JPH0768167A - 湿度調整材及びその製造方法 - Google Patents

湿度調整材及びその製造方法

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JPH0768167A
JPH0768167A JP24197193A JP24197193A JPH0768167A JP H0768167 A JPH0768167 A JP H0768167A JP 24197193 A JP24197193 A JP 24197193A JP 24197193 A JP24197193 A JP 24197193A JP H0768167 A JPH0768167 A JP H0768167A
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靖雄 芝崎
Yoshitaka Yamashita
芳孝 山下
Masanobu Kamori
雅信 加守
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  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高湿度時の水分吸着能力を向上させ、湿度の
低下に応じて吸着した水分を脱着する機能を有し、屋内
の湿度調整材としての機能を有する湿度調整材及びその
製造方法を提供することを目的とする。 【構成】 クリソタイルを主成分とする蛇紋岩を原料と
し、アルミニウムの強酸塩と水を用いて水熱処理を行っ
て得られた管状合成カオリナイトからなる湿度調整材、
及びクリソタイルを主成分とする蛇紋岩を原料とし、強
酸と水を用いて水熱処理を行って得られたマグネシウム
を取り除いたシリカからなる湿度調整材を提供する。ま
た、クリソタイルを主成分とする蛇紋岩を粉砕して得た
粉末と、塩化アルミニウム,硝酸アルミニウム又は硫酸
アルミニウムの少なくとも1種の粉末を適宜秤量して加
え、一定の固形分スラリーとなるまで水を加えて密封し
た後、循環式温風乾燥機に入れて水熱処理を行い、次に
冷却後、濾過,洗浄,乾燥して管状合成カオリナイトか
らなる湿度調整材を製作する湿度調整材の製造方法を提
供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は建築材料とか高湿度乾燥
剤等の用途で工業的に利用可能な湿度調整材に関し、特
には高湿度時の水分吸着能力を飛躍的に向上させるとと
もに、湿度の低下に応じて吸着した水分を脱着すること
のできる湿度調整材及びその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来の日本建築において、古来から各種
物品を長期間貯蔵するために土蔵が用いられている。一
方、近時の冷暖房の普及により、建築材料は高度な密封
性が要求されており、このためアルミサッシとかタイル
等のセメント系の建材が大量に使用されている。しかし
ながら、このようなセメント系の建材は、逆に屋内に高
湿度の状態を作りだす原因とも成っている。
【0003】このような高湿度により、室内にカビやダ
ニの成育する条件が整ったり建築材料の早期劣化が生じ
たりする惧れが発生するため、これに対処して従来から
各種の乾燥剤とか除湿材及びダニを駆除する殺虫剤等が
開発されている。しかしながら、高湿度にも効果のある
乾燥剤が存在しないため、特に一定湿度に維持する必要
がある美術館等の展示室とか、各種建築材或は内装材の
品質を維持するためには僅かに空調施設等によって湿度
の維持と調整をはかっているに過ぎないのが実状となっ
ている。
【0004】一方カオリナイトは、従来からセラミック
スの原料として用いられる粘土鉱物の中のカオリン類の
主要な鉱物であって、白色、灰色又は黄色の高アルミナ
鉱物であり、良質の天然粘土、特に愛知県瀬戸地区で産
出する木節粘土、蛙目(がえろめ)粘土には上記のカオリ
ナイトと粘性を高めるための亜炭等の有機物が混合され
ていることが確認されている。この天然粘土は世界でも
最も優れたセラミックス用材料といわれ、珍重されてい
る。
【0005】上記カオリンは層状構造を持つ粘土鉱物の
一種であり、同じ組成をもっているが構造の異なるカオ
リナイト、ディッカイト、ナクライトが知られている。
主として有機質に触れて分解する薬品の賦形剤として用
いられ、外用には消炎薬として用いられる外、精製カオ
リンは化粧品の製造原料ともなっている。
【0006】しかし上記カオリン及びカオリナイトを含
有する良質の天然粘土の産出量が減少しているため、現
在では天然粘土に変わる材料として人工粘土の開発研究
が推進されており、粘土中の主原料であるカオリナイト
は水熱合成法によって製造されている。この水熱合成法
とは原材料を水分の存在下でオートクレーブ内に密閉し
て一定時間高温高圧状態に保持することによって所望の
鉱物を得る方法であり、各種人工鉱物の合成手段として
多用されている。
【0007】本出願人等は先に、特願昭60−2108
14号(特公平4−6669号)により「圧力容器を用
いた窯業原料の脱鉄精製法」を、特願平1−11840
0号(特公平5−15646号)により非晶質様珪酸カ
ルシウム水和物とアルミニウムの強酸塩を用いて水とと
もに水熱合成処理を実施することを特徴とする「低結晶
度のカオリナイトの製造方法」を提案している。
【0008】上記後者の提案の内容を具体的に述べる
と、非晶質様珪酸原料と水酸化カルシウムのスラリーを
所定の原子比で混合し加熱して得られた非晶質様珪酸カ
ルシウム水和物に、アルミニウムの強酸塩及び水を加
え、圧力容器中に密封し所定の条件下で反応させた後、
冷却、開封し、濾過、乾燥してカオリナイト粉末を製造
することにより、天然の可塑性粘土中に含まれるカオリ
ナイトと同等の優れた可塑性を有する合成カオリナイト
を得ることが出来る。第6図はこの合成カオリナイトの
結晶構造を示す電子顕微鏡写真(×60000)であ
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の乾燥剤とか除湿材及びダニを駆除する殺虫剤
等はいずれも対処療法であり、カビやダニの成育条件で
ある屋内の高湿度の状態を改善するための抜本的手段と
は言えないという課題がある。
【0010】例えば前記乾燥剤として、一般に酸化カル
シウムが使用されているが、この乾燥剤は空中の水分を
取り除くことを目的としており、従って水分吸着能力は
優れていても、相対湿度に応じて水分を吸着することは
できず、又吸着した水分を脱着することはできない。さ
らに、前記乾燥剤として使用されているシリカゲルは水
分吸着能力とともに脱着能力を有するが、相対湿度に応
じて脱着する能力は有しておらず、室内の湿度調整材と
しての機能は備えていないのが通例である。特に、高湿
度において効果のある水分吸着能力を有し、同時に湿度
の低下に応じて水分を脱着する能力を併せ持つ湿度調整
材は全く存在しなかった。
【0011】そこで本発明はこのような従来の乾燥剤を
用いた湿度対策が有している課題を解消して、特に高湿
度時の水分吸着能力を飛躍的に向上させ、湿度の低下に
応じて吸着した水分を脱着する機能を有して、内装建材
として採用することによって屋内の湿度調整材としての
機能を有する材料及びその製造方法を提供することを目
的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、クリソタイルを主成分とする蛇紋岩を原料
とし、アルミニウムの強酸塩と水を用いて水熱処理を行
って得られた管状合成カオリナイトからなる湿度調整材
と、クリソタイルを主成分とする蛇紋岩を原料とし、強
酸と水を用いて水熱処理を行って得られたマグネシウム
を取り除いたシリカからなる湿度調整材を提供する。更
に、前記湿度調整材が粉状、粒状、もしくは塊状である
湿度調整材及び前記湿度調整材を、建築材、内装材の表
面に存在させた湿度調整材を提供する。
【0013】また、クリソタイルを主成分とする蛇紋岩
を粉砕して得た粉末と、塩化アルミニウム,硝酸アルミ
ニウム又は硫酸アルミニウムの少なくとも1種の粉末を
適宜秤量して加え、一定の固形分スラリーとなるまで水
を加えて密封した後、循環式温風乾燥機に入れて水熱処
理を行い、次に冷却後、濾過,洗浄,乾燥して管状合成
カオリナイトからなる湿度調整材を製作する湿度調整材
の製造方法及びクリソタイルを主成分とする蛇紋岩を粉
砕して得た粉末と、強酸と水を加えて密封した後、循環
式温風乾燥機に入れて水熱処理を行い、次に冷却後、濾
過,洗浄,乾燥してマグネシウムを取り除いたシリカか
らなる湿度調整材を製作する湿度調整材の製造方法を提
供する。
【0014】
【作用】かかる湿度調整材及びその製造方法によれば、
蛇紋岩を原料とする管状合成カオリナイト(以下、蛇紋
カオリナイトという)は、成分はカオリナイトで形状は
クリソタイルの構造を有していることにより、高湿度で
の吸脱着率が大きくなって乾燥剤として働き、しかも低
湿度では水分を脱着するという作用があり、各種建築材
及び内装材として利用した際に室内を一定湿度にコント
ロールする湿度調整材としての機能を発揮する。また、
クリソタイルを主成分とする蛇紋岩を原料とし、強酸と
水を用いて水熱処理を行って得られたマグネシウムを取
り除いたシリカ(以下、蛇紋シリカという)も比表面積
が広いことにより、高湿度での吸脱着率が大きくなって
乾燥剤として働き、しかも低湿度では水分を脱着すると
いう作用があり、各種建築材及び内装材として利用した
際に室内を一定湿度にコントロールする湿度調整材とし
ての機能を発揮する。
【0015】特に蛇紋カオリナイトは、相対湿度が小さ
い間は吸着,脱着量もあまり多くないが、相対湿度が9
0%以上の大きな値になると水分の吸着、脱着量が大幅
に増大する。他方の蛇紋シリカも相対湿度が90%以上
の大きな値になると水分の吸着、脱着量が大幅に増大す
る。ただ、蛇紋シリカは蛇紋カオリナイトよりも比表面
積が大きいため、相対湿度が小さい間は水分の吸着,脱
着量が大きくなっているが、相対湿度が80%を超えた
時点で蛇紋カオリナイトの水分の吸着及び脱着量が急激
に増大して蛇紋シリカの吸着,脱着量と逆転するという
作用がある。
【0016】
【実施例】以下本発明にかかる湿度調整材及びその製造
方法の各種実施例を説明する。前記したように従来の日
本建築において物を長期間貯蔵するために土蔵が用いら
れてきたが、これら土蔵の壁はパルプ、竹、ワラ色土か
ら構成されており、本発明者等はワラ色土の主成分であ
るカオリナイトが調湿性を持つことを見出し、この知見
に基づいて鋭意研究を重ねた結果、カオリナイトの中で
も、蛇紋カオリナイトが相対湿度80%以上の高湿度に
おいて水分の吸着率が非常に高くなり、逆に低湿度にな
ると水分を脱着する機能が優れていることを確認した。
【0017】蛇紋岩は、通常かんらん岩が変質してでき
た蛇紋石を主成分とする鉱物であり、従来から装飾用石
材として用いられている。一般の粘土中にはあまり含ま
れないが、マグネシウムを八面体陽イオンに持つ3八面
体の1:1型構造の鉱物である。肉眼的に淡緑色ないし
暗緑色で脂肪光沢或いは絹色光沢を呈し、滑らかな触感
がある。
【0018】この蛇紋岩は、管状(肉眼的には管状また
は繊維状)のクリソタイルと平板状のリザーダイト、X
線方向に波状の超構造を持つアンチゴライトの3種類に
分類され、中でもクリソタイルは、図5の結晶構造を示
す電子顕微鏡写真(×60000)に見られるように、
外直径150〜500Å、内直径20〜150Åの通常
X軸は真直ぐに伸びたままでY軸が湾曲して管状形態と
なっていて、断面は同心円状又は螺旋状をなしており、
管状繊維の電子回折パターンはX線回転結晶写真に類似
した、層線が平行に重なった繊維図形を有している(白
水晴雄,“粘土ハンドブック第2版,技報堂,p27−
32,1987の記載に基づく)。
【0019】また、クリソタイルを主成分とする蛇紋岩
は、前記したようにX軸は真直ぐに伸びたままでY軸が
湾曲して管状形態となった管状構造を持つため、比表面
積が19m2/gと小さく、水分吸脱着の絶対量は少な
いものの、相対湿度80%以上の高湿度での水分吸脱着
率が増大するという特徴がある。
【0020】そこで本発明では、クリソタイルを主成分
とする蛇紋岩を原料として、この原料にアルミニウムの
強酸塩と水を加えて水熱処理を行うことによって管状カ
オリナイト(蛇紋カオリナイト)を合成し、この蛇紋カ
オリナイトを湿度調整材として用いることを主眼として
いる。更に、クリソタイルを主成分とする蛇紋岩を原料
とし、強酸と水を用いて水熱処理を行って得られたマグ
ネシウムを取り除いたシリカを湿度調整材として持ちい
ることを主眼としている。
【0021】上記のようにして得られた蛇紋カオリナイ
トは、低湿度での水分吸脱着量は少ないにもかかわら
ず、高湿度で吸脱着率はクリソタイルを主成分とする蛇
紋岩に較べても大幅に増大しているという特徴がある。
【0022】蛇紋岩を原料とする蛇紋カオリナイトは、
成分はカオリナイトで形状はクリソタイルの構造を持つ
ため、一方蛇紋シリカは比表面積が102m2/gと大
きいため、高湿度での吸脱着率が非常に大きくなるもの
と推定される。従って、この蛇紋カオリナイト或は蛇紋
シリカは高湿度では乾燥剤として働き、低湿度では水分
を脱着する湿度調整材として使用できる。また、この蛇
紋カオリナイト或は蛇紋シリカを建築材、内装材の表面
に使用すれば、高湿度状態では水分を吸着し、低湿度状
態では水分を脱着するため、室内を一定湿度にコントロ
ールすることが可能となり、快適さが増大するとともに
カビやダニの成育を抑制できるという作用がある。
【0023】以下に本発明の具体的な実施例を説明す
る。先ず蛇紋カオリナイト試料を得るため、クリソタイ
ルを主成分とする蛇紋岩を粉砕,分級して得た粉末(8
0メッシュパス)と塩化アルミニウム粉末をAl/Si
=1.3となるように秤量し、テフロン内装モーレ型ボ
ンベに添加し、固形分10%となるまで水を加えて密封
した。これを循環式温風乾燥機に入れて、220℃,4
日間水熱処理を行い、次に水中に投下して急冷後、濾
過,洗浄,乾燥して蛇紋カオリナイト試料を得た。図3
はこのようにして得られた本実施例にかかる湿度調整材
としての蛇紋カオリナイトの結晶構造を示す電子顕微鏡
写真(×60000)である。尚、上記塩化アルミニウ
ムに代えて、硝酸アルミニウムもしくは硫酸アルミニウ
ムを用いても良い。
【0024】次に蛇紋シリカ試料を作成するため、クリ
ソタイルを主成分とする蛇紋岩を粉砕,分級して得た粉
末(80メッシュパス)と塩酸を原子比Cl/Si=
3.6となるように秤量し、テフロン内装モーレ型ボン
ベに添加し、固形分10%となるまで水を加えて密封し
た。これを循環式温風乾燥機に入れて、220℃,16
時間水熱処理を行い、水中に投下して急冷後、濾過,洗
浄,乾燥して蛇紋シリカ試料を得た。図5は本実施例に
かかる蛇紋シリカの結晶構造を示す電子顕微鏡写真(×
60000)である。尚、上記塩酸に代えて、硝酸もし
くは硫酸を用いても良い。
【0025】図1,図2は水分吸着測定装置を用いて、
本発明にかかる蛇紋カオリナイト及び蛇紋シリカと、従
来の合成カオリナイト(特公平5−15646号による
もの)、蛇紋岩、既存の乾燥剤としてのシリカゲルの試
料を用いて相対湿度(%)に対する水分の吸脱着量を測
定した結果を示す。図1は水分吸着等温線を、図2は水
分脱着等温線を各々示している。尚、図2の水分脱着等
温線は、脱着した水分に対して各試料に残留する水分量
として表わしている。
【0026】表1は上記蛇紋カオリナイト、蛇紋シリカ
と、合成カオリナイト、蛇紋岩、シリカゲルの比表面積
(m2/g)の値を測定した結果である。
【0027】
【表1】
【0028】図1,図2及び表1によれば、蛇紋岩は比
表面積が19m2/gと小さいため、相対湿度が小さい
間は吸着,脱着量とも少なく、相対湿度が95%前後か
らカーブが上昇している。蛇紋シリカは蛇紋岩よりも比
表面積が102m2/gと大きいため、水分の吸着,脱
着量はかなり多くなっている。蛇紋カオリナイトは蛇紋
シリカよりも比表面積は60m2/gとかなり小さいた
め、相対湿度が0〜80%程度までは蛇紋シリカの水分
の吸着及び脱着量の方が蛇紋カオリナイトよりも高くな
っているが、相対湿度が80%を超えた時点では蛇紋カ
オリナイトの水分の吸着及び脱着量が急激に増大してお
り、蛇紋シリカの吸着,脱着量と逆転していることが分
かる。
【0029】本実施例によって得られた湿度調整材は粉
状、粒状、もしくは塊状であり、使用時には該湿度調整
材を建築材及び内装材の表面に存在させても有効であ
る。
【0030】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明は蛇
紋カオリナイトと蛇紋シリカを利用した湿度調整材及び
その製造方法にかかるものであり、特に高湿度時の水分
吸着能力を飛躍的に向上させ、しかも湿度の低下に応じ
て吸着した水分を脱着する機能を有する湿度調整材を提
供することができる。従って近時の冷暖房の普及に伴っ
て高度な密封性が要求される建築材料とか内装建材とし
て利用した場合にあっても、屋内の湿度調整材として有
効に機能する材料と製造方法が得られる。
【0031】特に従来から知られている酸化カルシウム
は空中の水分を取り除くことを目的としており、従って
水分吸着能力は優れていても、相対湿度に応じて水分を
吸着することはできず、又吸着した水分を脱着すること
はできない。さらに、シリカゲルは水分吸着能力ととも
に脱着能力を有するが、相対湿度に応じて脱着する能力
は有しておらず、室内の湿度調整材としての機能は備え
ていない。このことは図2のシリカゲルの水分脱着等温
線に如実に示されているところであり、シリカゲルは相
対湿度が低下して脱着量は増加していない。本発明にか
かる湿度調整材は、高湿度において効果のある水分吸着
能力を有し、同時に湿度の低下に応じて水分を脱着する
能力を併せ持つものであり、室内における湿度調整機能
を有するため、室内におけるカビやダニの成育する条件
を抑制することができる上、湿度に起因する建築材料の
早期劣化をなくすという効果を発揮する。更に単独の湿
度調整材として、各種建築材や内装材中に存在させても
有効であり、粉状、粒状、もしくは塊状である調整材の
各種製品への二次加工も容易であるという効果がある。
【0032】また、一定湿度に維持する必要がある美術
館等の展示室その他の各種建築材に採用しても有用であ
り、かつ、内装材の品質を維持し、室内での居住空間の
快適さを増大するという大きな効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例にかかる湿度調整材と比較例との相対
湿度に対する水分吸着等温線の測定結果を示すグラフ。
【図2】本実施例にかかる湿度調整材と比較例との相対
湿度に対する水分脱着等温線の測定結果を示すグラフ。
【図3】蛇紋カオリナイトの結晶構造を示す電子顕微鏡
写真。
【図4】蛇紋シリカの結晶構造を示す電子顕微鏡写真。
【図5】蛇紋岩の結晶構造を示す電子顕微鏡写真。
【図6】従来の合成カオリナイトの結晶構造を示す電子
顕微鏡写真。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山下 芳孝 高知県高知市南はりまや町1丁目15番2号 (72)発明者 加守 雅信 愛知県名古屋市北区金城2丁目1番10号コ ーポ若園

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クリソタイルを主成分とする蛇紋岩を原
    料とし、アルミニウムの強酸塩と水を用いて水熱処理を
    行って得られた管状合成カオリナイトからなることを特
    徴とする湿度調整材。
  2. 【請求項2】 クリソタイルを主成分とする蛇紋岩を原
    料とし、強酸と水を用いて水熱処理を行って得られたマ
    グネシウムを取り除いたシリカからなることを特徴とす
    る湿度調整材。
  3. 【請求項3】 前記湿度調整材が粉状、粒状、もしくは
    塊状である請求項1,2記載の湿度調整材。
  4. 【請求項4】 前記湿度調整材を、建築材、内装材の表
    面に存在させた請求項1,2,3記載の湿度調整材。
  5. 【請求項5】 クリソタイルを主成分とする蛇紋岩を粉
    砕して得た粉末と、塩化アルミニウム,硝酸アルミニウ
    ム又は硫酸アルミニウムの少なくとも1種の粉末を適宜
    秤量して加え、一定の固形分スラリーとなるまで水を加
    えて密封した後、循環式温風乾燥機に入れて水熱処理を
    行い、次に冷却後、濾過,洗浄,乾燥して管状合成カオ
    リナイトからなる湿度調整材を製作することを特徴とす
    る湿度調整材の製造方法。
  6. 【請求項6】 クリソタイルを主成分とする蛇紋岩を粉
    砕して得た粉末と、強酸と水を加えて密封した後、循環
    式温風乾燥機に入れて水熱処理を行い、次に冷却後、濾
    過,洗浄,乾燥してマグネシウムを取り除いたシリカか
    らなる湿度調整材を製作することを特徴とする湿度調整
    材の製造方法。
JP24197193A 1993-09-01 1993-09-01 湿度調整材及びその製造方法 Expired - Lifetime JPH084742B2 (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006250770A (ja) * 2005-03-11 2006-09-21 Sumika Chemical Analysis Service Ltd クリソタイルの分析方法
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