JPH0765179B2 - 化学的気相成長方法 - Google Patents

化学的気相成長方法

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JPH0765179B2
JPH0765179B2 JP62118147A JP11814787A JPH0765179B2 JP H0765179 B2 JPH0765179 B2 JP H0765179B2 JP 62118147 A JP62118147 A JP 62118147A JP 11814787 A JP11814787 A JP 11814787A JP H0765179 B2 JPH0765179 B2 JP H0765179B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、薄膜を形成する化学的気相成長方法に関する
ものである。
〔従来の技術〕
化学的気相成長(以下「CVD」という)は、化学反応を
用いて基板上に薄膜を堆積するもので、蒸着やスパッタ
と並ぶよく知られた薄膜形成法の1つである。時に、半
導体集積回路装置の製造プロセスにおいては、シリコン
酸化膜や多結晶シリコン薄膜の形成用として広く用いら
れている。CVDは、加熱方式やガス圧力、化学反応の形
式等によって、様々な種類に分類される。例えば、堆積
基板のみを加熱するコールドウォール型に対して反応炉
全体を加熱するホットウォール型、また大気圧下で反応
させる常圧CVDに対して減圧下で反応させる減圧CVD、更
に化学反応の形式に熱を用いた通常のCVD以外にプラズ
マCVDや光CVD等が一般に知られている。
薄膜形成手段としてのCVDの特徴は、凹凸のある基板上
において段差被覆性の優れた薄膜を形成できることや、
薄膜の組成比を自由に制御できること、基板に汚染や損
傷のない状態で薄膜を形成できることなどが挙げられ
る。
一方、蒸着やスパッタと比較してCVDにもいくつかの欠
点がある。CVDの第1の欠点として、薄膜堆積基板の温
度がガスの反応温度によって制限されてしまい、基板温
度を自由に変えることができない点が挙げられる。この
ために、CVD特に熱を用いた通常のCVDにおいて様々な問
題が生ずる。
CVDの場合、原料ガスの化学反応によって十分な速度で
堆積が進行する温度が、必ずしも薄膜の結晶成長に最も
適した温度であるとは限らない。一般にCVDにおける原
料ガスの反応温度は、蒸着やスパッタ等の他の形成法に
おける基板温度と比較してかなり高いのが普通である。
半導体集積回路の製造プロセスにおいて高い基板温度で
薄膜を堆積すると、堆積膜自身や堆積基板での拡散や反
応が進行し、素子特性の重大な劣化を引き起こす場合が
しばしばある。
また、熱CVDでは、基板の表面材質の差異を利用した選
択成長、すなわち基板表面の特定の材質のパターン上に
のみ薄膜を堆積し、他の材質の上には薄膜を堆積させな
いようにすることが可能となる場合があるが、基板温度
が高くなると、後に述べる理由により選択性が低下し、
良好に選択成長できなくなる傾向がある。
更に、反応温度が大きく異なるガス例えばトリイソブチ
ルアルミニウムガスとシランガスなどの2つ以上の原料
ガスを用いてアルミニウムとシリコンの合金膜を堆積す
るような場合においては、これまでの通常の熱CVDでは
堆積膜の表面が平滑になる反応温度でアルミニウム中に
シリコンを混入させることが困難である。
このような問題を防ぐ方法の1つとして、プラズマや光
等の熱以外のエネルギーを用いて反応を促進させようと
するプラズマCVD法や光CVD法が注目されてきている。こ
れらのCVD法では、基板温度を蒸着やスパッタなどの他
の形成法に近い温度にまで下げることが可能となるが、
膜質が低下したり損傷が発生したりすることから、CVD
法の多くの特徴が犠牲となる。また、前述の選択成長
は、選択性のメカニズムとして膜堆積における熱的なエ
ネルギーの差のみを用いているため、プラズマ等の他の
エネルギーを用いた場合にはこれらの選択成長は困難に
なる。
CVDの第2の欠点として、表面の凹凸が大きくなり易い
ことが挙げられる。これは熱CVDにおいて、特に金属の
ような結晶性の薄膜を堆積するときに問題となるもので
あり、凹凸の程度は、一般に、薄膜材料の表面自由エネ
ルギーが大きく基板温度が高いほど大きくなる傾向にな
る。このことはボルマ(Volmer)らの表面自由エネルギ
ー模型を用いた核成長理論によれば次のように説明され
る。なお、参照文献としては、「コンデンセイション
アンド エバポレイション(マクミラン社発行)」(J.
P.Hirth and G.M.Pound:Condensation and Evaporation
(Macmillan,New York,1963)がある。
基板上に到達した原子は、衝突や再蒸発を繰り返す中
で、ある程度以上の個数の原子が結合したクラスタと呼
ばれる集合体になる。1つのクラスタの全自由エネルギ
ーGは、気体からの凝縮の際の自由エネルギーの変化と
形成されたクラスタの表面自由エネルギーとの和であ
り、次式のように表わされる。
G=(σ・4πr2+gv・4πr3/3)・f(θ)……(1) ここで、r:クラスタの曲率半径 θ:クラスタの基板に対する接触角 f(θ)=(2−3cosθ+cos3θ)/4:クラスタの体積
因子 σ0:気相とクラスタの間の単位面積当たりの表面自由エ
ネルギー gv:気相から液相に変わる際の単位体積当たりの自由エ
ネルギー変化で、常に負となる。過飽和の蒸気の生成の
場合、平衡状態での蒸気圧をpe、実際の蒸気圧をp、蒸
発原子の体積をΩ、ボルツマン定数をk、絶対温度をT
とすると、gv=−(kT/Ω)1n(p/pe)と表わされる。
ここで、p/peは過飽和度である。
Gの最大値を与えるrをrとおくと、dG/dr=0とす
ることにより、 r=−2σ0/gv ……(2) G=(16πσ0 3/3gv 2)・f(θ) ……(3) が得られる。従って、半径がrより大きければ、成長
するに従ってGが小さくなるので、平均として成長し続
け、逆に、半径がrより小さければ、平均として消滅
する。このrの値を臨界半径、r=rのクラスタを
臨界核といい、臨界核より大きな核を安定核という。G
は安定核を生成するために必要な活性化エネルギーと
みなすことができる。また、基板上に形成される臨界核
の数密度nは、単位面積当たりの吸着位置の数をn0
すると、ボルツマンの式から、 n=n0exp(−G/kT) ……(4) で与えられる。
式(2)、(3)、(4)から明らかなように、薄膜材
料の表面エネルギーσが大きいほど、またクラスタ生
成の際の体積エネルギー変化|gv|が小さいほど、臨界半
径rは大きくなり、また臨界核の数密度nは小さく
なる。臨界核の数密度nは薄膜材料の表面エネルギー
や過飽和度以外に接触角θにも影響される。基板材料の
表面自由エネルギーが小さく薄膜材料の表面自由エネル
ギーが大きい場合には、θすなわちf(θ)が大きくな
り、臨界核の数密度nは小さくなる。このようにし
て、基板上に確率的に発生した臨界核は安定核として成
長し続け、やがてこれらの核同士が合体して薄膜が形成
される。従って、形成された薄膜表面の凹凸に着目した
場合、基板上に最初に発生する安定核の密度が小さい
と、合体するときの核の半径は大きくなり、結果的に薄
膜表面の凹凸は大きくなるといえる。
以上の議論をまとめると、表面自由エネルギーの小さな
基板上に表面自由エネルギーの大きな薄膜材料を過飽和
度小さい状態で堆積すると、大きな核がまばらに発生し
薄膜表面の凹凸は大きくなる。表面自由エネルギーは、
一般的な傾向として、酸化物のような絶縁体では小さ
く、アルミニウムのような金属やシリコン等で大きくな
る。従って、絶縁体基板の上に金属薄膜を形成するよう
な場合にこの傾向は最も顕著になる。通常の蒸着やスパ
ッタにおいては、過飽和度が1010〜1020と極めて大きい
ため、臨界半径は数Å以下と小さく、また臨界核の密度
も吸着位置の数にほぼ一致する程度に大きい。従って、
これらの堆積法では薄膜表面の凹凸は十分小さく通常問
題とならない。ところが、CVDの場合には、過飽和度が
それほど大きくないと言われており(参考文献:ソリッ
ドステート サイエンス アンド テクノロジー 127
(1980)194.、W.A.P.Claassen and J.Bloem:J.Electro
chem.Soc.:Solid−St.Sci.& Tech.127(1980)19
4.)、臨界核の数密度は表面の凹凸に影響する程度にま
で減少する。
実際上、金属薄膜のCVDにおいては多くの場合に表面の
凹凸が具体的な問題となっている。例えば、高融点金属
であるモリブデンやタングステンを蒸着やスパッタで形
成した場合には、数百Å程度の小さな結晶粒径をもち表
面が平滑な薄膜になり易いのに対し、CVDを用いた場合
には粒径が1000Å以上の石垣状の結晶粒となって表面に
大きな凹凸が形成される。これは、これらの金属薄膜の
蒸着やスパッタにおける基板温度が通常300〜400℃であ
るのに対し、CVDでは原料ガスの分解温度である500〜60
0℃以上の高い基板温度が必要となって結晶成長し易く
なることの他に、CVDにおける小さな過飽和に起因する
疎な臨界核の数密度が主な要因になっていると考えられ
る。
CVDで形成されたアルミニウム薄膜においては、表面の
凹凸は特に重大な問題となっており、基板温度は250〜3
00℃と蒸着等と比較してそれほど高くないにもかかわら
ず、膜厚の1割程度の凹凸があり、このために実用に至
っていない状況である。この場合にも、表面凹凸の原因
は核成長過程に基づいて説明されている。これの参考文
献としては、例えば「ソリッドステート サイエンス
アンド テクノロジー 131(1984)2175 R.A.Revy,M.
L.Green and P.K.Gallagher:J.Electrochem.Soc.:Solid
−st.Sci.& Tech.131(1984)2175」がある。CVDで形
成された代表的なアルミニウムの金属組織の写真を第12
図に示す。結晶粒による凹凸があり、結晶粒の境界の一
部に隙間が見られる。
薄膜表面に大きな凹凸があると、写真食刻技術を用いて
微細なパターンを精度よく形成することが困難となるほ
か、電気抵抗等の薄膜特性のばらつきの原因となる。更
に、この薄膜の上に他の薄膜を堆積して多層構造を形成
する場合にも、凹凸部において部分的な膜厚ばらつきが
生じ、理想的な多層構造が得られなくなる。この結果、
半導体集積回路等の構成材料として用いる場合に大きな
障害となる。半導体集積回路は、高速化・大容量化に伴
って益々微細化・高精度化が要求されており、サブミク
ロンデバイス、ナノメータデバイスでは、このような薄
膜の凹凸の低減が最も重要な課題となってくる。
以上の問題をまとめると、従来のCVDでは、 (1)表面凹凸の小さい平滑な薄膜、特に金属薄膜を形
成することは極めて困難である。
(2)また、薄膜堆積時に基板温度が高いため、薄膜の
選択成長が困難であり、しかも膜堆積時における基板と
堆積膜の物理的・化学的状態変化による半導体素子の劣
化や故障を避け難い。
(3)さらに、反応温度の異なる例えばトリイソブチル
アルミニウムガスとシランガスなどの2つ以上の原料ガ
スを用いて、アルミニウムの表面が平滑になる反応温度
でアルミニウム中にシリコンを混入させることが不可能
である。
本願発明者らは以上に述べた従来のCVDの問題点をほぼ
解決する新しいCVD法を発明し、既に特許出願(特公平
4−14188号公報参照)を行なった。これは、加熱ブロ
ックに基板の被堆積面を近接して対向させ、原料ガスを
上記加熱ブロックと上記基板の被堆積面との間に導入す
ることにより、上記基板の被堆積面に薄膜を堆積するも
のである。また、上記発明の化学的気相成長装置は上記
化学的気相成長法を実施するための装置であり、加熱ブ
ロックと、基板表面がこの加熱ブロックに近接して対向
するように基板を保持する基板ホルダとを堆積室内に備
えたものである。
上記発明の化学的気相成長法によれば、加熱ブロックに
よってまず原料ガスが加熱されて活性化され、分解しや
すい状態で低温の堆積基板上に到達し、この堆積基板表
面において膜堆積が進行する。すなわち、原料ガスの温
度が基板温度よりも常に高い状態で膜が堆積される。こ
のため、基板上の原料ガスは通常のCVDに比べてかなり
過飽和の状態となる。核成長理論によれば、クラスタ生
成の際の堆積エネルギー変化が大きくなり、(3),
(4)式からも明らかなように、安定核生成の活性化エ
ネルギーGは小さくなり、臨界核の数密度nは高く
なる。従って、核同士が合体する時の核の平均の半径が
小さくなって、凹凸の少ない平滑な膜が形成されること
になる。
このように、新CVD法の特徴の第1は平滑で良質な薄膜
が得られることにあるが、この他にも、従来のCVD法の
第2、第3の問題を低減できる長所を有する。即ち、ガ
スを加熱することにより堆積時の基板温度を低く押さえ
ても十分な速度で堆積が進行する場合があり、反応等に
よる膜自身や基板などの変質を低減できる。また、反応
温度の異なる2つの以上の原料ガスを用いるCVDにおい
ても、基板表面の近傍により高温の加熱ブロックが位置
しているため、高い分解温度を有するガスも反応が進行
し、これを基板上に堆積させることが可能となる。
〔発明が解決しようとする問題点〕
新CVD法は、以上のように多くの優れた特徴を有してい
る反面、実用装置としてみた場合、堆積条件の制御性の
点で劣る面がある。反応炉内に設置された加熱ブロック
と、この加熱ブロックに近接して対向した薄膜堆積基板
との配置関係を固定した状態で所定圧力を持った原料ガ
スを流して薄膜を堆積する上記CVDの場合、堆積基板と
加熱ブロックとの間のガスの温度分布と堆積基板の温度
とはいずれも加熱ブロックの温度のみで決められてしま
う。すなわち、ガス温度と基板温度とを独立に人為的に
制御することができない。しかも、堆積基板の裏面側す
なわち加熱ブロックに対向していない側の装置構造は明
確な定義付けが為されておらず、チャンバ壁等が任意の
位置に配置されることになる。このため、ウェハ温度が
チャンバ構造等によって装置毎に変わり、堆積条件を普
遍的に定めることが困難である。
〔問題点を解決するための手段〕
このような問題点を解決するために本発明は、薄膜を堆
積する堆積用基板の堆積面を第1の加熱ブロックに対向
するように、この堆積用基板を第1の加熱ブロックとこ
れに対向して配置された第2の加熱ブロックの間に保持
し、堆積室内のガス流速が堆積用基板近傍でのガス拡散
速度と同等以下となるように、第1と第2の加熱ブロッ
クの間に原料ガスを導入し、第1の加熱ブロックを第1
の温度に制御して堆積用基板表面上の原料ガスを加熱
し、第2のブロックを第1の温度と同等以下の第2の温
度に制御して堆積用基板裏面上の原料ガスを加熱するこ
とで、堆積用基板の堆積面に原料ガスの分解生成物を原
料とする薄膜を気相成長させるようにしたものである。
〔作用〕
本発明においては、例えば、薄膜堆積基板の比堆積面に
対面した加熱ブロックを高温に維持し、基板の裏側に対
面している加熱ブロックをより低温に保つ。基板の被堆
積面に対面した加熱ブロックによってまず原料ガスが高
温に加熱されて活性化され、分解し易い状態で低温の堆
積基板表面上に到達し、この堆積基板表面において膜が
堆積される。すなわち、原料ガスの温度が基板温度より
も常に高い状態で膜堆積が進行する。このために基板表
面における原料ガスの状態を高い過飽和にすることがで
き、平滑で良質な膜を堆積できるなどの特徴が得られ
る。さらに、本発明による装置においては、2つの加熱
ブロックを有するために、原料ガスの温度と基板温度と
を別々に所望の値に設定することが可能となり、堆積条
件の制御性が大幅に改善される。
〔実施例〕
まず、本発明の化学的気相成長方法を実現するための化
学的気相成長装置の1例を概略的に説明する。第1図は
CVD装置全体の構成を示す図であり、詳細部分、排気系
および制御系については省略してある。第1図におい
て、1は堆積室、2はウェハ出し入れ室、3は原料室、
4,5はバルブ、6は可変型バルブ、7は基板ホルダ、8
はウェハ基板、9はヒータ、10,14は加熱ブロック、11
は円筒管、12はオリフィス、13は撹拌モータ、15はトリ
イソブチルアルミニウムの液体である。
第1図の装置の真空室は大きく分けて堆積室1、ウェハ
出し入れ室2および原料室3の3室からなり、それぞれ
独立に真空排気される。到達圧力はいずれの真空室も10
-6Torr程度の高真空が望ましいが、ロータリポンプのみ
を用いて排気された低真空であっても、本実施例に対し
ては基本的な影響はない。堆積室1は原料室3およびウ
ェハ出し入れ室2とそれぞれバルブ5,4を介して接続さ
れており、最大500℃まで加熱できる2つの加熱ブロッ
ク10および14が互いに近接して対向した状態で設置され
ている。基板ホルダ7は、ウェハ出し入れ室2から導入
された堆積用ウェハ基板8を加熱ブロック10,14と所定
の間隔を離して対向させて固定することができる。この
とき、ウェハの被堆積面は高温用加熱ブロック10に対面
している。
上記2つの加熱ブロック10,14と基板ホルダ7はいずれ
も移動機構を有し、2つの加熱ブロック同士の間隔をお
よびそれぞれの加熱ブロック10,14とウェハ基板8との
間隔D1,D2は自由に可変できるようになっている。D1,D2
の可変範囲はおおよそ2mmから30mmである。原料室3は
外壁にヒータ9が巻かれており、原料の液温を所定の温
度に加熱制御できる。また、原料室3には液温を均一に
保つための撹拌モータ13が設定されている。原料室3の
上方部側壁から水平に突出した円筒管11はバルブ5を介
して堆積室1内に導入されており、その広がった終端部
は加熱ブロック10に圧着されている。広がった円筒管11
の側面には微細なオリフィス12が開けられており、堆積
室1が0.01Torr以下に減圧された状態においても、差動
排気により、円筒管11内部を原料室3に近い圧力に保つ
ことができる。原料室3から堆積室1に至る原料ガスの
経路は、一旦気化した原料が再び液化しないように、原
料室3と同程度の温度に加熱される構造となっている。
第1図に示す装置構成例は、基本的構成に関するもので
ある。これに対し第2図は、より具体的な量産用装置を
示すもので、第2図(a)は概略平面図、第2図(b)
は構成図である。
第2図(a),(b)において、21は主チャンバ、22〜
24は反応炉、25はロードロック室、26は回転円板、27は
モータ、28はウェハ保持板、29はリング板、30は下部ド
ーム、31は真空隔壁、32は真空ポンプ、33はバルブ、34
はリークバルブ、35は上部マッチングボックス、36は下
部マッチングボックス、37はバネ、38は上部ドーム、9a
はヒータ、TCは熱電対等の温度検出器である。なお、第
2図において第1図と同一部分又は相当部分には同一符
号が付してある。
第2図(a)の平面的なブロック図に示すように、円筒
形の主チャンバ21内に3つの反応炉22,23,24と1つのロ
ードロック室25を有し、これら4つの副チャンバは、堆
積およびエッチング動作時には主チャンバ21から真空分
離または差動排気される。
第2図(b)に示すように、主チャンバ21内には1つの
大きな回転円板26が保持されており、モータ27で駆動さ
れた回転円板26の回転によりウェハが4枚同時に搬送さ
れる。ウェハ搬送時には主、副すべてのチャンバ21〜25
が一時的に真空接続されて高真空となる。回転円板26は
第2図では水平型となっているが、垂直面上で回転する
垂直型であってもよい。反応炉のメンテナンスの点では
垂直型の方が優れている。
薄膜を堆積しようとするウェハ基板8は、被堆積面を下
に向けた状態でウェハ出し入れ室2内の基板ホルダ7に
設置する。設置は、リング板29をシリンダにより固定し
た状態でウェハ保持板28を上方に移動させることによ
り、上方から行なう。大気中と真空中との間のウェハ移
送の方式には様々な種類があり何れを用いても構わない
が、例えば、第2図(b)に示すように、基板ホルダ7
の周囲を二重のOリングで圧着することによって大気と
真空とを分離する方式を用いることができる。すなわ
ち、真空または静電チャック等を利用してウェハ基板8
を保持するウェハ保持板28と、これと連携して又は個別
に上下移動するリング板29とを用いて基板ホルダ7の周
囲を真空隔壁31に圧着することにより、主チャンバ21と
ウェハ出し入れ室2とが分離される。圧着した状態で真
空ポンプ32とバルブ33とを動作させてウェハ出し入れ室
2内を減圧した後、ウェハ保持板28とリング板29とを連
携して上方に移動させることによって、ウェハ出し入れ
室2と主チャンバ21とが真空接続され、同時に基板ホル
ダ7と回転円板26とを接続しているバネ37が縮み、回転
円板26の回転が可能となる。
逆に、ウェハ基板8を主チャンバ21から大気中に取り出
す場合には、ウェハ保持板28とリング板29とを連携して
下方に移動することによって基板ホルダ7の周囲を圧着
して主チャンバ21とウェハ出し入れ室2とを分離した
後、リークバルブ34を開いてウェハ出し入れ室2を大気
圧にする。リング板29をそのまま固定した状態でウェハ
保持板28のみを上方に移動するとウェハ基板8を取り出
すことができる。
反応炉の動作モードを第3図に示す。第3図において第
2図と同一部分又は相当部分には同一符号が付してあ
る。第3図(a)に示すように、ウェハ基板8の搬送の
際には、バネ37を介して回転円板26に接続されている基
板ホルダ7は反応炉の圧着から解放され、自由に回転で
きるようになる。このとき、ウェハ基板8をはさむ2つ
の加熱ブロック10,14は既に所定温度に加熱されてい
る。ウェハ基板8が反応炉内に設置された後、(b)に
示すように、反応炉の上部のドーム38が基板ホルダ7の
周囲を圧着し、反応炉内部を主チャンバ21から真空分離
する。このとき、加熱ブロック14も移動し、ウェハ基板
8に接近する。引き続いて堆積前の表面クリーニングの
ために反応炉内にAr等のガスが導入されると共に上部の
マッチングボックス35によりウェハ基板8にRF(高周
波)が印加され、スパッタエッチングが行なわれる。次
に、ウェハ基板8をはさむ2つの加熱ブロック10,14が
移動し、(c)に示すように、ウェハ基板8に近接した
所定位置で停止する。この状態でトリイソブチルアルミ
ニウムガスを導入し、アルミニウムの選択成長を実施で
きる。
以上のモードの他に、第3図(d)に示すように、下部
のマッチングボックス36を用いて加熱ブロック10にRFを
印加できる構造とし、プラズマCVDも可能とする。ま
た、第3図(c),(d)の何れにおいても、原料ガス
を変えることによって、W,Ti,Cr,Si等のAl以外の金属も
堆積できる。
第2図,第3図の装置の具体的な使用例を表に示す。
穴埋め(3枚同時)は、3つの反応炉をすべてアルミニ
ウムの選択成長に用いるもので、3枚の基板上に同時に
堆積できるため、スループットを高くできる特徴を有
し、スルーホールの穴埋めやシリコンへのアルミニウム
張付け等に用いることができる。
全面堆積(2枚同時)は、反応炉3で金属非選択成長す
なわちTi・Si・W等の金属を全面に薄く堆積したのち、
反応炉23,24でアルミニウムの選択成長を行なうもので
ある。アルミニウムは全面に堆積されることになり、下
地金属をアルミニウムと基板Si等との間のバリアとして
用いることができる。上記全面堆積で、2枚同時でAl選
択成長を2回行なうこととしたのは、金属非選択成長の
時間がAl選択成長の時間より短いことを考慮したもので
ある。
2段堆積(1枚ずつ)は、上記2つの場合を組合せたも
ので、反応炉22でアルミニウムの選択成長を行なった
後、反応炉23で金属の非選択成長を行ない、最後に反応
炉24でアルミニウムの選択成長を行なう。これは、最初
の選択成長でスルーホールの穴埋めを行ない、次いでア
ルミニウムを全面堆積して平坦な表面形状を得るもので
ある。
以上の例の他に、上記反応炉24のアルミニウム堆積に続
けて更に同一反応炉内で金属非選択成長を行なうなどの
バリエーションがある。堆積前の基板エッチングに関し
ては、ウェハ基板を反応炉内に移動した後、堆積直前に
実施できるようにする。反応炉22をエッチング専用室と
し、ここでエッチングした後、反応炉23,24にウェハを
搬送して堆積することも考えられるが、この場合、エッ
チング後堆積までの時間が長くならないように注意する
必要がある。
次に、この発明の1実施例として、かかるCVD装置を用
いてアルミニウムの選択成長を行なった例を第4図を用
いて説明する。CVDを行なうに先立って初めに、第4図
(a)に示すように、シリコン基板41の上にシリコン酸
化膜42を形成する。シリコン基板41はここではp型(10
0)5Ωcmのものを用いているが、面方位や比抵抗は他
のものを用いても本質的な差異はない。また、シリコン
酸化膜42は本実施例ではシリコンを熱酸化して形成した
が、他の形成法、例えば、気相成長法やスパッタ法で堆
積したものでも良い。更にリンやボロンを添加したシリ
コン酸化膜あるいはシリコン窒化膜等の他の材料であっ
てもいわゆる絶縁性の薄膜であれば効果に基本的な差異
はない。
次に、第4図(b)に示すように、公知のホトリソグラ
フィ技術を用いたレジストマスクパターン形成とエッチ
ング技術を用いてスルーホール43を形成する。この工程
におけるリソグラフィ技術やシリコン酸化膜42のエッチ
ング技術にはいくつかの方法が知られており、どのよう
な方法を用いても良いが、シリコン酸化膜42のエッチン
グにガスプラズマを用いたいわゆるドライエッチングを
行なった場合には開口したシリコン表面に、観察するの
に困難な極めて僅かの重合膜や変質膜が形成されること
がある。このような僅かの表面状態の変化が後のアルミ
ニウム堆積工程で大きな影響を及ぼすので十分な配慮が
必要である。また、ドライエッチングでなく通常の緩衝
弗酸液によるウエットエッチングを用いて清浄なシリコ
ン表面を得た場合にも、エッチングマスクとして用いた
レジストパターンを除去する工程や単純な時間経過等に
よってシリコン表面に薄い自然酸化膜や他の汚染が発生
する。第4図(b)に示す自然酸化膜44は、以上に述べ
た自然酸化膜や変質汚染層を総称したものである。
このような自然酸化膜層44を除去するために、第4図
(c)に示すように、アルミニウム堆積直前にシリコン
表面清浄化のための前処理が必要である。本工程の主た
る目的は、シリコン表面に形成された自然酸化膜層44を
除去し、次工程の選択的なアルミニウム堆積の再現性を
確保すると同時に、連続かつ平滑で良質なアルミニウム
膜を得ることにある。通常の前処理は、例えば1.5%の
希弗酸水溶液中に10秒から数分程度浸漬してシリコン酸
化膜を軽くエッチングすることによってシリコン開口部
に疏水性を確認した後、数分から十数分間純水で洗浄し
て乾燥するだけでよい。
自然酸化膜44のエッチング速度は弗酸の濃度が高いほど
大きいので、濃度が高い場合には疏水性を得るまでの時
間が短くなる。しかし、開口部以外のシリコン酸化膜42
もエッチングされるので、エッチング条件はそれぞれの
場合に応じて適当に選ぶ必要がある。
また、水洗時間が長くなると再びシリコン表面に酸化膜
が形成され浸水性を示すようになるので、このようにな
る前に水洗を終了する。自然酸化膜44をエッチングして
も疏水性が得られない場合、または疏水性が得られても
アルミニウムを堆積したときに正常な堆積条件において
も平滑な連続膜になりにくい場合がある。これは、前述
したドライエッチングその他によってシリコン表面に汚
染や損傷が発生したときに見られるものである。このよ
うな場合には、スルーホール43を開口したのち、例えば
900℃前後の酸素雰囲気中でシリコン表面を酸化するな
どの方法で開口部に数十Åから数百Åのシリコン酸化膜
を形成し、次いでこの酸化膜を希弗酸液等を用いて除去
して疏水性を得ることにより、良好なアルミニウム膜を
形成することができる。
自然酸化膜44を除去する方法としては、上記以外に、ウ
ェハ基板47をアルミニウム堆積用のCVD装置内に設置し
た後、堆積直前にドライエッチング等を用いて基板表面
をクリーニングする方法が有効である。基板表面がシリ
コン単結晶の場合にはそれほど問題とはならないが、多
結晶シリコンやアルミニウム等の基板上にアルミニウム
を選択的に堆積する場合には、基弗酸等を用いて自然酸
化膜層44を除去しても、その後、アルミニウムを堆積す
るまでの極めて短い間に再び自然酸化膜層が形成されて
しまい、良好に堆積できない場合がある。この場合に
は、第2図および第3図に示す装置のように、RFプラズ
マエッチング機構を具備したCVD装置が必要となる。も
ちろん、RFプラズマ以外に、電子サイクロトロン共鳴
(ECR,Electron Cyclotron Resonance)エッチング等を
もちいてもよい。下地基板がアルミニウムの場合には、
これらRFプラズマ等によるエッチングの後、真空中にお
ける放置時間が長くなると、やはり自然酸化膜が形成さ
れてしまい良好に堆積できなくなる。良好な膜を堆積す
るための放置時間の範囲を調べたところ、基板温度250
℃で圧力10-4Torrの場合、およそ1分〜2分以内であっ
た。3分〜5分放置では、表面凹凸の激しいアルミニウ
ム膜が堆積され、10分放置ではアルミニウム膜は堆積さ
れず、僅かにアルミニウムの核が形成される程度であっ
た。30分間放置した場合には全く堆積されなかった。以
上の結果から、良好な膜を堆積するためには、第4図
(c)に示す自然酸化膜層の除去が極めて重要な工程で
あり、また自然酸化膜層44除去の後、速やかに堆積を開
始する必要があることが分かる。堆積するまでの時間が
長くなる場合には堆積室内の圧力をできるだけ低く保つ
ようにする。なお、ウェハ基板とは、第4図(a)から
(e)までに示すすべてのもの含む総称である。
以上の処理を行なったウェハ基板47を反応炉内にセット
してアルミニウムの堆積を行なうが、ウェハ基板47をセ
ットする前にCVD装置では次の準備が必要である。以下
の説明では、第1図に示す装置を用いることとする。初
めに、原料室3,堆積室1およびウェハ出し入れ室2を予
め十分真空排気し、原料室3内にトリイソブチルアルミ
ニウムの液体を15を導入し、撹拌モータ13で温度を均一
に保ちながら所定温度に加熱する。トリイソブチルアル
ミニウムは加熱の無い室温においても十分高い蒸気圧を
有しているが、加熱することによってより効率的に蒸気
を発生させることができる。しかしながら、加熱温度が
50℃を越えると、蒸気圧の低いジイソブチルアルミニウ
ムハライドに変化し易くなることが知られており、それ
ほど高温にすることはできない。ここでは主として45℃
に設定した。
原料ガスの供給能力に関しては、原料室3の形状は直径
約10cm、高さ約22cmの円筒状であり、この程度の液温と
表面積であれば原料ガスの蒸発速度は十分に高く、従っ
て、数十cc/分程度の常用のガス消費時においても、ほ
ぼ原料ガスに近い蒸気圧を保つことができる。また、原
料室3が円筒状であることから、原料ガスの量が変わっ
ても液の表面積は変化せず、蒸発速度は常に一定とな
る。従って、原料ガスの流量は、円筒管の側面に開けら
れたオリフィスのコンダクタンスを変えることにより、
ほぼ圧力を一定としたままで変えることができる。以上
に述べた原料室3の加熱と平行して、堆積室2内の2つ
の加熱ブロック10および14も昇温し、一定温度となるよ
うに制御する。
以上の準備作業の後、第4図(c)に示す前記前処理を
行なったウェハ基板47(第1図のウェハ基板8に相当)
をウェハ出し入れ室2にセットし、十分に排気する。引
き続いてウェハ基板47(8)を堆積室1に移動し、ウェ
ハ基板47(8)を対向した2つの加熱ブロック10,14の
間に設置した状態では数分間保持することによって、ウ
ェハ基板47の温度をほぼ定常状態にする。このとき、ウ
ェハ周辺にアルゴンのような不活性ガスを流すことによ
り、ウェハ基板47をより効果的に加熱することもでき
る。
引き続いて、原料室3と堆積室2との間のバルブ5を開
いて原料ガスを堆積室1に導入し、アルミニウムの堆積
を開始する。なお、バルブ5を開けた直後に堆積室1の
圧力が大きく変動しないように、バルブ5を開くまでの
適当な時間、原料室3内を堆積中と同程度の流量で排気
しておくことが望ましい。所定の堆積時間経過の後、原
料室3と堆積室1との間のバルブ5を閉じて堆積を終了
する。以上に記した操作を行なうことによって、第4図
(d)に示すように、シリコン基板41の開口部43にのみ
選択的にアルミニウム45を堆積することができる。
シリコン酸化膜42上には堆積せず、開口部43のシリコン
上にのみ選択的に平滑性に優れたアルミニウム45を堆積
するためには膜堆積条件を注意深く選ぶ必要がある。特
に2つの加熱ブロック10,14の温度およびこれら加熱ブ
ロック10,14とウェハ基板8(47)との間隔D1,D2とは重
要なパラメータである。D1=D2=5mmとし、ガス流量を
およそ20〜30cc/分、円筒管11内部の原料ガスの圧力を
0.5Torr、堆積室1の圧力を約0.05Torrとしたときのシ
リコン上へのアルミニウム膜堆積のようすを第5図に示
す。第5図では、横軸に被堆積面に対面した加熱ブロッ
ク10の温度TD、縦軸に基板の裏側に対面している加熱ブ
ロック14の温度TBをとっている。アルミニウムの堆積は
加熱ブロックの温度がある程度高くなって初めて進行す
る。そこで、第5図中でアルミニウムが堆積されない領
域と堆積される領域との境界を「堆積境界」と名付ける
ことにする。堆積境界を実験的に調べた結果、おおよそ
TD+TB=Cの直線S1で表わされることが明らかとなっ
た。Cは、距離D1,D2や原料ガスの圧力等を固定した場
合には定数となり、本条件ではおよそ460〜480℃であっ
た。図中、堆積境界線より上方の領域では、TD+TBの値
の増大と共に堆積速度が高くなり、同時にウェハ基板周
辺が厚くなるような膜厚分布に変わってくる。また、TD
+TBの値が大きくなるに連れて、堆積されたアルミニウ
ム膜の表面凹凸が激しくなる。更に高い温度では、シリ
コン酸化膜上にも島状のアルミニウム核が形成され始
め、シリコンとシリコン酸化膜の区別なく無選択に堆積
されるようになる。
第5図中、TB=TDの直線S2上の領域では、ウェハ基板の
周囲壁面がすべて同一温度に加熱されていることから、
従来のホットウォール型のCVDと同じ状態であるといえ
る。ホットウォール型は堆積基板が設置される石英管全
体をヒータによって加熱するもので、この場合、原料ガ
スは、管内を流れている間に石英管と同一温度に加熱さ
れることになる。従って、ホットウォール型では原料ガ
ス温度は基板温度にほぼ等しい。一方、TB>DDの全領域
(グラフ内のTB=TDの直線を境界としてそれより上方)
では、ウェハ基板裏面が高温に加熱され、表面に対向し
た壁面は低い温度となっているので、従来のコールドウ
ォール型のCVDと同じと考えてよい。コールドウォール
型では、堆積基板は加熱された基板加熱ヒータに密着し
て固定され、基板の温度よりも低温の原料ガスが導入さ
れる。
この発明では、これら従来用いられているCVDとは異な
り、TB≦TD(グラフ内の直線S2を境界としてそれより下
方)の全く新しい領域を使用できることに大きな特徴を
有している。このような条件下では、堆積直前において
原料ガスの温度が基板の温度よりも高くなっていること
から、基板表面上の原料ガスがより高い過飽和の状態と
なり、または基板温度を低く抑えることが可能となり、
平滑で良質なアルミニウム膜を得ることができる。図中
破線で示した領域S3は実際に良質なアルミニウム膜が得
られた領域を示しており、蒸気のような状態が実現され
ているものと考えられる。領域S3は、また、ウェハ基板
上に堆積されたアルミニウムの膜厚がほぼ均一となる領
域でもある。
TD=320℃、TB=200℃としたときのアルミニウムの金属
組織の写真を第6図に示す。これまで、CVDによるアル
ミニウムの堆積に関していくつかの報告が成されている
が(ただし選択成長ではない)、堆積された膜の表面状
態はいずれも第12図に示すように小さな結晶粒の集まり
であり、凹凸が大きく、また結晶粒間に部分的に隙間が
見られた。これに対しこの実施例の場合には、第6図か
ら分かるように、結晶粒径が大きく平滑な表面となって
おり、結晶粒界に隙間はない。金属組織の状態は、堆積
基板の材質がシリコンであるかアルミニウムであるかな
どによって変化し、例えば面方位(111)のシリコン基
板上に堆積した場合には、第6図に見られる亀の甲状の
模様はみられなかった。しかし、表面が平滑であること
や結晶粒界に隙間がないことなどは共通しており、何れ
も良質な膜が形成されている。しかも、このような膜が
得られる領域はおおよそTD+TB=Cの線S1に沿った広い
領域となっており、加熱ブロック10の温度TDや加熱ブロ
ック14の温度TBを可変とすることにより、制御性、再現
性良く良質な膜を得ることができ、薄膜製造用の量産装
置に応用した場合でも実用性の高い方法といえる。
破線で示した領域S3以外で堆積したアルミニウム膜は何
れも凹凸が大きいかまたは均一性が悪い等の問題があっ
た。また、例えばTD+TB=600℃あるいはそれより大き
い場合には、選択性が得難い状態となった。ただし、破
線で示した領域S3は定量的に固定されたものではなく、
原料ガスの圧力や流量その他の条件によって変化するこ
とから、おおよその傾向を示したものである。
ここで、堆積境界がほぼTD+TB=Cの直線S1で表わされ
る意味について考えてみる。堆積中の原料ガスの流れが
粘性流状態となっていることは、ウェハ基板と加熱ブロ
ックとの間隔および原料ガスの圧力などから明らかであ
る。従って、この場合の加熱ブロック間の温度分布はほ
ぼ直線的に変化し、例えば両ブロックから等距離におか
れたウェハ基板の温度は(TD+TB)/2となる。一方、第
5図に示された堆積境界線は、TD+TBの値がある定数C
になったときに膜堆積が開始することを表わしており、
ウェハ基板の温度が(TD+TB)/2であることと合わせ考
えると、膜堆積の進行は主にウェハ基板温度によって決
定されていることが分かる。ただし、TB<TDの領域で
は、堆積境界線がTD+TB=Cの直線よりも傾きがやや大
きくなるような傾向もみられ、基板温度以外に原料ガス
温度も二次的に膜堆積の進行に影響していることが考え
られる。
以上に述べた実験はD1=D2=5mmで行なっているが、D1,
D2が変わった場合でも、ウェハ基板温度を算出すること
により、おおよその堆積境界を予測することができる。
2つの加熱ブロックの間隔を一定にしてウェハ基板47
(8)を温度TDの加熱ブロック10に近付けると堆積境界
線の傾きは急峻になり、D1=0mmの極限で垂直な線(TD
=C/2)となる。また、逆にウェハ基板47を温度TBの加
熱ブロック14に近付けていくと堆積境界線の傾きは緩や
かになり、D2=0mmの極限で水平線(TB=C/2)となる。
この時の堆積境界線の回転の中心は2つの直線TD+TB=
CとTB=TDの交点である。このような堆積境界の移動に
伴って、良質膜が堆積される条件範囲も変化する。ま
た、D1,D2の可変範囲としては、およそ3mm以上15mm未満
では十分に良質な膜が堆積できたことから、現実的な最
小間隔は加熱ブロックの加工精度やウェハ基板の位置制
御の精度で定まり、最大間隔は周辺効果による堆積膜の
均一性劣化によって制限されるものと考えられる。周辺
効果とは、2つの加熱ブロック10と14との間隔が大きい
場合に、両加熱ブロックの周辺において加熱面で加熱さ
れた以外のガスとの混合が起こり、ウェハ基板周辺の堆
積膜の膜厚や膜質が不均質となる現象である。
本願発明者らがすでに行なった特許出願(特願昭61−19
0494号)はD2=0mmの場合である。この場合には、第5
図において堆積境界はTB=C/2=230〜240℃の直線とな
り、良質膜が堆積される条件もTBが250〜260℃前後のと
きに限られている。基板加熱用のヒータ(この場合には
ウェハ基板裏側の加熱ブロック)の温度分布を小さく抑
えることは極めて難しく、またヒータ温度が均一であっ
たとしても、ヒータとウェハ基板との接触の程度によっ
てウェハ基板に大きな温度分布が生ずるため、ヒータと
ウェハ基板が接触する通常のタイプ装置では堆積される
膜の膜厚や膜質の均一性を確保することは難しいという
欠点がある。加熱ブロックとウェハ基板とが離れている
場合(D2>0mm)には、ウェハ基板内の熱伝導率がガス
に比べて十分に大きいことやウェハ基板は温度が平均化
されたガスで加熱されることから、ウェハ基板の温度は
極めて均一となる。
原料ガスの圧力が低くなり、ガスの流れが分子流領域に
なった場合には、ウェハ基板温度は2つの加熱ブロック
の温度の相乗平均で表わされるようになり、また、空間
的な温度分布も距離に対する直線性がなくなるので、上
記に述べた状況とは変わってくる。しかし、ウェハ基板
温度や加熱ブロック間の温度分布は容易に求めることが
できるので、多結晶の状況は大凡予測することができ
る。
以上述べたように、良質な膜が体積される条件は加熱ブ
ロックとウェハ基板との距離やガス圧力等による種々変
化し、それらすべての条件を記述することはできない
が、基本的な考え方は明らかとなっているので、それに
従って個々の条件を決定することができる。
本実施例において、堆積時のウェハ基板温度を熱電対を
用いて測定した結果、原料ガスを流して堆積を開始する
と同時に基板温度が上昇し、1〜2分程度でほぼ一定の
温度になることが明らかとなった。原料ガスを流す前に
予めアルゴン等の不活性ガスを流した場合には、より早
く定常温度になる。
原料ガスは加熱ブロック10で高温に加熱されて活性化さ
れ、分解しやすい状態でより低温の基板8に到達する。
基板8に到達した原料ガスがどのような過程でアルミニ
ウムに分解するかを知ることは難しいが、このような状
態では基板8上のアルミニウムは通常のCVDに比べてか
なり過飽和になっていることが考えられる。この場合に
は、核成長理論によれば、クラスタ生成の際の体積エネ
ルギー変化が大きくなり、(3),(4)式からも明ら
かなように、安全核生成の活性化エネルギーGは小さ
くなり、臨界核の数密度nは高くなる。従って、核同
士が合体する時の核の平均の半径が小さくなって。凹凸
の少ない平滑な膜が形成されることになる。
本発明による良質膜堆積の過程は、走査型電子顕微鏡
(SEM)観察によりその特徴を明らかにすることができ
る。第1図に示す装置を用い、D1=D2=5mmとしてウェ
ハ基板を2つの加熱ブロックの中央に設置した状態で、
第5図に示す点Aと点Bの条件を用いてAl膜堆積を行な
った。点Aは良質膜が堆積される条件であり、TD=320
℃、TB=200℃と原料ガス温度が基板温度よりも高い条
件となっている。比較のための条件である点BはTD=20
0℃、TB=320℃と原料ガス温度が基板温度よりも低い条
件である。原料ガスが粘性流状態であり、またウェハ基
板の熱伝導率がガスの熱伝導率よりも十分に大きいこと
から、点A,点Bの基板温度はほぼ同一であり、およそ26
0℃となっていると考えられる。
第10図,第11図は、これらの条件でAl膜堆積を行なった
ときのAl膜の成長過程を示す金属組織写真であり、第10
図は試料A、第11図は試料Bを示す。第10図に示される
ように、原料ガス温度が基板温度よりも高い条件である
点Aで堆積した試料Aでは、堆積開始2分後に高密度の
成長核が発生している(第10図(b))。核同士の間隔
が小さいために、3分後には核の合体が進行し(第10図
(c))、5分では平滑な連続膜となる(第10図
(d))。なお第10図(a)は堆積開始1分後を示す。
一方、ガス温度が低い点Bで堆積した試料Bでは、堆積
開始1分後,2分後,3分後および5分後を第11図(a),
(b),(c)および(d)で示すように、堆積時間が
長くなっても核密度はそれほど増加せず、主として島成
長のみが進行し、堆積時間5分においても合体するまで
に至っていない。このために、凹凸の激しいAl膜とな
る。点B以外にもTB>TDの領域では同様に島成長する傾
向を示した。
以上の結果から、本発明においては、加熱された原料ガ
スがより低温の基板に到達するために、基板表面におけ
るガスの状態が高い飽和度となり、このために高密度の
核が発生して平滑膜が得られるものと考えることがで
き、ボルマらの表面自由エネルギー模型を用いた核成長
理論の結果と同じ挙動を示すことが確認できた。
本方法においては、上記以外にも、他のCVDと比較し
て、次のような重要な特徴を有する。ホットウォール型
では、堆積雰囲気全体が基板温度と同一の温度に加熱さ
れているため、堆積室の壁面全体で反応が生じ、原料ガ
スが無駄に消費される。しかも、壁面付着物の定期的な
清浄化が必要となり、装置の保守が面倒となる。本方法
では、原料ガスは低温のまま堆積室1に導入され、堆積
基板8の近傍に到達して初めて高温に加熱される。この
場合のガスの消費量は、堆積基板上と加熱ブロック10の
表面のみで生ずる。これらの加熱部分の面積はホットウ
ォール型と比較して極めて小さく、原料ガスの浪費防止
および装置保守何れにおいても優れている。
本方法の他の特徴として、基板温度に対してガス温度を
十分高くできることから、通常のCVDでは分解が進行し
にくい原料ガスの場合でも堆積が可能となることがあげ
られる。即ち、加熱ブロック10において原料ガスを高温
に加熱することによりガス自身を活性化させるか又は反
応しやすい物質に変換する。これにより、低温の基板8
上における分解反応を促進させる効果が得られ、基板温
度を低くしたまま薄膜の堆積が可能となる。
本実施例において原料ガスとして用いたトリイソブチル
アルミニウムは50℃以上で蒸気圧の低いジイソブチルア
ルミニウムハライドに分解する。このため、ガスの輸送
経路において100〜200℃に加熱すると凝縮して液化し、
堆積基板8への原料ガスの十分な供給ができなくなる。
本実施例においては、原料ガスは堆積基板8の直前まで
は50℃程度と低温のまま供給されており、高温に加熱さ
れた加熱ブロック10表面近傍で初めて高温の堆積温度に
まで加熱される。従って、原料ガスの輸送経路における
液化は防止されることになる。
また、加熱ブロック10のすぐ近くに堆積基板8の表側が
対面しており、堆積基板8の裏側では比較的低温の原料
ガスが接触している一方で、加熱ブロック10に対面した
表側には高温に加熱されたガスが入射する。実際上、堆
積基板8表面に良好なアルミニウム膜が堆積されても、
基板の裏側にはアルミニウムが全く堆積されない場合が
あった。ウェハ自身の温度は表裏でそれほど差がないこ
とから、本方法においてはガス加熱によって反応が促進
されており、ガス加熱が極めて重要であることが理解で
きる。
さらに、加熱ブロック10の近傍に導入されたトリイソブ
チルアルミニウムは加熱されて蒸気圧の低いジイソブチ
ルアルミニウムハライドに変わり、しかもそのすぐ近く
に低温のウェハ基板8が設置されている。従って、この
点でもウェハ表面では極めて過飽和の状態になってお
り、本実施例では平滑性の高い良質なアルミニウム膜が
形成される要因の1つとなっている。
本実施例によれば、原料ガス自身が2つの加熱ブロック
10,14によって一定の空間的温度分布を持つように加熱
され、またこれらの加熱ブロックの間に設置された堆積
基板は原料ガスによって加熱されている。このため、通
常のコールドウォール型のCVD法に比べて、膜堆積の再
現性および均一性が著しく改善された。
また、本実施例においては、加熱ブロック10で消費され
ない余剰の加熱ガスによってウェハ基板8上に堆積が進
行する。従って、加熱ブロック10の表面の材質として例
えばシリコンやアルミニウム等のようにアルミニウムが
堆積されやすいものを用いるか、あるいはシリコン酸化
膜等のように堆積されにくいものとするかで堆積基板8
に堆積されるアルミニウムの量が異なってくる。例え
ば、加熱ブロック10の表面がシリコンおよびシリコン酸
化膜のパターンで構成されており、堆積基板8がシリコ
ンウェハである場合には、アルミニウムをシリコンウェ
ハ8の全面に堆積することなく、シリコン酸化膜パター
ンに対面している部分にのみアルミニウムを堆積するこ
とも可能であった。
従って、原料ガスの消費効率の観点からは、加熱ブロッ
ク10表面の材質はアルミニウムの堆積が起こり難いも
の、例えば二酸化シリコンや二酸化チタン,五酸化タン
タル,酸化モリブデン,五酸化バナジウム等の表面エネ
ルギーの低い材料であったほうが好ましい。ただし、こ
のような材質であっても、一旦アルミニウムが堆積され
ると、その後はアルミニウムの堆積が進行し、ガス消費
を防止する効果はない。本実施例では、加熱ブロック10
表面の材質としてアルミニウムを用いているが、通常の
堆積においてはガス消費効率の問題はない。
アルミニウム堆積のようすは加熱ブロック温度や基板温
度以外の堆積条件すなわち原料ガスの流量や圧力によっ
ても変化する。
ガスの圧力は、前記のように、原料室3の温度を室温か
ら約50℃の範囲内で変えることによって制御することが
できる。本方法の場合、上記の原料室3の温度範囲にお
ける圧力の制御範囲、約0.2Torr〜2Torrの何れにおいて
も選択成長が可能であった。圧力が0.2Torr以下では殆
ど堆積は進行せず、圧力の上昇とともに堆積速度はやや
大きくなる傾向を示した。
原料ガスの流量に関しては、流量が一定であっても、ウ
ェハ表面におけるガスの流速が堆積室の構造に大きく影
響されるため、装置依存性が大きく一般的に取り扱うこ
とが困難である。本方法で用いた標準的な流量としては
20〜30cc/分程度であったが、流量が50cc/分程度以下で
あれば、膜堆積の状態にそれほど大きな影響はみられな
かった。しかし、流量が大きくなると、ウェハ表面にお
けるガスの温度が低下し、アルミニウムの堆積が起こり
難くなる傾向がみられた。例えば、流量を大きくした時
には、標準的な流量の場合より基板温度を20〜30℃高く
しないと堆積しない場合があった。ガス流量が小さい場
合にはこのような現象は見られず、極端な場合、排気を
止め原料室3に接続された堆積室1を密閉した状態にお
いても、十分な膜厚のアルミニウム堆積が可能であっ
た。ただし、この場合には、トリイソブチルアルミニウ
ムの分解反応により発生するジイソブチレンと水素ガス
により、堆積室1内の圧力が時間と共に上昇してしま
う。
以上述べてきたアルミニウムの堆積操作によって、第4
図(d)に示すように、シリコン開口部であるスルーホ
ール43内にのみ、選択的にアルミニウムを堆積すること
ができる。本実施例の堆積条件は、D1=D2=5mmとし、
ガス流量をおよそ20〜30cc/分、円筒管11内部の原料ガ
スの圧力を0.5Torr、堆積室1の圧力を約0.05Torr、ま
たTD=320℃、TB=200℃とした。スルーホール43内のア
ルミニウム膜厚は5000Åであり、シリコン酸化膜の厚さ
と同じにすることによって平坦な形状が得られる。従来
のコールドウォール型のCVDで堆積したアルミニウム膜
は、膜内不純物の点ではオージェ分析の検出限界以下と
問題ないが、抵抗率が3.3μΩcm程度とやや大きく、ま
た第12図から分かるように膜表面の凹凸が大きく、微細
なパターンにはあまり適さない。これは膜成長の初期段
階において島形成が起こり、次いでこれらの島がつなが
って膜が形成されるためと考えられる。膜表面の凹凸は
堆積時の基板加熱温度に大きく影響され、基板温度を下
げれば凹凸は低減される方向にある。しかしながら、従
来法においては、最良の状態で堆積した場合でも、スパ
ッタや蒸着等の他の堆積法に比べて膜表面の凹凸の点で
劣っていた。
本方法では、上述のように、2つの対向した加熱ブロッ
クを用いることにより、平滑な膜の形成が可能となって
いる。また、膜厚が1000Å程度以上では2.9μΩcmとバ
ルクに近い抵抗率が得られており、さらに500Åと薄く
ても導電性を示し、連続的なアルミニウム膜となってい
ることが分かる。
第4図(e)は、シリコン開口部43にシリコン酸化膜42
と同じ厚さのアルミニウム45を選択的に堆積した後、通
常のスパッタ法を用いてアルミニウム膜46を全面に堆積
した状態を示している。同図はまた、更にパターン形成
を行なってアルミニウム配線パターンを形成した状態の
シリコン開口部の断面形状をも示している。
本方法ではシリコン酸化膜42に開口した基板シリコン41
上のスルーホール43をアルミニウムで埋める例を示した
が、シリコン酸化膜42とシリコン基板41との組合せ以外
に他の材料でも同様なことができる、半導体集積回路の
アルミニウム配線では、絶縁膜の開口部を介して素子部
や下層の配線と接続する場合が多くある。この時の開口
部内の下地材質としては、通常、種々の不純物を含んだ
単結晶または多結晶シリコンあるいはアルミニウムがあ
る。その他に、チタンやモリブデン,タングステン,白
金などの金属、あるいはチタンシリサイド,タングステ
ンシリサイド,モリブデンシリサイド,タンタルシリサ
イド,白金シリサイドなどのシリサイド材料、更に窒化
チタン窒化モリブデンなどの化合物が用いられる場合も
ある。
特に下地がシリコンの場合には、アルミニウムとの反応
等によって界面が劣化しやすいので、第7図に示すよう
に、シリコン51の上に例えばチタン,窒化チタン,チタ
ンシリサイドのようなチタン系金属、あるいはモリブデ
ンやタングステンまたはそれらのシリサイド、あるいは
白金シリサイド等からなるバリア層53を形成した後に、
アルミニウム54を選択成長する方がよい場合がある。
何れの材料も導電性を有する金属または半導体であり、
これらの材料上にはアルミニウムの選択成長が可能であ
る。特にシリコンに関しては、不純物としてひ素,リ
ン,ボロンを固溶度程度まで含むものやこれら不純物濃
度の低い高抵抗の単結晶シリコンと多結晶シリコンにつ
いて、アルミニウム堆積が可能であることが実験的に確
認できた。
また、下地がアルミニウムまたはシリコン入りアルミニ
ウム等のアルミニウム合金の場合には、同一材料である
ことから、アルミニウムを堆積できることは言うまでも
ないが、表面に数十Å以上の厚いアルミナ層が形成され
ることがしばしばあるので、このような場合には、シリ
コンの場合と同様に希弗酸等を用いて軽くエッチング
し、更に真空チャンバに入れてから堆積直前にプラズマ
エッチングなどによって表面をクリーニングする必要が
ある。真空中においてもアルミニウム表面は速やかに酸
化されるので、クリーニング後、例えば10-4Torrの真空
中では1から2分以内に堆積を開始する必要があった。
一方、半導体集積回路で用いる絶縁膜の材質としてはシ
リコン酸化膜が最も多く用いられるが、その他にシリコ
ン窒化膜なども用いられている。シリコン酸化膜には、
シリコンを熱酸化して形成したシリコン酸化膜や、他の
形成法例えば気相成長法やスパッタ法で堆積したもの、
更にリンやボロンを添加したシリコン酸化膜等がある。
本方法によるアルミニウムの選択成長の条件では、これ
らの絶縁膜上にはアルミニウムは堆積されない。以上の
述べたことから、第4図(e)に示すような開口部に段
差がなく平坦なアルミニウム配線の形成は、半導体集積
回路におけるあらゆるスルーホールに対して適用できる
ものである。選択成長を用いないスパッタや蒸着のみの
堆積においては、スルーホール上シリコン開口部のアル
ミニウム膜の表面に段差が形成され、かつ段差下部にマ
イクロクラックが発生して、断線等による歩留まり低下
や信頼性低下の原因となっていた。本方法によれば、ス
ルーホールの段差とほぼ同じ厚さのアルミニウムを選択
的に堆積することにより、半導体集積回路のスルーホー
ル部が平坦で断線がなく、歩留まりおよび信頼性の優れ
たアルミニウム配線を形成することができる。
以上述べたように、2つの加熱ブロック10,14を用いたC
VDでは、表面が平滑で結晶粒径が大きいアルミニウム膜
を再現性、均一性良く、しかも優れた選択性をもって堆
積できるという大きな特徴を有する。このため、スルー
ホール穴埋めができ、平坦な多層配線が可能となってい
る。
以上の実施例では、原料ガスとしてトリイソブチルアル
ミニウムのみについて述べたが、トリメチルアルミニウ
ムやトリエチルアルミニウム等の他のアルミニウムの有
機化合物を原料ガスとして用いても、それらの化学的性
質がよく似ているので、多少の堆積条件の相違をもって
上述と同様にしてアルミニウムを基板上に堆積すること
が可能である。
次に、本発明に係わる第2の実施例として、原料ガスに
トリイソブチルアルミニウムとジシランを用いてシリコ
ンを含むアルミニウム合金を堆積した例を示す。本発明
に係わる第1の実施例は第4図(c)〜(e)に示され
ているが、この第1の実施例は純粋なアルミニウムを堆
積するものである。しかしながら、一般的な配線材料と
してはシリコンを1〜2%含むアルミニウムが最も多く
用いられている。この第1の理由は、シリコン基板とア
ルミニウムとの反応によって生ずるpn接合部における接
合リークを防ぐことにあり、第2の理由は、エレクトロ
マイグレーションによって配線の信頼性が劣化するのを
防止することにある。第1の実施例のようにアルミニウ
ムの選択成長を配線に応用する場合、シリコン基板への
張付け用としては1000Å程度の薄いアルミニウムを用
い、またスルーホールの穴埋めに用いるときには、主に
上層と下層のアルミニウム配線管の接続に用いることか
ら、アルミニウム中にシリコンを含んでいなくても上記
反応等の大きな問題はない。チタン等のバリア層をはさ
むことで反応を防ぐことも可能である。しかしながら、
アルミニウムを選択成長している間に同時にシリコンを
アルミニウム膜中に入れることができれば、より応用範
囲を広げることができる。
これまで、アルミニウムのCVDにおいて、シランガスと
有機アルミニウムガスとを同時に基板上に導いてシリコ
ン入りアルミニウムを堆積できるとする特許出願がなさ
れているが(特開昭55−91119号公報)、実際上、通常
の熱CVDでこのようなことを実現し、半導体集積回路の
製造プロセスで用いることは不可能である。有機アルミ
ニウムを用いてアルミニウム堆積を行なう時の基板温度
は最も高くても400〜500℃以下である。これより高い温
度では、良質なアルミニウム膜を得ることは困難であ
り、例え得られたとしてもアルミニウム膜と下地基板で
あるシリコンおよびシリコン酸化膜とが反応あるいは相
互拡散してしまい、目的とする構造が得られない。この
状況は、下地基板としてGaAs等の他の半導体を用いた場
合にも同様である。一方、シランの分解温度は最低でも
600℃以上と言われており、アルミニウムを堆積できる
温度範囲ではシランは分解せず、アルミニウムを堆積し
ながらシリコンをドープすることは不可能であることが
分かる。熱以外のエネルギーを用いて原料ガスを分解さ
せるCVD、例えばプラズマCVDや光CVDを用いれば、シラ
ンによってシリコンをドープしながらアルミニウムを堆
積することは可能となる。しかしながら、このようなCV
Dにおいては前述したような欠点があり、CVDの特徴を半
減させる結果となる。
本方法を用いれば、トリイソブチルアルミニウムのよう
な有機アルミニウムとシランガスとを原料として、シリ
コンの入ったアルミニウム膜を有効に堆積することがで
きる。例えば、第1図に示す装置を用い、加熱ブロック
10の温度を600℃程度、加熱ブロック14の基板温度を200
℃程度とすれば、シランの分解と同時に基板との反応の
ない状態でのアルミニウム膜の堆積が可能となる。しか
しながら、シランの分解温度とアルミニウムの堆積温度
が大きく離れていることから、均一性の良好な堆積条件
を得ることは難しい。シランの代わりにジシランを用い
ることによって、このような問題が解決され、シリコン
を含むアルミニウム膜を容易に堆積できるようになる。
第1図に示す装置において、D1=D2=5mmとし、TD=360
℃、TB=150℃とした。ジシランを約30cc/分流し、トリ
イソブチルアルミニウムの流量等の条件は第1の実施例
と同様にした。ただし、堆積室1のガスの圧力は2つの
ガスの分圧の和となるため、0.8Torrとやや高めとなっ
た。この条件におけるアルミニウム中のシリコンの濃度
は約2%であった。実験の結果、ジシランのみを導入し
トリイソブチルアルミニウムを全く流さない場合、ジシ
ランを分解させて基板上にシリコンを堆積するために
は、加熱ブロック10の温度TDをおよそ400℃以上にする
必要があった。ところが、ジシランとトリイソブチルア
ルミニウムとを同時に流した場合には、より低温でもア
ルミニウム膜中にシリコンが入り、約350℃以上でパー
セントオーダのシリコンが含まれることが明らかとなっ
た。温度TDを高くすると、ジシランの分解が促進され
て、アルミニウム中のシリコンの濃度は急激に増加す
る。従って、シリコンの濃度は、加熱ブロックの温度ま
たはジシランの流量によって自由に変えることができ
る。
以上に示したように、加熱ブロックを用いたCVDにおい
てトリイソブチルアルミニウムとジシランを原料ガスに
用いることにより、任意の量のシリコンを含むアルミニ
ウムを堆積することが可能となる。
本方法では、シリコンの入ったアルミニウムを選択成長
するものであるが、選択成長でなく、下地基板の材質に
関係なく全面に堆積することも可能である。このような
非選択成長の方法はいくつかある。例えば、温度TDを38
0℃程度と高くし、ジシランの流量を小さくすること
で、シリコンを含むアルミニウムを全面に堆積すること
ができる。ただし、この方法では膜厚の均一性を得るこ
とがやや難しい。他の方法として、予め、TD=400℃程
度と加熱ブロック10の温度の高い状態でジシランのみを
流し、全面に薄いシリコンを堆積する。次いで上述の第
1または第2の実施例のような標準的な選択成長の条件
でアルミニウムを堆積する。選択成長ではシリコン上の
みにアルミニウムが堆積されるが、表面全体がシリコン
で覆われているため、ここではアルミニウムは全面に堆
積される。この場合には、均一性、膜質ともに優れたも
のが得られる。また、アルミニウムの下に堆積されたシ
リコンは、アルミニウム堆積中あるいはその後の熱処理
においてアルミニウム膜中に拡散することから、アルミ
ニウム堆積時にシリコンをいれなくてもよい。同様な意
味で、予め、チタン等の薄膜を堆積してからアルミニウ
ムを堆積してもよい。
第8図は、発明に係わる第1の実施例(第4図(c)〜
(e)参照)を適用した場合を示し、MOSLSIのゲート電
極とソース,ドレイン上に選択的にアルミニウムを堆積
し、低抵抗化を図った例である。同図は、主要な製作工
程の流れを示しており、本方法に直接影響しない部分は
省略してある。
初めに、第8図(a)に示すように、シリコン酸化膜を
用いて形成された素子間分離領域62を有するp型シリコ
ン基板61を用意し、能動素子となるべき領域にゲート酸
化膜63を形成する。
次に、第8図(b),(c)に示すように、リンをドー
プした多結晶シリコン薄膜64を堆積し、リソグラフィ技
術とエッチング技術を用いて上記薄膜を加工してゲート
電極65を形成する。多結晶シリコンの不純物は用途に応
じてリン以外にひ素やボロン等であってもよい。
続いて、第8図(d)に示すように、ゲート電極周囲を
酸化して多結晶シリコン酸化膜66を形成し、ゲート電極
をマスクとしてソース,ドレイン67形成のためのイオン
注入を行なう。イオン種としては、通常、nチャネル素
子の場合はひ素またはリン、pチャネル素子ではボロン
が用いられる。
このあと、第8図(e)に示すように、注入イオン活性
化のための熱処理を行ない、減圧CVD法を用いてシリコ
ン酸化膜68を堆積する。
このシリコン酸化膜68はゲート電極65の側面部に厚く形
成されるので、方向性を有するドライエッチングを用い
ることにより、第8図(f)に示すように、ゲート電極
65の側面にサイドウォール69を形成することができる。
シリコン酸化膜68は、ゲート電極65側面に厚く形成され
る絶縁膜であれば、本来何であっても良く、リフローし
たPSGやBPSG、あるいは軽くバイアスを印加してスパッ
タしたいわゆるバイアススパッタシリコン酸化膜、さら
にシリコン窒化膜等であってもよい。
このあと、第8図(g)に示すように、シリコン面が露
出したゲート電極65上とソース,ドレイン67上とにアル
ミニウム70を選択成長する。アルミニウム堆積に先立っ
て自然酸化膜層の除去のための前処理を行なう。この前
処理としては、ドライエッチングを行なった後であるの
で、一旦800〜900℃程度で100Å前後のシリコン酸化膜
を形成し、次に希弗酸液によりエッチングして清浄なシ
リコン表面を露出させるのが良い。アルミニウム堆積
は、第1図の装置を用い、D1=D2=5mm、TD=320℃、TB
=200℃、原料ガスの圧力0.5Torrの標準的な条件で行な
い、堆積時間約10分で膜厚約1000Åのアルミニウムを形
成した。
次に、第8図(h)に示すように、層間絶縁膜71を堆積
し、公知のリソグラフィ技術とエッチング技術を用いて
スルーホール72を開ける。
このあと一般的にはスパッタ法等を用いてアルミニウム
膜を堆積して配線を形成するが、ここでは、第8図
(1)に示すように、本方法による選択成長アルミニウ
ム膜73を用いてスルーホールを埋める。アルミニウム堆
積前の前処理としては希弗酸液によるエッチングのみを
行ない、第8図(g)の場合と同一の方法を用いて堆積
する。ただし、真空中において、堆積直前のプラズマク
リーニングによりアルミナ除去を行なっている。堆積膜
厚をスルーホールの深さと同一の5000Åとすることによ
ってスルーホール内を確実に埋め込み平坦な表面を得る
ことができる。
このあとスパッタ法等を用いて全面にアルミニウム膜を
堆積し、公知のリソグラフィ技術とエッチング技術を用
いて、第8図(j)に示すようなアルミニウム配線74を
完成する。
なお、このときにスパッタ法を用いず、本方法によるCV
Dを用いて全面にアルミニウムを堆積してもよい。例え
ば、選択的にアルミニウムを堆積してスルーホール72内
を埋め込んだのち、引き続いて非選択成長の条件で全面
にアルミニウムを堆積することができる。非選択成長の
方法は、前述したように、加熱ブロック10,14の温度を
高くする方法や、全面にシリコン等を堆積した後にアル
ミニウムを堆積する方法などがある。
以上述べたように、第8図の例では、選択成長アルミニ
ウムを多結晶シリコンとソース,ドレインに張り付けて
ゲート電極配線を抵抗抗化し、更に選択成長アルミニウ
ムをスルーホールの穴埋めに用いて平坦化を実現してお
り、異なる2つの目的に利用している。特に、張付け技
術に応用した場合には、アルミニウムの抵抗率が2.9μ
Ωcmとバルクに近いことから、タングステンやシリサイ
ドを張り付ける場合と比較して、1桁から2桁程度の低
抵抗化が可能である。
また、ソース,ドレインへの張付けの場合には、アルミ
ニウムの膜厚が大きいと、アルミニウムが基板シリコン
と反応し、接合リーク等の障害を引き起こすが、本方法
のようにアルミニウム膜厚が1000Å程度以下の場合には
殆ど問題とならない。
また、もし必要な場合には、第7図に示すように、ソー
ス,ドレイン上または多結晶シリコンゲート電極上にバ
リア層を張り付けてから、アルミニウムの選択成長を行
なってもよい。このバリア層の厚さは、例えば100Åか
ら1000Åのオーダでよい。この程度の厚さのバリア層の
抵抗は、選択成長アルミニウムの抵抗に比べて数倍から
1桁以上高く、アルミニウムを張り付けることによって
初めて十分に低い抵抗とすることができる。
第9図は、本方法をバイポーラLSIの電極引出しおよび
多結晶シリコンを用いた抵抗体形成に応用した例を示す
断面図である。
第9図(a)は分離されたシリコン基板81中にnpnトラ
ンジスタを形成し、更にその上に多結晶シリコン電極パ
ターンを形成した状態を示している。すなわち、82は素
子間分離酸化膜、83はn+埋込み層、84はコレクタ、85は
ベース、86はエミッタである。この状態のシリコン基板
81の表面は、多結晶シリコン電極パターン87と、それら
を分離するシリコン酸化膜88と、抵抗体となるべき多結
晶シリコン領域上に形成された抵抗体形成用マスク89と
から構成されている。このマスク89の材質としては、シ
リコン酸化膜やシリコン窒化膜等の絶縁物が用いられ
る。
この状態で、第9図(b)に示すように、露出した多結
晶シリコン上にアルミニウム90を選択成長する。アルミ
ニウム堆積に先立って自然酸化膜層の除去のための前処
理を行なうが、この場合にはドライエッチングを行なっ
た後であるので、一旦800〜900℃程度で100Å前後のシ
リコン酸化膜を形成し、次に希弗酸液によりエッチング
して清浄なシリコン表面を露出されるのが良い。アルミ
ニウム堆積は、第1図に示す装置を用い、D1=D2=5m
m、TD=320℃、TB=200℃、原料ガスの圧力0.5Torrの標
準的な条件で行ない、堆積時間約10分で膜厚約1000Åの
アルミニウムを形成した。このアルミニウム90により、
多結晶シリコン電極パターンが低抵抗化されると同時
に、抵抗体形成用マスク89の下の多結晶シリコンが、セ
ルフアライン的に寸法の定まった多結晶シリコン抵抗体
91となる。
次に、第9図(c)に示すように、層間絶縁膜92を堆積
し、公知のリソグラフィ技術とエッチング技術を用いて
スルーホール93を開ける。
このあと一般的にはスパッタ法等を用いてアルミニウム
膜を堆積して配線を形成するが、ここでは、第9図
(d)に示すように、本方法による第2の選択成長アル
ミニウム膜94を用いてスルーホールを埋める。アルミニ
ウム堆積前の前処理としては希弗酸液によるエッチング
のみを行ない、第9図(b)の場合と一の方法を用いて
堆積する。ただし、真空中において、堆積直前のプラズ
マクリーニングによりアルミナ除去を行なっている。堆
積膜厚をスルーホールの深さと同一の膜厚とすることに
よって、スルーホール内を確実に埋め込み、平坦な表面
を得ることができる。
このあとスパッタ法等を用いて全面にアルミニウム膜を
堆積し、公知のリソグラフィ技術とエッチング技術を用
いて、第9図(e)に示すようなアルミニウム配線95を
完成する。
以上述べたように、第9図の例では、選択成長アルミニ
ウムを多結晶シリコン電極に張り付けて低抵抗化すると
同時に、抵抗体の形成にも利用している。更に、スルー
ホールの穴埋めにも選択成長アルミニウムを用いて平坦
化を実現している。特に、張付け技術に応用した場合に
は、アルミニウムの抵抗率が2.9μΩcmとバルクに近い
ことから、タングステンやシリサイドを張り付ける場合
と比較して、1桁から2桁程度の低抵抗化が可能であ
る。アルミニウムの膜厚が大きいと、アルミニウムが多
結晶シリコンと反応し、素子特性の劣化が生ずるが、本
方法のようにアルミニウム膜厚が1000Å程度以下の場合
には殆ど問題とならない。また、もし必要な場合には、
第7図に示すように、多結晶シリコン電極上にバリア層
を張り付けてからアルミニウムの選択成長を行なっても
よい。このバリア層の厚さは、例えば100Åから1000Å
のオーダでよい。この程度の厚さのバリア層の抵抗は選
択成長アルミニウムの抵抗に比べて数倍から1桁以上高
く、アルミニウムを張り付けることによって初めて十分
に低い抵抗とすることができる。
第8図の製造例は本発明に係わる第1の実施例をアルミ
ニウムの堆積に応用した例であるが、アルミニウム以外
の金属や半導体の気相成長においても有効である。例え
ばタングステンやモリブデンの堆積特に選択成長につい
ては、本方法を用いることによって平滑で良好な膜の堆
積が可能となる。タングステンの場合、原料ガスとして
六弗化タングクテンを用い、キャリアガスとして水素や
ヘリウム、アルゴンなどを用いる。堆積装置としては第
1図に示すものを使用し、D1=3〜10mm、D2=3〜10m
m、TDを300〜700℃、TBを200〜600℃、トータルガス圧
を0.1〜5Torrに可変した。タングステンの選択成長は成
長の初期段階ではシリコン還元反応によるが、膜厚が厚
くなると水素還元反応によって進行する。従って、厚い
膜厚を堆積するためにはキャリアガスとして水素を用い
る必要がある。
代表的な堆積条件は、例えば、D1=D2=5mm、TD=450
℃、TB=300℃、トータルガス圧0.5Torr、六弗化タング
ステンの分圧0.05Torrであった。使用目的によっては、
タングステンを選択的に堆積する場合や、逆にウェハ全
面に非選択的に堆積する場合がある。選択性の程度は、
原料ガスの吸着エネルギーあるいは過飽和度に基づく核
発生の活性化エネルギーに依存する。従って、第1図に
示す装置を用いて2つの加熱ブロックの温度を任意に選
ぶことによって、高選択の膜を堆積したり全面に堆積し
たりすることが可能である。
モリブデンについては、原料ガスとして六弗化モリブデ
ンを用いる以外には、タングステンの場合とほぼ同様な
条件で堆積が可能である。また、他の原料ガスとして五
塩化モリブデン等を用いてもよい。
タングステンシリサイドやモリブデンシリサイド等のシ
リサイドの堆積は、上記の純粋金属の堆積条件において
シランガスを混入すればよい。
多結晶シリコンについては、原料ガスにシランガス等を
用いてTD,TBを400〜1100℃にして堆積できる。アモルフ
ァスシリコンを堆積する場合は加熱ブロックの温度を更
に低くしたほうが望ましい。必要な場合には原料ガスと
してジシランを用いれば、TD=400℃でも堆積が可能で
ある。アモルファスシリコンの用途として一般的には太
陽電池などが多く用いられるが、このような用途におい
ては膜中に多量の水素を含むことが望ましい。本方法に
おいては、基板温度を低く抑えることができ、水素の含
有量の多い良好な特性のアモルファスシリコンを堆積す
ることができる。
以上述べたように、アルミニウムのみならず、あらゆる
金属や半導体薄膜の堆積に、本発明を適用することによ
り、平滑性の優れた薄膜を実現することが可能となる。
また、薄膜形成の用途に応じて選択性を高くすること
や、あるいは逆に選択性を低くして全面に堆積するなど
の制御が容易になる。更に、水素含有量を多くするなど
の目的にも適用が可能である。
〔発明の効果〕
以上説明したように本発明は、各々独立に温度制御され
る相対向する2つの加熱ブロックと、2つの加熱ブロッ
クの間に加熱ブロックと距離をおいて薄膜堆積用基板を
保持する基板ホルダとを堆積室内に備えたことにより、
基板の被堆積面に対面した加熱ブロックによって原料ガ
スを高温に加熱でき、基板の温度を基板を挟む2つの加
熱ブロックの温度によって制御できるので、原料ガスの
温度と基板の温度とをそれぞれ希望の値に設定できる効
果がある。
また、互いに異なる温度に保たれて近接して対向した2
つの加熱ブロックの間に薄膜堆積用基板を保持し、この
基板を被堆積面を高温側の加熱ブロックに対面させた状
態で気相成長させることにより、膜堆積直前に原料ガス
の温度を基板温度よりも高くして膜堆積を進行させるこ
とができるので、基板表面における原料ガスの状態を高
い過飽和にすることができ、表面凹凸の小さい平滑な薄
膜を再現性・均一性良く堆積することができる効果があ
る。
さらに、薄膜堆積時の基板温度を低く抑えることができ
るので、薄膜の選択成長における選択性が改善されると
共に、膜堆積時における膜や下地基板での反応や拡散を
低減することができる効果がある。
さらに、反応温度の異なる2つ以上の原料ガスを用いれ
ば、組成等の膜質制御性の良い合金薄膜を堆積すること
ができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係わる化学的気相成長装置の装置構成
例を示す構成図、第2図は装置の他の例を示す構成図、
第3図は第2図の装置における反応炉の動作モードを示
す構成図、第4図は本発明に係わる化学的気相成長法の
一実施例を説明するための断面図、第5図は本発明によ
るアルミニウム堆積の様子を示すグラフ、第6図は本発
明によりシリコ基板上に堆積したアルミニウムの金属組
織の写真、第7図はバリア層上にアルミニウムを選択成
長した場合のスルーホールを示す断面図、第8図および
第9図は本発明の適用例を示す断面図、第10図および第
11図はアルミニウムの成長初期過程を示す金属組織の写
真、第12図は従来の方法を用いてシリコン基板上に堆積
したアルミニウムの金属組織の写真である。 1……堆積室、2……ウェハ出し入れ室、3……原料
室、4,5……バルブ、6……可変型バルブ、7……基板
ホルダ、8……ウェハ基板、9……ヒータ、10,14……
加熱ブロック、11……円筒管、12……オリフィス、13…
…撹拌モータ、15……トリイソブチルアルミニウム。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】薄膜を堆積する堆積用基板の堆積面を第1
    の加熱ブロックに対向するように、この堆積用基板を前
    記第1の加熱ブロックとこれに対向して配置された第2
    の加熱ブロックの間に保持し、 前記堆積室内のガス流速が前記堆積用基板近傍でのガス
    拡散速度と同等以下となるように排気速度を制御して、
    前記第1と第2の加熱ブロックの間に原料ガスを導入
    し、 前記第1の加熱ブロックを第1の温度に制御して前記堆
    積用基板表面上の原料ガスを加熱し、前記第2のブロッ
    クを前記第1の温度と同等以下の第2の温度に制御して
    前記堆積用基板裏面上の原料ガスを加熱することで、前
    記堆積用基板の堆積面に薄膜を維持させることを特徴と
    する化学的気相成長方法。
  2. 【請求項2】前記堆積用基板の裏面を前記第2の加熱ブ
    ロックに接触させ、この第2の加熱ブロックに高周波電
    力を印加して前記堆積用基板の堆積面と第1の加熱ブロ
    ックとの間にプラズマを生成させ、このプラズマにより
    前記堆積用基板の堆積面を清浄化し、その後、前記堆積
    用基板と第2の加熱ブロックとを引き離してから、堆積
    用基板の堆積面に薄膜を堆積させることを特徴とする特
    許請求の範囲第1項記載の化学的気相成長方法。
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