JPH0770565A - コークス炉の炭化室煉瓦 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 煉瓦の表面損傷を少なくして、補修までの耐
用期間を長くするためのコークス炉用の煉瓦構造の提
供。 【構成】 煉瓦基材として従来の珪石煉瓦を使用し、そ
の一側表面に嵌合凹凸面を形成し、この珪石煉瓦の表面
の嵌合凹凸に耐磨耗，耐スポール性を有し、その一側表
面に前記煉瓦基材表面の嵌合凹凸面に対応し、且つ、前
記嵌合凹凸に対し膨張吸収代を設けた嵌合凹凸を有する
セラミックライナーを、耐火モルタルのような目地緩衝
材を介して嵌合装着し、固着した。珪石煉瓦表面に外気
が直接当たらないため、外面の雰囲気に対する耐候性は
外面に施したセラミックスの特性に左右されることにな
り、表面硬さと強度に優れた炉材となり、炉体寿命は向
上する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、コークス炉の炭化室壁
煉瓦に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から、コークス炉の炉材として、１
０００℃以上の高温域での機械的強度が高く、容積変化
が少ない等の理由から珪石煉瓦が利用されてきた。

【０００３】ところが、炭化室壁の表面は建設当初は平
滑であるが、長期間の繰り返し使用により亀裂の発生、
肌荒れや煉瓦の目地切れが起こり、その結果コークス押
し出し抵抗の増大、目地切れ部を通しての石炭装入時黒
煙の発生や、損傷部が成長すると炭化室煉瓦の欠落につ
ながり、操業不能に陥ることもある。

【０００４】その対策として、窯口近傍の肌荒れまたは
欠落等が生じている煉瓦表層部に、初期段階ではモルタ
ル充填を行い、ひどくなると、溶射による熱間補修を行
うことや、部分的に煉瓦の積替え等を行っている。

【０００５】ところが、モルタル充填による補修では、
剥離し易く、寿命が約１月以内と短く補修頻度が多い、
溶射補修においては、費用は安いが寿命が約１〜１．５
年と短く補修頻度が多く、補修後の壁面を滑らかにする
のが困難で、そのため押し出し抵抗の増大につながると
いう問題がある。さらには、煉瓦の積替えによる補修で
は、補修工期が長く、高価になるという欠点がある。

【０００６】このような補修の問題に対応するために、
損傷した窯口煉瓦を目地も含めて所定の厚みを削り取っ
て、その部分に予め所定形状に成形した表面が平滑な耐
火物あるいはセラミックスを貼着する補修法が、特開平
２−９１１９０号公報に開示されている。

【０００７】これによって得られた補修面は平滑面を形
成するために、この点からは、切削貼着による補修法
は、コークス炉、とくに、コークスを押し出す窯口部の
補修法としては適したものと言える。

【０００８】しかしながら、この補修法を適用するため
には、切削機で損傷煉瓦を削り取る必要があり、その削
り取りに際して切削厚みにバラツキが生じて補修面が波
打つ傾向があり、また、切削機による振動によって炉体
構造にガタを生じることになり、さらには、セラミック
ス張り付けのための手間を要し、さらには、施工後もラ
イナー部分の剥がれが生じるという問題がある。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、かか
るコークス炉炭化室窯口煉瓦の損傷による補修の原因を
根本から絶つという考えの下で、煉瓦の表面損傷を少な
くして、上記のような補修までの耐用期間を長くするた
めのコークス炉用の煉瓦構造を提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明は、煉瓦基材とし
て従来の珪石煉瓦を使用し、その一側表面に嵌合凹凸面
を形成し、この珪石煉瓦の表面の嵌合凹凸に耐磨耗，耐
スポール性を有し、その一側表面に前記煉瓦基材表面の
嵌合凹凸面に対応し、且つ、前記嵌合凹凸に対し膨張吸
収代を設けた嵌合凹凸を有するセラミックライナーを、
耐火モルタルの目地緩衝材を介して嵌合装着し、固着し
た構造を有する。

【００１１】セラミックライナーとして使用するセラミ
ックスとしては、種々のものを使用できるが、アルミナ
系セラミックスあるいは炭化珪素あるいは窒化珪素等が
好適に使用できる。その中でも炭化珪素系は、高温強度
大及び耐摩耗性大の点で特に優れている。

【００１２】

【作用】珪石煉瓦表面に外気が直接当たらないため、外
面の雰囲気に対する耐候性は外面に施したセラミックス
の特性に左右されることになり、表面硬さと強度に優れ
た炉材となり、炉材寿命は向上する。

【００１３】さらに、煉瓦基材とその表面の嵌合凹凸に
装着を目地緩衝材を介して行うために、基材と表面セラ
ミックスとの間の熱膨張率の差による熱衝撃、機械的な
衝撃を吸収できるので、耐スポーリング性も優れたもの
となる。

【００１４】

【実施例】図１は本発明の煉瓦の実施例の外観を示す。

【００１５】同図において、本発明に係るコークス炉炭
化室壁煉瓦１０は珪石煉瓦基体１の一側面に取付けられ
た窒化珪素からなる１１０ｍｍ程度の厚みの珪石煉瓦基
体１と略珪石煉瓦基体の表面と同一大きさの板状セラミ
ックライナー２とからなる。３は珪石煉瓦基体１の上下
左右の端面に設けた凹凸であって、煉瓦毎にこれらの凹
凸は嵌合可能に逆に形成されている。４は珪石煉瓦基体
１に板状セラミックライナー２を取付ける嵌合装着部で
あって、セラミックライナー２の珪石煉瓦基体１への取
付けは、この嵌合装着部４における耐火モルタルを介し
て嵌合され、その表面間にも形成された耐火モルタル層
を介して貼着されている。

【００１６】図２はその嵌合装着部４の断面構造を示
す。

【００１７】同図において、珪石煉瓦基体１には嵌合の
ための楔状の凹部４１が形成され、セラミックライナー
２側には、これに嵌合する楔状の凸部４２が形成されて
おり、両嵌合凹凸の間には１ｍｍ程度の膨張吸収代４３
が設けられている。この膨張吸収代４３の間隙と、珪石
煉瓦基体１とセラミックライナー２との両表面は耐火モ
ルタル層５が形成されており、珪石煉瓦基体１とセラミ
ックライナー２はこの耐火モルタル層５を介して取付け
られている。この耐火性モルタル層５の厚みは接着強度
の点から２〜３ｍｍ厚が適当である。

【００１８】なお、嵌合装着部４の凹凸の断面形状は上
記楔状に限らず、半円形その他の任意の形状に形成する
ことができる。要は嵌合後、装着状態を維持できる形状
であればよい。

【００１９】図３は、図１に示す煉瓦１０を用いてコー
クス炉の燃焼室の炭化室側に築造した窯口付近の築炉構
造２０を示す。この築炉構造２０は、図１に示す煉瓦１
０の基体１の両端面に形成された凹凸３を利用し、さら
に、両面にセラミックライナー２を設けた珪石異形煉瓦
１１を組み合わせて内部に燃焼室６を形成し、その端面
に粘土煉瓦７を組み合わせて窯口面を形成したものであ
る。

【００２０】これによって得られた炭化室の壁面は、セ
ラミックライナー２から形成されており、珪石煉瓦面を
露出した従来の壁面に対して、耐熱強度と硬さを有し、
数倍の耐用性を得ることができる。

【００２１】

【発明の効果】本発明によって以下の効果を奏する。

【００２２】（１） セラミックライナーを形成するこ
とにより、耐熱性、耐摩耗性が向上し、炉体煉瓦の延命
を図ることができる。

【００２３】（２） 全体にセラミックを使用したセラ
ミック煉瓦と同等の表面耐熱性と硬さを有し、しかも、
単一の珪石煉瓦と同等の強度を保持することができる。

【００２４】（３） 珪石煉瓦とライナー煉瓦が凹凸の
ダボで嵌り合っているため、コークス押し出し時の抵抗
によるライナー煉瓦の剥離、欠落が生じない。

【００２５】（４） 珪石煉瓦表面がライナーによって
保護されており、炉蓋開閉時に侵入してくる外気が珪石
煉瓦表面に直接あたらないため、サーマルショックによ
る煉瓦損傷を防止できる。それにより、炉体寿命を延長
することができる。

【００２６】（５） 本発明の煉瓦は、建設時に限ら
ず、補修時の熱間積替え時にも使用可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の煉瓦の実施例の外観を示す。

【図２】 珪石煉瓦とセラミックライナーとの嵌合部の
断面構造を示す。

【図３】 本発明の煉瓦を用いたコークス炉の炭化室壁
の築炉構造を示す。

【符号の説明】

１ 珪石煉瓦基体 ２ セラミックライ
ナー ３ 築炉用の凹凸 ４ 嵌合装着部 ４１ 珪石煉瓦基体の嵌合凹部 ４２ セラミックライナーの嵌合凸部 ４３ 膨張吸収代 ５ 耐火モルタル層 ６ 燃焼室 ７ 粘土煉瓦 １０ 本発明の煉瓦 １１ 珪石異形煉瓦 ２０ 築炉構造

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 珪石煉瓦からなる基材の一側表面に嵌合
   凹凸面を形成し、この珪石煉瓦の表面の嵌合凹凸に、耐
   磨耗，耐スポール性を有し、且つ、その一側表面に前記
   煉瓦基材表面の嵌合凹凸面に対応し、且つ、前記嵌合凹
   凸に対し膨張吸収代を設けた嵌合凹凸を有するするセラ
   ミックライナーを目地緩衝材を介して嵌合装着し固着し
   たコークス炉の炭化室煉瓦。