JPH0757721B2 - 冷却水系の殺藻、殺菌方法 - Google Patents
冷却水系の殺藻、殺菌方法Info
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- JPH0757721B2 JPH0757721B2 JP4022953A JP2295392A JPH0757721B2 JP H0757721 B2 JPH0757721 B2 JP H0757721B2 JP 4022953 A JP4022953 A JP 4022953A JP 2295392 A JP2295392 A JP 2295392A JP H0757721 B2 JPH0757721 B2 JP H0757721B2
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- hypobromite
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は工業用冷却水系、特に開
放循環式冷却水系における冷却水の殺藻、殺菌方法に関
するものである。
放循環式冷却水系における冷却水の殺藻、殺菌方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】冷却水系の殺藻、殺菌方法として、従
来、塩素(Cl2)、あるいは次亜塩素酸ナトリウム(N
aOCl)が一般に用いられてきた。ところで、最近では
水資源の不足から節水が強く叫ばれ、冷却水系は強制ブ
ローダウン(排水)を出来るだけ少なくする高濃縮度運
転が余儀なくされている。高濃縮度運転になると冷却水
中の塩濃度が高くなり、pHも8〜9と高くなって、塩素
による殺藻、殺菌効果が非常に小さくなってきている。
この効果の減少を補う為に塩素あるいは次亜塩素酸ナト
リウムの添加量の増量が行われているが、その結果、腐
食の増加、更にはトリハロメタン前駆物質生成の疑いが
増えるなど好ましくない事態が生じている。
来、塩素(Cl2)、あるいは次亜塩素酸ナトリウム(N
aOCl)が一般に用いられてきた。ところで、最近では
水資源の不足から節水が強く叫ばれ、冷却水系は強制ブ
ローダウン(排水)を出来るだけ少なくする高濃縮度運
転が余儀なくされている。高濃縮度運転になると冷却水
中の塩濃度が高くなり、pHも8〜9と高くなって、塩素
による殺藻、殺菌効果が非常に小さくなってきている。
この効果の減少を補う為に塩素あるいは次亜塩素酸ナト
リウムの添加量の増量が行われているが、その結果、腐
食の増加、更にはトリハロメタン前駆物質生成の疑いが
増えるなど好ましくない事態が生じている。
【0003】一方、その改善の一策としては塩素に代え
て臭素系の化合物を用いようとする試みがあり、臭素系
の殺藻、殺菌剤として上記塩素系化合物と同類の次亜臭
素酸(HOBr)が検討されている。この次亜臭素酸は
通常、ブロモクロロジメチルヒダイントインの加水分
解、次亜塩素酸と臭素イオンとの反応、あるいはブロモ
クロリド(BrCl)の加水分解によって得ている。
て臭素系の化合物を用いようとする試みがあり、臭素系
の殺藻、殺菌剤として上記塩素系化合物と同類の次亜臭
素酸(HOBr)が検討されている。この次亜臭素酸は
通常、ブロモクロロジメチルヒダイントインの加水分
解、次亜塩素酸と臭素イオンとの反応、あるいはブロモ
クロリド(BrCl)の加水分解によって得ている。
【0004】また、冷却水中に微量の臭素イオンを添加
しておき、この冷却水中に直接オゾンを吹き込み、次亜
臭素酸を生成させる方法も知られている(特開平3−23
2584号公報)。
しておき、この冷却水中に直接オゾンを吹き込み、次亜
臭素酸を生成させる方法も知られている(特開平3−23
2584号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の方法のうち、ブ
ロモクロロジメチルヒダイントインの加水分解、次亜塩
素酸と臭素イオンの反応あるいはブロモクロリドの加水
分解によって次亜臭素酸を生成させる方法は、いずれも
コスト的に不利であるばかりでなく、塩素化合物を用い
ることに変わりなく根本的な解決となるものではない。
ロモクロロジメチルヒダイントインの加水分解、次亜塩
素酸と臭素イオンの反応あるいはブロモクロリドの加水
分解によって次亜臭素酸を生成させる方法は、いずれも
コスト的に不利であるばかりでなく、塩素化合物を用い
ることに変わりなく根本的な解決となるものではない。
【0006】また、冷却水にオゾンを直接吹き込む方法
は、オゾンは水中にある微量の臭素イオンとだけ反応す
るのでなく、水中での加水分解、また水中に共存する被
酸化物との反応などと競争するので、オゾンからみれば
効率よいとはいえない。特に、工業用の開放式循環冷却
水系では、プロセスの漏れによる有機化合物の混入、周
囲からの有機性ガスの混入などがあり得るのでなおさら
である。例えば、R. Sugamは冷却水のオゾンによる直接
殺藻、殺菌を行う際、冷却水中にアンモニアが混入して
いるとオゾンはアンモニアと優先的に反応して消費さ
れ、オゾンの本来の殺藻、殺菌作用を得るには多量のオ
ゾンが必要であると述べている(Ozone Science & Eng
ineering誌、3巻、95〜107頁、1981年)。それ故、オ
ゾンを直接冷却水中に吹き込む場合には、たとえここに
臭素イオンを共存させておいても、オゾンを必要以上多
量に注入しなくてはならず、従ってオゾン発生機も大き
なものが必要となってくる等、数々の問題点を有してい
る。
は、オゾンは水中にある微量の臭素イオンとだけ反応す
るのでなく、水中での加水分解、また水中に共存する被
酸化物との反応などと競争するので、オゾンからみれば
効率よいとはいえない。特に、工業用の開放式循環冷却
水系では、プロセスの漏れによる有機化合物の混入、周
囲からの有機性ガスの混入などがあり得るのでなおさら
である。例えば、R. Sugamは冷却水のオゾンによる直接
殺藻、殺菌を行う際、冷却水中にアンモニアが混入して
いるとオゾンはアンモニアと優先的に反応して消費さ
れ、オゾンの本来の殺藻、殺菌作用を得るには多量のオ
ゾンが必要であると述べている(Ozone Science & Eng
ineering誌、3巻、95〜107頁、1981年)。それ故、オ
ゾンを直接冷却水中に吹き込む場合には、たとえここに
臭素イオンを共存させておいても、オゾンを必要以上多
量に注入しなくてはならず、従ってオゾン発生機も大き
なものが必要となってくる等、数々の問題点を有してい
る。
【0007】本発明は、このような臭素系の殺藻、殺菌
剤のもつ欠点を改善し、安価に、安全に、しかも容易に
次亜臭素酸を製造し、これを冷却水系に適用して冷却水
系の殺藻、殺菌を達成する方法を提供することを目的と
している。
剤のもつ欠点を改善し、安価に、安全に、しかも容易に
次亜臭素酸を製造し、これを冷却水系に適用して冷却水
系の殺藻、殺菌を達成する方法を提供することを目的と
している。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、冷却水系に
おける臭素系化合物を用いての殺藻、殺菌方法について
鋭意研究を重ねた結果、臭素イオンを比較的高濃度で含
む水の中にオゾンを吹き込んでも、ほぼ全量の臭素イオ
ンを容易に次亜臭素酸に変えることができ、これを冷却
水系に注入すれば、冷却水系の殺藻、殺菌が達成される
ことを見いだし本発明をなすに至った。すなわち、本発
明は、0.0005〜4モル濃度の臭素イオンを含む水
中にオゾンを吹き込んで臭素イオンの80%以上を次亜
臭素酸に変換した後、これを次亜臭素酸濃度が0.01
〜10ppmとなるようpH8〜9の弱アルカリ性冷却
水系に注入することよりなる工業用冷却水系の殺藻、殺
菌方法に関するものである。
おける臭素系化合物を用いての殺藻、殺菌方法について
鋭意研究を重ねた結果、臭素イオンを比較的高濃度で含
む水の中にオゾンを吹き込んでも、ほぼ全量の臭素イオ
ンを容易に次亜臭素酸に変えることができ、これを冷却
水系に注入すれば、冷却水系の殺藻、殺菌が達成される
ことを見いだし本発明をなすに至った。すなわち、本発
明は、0.0005〜4モル濃度の臭素イオンを含む水
中にオゾンを吹き込んで臭素イオンの80%以上を次亜
臭素酸に変換した後、これを次亜臭素酸濃度が0.01
〜10ppmとなるようpH8〜9の弱アルカリ性冷却
水系に注入することよりなる工業用冷却水系の殺藻、殺
菌方法に関するものである。
【0009】本発明で用いる臭素イオンは、水中でイオ
ン解離して臭素イオンを発生させるものであれば何から
得られたものであってもよく、例えば安価に入手出来、
水に対する溶解度の高い臭化ナトリウム、臭化カリウム
などの臭化物を水に溶かせばよい。しかし、重金属臭化
物、臭化アンモニウムなどは、対カチオンの重金属イオ
ン、アンモニウムイオンがオゾンによって酸化を受ける
ので好ましいとはいえない。臭素イオン溶液の濃度とし
ては、用いる臭化物の溶解度にも依るが、常温で水に容
易に溶解する濃度、0.0005〜4モル濃度(モル/l)、好
ましくは0.001〜1モル濃度(モル/l)である。0.0005
モル濃度より低いとオゾンの利用効率が悪く、4モル濃
度より高いと臭素化合物を溶解度が限界近く、溶解させ
るのに労力を要するようになり好ましくない。臭素イオ
ン溶液は安定であり、何日間も安定に保存出来るので、
その貯蔵タンクは大きくても良く、状況に合わせて設計
すればよい。
ン解離して臭素イオンを発生させるものであれば何から
得られたものであってもよく、例えば安価に入手出来、
水に対する溶解度の高い臭化ナトリウム、臭化カリウム
などの臭化物を水に溶かせばよい。しかし、重金属臭化
物、臭化アンモニウムなどは、対カチオンの重金属イオ
ン、アンモニウムイオンがオゾンによって酸化を受ける
ので好ましいとはいえない。臭素イオン溶液の濃度とし
ては、用いる臭化物の溶解度にも依るが、常温で水に容
易に溶解する濃度、0.0005〜4モル濃度(モル/l)、好
ましくは0.001〜1モル濃度(モル/l)である。0.0005
モル濃度より低いとオゾンの利用効率が悪く、4モル濃
度より高いと臭素化合物を溶解度が限界近く、溶解させ
るのに労力を要するようになり好ましくない。臭素イオ
ン溶液は安定であり、何日間も安定に保存出来るので、
その貯蔵タンクは大きくても良く、状況に合わせて設計
すればよい。
【0010】本発明におけるオゾン吹き込み量、及び吹
き込み時間については、オゾン化空気、あるいは酸素の
オゾン濃度、臭素イオン溶液の濃度、オゾンの吹き込み
方法、特にオゾンと臭素イオン溶液との接触度合い、外
気温度などに依るので一律で定めることが出来ない。オ
ゾンを含む空気、あるいは酸素を出来るだけ細かな気泡
にして臭素イオン溶液に吹き込むことが重要である。オ
ゾンを臭素イオン溶液に吹き込む際の温度は、オゾンの
安定性、及び生成する次亜臭素酸の安定性を考慮すれ
ば、常温あるいはそれ以下がよい。オゾン吹き込みタン
クは、冷却水系に注入する一回の次亜臭素酸から臭素イ
オンの必要量を計算し、その際の臭素イオン溶液の濃度
を考慮して容積を決定する。オゾン注入方法は、本発明
で特に制限するものではないが、オゾン発生機より高濃
度のオゾンを含む空気、あるいは酸素をタンク底部より
細かな気泡にして溶液内に吹き込み、該溶液に充分よく
接触させるようにするとよい。従って、オゾン吹き込み
タンクは縦長のほうがオゾンの反応効率がよいといえ
る。
き込み時間については、オゾン化空気、あるいは酸素の
オゾン濃度、臭素イオン溶液の濃度、オゾンの吹き込み
方法、特にオゾンと臭素イオン溶液との接触度合い、外
気温度などに依るので一律で定めることが出来ない。オ
ゾンを含む空気、あるいは酸素を出来るだけ細かな気泡
にして臭素イオン溶液に吹き込むことが重要である。オ
ゾンを臭素イオン溶液に吹き込む際の温度は、オゾンの
安定性、及び生成する次亜臭素酸の安定性を考慮すれ
ば、常温あるいはそれ以下がよい。オゾン吹き込みタン
クは、冷却水系に注入する一回の次亜臭素酸から臭素イ
オンの必要量を計算し、その際の臭素イオン溶液の濃度
を考慮して容積を決定する。オゾン注入方法は、本発明
で特に制限するものではないが、オゾン発生機より高濃
度のオゾンを含む空気、あるいは酸素をタンク底部より
細かな気泡にして溶液内に吹き込み、該溶液に充分よく
接触させるようにするとよい。従って、オゾン吹き込み
タンクは縦長のほうがオゾンの反応効率がよいといえ
る。
【0011】本発明を具体的に述べると、冷却水系の近
くにオゾン吹き込みタンクを設置し、ここに臭素イオン
を溶解した水溶液を入れ、オゾンを吹き込んだ後、オゾ
ン処理した溶液を冷却水系中に注入することで操作は終
了する。このとき、臭素イオン溶液の充填、オゾンの吹
き込み、オゾン処理溶液の冷却水系への注入の各操作を
それぞれ単独に作業者が行ってもよいが、作業効率を上
げるならば、別のタンクに臭素イオン溶液を用意してお
き、一定時間毎にここから必要量の溶液を採取し、オゾ
ン吹き込み、更に冷却水系への注入をタイマー設定する
などして自動化することが可能となる。
くにオゾン吹き込みタンクを設置し、ここに臭素イオン
を溶解した水溶液を入れ、オゾンを吹き込んだ後、オゾ
ン処理した溶液を冷却水系中に注入することで操作は終
了する。このとき、臭素イオン溶液の充填、オゾンの吹
き込み、オゾン処理溶液の冷却水系への注入の各操作を
それぞれ単独に作業者が行ってもよいが、作業効率を上
げるならば、別のタンクに臭素イオン溶液を用意してお
き、一定時間毎にここから必要量の溶液を採取し、オゾ
ン吹き込み、更に冷却水系への注入をタイマー設定する
などして自動化することが可能となる。
【0012】このオゾン吹き込みにより臭素イオンを80
%以上、通常は95%以上、特に99%以上を次亜臭素酸
(非解離型とイオンの和)とすることができる。尚、未
反応で残った臭素イオンは、冷却水系にそのまま入って
も、実質何ら害を及ぼすことはない。
%以上、通常は95%以上、特に99%以上を次亜臭素酸
(非解離型とイオンの和)とすることができる。尚、未
反応で残った臭素イオンは、冷却水系にそのまま入って
も、実質何ら害を及ぼすことはない。
【0013】次亜臭素酸水溶液は、オゾンほど不安定な
ものではないが、酸化力が強く、自己分解する性質を有
しているので、生成させた後は直ぐに冷却水の中に注入
するのがよい。すなわち、生成せしめた次亜臭素酸は長
期間保存せず、生成させた分は出来るだけ速やかに冷却
水中に注入するようにするのが好ましい。
ものではないが、酸化力が強く、自己分解する性質を有
しているので、生成させた後は直ぐに冷却水の中に注入
するのがよい。すなわち、生成せしめた次亜臭素酸は長
期間保存せず、生成させた分は出来るだけ速やかに冷却
水中に注入するようにするのが好ましい。
【0014】本発明において、冷却水中に注入する次亜
臭素酸の量については、潜在的に発生する藻、微生物ス
ライムなど冷却水系の状況により異なるが、冷却水に対
して0.01〜10ppm、好ましくは0.05〜5p
pmである。0.01ppmより低いと殺藻、殺菌効果
が悪くなり、又、10ppmより高いとその効果は充分
あるがコスト的に有利でなくなる。このような殺藻、殺
菌剤の注入は、通常連続注入ではなく間欠注入方法を採
用するが、その注入頻度は一回あたり注入量、及び冷却
水、及び冷却水系の状況から決められるもので、本発明
で特に限定するものではない。むしろ次亜臭素酸の注入
量、注入頻度などは、冷却水中の微生物の数を測定して
最適化していく必要がある。
臭素酸の量については、潜在的に発生する藻、微生物ス
ライムなど冷却水系の状況により異なるが、冷却水に対
して0.01〜10ppm、好ましくは0.05〜5p
pmである。0.01ppmより低いと殺藻、殺菌効果
が悪くなり、又、10ppmより高いとその効果は充分
あるがコスト的に有利でなくなる。このような殺藻、殺
菌剤の注入は、通常連続注入ではなく間欠注入方法を採
用するが、その注入頻度は一回あたり注入量、及び冷却
水、及び冷却水系の状況から決められるもので、本発明
で特に限定するものではない。むしろ次亜臭素酸の注入
量、注入頻度などは、冷却水中の微生物の数を測定して
最適化していく必要がある。
【0015】冷却水系においては、殺藻、殺菌剤と一緒
に界面活性剤をベースにした分散剤がしばしば併用され
効果を発揮することが多い。本発明方法においては、オ
ゾンを吹き込む前の臭素イオン水に分散剤を入れておく
ことは、分散剤がオゾンにより分解されることを考慮す
ると好ましくなく、従って分散剤を加えるとすればオゾ
ン吹き込みが終わった後そこに加えるか、或いは次亜臭
素酸とは別に冷却水系に加えるようにするとよい。いず
れにしても分散剤の添加、及び添加方法については、本
発明に何ら制限を加えるものではない。
に界面活性剤をベースにした分散剤がしばしば併用され
効果を発揮することが多い。本発明方法においては、オ
ゾンを吹き込む前の臭素イオン水に分散剤を入れておく
ことは、分散剤がオゾンにより分解されることを考慮す
ると好ましくなく、従って分散剤を加えるとすればオゾ
ン吹き込みが終わった後そこに加えるか、或いは次亜臭
素酸とは別に冷却水系に加えるようにするとよい。いず
れにしても分散剤の添加、及び添加方法については、本
発明に何ら制限を加えるものではない。
【0016】
【作用】塩素は水中では、次亜塩素酸(HOCl)とな
り、この次亜塩素酸は水中で更に次のような解離の平衡
関係を有している。 HOCl⇔H++OCl-
り、この次亜塩素酸は水中で更に次のような解離の平衡
関係を有している。 HOCl⇔H++OCl-
【0017】殺藻、殺菌の効果を示すのは、次亜塩素酸
であり、解離して生じた次亜塩素酸イオン(OCl−)
はその効果を示さない。ところでこの平衡はpHに依存
しており、pHが7.5では50%が、pHが8.7で
は90%が解離しており、塩基性になる程効果が少なく
なることになる。従って、冷却水を交換しないで長時間
使用すると、pHが上昇して非解離型である次亜塩素酸
の割合が減少して殺藻、殺菌作用が低下する。
であり、解離して生じた次亜塩素酸イオン(OCl−)
はその効果を示さない。ところでこの平衡はpHに依存
しており、pHが7.5では50%が、pHが8.7で
は90%が解離しており、塩基性になる程効果が少なく
なることになる。従って、冷却水を交換しないで長時間
使用すると、pHが上昇して非解離型である次亜塩素酸
の割合が減少して殺藻、殺菌作用が低下する。
【0018】次亜臭素酸も同様、次のような平衡関係が
あり、pHに依存して一部イオン解離する。 HOBr⇔H++OBr-
あり、pHに依存して一部イオン解離する。 HOBr⇔H++OBr-
【0019】解離の割合は、pH7.5では10%、pH8.7では
50%であり、弱アルカリ性域においては次亜塩素酸より
イオン解離の割合がはるかに小さい。
50%であり、弱アルカリ性域においては次亜塩素酸より
イオン解離の割合がはるかに小さい。
【0020】本発明の方法は、臭素イオン水溶液にオゾ
ンを吹き込むと、臭素イオンは容易に酸化されて、次亜
臭素酸になることを利用したものである。生成した次亜
臭素酸イオンは、前述のように水中では次亜臭素酸と平
衡関係にあるので、該水溶液のpHによって一部は次亜臭
素酸に、一部は次亜臭素酸イオンとなって存在する。こ
のうち殺藻、殺菌作用を示すのは次亜臭素酸である。 Br-+O3→BrO-+O2 BrO-+H+⇔HOBr
ンを吹き込むと、臭素イオンは容易に酸化されて、次亜
臭素酸になることを利用したものである。生成した次亜
臭素酸イオンは、前述のように水中では次亜臭素酸と平
衡関係にあるので、該水溶液のpHによって一部は次亜臭
素酸に、一部は次亜臭素酸イオンとなって存在する。こ
のうち殺藻、殺菌作用を示すのは次亜臭素酸である。 Br-+O3→BrO-+O2 BrO-+H+⇔HOBr
【0021】
実施例1 次亜臭素酸の生成:臭化ナトリウム0.10gを水1lに溶
解し(0.001モル/l)し、この中に20g/Nm3のオゾン化酸
素0.5l/secを20分間細かい気泡状にして吹き込んだ(オ
ゾン気泡出口からの液高=約1m、吹き込みオゾン量=
0.004モル)。溶液中の臭化ナトリウムはほぼ100%次亜
臭素酸となった。
解し(0.001モル/l)し、この中に20g/Nm3のオゾン化酸
素0.5l/secを20分間細かい気泡状にして吹き込んだ(オ
ゾン気泡出口からの液高=約1m、吹き込みオゾン量=
0.004モル)。溶液中の臭化ナトリウムはほぼ100%次亜
臭素酸となった。
【0022】試料水中への注入:自然の河川水5lをと
り、この中に上の次亜臭素酸溶液を150ml加え混合した
(次亜臭素酸としての注入量;3.0ppm)。一時間後、試
料水中の菌数を測定した。 次亜臭素酸水溶液注入前の菌数=7.3×103ヶ/ml 次亜臭素酸水溶液注入後の菌数=9ヶ/ml
り、この中に上の次亜臭素酸溶液を150ml加え混合した
(次亜臭素酸としての注入量;3.0ppm)。一時間後、試
料水中の菌数を測定した。 次亜臭素酸水溶液注入前の菌数=7.3×103ヶ/ml 次亜臭素酸水溶液注入後の菌数=9ヶ/ml
【0023】実施例2 次亜臭素酸の生成:臭化カリウム0.15gを水1lに溶解
し(0.0013モル/l)し、この中に20g/Nm3のオゾン化酸
素0.5l/secを20分間細かい気泡状にして吹き込んだ(オ
ゾン気泡出口からの液高=約1m、吹き込みオゾン量=
0.004モル)。溶液中の臭化カリウムはほぼ100%次亜臭
素酸となった。
し(0.0013モル/l)し、この中に20g/Nm3のオゾン化酸
素0.5l/secを20分間細かい気泡状にして吹き込んだ(オ
ゾン気泡出口からの液高=約1m、吹き込みオゾン量=
0.004モル)。溶液中の臭化カリウムはほぼ100%次亜臭
素酸となった。
【0024】冷却水中への注入:60lの保有水量を有す
るテスト冷却塔に、全長100cmのテスト熱交換器を連結
し、ポンプにより0.5m/secの水流速で循環した。熱交
換器の伝熱部を電気ヒーターにより加熱して40,000Kacl
/m2・hrの熱流速を加え、循環水を加熱すると共に冷却
水の出口を45℃に調節した。冷却塔の蒸発水量は3.3l/h
rであり、循環水の濃縮度一定になるように定量ポンプ
によりブローダウンを行うと共に、スケール防止剤をケ
ミカルフィーダにより補給して、循環水の薬品濃度が一
定になるように維持した。循環水の水質はpH8.6、電気
伝導度460μmho/cm、M-アルカリ度80ppm、全硬度145pp
m、カルシウム硬度110ppm、シリカ65ppm、循環水の濃縮
度は5であった。尚、原水として微生物コントロール剤
の入っていない自然河川水を用い、微生物コントロール
剤のないまま5日間運転した後、循環水中の微生物量を
測定した。その後で、上記で生成した次亜臭素酸水溶液
を全て注入し(次亜臭素酸としての注入量;2.1ppm)、
注入1時間後の循環水のサンプルをとり、水中の微生物
量を測定した。 次亜臭素酸水溶液注入前の菌数=8.4×105ヶ/ml 次亜臭素酸水溶液注入後の菌数=1.6×10ヶ/ml
るテスト冷却塔に、全長100cmのテスト熱交換器を連結
し、ポンプにより0.5m/secの水流速で循環した。熱交
換器の伝熱部を電気ヒーターにより加熱して40,000Kacl
/m2・hrの熱流速を加え、循環水を加熱すると共に冷却
水の出口を45℃に調節した。冷却塔の蒸発水量は3.3l/h
rであり、循環水の濃縮度一定になるように定量ポンプ
によりブローダウンを行うと共に、スケール防止剤をケ
ミカルフィーダにより補給して、循環水の薬品濃度が一
定になるように維持した。循環水の水質はpH8.6、電気
伝導度460μmho/cm、M-アルカリ度80ppm、全硬度145pp
m、カルシウム硬度110ppm、シリカ65ppm、循環水の濃縮
度は5であった。尚、原水として微生物コントロール剤
の入っていない自然河川水を用い、微生物コントロール
剤のないまま5日間運転した後、循環水中の微生物量を
測定した。その後で、上記で生成した次亜臭素酸水溶液
を全て注入し(次亜臭素酸としての注入量;2.1ppm)、
注入1時間後の循環水のサンプルをとり、水中の微生物
量を測定した。 次亜臭素酸水溶液注入前の菌数=8.4×105ヶ/ml 次亜臭素酸水溶液注入後の菌数=1.6×10ヶ/ml
【0025】
【発明の効果】臭素イオンを含む水中にオゾンを吹き込
むことにより次亜臭素酸水溶液を作り、これを工業用冷
却水系に注入することより、安価に、安全に、しかも容
易に殺藻、殺菌が可能になる。
むことにより次亜臭素酸水溶液を作り、これを工業用冷
却水系に注入することより、安価に、安全に、しかも容
易に殺藻、殺菌が可能になる。
【0026】このように臭素イオン溶液を別に作って、
ここにオゾンを吹き込んで次亜臭素酸溶液とすることの
利点としては、 臭素イオン高濃度とすることが出来るので、オゾンと
の反応効率が高いこと 臭素イオンを溶解するのにきれいな水がつかえるの
で、オゾンの副反応を最小限に抑えられること 塩素、ブロモクロリドなどのような危険な薬品を貯
蔵、運搬しなくて済み、安全性が高まること 安価な臭素化合物を使用出来るので、運転コストが大
幅に下げられること オゾン効率が高くなる結果、オゾン発生機は小さく済
み、また付帯設備も簡単となるので、設備投資が少なく
済むこと などが挙げられる。
ここにオゾンを吹き込んで次亜臭素酸溶液とすることの
利点としては、 臭素イオン高濃度とすることが出来るので、オゾンと
の反応効率が高いこと 臭素イオンを溶解するのにきれいな水がつかえるの
で、オゾンの副反応を最小限に抑えられること 塩素、ブロモクロリドなどのような危険な薬品を貯
蔵、運搬しなくて済み、安全性が高まること 安価な臭素化合物を使用出来るので、運転コストが大
幅に下げられること オゾン効率が高くなる結果、オゾン発生機は小さく済
み、また付帯設備も簡単となるので、設備投資が少なく
済むこと などが挙げられる。
Claims (2)
- 【請求項1】 0.0005〜4モル濃度の臭素イオン
を含む水中にオゾンを吹き込んで臭素イオンの80%以
上を次亜臭素酸に変換した後、これを次亜臭素酸濃度が
0.01〜10ppmとなるようpH8〜9の冷却水系
に注入することよりなる工業用冷却水系の殺藻、殺菌方
法。 - 【請求項2】 臭素イオンを含む水が臭化ナトリウム又
は臭化カリウム水溶液である請求項1記載の工業用冷却
水系の殺藻、殺菌方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4022953A JPH0757721B2 (ja) | 1992-02-07 | 1992-02-07 | 冷却水系の殺藻、殺菌方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4022953A JPH0757721B2 (ja) | 1992-02-07 | 1992-02-07 | 冷却水系の殺藻、殺菌方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05213706A JPH05213706A (ja) | 1993-08-24 |
JPH0757721B2 true JPH0757721B2 (ja) | 1995-06-21 |
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ID=12096981
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4022953A Expired - Fee Related JPH0757721B2 (ja) | 1992-02-07 | 1992-02-07 | 冷却水系の殺藻、殺菌方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0757721B2 (ja) |
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CN102464417B (zh) * | 2010-11-13 | 2013-10-16 | 中国石油化工股份有限公司 | 一种溴化丁基橡胶生产废水的综合利用方法 |
CN114291877A (zh) * | 2021-12-31 | 2022-04-08 | 北京恒动环境技术有限公司 | 一种臭氧-溴协同的循环冷却水消毒设备及方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6026081Y2 (ja) * | 1981-05-18 | 1985-08-06 | 三菱電機株式会社 | 生物付着抑制装置 |
-
1992
- 1992-02-07 JP JP4022953A patent/JPH0757721B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
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JPH05213706A (ja) | 1993-08-24 |
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