JPH0762504A - 銅合金材の製造方法 - Google Patents

銅合金材の製造方法

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JPH0762504A
JPH0762504A JP21460793A JP21460793A JPH0762504A JP H0762504 A JPH0762504 A JP H0762504A JP 21460793 A JP21460793 A JP 21460793A JP 21460793 A JP21460793 A JP 21460793A JP H0762504 A JPH0762504 A JP H0762504A
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temperature
minutes
alloy
annealing
weight
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JP21460793A
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Motohisa Miyato
元久 宮藤
Yasuhiro Nakajima
安啓 中島
Shuhei Mori
周平 森
Yukiya Nomura
幸矢 野村
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱伝導性、電気伝導性、強度及び加工性が優
れており、リードフレーム材料並びにスイッチ及びリレ
ー等の電気部品用強磁性材料として好適の銅合金材の製
造方法を提供する。 【構成】 先ず、20乃至60重量%のFe、0.5乃
至3.0重量%のSi及び0.1乃至2.0重量%のZ
nを含有すると共に、0.4乃至4.0重量%のCo及
び0.1乃至2.0重量%のNiを総量で0.5乃至
4.0重量%含有し、残部がCu及び不可避的不純物か
らなる合金を、50℃/秒以上の冷却速度で連続鋳造
し、その後、600乃至900℃の温度で5分間乃至2
時間焼鈍する。次に、焼鈍後の合金板を冷間圧延し、こ
の冷間圧延板を300乃至600℃の温度で5分間乃至
10時間時効処理する。次いで、時効処理後の合金板を
10乃至70%の加工率で仕上げ圧延する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、膨張係数が低く、熱伝
導性、電気伝導性、強度、加工性及び耐熱性が優れ、I
C(集積回路)及びLSI(大規模集積回路)のリード
フレーム材料並びにスイッチ及びリレー用磁性体材料と
して好適の銅合金材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体用リードフレーム材料とし
ては、Fe−42重量%Ni合金及び銅系材料が使用さ
れている。Fe−42重量%Ni合金は、機械的性質が
優れていると共に、その線膨張係数がシリコン(Si)
チップの線膨張係数に近いという利点があり、半導体用
リードフレーム材料として広く使用されている。しか
し、Fe−42重量%Ni合金は、熱伝導率が約0.0
3cal/cm・sec・℃と極めて小さいため、高い
放熱性が要求される高集積度のICに適用する場合に
は、設計上、放熱性に対する細心の注意が必要である。
【0003】一方、銅系リードフレーム材料は、熱伝導
性がFe−42重量%Ni合金の10倍以上と優れてい
るものの、20乃至300℃の温度における線膨張係数
が17×10-6乃至18×10-6/℃と大きいため、こ
の銅系リードフレーム材料で構成したリードフレーム
と、線膨張係数が3.5×10-6/℃と小さいシリコン
チップとを接合すると、リードフレームとシリコンチッ
プとの間の熱膨張の差によりシリコンチップに応力が加
わり、シリコンチップが破壊されることがある。このた
め、銅系リードフレーム材料を使用できるシリコンチッ
プの大きさには制限がある。
【0004】また、近年、スイッチ及びリレー等の電気
部品用磁性材料として、熱伝導性及び電気伝導性が良好
であり、これらの電気部品の小型化が可能であることか
ら、強磁性を示す銅合金が使用される傾向にある。強磁
性を示す銅合金としては、Feを約30〜60重量%含
有するCu−Fe合金が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来のリードフレーム材料及び電気部品用磁性材料に
は、以下に示す問題点がある。即ち、近年、ICの高集
積化が促進されており、半導体チップからの発熱は益々
増大している。また、ICの機能が高度になるのに伴っ
て、半導体チップは大型化する傾向がある。このため、
上述したFe−42重量%Ni合金では、熱伝導率が小
さいために発熱量が大きいチップへの対応が極めて困難
になっている。一方、従来の銅系リードフレーム材料で
は、線膨張係数が半導体チップの線膨張係数と大きく異
なるため、大型化した半導体チップには対応できない。
【0006】また、上述した従来の強磁性Cu−Fe合
金には、以下に示す問題点がある。即ち、前記Cu−F
e合金は、凝固温度が広いので、冷却速度が小さい金型
を使用して鋳造する場合又は断面積が大きい形状に連続
鋳造する場合等のように凝固時の冷却速度が小さい条件
で鋳造すると、Feを主体とする第2相が粗大化及び偏
析しやすい。Feを主体とする第2相は、Cuマトリッ
クス(第1相)よりも硬いため、この第2相が粗大化及
び偏析すると、圧延割れ、成形加工時の割れ及び最終製
品での特性のばらつき等が発生する。
【0007】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、熱伝導性、電気伝導性、強度及び加工性が
優れており、リードフレーム材料並びにスイッチ及びリ
レー等の電気部品用強磁性材料として好適の銅合金材の
製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る銅合金材の
製造方法は、20乃至60重量%のFe、0.5乃至
3.0重量%のSi及び0.1乃至2.0重量%のZn
を含有すると共に、0.4乃至4.0重量%のCo及び
0.1乃至2.0重量%のNiを総量で0.5乃至4.
0重量%含有し、残部がCu及び不可避的不純物からな
る合金を、50℃/秒以上の冷却速度で連続鋳造して鋳
造合金板を得る工程と、この鋳造合金板を600乃至9
00℃の温度で5分間乃至2時間焼鈍する工程と、焼鈍
後の合金板を冷間圧延する工程と、この冷間圧延後の合
金板を300乃至600℃の温度で5分間乃至10時間
時効処理する工程と、時効処理後の合金板を10乃至7
0%の加工率で仕上げ圧延する工程とを有することを特
徴とする。
【0009】
【作用】以下、本発明に係る銅合金材の製造方法におけ
る各成分の添加理由及びその組成限定理由について説明
する。
【0010】Fe(鉄) Feは、後述するCo及びNiと共にCuマトリックス
中にFeを主体とする第2相を形成し、銅合金の線膨張
係数の低下に寄与する。即ち、Feを主体とする第2相
は、20乃至300℃の温度における線膨張係数が約8
×10-6乃至10×10-6/℃と小さいため、この第2
相がCuマトリックス中に存在すると、その体積率に応
じて全体の線膨張係数が低下する。また、Feは、銅合
金に強磁性を付与するという効果もある。即ち、Feを
主体とする第2相は強磁性体であるため、この第2相が
Cuマトリックス中に存在すると、その体積率に応じて
合金の透磁率が増大する。しかし、Feの含有量が20
重量%未満であると、形成される第2相の体積率が少な
いために線膨張係数の低下及び透磁率の増大が十分でな
い。一方、Fe含有量が60重量%を超えると、形成さ
れる第2相の体積率が多くなり、導電性に寄与するCu
マトリックスの体積率が少なくなるため、材料の導電率
が低下する。このため、Fe含有量は20乃至60重量
%とする。
【0011】Co(コバルト)及びNi(ニッケル) Co及びNiはいずれもその大半がFeを主体とする第
2相中に存在し、この第2相の線膨張係数を低下させる
と共に、第2相の透磁率を増大させる。また、Co及び
Niの一部はCuマトリックス中に固溶した後、時効処
理によって後述するSiと金属間化合物を形成し、Cu
マトリックス中に微細に析出してCuマトリックスの強
度を向上させる。しかし、Co及びNi含有量が夫々
0.4重量%及び0.1重量%未満の場合並びにCo及
びNiの総量が0.5重量%未満の場合は、上述した効
果を十分に得ることができない。一方、Co含有量が
4.0重量%を超える場合、Ni含有量が2.0重量%
を超える場合並びにCo及びNiの総量が4.0重量%
の場合は、上述の効果は増大するものの、Cuマトリッ
クスの導電率の低下が大きくなる。従って、Co含有量
は0.4乃至4.0重量%とし、Ni含有量は0.1乃
至2.0重量%とし、Co及びNiの総量は0.5乃至
4.0重量%とする。
【0012】Si(シリコン) Siは、上述したように、Co及びNiと金属間化合物
を形成し、Cuマトリックスの強度を向上させるという
効果がある。しかし、Si含有量が1.0重量%未満で
あると、強度の向上効果を十分に得ることができない。
一方、Si含有量が3.0重量%を超えると、導電率が
低下し、リードフレーム等に加工する際の加工性が低下
する。このため、Si含有量は1.0乃至3.0重量%
とする。
【0013】Zn(亜鉛) Znには、リードフレーム等に接合するはんだの耐剥離
性を向上させる作用がある。しかし、Zn含有量が0.
1重量%未満であると、はんだの耐剥離性向上効果を十
分に得ることができない。一方、Zn含有量が1.0重
量%を超えると、その効果が飽和して無駄であるだけで
なく、導電率が低下してしまう。このため、Zn含有量
は0.1乃至1.0重量%とする。
【0014】本発明においては、上述の組成の合金を5
0℃/秒以上の冷却速度で連続鋳造して、鋳造合金板
(例えば、薄板鋳塊)を得る。この鋳造合金板は、Cu
マトリックスにFeを主体とする第2相が分散した複合
組織となっている。Feを主体とする第2相は、Cu、
Co、Ni及びSi等を含む金属間化合物であり、Cu
マトリックスに比して硬い。このため、この第2相の寸
法が大きいと、冷間圧延中に板割れが発生しやすくなる
と共に、リードフレーム形状又はスイッチ及びリレー等
の端子形状に打ち抜き加工するときの剪断加工性が悪化
し、更にリードフレーム等に加工した後の曲げ加工性、
疲労強度及びめっきの密着性が低下する。このFeを主
体とする第2相の寸法は、鋳造時の冷却速度が速いほど
微細化し、その後の製造工程中の熱処理及び冷間加工で
はその寸法が殆ど変化しない。従って、良好な冷間圧延
性、剪断加工性、曲げ加工性、疲労強度及びめっき密着
性を確保するためには、Feを主体とする第2相の寸法
が例えば5μm以下となるように、冷却速度を50℃/
秒以上とすることが必要である。
【0015】このようにして得た鋳造合金板は、その質
量が小さいために、凝固時のみならず、凝固後の冷却速
度も大きく、Feを主体とする第2相がマルテンサイト
変態によって硬くて脆い相となっている。このため、そ
のまま冷間圧延を実施すると、冷間圧延中に板割れが発
生しやすい。この鋳造合金板の冷間圧延中の割れを防止
するためには、600乃至900℃の温度で5分間乃至
2時間の焼鈍を施して、Feを主体とする第2相を軟化
させることが必要である。このときの焼鈍温度が600
℃未満であると、Feを主体とする第2相の軟化が十分
でないため、冷間圧延中の割れを防止する効果が小さ
い。一方、鋳造合金板を900℃を超える温度で焼鈍し
ても、Feを主体とする第2相の軟化効果が飽和して、
無駄である。また、焼鈍時間が5分間未満の場合は、上
述の温度で焼鈍しても、Feを主体とする第2相の軟化
が十分でなく、焼鈍時間が2時間を超えると、Feを主
体とする第2相の軟化効果が飽和して、無駄である。従
って、冷間圧延前には、前記鋳造合金板に対し、600
乃至900℃の温度で5分間乃至2時間の焼鈍を施すこ
とが必要である。なお、焼鈍後の冷却速度は10〜10
0℃/秒であることが好ましい。
【0016】焼鈍後は、冷間圧延及び時効処理を施す。
この場合に、鋳造合金板の板厚が厚いと、焼鈍後の圧延
加工率が大きくなるため、Cuマトリックス及びFeを
主体とする第2相が加工硬化し、圧延途中に板割れが発
生することがある。このため、Cuマトリックス及びF
eを主体とする第2相を軟化させて加工性を回復させる
ためには、圧延途中において中間焼鈍を施すことが好ま
しい。即ち、前記鋳造後の合金板を冷間粗圧延した後、
中間焼鈍を施し、更に冷間圧延を行うことが好ましい。
この場合に、中間焼鈍時の温度が600℃未満である
と、Feを主体とする第2相の軟化が十分でなく、ま
た、900℃を超える温度で焼鈍してもFeを主体とす
る第2相の軟化の効果が飽和して無駄である。また、焼
鈍時間が5分間未満であると、焼鈍による軟化が発生せ
ず、2時間を超えて焼鈍しても上述の効果が飽和して無
駄である。このため、中間焼鈍を施す場合は、焼鈍温度
を600乃至900℃とし、焼鈍時間を5分間乃至2時
間とする。
【0017】このようにして冷間圧延した後、この圧延
後の合金板に対し時効処理を実施する。冷間圧延された
合金板は、CuマトリックスとFeを主体とする第2相
との複合組織となっているが、Cuマトリックス中には
Fe、Ni、Co及びSi等の元素が固溶しているた
め、Cuマトリックスの導電率は低い。従って、このま
までは熱伝導性も十分でなく、リードフレーム等の材料
として満足できるものではない。このため、冷間圧延後
の合金板に対し時効処理を施して、Cuマトリックスに
固溶している上記元素をγ−Fe、Co−Si及びNi
−Si等の金属間化合物として均一微細に析出させる必
要がある。この時効処理によって、Cuマトリックスの
導電率及び強度が同時に向上する。しかし、時効処理温
度が300℃未満であると、金属間化合物の析出量が少
ないために上述した効果を十分に得ることができず、時
効処理温度が600℃を超えると元素の再固溶が始ま
る。また、時効処理時間が5分間未満であると、金属間
化合物の析出が少なく、その効果が不十分であり、10
時間を超えて時効処理を実施しても、上述の効果は飽和
して、無駄である。従って、時効処理温度は300乃至
600℃とし、時効処理時間は5分間乃至10時間とす
ることが必要である。
【0018】このようにして時効処理した合金板を、1
0乃至70%の加工率で仕上げ圧延する。この仕上げ圧
延によって加工歪みが導入され、強度が向上する。しか
し、加工率が10%未満の場合は、強度の向上が十分で
ない。また、加工率が70%を超えると、リードフレー
ム又はスイッチ及びリレーの端子としての必要な曲げ加
工性が低下する。このため、仕上げ圧延時の加工率は1
0乃至70%とする。
【0019】なお、曲げ加工性又はリードフレームとし
ての加工性が更に要求される場合には、Cuマトリック
スの延性を回復させるために、400乃至700℃の温
度で30秒間乃至5分間の短時間熱処理を実施すること
が好ましい。このときの熱処理温度が400℃未満の場
合又は処理時間が30秒間未満の場合は、Cuマトリッ
クスの延性を回復させる効果を十分に得ることができな
い。一方、このときの熱処理温度が700℃を超える場
合又は処理時間が5分間を超える場合は、Cuマトリッ
クスが軟化し、強度が著しく低下する。従って、仕上げ
圧延後に熱処理を実施する場合は、その熱処理温度を4
00乃至700℃とし、処理時間を30秒間乃至5分間
とする。
【0020】
【実施例】次に、本発明の実施例についてその比較例と
比較して説明する。先ず、本発明の実施例に係る製造方
法により製造した銅合金材のリードフレーム材としての
適性について調べた。
【0021】実施例1〜3,比較例1〜3 先ず、下記表1に示す組成を有する実施例1〜3及び比
較例1〜3の合金をアルゴンガス中で溶解し、双ロール
連続鋳造機を使用し連続鋳造して、板厚が0.8mmの
薄板鋳塊を得た。なお、鋳塊凝固時の冷却速度は約10
00℃/秒である。次に、この薄板鋳塊を800℃の温
度で約30分間焼鈍した後、冷間圧延して、板厚が0.
25mmの冷間圧延材を得た。次いで、この冷間圧延材
に500℃の温度で2時間の時効処理を施し、炉冷した
後、更に板厚が0.15mmになるまで冷間圧延した。
このようにして、板厚が0.15mmの実施例及び比較
例の供試材を得た。
【0022】
【表1】
【0023】これらの実施例及び比較例の各供試材の線
膨張係数、導電率、硬さ及びはんだの耐剥離性を調べ
た。その結果を下記表2に示す。なお、線膨張係数は温
度が20〜300℃のときの値である。また、はんだの
耐剥離性は、組成が60重量%Sn−40重量%Pbで
あり、温度が230℃のはんだ中に各供試材を5秒間だ
け浸漬しはんだ付けして、その供試材を150℃の温度
で1000時間加熱した後、折り曲げて、はんだの剥離
の有無を調べることにより評価した。
【0024】
【表2】
【0025】この表2から明らかなように、実施例1〜
3の供試材は、線膨張係数が15.5×10-6〜12.
8×10-6/℃であり、従来の銅系リードフレーム材料
の線膨張率17×10-6〜18×10-6/℃に比して著
しく小さくなっている。また、これらの実施例1〜3の
供試材の導電率は22乃至52%IACSであり、従来
のFe−42重量%Ni合金に比して著しく向上してい
る。更に、これらの実施例の供試材のビッカース硬さH
vは182〜215と高く、リードフレームの薄板化に
十分対応できるものである。更にまた、これらの実施例
1〜3の供試材は、はんだの耐剥離性も優れているもの
であった。一方、Feの含有量が少ない比較例1の供試
材は、線膨張係数が16.5×10-6/℃であり、従来
の銅系リードフレーム材料に比して線膨張係数の低下が
小さい。また、Fe含有量が多い比較例2の供試材は、
線膨張係数が11.9×10-6/℃と最も小さいもの
の、導電率が15%IACSと極めて低い。更に、Zn
含有量が少ない比較例3は、はんだの耐剥離性が十分で
ないものであった。
【0026】実施例4,比較例4 表1の実施例2に示す組成の合金をアルゴンガス中で溶
解し、双ロール連続鋳造機を使用し鋳造して、板厚が
1.5mmの薄板鋳塊を得た。このとき、鋳造条件を変
えることによって、凝固時の冷却速度を450℃/秒又
は45℃/秒とした。冷却速度が450℃/秒の場合を
実施例4、45℃/秒の場合を比較例4とする。これら
の薄板鋳塊を、約800℃の温度で30分間焼鈍した
後、冷間圧延して、板厚が0.5mmの冷間圧延材を得
た。次に、これらの冷間圧延材に、約500℃の温度で
2時間の時効処理を施し、炉冷した後、更に冷間圧延し
て板厚が0.25mmの板材を得た。この板材の表面を
研磨及び脱脂した後、シアン浴を使用して、その表面上
にAgめっきを施し、厚さが2μmのAgめっき層を形
成した。
【0027】次いで、めっき処理した板材(供試材)を
温度が450℃のホットプレート上に載せ、約3分間加
熱した後、めっき層表面のふくれの有無を顕微鏡で調べ
た。薄板鋳塊のFeを主体とする第2相の寸法の測定結
果及びめっき層表面の観察結果を下記表3に示す。
【0028】
【表3】
【0029】この表3から明らかなように、実施例4の
供試材は、凝固時の冷却速度が大きいため、Feを主体
とする第2相の平均寸法が約1μmと小さく、Agめっ
き層表面にふくれが発生せず、めっき層の密着性が良好
である。一方、比較例4の供試材は、凝固時の冷却速度
が小さいので、Feを主体とする第2相の寸法が5μm
以上(平均寸法が約10μm)となり、Agめっき層表
面にふくれが発生し、めっき層の密着性が劣るものであ
った。
【0030】実施例5,比較例5 表1の実施例2に示す組成の合金をアルゴンガス中で溶
解し、双ロール連続鋳造機を使用し鋳造して、板厚が
1.0mmの薄板鋳塊を得た。このときの凝固時の冷却
速度は約1000℃/秒である。この薄板鋳塊に800
℃の温度で約30分間の焼鈍を施し、その後冷間圧延を
行ったものを実施例5とした。また、前記薄板鋳塊をそ
のまま冷間圧延したものを比較例5とした。比較例5の
薄板は、0.6mmの厚さに圧延した時点で耳部に割れ
が発生した。一方、実施例5の薄板は、割れが発生する
ことなく0.25mmの厚さにまで圧延することができ
た。
【0031】実施例5について、上述した冷間圧延後に
約575℃の温度で4時間の時効処理を施し、更に、厚
さが0.125mmまで冷間圧延した。そして、この冷
間圧延材に対し、約550℃の温度で1分間の短時間焼
鈍を施し、供試材とした。この供試材の線膨張係数、導
電率、硬さ、曲げ加工性及びはんだの耐剥離性を調べ
た。なお、曲げ加工性は、供試材から幅が10mm、長
さが30mmの試験片を切り出し、曲げ半径が0.12
5mmの曲げ治具で幅10mmに対し1000kgの荷
重を加え、90°の角度に曲げる試験を実施することに
より調べた。そして、試験後に、走査電子顕微鏡で曲げ
部を観察し、割れが発生していなければ合格とした。ま
た、曲げ方向については、圧延方向に対して曲げ線が直
角(GW:Good Way)となる方向及び平行(BW:Bad
Way)となる方向の両方向について行った。これらの試
験結果を表4に示す。
【0032】
【表4】
【0033】この表4から明らかなように、実施例5の
供試材は、線膨張係数が小さく、導電率が良好であり、
ビッカース硬さが高いため、リードフレームの薄肉化に
対応することができる。また、リードフレームとして必
要な曲げ加工性も良好である。
【0034】図1は、横軸に温度をとり、縦軸にビッカ
ース硬さHvをとって、実施例5の薄板鋳塊を550〜
1000℃の温度で30分間焼鈍したときのFeを主体
とする第2相のビッカース硬さと焼鈍温度との関係を示
すグラフ図である。鋳造時(as−cast)の状態で
はFeを主体とする第2相のビッカース硬さHvは約4
00であるが、600〜900℃の温度で熱処理するこ
とにより、Feを主体とする第2相のビッカース硬さH
vは約230以下に軟化する。従って、冷間圧延中の割
れを防止するためにFeを主体とする第2相を軟化させ
るための焼鈍は、600〜900℃の温度で行う必要が
あることが明らかである。なお、焼鈍温度は、上記温度
範囲の中でもFeを主体とする第2相が最も軟化し、ビ
ッカース硬さHvが約200以下となる700〜900
℃とすることがより一層好ましい。
【0035】実施例6,比較例6 表1の実施例2に示す組成の合金をアルゴンガス中で溶
解し、双ロール連続鋳造機を使用し連続鋳造して、板厚
が2.4mmの薄板鋳塊を得た。このときの凝固時の冷
却速度は約350℃/秒である。比較例6として、この
薄板鋳塊に800℃の温度で30分間焼鈍した後、冷間
圧延を施した。その結果、板厚が0.55mmよりも薄
くなると、耳部に割れが発生した。一方、実施例6とし
て、前記鋳塊を約800℃の温度30分間焼鈍した後、
0.6mmまで冷間圧延し、その後約800℃の温度で
5分間の中間焼鈍を実施し、更に0.25mmまで圧延
した。その結果、薄板は割れることなく0.25mmの
厚さにまで圧延することができた。この実施例6の薄板
を、約550℃の温度で2時間時効処理した後、0.2
mmの厚さにまで冷間圧延した。そして、この圧延材の
線膨張係数、導電率、硬さ、はんだの耐剥離性及び0.
2mmR曲げ加工性を調べた。その結果を下記表5に示
す。
【0036】
【表5】
【0037】この表5から明らかなように、実施例6の
供試材は、線膨張係数が小さく、導電率が良好であると
共に、ビッカース硬さが高いため、リードフレームの薄
肉化に対応できる。また、リードフレームとして必要な
曲げ加工性も良好である。
【0038】次に、本実施例方法により製造した銅合金
材の強磁性材料としての特性を調べた。
【0039】実施例7〜9,比較例7〜9 下記表6に示す組成を有する実施例7〜9及び比較例7
〜9の合金をアルゴンガス中で溶解し、双ロール連続鋳
造機を使用し連続鋳造して、板厚が0.8mmの薄板鋳
塊を得た。このときの凝固時の冷却温度は約1000℃
/秒である。この薄板鋳塊を800℃の温度で約30分
間焼鈍した後、0.25mmの厚さまで冷間圧延し、冷
間圧延材を得た。この冷間圧延材に対し、約500℃の
温度で2時間の時効処理を施し、炉冷した後、更に冷間
圧延して板厚が0.15mmの実施例及び比較例の供試
材を得た。
【0040】
【表6】
【0041】これらの実施例及び比較例の各供試材につ
いて、透磁率、導電性、硬さ及びはんだの耐剥離性を調
べた。その結果を下記表7に示す。なお、はんだの耐剥
離性は、組成が60重量%Sn−40重量%Pbであ
り、温度が230℃のはんだ中に各供試材を5秒間だけ
浸漬しはんだ付けして、その供試材を150℃の温度で
1000時間加熱した後、供試材を折り曲げてはんだの
剥離の有無を調べることにより評価した。
【0042】
【表7】
【0043】この表7から明らかなように、実施例7〜
9の供試材は透磁率が95〜245であり、従来の強磁
性銅合金の透磁率(例えばC194:1.005)に比
して著しく大きくなっている。また、これらの実施例の
供試材の導電率は22〜52%IACSと高く、従来の
バネ用りん青銅(12%IACS)に比して著しく向上
している。更に、ビッカース硬さHvが182〜215
であり、スイッチ及びリレーの薄板化に十分対応できる
ものである。更にまた、はんだの耐剥離性も優れてい
る。一方、Feの含有量が少ない比較例7の供試材は、
透磁率が65と小さく、スイッチ及びリレー用磁性材料
として満足できるものではない。また、Feの含有量が
多い比較例8の供試材は、透磁率が最も大きいものの、
導電率が15%IACSと極めて低い。更に、Znの含
有量が少ない比較例9は、はんだの耐剥離性が悪いもの
であった。
【0044】実施例10,比較例10 表6の実施例8に示す組成の合金をアルゴンガス中で溶
解し、双ロール連続鋳造機を使用し連続鋳造して、板厚
が1.0mmの薄板鋳塊を得た。このときの凝固時の冷
却速度は約1000℃/秒である。前記薄板鋳塊に約8
00℃の温度で30分間の焼鈍を施し、その後冷間圧延
したものを実施例10とした。また、前記薄板鋳塊をそ
のまま冷間圧延したものを比較例10とした。比較例1
0においては、板厚を0.6mmにまで圧延したときに
耳部に割れが発生した。一方、実施例10については、
割れが発生せず、0.25mmの厚さにまで圧延するこ
とができた。
【0045】実施例10の圧延材について、約575℃
の温度で4時間の時効処理を施し、更に厚さが0.12
5mmになるまで冷間圧延した。その後、約550℃の
温度で1分間加熱し、供試材とした。そして、この供試
材の透磁率、導電率、硬さ、曲げ加工性及びはんだの耐
剥離性を調べた。なお、曲げ加工性は、幅が10mm、
長さが30mmの試料を切り出し、曲げ半径が0.12
5mmの曲げ治具で幅10mmに対して1000kgの
荷重を加えて90°の角度に曲げ、試験後、走査電子顕
微鏡で曲げ部を観察し、割れが発生していなければ合格
とした。曲げ方向は、圧延方向に対して曲げ線が直角
(GW:Good Way)となる方向及び平行(BW:Bad Wa
y)となる方向の両方について調べた。その結果を、下
記表8に示す。
【0046】
【表8】
【0047】この表8から明らかなように、実施例10
の銅合金材は、透磁率が190と大きく、導電率が良好
であると共に、ビッカース硬さHvが大きいため、スイ
ッチ及びリレーの薄肉化に十分に対応することができ
る。また、この実施例10の銅合金は、曲げ加工性も良
好である。
【0048】実施例11,比較例11 表6の実施例8に示す組成の合金をアルゴンガス中で溶
解し、双ロール連続鋳造機を使用し鋳造して、板厚が
2.4mmの薄板鋳塊を得た。このときの凝固時の冷却
速度は約350℃/秒である。比較例11として、前記
薄板鋳塊に約800℃の温度で30分間の焼鈍を施し、
その後冷間圧延を施した。この比較例11においては、
板厚が0.55mm以下になると耳部に割れが発生し
た。一方、実施例11として、約800℃の温度で30
分間の焼鈍を施した後、0.6mmにまで冷間圧延(冷
間粗圧延)し、その後、約800℃の温度で5分間の中
間焼鈍を実施し、更に0.25mmまで冷間圧延を行っ
た。その結果、実施例11においては、割れが発生する
ことなく、0.25mmの厚さまにで圧延することがで
きた。この圧延後、550℃の温度で2時間時効処理し
た後、0.2mmまで冷間圧延した。そして、この圧延
材の線膨張係数、導電率、硬さ、はんだの耐剥離性及び
0.2mmR曲げ加工性を調べた。その結果を下記表9
に示す。
【0049】
【表9】
【0050】この表9から明らかなように、実施例11
の供試材は、透磁率が大きく、導電率が良好で硬さが大
きいため薄肉化に対応でき、スイッチ及びリレー用材料
として極めて好適である。また、この実施例11の供試
材は、曲げ加工性も良好である。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、所
定量のFe、Si、Zn、Co、及びNiを含有し残部
がCu及び不可避的不純物からなる合金を所定の条件で
連続鋳造、焼鈍、冷間圧延、時効処理及び仕上げ圧延す
るから、熱伝導性、電気伝導性、強度及び加工性が優れ
ており、リードフレーム材料並びにスイッチ及びリレー
等の電気部品用強磁性材料として好適の銅合金材を製造
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の薄板鋳塊のFeを主体とする第2相の
ビッカース硬さと焼鈍温度との関係を示すグラフ図であ
る。
フロントページの続き (72)発明者 野村 幸矢 山口県下関市長府港町14番1号 株式会社 神戸製鋼所長府製造所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 20乃至60重量%のFe、0.5乃至
    3.0重量%のSi及び0.1乃至2.0重量%のZn
    を含有すると共に、0.4乃至4.0重量%のCo及び
    0.1乃至2.0重量%のNiを総量で0.5乃至4.
    0重量%含有し、残部がCu及び不可避的不純物からな
    る合金を、50℃/秒以上の冷却速度で連続鋳造して鋳
    造合金板を得る工程と、この鋳造合金板を600乃至9
    00℃の温度で5分間乃至2時間焼鈍する工程と、焼鈍
    後の合金板を冷間圧延する工程と、この冷間圧延後の合
    金板を300乃至600℃の温度で5分間乃至10時間
    時効処理する工程と、時効処理後の合金板を10乃至7
    0%の加工率で仕上げ圧延する工程とを有することを特
    徴とする銅合金材の製造方法。
  2. 【請求項2】 20乃至60重量%のFe、0.5乃至
    3.0重量%のSi及び0.1乃至2.0重量%のZn
    を含有すると共に、0.4乃至4.0重量%のCo及び
    0.1乃至2.0重量%のNiを総量で0.5乃至4.
    0重量%含有し、残部がCu及び不可避的不純物からな
    る合金を、50℃/秒以上の冷却速度で連続鋳造して鋳
    造合金板を得る工程と、この鋳造合金板を600乃至9
    00℃の温度で5分間乃至2時間焼鈍する工程と、焼鈍
    後の合金板を冷間粗圧延する工程と、この冷間粗圧延後
    の合金板に対し600乃至900℃の温度で5分間乃至
    2時間の中間焼鈍を施す工程と、中間焼鈍後の合金板を
    冷間圧延する工程と、この冷間圧延後の合金板を300
    乃至600℃の温度で5分間乃至10時間時効処理する
    工程と、時効処理後の合金板を10乃至70%の加工率
    で仕上げ圧延する工程とを有することを特徴とする銅合
    金材の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記仕上げ圧延後に400乃至700℃
    の温度で30秒間乃至5分間焼鈍する工程を有すること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の銅合金材の製造方
    法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110724892A (zh) * 2019-11-26 2020-01-24 北京科技大学 一种高强高导铜合金带材的制备加工方法

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