JPH076398U - 高所作業車用落下物捕捉装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 高所での通信線工事の際に使用するバケット
車のバケットからの工具や材料の落下物を捕捉し、他者
への安全を計る。 【構成】 高所作業車のバケット10外側壁に連続してレ
ール1 を巡らして固定し、該レール1 に吊架して移動す
る所定数のローラー支持棒2 の下端には、それぞれＬ字
状に開放するネット支持棒3 端をヒンジ結合してネット
支持体4 を構成し、バケット10の外側壁所定位置に配し
た各ネット支持体4 間の略Ｌ字状の空間には連続してネ
ット5 を張設して落下物の捕捉を行い、収容時には、ネ
ット支持棒3 を回動して閉じ、各ネット支持体4 を移動
して１箇所に集束する構成である。 【効果】 バケットに予め取り付けておくことにより、
作業の度に取付ける煩わしさが無く、よって作業者の使
用回避がなくなる。又ネット支持部が上下左右に遊動
し、よって衝撃荷重の吸収緩和を行い、落下物のネット
外への跳ね出しを防止する等の実用的効果がある。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、電気工事、通信線工事等に使用する高所作業車より工具とか電線等 の機材が落下するのを防止する落下物捕捉装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術および課題】

高所作業車のブーム先端に取り付けた作業用ゴンドラの側面に工具等の落下防 止装置を設置する構成は従来より試みられている。

【０００３】 例えば実開昭６０−２０２１００号公報においては、ゴンドラの作業方向外側 面に袋状に拡開する装置を設置するものが開示されているが、ゴンドラ内におけ る作業は一側面だけに限定されるものでは無く、他側面への考慮を必要とするも のであった。

【０００４】 又、実開昭６３−１８３１９６号においては、ゴンドラのブーム取付面を除く ３側壁面にそれぞれ挟持して、ヒンジにより展開延長可能な落下防止板を設け、 各落下防止板間の三角状の空間には、ビニール等のシートを配して落下物に対処 するものであった。よってゴンドラの作業面下には防止板等の配置ができるもの であるが、仮にゴンドラ一側面に電柱等が位置する際には、当該面への防止板の 設置は困難であり、電気工事、通信線工事等においては、この形態が常に見られ るものであった。又、防止板に樹脂を用いることは、工具、螺子類等が落下した 際、跳ねて外方へ再落下することもあり、課題を残すものであった。

【０００５】 又、実開平２−３３５１３号にはネットを使用し、ゴンドラ側壁面に掛止する 構成が述べられているが、ゴンドラへの常時固定がなされてない為、作業毎に装 置する必要があり、落下防止装置自体の落下の危険性、又作業者の煩わしさによ る使用回避が考えられた。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案においては、ゴンドラのブームへの取り付け部を除く３面に連続してレ ールを常設し、該レール上を自在に移動する所定数のネット支持部間に、合成繊 維製のネットを展張するものである。ネット支持部はレール上を滑動するローラ ー支持棒とその下端部にヒンジ結合されたネット支持棒より成り、ネット支持棒 を折り畳んだ上、ローラー支持棒を所定箇所へ移動させれば、ネットは一箇所に 集束されるものである。

【０００７】 よって、作業開始時には、ネット支持部の移動だけで簡単に作業面全面に連続 したネットの展張ができ、作業終了時には、一箇所への集束固定するものであり 、作業時の落下物に対しても、ネット支持部がレール上の自由移動することによ り衝撃荷重を吸収緩和して跳ね上がり現象を生じずに捕捉を行うものである。

【０００８】

【実施例】

以下、本考案の一実施例を示す。 高所作業車のブーム先端に取付けられたバケット10の外側壁面のうち、ブーム への取付面を除く３面に連続したレール1 を巡らす。本実施例においては、レー ル1 は細幅板材を、略コ字型に折曲を施して、４本用い、２本は上部レール、他 の２本は下部レールに構成する。各レール1 のコ字状一端はブーム取付部を利用 して取付け、他端は対向する外側壁面（以下、この面を正面といい、両側の面を 側面といい表わす）中央で互いに当接させて接続する。上下レール1 の間は所定 箇所を連結材11で連結して両レールの間隔を保つと共に、連結材11には押圧部材 12を配してバケット10壁面への押圧固定用とする。

【０００９】 押圧部材12は、連結材11の貫通した孔にナットを熔着し、そこへ螺嵌して締め 込むと、先端に備えたゴムパッド13がバケット10外壁面を押圧して枠状となった 上下レール1 の位置を固定するものであり、本実施例では正面に３箇所、両側面 に各々２箇所を配するものである。この方法でレール1 の位置固定を行うことに より、ＦＲＰ製のバケットに孔を設けることがなく、強度の低下が生じず、又、 絶縁性の確保も行えるものである。

【００１０】 以上のようにバケット10の周囲に巡らされたレール1 にはネット支持体4 を遊 動自在に嵌着する。本実施例においては、５本のネット支持体4 を用い、ブーム 取付面を除く、正面、両側面の作業面を綱羅するようネット5 を展張するが、正 面壁を構築物に近接させて行う作業に限定されるような場合には、正面壁中央に 配置されるネット支持体4 は設けない方が適切な構成となる。

【００１１】 ネット支持体4 は、レール1 乗架用のローラー部21と、上部に該ローラー部21 を取り付け、下部に壁面ローラー22を設けたローラー支持棒2 と、該ローラー支 持棒2 の下端にヒンジ結合したネット支持棒3 、ネット支持棒3 の先端部とロー ラー支持棒2 間を連結し、ネット5 展開時の支持をする展張ロープ6 、およびロ ーラー支持棒2 の先端に設け、折り畳んだネット支持棒3 をローラー支持棒2 へ 固定する固定ロープ7 より成る。

【００１２】 ローラー部21は板状のレール1 を上下より挟持するローラー23を４ヶ備えて上 下レール1 へ乗架し、ローラー支持棒2 の左右振れを無くして安定した横移動を 行い、レール1 よりの脱落を防止する。

【００１３】 又、ローラー部21のレール1 への乗架をより安定して行うため、ローラー支持 棒2 下部のバケット底面近くを移動する壁面ローラー22を設ける。この壁面ロー ラー22によって、ローラー支持棒2 をバケット壁面と平行に保ち、ローラー22と レール1 の間が抉ることなくスムーズに移動するものである。

【００１４】 レール1 上へ配置した５本のネット支持体4 は、バケットの四隅に各１本、又 正面壁中央に１本が作業時の定位置であり、ブーム取付面のネット支持棒3 間に は、連結ロープ8 を張って、ネット5 の展張を補強する。

【００１５】 ネット5 は連続した１枚で正面、両側面に展張するものであり両端は、ブーム 取付面のネット支持体4 に固定する。各ネット支持体4 へのネット取付状況は図 １に示すが、ネット支持棒3 先端及びローラー支持棒2 の下部レールローラー部 21に設けたネット支持環25にそれぞれ端部を係止し、ネット支持体4 間では落下 物捕捉時の跳ね上がりを防ぐため、余裕をもって垂れ下がっているものである。

【００１６】 以上の構成の本願であるが、高所作業車の移動時等には、各ネット支持体4 の ネット支持棒3 を回動させて固定ロープ7 を固定ロープ支持環24へ係止した後、 レール1 上を移動させて、レール1 一端へ集束し、レール1 上へストッパー9 を 固定するなどして、集束状態を保持する。

【００１７】 現場での使用時には、各ネット支持体4 を移動して、所定位置に配し、固定ロ ープ7 を外して、ネット支持棒3 をヒンジ回動させれば順次ネット5 の展張が行 えるものである。又、図７，８に示すように、ネット5 の展張面内に電柱等の障 害物があろうとも、合成繊維製のネット5 には伸縮性があり、ネット支持体4 が 左右へ移動可能であり又、支持棒3 がヒンジ回動するため、ある程度の自由度を 有して、バケットの配置が可能である。この自由度はブーム旋回時等、誤って、 構築物等へネット5 が当接しても、大きな被害が生じないものであり、実作業時 において有効である。

【００１８】 このネット支持体4 が左右上下へ遊動することは、落下物の捕捉を行う際にも 、ネットの伸縮性に付加して、衝撃力を緩和する要因と成り得、ネット5 外への 跳ね出しを防止すると共に、本願装置自体の損傷を防ぐものである。

【００１９】 以上、一実施例について述べたが、他の実施例としては、図１１に示すよう、 レール1 をパイプとすることによってローラーのレールへの当接方向を限定する ことなく、両者の抉りの現象を無くする方法、又、図１２に示すよう、バケット 上端縁にハンガー方式でレール1 を設置し、バケットからの取り外しを容易にす る方法等も他の構成は同一であり、効果は均等である。

【００２０】

【考案の効果】

本願考案のもたらす効果を列記すると、 本装置は高所作業車の設備として予め取り付けておくことにより、作業の度に取 り付ける煩わしさが無く、よって作業者の使用回避がなく、又、装置自体が落下 する危険性がない。

【００２１】 ネット支持部を折り畳んで１箇所に集束でき、その状態で高所作業車自体の移 動、又、バケットの移動ができ、狭隘な作業環境でも問題が生じにくい。

【００２２】 作業空間に電柱などの支障物がある場合でも、ネット支持部が上下左右で自由 度を有するため、支障物を回避して、又巻き込んでのネットの配置が可能である 。

【００２３】 落下物捕捉の際、ネット支持部が上下左右に遊動し、よって衝撃荷重の吸収緩 和を行い、ネット外への跳ね出しを防止する。

【００２４】 バケット内面の作業スペースには本装置設置による突起物が生じないため作業 に支障をきたさない。

【００２５】 以上のように本願考案によって、安全で、能率的な高所作業車用落下物捕捉装 置を得るものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本案装置の平面図。

【図２】本案装置の正面図。

【図３】ネット支持体の正面図。

【図４】ネット支持体の右側面図。

【図５】ネット支持体の上部斜視図。

【図６】ネット支持体の下部斜視図。

【図７】現場使用状態平面図。

【図８】現場使用状態正面図。

【図９】収納時の正面図。

【図10】収納時の右側面図。

【図11】他の実施例のネット支持体正面図。

【図12】他の実施例のハンガー方式でレールを設置した
一部正面図。

【符号の説明】

1 レール 2 ローラー支持棒 3 ネット支持棒 4 ネット支持体 5 ネット 6 展張ロープ 7 固定ロープ 8 連結ロープ 9 ストッパー 10 バケット 11 連結材 12 押圧部材 13 ゴムパッド 21 ローラー部 22 壁面ローラー 23 ローラー 24 固定ロープ支持環 25 ネット支持環

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【手続補正書】

【提出日】平成６年９月６日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】図面の簡単な説明

【補正方法】変更

【補正内容】

【図面の簡単な説明】

【図１】本案装置の平面図。

【図２】本案装置の正面図。

【図３】ネット支持体の正面図。

【図４】ネット支持体の右側面図。

【図５】ネット支持体の上部斜視図。

【図６】ネット支持体の下部斜視図。

【図７】現場使用状態平面図。

【図８】現場使用状態正面図。

【図９】収納時の正面図。

【図１０】収納時の右側面図。

【図１１】他の実施例のハンガー方式でレールを設置し
た一部正面図。

【符号の説明】 1 レール 2 ローラー支持棒 3 ネット支持棒 4 ネット支持体 5 ネット 6 展張ロープ 7 固定ロープ 8 連結ロープ 9 ストッパー 10 バケット 11 連結材 12 押圧部材 13 ゴムパッド 21 ローラー部 22 壁面ローラー 23 ローラー 24 固定ロープ支持環 25 ネット支持環

【手続補正２】

【補正対象書類名】図面

【補正対象項目名】全図

【補正方法】変更

【補正内容】

【図１】

【図２】

【図３】

【図４】

【図５】

【図６】

【図１１】

【図７】

【図８】

【図９】

【図１０】

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 高尾 昭弘 兵庫県加東郡滝野町下滝野４丁目62番地 藤井電工株式会社内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 高所作業車のバケット10外側壁に連続し
   てレール1 を巡らして固定し、該レール1 に吊架して移
   動する所定数のローラー支持棒2 の下端には、それぞれ
   Ｌ字状に開放するネット支持棒3 端をヒンジ結合してネ
   ット支持体4を構成し、バケット10の外側壁所定位置に
   配した各ネット支持体4 間の略Ｌ字状の空間には連続し
   てネット5 を張設して落下物の捕捉を行い、収容時に
   は、ネット支持棒3 を回動して閉じ、各ネット支持体4
   を移動して１箇所に集束する構成を特徴とする高所作業
   車用落下物捕捉装置。