JPH0765508B2 - エンジン冷却ファン用囲い装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の分野］ 本発明は囲い付きのエンジン冷却ファンに関し、一層詳
しくは、広いファン稼働点範囲にわたってファン放出空
気のファン入口への再循環を阻止し、ファン効率を改善
すると共にファン発生源騒音を低減するように作動する
新規で改良された相対回転可能な囲い装置を有する多ブ
レード式冷却ファンに関する。

［関連技術の説明］ エンジン冷却のための種々のファン・デザインにおい
て、高い効率でかつ過剰な騒音を発生させることなくフ
ァンに空気を移動させることを意図して特殊の固定、回
転可能の囲い装置が利用されている。そのなかに、エン
ジン熱放散用ラジエータに固定した固定シュラウドとこ
の固定シュラウド内で作動するファン・ブレードの先端
に固定した回転可能シュラウドとを有する囲い装置があ
る。米国特許第4,329,946号（ここに参考資料として援
用する）では、回転可能シュラウドを備えたファンが固
定シュラウドによって囲まれており、これら両シュラウ
ド間に生じる再循環空気流路を効果的に閉塞するように
している。

［発明が解決しようとする課題］ しかしながら、この閉塞は狭いファン稼働点範囲内で効
果的であるが、回転可能ファンの吐出側で生じ、ファン
放出空気が回転、固定両シュラウド間の環状間隙路を閉
鎖することになる。ファンの稼働点は空気流量対圧力上
昇の比として定義される。この従来の構造は効率の良
い、静かな空気移動を与えるが、ファン稼働点に対して
非常に敏感であり、非常に狭いファン稼働点範囲から外
れた点での効率はかなり低下する。これは、空気閉塞効
果が低下し、かなりの量の空気がファン入口に再循環
し、ファン騒音が高まると共に空気移動効率が低下する
からである。

［発明の概要］ ［課題を解決するための手段］ 本発明においては、ベルマウス形の回転リング状シュラ
ウドがエンジン冷却ファンのブレードの先端に固定して
あり、好ましくは、このシュラウドはそれと協働する固
定シュラウド内に全体的に設置する。これらのシュラウ
ドはそれらの間の環状間隙流路内のほぼドーナッツ形室
内の圧力差と捕えられた空気流とを使用して空気のうず
を発生させる対面形態を有する。

［作用］ このうずはシールとして作用し、ファンの高圧側から低
圧側へ再循環する空気の大部分を阻止するようになって
いる。この新規で改良された再循環閉塞作用によれば、
ファンは空気を再循環させないのでファン効率および騒
音低下を最適な状態にする。本発明はほぼすべてのファ
ン稼働点にわたって有効であり、特に、ファンが円筒形
エゼクタ内に収容されていて付加的な空気シールが固定
シュラウドと回転シュラウドからなる囲い装置の放出端
に形成されるときに有効である。この二重シール配置で
は、うずの前方シールが後方シールをバイパスする空気
の再循環を阻止するので、後方シールが有効であるファ
ンの稼働点において再循環空気流が最適状態で阻止され
る。後方シールの効果が減るかあるいは下限界にある他
のファン稼働点では、うずシールは非常に効果的なシー
ルを与え続ける。本発明の好ましい実施例では、うず室
内で発生した空気のうずは局部的な高圧領域として作用
し、これが回転シュラウドのベルマウス形入口の周縁に
隣接した再循環空気流の通路を阻止して常時前方シール
を与える。この常時前方シールはうずシール室内への空
気の前方入口も閉塞し、ラジエータを通って固定シュラ
ウド内へ流入する空気を大量に回転リング状シュラウド
の入口に送るようになっている。

［好ましい実施例の説明］ 添付図面を参照して、第１図には、ラジエータ10が示し
てあり、このラジエータ10は、その中を循環する冷却剤
を冷却するために、乗物のエンジン室内に作動状態で装
着されるようになっている。ラジエータは上下の支持体
12、14に取り付けてあり、これらの支持体は本発明によ
る囲い式エンジン冷却ファン組立体15のための支持構造
としても作用する。この組立体は適当な合成プラスチッ
ク材料で成形したシェル状の外側シュラウド16を包含
し、これは第１図に示すようにＬ−Ｌ線間に良好なラジ
エータ・カバーを与える前方に延びた周壁20によって画
成された角形の面プレート18を有する。この周壁20から
それぞれ上下方向に延びる取り付け耳部22、24が外側シ
ュラウド16、従って、ファン組立体15を支持体12、14に
取り付ける手段となっており、これらの耳のうち耳24は
下方支持体14にある側方に間隔を置いたスロット26（図
には１つだけ示す）内に挿入され、上方耳22は上方支持
体12に螺合させた止め具30を受け入れる。面プレート18
は平らな内面32を有し、この内面はラジエータに向いて
おり、周壁20から内方に二重段付きの後方に延びる円筒
形のエゼクタ34まで延びている。第２図はこのエゼクタ
34の一部の断面を示している。エゼクタ34は面プレート
18と一体でそこから後方へ延びる大径のほぼ円筒形の部
分36と、この大径部分36から環状末端40まで続く縮径の
ほぼ円筒形のエゼクタ部分38とを有する。この円筒形の
縮径エゼクタ部分38は固定ファン・シュラウド16の放出
端を構成する。

円筒形エゼクタ34の大径部分36は多ブレード式冷却ファ
ン48のブレード47の先端に取り付けた回転可能なシュラ
ウド46の入口となる外方へ広がったベルマウス44を収容
している。ファン48は電動機52の出力軸によってシュラ
ウド16内に回転自在に支持されている。この電動機は支
持カラー54と３本あるいはそれ以上のスポーク56によっ
て固定シュラウド16内の中央に支持されている。スポー
ク56は半径方向に延びていて外側シュラウド16の縮径段
部38から軸線方向に突出している３つまたはそれ以上の
円弧状に隔たった耳58が取り付けてある。第２図に最も
良く示すように、回転シュラウド46のベルマウス44はそ
の入口側に環状の前面60を有し、これは滑らかであり、
外側シュラウド16の前面32とほぼ同一平面にあって固定
外側シュラウドから回転シュラウド内への空気の流れを
高めるようになっている。この形態では、後述する前方
空気シールがあるならば、空気流がなんら影響のある乱
れを誘起することはなく、ずっとそのままである。この
前面から、ベルマウス44は内向き後方へ円弧状に延びて
円筒形のスカート64となる。このスカート64は第２図に
示すように固定シュラウド16の末端40の内側にある放出
末端68を有する。回転シュラウドの直径はその全長にわ
たって固定シュラウド16の直径よりも小さくなってお
り、間に環状の間隙通路70を形成している。この間隙通
路70を通して、通常は、放出空気が再循環する傾向があ
る。半径方向に延びるファン・ブレード47は中央駆動ハ
ブ72から延びていて回転シュラウドの円筒形スカート64
と連結している。したがって、このシュラウドはファン
と一緒に回転する。この構造によれば、或る作動速度で
電動機によって駆動されるファンから放出された空気は
かなりの半径方向成分（ここでは、矢印Ａで概略的に示
してある）を有し、これはファンの放出側で間隙通路70
を部分的に閉塞する。この再循環空気の閉塞で空気の再
循環量が減るために、ファンは空気をより高い効率で移
動させることができる。また、米国特許第4,329,946号
により詳しく指摘されているように、ベルマウスに戻る
空気に再循環量が減ると共に再循環で生じる乱流も減少
するので、ファンの作動時に生じる騒音も低減する。重
要なのは、本発明では、突出するエゼクタ部分38と回転
シュラウド46とによって与えられる限られた閉塞範囲を
かなり広げる広範囲のファン稼働点にわたって再循環空
気の流れをさらに禁じる前方空気ブロックを形成するよ
うにシュラウド構造がなっているということである。

第２図に最も良く示すように、回転シュラウド46のベル
マウスと固定シュラウド16の大径部分36の間にうず室78
が形成してある。このほぼドーナッツ形のうず室78は、
基本的には、回転シュラウド46のベルマウス44の凹湾曲
の外壁面80と外側シュラウド16の大径部分の凹湾曲内壁
面82とで構成されている。このうず室78はベルマウス44
の外周縁88と固定外側シュラウド16の内壁面89との間の
環状間隙で構成された前方絞り入口84を有する。うず室
78の後方絞り間隙90が外側シュラウド16の大径部分36の
内面に形成した三角形横断面の環状絞り部94の先端92で
構成されている。この構造によれば、空気のうず96は、
うず室78の回転シュラウド側80に衝突する再循環空気流
の作用と、ラジエータ10を通り、固定シュラウド16内に
流入する空気の作用とによって発生する。こうしてでき
たうず96は高圧空気のリングとして作用し、再循環空気
流路を閉塞し、ファンが放出空気を再循環させることが
なくなり、ファン効率と流れ分布を改善することにな
る。重要なのは、本発明においては、このうず閉塞体が
ファン稼働点のほぼ全体にわたって再循環空気の流れを
妨げ、固定シュラウド16内に回転シュラウド46を設置す
ることによって生じる閉塞作用の限界を越えた閉塞作用
を与えるということである。再循環空気経路を閉塞する
ことに加えて、空気うず96は前方環状入口84も閉塞し、
ラジエータ10を通って固定シュラウド16に入ろうとする
空気を、矢印Ｂで概略的に示すようにエゼクラからベル
マウス44にそらすのである。

本発明の好ましい実施例を図示し、説明してきたが、当
業者には別の実施例も明らかであろう。たとえば、うず
シール室は入口90を環状の尖った先端92の代わりに丸い
縁によって構成してもよく、この場合、うずは広範囲の
ファン速度、稼働点にわたって再循環空気流を阻止する
ことができる。また、一体の回転リングシュラウドの代
わりにブレードの各々にリング状シュラウドのセグメン
トすなわち「ウィングレット」を取り付け、回転シュラ
ウド全体を構成するようにしてもよい。うずの生成、安
定性、うず圧力の大きさはうず室78内に小型の空気力学
装置を設けることによって高められる。これらの空気力
学装置は銃身の旋条に類似した筋をうず室の表面に形成
したものであってもよいし、うず室の壁面に小さいブレ
ードレットを形成したものであってもよい。

［効果］ 本発明のエンジン冷却ファン用囲い装置は、固定シュラ
ウドと回転シュラウドの間に形成されたうず室内に発生
する空気のうずにより、ファンの高圧側から低圧側への
空気の再循環を阻止することができるので、ほとんど全
てのファン稼働点においてファン駆動効率を増大しかつ
ファンが発生する騒音を低減することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による囲い装置を有する乗物用エンジン
冷却ファンと、エンジン冷却剤が循環するラジエータと
を示す展開斜視図である。 第２図は第１図の２−２線に沿った横断面図であり、本
発明の好ましい実施例を示す図である。 〔主要部分の符号の説明〕 10……ラジエータ、 12、14……支持体、 15……ファン組立体、 16……外側固定シュラウド、 18……面プレート、 22、24……取り付け耳、 34……円筒形エゼクタ、 36……円筒形大径部分、 38……円筒形縮径エゼクタ部分、 44……ベルマウス、 46……回転シュラウド、 47……ファン・ブレード、 48……ファン、 52……電動機、 60……環状前面、 68……放出末端、 70……間隙通路、 78……うず室、 84……前方絞り入口、 90……後方絞り入口、 94……環状絞り部、 96……うず

フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−93927（ＪＰ，Ａ) 実開 昭56−162469（ＪＰ，Ｕ)

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】エンジン冷却剤が循環するラジエータ（1
   0）に隣接して作動状態で装着されるエンジン冷却ファ
   ンのためのエンジン冷却ファン用囲い装置であって、 前記エンジン冷却ファンは、中央に配置されたハブと前
   記ハブから半径方向に先端部分まで延在している複数枚
   のファン・ブレード（47）とを有する回転ファン（48）
   からなり、 前記エンジン冷却ファン用囲い装置は、前記ラジエータ
   （10）に対して固定される固定シュラウド（16）と、前
   記回転ファン（48）上に設けられた回転シュラウド（4
   6）とからなり、 前記固定シュラウド（16）は、前面部（18）と、前記前
   面部（18）から後方へ延在するほぼ円筒形状の大径部分
   （36）とを有しており、更に、前記固定シュラウド（1
   6）を貫く段付き直径の円筒形状開口（38）を形成する
   ために前記大径部分（36）から後方へ延在するほぼ円筒
   形状の縮小径エゼクタ部分（34）を有しており、前記円
   筒形状開口（38）内で前記回転ファン（48）が作動する
   ように前記回転ファンを作動できるように取り付ける支
   持手段（54、56、58）が設けられており、 前記回転シュラウド（46）は、前記固定シュラウド（1
   6）の前記大径部分（36）内に配置されたベルマウス形
   入口部分（44）と、前記ベルマウス形入口部分（44）か
   ら後方へ延在する小径スカート部分（64）とを有してお
   り、前記小径スカート部分（64）が前記ファン・ブレー
   ド（47）の先端部分に固定されかつ放出端部（68）にお
   いて終端しているエンジン冷却ファン用囲い装置におい
   て、 前記ベルマウス形入口部分（44）のくぼんだ湾曲壁面
   （80）と前記固定シュラウド（16）の前記大径部分（3
   6）のくぼんだ湾曲壁面（82）とが協働して構成された
   環状のうず室（78）を含んでおり、 前記固定シュラウド（16）と前記回転シュラウド（46）
   とによって前記うず室（78）の内外へ通じる前後の絞り
   開口（84、90）が構成されており、 前記うず室（78）は、前記回転ファン（48）の回転及び
   前記回転ファン（48）を通る空気の動きに応じて前記う
   ず室（78）内に形成される空気のうず（96）を含むよう
   に構成されており、 前記うず室（78）は、更に、前記回転シュラウド（46）
   の前記放出端部（68）から前記回転シュラウド（46）の
   前記ベルマウス形入口部分（44）への再循環空気流を阻
   止する高圧帯域を形成しており、 それによって、前記空気のうず（96）及び前記高圧帯域
   がファン駆動効率を高めると共にファンが発生する騒音
   を低減することを特徴とするエンジン冷却ファン用囲い
   装置。
2. 【請求項２】前記回転シュラウド（46）は、完全に前記
   固定シュラウド（16）内に配置されており、空気シール
   が前記回転シュラウド（46）の前記小径スカート部分
   （64）と前記固定シュラウド（16）の前記縮小径エゼク
   タ部分（34）との間に形成されていることを特徴とする
   請求項１に記載のエンジン冷却ファン用囲い装置。
3. 【請求項３】前記ファン・ブレード（47）の先端部分に
   固定されている前記小径スカート部分（64）は、前記固
   定シュラウド（16）の円筒形状の前記縮小径エゼクタ部
   分（34）内に配置されていることを特徴とする請求項１
   に記載のエンジン冷却ファン用囲い装置。
4. 【請求項４】前記うず室は、前記ベルマウス形入口部分
   （44）の外側表面（80）と前記固定シュラウド（16）の
   内側表面（82）との間に位置する独立したほぼドーナッ
   ツ形の室（78）であることを特徴とする請求項１又は２
   に記載のエンジン冷却ファン用囲い装置。
5. 【請求項５】前記前絞り開口は、前記ベルマウス形入口
   部分（44）の周縁（88）と前記固定シュラウド（16）の
   隣接した内壁面（89）との間の第１環状入口（84）であ
   り、前記後絞り開口は、前記小径スカート部分（64）と
   前記固定シュラウド（16）の環状くびれ部（94）との間
   の軸方向に延在する再循環流路によって前記うず室（7
   8）に連通して形成された第２環状入口（90）であるこ
   とを特徴とする請求項４に記載のエンジン冷却ファン用
   囲い装置。