JPH076957B2 - 超音波顕微鏡の探触子 - Google Patents

超音波顕微鏡の探触子

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JPH076957B2
JPH076957B2 JP2108742A JP10874290A JPH076957B2 JP H076957 B2 JPH076957 B2 JP H076957B2 JP 2108742 A JP2108742 A JP 2108742A JP 10874290 A JP10874290 A JP 10874290A JP H076957 B2 JPH076957 B2 JP H076957B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、試料に対して集束性の超音波ビームを照射
し、その反射波に基づいて当該試料の音響特性を測定、
分析する超音波顕微鏡に用いられる超音波顕微鏡の探触
子に関する。
〔従来の技術〕
近年、物体(試料)の表層の物性、例えば表層の厚さ、
接合界面付近に発生する残留応力、加工層の残留応力、
又は結晶粒内の残留応力の大きさ等を知る手段として、
超音波顕微鏡が使用されるようになつた。この超音波顕
微鏡の概略を図により説明する。
第6図は超音波顕微鏡の系統図である。図で、X,Y,Zは
座標軸を示す(Y軸は紙面に垂直方向)。1は超音波探
触子(センサ)であり、圧電素子1aおよびこれを付着し
た音響レンズ1bより成る。音響レンズ1bは下面に半球状
のレンズ面1cを有する。2は超音波顕微鏡による検査対
象となる試料、3は試料2を載置する試料台、4は試料
台3をY軸方向に移動させるY軸走査装置、5は試料2
のX,Y軸上の位置決めを行なうX−Y位置決め装置であ
る。6は走査制御装置であり、X−Y位置決め装置5お
よびY軸走査装置4を駆動制御するとともに、センサ1
のX軸およびZ軸方向の駆動を制御する。なお、センサ
1の駆動機構については図示が省略されている。7はセ
ンサ1と試料2との間に介在する液体媒質、例えば水を
示す。9は圧電素子1aに高周波パルス電圧を印加する高
周波パルス発振器、10は圧電素子1aからの信号を受信処
理する受信器、11は受信器10で処理された信号に基づい
て表示を行なう表示装置である。
第7図は第6図に示すセンサ1の斜視図である。図で、
第6図に示す部分と同一部分には同一符号が付してあ
る。図から明らかなように圧電素子1aで発生した超音波
は音響レンズ1b内を伝播し、下部のレンズ面1Cで集束さ
れ、一点に集束する集束超音波ビームBとなつて試料2
に照射されることになる。
高周波パルス発振器9から圧電素子1aにパルス電圧が印
加されると、圧電素子1aは超音波を発生し、この超音波
は第6,7図に示すように音響レンズ1bにより集束され集
束性の超音波ビームBとして放射される。この超音波ビ
ームBは試料2に照射され、その反射波は放射経路を戻
って圧電素子1aに達する。この反射波の到達により圧電
素子1aは当該反射波の大きさに比例した電気信号を出力
する。受信器10は当該電気信号を受信し、増幅、検波を
行つた後、この信号を輝度変調信号として用いることに
より、表示装置11上に当該電気信号に応じた一画素の画
像(超音波顕微鏡像)を表示させる。走査制御装置6に
より試料2を移動させ、超音波ビームBによる2次元走
査を行なうことにより、一枚の超音波画像が得られる。
ところで、前述のように、近年、集束性の超音波を用い
て試料2の表層の物性を調べる(材料表面を評価する)
手段が開発されている。以下、この手段について述べ
る。センサ1をZ軸方向に沿って試料2に近付けながら
上記の動作を実施すると、圧電素子1aから出力される信
号は第8図に示す波形となる。第8図で、横軸にはセン
サ1と試料2との間のZ軸方向の距離(Z)が、又、縦
軸には圧電素子1aから出力される信号の電圧レベル
(V)がとつてある。なお、センサ1と試料2との間の
距離(Z)は、センサ1のある定められた位置を0と
し、センサ1が試料から離れる方向を正、接近する方向
を負としてある。第8図に示される波形はV(Z)曲線
と称され、センサ1が試料2にある距離以上に接近した
状態において一定の周期ΔZをもつて変化する。
このように、V(Z)曲線が周期ΔZで変化するのは、
試料2に上記超音波ビームBが照射されたとき、媒質7
(水)と試料2の音響インピーダンスで定まる臨界角で
入射した超音波ビームにより、試料2の表層に弾性表面
波が生じ、この弾性表面波の反射波と前記超音波ビーム
Bの反射波とが干渉し合うことによるものである。そし
て、その干渉の度合はセンサ1のZ軸方向の変位による
弾性表面波の伝播距離の変化に応じて順次変化し、この
変化によって生じる周期ΔZは試料2の表層を上記弾性
表面波が伝播する伝播速度と一定の関係にある。即ち、
液体媒質7の音速をVW、液体媒質7内の音波の波長をλ
とすると、弾性表面波の伝播速度はVRは次式で表わさ
れる。
VR=VW(ΔZ/λ1/2 ……(1) (1)式において、値VWは既知であるから、V
(Z)曲線から周期ΔZを測定すれば弾性表面波の伝播
速度VRを得ることができる。そして、この伝播速度VR
試料2の表層の物性により変化するものであり、したが
つて、伝播速度VRに基づいて試料2の表層の物性を知る
ことができる。例えば、試料2の表面が加工された表面
であるとき、その加工層の残留応力や厚さを知ることが
できる。
ところで、物体はそれぞれ物性が異なるが、どのような
物体に対しても超音波顕微鏡で測定できることが望まし
い。例えば、ある物体にはその結晶構造に異方性をもつ
ものがあるが、このような物体であつても超音波顕微鏡
により所要の測定がなされねばならない。しかしなが
ら、上記のように点集束ビームを用いた従来の超音波顕
微鏡では、所要の測定は困難である。即ち、上記V
(Z)曲線の検出は、試料2の微小部分において行なわ
れるが、その照射領域における超音波ビームBの成分は
その中心軸(ビーム軸)の周囲の全方向に亘つているた
め、得られる弾性表面波の音速は当該全方向における平
均値であり、このため、異方性をもつた試料2の測定は
不可能である。
第9図はこのような異方性をもつ試料の測定のための特
殊なセンサの斜視図である。図で、1a′は長方形の圧電
素子、1b′は音響レンズである。音響レンズ1b′も長方
形に形成されているため、下部に形成される凹面1c′は
円筒面となる。このような円筒面により、このセンサは
図示のように一軸方向(音響レンズ1b′の長さ方向)の
みの直線状の超音波ビームを集束せしめることができ、
したがって、試料2の表面に一方向(音響レンズ1b′の
幅方向)のみの弾性表面波を発生させることができる。
試料2を矢印に示すように回転させながら、各角度毎に
弾性表面波の伝播速度を測定すれば、試料2の異方性を
求め、かつ、その方向に沿う弾性表面波の伝播速度の測
定を行なうことができる。
しかしながら、第9図に示すセンサには、センサ自体の
交換に手間と時間を要するという問題があり、かつ、そ
れ以外にも次のような問題がある。即ち、このセンサは
一軸のみ集束させる構造であるので、音響レンズ1b′の
長軸方向の長さLを小さくするには限度があり、通常ほ
ぼ2mmである。このため、このセンサから得られる超音
波情報は上記2mmの間の平均値となる。一方、超音波顕
微鏡の特徴の1つは、極く微小な領域から物質の弾性的
性質を捕捉することができる点にあるので、この観点か
らみると試料2上の照射領域が2mmもあることは超音波
顕微鏡の特質を充分に発揮できないということになる。
さらに、測定時において、試料2の表面と直線状の超音
波ビームの焦点面とは完全に平行でなければならず、両
者の間に僅かな傾きが生じると計算精度に誤差を生じ
る。この傾きの許容角度は1/100度であり、両者の傾き
を許容角度以下とするためには長時間の調整を要するの
が通常である。
上記第9図に示すセンサ以外にも、異方性をもつ試料を
測定するセンサが、1989年4月24日、米国物理学会刊
「Applied Physics Letters」Vol.54、no.17、pages1
639〜1641に記載されている。これを第10図(a)、
(b)に示す。第10図(a)は上記刊行物に記載された
センサの断面図、第10図(b)は第10図(a)に示すセ
ンサの下面図である。図で1aは圧電素子、1bは音響レン
ズ、1cは音響レンズ1bの下面の半球状のレンズ面であ
り、これらの構成は第6図および第7図に示すセンサと
同じである。1dはレンズ面1cに塗布された吸音層を示
す。この吸音層1dは、第10図(b)に示すように、レン
ズ面1cの中央の長方形部分を除く両側の面に設けられて
いる。
このような構成により、吸音層1dに達した超音波は吸音
層1dに吸収され、外部に放射されず、上記長方形部分に
達した超音波のみ外部に放射される。この結果、超音波
は当該長方形部分の長手方向にのみ放射され、方向性を
もった超音波を得ることができる。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記第10図(a)、(b)に示されたセンサは簡単な構
成で異方性試料の微小領域の測定に対応することができ
る。ところで、超音波顕微鏡による測定は、試料の同一
領域に対して、異方性を考慮した測定とともに通常のポ
イントフオーカスによる測定、即ち、異なる観点による
測定を行うことが極めて多い。この場合、異方性を考慮
した測定には第10図(a)、(b)に示すセンサを用
い、ポイントフォーカスによる測定には第6、7図に示
すセンサを用いることになる。
しかし、このように測定中途でセンサを交換することは
測定者にとって面倒であるばかりでなく、次のような重
大の問題を生じる。即ち、試料の同一領域を上記のよう
に2つのセンサを用いて測定した場合、当該2つのセン
サの音響レンズの特性は同一であることが必要である。
しかしながら、別個の2つの音響レンズの特性を同一に
揃えることは現実には極めて困難であり、結局、特性が
近似した音響レンズを選択して使用しているのが現状で
ある。したがって、上記2つの異なる観点で測定した結
果の正確な比較観察も困難になる。これらの問題は、第
9図に示すセンサについても同様に生じる。
本発明の目的は、上記従来技術における課題を解決し、
測定中途の音響レンズの交換を不要として測定者の負担
を軽減することができ、かつ、試料に対する異なる観点
による測定結果の比較観察を正確に行うことができる超
音波顕微鏡の探触子を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するため、本発明は、超音波を送受信す
る素子と、この素子で発生した超音波を点集束させる音
響レンズとを備え、点集束された超音波ビームを試料に
照射するとともにこの照射した超音波ビームの反射波を
前記素子で受信し、当該反射波に比例した電気信号に変
換する超音波顕微鏡の探触子において、前記試料表層に
弾性表面波を生じさせる臨界角を含む超音波ビームのう
ち一方向の弾性表面波を生じさせる超音波ビームを透過
する超音波透過部と、前記一方向以外の方向の弾性表面
を生じさせる超音波ビームの透過を大きく減少させる超
音波阻止部とで構成した前記音響レンズとは別体のフィ
ルム状のマスクを、前記音響レンズの前記試料側に配置
したことを特徴とする。
〔作用〕
超音波を送受信する素子で発生した超音波は、音響レン
ズにより集束され、一点に集束する集束超音波ビームと
なつて放射される。この放射された集束超音波ビームは
マスクにおいて、超音波透過部に到達したビームのみ試
料に放射され、他のビームは超音波阻止部で減衰又は反
射されて試料には、微弱な超音波となつて到達し、又は
全く到達しない。この結果、超音波阻止部に到達したビ
ームは測定には寄与しない。
一方、超音波透過部は臨界角を中心とするその近傍の角
度をもつ超音波ビームを透過させるので、このようなビ
ームが燃料に入射すると試料表層には弾性表面波が生
じ、その反射波は再び超音波透過部を通って音響レンズ
に戻り素子に到達する。この場合、当該反射波は、超音
波透過部により定まる一方向の弾性表面波の反射波であ
る。
なお、ここで、上記反射波は、入射波が物体表面に入射
し当該物体の表面形状にしたがって反射する反射波とは
異なり、弾性表面波が試料表面を通る間に当該試料表面
から放射される放射波であるが、試料に入射した超音波
ビームの戻りのビームであることから広い意味で反射波
ということができるので、以下、反射波の語を用いるこ
とにする。
このような弾性表面波の反射波とともに、臨界角より小
さい角度で超音波透過部を通過したビームの反射波も再
度超音波透過部を通り音量レンズを介して素子に到達す
る。
素子は、上記2つの反射波が重畳した反射波(干渉波)
により励振され、当該干渉波の大きさに比例した電子信
号を出力する。探触子と試料の間の距離を順次変化させ
ることにより、上記2つの反射波の重畳の態様が変化
し、これに伴って素子から出力される電気信号のレベル
も変化し、最終的に、超音波透過部で定まる方向のV
(Z)曲線を得ることができる。
試料に対して異なる観点による測定を行うときは、各観
点に応じてマスクを取り替え、又はマスクを除去するこ
とにより、各測定を同一音響レンズで行うことができ
る。
〔実施例〕
以下、本発明を図示の実施例に基づいて説明する。
第1図は本発明の実施例に係る超音波顕微鏡の探触子
(センサ)の断面図である。図で、第6図に示す部分と
同一部分には同一符号を付して説明を省略する。1′は
本実施例のセンサを示し、圧電素子1a、レンズ面1cを有
する音響レンズ1b、およびマスク13より成る。マスク13
は超音波の透過を阻止し又は大きく減少する阻止部13a
および超音波を透過させる透過部13bで構成されてい
る。
第2図(a)〜(f)は第1図に示すマスクの透過部の
形状の種々の具体例の平面図である。第2図(a)は阻
止部13aおよび長方形の透過部13b1を有するマスク13を
示す。又、破線で示す円形の輪郭S1は音響レンズ1bから
放射されマスク13に到達した集束超音波ビームの外郭を
示し、さらに、一点鎖線で示す円形の輪郭S2は当該集束
超音波ビームのうち臨界角の超音波ビームの輪郭を示
す。この具体例のマスク13の透過部13b1は長さl、幅d
を有し、長さlは臨界角の超音波ビームのうち、角度α
間の入射波および反射波が透過可能な長さに選定され、
かつ、幅dは臨界角の超音波ビームのその他の部分を阻
止する長さに選定されている。このような透過部13b1
有するマスク13を用いた場合、試料2からは第2図
(a)で縦方向の弾性表面波の反射波および臨界角より
小さな角度の入射波の反射波を得ることができ、一軸方
向の弾性表面波の情報をとり出すことができる。
第2図(b)に示すマスク13は、その透過部13b2の形状
が台形を2つ重ねた形状に形成されている。即ち、長さ
および中央部の幅の寸法はそれぞれl、dであり、第2
図(a)に示す透過部13b1と同じであるが、長さ方向両
端部の幅d′は幅dより大きく選定されている。これに
より、臨界角の入射超音波量を大きくして干渉の度合を
大きくし、これにより、一層顕著なV(Z)曲線を得る
ことができる。
第2図(c)に示すマスク13は、その透過部13b3の形状
がほぼ半円形に形成されている。この透過部13b3は第2
図(a)に示す透過部13b1の2つの長辺のうちの図で左
の長辺を基辺とした半円形状である。このマスク13は第
2図(a)に示すマスク13と同一の作用効果を有する。
即ち、左の長辺側からの臨界角の超音波ビームの入射は
阻止されているので、右の長辺側が半円形に開放されて
いても臨界角の超音波ビームの反射波はなく、逆に、右
の長辺側からの臨界角の超音波ビームの入射はあるが、
その反射波は左の長辺側により阻止される。
第2図(d)に示すマスク13は、その透過部13b4の形状
がほぼ半円形に形成されている。この透過部13b4は破線
で示すような第2図(b)の透過部13b2の右辺を半円に
形成したものであり、第2図(c)に示す場合と同じ理
由で、第2図(b)に示す透過部13b2と同一の作用効果
を有する。
第2図(e)に示すマスク13は、その透過部13b5の形状
が第2図(d)に示す透過部13b4の形状において中央部
を大きく狭めた形状に類似する形状とされている。即
ち、透過部13b5の中央部には阻止部13aの一部13a′が大
きく張り出しており、このため、中央部分を透過する超
音波ビームは阻止される。この結果、臨界角の超音波ビ
ーム以外の透過超音波ビームの反射波が減少せしめられ
るので、中央部分の反射波が強過ぎて明確なV(Z)曲
線が得られない条件下において、この形態のマスクを用
いると、相対的に臨界角の超音波ビームの反射量が大き
くなり、顕著なV(Z)曲線を得ることができる。
第2図(f)に示すマスク13は、その中心を通る図で縦
軸上に当該中心に対称に2つの透過部13b61,13b62を有
する。このマスク13の透過部は第2図(a)に示す透過
部13b1の中央部分を阻止部としたものと同一であり、臨
界角の超音波ビームとその近辺の超音波ビームの入射波
および反射波のみを透過する。これにより、弾性表面波
のみが受信できるので、中央部分の反射波と同等の参照
波信号を電気的に作り、これと前記弾性表面波の電圧波
形とを干渉させることによって、質的に優れたV(Z)
曲線を得ることができる。
次に、マスク13の構造を図により説明する。第3図
(a)〜(e)はマスク13の阻止部と透過部の構造の種
々の具体例の拡大断面図である。第3図(a)に示すマ
スク13は、フイルム13a1およびこのフイルム13a1にあけ
られた貫通孔b100で構成されている。フイルム13a1が第
1図に示す阻止部13aを構成し、又、貫通孔13b100が透
過部13bを構成する。フイルム13a1には、媒質(水)の
音響インピーダンスに近い音響インピーダンス(ρc=
2.0〜3.0)を有し、かつ、超音波を大きく減衰させる物
質で構成される。これらの特性を有する物質としてはサ
ラン系の樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン等が用いら
れる。このマスク13のフイルム13a1に入射する超音波ビ
ームは、フイルム13a1の前記特性によりほとんど反射せ
ず、かつ、フイルム13a1を通過する間に大きく減衰され
る。そして、フイルム13a1を通過して試料2に入射した
超音波ビームの反射波は、再度フイルム13a1を通過する
とき再び大きな減衰を受ける。この結果、フイルム13a1
の表面からの反射波およびフイルム13a1を通る試料2か
らの反射波は極度に小さくなる、音響レンズ1bに返って
くる反射波は実質的に、貫通孔13b100を通る反射波のみ
となる。
第3図(b)に示すマスク13は、第3図(a)に示すフ
イルム13a1に金属箔13cを付着した構成を有する。13c
100は金属箔13cに設けられ、フイルム13a1の貫通孔13b
100と一致する貫通孔である。金属箔13cとしては、超音
波を透過せず、剛性が大きく、かつ、エッチングが可能
な物質、例えばステンレススチール、モリブデン等の金
属が用いられる。金属箔13cにより、フイルム13a1から
入射した超音波は試料2に対して完全に遮断され、か
つ、金属箔13cからの反射波はフイルム13a1を戻る間に
再び減衰せしめられる。このように、金属箔13cを設け
ることにより、このマスク13は第3図(a)に示すマス
ク13と同じ作用効果を生じるとともに、柔軟なフイルム
13a1に剛性を与えて透過部13b(貫通孔13b100)の形状
を所定の形状に保持することができ、かつ、透過部13b
をエツチングにより作成することができる効果をも生じ
る。
第3図(c)に示すマスク13は、貫通孔のないフイルム
13a2に、第3図(b)に示す金属箔13cを付着した構成
を有する。フイルム13a2は第3図(a)、(b)に示す
フイルム13a1と同じ物質により構成されるが、その厚さ
がλ/4(λは使用される超音波の波長)に設定されてい
る。このように、厚さがλ/4である場合、超音波ビーム
は良好な透過を示す。したがって、第3図(b)に示す
ように貫通孔13b100を形成する必要はなく、製造が容易
である。
第3図(d)に示すマスク13は、第3図(c)に示すフ
イルム13a2の上面に金属箔13cと同一物質の金属箔13dを
付着した構成を有する。13d100は金属箔13dに形成され
て透過部を構成する貫通孔、13d200は金属箔13dの表面
に形成された多数の凹凸面である。マスク13に入射した
超音波ビームは貫通孔13d100以外の部分では凹凸面13d
200において乱反射せしめられる。この乱反射せしめら
れた超音波は音響レンズ1bに対してあらゆる方向から入
射することになり、これら入射した超音波のうち圧電素
子1aに到達するものは極めて少なく実質的に無視するこ
とができ、貫通孔13d100を通過する反射波の受信信号に
何等の影響をも及ぼさない。
第3図(e)に示すマスク13は、第3図(d)に示す金
属箔13dの代りに、フイルム13a2の上面に糊の層13eを付
着した構成を有する。この糊の層13eは、フイルム13a2
の上面に糊を塗布し、その上からローラをかけることに
より形成される。13e100は層13eに形成された開孔部で
ある。このような糊の層13eを付着することにより、こ
の層13eの表面は凹凸面13e200となり、第3図(d)に
示すものと同じ効果を生じる。
第4図は第2、3図に示すマスク13の取付けを示すセン
サの断面図である。図で、1aは圧電素子、1bは音響レン
ズ、13はマスクを示す。17は音響レンズ1bに着脱自在に
装着されたホルダである。ホルダ17の先端面にはマスク
13が固定されている。種々の形状の透過部15cを有する
マスク13を固定したホルダ17を予め用意しておき、測定
態様に応じたホルダ17を選択し音響レンズ1bに装着すれ
ば、、所望の測定を実施することができる。
マスク13は第2図(a)〜(f)に示す阻止部と透過部
の平面形状、および第3図(a)〜(e)に示す構造を
組合せることにより構成される。ここで、第2図(a)
に示す平面形状および第3図(a)に示す構造を備えた
マスク13を例示して本実施例の動作を説明する。
第5図(a),(b)は音響レンズ1b先端、マスク13、
および試料2の一部拡大断面図であり、第5図(a)は
第5図(b)の線Va−Vaに沿う断面図、第5図(b)は
第5図(a)の線Vb−Vbに沿う断面図である。各図で、
第1図、第2図(a)、第3図(a)に示す部分と同一
部分には同一符号を付して説明を省略する。20は試料2
の表層において弾性表面波が生じている部分、βは臨界
角、Fは超音波ビームの焦点を示す。
圧電素子1aに所定の電圧が印加されると、音響レンズ1b
からは焦点Fに集束する断面円形の超音波ビームが放射
される。この超音波ビームがマスク13に達すると、阻止
部13a1に到達した超音波ビームは阻止部13a1を通過する
間に大きく減衰され、又、透過部13b1に到達した超音波
ビームはそのまま通過する。したがって、マスク13を通
過した超音波ビームは実質的に透過部13b1と同一の長方
形の微小断面を有する。この超音波ビームのうち、透過
部13b1の長さl方向の超音波ビームには第5図(a)に
示すように臨界角βの超音波ビームが含まれ、又、透過
部13b1の幅d方向の超音波ビームには第5図(b)に示
すように臨界角βの超音波ビームは含まれていない。
このマスク13を通過した超音波ビームのうち、臨界角β
未満のものは試料2内の焦点Fからの反射波として入射
経路と同一経路を通って音響レンズに戻る。一方、臨界
角βで入射した超音波ビームS2は第5図(a)に示すよ
うに試料2の部分20に弾性表面波を発生する。そして、
部分20の表面からは、当該弾性表面波による反射波S3
順次矢印で示すように発生するが、これら反射波S3が音
響レンズ1bに入射したとき、入射経路と対称位置にある
反射経路を通る反射波S3のみが圧電素子1aに到達し、他
の反射波S3は圧電素子1aとは異なる方向に屈折して圧電
素子1bには到達しない。なお、図示とは逆方向の臨界角
の超音波ビームについても同様の現象を生じる。
このように、本実施例では、臨界角の超音波ビームは、
透過部の長さ方向においてのみ発生させるようにしたの
で、特定軸方向のV(Z)曲線を得ることができ、しか
も、一点に集束する通常の超音波ビームを用いているの
で、微小領域の測定が可能である。
又、試料に対して異なる観点で測定を行なう場合、これ
に応じてマスクを取換え、又はマスクを除去するだけで
よく、取換えに要する測定者の手間と時間を軽減するこ
とができる。
さらに、試料の同一領域を異なる観点で測定する場合
も、同様にマスクを取換え又はマスクを除去するだけで
よいので、いずれの測定に対しても同じ音響レンズを使
用することができ、各測定結果の正確な比較観察を行な
うことができる。
なお、上記実施例の説明では、異なるマスクを固定した
複数のホルダを予め用意し、測定に際してこれらのうち
適宜なホルダを選択する例について説明したが、マスク
をホルダに着脱自在とする構成を採用すればホルダは1
つ備えておけばよいことになる。さらに、1つのマスク
に異なる形状の透過部を形成しておき、かつ、マスクが
ホルダに対してXY面内で移動できるような構成とすれ
ば、極めて効率的に測定を行うことができる。
〔発明の効果〕
以上述べたように、本発明では、点集束ビームのうち、
一方向の弾性表面波に関与する超音波ビームを透過さ
せ、その他の方向の弾性表面波に関与する超音波ビーム
を阻止するマスクを設けたので、試料表層に対して、特
定方向についての微小領域の測定を行なうことができ
る、これにより測定精度を大幅に向上させることができ
る。
又、試料に対して異なる観点で測定を行なう場合、これ
に応じてマスクを取換え、又はマスクを除去するだけで
よく、取換えに要する測定者の手間と時間を軽減するこ
とができる。
さらに、試料の同一領域を異なる観点で測定する場合
も、同様にマスクを取換え又はマスクを除去するだけで
よいので、いずれの測定に対しても同じ音響レンズを使
用することができ、各測定結果の正確な比較観察を行な
うことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例に係る超音波顕微鏡の探触子お
よび試料近傍の断面図、第2図(a)〜(f)は第1図
に示すマスクの平面図、第3図(a)〜(e)はマスク
の断面図、第4図はマスクの取付を説明する断面図、第
5図(a)、(b)はマスクの作用を説明する一部拡大
断面図、第6図は従来の超音波顕微鏡の系統図、第7図
は第6図に示す探触子の斜視図、第8図は探触子を移動
して得られる超音波信号の波形図、第9図は他の探触子
の斜視図、第10図(a)、(b)はそれぞれさらに他の
探触子の断面図および底面図である。 1′……探触子、1a……圧電素子、1b……音響レンズ、
2……試料、13……マスク、13a……阻止部、13b……透
過部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石川 潔 東京都千代田区大手町2丁目6番2号 日 立建機株式会社内 (72)発明者 仙波 卓弥 福岡県福岡市東区美和台1丁目39番10号 (72)発明者 谷 泰弘 東京都世田谷区宮坂3丁目47番12号 (72)発明者 佐藤 壽芳 東京都世田谷区成城2丁目24番7号 (56)参考文献 Appl.Phys,Lett.54 (17),24 April 1989(米) P.1639−1641

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】超音波を送受信する素子と、この素子で発
    生した超音波を点集束させる音響レンズとを備え、点集
    束された超音波ビームを試料に照射するとともに、この
    照射した超音波ビームの反射波を前記素子で受信し、当
    該反射波に比例した電気信号に変換する超音波顕微鏡の
    探触子において、前記試料表層に弾性表面波を生じさせ
    る臨界角を含む超音波ビームのうち一方向の弾性表面波
    を生じさせる超音波ビームを透過する超音波透過部と、
    前記一方向以外の方向の弾性表面を生じさせる超音波ビ
    ームの透過を大きく減少させる超音波阻止部とで構成し
    た前記音響レンズとは別体のフィルム状のマスクを、前
    記音響レンズの前記試料側に配置したことを特徴とする
    超音波顕微鏡の探触子。
  2. 【請求項2】請求項(1)において、前記超音波阻止
    部、超音波の減衰が大であるフィルムであり、かつ、前
    記超音波透過部は、前記フィルムにあけられた貫通孔で
    あることを特徴とする超音波顕微鏡の探触子。
  3. 【請求項3】請求項(1)において、前記超音波阻止部
    は、超音波の減衰が大であるフィルムおよびこのフィル
    ムの前記試料側に設けられた金属膜より成り、かつ、前
    記超音波透過部は、前記フィルムおよび前記金属膜を貫
    通する貫通孔であることを特徴とする超音波顕微鏡の探
    触子。
  4. 【請求項4】請求項(1)において、前記超音波阻止部
    は、前記音響レンズと前記試料との間に介在する媒質の
    音響インピーダンスとの差が小さい音響インピーダンス
    を有するフィルムおよびこのフィルムの前記試料側に設
    けられた金属膜より成り、かつ、前記超音波透過部は、
    前記金属膜部の除去部であることを特徴とする超音波顕
    微鏡の探触子。
  5. 【請求項5】請求項(1)において、前記超音波阻止部
    は、前記音響レンズ側および前記試料側のうち少なくと
    も前記音響レンズ側に面した部分が乱反射面に構成さ
    れ、かつ、前記超音波透過部は、前記乱反射面をもたな
    いことを特徴とする超音波顕微鏡の探触子。
  6. 【請求項6】請求項(5)において、前記超音波透過部
    は、貫通孔で構成されていることを特徴とする超音波顕
    微鏡の探触子。
  7. 【請求項7】請求項(5)において、前記超音波透過部
    は、前記音響レンズと前記試料との間に介在する媒質の
    音響インピーダンスとの差が小さい音響インピーダンス
    を有するフィルムであることを特徴とする超音波顕微鏡
    の探触子。
  8. 【請求項8】請求項(1)において、前記超音波透過部
    は、その平面形状が細長い方形であることを特徴とする
    超音波顕微鏡の探触子。
  9. 【請求項9】請求項(1)において、前記超音波透過部
    は、その平面形状が、中央部は狭く、この中央部に対し
    て対称な長さ方向両端部が広い形状であることを特徴と
    する超音波顕微鏡の探触子。
  10. 【請求項10】請求項(1)において、前記超音波透過
    部は、その平面形状が、ほぼ半円状であることを特徴と
    する超音波顕微鏡の探触子。
  11. 【請求項11】請求項(1)において、前記超音波透過
    部は、その平面形状が、ほぼ三日月形状であることを特
    徴とする超音波顕微鏡の探触子。
  12. 【請求項12】請求項(1)において、前記超音波透過
    部は、組となる2つが間隔を置いて対称位置に配置さ
    れ、この組が少なくとも1つ設けられていることを特徴
    とする超音波顕微鏡の探触子。
  13. 【請求項13】請求項(1)において、前記マスクは、
    前記音響レンズに装着されるホルダに支持されているこ
    とを特徴とする超音波顕微鏡の探触子。
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