JPH077055Y2 - 切断装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、切断装置に関するものである。

〔従来の技術〕

通常、冷間鍜造機に順次供給する加工素材は、間歇的に
送られる素材を切断している この切断装置の従来技術としては、第７図に示すように
クランクアーム１によりスライダ２を往復動させると、
上記スライダ２に並列状に取付けた主カム３と副カム４
とで形成された溝カム５内に嵌め込んである転子６を介
し上記スライダ２のスライド方向に直角に交差するロッ
ド７を進退させ、上記スライダ２の往動にともないロッ
ド７を前進させて上記ロッド７の先端に設けてある刃板
の透孔縁の剪断刃（図示省略）により上記透孔に貫通さ
せてある素材を切断し、然るのちスライダ２の復動にと
もないロッド７を後退させる。

なお、ロッド７には、ガイド部材８内に組み込んである
対のスプリング９の片端を上記ロッド７の末端に固着さ
れた受座10に当接させて後退方向の押し戻される復元力
が付与され、その結果主カム３に転子６を押し付けてい
る。

また溝カム５と転子６との関係は、スライダ２の往動に
ともない主カム３の縁面に外周の一部を接触させた転子
６を回転させながらロッド７を押し出し、スライダ２の
復動にともない切断端に発生したバリと剪断刃との引っ
かかり各部の摩擦抵抗等の原因によりスプリング９の力
のみでロッド７を後退させることができない場合のみに
副カム４の縁面に外周の一部を接触させて転子６を回転
させながらロッド７を強制的に引き戻すので、転子６の
直径よりも溝カム５の幅が少し大きくなっている。

〔考案が解決しようとする課題〕

上述のような構成の切断装置を使用すると、カム溝と転
子の外周との間にクリアランスがあるので、ロッドの後
退にともなう剪断刃の停止時に伸長するスプリングの急
なストップにともない上記スプリングに発生する圧縮方
向の反力と、反力を打ち消すようスプリングに働く伸長
方向の力とが交互に働いて、カム溝内で転子がクリアラ
ンスの範囲内微動することになり、その微動の間にあっ
ては、剪断刃を有する透孔と供給素材の端面とが一致し
ない。

又、クリアランスにより正確な位置に刃板の透孔をスト
ップさせることができないので、素材の直径に対し透孔
の直径を若干大きくした程度では、スムースな素材の通
過が阻害される。

その結果、素材の直径に対し透孔の直径をかなり大きく
しているのが現状である。

この場合、切断時に切断面が素材の軸線に対し直角に交
差しない斜め切りとなり、プレス加工時の不良品発生原
因や、切断面の修正加工が必要となって著しいコストの
上昇原因となる問題があった。

更に、バリの発生問題や、不一致による透孔縁の欠損及
び素材の外周面軸線方向に傷が付くという問題も発生し
た。

〔課題を解決するための手段〕

上記の課題を解決するために、この考案はスライダの往
復動によって上記スライダの溝カムに嵌め込まれた転子
を介しロッドを進退させながら、上記ロッドの先端に設
けた可動刃の剪断刃用透孔と筒状の定置固定刃とが一致
したとき上記固定刃側から送り出される素材を上記透孔
に貫通させ、そしてロッドの前進にともない上記貫通素
材を剪断するようにした切断装置に於いて、上記スライ
ダに並列する固定主カムと、ロッドの前進開始側末端部
がピンにより回動自在に支持された可動副カムとを設
け、又可動副カムの先端側を固定主カム側方向定位置迄
押し戻すバネを設け、更に固定主カムと可動副カムとで
形成された溝カムに嵌り込むようロッドに軸承した対の
転子の片方外周を固定主カムに、もう片方外周を可動副
カムに接触させて構成したものである。

〔作用〕

スライダの往動にともないロッド１を前進させて可動刃
の透孔により素材を剪断し、又スライダの復動にともな
いロッドを後退させて、固定刃と可動刃の透孔とを一致
させると共に、透孔に送り出した素材を貫通させる。

上記ロッドの前進は、固定主カムに接触して回転する転
子により、又ロッドの後退は、可動副カムに接触して回
転する転子により行われると共に、何らかの影響により
ロッドに軸方向の微動スライドが発生しても、バネを圧
縮して少し開く方向に可動副カムが回動する作用と、圧
縮されたバネにより閉る方向に可動副カム回動させる作
用とで瞬時に微動をストップさせる。

〔実施例〕

図において、21は所定のストローク往復動するスライダ
である。

上記のスライダ21は、図示の場合プレート22にボルトと
ナットとから成る締付具23を介して固定された固定部材
24の貫孔25に貫通させてガイドすると共に、スライダ21
の末端にピン26を介し連結したクランクアーム27により
往復動させるようになっている。

又、スライダ21には、並列する固定主カム28とピン29を
介しスライダ21に末端を回動自在に取付けた可動副カム
30とで溝カム31が設けられている。

又スライダ21の往復動方向に対し直角に交差させて固定
部材24にガイド孔32を、プレート22に上記ガイド孔32に
一致する貫孔33をそれぞれ設けると共に、この貫孔33か
らガイド孔32には、スライド自在にロッド34を貫通させ
てある。

更に上記のロッド34には、それぞれ溝カム31に嵌め込む
と共に、外周の一部を固定主カム28の縁面に接触させた
転子35と、外周の一部を可動副カム30の縁面に接触させ
た転子36とがそれぞれピン37を介し軸承され、スライダ
21の往動にともない固定主カム28と回転する転子35とで
ロッド34を前進スライドさせ、スライダ21の復動にとも
ない可動副カム30と回転する転子36とでロッド34を後退
スライドさせるようになっている。

又ロッド34の先端には、剪断刃用の透孔38を有する可動
刃39が設けられており、ロッド34が定位置に後退すると
透孔38とプレート22に支持させた筒状の固定刃40とが第
１図に示すように一致し、送り出された素材Ａは透孔38
に貫通する。

上記貫通後にロッド34を前進させて素材Ａを剪断する。

更に可動副カム30の先端側は、固定主カム28側方向の定
位置迄バネ41により押し戻すようになっている。

上記バネ41による押し戻しは、図示の場合スライダ21の
孔42に末端を嵌め込み支持させ、かつ可動副カム30の孔
43に先端側を挿通したピン44の外側にバネ41を嵌装する
と共に、このバネ41の両端をピン44の末端部鍔45′と可
動副カム30とに当接させてある。

又可動副カム30の先端を定位置でストップさせる方法と
しては、図示の場合可動副カム30の先端にネジ込んで出
没調整できるストッパピン45の先端を固定主カム28の取
付け押え片46に当接させてある。

次に上記バネ41の作用を説明する。

スライダ21の復動にともないロッド34を後退させたと
き、バリと透孔38との引っかかりや摩擦抵抗等の影響に
より上記ロッド34の後退が遅れた場合、可動副カム30に
接触する転子36によりバネ41を圧縮して上記可動副カム
30を第１図時計方向に回動させて可動刃39に働く大きな
衝撃を緩衝して上記可動刃39の欠損を防止し、又ロッド
34に発生する軸方向の微動をバネ41の伸長、収縮作用に
よって吸収し、その微動を瞬時に止めて、スライダの復
動終了時には、確実に固定刃40と可動刃39の透孔38とを
合致させる。

その結果、押し出された素材Ａと可動刃39との衝突を回
避して透孔38の剪断刃の欠損や長尺素材の外周軸方向に
傷がつくという問題をなくすことができると共に、素材
の直径に対し透孔の直径をかなり大きくする必要がな
い。

図中50は長尺素材Ａのストッパ、51はピン29の嵌入孔で
ある。

〔効果〕

以上のように、この考案に係る切断装置によれば、何ら
かの影響により発生するロドの軸方向の微動を瞬間に止
めて、素材の端面に正確に合致するよう剪断用透孔をス
トップさせることができる。

このため、素材の直径に対し透孔の直径をかなり大きく
する必要がなく、大きくしたために発生した斜め切断に
よる各種問題なくすることができ、又ロッドの後退終了
時の微動が回避されるので、ロッドの後退終了と同時に
長尺素材の送り込みができて著しく作業能率を向上させ
ることができる。

更にバネにより可動刃に加わる衝撃を吸収して、可動刃
の耐久性が増す。

又、バネの圧縮、伸長量が短いため、長期の運転に耐
え、バネの交換が不要になる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係る切断装置の横断平面図、第２図
は第１図Ｘ−Ｘ線に沿う断面図、第３図は可動副カムの
支持部分の縦断側面図、第４図はロッドの部分の縦断拡
大側面図、第５図は剪断時の横断平面図、第６図は同上
の分解斜視図、第７図は従来例の横断平面図である。 21……スライダ、22……プレート、23……締付具、24…
…固定部材、25……貫孔、26……ピン、27……クランク
アーム、28……固定主カム、29……ピン、30……可動副
カム、31……溝カム、32……ガイド孔、33……貫孔、34
……ロッド、35、36……転子、37……ピン、38……透
孔、39……可動刃、40……固定刃、41……バネ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】スライダの往復動によって上記スライダの
   溝カムに嵌め込まれた転子を介しロッドを進退させなが
   ら、上記ロッドの先端に設けた可動刃の剪断刃用透孔と
   筒状の定置固定刃とが一致したとき上記固定刃側から送
   り出される素材を上記透孔に貫通させ、そしてロッドの
   前進にともない上記貫通素材を剪断するようにした切断
   装置に於いて、上記スライダに並列する固定主カムと、
   ロッドの前進開始側末端部がピンにより回動自在に支持
   された可動副カムとを設け、又可動副カムの先端側を固
   定主カム側方向定位置迄押し戻すバネを設け、更に固定
   主カムと可動副カムとで形成された溝カムに嵌り込むよ
   うロッドに軸承した対の転子の片方外周を固定主カム
   に、もう片方外周を可動副カムに接触させたことを特徴
   とする切断装置。