JPH0757057B2 - 管路内テレビカメラ観測用排水工法及び吸水ポンプ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は管路内テレビカメラ観
測用の排水工法及びこれに使用する吸水ポンプに関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】ケーブルを地中に埋設するにあたって、
図７に示す如く地中に設けた管路１内に管路１の一端の
マンホール２からテレビカメラ３を入れて、このテレビ
カメラ３の前後に接続したワイヤー４を地上に設置した
ウインチ５で引っ張ることにより、四方側部にガイドソ
リ６を装置したテレビカメラ３を管路１内で前後方向に
移動せしめ、管路１内の侵入物、接続部のずれ、内壁の
割れ、破損箇所の有無又はこれらの状況等をテレビカメ
ラ３で撮影し、これをワイヤー４に添わせた通信線を介
して地上のブラウン管７に映し、管路１内を点検、観測
している。

【０００３】しかしながらこの管路１は溜水、涌水等の
濁水が溜ったり、極端な場合図８に示す如く管路１が水
没している場合がある。

【０００４】この様な場合上記テレビカメラ３での管路
１内の観測は不可能であり、当該管路１を排水しなけれ
ばならない。この排水方法には以下のものがある。図９
に示すものは、管路１内のテレビカメラ３の前方のワイ
ヤー４に止水パッキン８を設け、テレビカメラ３の前方
の水を排除しつつテレビカメラ３を移動せしめるパッキ
ン工法である。

【０００５】また図１０に示すものは、テレビカメラ３
の前方及び後方の各ワイヤー４に夫々止水パッキン９を
設け、これらの止水パッキン９の間の管路１内に、一方
の止水パッキン９に設けた圧力空気ホース１０から圧力
空気を注入し、常にテレビカメラ３の前後の管路１内に
水がない状態にしておく圧力パッキン工法である。

【０００６】また図１１に示すものは、地上に設けた真
空吸引装置１１からホース１２を管路１内に入れて、こ
のホース１２の先端から管路１内の水を抜き取る真空ポ
ンプ工法である。さらにこれらの様に管路１内の水を排
水せずに、図１２に示す如く管路１内の水の中を、防水
された自走式のテレビカメラ１３を走らせる自走カメラ
工法等がある。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】上記図９のパッキン工
法は止水パッキン８で管路１を塞ぐものであるため、ワ
イヤー４によるテレビカメラ３の牽引力が大となり、ま
た管路１の接続部等で段差があると、止水パッキン８の
外周と管路１の内周との間に隙間が生じ、そこから水が
テレビカメラ３の前方に入ってきてしまう欠点を有す
る。

【０００８】また図１０の圧力パッキン工法も、上記パ
ッキン工法と同様テレビカメラ３の牽引力が大となり、
かつ常時圧力空気を二つの止水パッキン９の間に送らな
ければならず、作業装置がおおがかりとなり、作業性も
悪い。

【０００９】また図１１の真空ポンプ工法は完全真空で
約１０ｍしが水が上がらず、従って管路１の奥部までホ
ース１２の先端を持っていった場合、地上まで水が上が
らない。しかもホース１２端で水を吸い込む際、ホース
１２の端口が完全に水中に入っていなければ吸引でき
ず、それ故ホース１２の径を小さくしなければ全部の水
が吸い上げられない。しかしホース１２の径を小さくす
ると吸水力が小さく排水に時間や手間がかかる。

【００１０】さらに図１２の自走カメラ工法は管路１内
の水が清んでいれば、管路１の内壁をテレビカメラ３で
撮すことができるが、濁水であると、管路１の内壁の状
況が鮮明に観測できない欠点を有している。

【００１１】そこでこの発明は極めて排水効果が高く、
作業の簡単な排水工法並びにこの工法で使用する吸水ポ
ンプを提供することを目的としたものである。

【００１２】

【課題を解決するための手段】そこで請求項１項の発明
は、管路内でテレビカメラを移動させて管路を観測する
管路点検に際して当該管路を排水する工法において、テ
レビカメラに近接した前方又は後方に位置するようにイ
ンジェクター方式の吸水ポンプを当該テレビカメラ又は
ワイヤーに設け、この吸水ポンプには管体の一端開口部
の吸水口よりやや内側に内径をしぼつたのど部を設け、
こののど部と上記吸水口との間の管体内に、上記のど部
に向いたノズルを設け、上記吸水口が常時管路内下端に
接するようにし、上記テレビカメラの移動とともに当該
テレビカメラの周囲の水を上記吸水ポンプのノズルから
高圧水を噴射させて吸引し、この吸水ポンプに接続した
排水ホースにより当該箇所から離れた場所に排水する工
法とした。

【００１３】また請求項２項の発明は上記排水工法にお
いて使用する吸水ポンプにおいて、外管の内部に、外管
に沿って外管の内周との間に環状間隙を有する一定長の
内管を設け、この内管の両端部外周と外管の内周との間
隙は適宜物で塞ぎ、内管の中程には内径をしぼったのど
部を設け、こののど部の前方で上記環状間隙からのど部
に向いた鍵型のノズルを内管内に突設し、当該のど部の
後方の環状間隙から内管内に鍵型の導入管を突設し、外
管後端には排水ホースの一端を接続し、この排水ホース
の内部に排水ホースに沿って高圧ホースを設け、この高
圧ホースの一端を上記内管内の導入管に接続した吸水ポ
ンプとした。

【００１４】

【作用】請求項１項の発明では、インジェクター方式の
吸水ポンプを作動させ高圧水を送ると、吸水ポンプのの
ど部前方に設けたノズルより高圧水が噴射し、ノズル周
囲の水を吸い上げる。この吸水ポンプの吸水口は常時管
路内下端に接するように位置し、従って吸水ポンプの吸
水口に水があればすべて吸引され、排水ホースにより吸
引箇所から離れた場所に排水する。この吸水ポンプは管
路内でテレビカメラが移動するとともに移動し、従って
常にテレビカメラに近接した前方又は後方に位置し、テ
レビカメラの周囲の水を吸引、排水する。それ故テレビ
カメラが撮影する箇所は常に水が除かれ、管路内周が露
呈され、地上のブラウン管に鮮明に写し出される。

【００１５】請求項２項の吸水ポンプは、高圧ホースか
ら高圧水を送ると、高圧水は導出管から環状間隙に入
り、この環状間隙からノズルを通して内管内に噴射され
る。そこでこのノズルの周囲の水は吸引され、のど部を
通って外管端に達し、内部に高圧ホースが入った排水ホ
ース内を通って排水ホース後端に送られ、適宜箇所で排
水される。

【００１６】

【実施例】以下この発明の実施例を図面を引用して詳細
に説明する。図１及び図２はこの発明の排水工法を示
し、図１はガイドソリ６に載ったテレビカメラ３の前方
のワイヤー４にインジェクター方式の吸水ポンプ２０を
設け、この吸水ポンプ２０の後端をワイヤー４に支持、
固定し、吸水ポンプ２０の前端、即ち吸水口２０ａが自
重で常時管路１の内周下端に位置するよう揺動自在に支
持されている。そして吸水ポンプ２０の排水ホース２１
及び高圧ホース２２を、ワイヤー４に適宜間隔で吊る
し、ワイヤー４に添わせ、地上等に排水ホース２１及び
高圧ホース２２を導出している。

【００１７】そしてこの吸水ポンプ２０を作動させると
吸水ポンプ２０の吸水口２０ａからテレビカメラ３の近
くの管路１の水が吸引され、テレビカメラ３の前方の管
路１の水が排除される。この様にしてワイヤー４を引っ
張り、管路１でテレビカメラ３を移動させ、常にテレビ
カメラ３の周囲の管路１内の水を排除していく。

【００１８】図２は、上記実施例でテレビカメラ３の前
方に取り付けた吸水ポンプ２０を、後方に取り付けたも
ので、他の構成は上記実施例と同様である。

【００１９】図３及び図４は吸水ポンプ２０を示すもの
で、管体２３の中程にその内径をいったん小さくし、そ
の後内径を一定にした水平区間からテーパー状に拡げた
のど部２３ａを設け、こののど部２３ａの前方の管体２
３内に、のど部２３ａと対向した鍵型のノズル２４を設
け、管体２３外側に設けた導入管２５の一端を管体２３
を貫通して上記ノズル２４に接続し、管体２３の一端の
吸水口２０ａには格子体２６を設けたもので、この管体
２３の後端には上記排水ホース２１を、また導入管２５
の他端には高圧ホース２２を夫々接続したものである。

【００２０】次に図５及び図６は吸水ポンプ２０の他の
実施例を示すもので、この吸水ポンプ３０は、外管３１
の内部に外管３１に沿って外管３１の内周との間に環状
間隙３２を有する一定長の内管３３を設け、この内管３
３の両端部では、内管３３の外周と外管３１の内周とが
当接して、相互に固定され、上記環状間隙３２は外管３
１と内管３２との間に密閉されている。また内管３３の
中程には、いったんその内径を小さくし、その後径を一
定にした水平区間から次第にテーパー状に拡げたのど部
３３ａを設けている。

【００２１】こののど部３３ａの前方で上記環状間隙３
２からのど部３３ａに向いた鍵型のノズル３４を内管３
３内に突設し、当該のど部３３ａの後方の環状間隙３２
から内管３３内に鍵型の導入管３５を突設し、内管３３
より後方に伸びた外管３１後部には排水ホース３６の一
端を接続し、この排水ホース３６の内部に、この排水ホ
ース３６に沿って設けた高圧ホース３７の一端を上記導
入管３５に接続したものである。またこの吸水ポンプ３
０の吸水口３０ａには格子体３８が設けられている。

【００２２】この吸水ポンプ３０は、高圧水を高圧ホー
ス３７を通して吸水ポンプ３０に送ると、高圧水は導入
管３５を通って環状間隙３２内に入り、この環状間隙３
２を通ってノズル３４から内管３３ののど部３３ａに向
かって噴射される。これによりノズル３４周囲の水が吸
引され、内部に高圧ホース３７を有する排水ホース３６
内を通り、排水される。

【００２３】なお上記排水工法では吸水ポンプ２０をテ
レビカメラ３の前方又は後方のワイヤー４付けたが、双
方に付けてもよくまたテレビカメラ３自体に付けてもよ
くその他テレビカメラ３の付近であれば取付箇所を選ば
ない。

【００２４】

【発明の効果】この発明は以上の構成であり、請求項１
項の排水工法について言えば、インジェクター方式の吸
水ポンプを用い、これをテレビカメラに近接した箇所に
取り付け、テレビカメラとともに移動させるため、少な
くとも移動するテレビカメラの周囲の管路の水のみを排
水しつつ、テレビカメラで管路を撮影していくため、排
水は局部的でかつ撮影直前の排水のため極めて効率が良
い。上記従来の真空ポンプ工法では管路全体の水を予め
排水する手間や、いったん排水した後でもテレビカメラ
を作動させる際管路に再び水が生じ、撮影不可能とな
る、といった場合があったが、この発明ではこの様な支
障はない。

【００２５】しかも吸水ポンプに接続する排水用のホー
スや高圧ホースは、テレビカメラを牽引するワイヤーに
支持せしめれば、テレビカメラの牽引力はさほど大きく
ならない。また吸水ポンプはインジェクター方式のた
め、小径の管状に小型化でき、テレビカメラやワイヤー
に取り付けて管路内を移動せしめるのに便利である。こ
の様に吸水ポンプは小型化できるため管路径が小さいも
のから大径のものまで使用でき、高圧水のノズルの噴射
圧力を調整することによって吸い上げ高さを４０ｍ位に
まででき、また吸引長も３００ｍ以上にすることができ
る。しかも吸引する吸水口を真空にする必要がなく、従
って管路内周の底部の水をも充分吸い上げることができ
る。

【００２６】また請求項２項の発明の吸水ポンプは、高
圧ホースや導入管等が外部に設けられておらず、内部に
設けているため、吸水ポンプの形状は完全な管体形状で
ある。また管路内をはわせる排水ホース及び高圧ホース
を、高圧ホースを排水ホース内に入れて一本としている
ため、管路内でホース相互が絡まったりするおそれがな
い。従って管路を移動させていく場合、吸水ポンプやホ
ースに突起物がないため、スムーズに移動させることが
でき、管路の排水工法には最適のものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の排水工法を示す概略側面図である。

【図２】この発明の他の実施例の排水工法を示す概略側
面図である。

【図３】この発明の排水工法に使用する吸水ポンプの一
部断面側面図である。

【図４】図３のＡ−Ａ線端面図である。

【図５】この発明の排水工法に使用する吸水ポンプの他
の実施例の一部断面側面図である。

【図６】図５のＢ−Ｂ線端面図である。

【図７】テレビカメラによる管路内点検工法を示す概略
側面図である。

【図８】管路内の溜水を示す概略側面図である。

【図９】従来の排水工法を示す概略側面図である。

【図１０】従来の排水工法を示す概略側面図である。

【図１１】従来の排水工法を示す概略側面図である。

【図１２】テレビカメラによる従来の溜水を有する管路
内点検工法を示す概略側面図である。

【符号の説明】

１ 管路 ３ テレビカメラ ４ ワイヤー ６ ガイドソリ ２０ 吸水ポンプ ２０ａ吸水口 ２１ 排水ホース ２２ 高圧ホース ３０ 吸水ポンプ ３１ 外管 ３２ 環状間隙 ３３ 内管 ３３ａのど部 ３４ ノズル ３５ 導入管 ３６ 排水ホース ３７ 高圧ホース

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 管路内でテレビカメラを移動させて管路
   を観測する管路点検に際して上記管路内を排水する工法
   において、テレビカメラに近接した前方又は後方に位置
   するようにインジェクター方式の吸水ポンプを当該テレ
   ビカメラ又はワイヤーに設け、この吸水ポンプには管体
   の一端開口部の吸水口よりやや内側に内径をしぼったの
   ど部を設け、こののど部と上記吸水口との間の管体内
   に、上記のど部に向いたノズルを設け、上記吸水口が常
   時管路内下端に接するようにし、上記テレビカメラの移
   動とともに当該テレビカメラの周囲の水を上記吸水ポン
   プのノズルから高圧水を噴射させて吸引し、この吸水ポ
   ンプに接続した排水ホースにより当該箇所から離れた場
   所に排水することを特徴とする、管路内テレビカメラ観
   測用排水工法。
2. 【請求項２】 外管の内部に、外管に沿って外管の周囲
   との間に環状間隙を有する一定長の内管を設け、この内
   管の両端部外周と外管の内周との間隙は適宜物で塞ぎ、
   内管の中程には内径をしぼったのど部を設け、こののど
   部の前方で上記環状間隙からのど部に向いたノズルを内
   管内に突設し、当該のど部の後方の環状間隙から内管内
   に導入管を突設し、外管後端には排水ホースの一端を接
   続し、この排水ホースの内部に排水ホースに沿って高圧
   ホースを設け、この高圧ホースの一端を上記内管内の導
   入管に接続したことを特徴とする、管路排水用吸水ポン
   プ。