくはタンパク質が結合した融合タンパク質を暗
    号化するジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子融合体に置き換え
    られたpTP64−1誘導体を有する大腸菌の培養を行
    う際に、培養する温度を30℃もしくはそれ以下の温度
    を用いて対数成長期の後期にまで培養した後、温度を3
    7℃もしくはそれ以上で42℃以下の温度に高め、更に
    1から3時間培養することにより、ジヒドロ葉酸還元酵
    素またはジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子のカルボキシ末端
    側に異種ポリペプチドもしくはタンパク質が結合した融
    合タンパク質を効率よく菌体内に発現蓄積させることを
    特徴とする組換え菌体の培養方法。
JP25046091A 1991-09-03 1991-09-03 組換え菌体の培養方法 Expired - Lifetime JPH0771482B2 (ja)

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