JPH0765619B2 - 固体潤滑転がり軸受 - Google Patents

固体潤滑転がり軸受

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JPH0765619B2
JPH0765619B2 JP60140366A JP14036685A JPH0765619B2 JP H0765619 B2 JPH0765619 B2 JP H0765619B2 JP 60140366 A JP60140366 A JP 60140366A JP 14036685 A JP14036685 A JP 14036685A JP H0765619 B2 JPH0765619 B2 JP H0765619B2
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基次 大森
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の利用分野〕 本発明は転がり軸受に係り、特に高温、高真空、低温、
放射性雰囲気等の油で潤滑できない場所、あるいは油の
存在が好ましくない場所での使用に好適な固体潤滑転が
り軸受に関する。
〔発明の背景〕
宇宙機器、及び半導体製造装置等の真空機器の進歩、発
展に伴い真空中あるいは真空中でかつ低温、あるいは高
温といつたいわゆる極限条件で回転する装置が増えてい
る。このような雰囲気で、蒸発の少ない油、グリースを
も使えない環境では固体で潤滑せざるを得ないが、固体
潤滑では以下に述べるような多くの問題、欠点がある。
まず、固体潤滑は摩擦が大きいため軸受の様式としては
ころがり摩擦による転がり軸受が多用される。特に回転
数が高く相対運動速度が速い場合には転がり軸受しか使
用できない。転がり軸受のなかでは転動体が球の玉軸受
(Ball Bearing)が圧倒的に多く、玉軸受を固体潤滑す
る方法としては大きく分けて以下の二通りある。ひとつ
は第13図に示す如く保持器31を固体潤滑剤で構成するか
もしくは保持器31のボール3と接触する部分31a(ポケ
ツト部)に固体潤滑剤を配設し、ボールと保持器間のす
べり摩擦によりボールに固体潤滑剤を転移させてボール
と内外輪転道溝のころがり接触面を潤滑する。この方法
は例えば特開昭54−64244号公報にて提案されている。
もう一方は保持器のない総ボール型式とし、あらかじめ
ボールあるいは/及び内輪、外輪の転道面(ボールが転
がり運動する面)に銀(Ag),金(Au),鉛(Pb),イ
ンジウム(In)等の軟質金属を被覆しておき、これらの
軟質金属の変形、摩耗、付着により潤滑する方法であ
る。総ボール型式の公知例として特開昭51−42847,特開
昭55−57717に潤滑被膜の形成技術、あるいはボールの
配置法に関する発明が記載されている。
保持器を用いる前者ではボールと保持器のすべり摩擦の
ため、二硫化モリブデン(MoS2),二硫化タングステン
(WS2),セレン化ニオブ(NbSe2)等の低摩擦でボール
とのすべり摩擦に対して耐摩耗の非金属固体潤滑剤が多
く用いられる。低速等の回転条件が緩やかな場合には上
記軟質金属のみを用いる場合もある。具体的には非金属
固体潤滑剤を通常の鋼製、あるいは銅合金製の保持器に
機械的に埋め込ませたり、粉末治金の手法により保持器
を複合材として適用しているが、これらの公知技術では
以下に述べる問題点がある。
総玉型式として軟質金属をボール、転道面に被覆して潤
滑する場合、潤滑剤である軟質金属が変形、摩耗、付着
を繰り返す間に塊状となり、第14図の模式図の如くボー
ル、及び転道面表面にミクロン単位の凹凸が形成され、
そのためころがり振動ひいては騒音の増大を招く。ま
た、凹凸が形成されるためころがり摩擦が大きくなり、
軸受内部のすきまより凹凸が大きくなり負のすきまとな
ると、予圧がかかつた状態となり摩擦トルクは極めて増
大する。
一方、保持器から潤滑剤を供給する型式ではボールと保
持器ポケツト部とのすべり摩擦により潤滑膜が形成され
るため、上記の総玉型式より凹凸の程度は小さく滑らか
な潤滑表面となる。しかし、回転中はボールと保持器が
常にすべり摩擦するため次々と潤滑剤がボールに供給さ
れ、余分なものは摩耗粉となつて排出される。そのた
め、回転機構部周辺に多くの摩耗粉が散乱することもあ
り、清浄度が要求され、異物を嫌う半導体製造装置等で
は大きな問題となる。また、保持器のボールとのすべり
による摩耗はそれ自身の機械的強度の減少につながり、
保持器を破壊し破片のかみ込み、あるいはボールの片寄
りを起こし回転不能、焼付き状態に至る。保持器のポケ
ツト部の摩耗は材料の選択によりすべり摩擦を軽減せし
め、耐摩耗性を向上させ寿命を延長する努力はなされる
が、ボールとポケツト部の接触、運動状況は極めて複雑
であり、寿命性能に大きなばらつきが生じることが多
い。そのため寿命予測が難しいという大きな問題があつ
た。
さらに、上記の二通りの方法の中間的な固体潤滑方法と
して特公昭36−12303に示す発明があげられる。この方
法では、固体潤滑剤を保有する潤滑性リングを二個の玉
軸受のボールで挟み込み、潤滑性リングの端面はボール
の形状に合わせて凹面を呈している。一方の玉軸受の内
輪にはバネが設けられ、バネ力にて軸方向の力を発生
し、その力をボールに与えて潤滑性リングを挟んでい
る。この発明は、総玉型式の玉軸受のボールに常に潤滑
剤を供給できる利点はあるが、潤滑性リングと接触する
ボールの片側にのみ潤滑剤が供給されるので、固体潤滑
玉軸受として重要なボールに薄く均一に被覆するという
点に配慮されていない。また、潤滑性リングは常にボー
ルと接触し摩擦しながら自身も軸の周りを回転するので
摩擦熱により温度上昇しても放熱しにくい。さらに、潤
滑性リングが振動発生源になる可能性もある。
〔発明の目的〕
本発明は上記欠点に鑑みなされたもので、寿命が長くか
つ安定し、振動、騒音が小さく、さらには摩耗粉の発生
量が少ない固体潤滑転がり軸受を提供することを目的と
したものである。
〔発明の概要〕
本発明の特徴は、内輪、外輪、及び複数個の転動体から
成り、転動体と内輪、外輪とが接触角をもつアンギュラ
形転がり軸受において、内輪と外輪の間にそう入された
潤滑性を有するリング状の固体を、内輪又は外輪のかた
に接触、案内させて転動体に押しつけ摩擦させて潤滑す
る点にある。
〔発明の実施例〕
以下、本発明の一実施例を第1図に従つて説明する。図
示の玉軸受はいわゆるアンギュラ形式であり、内輪1、
外輪2間の転道溝にはボール3のみが複数個配設されて
おり、保持器の無い総ボールタイプである。そのため保
持器破損、それにより生じるボールの片寄り、回転不能
という重大な事態は避けられる。内輪1,外輪2の間には
ボール3に側方から接触するように固体潤滑剤供給リン
グ4(以下供給リングと呼ぶ)が設けられ、供給リング
4は供給バネ5の力でボール3に接触、押し付けられて
いる。供給リング4、及びバネ5は段付きスリーブ6に
保持されている。玉軸受は通常の用い方と同様、外輪側
スリーブ7,内輪側スリーブ8により固定され、軸9に取
付けられる。供給リング4は所望の固体潤滑剤、例えば
MoS2,Ag,PTFE等の単一あるいは複合材で構成される。な
お、本実施例では供給リング4を供給バネ5にてボール
3に押し付けたが、他の手段、例えば磁気力を応用し、
供給リング4及び段付きスリーブ6に磁石を配設して押
し付けても良い。
第1図の構造における固体潤滑の機構を第2図、及び第
3図を併用して説明する。第2図は第1図の軸受のみを
取り出してボール3と内輪1、外輪2の転道溝との接触
状況を示す。第2図において理論接触点はb,eであるが
弾性変形のため幅abc,defで接触している。ボール3が
軸X−Xのまわりに理論回転するためには玉の表面にお
けるd,fの周速度は同一でなければならない。一方、内
輪上のd,f点の周速度は半径dg,fiが相違するため互いに
異なり、f点の方が高い。従つて、もしも理論接触点e
で純ころがりが起こつているとすれば、d,fの側では正
負のすべりが起こらねばならず、このすべりは内輪の回
転方向のベクトルを矢印の向きとすればボール3に外向
きの矢印の回転ベクトルを持つ回転、すなわちスピンを
与えることになる。外輪の接触域abcでも同じことが逆
向きに起こる。すなわちこのスピンを妨げるようにすべ
りが起こり、結局接触幅の大小、玉の遠心力の影響の大
小(接触圧の相違)などによつて、すべりは必らず起こ
るが、スピンは図中矢印の方向にもその逆にも起こる。
このように安定な回転における静的なスピンは一般に小
さく正常なアンギュラ軸受では数百回転に一回転くらい
である。若干のスピンは玉の摩耗の均一化のためかえつ
て有利な点もあり、その摩擦はすべり変位が小さいだけ
に小さく、弊害を過大視する必要はない。
第3図は第1図の軸受部の拡大図で本発明における固体
潤滑の機構を示す。ボール3は軸X−Xを回転中心とし
て自転し、固体潤滑供給リング4が右側方からボール3
に接触、押し付けられている。供給リング4とボール3
との接触線S−Sですべり摩擦によりボール3に固体潤
滑薄膜が形成される。ボール3は軸X−Xを中心として
回転しながら内輪1、外輪2の間を公転しており、ボー
ル3と供給リング4との相対すべり速度はその分速く、
潤滑膜が効果的に供給される。その形成域S−Tは前述
のボール3のスピンのため徐々に軸Y−Yを中心に回転
し最終的には第3図に示す如くボール3の表面上STUVに
わたつて潤滑薄膜で覆われる。この間、ボール3は軸X
−Xを中心に自転を繰り返しており、実際には潤滑膜は
内輪1,外輪2の転道溝に転移し、さらにボール3の全面
も潤滑膜で覆われることになる。
以上の説明から理解されるように固体潤滑剤の供給部は
接触線S−Sに限定され、その相対すべり速度は第13図
の従来の保持器方式におけるボール3と保持器31との間
の速度の約1/3と遅いため供給速度は低く、かつ何回も
摩擦をくり返しているので密着強度の高い平滑な膜とな
る。そのため騒音,振動の小さい静かな回転が得られ
る。これは供給リング4がボール3を軸方向に押し付
け、ボール3の不規則な振動を抑制し、回転を安定にし
ているためでもある。また、潤滑剤の供給速度が低いた
め、それだけ摩耗粉の排出量は少なく、清浄度が要求さ
れる固体潤滑軸受として好適である。
さらに、第1図から明らかなごとく、固体潤滑剤供給リ
ング4は外輪2の内径水平面のいわゆるかたの部分に接
触、案内されているので、ボール3との摩擦により発生
した熱はすみやかに外輪2へ伝導放熱される。また、従
来公知例(特公昭36−12303)と異なり、固体潤滑剤供
給リング4は全く回転しないので固体潤滑剤供給リング
4の回転による振動の問題は発生しない。そのため、固
体潤滑剤供給リング4の破損等は起こらないので、これ
による軸受の焼付きによる回転停止の危険性は回避でき
る。
第4図,第5図,第6図並びに第7図は予圧構造におけ
る実施例で、第4図から第6図は外輪側に、第7図は内
輪側に本発明の固体潤滑剤供給装置を設けた例である。
一般に回転機械は軸受の内輪を回転側とし、外輪側を静
止側とする場合が多いが、第4図から第6図はそれらに
最適な、本発明の固体潤滑玉軸受の実施例で、種々の軸
受の形状、予圧構造に関して示してある。一方、第7図
は逆に内輪側を静止側とし、外輪側を回転側とする場合
に最適な実施例を示すが、基本的な構成、作用、効果は
第4図から第6図までの実施例と同じである。第4図は
二個の軸受の間に予圧バネ10、供給リング4、供給バネ
5、段付きスリーブ6を収納し、コンパクトな特徴を持
つ。第5図は供給リング4、供給バネ5、段付きスリー
ブ6を軸受の外側に配置し、固体潤滑剤供給装置の交換
を容易にしている。第6図は、多用される予圧構造への
実施例で、予圧は二個の軸受の外側からかけ、供給装置
は内部に収納されている。なお、供給バネ5は一個で兼
用しているため段付きスリーブ6は段がない形状となつ
ている。予圧は予圧バネ10で印加し、予圧力は供給バネ
5の押し付け力より強くしている。固体潤滑転がり軸受
は潤滑膜が油による潤滑膜より厚いため、さらには温度
変化が生じる用途が多いため軸受すきまが通常のものよ
り大きい。そのため軸受すきまに基づくガタ振動が発生
し易く不連続で低い周波数の騒音、振動が発生する。予
圧構造では上記のすきまが解消され、安定な回転を実現
する。予圧バネ10のバネ力を強くするとボール3と内輪
1,外輪2との接触面圧が高まり第2図における接触幅ab
c,defが拡大する。幅abc,defの拡大はスピン速度を増
し、潤滑剤の供給速度もその分高まる。すなわち、軸方
向荷重が増して軸受の負荷が増加すれば、それに応じて
潤滑剤の供給が早まる。
第8図は直径が小さく荷重を負荷しないボール3bと荷重
を負荷するボール3aとを交互に配設したスペーサボール
型式の軸受に本発明を適用した実施例を示す。予圧構造
ではすきまが無くなりすべてのボールが荷重を支持す
る。するとボール同士の接触に伴うボール間のすべり摩
擦が発生し固体潤滑膜の破損、ひいては摩耗粉の発生に
至る場合がある。スペーサボール型式の軸受では第9図
に示す如くボール同士の回転方向が一個おきに同一とな
るためボール同士のすべり摩擦が無くなり上記の問題が
解消する利点がある。
本発明の医療診断用回転陽極X線管への適用実施例を第
10図に示す。X線管では陰極14から陽極ターゲツト13へ
熱電子が高速で衝突し、矢印の方向にX線が発生する。
熱電子のエネルギーの99%以上が熱に変わるためターゲ
ツト13のX線を発生した個所は瞬間的に昇温する。そこ
で溶融を抑止するためターゲツト13を図の如く軸受で回
転自在に支持し、ターゲツト13と一体に装着されたモー
タロータ12をステータコイル(図示せず)にて10000rpm
で高速駆動し、熱発生点を移動分散させることにより冷
却している。熱電子をターゲツト13に衝突させるためガ
ラス容器15で全体が覆われ、軸受支持部材11の一端と容
器15とが密封され内部は10-6torr以下の高真空に保たれ
ている。ターゲツト温度は1200℃にも達し、真空中であ
るため大部分の熱はふく射で容器15の外部へ放熱される
が一部はモータロータ12の軸部、並びに軸9を伝わり、
その結果軸受は耐熱許容温度の500℃まで加熱される。
また、回転側の内輪1と静止側の外輪2の間には100〜2
00degの温度差が生じるため、軸受すきまをあらかじめ4
0〜80μmと大きくして熱膨張量の相違に対処してい
る。このように軸受は真空、高温におかれているため潤
滑油は一切使えず、二硫化モリブデン(MoS2),銀(A
g),鉛(Pb)等の固体で潤滑せざるを得ない。さら
に、10000rpmの高速で回転するため他の真空機器、例え
ば半導体製造装置、宇宙機器の回転部よりはるかに苛酷
な条件にある。これまでは、第13図,第14図に示す方法
で潤滑していたが、既述の如くそれぞれどうしても避け
られない問題があつた。本発明では供給リング4の材
質、供給バネ5のバネ力、及び予圧バネ10のバネ力を変
えることにより潤滑条件を広範囲に設定でき、また予圧
により常に軸受すきまを零に維持できるため、摩耗粉の
量が少なく、騒音,振動の小さい長寿命なX線管が得ら
れる。
回転条件が苛酷な場合、例えば超高真空中で高速、ある
いは高荷重で、潤滑膜が形成される前にボールと内輪外
輪転道溝間に荒損が生じる恐れがある場合は、ボールあ
るいは転道溝の少なくともどちらか一方にあらかじめ薄
い固体潤滑膜を被覆しておくとより信頼性が向上する。
第11図、及び第12図は本発明のさらに他の実施例を示
す。本実施例においては供給バネ5を形状記憶合金で構
成している。軸受が収められる軸受箱11の外側にはヒー
タ20が設けられている。本図の実施例において、ヒータ
20が加熱されて供給バネ5の形状記憶効果により、第12
図の如くバネが収縮すると供給リング4はボール3から
離れ、供給作用は停止する。そのため、固体潤滑剤の供
給が間欠的となり、必要不可欠な量の潤滑剤のみを供給
することが可能となり余分な摩耗粉の発生を防止でき
る。そのため、極端に塵埃を嫌う回転装置に適する。ま
た、本実施例では摩擦トルクを外部から自在に変えるこ
とも可能である。転がり軸受のトルクは数種類の要因か
ら発生するが、供給リング4がボール3を押し付ける
と、押し付け力に応じたすべり摩擦が発生し、その分軸
受トルクは増大する。その結果、回転体にブレーキをか
けながら固体潤滑剤の供給が可能となる。
回転体のブレーキは電磁力でかけることが多い。この電
磁ブレーキはトルクを大きくすると発熱量が多くなり、
モータロータやステータコイルを昇温させ、運転に支障
をきたすこともあるが、本発明によれば機械的に効率よ
くブレーキをかけることができる。逆に、起動時には固
体潤滑剤供給リングをボールから離しておけば、従来と
同じ最小のトルクで起動することができる。
本実施例では説明の便宜上、軸受箱11の外側に加熱用ヒ
ータを設けたが、回転装置そのものが加熱され昇温する
場合、例えば第10図のX線管等では雰囲気温度の変化を
利用して供給バネ4の伸縮を行うことが可能である。そ
のため使用上限温度に供給バネ4の形状記憶効果の動作
温度を設定し、上限温度以上でバネが伸びるようにすれ
ば、高温で潤滑剤が特に必要な場合に効果的に供給する
と共に、ブレーキをかけ上限温度に達したことを通報す
る役目を果たす。
本発明は軸受材質をセラミツクスとした場合にも効果が
ある。セラミツクスは高温での機械的強度に優れている
が、潤滑は必要とする。ところが、潤滑油の使用上限温
度は最高300℃であり、それ以上の高温での使用に際し
ては固体潤滑が有望である。しかし、従来の固体潤滑法
では既述の問題があつた。本発明では高温での苛酷な使
用に適する固体潤滑セラミツク軸受も提供できる。
〔発明の効果〕
本発明によれば、内輪か外輪のどちらか静止側のかたに
接触、案内された固体潤滑剤供給リングを転動体に押し
つけてすべり摩擦により必要かつ十分な量の潤滑剤を供
給し、転動体の自転とスピン運動により薄く滑らかな潤
滑膜を回転しながら供給できるので、寿命が長く、かつ
安定に動作し、さらに振動、騒音の小さい固体潤滑転が
り軸受を提供できる。また、固体潤滑剤供給リングは上
記の如く静止しており、内輪か外輪に接触、案内されて
いるので、固体潤滑剤供給リングの回転による振動が防
止できるとともに、固体潤滑剤供給リングと転動体との
摩擦熱による昇温も防ぐことができる。また、固体潤滑
剤供給リングの転動体への押しつけ、引き離しが可能な
ので、転がり軸受のトルクを変えることができ、摩耗粉
の発生を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示す断面図、第2図は玉軸
受のスピン運動を説明する断面図、第3図は本発明の固
体潤滑機構を説明する断面図、第4図から第9図は予圧
構造における本発明の実施例を示す断面図と説明図、第
10図は医療診断用回転陽極X線管への適用実施例を示す
断面図、第11図及び第12図は本発明の他の実施例を示す
断面図、第13図並びに第14図は従来の固体潤滑転がり軸
受を示す断面図。 1…内輪、2…外輪、3…ボール、4…固体潤滑剤供給
リング、5…供給バネ、6…段付スリーブ、10…予圧バ
ネ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−42828(JP,A) 特開 昭58−42820(JP,A) 特公 昭36−12503(JP,B1)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内輪、外輪、及び複数個の転動体から成
    り、転動体と内輪、外輪とが接触角をもつアンギュラ型
    転がり軸受において、内輪と外輪の間にそう入された潤
    滑性を有するリング状の固体を、内輪又は外輪のかたに
    接触、案内させて転動体に押しつけ摩擦させて潤滑する
    ことを特徴とする固体潤滑転がり軸受。
  2. 【請求項2】前記転がり軸受において、前記リング状の
    固体は間欠的に転動体に押しつけ摩擦させて潤滑するこ
    とを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の固体潤滑転
    がり軸受。
  3. 【請求項3】前記転がり軸受において、内輪側、あるい
    は外輪側の少なくとも一方に予圧をかけ、前記リングの
    固体を転動体に押しつける力は予圧力より小さいことを
    特徴とする特許請求の範囲第1項及び第2項記載の固体
    潤滑転がり軸受。
  4. 【請求項4】前記転がり軸受において、複数個の転動体
    は半数が直径が小さく荷重を負荷しないことを特徴とす
    る特許請求の範囲第1項,第2項,並びに第3項記載の
    固体潤滑転がり軸受。
  5. 【請求項5】前記転がり軸受において、内輪と外輪ある
    いはまたは転動体に固体潤滑膜をあらかじめ被覆してお
    くことを特徴とする特許請求の範囲第1項から第4項記
    載の固体潤滑転がり軸受。
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