JPH0757565A - 低弛度架空送電線素線及びその製造方法 - Google Patents

低弛度架空送電線素線及びその製造方法

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JPH0757565A
JPH0757565A JP19848493A JP19848493A JPH0757565A JP H0757565 A JPH0757565 A JP H0757565A JP 19848493 A JP19848493 A JP 19848493A JP 19848493 A JP19848493 A JP 19848493A JP H0757565 A JPH0757565 A JP H0757565A
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JP
Japan
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wire
power transmission
zinc
low
transmission line
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JP19848493A
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English (en)
Inventor
Yosuke Ohata
要介 大畑
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Fujikura Ltd
Original Assignee
Fujikura Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐熱性が高く、長期間に亘る使用に対し信頼
性が高い低弛度架空送電線素線及びその製造方法を提供
する。 【構成】 鋼線又は鉄−ニッケル系合金線を浸炭処理
し、その表面に例えば10μmの厚さで炭化物層を形成
する。その後、この炭化物層を形成した鋼線又は鉄−ニ
ッケル系合金線の表面に亜鉛又は亜鉛合金をめっきす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、撚り合わされて低弛度
架空送電線を構成する低弛度架空送電線素線及びその製
造方法に関し、特に鋼線又はインバー線等の鉄(Fe)
−ニッケル(Ni)系合金線の表面に亜鉛(Zn)又は
亜鉛合金をめっきした低弛度架空送電線素線及びその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近時、都市への人口の集中により、この
都市に給電する送電線路の潮流(通電電流)が増大し、
送電線における通電発熱量が増加している。このため、
送電線自体の温度が従来に比して上昇してその線膨張が
大きくなり、送電線の弛度が大きくなっている。従っ
て、鉄塔間の送電線の高さを規定値以上に確保すること
ができなくなる場合がある。なお、鉄塔の高さを高くす
ることにより、送電線の所要地上高さを確保することも
できるが、地価の高騰により用地確保が困難であること
を考慮すると、この方法は現実性がない。
【0003】そこで、この送電線路の潮流の増大に伴
い、低弛度架空送電線が注目されている。この低弛度架
空送電線は、素線を撚り合わせて送電線を構成したもの
であり、この撚り線の中心部にテンションメンバーとし
て線膨張係数が小さい素線を配置し、その周囲に耐熱ア
ルミニウム(Al)線を配置することによって単線の送
電線よりも発熱時の弛度を小さくし、潮流の増大を可能
にしたものである。
【0004】この低弛度送電線におけるテンションメン
バーとしての素線は、従来、亜鉛めっきされたインバー
線が使用されている。
【0005】この亜鉛めっきインバー線は、従来、イン
バー線を伸線加工した後、酸洗い等の前処理をした上で
溶融フラックス槽中に通してその表面をフラックス処理
し、その後このインバー線を溶融亜鉛めっき槽中に通し
て亜鉛を溶融めっきすることにより製造されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、亜鉛め
っきインバー線からなる従来の低弛度架空送電線素線に
は、長期間に亘って使用した場合の信頼性が十分でない
という問題点がある。即ち、亜鉛めっきインバー線は、
大電流送電線の素線として使用されるため、高い温度で
使用される。このため、インバー線内へのめっき亜鉛の
拡散挙動が問題となる。つまり、めっき層を構成する亜
鉛が高温でインバー線内に拡散してしまい、めっき層が
消失して下地のインバー線が露出してしまう虞れがあ
る。このようにしてインバー線が露出すると、Al素線
との接触による電食及び大気腐食により腐食が促進さ
れ、ついには素線の断線が発生する。
【0007】この亜鉛の拡散によるめっき層の消失は、
通常20〜30年の単位で生じるものであるが、亜鉛拡
散によるめっき層の消失特性を加速試験するために、2
40℃に400時間加熱する熱処理を行った後、素線の
外観及び諸特性の変化を調べる耐熱性試験が提案されて
いる。低弛度架空送電線素線の開発に際しては、この耐
熱性試験をクリアできること、即ち耐熱性試験後におい
てインバー線露出による外観変色がないことと、引張強
さ、捻回特性及び疲労特性の低下が少ないこととが必要
とされている。しかし、従来の亜鉛めっきインバー線
は、耐熱性試験により捻回特性及び疲労特性が低下する
と共にそのばらつきが大きく、信頼性が十分でないとい
う問題点がある。
【0008】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、耐熱性試験による捻回特性及び疲労特性の
低下が少なく、耐熱性が極めて優れており、大電流が通
電される低弛度架空送電線用の素線として信頼性が極め
て高い低弛度架空送電線素線及びその製造方法を提供す
ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る低弛度架空
送電線素線は、鋼線又は鉄−ニッケル系合金線からなる
素線本体と、この素線本体の表面に形成された炭化物層
と、前記素線本体の表面上に形成された亜鉛又は亜鉛合
金めっき層とを有することを特徴とする。
【0010】本発明に係る低弛度架空送電線素線の製造
方法は、鋼線又は鉄−ニッケル系合金線からなる素線本
体を浸炭処理しその表面に炭化物層を形成する工程と、
この炭化物層が形成された素線本体に亜鉛又は亜鉛合金
をめっきする工程と、を有することを特徴とする。
【0011】
【作用】本願発明者等は、低弛度架空送電線用の素線の
耐熱性を向上させるべく、種々実験研究を重ねた。その
結果、亜鉛めっきインバー線においては、亜鉛の拡散に
より亜鉛とインバーとの合金により構成される脆い合金
層がインバー線の表面に形成され、この合金層に発生し
たクラックがインバー線の内部に向かって伝播するた
め、亜鉛めっきインバー線の捻回特性及び疲労特性が低
下することが判明した。即ち、インバー線表面の合金層
で発生したクラックは、インバー線と亜鉛めっき層との
界面に存在する析出炭化物(Mo2 C)よりもインバー
マトリックスに優先的に伝播し、その結果素線が破断に
至る。しかし、亜鉛とインバー合金との反応によって生
じる合金層の制御は極めて難しく、その制御方法は見い
出されていないのが実状であり、合金層の生成及びその
合金層でのクラックの発生を防止することは現状では不
可能である。
【0012】そこで、本願発明者等は、合金層に発生す
るクラックは回避することはできないものの、インバー
線内部へのクラックの伝播を防止することにより、捻回
特性及び疲労特性の低下を防止することができるとの思
想に基づき、種々実験研究を繰り返した。その結果、亜
鉛又は亜鉛合金をめっきする前のインバー線に浸炭処理
を施し、インバー線の表面に炭化物層を形成すること
で、インバー線表面の脆い合金層に生じるクラックのイ
ンバー線内部への伝播を防ぎ、耐熱性試験後の捻回特性
及び疲労特性の低下を抑制できるとの知見を得た。
【0013】本発明は、このような実験結果に基づいて
なされたものである。即ち、本発明に係る低弛度架空送
電線素線は、鋼線又は鉄−ニッケル系合金線からなる素
線本体の表面に炭化物層が形成されており、前記素線本
体の表面上には亜鉛又は亜鉛合金からなるめっき層が形
成されている。これにより、素線本体とめっき層との界
面に脆い合金層が形成されこの合金層にクラックが発生
しても、このクラックの伝播は前記炭化物層により阻止
され、素線内部へのクラックの伝播を回避することがで
きる。従って、耐熱性試験後の捻回特性及び疲労特性並
びにこれらの特性のばらつきを抑制することができる。
【0014】また、本発明においては、先ず、鋼線又は
鉄−ニッケル系合金線からなる素線本体を浸炭処理す
る。これにより、炭素が素線本体の表面に侵入し、素線
本体の表面に炭化物層が形成される。次いで、この炭化
物層が形成された素線本体の表面上に亜鉛又は亜鉛合金
をめっきしてめっき層を形成する。これにより、上述の
低弛度架空送電線素線を容易に製造することができる。
また、例えばめっき条件が不安定で素線の長手方向に局
部的に前記脆い合金層が厚く形成されても、前記炭化物
層により捻回特性及び疲労特性のばらつきを抑制できる
ため、素線の長手方向に亘る特性が均一化されるという
効果もある。
【0015】
【実施例】次に、本発明に係る低弛度架空送電線素線を
実際に製造し、その耐熱性試験前後における捻回特性及
び疲労特性を調べた結果を、従来例と比較して説明す
る。
【0016】先ず、析出硬化型インバー線を伸線加工
し、直径が3.38mmのインバー線を得た。そして、
このインバー線を、CO含有量が約20体積%、H2
有量が約40体積%、N2含有量が約40体積%の組成
の吸熱型ガス中で加熱し、浸炭処理を施した。その後、
このインバー線を冷却し焼入れした。なお、前記吸熱型
ガスは、メタンガス(CH4)、エタンガス(C26
及びプロパンガス(C38)に空気を混合し、この混合
ガスをNi触媒を用いて分解して、生じたガス中のH2
Oを除去したものである。また、前記浸炭処理は、イン
バー線の表面から約10μmの深さにまで炭素が浸透す
るようにした。
【0017】次に、このインバー線を約200℃の温度
に加熱して焼き戻した後、通常の方法により亜鉛めっき
を施した。即ち、インバー線を、脱脂→酸洗→水洗い→
フラックス処理→亜鉛めっき→水冷・冷却の各工程に連
続して通した。そして、冷却後の亜鉛めっきインバー線
はコイル状に巻取った。このようにして、直径が3.5
mmの亜鉛めっきインバー線を得た。
【0018】この亜鉛めっきインバー線について、24
0℃の温度で400時間加熱する耐熱性試験を実施し
た。そして、耐熱性試験前の亜鉛めっきインバー線及び
耐熱性試験後の亜鉛めっきインバー線から長さが45c
mの試料を各10本づつ切り出し、各試料の捻回特性を
調べた。また、浸炭処理を施していない以外は上述の実
施例と同様の方法により形成した亜鉛めっきインバー線
(従来例)についても、耐熱性試験を実施する前後で各
10本づつの試料を切り出し、各試料の捻回特性を調べ
た。なお、捻回特性は、前記試料を捻回し、破断するま
での捻回数を計測することにより行った。
【0019】更に、実施例及び従来例の亜鉛めっきイン
バー線について、中村式回転曲げ疲労試験法を使用し
て、耐熱性試験の前後で疲労限応力を求めた。これらの
結果を下記表1,2に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】この表1,2から明らかなように、従来例
においては、破断するまでの捻回数が耐熱性試験の前の
平均値で68.9回、耐熱性試験後の平均値で64.4
回と少なく、捻回数のばらつきも大きいのに対し、実施
例においては、耐熱性試験による捻回特性の低下が少な
く、捻回数の平均値も従来例に比して大きい。また、捻
回数のばらつきも従来例に比して小さい。更に、従来例
においては、耐熱性試験により疲労限応力が低下したの
に対し、実施例においては耐熱性試験の前後で疲労限応
力が殆ど変化しなかった。
【0023】なお、上述の実施例においては、インバー
線を伸線加工した後、めっき直前の工程で浸炭処理を実
施した場合について説明したが、浸炭処理後に伸線加工
を施し、その後亜鉛をめっきして得た亜鉛めっきインバ
ー線について上述の実施例と同様の試験を行ったとこ
ろ、同様の結果を得ることができた。また、上述の実施
例においては、素線本体がインバー線であり、めっき層
が亜鉛からなる場合について説明したが、素線本体は鋼
線であってもよく、めっき層は亜鉛合金により構成され
ていてもよい。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る低弛度
架空送電線素線は、鋼線又は鉄−ニッケル系合金線から
なる素線本体の表面に炭化物層が形成されているから、
耐熱性試験による捻回特性及び疲労限応力の劣化が少な
い。従って、本発明に係る低弛度架空送電線素線は、耐
熱性が優れており、長期間に亘る使用に対し信頼性が高
い。
【0025】また、本発明に係る低弛度架空送電線素線
の製造方法によれば、鋼線又は鉄−ニッケル系合金線か
らなる素線本体を浸炭処理しその表面に炭化物層を形成
した後、亜鉛又は亜鉛合金をめっきするから、上述の低
弛度架空送電線素線を容易に製造することができる。ま
た、例えばめっき条件が不安定で素線の長手方向に局部
的に脆い合金層が厚く形成されても、前記炭化物層によ
り捻回特性及び疲労特性のばらつきを抑制できるため、
素線の長手方向に亘る特性が均一化されるという効果も
ある。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼線又は鉄−ニッケル系合金線からなる
    素線本体と、この素線本体の表面に形成された炭化物層
    と、前記素線本体の表面上に形成された亜鉛又は亜鉛合
    金めっき層とを有することを特徴とする低弛度架空送電
    線素線。
  2. 【請求項2】 鋼線又は鉄−ニッケル系合金線からなる
    素線本体を浸炭処理しその表面に炭化物層を形成する工
    程と、この炭化物層が形成された素線本体に亜鉛又は亜
    鉛合金をめっきする工程と、を有することを特徴とする
    低弛度架空送電線素線の製造方法。
JP19848493A 1993-08-10 1993-08-10 低弛度架空送電線素線及びその製造方法 Pending JPH0757565A (ja)

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