JPH0756011B2 - 改質粉体 - Google Patents

改質粉体

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JPH0756011B2
JPH0756011B2 JP2258827A JP25882790A JPH0756011B2 JP H0756011 B2 JPH0756011 B2 JP H0756011B2 JP 2258827 A JP2258827 A JP 2258827A JP 25882790 A JP25882790 A JP 25882790A JP H0756011 B2 JPH0756011 B2 JP H0756011B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、実質的に全表面上にシリコーンポリマーの皮
膜を担持した改質粉体に関する。特には、本発明は、表
面上に活性点を有する粉体を蒸気の形の特定のシリコー
ン化合物で処理することによって、その粉体の表面活性
を消失させた改質粉体に関する。
本明細書において「粉体」とは、一般に粒径10mm以下の
任意の物体(10mmより大きいものも含まれることがあ
る)を意味する。本明細書の「粉体」には、複数の前記
粉体からなる凝集体、成形体および造形体が含まれる。
更に、本明細書において「活性点」とは、シロキサン結
合(Si−O−Si)またはSi−H(ヒドロシリル)基をも
つシリコーン化合物の重合を触媒することのできる部位
であり、例えば、酸点、塩基点、酸化点または還元点を
意味する。
本発明による改質粉体は、それと共存する香料、油分ま
たは樹脂を変性または分解しない。従って、変質、変臭
および変色等の問題を起こさずに、例えば、化粧品、医
薬品、塗料、インク、絵の具、装飾品、芳香剤、磁性材
料および医療材料の分野で使用することができる。
〔従来の技術〕
従来、粉体の疎水化改質には、シリコーン油が頻繁に使
用されてきた。例えば、特公昭41−9890号公報には、動
物性、植物性または鉱物性の粉末表面にシリコーン樹脂
塗布料を被覆し、乾燥焼付けすることにより該粉末類に
潤滑性を付与することが記載されている。特公昭45−29
15号公報では、タルク等の鉱物性粉末と、分子鎖中にケ
イ素原子と直接結合する水素原子を有するシリコーン化
合物とをブレンダー混合等の単純付着後、加熱焼付けす
ることにより該粉末類に撥水性を付与している。また、
特公昭45−18999号公報では、タルクにジメチルポリシ
ロキサン又はメチルハイドロジェンポリシロキサンを有
機溶剤に溶解後、接触付着させ、その後必要に応じメチ
ルハイドロジェンポリシロキサンの架橋重合触媒として
亜鉛オクトエートの如き物質を加え焼付けすることによ
り、該粉末に自由流動性等を付与している。さらに、特
公昭49−1769号公報では二酸化チタンに各種アルキルポ
リシロキサンを直接被覆、乳化被覆又は溶剤溶液被覆さ
せ、必要に応じ総炭素数6以上のエステル化合物を併用
し、乾燥焼付けすることにより該粉末の粉塵性・分散性
等の改質を行っている。また、特開昭56−16404号、特
開昭55−136213号および特開昭56−29512号各公報で
は、シリコーン油および油剤を添加して撹拌混合若しく
は粉砕等のメカノケミカル反応を施して混合した後、焼
付処理を行なっている。
更に、特開昭57−200306号公報には、粉体を特定構造の
(A)シラン化合物、(B)環状ポリオルガノシロキサ
ン、または(C)線状ポリオルガノシロキサンで処理す
ることにより、焼付処理を行うことなく、粉体に撥水
性、流動性を与える方法が開示されている。この方法
は、対象とする粉体の1〜10重量%の上記有機ケイ素化
合物を溶媒に希釈して散布、直接散布或はガス状噴霧す
るか、直接混合攪拌して粉体に吸着させ、次いで水、水
蒸気処理を行なう方法である。但し、前記(A)シラン
化合物および(B)環状ポリオルガノシロキサンについ
ては気相処理を行なうことの記載がなく、その上、前記
(B)環状ポリオルガノシロキサンのうち、メチル基を
有する3量体は固体であって取扱いが困難であるとして
除外されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、これらの方法では、ほとんどの有機顔料、およ
び無機顔料についても黄色酸化鉄、紺青のように熱に弱
いものは処理することができなかった。例えば、有機顔
料の赤色202号(リゾールルビンBCA)は80℃で脱水し、
結晶型がα型からβ型へ変化すると共に色調が変化する
ために処理が出来なかった。また、紺青は熱を加えると
分解し、150℃以上では徐々にシアンガスを放出する。
焼付処理は高いものでは350℃で2時間、低いものでは1
50℃で15〜40時間で行なわれており、このような条件下
では紺青は色変化が起こるのみならず有毒なシアンガス
を放出し、はなはだ危険である。
このように従来の焼付処理は一部の安定な無機顔料にし
か応用できず、顔料の中でも鮮やかな有機顔料を処理す
るとその生命である色調をそこなうという致命的な欠点
を有していた。
焼付温度を下げる為に触媒を用いた場合は確かに低温で
処理できるが、その触媒が残留し、表面のシリコーン樹
脂の劣化を促進し、経時での変化が著しく実用性に乏し
いのが通例であった。また、触媒の作用は表面のシリコ
ーン樹脂のみならず、共存する他の成分、例えば油や香
料等の分解を促進し、変質や変臭等の問題を起こし、特
に化粧品等には用いることができなかった。
特開昭56−16404号公報ではメカノケミカル反応を利用
したシリコーン処理方法が記載されている。しかし、こ
の方法では粉砕力を利用するので、板状や球状等の形状
を特徴とする粉末では形状が変化してしまう。また、撹
拌により凝集する二酸化チタンのような粉末では、単独
で処理することも困難であった。
前記特開昭57−200306号公報記載の方法では、分子状の
処理剤を粉体に接触させるのではなく、液体あるいは液
体微粒子の形で粉体に接触させている。このため、環状
ポリオルガノシロキサンの中で固体である3量体を除外
している。そして処理剤の量は、粉体に対し1〜10%と
規定しているが、粉体の種類によってはこの量では不十
分であり、粉体に表面活性が残り、香料等が共存した場
合、香料安定性が悪くなる等の欠点があった。
本発明の目的は、粉体の本来の性質を維持したままで、
改良された性質(例えば疎水性、安定性)をもち、しか
も粉体の表面活性を消失させた(すなわち、共存する他
の成分の変質または分解を起こさない)改質粉体を提供
し、前記の従来技術の欠点を解消することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明に従えば、一般式 (R2R3SiO) (I) (式中、R2およびR3は相互に独立にハロゲン原子少なく
とも1個で置換されていることのある炭素数1〜10の炭
化水素基である)で表される環状シリコーン化合物の少
なくとも1種を蒸気の形で、表面上に活性点を有する粉
体と接触させ、その粉体の実質的に全表面上でシリコー
ン化合物を重合させてなる、実質的に全表面上にシリコ
ーンポリマーの皮膜を担持した改質粉体が提供される。
以下、本発明を詳述する。
既に述べたとおり、従来技術においてシリコーン油で粉
体を処理する場合は、熱や触媒あるいは粉砕力を必要と
する技術がほとんどである。これは用いるシリコーン油
が比較的不活性なことおよび用いる粉体に活性がないこ
とを前提としているからである。
しかしながら、粉体には表面活性を有するものが多い。
粉体のこの表面活性が、粉体と共存する香料か油,医薬
品等を劣化させるのである。本発明者等はこの表面活性
を逆に利用して粉体表面でシリコーン化合物の重合を起
こし表面を改質例えば疎水化するとともに粉体の表面活
性を消失せしめ共存成分例えば香料の安定性を向上させ
るという画期的な方法を見出した。
本発明で改質される粉体は、その粉体が表面活性を有す
るものである限り、特に制限されない。その粉体の代表
例としては、表面上に活性点をもつ、無機顔料、金属酸
化物、金属水酸化物、有機顔料、パール光沢材料、ケイ
酸塩鉱物、多孔質材料、カーボン、金属、生体高分子、
雲母および複合粉体が含まれる。これらの粉体は、1種
類で処理しても、または複数種類を組合せて処理しても
よい。更に、これらの粉体1種またはそれ以上の凝集体
成形体、あるいは造形体を処理することもできる。これ
ら粉体は、本発明による改質処理を実施する前(すなわ
ち、前記シリコーン化合物を接触させる前)に、任意の
通常の処理(例えばアルカリ洗浄、酸洗浄、プラズマ処
理)を行うことができる。粉体が多数の酸点をもつもの
(例えば、カオリナイト、酸化鉄、マンガンバイオレッ
ト)である場合には、アルカリ洗浄を行っておくことが
好ましい。なぜなら、続いて本発明により、前記シリコ
ーン化合物を接触させて表面重合させると、架橋構造を
もつシリコーンポリマー皮膜(後述する)が形成され易
くなるからである。更に、本発明で処理される粉体は、
その上にまたはその中に他の物質(例えば、着色剤、UV
吸収剤、医薬品、各種添加剤)を含有していてもよい。
本発明においては、蒸気の形の式(I)のシリコーン化
合物と表面上に活性点をもつ粉体との接触を、120℃以
下好ましくは100℃以下の温度下で、好ましくは1000mmH
g以下更に好ましくは100mmHg以下の圧力下において、密
閉容器内で行い、式(I)のシリコーン化合物の蒸気を
分子状態で粉体表面上に蒸着させることができる。ある
いは、蒸気の形の式(I)のシリコーン化合物と表面上
に活性点をもつ粉体との接触を、120℃以下好ましくは1
00℃以下の温度下で、式(I)のシリコーン化合物とキ
ャリアーガスとの混合ガスを粉体に供給することによっ
て行うことができる。
前記式(I)の環状シリコーン化合物の代表例は以下の
化合物である。
3量体はその立体的性質上重合し易いので特に適してい
る。処理量(または添加量)については、本発明は気相
処理であり、揮発した気体分子状の環状オルガノトリシ
ロキサンが粉体上に吸着後粉体の活性点により重合して
いくため、処置量は定まっておらず、シリコーンポリマ
ーが活性点を覆いつくした時が終点となる。勿論、目的
によっては完全被覆でなくとも構わない。
式(I)のシリコーン化合物の添加量(処理量)は具体
的に定まっていないが、粉体の実質的に全表面を覆うの
に必要かつ充分な量でシリコーン化合物を供給する点で
所望量が決まる。
つまり、本発明は処理剤の添加量をあらかじめ定めてお
くのではなく、処理剤が必要かつ充分な量供給されて自
然に終点に導かれるという処理なのである。そのため添
加量あるいは蒸着ポリマー皮膜の量は使用する粉体の種
類によって異なる。一般的には、その量は、粉体重量の
0.005〜50%である。
なお、これらの粉体については、前記特開昭57−200306
号公報に示してある処理剤量1〜10%では不充分で表面
活性が残り香料安定性が悪い。
このように本発明では過不足なくどのような粉体でも処
理できるのであるが、それは処理剤の添加方法が従来の
ものと異なっているからである。従来の処理方法は処理
剤を溶媒に希釈し、これを原料粉体に散布、直接散布あ
るいはガス状噴霧する方法がとられており、いずれの場
合も分子状の処理剤が粉体に接触するのではなく、液体
あるいは液体微粒子の形で粉体に接触している。
このため前記特開昭57−200306号公報記載の方法では環
状オルガノシロキサンの中で固体である3量体を除外し
ているが本発明では液状添加ではなく分子状で粉体に接
触させるため元の処理剤が固体でも液体でも良い。また
粉体表面での重合を考えると特開昭57−200306号で除外
された3量体が最も重合し易いため、処理剤として最も
適している。
すなわち、本発明の特徴は、式(I)の環状オルガノト
リシロキサンが120℃以下好ましくは100℃以下の温度で
揮散する低い分圧状態の中に粉体を放置し、オルガノシ
ロキサンの気化物を分子状態で粉体に吸着させ、表面の
活性点から重合していくのを利用した省エネルギー型の
処理方法であり、従来の処理剤を噴霧し、熱で重合する
方法とは全く異なるものである。また、特開昭57−2003
06号公報記載の方法の処理温度は環状オルガノシロキサ
ンの場合230〜350℃であり、前記した理由で好ましくな
いのに比べ、本発明は加熱処理を行わないので温度安定
性の低い顔料にも適用でき、その応用範囲は極めて広
い。
本発明によれば、まず式(I)のシリコーン化合物を粉
体表面に蒸着させ、粉体の表面全体に分布する活性点の
存在により、前記シリコーン化合物を重合させる。従っ
て、均一で薄いポリマー皮膜が形成される。シリコーン
ポリマーの薄層が形成された後では、その上には重合は
実質的に起らない。従って、シリコーンポリマー皮膜の
厚さは一般に3Å〜30Åである。一方、熱重合を起させ
た場合には、薄層を形成する重合は不可能である。更
に、触媒存在下で重合させた場合には、重合が主に触媒
の周囲で起るので、粉体の表面だけを均一に被覆するこ
とは不可能である。
本発明の基本的な態様によれば、(例えば100℃以下
の)密閉された部屋に粉体とシリコーン化合物とを別々
の容器に入れて上部を開放しておくだけで良い。この状
態ではシリコーン化合物がその温度での分圧で気化し、
粉体上で吸着平衡を保つ。密閉された部屋から処理済の
粉体を取り出した時に、粉体に活性がなかったならばシ
リコーン化合物が脱着し、粉体は元の表面に戻ってしま
うことになるが、粒子表面に活性点を有する粉体の場合
には重合活性があるのでシリコーン化合物は粉体上で重
合し、従って粉体表面のシリコーン化合物の分圧が下が
るため容器中のシリコーン化合物から揮発し供給され
る。このような順序で表面重合が生じるためにシリコー
ン化合物はこの系の中で必要な量だけ供給され、無駄が
ない。
本発明はこのような簡単な原理に基づくため、特別な装
置は必要としない。例えば、任意の密閉された部屋(例
えば恒温に保てる密閉した部屋)例えばデシケータまた
は恒温槽を使用することができる。また、少量処理には
デシケーターを用いることができる。しかし理想的には
処理後脱気できる装置が望ましく、ガス滅菌装置を用い
るのがよい。密閉部屋内の粉体を連続的にまたは断続的
に撹拌し、粉体とシリコーン化合物蒸気との接触を望ま
ないものにすることができる。
本発明の別の態様によれば、120℃以下好ましくは100℃
以下の密閉部屋の中に粉体だけを予め装入しておき、別
の120℃以下の密閉部屋において予め決めた分圧でシリ
コーン化合物を気化させ、前記粉体を装入してある部屋
の中に例えばパイプによってシリコーン化合物蒸気を導
入することができる。前記の系の圧力について特に制限
はないが、重合を200mmHg以下好ましくは100mmHg以下の
圧力下で実施するのが好ましい。いずれの態様において
も、処理時間は30分〜150時間であり、その後で、未重
合シリコーン化合物を脱ガスによって除去し、所望の生
成物を得る。
本発明の他の態様によれば、キャリアーガスとの混合ガ
スの形の式(I)のシリコーン化合物を(例えば粉体表
面に供給することによって)接触させることにより、粉
体を処理することができる。式(I)のシリコーン化合
物とキャリアーガスとの混合は、シリコーン化合物の蒸
気圧が1mmHg以上好ましくは100mmHg以上になるまで、式
(I)のシリコーン化合物を例えば必要により加熱し、
続いてキャリアーガス流を式(I)のシリコーン化合物
中へまたはシリコーン化合物の表面上へ導入することに
よって実施することができる。キャリアーガス流の供給
速度は、例えば、式(I)のシリコーン化合物の蒸気
圧、粉体の種類および量、並びに処理容器の容量によっ
て適当に決定することができる。30分〜150時間で処理
できるように調整するのが好ましい。
キャリアーガスとしては、不活性気体例えば窒素、アル
ゴン、ヘリウム等が好ましいが、空気や前記不活性気体
中に水蒸気、メタノール蒸気またはエタノール蒸気を気
体分子状態で混合した混合気体を使用することもでき
る。
本発明によれば、式(I)のシリコーン化合物を含む混
合ガスと被改質粉体とを接触させる。混合ガスは式
(I)のシリコーン化合物を飽和蒸気として含有してい
るので、接触・反応温度を混合ガスの温度と同じかまた
は高くすることが必要である。接触・反応温度が混合ガ
スの温度よりも低いと、シリコーン化合物が結露して粉
体が凝集した形で処理され易いからである。
強い活性点が表面に多くある粉体を混合ガスで処理する
と、粉体はスラリー化し易い。この場合には、接触・反
応温度を供給混合ガスの温度以上にすること及びシリコ
ーン化合物を含まないキャリアーガスを同時に供給して
シリコーン化合物の飽和蒸気圧に対する相対圧力を低下
させて処理すると良い。
シリコーン化合物とキャリアーガスとを別々に導入し
て、反応槽内で混合することもできる。
以上のように、本発明には、シリコーン化合物とキャリ
アーガスとの混合ガスを粉体表面に供給することによ
り、シリコーン化合物の分子を連続的に粉体に吸着さ
せ、表面の活性点を利用して重合させるものである。
本発明においては、特に超微粒粉体、多孔質材料、パー
ル顔料、有機顔料等に気相処理を利用するのが好まし
い。これらの粉体を気相処理で処理するとシリコーンポ
リマーの超薄膜が形成され、粉体の超微細性、多孔性、
パール効果等を維持することができる。また、酸化され
易い金属を、その生成後ただちに気相処理することによ
って、酸化に対して安定な金属粉体を得ることができ
る。
なお、気相処理を行う前に、色素や紫外線吸収剤を粉体
に吸着させておくと、それらの色や紫外線吸収機能を有
した粉体を得ることができる。また、粘土鉱物の層間に
紫外線吸収剤をインターカレートしたものについても、
ただ単に層間に入れただけでは不安定で溶剤等で脱離す
る場合があるが、本発明により、更にシリコーンポリマ
ーで被覆しておけば脱離しない。
紫外線吸収剤を粉体に吸着させた場合には、新らしく活
性が生じる場合があり、この場合はシリコーン化合物モ
ノマーを接触させることによって紫外線吸収剤吸着表面
上でポリマーが生成される。使用する紫外線吸収剤とし
ては、2−ヒドロキシ4−メトキシベンゾフェノン、2,
2′−ジヒドロキシ4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、
2,2′−ジヒドロキシ4,4′−ジメトキシベンゾフェノン
硫酸、2,2′4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノン、
2,2′−ジヒドロキシ4,4′−ジメトキシベンゾフェノ
ン、2−ヒドロキシ4−メトキシベンゾフェノン硫酸
塩、2−(2−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベ
ンゾトリアゾール、パラジメチルアミノ安息香酸2−エ
チルヘキシル、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、2,
5−ジイソプロピルケイ皮酸メチル、ウロカニン酸等を
挙げることができる。
本発明によれば、既に説明したとおり、広範な種類の粉
体を、それらが表面上に活性点をもっている限り、シリ
コーンポリマー皮膜でその表面を被覆することによって
改質することができる。以下に、そのような粉体の代表
例を挙げて説明する。
無機顔料 本発明によって改質することのできる無機顔料として
は、例えば、群青、紺青、マンガンバイオレット、チタ
ン被覆雲母、オキシ塩化ビスマス、酸化鉄、水酸化鉄、
二酸化チタン、チタン低次酸化物、水酸化クロム等を挙
げることができる。これらの無機顔料のうち、本発明に
よって改質する代表的なものは群青および紺青である。
群青(ぐんじょう)は、通常、やや赤味のある美しい青
色を呈する無機顔料である。古くは天然の瑠璃石から作
られたが、最近ではもっぱら人工的に製造されている。
群青は硫黄を含むアルミニウムケイ酸ナトリウムであ
り、一般に下記の組成式で表されている。
Na(6〜9)Al6Si6O24S(2〜4) 群青は親水性、疎油性の組成物であり、空気中で約250
℃までは安定であり、イオン交換能と触媒能を有する。
群青中の硫黄の一部は活性なラジカル型であり、この硫
黄のラジカルの状態や酸化の状態の違いにより群青の色
調に変化を生じ、上述の赤味のある青色のほかに、紫色
を帯びたものや緑色を帯びたものが存在する。
群青は、建材、塗料、印刷インキ、絵の具、紙、繊維製
品、化粧品、洗剤等多方面にわたって青色の着色剤とし
て使用されており、その色相が極めて鮮明であり、人畜
に無害であるところから、近来重要視されている。
しかし、群青には着色剤として重大な欠陥がある。すな
わち、群青は、アルカリには概して安定であるものの、
酸に対して極めて弱く、ラジカル硫黄と酸の反応により
酸性下において硫化水素を発生しながら除々に分解して
退色し白色となる。また、群青は粉砕等の機械的せん断
力や熱によっても硫化水素を発生する。かくして発生し
た硫化水素は二次的にアルミニウム等の容器材料を変質
させたり、また、化粧品などの分野で製品を変臭させる
といった問題をひき起こす。
従来、このような欠点を解消するために、群青の安定性
を改善する幾つかの提案がされている。例えば、群青を
ケイ酸ナトリウム及び有機酸で処理して表面に不定形シ
リカを形成させる方法(特開昭54−95632号公報)や、
群青の表面に耐酸性重合体被膜を形成させる方法(特開
昭50−27483号公報)などがある。これら従来法は群青
の耐酸性をそれなりに改善するが、しかし、まだ十分で
あるとはいえない。
これに対して、本発明による前記のシリコーン化合物で
処理された群青は、上記欠点のない安定な群青である。
本発明にかかる安定な群青は、酸、熱、機械的せん断力
に安定で、これらの作用により分解して実質上硫化水素
を発生することがないから、このものを例えば酸性下に
おいて使用してもアルミニウム等の容器材料を変質させ
たり、化粧品を変臭させることもない。
このような性質に加えて本発明による群青はシリコーン
ポリマー皮膜で被覆されているため、疎水性を示し、酸
に対する「ぬれ」が抑えられるばかりでなく、乳化系な
どでは油相に入るため群青における使用上の制約が除か
れて広範な用途に使用されることが可能となった。
本発明によって改質された安定な群青は香料など他成分
を分解させないことから、医薬品、化粧料に用いた場
合、経時安定性が著しく向上する。
また、シリコーンポリマーの皮膜は薄く透明性も高いた
め、安定化群青は未処理のものと色調の差がない。
本発明にかかる安定な群青は、群青粒子の表面がシリコ
ーンポリマーの皮膜で覆われており、群青表面の硫黄が
直接外気と接していないことが安定性の優れている理由
である。群青表面の硫黄、つまり表面硫黄とは、群青の
結晶格子の表面に存在するラジカル型硫黄のことで、こ
れは、結晶格子の内部に存在する硫黄(ラジカル硫黄を
含む)と異なり、他の物質に対して様々の型の活性を持
ち易い。この活性な表面硫黄が酸、熱、機械的せん断力
の作用を受けて分解し硫化水素を発生するわけである。
この表面硫黄の上にシリコーンポリマーが被覆されるた
めに群青は安定化し、酸や熱が作用しても分解が起こら
ず硫化水素の発生が抑止される。この場合、シリコーン
ポリマーの透明性が高いため安定化群青は、未処理のも
のとの間に色調の差異がない。
本発明にかかる安定な群青は粉体であり、その粒度は格
別制限的でないが、通常0.1〜200μm、特に0.1〜20μ
m、好ましくは青色のものにあっては0.3〜2μm、赤
味がかった青色のものにあっては2〜10μmである。
本発明の安定な群青におけるシリコーンポリマーの存在
量は、群青の表面積や表面活性によって異なるが、約0.
1〜20重量%、好ましくは0.2〜2.0重量%である。0.1重
量%未満では群青に有効な安定性を付与することができ
ず、逆に20重量%を超えるものは群青粒子同志の結合が
進行し凝集が生じ不都合である。
本発明にかかる安定な群青は、群青粒子表面に前記のと
おりシリコーンポリマー皮膜が被覆されればよく、した
がって、群青で表面処理したプラスチックや金属酸化物
であっても、シリコーンポリマー被覆により安定な群青
とすることができる。例えば、特開昭57−170931号や特
開昭57−179251号の各公報記載の技術を利用したり、単
にプラスチックと群青とをボールミルで処理して表面を
群青で被覆した複合粉末にも本発明を適用することがで
きる。
群青粉体の表面上には前記の活性点が存在するので、そ
の表面上に蒸着した式(I)のシリコーン化合物は、例
えば120℃以下の温度で重合して、架橋網状構造をもつ
シリコーンポリマーの皮膜を形成することができる。前
記の温度を200℃程度に上げて、架橋率を上昇させるこ
とができる。活性表面がシリコーンポリマー皮膜で覆わ
れると、それ以上は吸着および重合が起らない。
本発明による改質群青は、例えば、特に、塗料、イン
キ、医薬品、化粧品の分野において青色の着色剤として
使用される。
紺青はフェロシアン化第二鉄を主成分とする青色無機顔
料である。天然にはなく人工合成された顔料で良好な性
質をもち、しかも安価なブルーとして多量に使用されて
いる。
紺青の化学構造は一般式として MFe〔Fe(CN)〕,M=K,NH4,Naで表される。
紺青の結晶は立方晶系の結晶構造を持ち、Fe2+とFe3+
立方体の各頂点を交互に占有し、そのFe2+とFe3+を−C
≡N基が結んでおり、K,NH4,Naはその立方体の中心を1
つおきに占有している。色は紺青独特の深みのある青色
で、無機顔料としては着色力も大きい。
耐酸性は強いが耐アルカリ性には弱く、この性質のため
応用範囲が限定されてきた。
製造時にニッケル塩を導入することによりこの耐アルカ
リ性を若干向上させることができるが不充分である。
耐熱性もやや弱く加熱すると分解して茶褐色に変色する
が、耐熱限界は温度・時間・雰囲気によって決定され
る。
耐光性は濃色の場合は良好であるが、白色顔料で希釈し
て淡色になると弱くなる。
また還元され易く、還元されると青色を失う。このため
酸化され易い物質と共存させると紺青が酸化剤として働
き、自身は還元されて褐変する。このような作用をふせ
ぐためアニオン、カチオン、ノニオン界面活性剤で処理
しているものもあるが分散性等が改善される程度であ
る。
前述のように紺青はアルカリに弱く、また他の成分を酸
化させる作用のあることからコンクリートや壁に用いる
ことができず、また化粧料に用いた場合でも香料を劣化
させることから応用が難しく少量しか用いることができ
なかった。
この問題は根本的に解決するためには、紺青表面を不活
性物質で完全被覆すれば良い。しかしながら紺青はアル
カリ側で分解するため、表面処理も困難であり、余り表
面処理されていないのが現状である。
これに対して、本発明によるシリコーン化合物で処理し
た紺青は、薬剤との相互作用がなく、さらに香料に対し
て分解作用を示さない安定な紺青である。
従って、医薬品・化粧料に用いた場合、経時安定性が著
しく向上する。
また、シリコーンポリマー(樹脂)の皮膜は薄く透明性
も高いため安定化紺青は未処理のものとの間に色調の差
異がない。
このような性質に加えて本発明による紺青は、シリコー
ンポリマーの皮膜で被覆されているため疎水性を示し、
乳化系などでは油相に入ることから紺青における使用上
の制約が除かれて広範な用途に使用されることが可能と
なった。
本発明にかかる安定な紺青はカリ紺青、アンモニウム紺
青などが例示される。
粒子径は、とくに制限的ではないが、0.01〜200μm、
特に0.01〜100μm、好ましくは、0.05〜0.1μmであ
る。また非飛散性をだすため造粒したビーズ紺青もあ
り、ビーズ紺青では0.5〜20μm程度の粒度をもつ。
本発明の安定な紺青におけるシリコーン化合物の被覆量
は、表面積によって異なるが、約0.5〜40重量%、好ま
しくは5〜30重量%である。0.5重量%未満の場合は、
紺青に有効な安定性を付与するうえで最適ではなく、逆
に40重量%を超える場合は、粒子同志の結合が進行して
凝集が生じ分散性の点で最適ではない。
本発明にかかる安定な紺青は、紺青に前記シリコーンポ
リマー(樹脂)が被覆されればよく、したがって、紺青
で表面処理したプラスチックや雲母であっても、シリコ
ーンポリマー被覆により、安定な複合体とすることがで
きる。シリコーンポリマー皮膜を被覆した粉体を得るに
は高温加熱の必要はないが、300℃以下例えば140℃程度
に加熱して、架橋率を大きくすることができる。
本発明による改質紺青は、例えば、特に、塗料、イン
キ、化粧料の分野において着色剤として使用される。
金属酸化物および金属水酸化物 金属酸化物や金属水酸化物は、塗料、インキ、化粧料の
分野において着色剤として使用されているが、通常、親
水性であり油中や溶剤系での分散性は良好とはいえな
い。また、金属酸化物や金属水酸化物は触媒活性を有し
ており、この触媒作用によって、共存する油脂や香料を
劣化させたり、薬剤などとの相互作用で変色等を起こす
など多く問題点を有している。
従来、金属酸化物または金属水酸化物の表面処理はシリ
コーン油を用いることが多く、例えば特公昭48−15799
号では、金属またはその酸化物を線状または環状のオル
ガノポリシロキサンで、350〜650℃の高温下で気相処理
している。
さらに、特公昭49−1769号では、二酸化チタン粉末に各
種アルキルポリシロキサンを直接被覆、乳化被覆または
溶液被覆させ、必要に応じ総炭素数6以上のエステル化
合物を併用し、乾燥焼付することにより該粉末の粉塵性
・分散性等の改質を行っている。このような熱処理を行
うものには特開昭55−136213号、特開昭56−16404号、
特開昭56−29512号、特開昭57−200306号などがある。
以上のように熱を使用する処理以外では、特公昭44−25
682号、特許第1,214,497号のようにメカノケミカルのエ
ネルギーを利用して処理する方法があり、メチルハイド
ロジェンポリシロキサンなどが使用されている。この場
合、メチルハイドロジェンポリシロキサンの架橋重合触
媒として亜鉛オクトエートのごとき物質が使用されてい
る。
従来の処理法で得られるシリコーン処理粉末は、粉末上
に均一にシリコーン化合物が被覆されていない。もっと
も、シリコーン化合物の被覆が不完全で内部の粉末表面
が一部露出していても撥水性は示すが、しかしながら、
香料と共存させると香料を分解させるし、薬剤との相互
作用も完全にはなくならない。
また、微粒子の粉末は従来の処理法では凝集してしま
い、微粒子のまま凝集していない末体はこれまでなかっ
た。このため、分散性を改良したつもりでもその過程で
凝集し、結局分散性が改良されることはなかった。
この理由としては、シリコーン化合物の供給が液状で行
われていることに根本的な原因がある。従来の方法の中
で一番良いと思われる特開昭57−200306号記載の方法で
は、シリコーン化合物をガス状で噴霧しているが、噴霧
された霧の粒はミクロン単位の粉末粒子に数十オングス
トロームの皮膜を生成させるには大きすぎ、粒子と粒子
を霧の粒が連結して凝集してしまい、満足できる結果は
得られなかった。
また、シリコーン化合物が皮膜形成するには1分子中少
なくとも二つ以上の水素原子が必要であり、それらが架
橋していかなければ安定な膜は得られず、架橋率が重要
であるにもかかわらず、前記特開昭57−200306号にはそ
の記載がない。
以上のように従来の方法で得られたシリコーン化合物被
覆物は皮膜が不均一で凝集を生ずるといった欠点をもっ
ているが、さらに、シリコーン処理するために熱エネル
ギー、メカノケミカルエネルギー、触媒等の助けを必要
とする欠点をも有していた。例えば、焼付処理等の熱エ
ネルギーを加えた場合黄色酸化鉄のような金属水酸化物
は脱水して赤変してしまい着色剤としての機能を失って
しまう。このように従来の焼付処理は、一部の安定な金
属酸化物にしか応用できず混合物を一括処理することが
できないという致命的な欠点を有していた。
焼付温度を下げるために触媒を用いた場合は確かに低温
で処理できるが、その触媒が残留し、表面のシリコーン
樹脂の劣化を促進し、経時での変化が著しく実用性にと
ぼしいのが通例であった。また、触媒の作用は表面のシ
リコーン樹脂のみならず、他の共存の成分、例えば油や
香料等の分解を促進し、変質・変臭等の問題を起こし化
粧品等には用いることができなかった。
メカノケミカル反応を利用したシリコーン処理方法は、
焼付処理が不必要なため温度安定性の低い顔料にも適用
できるが、この方法を適用すると、粉砕力を利用するた
め板状や球状を特長とする粉末では形状が変化してしま
う。また、撹拌により凝集する二酸化チタンのような粉
末では単独で処理することも困難であった。
これに対して、本発明による改質金属酸化物および金属
水酸化物は、薬剤との相互作用がなく、さらに香料に対
して分解作用を示さない。
従って、医薬品や化粧料に用いた場合、経時安定性が著
しく向上する。
また、シリコーンポリマー(樹脂)の皮膜は薄く透明性
も高いため安定化金属酸化物および金属水酸化物は未処
理のものとの間に色調の差異がなく、磁性をもったもの
についてもその磁性特性に差異がない。
このような性質に加えて本発明による金属酸化物および
金属水酸化物は、シリコーンポリマー皮膜で被覆されて
いるため疎水性を示し、乳化系などでは油相に入ること
から金属酸化物および金属水酸化物における使用上の制
約が除かれて広範な用途に使用されることが可能となっ
た。また、シリコーンポリマー皮膜で完全に被覆されて
いるためガスクロマトグラフ用カラム充填剤や液体クロ
マトグラフ用カラム充填剤等に用いることができる。
本発明にかかる安定な金属酸化物および金属水酸化物
は、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カル
シウム、水酸化カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化
アルミニウム、シリカ、酸化鉄(α−FeO3、γ−Fe
2O3、Fe2O4、FeO)、黄色酸化鉄(特に棒状のもの)、
赤色酸化鉄、黒色酸化鉄、水酸化鉄、酸化チタン(特に
粒径0.001〜0.1μmの二酸化チタン)、低次酸化チタ
ン、酸化ジルコニウム、酸化クロム、水酸化クロム、酸
化マンガン、酸化コバルト、酸化ニッケルや、これらの
2種以上の組合せによる複合酸化物および複合水酸化物
であり、チタン酸鉄、チタン酸コバルト、アルミン酸コ
バルトなどが例示される。
粒子径は、とくに制限的ではないが、0.001μm〜10m
m、特に0.001〜200μm、好ましくは、0.01〜10μmで
ある。このような微粒子のものでも均一な薄膜におおわ
れており凝集していない。
本発明の安定な金属酸化物および金属水酸化物における
シリコーン化合物の被覆量は、表面積によって異なる
が、約0.1〜20重量%、好ましくは0.2〜5.0重量%であ
る。0.1重量%未満の場合は、金属酸化物および金属水
酸化物に有効な安定性を付与するうえで最適なはなく、
逆に20重量%を超える場合は、粒子同志の結合が進行し
て凝集が生じ分散性の点で最適ではない。
本発明にかかる安定な金属酸化物および金属水酸化物
は、金属酸化物および金属水酸化物にシリコーンポリマ
ー(樹脂)が被覆されればよく、従って、金属酸化物や
金属水酸化物で表面処理したプラスチックや雲母であっ
ても、シリコーンポリマー被覆により安定な複合体とす
ることができる。シリコーン化合物の重合には、高温加
熱の必要はない。すなわち式(I)のシリコーン化合物
が100℃以下の温度で気化する低い分圧状態の中に粉体
を放置し、分子状態で粉体に吸着させ、表面の活性点か
ら重合していくのを利用する。従って、従来の処理剤を
噴霧し熱で重合する方法とは全く異なる。特開昭57−20
0306号公報記載の方法の処理温度はオルガノシロキサン
の場合、230〜350℃であり前記した理由で好ましくない
のに比べ、前記の気相処理は温度安定性の低い金属酸化
物にも適用でき、その反応範囲は広いといえる。
本発明によって改質された金属酸化物および金属水酸化
物は、塗料、インキ、化粧料の分野において着色剤とし
て使用されるばかりではなく、磁性材料、ガスクロマト
グラフ用カラム充填剤、液体クロマトグラフ用カラム充
填剤、触媒用担体など幅広く応用できる。
有機顔料 有機顔料は塗料、インキ、化粧品の分野で使用された
り、プラスチックやゴムの着色剤として配合されるなど
の多くの利用分野がある。
有機顔料が塗料やインキに分散して着色力や鮮明さなど
の顔料本来の性能を発揮し、よい塗膜や印刷皮膜を作る
ためには分散媒中に一次粒子に近い形で分散する必要が
ある。
分散を良好にする目的で行われる有機顔料の表面処理と
しては従来、ロジン処理、アミン処理などが行われてい
る。これらの場合は製造時に粒子成長を抑える目的およ
び顔料の乾燥時に凝集を減少させ分散性を改善する事を
目的としている。
一方、ポリマーコーティングでは有機顔料、重合性モノ
マーおよび溶剤の混合系をボールミルやサンドミルで分
散した後、重合開始剤や触媒を加えて顔料粒子表面にポ
リマーを形成している。この場合、溶剤はモノマーを溶
解するがポリマーを溶解しないものを選択する。
しかしながら、従来の処理法で得られる表面処理有機顔
料は顔料の分散性はある程度改良されるものの、有機顔
料上に処理剤が均一に被覆されていないという欠点があ
り、このためこの顔料が製品中に配合されると、顔料表
面の活性点が製品中のビヒクル中で他成分と相互作用を
起こして他成分の劣化をひき起こすことが多かった。
また、赤色202号などの顔料は結晶水の吸脱着により、
結晶移転を起こし変色することが知られている。これを
防止するためには顔料を被覆して水分が全く透過しない
ような完全均一の表面処理が望まれるが、現在のところ
そのような処理はできていない。
従来の方法で有機顔料上に処理剤が均一に被覆されない
理由としては、溶液中での吸着や反応開始剤の反応の問
題もさることながら、処理後の濾過、乾燥工程中などに
凝集などが起こり不均一となる場合が多かった。
これに対して、本発明の改質有機顔料は、他成分と反応
を起こすことのない安定なものである。
本発明に用いられる有機顔料としては、赤色3号、赤色
104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204
号、赤色205号、赤色206号、赤色207号、赤色220号、赤
色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色405
号、橙色203号、橙色204号、橙色205号、黄色4号、黄
色5号、黄色205号、黄色401号、青色1号、青色404号
などがあげられる。またこれらの有機顔料がアルミニウ
ムレーキ、ジルコニウムレーキのものでも良いし、それ
らの有機顔料を表面処理したもの、例えばロジン等で処
理したものでもかまわない。
本発明に用いる有機顔料の粒子径は特に制約はないが粒
子径0.05〜200μm、特に0.05〜3.0μm程度のものが好
ましい。
表面を被覆するシリコーンポリマーの分子量が高いもの
程被覆が完全であるが、通常塗料、インキ、化粧料に用
いる場合には分子量1000以上で充分である。分子量が20
万以上のものについてはクロロホルムなどの溶媒を用い
ても溶出されてこない完全なカプセルとなる。
本発明の安定な有機顔料におけるシリコーンポリマーの
存在量は約0.1〜20重量%、好ましくは0.2〜5重量%で
ある。0.1重量%以下では有機顔料に有効な安定性を付
与することができない。
粉体表面でシリコーン化合物を重合させるためには、従
来は150℃程度の温度が必要とされていたが、本発明で
は、有機顔料とシリコーン化合物との放置温度は100℃
以下で充分である。また、密閉系で処理する場合、窒素
置換を行えば大量のシリコーン化合物を導入しても安全
であり、さらに減圧下で反応させれば吸着の速度が若干
早くなる。本発明の改質有機顔料は塗料、インキ、化粧
品などの分野で着色剤などとして使用できる。
パール光沢材料 従来から、微細な薄片状雲母の表面に二酸化チタン層を
形成させた雲母チタン系複合材料は、真珠光沢および種
々の干渉色を有するところから、化粧品、塗料、プラス
チック等の顔料として広く用いられている。
その製法としては真空蒸着処理もあるがデュポンの特許
(特公昭43−25644号公報)に見られるようなチタンの
無機酸塩(たとえば硫酸チタニル)の水溶液を雲母の存
在下で加水分解し、雲母表面に含水二酸化チタンを析出
させたのち加熱する方法が一般的である。使用する雲母
は、一般的には白雲系雲母(muscovite mica)を用いる
が、場合によっては黒雲母などを用いることも可能であ
る。また雲母はあらかじめ水粉砕し、フルイを用いて粒
子径をそろえたものを使用する。
生成した雲母チタン系複合材料は、雲母粒子表面上の二
酸化チタン被覆層の厚さによって様々な干渉色を呈す
る。干渉色は二酸化チタンの量が生成物の10〜26重量%
の場合、通常銀色であるが、26〜40%では金色、40〜50
%の範囲では二酸化チタン層の増加の方向で、赤、青、
緑色へと変化し、さらに50〜60%では高いオーダーの干
渉色が得られる。
こうした雲母チタン系複合材料は真珠光沢と種々の淡い
干渉色を有するものの、外観色は常に白色に近く、干渉
色と一致した鮮やかな外観色を呈するものは得られてい
ない。
そこで従来、様々な外観色を出すためには、生成した雲
母チタン系複合材料に酸化鉄、紺青、酸化クロム、カー
ボンブラック、カーミンなどの有色顔料を添加して対処
していた。こうした有色の雲母チタン系複合材料の安全
性、安定性、耐光性、耐酸性、耐アルカリ性、耐溶媒
性、耐熱性などは添加した有色顔料の性質に負うところ
が多く、たとえば紺青を添加した青色の雲母チタン系複
合材料はアルカリ溶液中で褪色し、カーミンを添加した
赤色の雲母チタン系複合顔料は光によって褪色劣化す
る。
以上のように雲母チタン系複合材料は表面が二酸化チタ
ンや有色顔料であり、前述したような雲母チタン系複合
材料自体の劣化のみでなく、たとえば樹脂や油脂に添加
した場合その触媒作用により他の共存物を劣化させてし
まうことが多い。
このような作用を防止するためシリカの被覆が施されて
いるものもあるが完全な被覆にはいたらず、著しい効果
は認められない。またクロメート処理等も行われている
が、公害の問題やコストの面から日本では使用していな
いのが実状である。
これに対して、本発明の改質パール光沢材料は安定であ
る。
本発明に用いられるパール光沢材料としては雲母チタン
系複合材料、雲母酸化鉄系複合材料、ビスマスオキシロ
クライド、グアニン、更に、酸化窒化チタンおよび(ま
たは)低次酸化チタンを含有するチタン化合物で被覆さ
れた雲母などがあげられる。雲母チタン系複合材料のチ
タンについては二酸化チタン、低次酸化チタン、酸化窒
化チタンのいずれでもよい。また雲母チタン系複合材料
またはビスマスオキシクロライドに有色顔料、たとえば
酸化鉄、紺青、酸化クロム、カーボンブラック、カーミ
ンあるいは群青などをさらに混合したものであってもか
まわない。
本発明に用いるパール光沢材料は素材のままでも良い
が、粉末状でパール光沢顔料として用いる場合は粒径0.
1〜200μm、特に1〜50μm程度で粒子形状ができるだ
け偏平なものが美しい色調と真珠光沢が発揮されやすい
ため好ましい。
上記パール光沢材料の表面を被覆するシリコーンポリマ
ーの分子量が高いもの程被覆が完全であるが、通常塗
料、インキ、化粧料などに用いる場合は1000以上で充分
である。分子量が20万以上になるとクロロホルムなどの
溶媒を用いても皮膜成分が脱落溶出してこない完全なカ
プセルとなる。
本発明の安定な被覆パール光沢材料におけるシリコーン
ポリマーの存在量は、被覆パール光沢材料全量中の約0.
1〜20重量%、好ましくは0.2〜5重量%である。20%を
越える場合はパール光沢に悪影響を与え、0.1%未満で
は本発明の効果が少ない。
本発明によって得られた被覆パール光沢材料は安定性が
向上するばかりではなく、粉末状のパール光沢材料にあ
っては、配向性が良くなるためか光沢が良好になる。
本発明によって改質されたパール光沢材料は、例えば塗
料、インキ、プラスチック、化粧品、装飾品、日用雑
貨、繊維製品あるいはセラミック製品用の顔料あるいは
有色パール光沢材料として有用である。
また、本発明による改質雲母チタン系複合材料は記録紙
用の導電層や記録層ならびに静電気防止材料としての用
途も期待される。
ケイ酸塩鉱物 ケイ酸塩鉱物の中で工業的用途の広いものとしてフィロ
ケイ酸塩鉱物とテクトケイ酸塩鉱物が挙げられる。
この中でフィロケイ酸塩鉱物は板状または薄片状で底面
に平行に明瞭な劈開をもっている。一般に軟く、比重は
比較的低く、柔軟性や劈開片の弾性を示す。この特性は
化粧品に用いられた場合、使用性を向上させることから
化粧品には多く用いられてきた。
このような特徴は、これらの鉱物の構造が、2次元的に
広がったSiO4四面体のつくる層構造が重要な構成要素と
なっている。この四面体層は、もう1つの構造単位であ
る。Al、Mg、Feなどの金属イオンよりなる層状グループ
と組み合わさっている。
四面体層と八面体層の層内の単位構造の大きさはほとん
ど一致するので、その積み重りが容易に生ずる。その結
果、2種類の層が一ずつ重なった2層構造、あるいは2
個の四面体層の間に八面体層がサンドイッチのように挾
まれた3層構造ができる。これらの複合層は電気的に中
性であり、また負の電荷をもつものはKやNaイオンが入
り込むことによって中性を保っている。
しかしながら、このような構造の鉱物は、局部的な電価
のアンバランスがあり、これが固体酸等の活性を発現さ
せている。
また、テクトケイ酸塩鉱物は(Si、Al)O2組成からなる
3次元の骨組みまたはフレームをもっており、ほとんど
の鉱物はアルミノケイ酸塩になっている。その理由とし
ては3次元のフレームが負の電荷を帯びるために、Si4+
イオンの一部がAl3+によって置換されねばならないから
である。
このように負に荷電したフレームは陽イオンを含むこと
により中和されるが、この中和の程度によっては活性点
が発現する。
以上のような理由から、フィロケイ酸塩鉱物、テクトケ
イ酸塩鉱物は化粧料や塗料に用いた場合、共存する香料
や油脂および樹脂を劣化させるというマイナスの作用が
生じる。
従来の技術では、塗料などに分散させる分散技術が中心
であり、表面の触媒活性を抑えるといった処理技術はみ
られない。
また、シリコーンオイルで処理する方法等も試みられて
いるが表面を完全に覆うことができず、撥水性をもたせ
る機能のみで終っているのが現状である。
従来の処理法で得られるシリコーン処理粉末は、粉末上
に均一のシリコーン化合物が被覆されていない。もっと
も、シリコーン化合物の被覆が不完全で内部の粉末表面
が一部露出していても撥水性は示す。しかしながら、香
料と共存させると香料を分解させるし、薬剤との相互作
用も完全にはなくならない。
この理由としては、シリコーン化合物の供給が液状で行
われていることに根本的な原因がある。従来の方法の中
で一番良いと思われるのは前記特開昭57−200306号記載
の方法であるが、この方法には、金属酸化物に関連して
記載したとおりの欠点がある。
また、シリコーン処理の場合は150℃〜350℃の温度で焼
付けを行う場合があるが、この場合の多くは液相から行
っており、フィロケイ酸塩鉱物やテクトケイ酸塩鉱物の
ように固体酸の強いものをシリコーンオイルと共存させ
ると開環重合が起こりシリコーンラバーとなってしま
う。その結果シリコーンラバー中にケイ酸塩鉱物が分散
している形となってしまう。
焼付温度を下げるために触媒を用いた場合は確かに低温
で処理できるが、その触媒が残留し、表面のシリコーン
樹脂の劣化を促進し、経時での変化が著しく実用性にと
ぼしいのが通例であった。また、触媒の作用は表面のシ
リコーン樹脂のみならず、他の共存の成分、例えば油や
香料等の分解を促進し、変質・変臭等の問題を起こし化
粧品等には用いることができなかった。
メカノケミカル反応を利用したシリコーン処理方法は、
焼付処理が不必要なため温度安定性の低い顔料にも適用
できるが、この方法を適用すると、粉砕力を利用するた
め板状や球状を特徴とする粉末では形状が変化してしま
う。特にフィロケイ酸塩鉱物は板状または薄片状であり
その特長を生かすためにはメカノケミカル反応は適当で
ない。
これに対して、本発明による改質ケイ酸塩鉱物は薬剤と
の相互作用がなく、さらに香料に対して分解作用を示さ
ない。
従って医薬品・化粧料に用いた場合、経時安定性が著し
く向上する。
また、シリコーンポリマー(樹脂)の皮膜は薄く透明性
も高いためケイ酸塩鉱物は未処理のものとの間に色調の
差異がない。
このような性質に加えて本発明によるケイ酸塩鉱物は、
シリコーンポリマーで被覆されているため疎水性を示
し、乳化系などでは油相に入ることからけい酸塩鉱物に
おける使用上の制約が除かれて広範な用途に使用される
ことが可能となった。
本発明にかかる安定なケイ酸塩鉱物はフィロケイ酸塩鉱
物(例えば、カオリン族、モンモリロナイト族、粘土雲
母族、緑泥石族、蛇紋石)およびテクトケイ酸塩鉱物
(例えば、ゼオライト族)であり、パイロフィライト、
タルク、緑泥石、クリソタイル、アンチゴライト、リザ
ダイト、カオリナイト、デッカイト、ナクライト、ハロ
サイト、モンモリロナイト、ノントロナイト、サポナイ
ト、ソーコナイト、ベントナイトおよびソーダ沸石、中
沸石スコレス沸石、トムソン沸石等のソーダ沸石族、輝
沸石、束沸石、剥沸石等の輝沸石族、および方沸石、重
十字沸石、灰十字沸石、菱沸石、グメリン沸石などのゼ
オライトなどが例示される。
これらのフィロケイ酸塩鉱物は層間に有機カチオンが入
り込んでいても良いし、アルカリ金属、アルカリ土類金
属イオン等で置換されても良い。
テクトケイ酸塩においても、金属イオンが細孔の中に入
り込んでいても良い。
粒子径は、とくに制限的ではないが0.01μm〜10mm、特
に0.01〜100μm好ましくは0.1〜30μmである。
本発明の安定なケイ酸塩鉱物におけるシリコーンポリマ
ーの被覆量は、表面積によって異なるが、約0.1〜20重
量%、好ましくは0.2〜5.0重量%である。0.1重量%未
満の場合は、ケイ酸塩鉱物に有効な安定性を付与するう
えで置換ではなく、逆に20重量%を超える場合は、粒子
同志の結合が進行して凝集が生じ分散性の点で最適では
ない。
本発明にかかる安定なケイ酸塩鉱物は、ケイ酸塩鉱物に
シリコーンポリマー(樹脂)が被覆されればよく、従っ
て、ケイ酸塩鉱物で表面処理したプラスチックであって
も、シリコーンポリマー被覆により安定な複合体とする
ことができる。
シリコーン化合物の重合には高温加熱の必要はないが、
200℃程度の加熱ならば架橋率が大きくなるだけで本発
明の範囲を超えることはない。
本発明による改質されたケイ酸塩鉱物は電気の絶縁体、
薬品の充填剤、窒業材料、紙、ゴム、ペンキ、化粧品な
どに用いられる他、その表面構造をシリコーンポリマー
皮膜で変化させることによって触媒や吸着剤等にも用い
ることができる。
多孔質物質 従来、芳香剤等の分野においてはゲルタイプ、リキッド
タイプ、エアゾールタイプ、含浸タイプ等の剤型のもの
が知られている。含浸タイプに使用されるもののうち多
孔性物質としては、特開昭52−41244号公報記載のモル
デナイト脱水物等や、特開昭56−5372号公報記載のカオ
リン族、特開昭49−13342号、特開昭55−103861号、特
開昭53−29943号、特開昭53−15439号、実開昭48−1107
9号、実公昭54−22771号各公報記載のシリカ、アルミナ
及びシリカーアルミナあるいは石膏ボード等が用いられ
ている。
しかし、これら多孔性物質は少なからず外表面上及び細
孔表面上に酸点、塩基点、酸化点、還元点のような活性
点を有し、香料や薬剤と共存するとき、香料等の種類に
よっては分解、変質させ短期間で変臭、変質を生ずるも
のもある。
このため、含浸タイプの剤型がとれなかったり香料等の
選択の範囲が限られ、製品としては香りの優雅さに欠け
るもの等にならざるを得なかった。
一方、多孔性物質は芳香剤用の担体あるいは薬剤用の担
体などとして用途が広いが、担体として用いられる以
上、香料や薬剤を分解、変質させないことが必要であ
る。
従来、多孔性物質の表面変性は様々な分野で行われてき
たが、そのほとんどは液相による処理を用いている。変
性処理される物質が多孔性物質の場合は、液相処理によ
り細孔がつぶれてしまい、処理された多孔性物質は、も
はや多孔性物質としての性能を失ってしまう。
そこで、多孔性物質を香料や薬剤の担体として用いる場
合には、元々活性のない多孔性物質を選択する必要があ
る。しかし、芳香剤用担体あるいは薬剤担体などにあっ
ては香料や薬剤を多量に含浸させる必要があるので、細
孔を多数有する多孔性物質を選択する必要があり、従っ
て比表面積も大きくなってしまう。このため活性点密度
が低い多孔性物質であっても、全体としては活性点の数
は増え香料や薬剤の劣化を完全に防止することは不可能
であった。
従って、製品には、非常に安定性の高い限られた香料や
薬剤を用いるしか方法がなく、製品としての特性(香り
の優雅さや薬効等)が十分発揮できなかった。
上記のような現象を根本的に解決し、多孔性物質として
の特徴、すなわち香料や薬剤をその細孔内に多量に担持
する性能を失わず、しかも香料や薬剤を安定に担持する
ためには多孔性物質の外表面上及び細孔表面上の酸点、
塩基点、酸化点、還元点のような活性点を、細孔をつぶ
すことなく不活性にする技術が必要である。
本発明では前記式(I)の環状トリシロキサン化合物の
少なくとも1種を蒸気の形で、多孔性物質と接触させ、
多孔性物質が有する表面活性を利用して多孔性物質の外
表面上および細孔表面上で該シリコーン化合物を重合さ
せてシリコーンポリマーを形成させて上記表面活性を被
覆、消失させることによって調製する本発明の改質多孔
性物質は、香料や薬剤に対する安定性が高く、優れた担
体として使用することができる。
気相処理の時間は一般的には1時間〜72時間であり、そ
の後脱気して重合していないシリコーン化合物を除去し
て目的物を得る。
本発明に用いられる多孔性物質としては、ケイ酸塩鉱物
であるパイロフィライト、タルク、緑泥石、クリソタイ
ル、アンチゴライト、リザダイト、カオリナイト、デッ
カイト、ナクライト、ハロサイト、モンモリロナイト、
ノントロナイト、サポナイト、ソーコナイト、ベントナ
イト、ソーダ沸石、中沸石、スコレス沸石、トムソン沸
石、輝沸石、束沸石、剥沸石、方沸石、重十字沸石、灰
十字沸石、菱沸石、グメリン沸石、白雲母、金雲母、黒
雲母、絹雲母、鉄雲母、紅雲母、リチア雲母、チンワル
ド雲母、ソーダ雲母、 KAl2(Al、Si3)O10F2,KMg(Al、Si3)O10F2,K(Mg、Fe
3)(Al、Si3)O10F2、金属酸化物である酸化マグネシ
ウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化カルシウ
ム、水酸化カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アル
ミニウム、シリカ、酸化鉄(α−Fe2O3、γ−Fe2O3、Fe
3O4、FeO)、水酸化鉄、酸化チタン、低次酸化チタン、
酸化ジルコニウム、酸化クロム、水酸化クロム、酸化マ
ンガン、酸化コバルト、酸化ニッケル及びこれらの2種
以上の組み合わせによるシリカアルミナ、チタン酸鉄、
チタン酸コバルト、リチウムコバルトチタネート、アル
ミン酸コバルト、炭酸塩鉱物であるCaCO3,MgCO3,FeCO3,
MnCO3,ZnCO3,CaMg(CO32,Cu(OH)2CO3,Cu3(OH)
(CO3、硫酸塩鉱物であるBaSO4,SrSO4,PbSO4,CaS
O4,CaSO4・2H2O,CaSO4・5H2O,Cu4SO4(OH)6,KAl3(O
H)(SO42,KFe3(OH)(SO4、りん酸塩鉱物
であるYPO4,(Ce,La)PO4,Fe3(PO4・8H2O、Ca5(P
O43F,Ca5(PO43Cl,Ca5(PO43OH,Ca5(PO4,CO3O
H)(F、OH)、金属窒化物である窒化チタン、窒化
ホウ素、窒化クロム等が挙げられる。
又、これらのものを造粒または成型したもの、あるいは
造粒または成型した後焼成したものでもよい。更に、セ
ルロース、繊維、合成樹脂等にも応用することができ
る。すなわち、多孔性ガラスビーズ、中空シリカ又はゼ
オライト、あるいは金属酸化物、金属窒化物、ケイ酸塩
鉱物、炭酸塩鉱物、硫酸塩鉱物もしくはリン酸塩鉱物
を、造粒又は成型したもの、金属酸化物、金属窒化物、
ケイ酸塩鉱物、炭酸塩鉱物、硫酸塩鉱物もしくはリン酸
塩鉱物を、造粒又は成型した後、焼成したもの、メタ
ル、セルロース、繊維又は合成樹脂を処理することがで
きる。
処理量すなわち吸着して反応、重合したシリコーンポリ
マーの量は、多孔性物質の種類や表面積によって異なる
が、通常、処理担体全量中の0.01〜60重量%、特に約0.
01〜20重量%である。また、処理担体の使用目的によっ
ては、活性点を完全被覆しなくても構わない。粒径は特
に制限されないが、10mm以下好ましくは3μm〜10mmで
ある。
前記多孔性物質に対する処理方法は、気相法であり、シ
リコーン化合物が気体分子状で多孔性物質に接触する。
すなわち、シリコーン化合物は常温、常圧で必ずしも気
体である必要はなく、固体でも液体であっても、加熱等
によって気体にできるものであれば使用することが可能
である。
式(III c)および(IV b)の化合物としては、ヘキサ
メチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテト
ラシロキサン、ペンタメチルシクロテトラシロキサン、
テトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシ
クロペンタシロキサン、ヘプタメチルシクロペンタシロ
キサン、ヘキサメチルシクロペンタシロキサン、ペンタ
メチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルトリシロ
キサン、1,1,1,2,3,4,4,4−オクタメチルテトラシロキ
サン、1,1,1,2,3,4,5,5,5−ノナメチルペンタシロキサ
ン等があげられる。
以下に、本発明の製造方法について詳述する。本発明の
方法の要部は多孔性物質の表面活性点と上記のシリコー
ン化合物の気体分子が接触するところにあり、基本的に
はシリコーン化合物の気体分子が多孔性物質の外表面及
び細孔内に拡散していくのであればどのような態様をと
っても構わない。
例えば密閉系を用いて製造することができる。この場合
は密閉系内に多孔性物質とシリコーン化合物とを別々の
開放容器に入れ放置しておくだけで良い。多孔性物質に
活性が無かったならばシリコーン化合物は多孔性物質に
吸着しても反応、重合せず、密閉系からとり出すと、シ
リコーン化合物は脱離してしまう。従って、この場合多
孔性物質はシリコーン変性されない。
表面に重合活性点がある場合には、シリコーン化合物は
多孔性物質表面上に吸着した後、反応、重合して消費さ
れるので多孔性物質表面近傍のシリコーン化合物分圧が
下がり容器中のシリコーン化合物がさらに揮発し供給さ
れる。こうして次々と反応、重合が進行し、表面上の活
性点が完全に被覆されると重合活性がなくなり、その時
点で重合が自然に停止するものである。
このような簡単な原理に基づくため、本発明の製造方法
には特別な装置は必要としない。密閉された室のみで製
造が実施できる。密閉室が恒温に保てれば、より好まし
い。少量製造であればデシケーターを用いることもでき
る。理想的には、処理後脱気できる装置が望ましい。
又、密閉室に多孔性物質のみをあらかじめ入れておき、
別の密閉された室においてシリコーン化合物を所要の分
圧で揮散させ、揮散するシリコーン化合物を多孔性物質
の置かれた室にパイプ等で導入するという態様をとるこ
ともできる。このような密閉系で処理を行う場合、温度
で蒸気圧をコントロールし、圧力で拡散をコントロール
できる。従って、シリコーン化合物の拡散速度を上げる
ためには減圧下で処理することもできる。この場合100m
mHg以下が好ましい。
又、密閉系以外に、キャリヤーガスでシリコーン化合物
を多孔性物質のところまで導入する方法をとってもかま
わない。しかし、この時シリコーン化合物の蒸気圧は多
孔性物質近傍で飽和以上にならないことが望ましい。
いずれの態様の場合にも、処理時間は一般的に30分から
72時間で、その後脱気して反応、重合していないシリコ
ーンを除去し、目的物を得る。
又、反応に際して多孔性物質に付着している水分が反応
促進剤として作用するが、付着水が少ない場合は水蒸気
を与えてもよい。
本発明の製造方法は気相接触反応させることを特徴とし
たものであり、揮発したシリコーン化合物が多孔性物質
表面上に吸着後、その活性点により重合反応していくも
のであるから、処理量、即ち吸着反応した生成物の量
は、多孔性物質の種類や表面積によって異なる。通常、
シリコーン変性多孔性物質全量中の約0.01〜30重量%で
ある。なお、シリコーン変性多孔性物質の使用目的によ
っては、多孔性物質上の活性点を完全被覆してくても構
わない。
本発明においてはシリコーン化合物を気体分子状で多孔
性物質に接触させるのが特徴であるので、低沸点のシリ
コーン化合物はもとより、常温、常圧では気体状ではな
い高沸点のものでも減圧、高温などで気体状にすれば使
用可能である。ヘキサメチルシクロトリシロキサンのよ
うな昇華性のものであっても用いることができる。
本発明の方法にあっては、反応、重合した場合に三次元
構造の重合物になるシリコーン化合物を選ぶことが好ま
しい。シリコーン変性多孔性物質を香料や薬剤、溶媒な
どに浸したときにもシリコーンが容易に脱着しないから
である。
本発明では表面の活性点を利用しているため、表面でし
か重合は起こらず、しかも気相反応を利用しているの
で、活性点を効果的に封鎖でき、かつ、細孔はほぼ完全
に保存される。
又、溶媒を使用したコーティングでは、同様の溶媒に浸
すことで溶出してしまうが、本発明では、表面重合させ
て溶媒に溶出しない程度まで高分子化できるので、溶出
などということもない。
本発明により得られた処理担体は、その外表面上及び細
孔表面上に香料や薬剤が共存していても、これらを分
解、変質せず、従って赤色、変臭等の問題を起こすこと
がなく、長期に放出コントロールすることができる。
そのため芳香剤、薬剤、玩具類等の分野において好適に
利用することが可能である。
又、本発明は多孔性物質の表面活性を利用した気相反応
を利用するので、造粒したり特殊な成型を施した多孔性
物質でも、そのまま形を変えることなく細孔を維持した
まま処理が出来る。そのため芳香剤、薬剤、玩具類、人
工臓器、人工骨、セラミック等の分野において利用する
ことが可能である。
カーボン 活性炭、カーボンブラック等のカーボンは、塗料、イン
キ、化粧料の分野において着色剤として使用されている
が、通常、親水性であり油中や溶剤系での分散性は良好
とはいえない。また、カーボンは触媒活性を有してお
り、この触媒作用によって、共存する油脂や香料を劣化
させたり、薬剤などを吸着する等の欠点を有している。
従来、親水性の粉末を疎水性に変える方法としては粉末
表面をアルキル化する等の表面処理が行われるが、カー
ボンは不活性であるため従来法による疎水化は困難であ
った。
粉末等の表面活性を封鎖する方法としてはシリコーン油
を用いる表面処理が行われることが多い。
従来の処理法で得られるシリコーン処理粉末は、粉末上
に均一にシリコーン化合物が被覆されていない。もっと
も、シリコーン化合物の被覆が不完全で内部の粉末表面
が一部露出していても撥水性は示す。しかしながら、香
料と共存させると香料を分解させるし、薬剤との相互作
用も完全にはなくならない。
また、微粒子の粉末は従来の処理法では凝集してしま
い、微粒子のまま凝集していない粉末はこれまでなかっ
た。
この理由としては、シリコーン化合物の供給が液状で行
われていることに根本的な原因がある。従来の方法の中
で一番良いと思われるのは前記特開昭57−200306号公報
記載の方法であるが、この方法には、金属酸化物に関連
して記載したとおりの欠点がある。
以上のように従来の方法で得られたシリコーン被覆物は
皮膜が不均一で凝集を生ずるといった欠点をもっている
が、さらに、シリコーン処理するために熱エネルギー、
メカノケミカルエネルギー、触媒等の助けを必要とする
欠点をも有していた。
例えば、触媒を用いた場合は低温で処理できるが、その
触媒が残留し、表面のシリコーン樹脂の劣化を促進し、
経時での変化が著しく実用性にとぼしいのが通例であっ
た。また、触媒の作用は表面のシリコーン樹脂のみなら
ず、他の共存の成分、例えば油や香料等の分解を促進
し、変質・変臭等の問題を起こし化粧品等には用いるこ
とができなかった。
メカノケミカル反応を利用したシリコーン処理方法は、
粉砕力を利用するため粉末の形状が変化してしまう。
これに対して、本発明による改質カーボンは、薬剤との
相互作用がなく、さらに香料に対して分解作用を示さ
ず、疎水性も強く、親油性に優れたカーボンである。
従って医薬品または化粧料に用いた場合、経時安定性が
著しく向上する。
このような性質に加えて本発明による改質カーボンは、
シリコーンポリマーの皮膜で被覆されているために疎水
性を示し、乳化系などでは油相に入ることからカーボン
における使用上の制約が除かれて広範な用途に使用する
ことが可能となった。また、シリコーンポリマーで完全
に被覆されているためガスクロマトグラフ用カラム充填
剤や液体クロマトグラフ用カラム充填剤等に用いること
ができる。
特に液体クロマトグラフ用カラム充填剤として使用した
場合には、カーボン自体は酸またはアルカリに対して安
定なためクロマトグラフィーを行うときに酸性からアル
カリ性までの広範囲のpHの溶離液を使用することができ
る。現在多用されているシリカゲルを担体として化学結
合型樹脂はアルカリ性での使用は不可能であるが、本発
明にかかる安定で親油性に優れたカーボンを充填剤とし
て使用した場合はアルカリ性の溶離液の使用も可能であ
る。
本発明の安定で親油性に優れたカーボンにおけるシリコ
ーンポリマーの被覆量は、表面積によって異なるが、約
0.1〜50重量%、好ましくは1〜30重量%である。0.1重
量%未満の場合は、カーボンに有効な親油性を付与する
うえで最適ではなく、逆に50重量%を超える場合は、粒
子同志の結合が進行して凝集が生じ分散性の点で最適で
はない。また、カーボンのもつ細孔が塞がり充填剤とし
て不適当なものになる。粒子径は、特に制限的ではない
が、0.001μm〜10mmである。
カーボンとシリコーン化合物の放置温度は100℃以下で
充分である。このように、高温加熱の必要はないが、10
0℃以上の加熱でも架橋率が大きくなるだけで本発明の
範囲を超えることはない。
本発明による改質カーボンは、塗料、インキ、タイヤ、
化粧料の分野において着色剤として使用されるばかりで
はなく、触媒用担体、さらにはガスクロマトグラフ用カ
ラム充填剤、液体クロマトグラフ用カラム充填剤、など
幅広く応用できる。
金 属 本発明により、前記シリコーン化合物で処理することに
よって改質することのできる金属としては、例えば、
鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、ク
ロム、チタン、ジルコニウム、モリブデン、銀、インジ
ウム、スズ、アンチモン、タングステン、白金、および
金、ならびにそれらの合金を挙げることができる。本発
明による改質金属粉体は安定(すなわち、酸素と接触し
ても自動酸化されない)で、しかも分散性が著しく向上
する。従って、前記の改質金属粉体は、例えば、磁性記
録材料中に有効に使用することができる。
前記金属粉体の粒子径は、特に制限されるものではない
が、0.01μm〜10mm、特に0.01μm〜5mmの金属粉体を
改質するのが好ましい。シリコーンポリマーの被覆量は
約0.01〜20重量%であることが好ましい。
雲 母 雲母は塗料、インキ、化粧品の分野で利用されたり、プ
ラスチックやゴムに充填剤として配合されているが、通
常親水性であり、油中や溶剤系での分散性は良好とは言
えず、プラスチックやゴムに練り込む場合も凝集を起こ
して均一に配合することが困難であった。
このため雲母に対しては多くの表面処理が行われてい
る。例えば特開昭56−29512号では種々の3リシロキサ
ン、炭化水素または高級脂肪酸と共に雲母を焼付け処理
しており、シロキサンと脂肪酸等の反応や雲母表面との
反応が生じてコーティングができることが述べられてい
る。また、特開昭55−136213号や特開昭56−16404号で
は雲母を含む化粧品原料にシリコーン油を加え、同様に
焼付けて油剤を添加している。特開昭57−200306号にお
いては、特に雲母についての処理を述べているわけでは
ないが、無機粉体を有機ケイ素化合物全般で処理し、プ
レス状メイクアップ化粧料を得ている。
以上のように熱を使用する処理以外では特公昭44−2568
2号、特許第1214497号のようにメカノケミカルのエネル
ギーを利用して処理する方法がある。
従来の処理で得られるシリコーン処理雲母は、雲母上に
均一にシリコーン化合物が被覆されていない。シリコー
ン化合物の被覆が不完全であるため、雲母の表面が一部
露出しており香料等と共存させた場合これらを分解させ
劣化を促進させる。
この理由としては、シリコーン化合物の供給が液状で行
われていることに根本的な原因がある。焼付け処理法の
中で最も優れていると思われる前記特開昭−200306号公
報記載の方法ではガス状噴霧しているが、この方法で噴
霧される霧の粒でさえミクロン単位の雲母表面に数十オ
ングストローム厚さの皮膜を生成させるには大きすぎ、
雲母と雲母を霧の粒が連結したり不均一な皮膜を生成し
たりする。シリコーン化合物の添加量が雲母に対して1
〜10%と限定されているのも、前記公報中でも述べられ
ているとおり10%以上ではシリコーン化合物が表面処理
剤としてではなく結合剤として働き雲母が塊状化してし
まうからである。これは明らかに噴霧されたシリコーン
化合物では未だ雲母に対して粒子径が大き過ぎるという
上記の事情をあらわしている。
また、メカノケミカルエネルギーを利用した処理方法で
は、雲母が粉砕されて、本来の板状を失ってしまうため
に、透明性が失われたり、すべりが悪くなるという欠点
を有していた。
これに対して、本発明による改質雲母は、上記欠点のな
い安定な雲母である。
本発明にかかわる安定な雲母は香料など他成分を分解さ
せないことから、医薬品、化粧料に用いた場合、経時安
定性が著しく向上する。
また、シリコーンポリマー皮膜は薄く透明性も高いた
め、安定化雲母は未処理のものと色調の差がない。
このような性質に加えて本発明による雲母は、シリコー
ンポリマーの皮膜で被覆されているから疎水性を示し、
乳化系などでは油相に配合可能で、配合上の制約が少な
く、広範な用途が可能となった。
また、本発明にあっては、シリコーンポリマーの量が雲
母重量に対して10%以上でも、雲母が塊状になることは
なく、90%程度という大量の被覆までをも行うことがで
きる。後述のように、気相での処理を行えば、大量被覆
のものであってもとくにフワフワした感触を有してお
り、ベタつき等の欠点は全くない。
このようにシリコーンポリマーの皮膜で完全に被覆され
た雲母は他成分との相互作用がなく、疎水性であるため
塗料、インキ、化粧料に練り込むことができるといった
広い用途が期待できる。
本発明に適用されるシリコーンポリマー−雲母複合体の
核となる雲母は白雲母、金雲母、黒雲母、絹雲母、鉄雲
母、紅雲母、リチア雲母、チンワルド雲母、ソーダ雲母
等の雲母類が雲母のOH基がFに置換された人工雲母[例
えば、KAl2(Al,Si3)O10F2,KMg3(Al,Si3)O10F2、K
(Mg,Fe3)(Al,Si3)O10F2]があげられる。これらの
雲母は焼成されていてもかまわない。
本発明に用いる雲母の粒子径は特に制約はなく原鉱石で
も処理することができるが、粒子径0.5〜200μm、特に
0.5〜40μm程度のものは早く処理ができる。
本発明の安定な雲母におけるシリコーンポリマーの存在
量は目的によって異なるが、本来の雲母の形状を変えな
い場合は約0.1〜20重量%、好ましくは0.2〜5重量%で
ある。0.1重量%では雲母に有効な安定性を付与するこ
とができない。
また、後で詳述するように雲母を劈開して雲母箔をより
薄くしながら処理して安定な雲母を得る場合は、シリコ
ーンポリマーの存在量が20〜95重量%、特に20〜90重量
%のものも可能であり、フワフワした複合体として得ら
れる。
本発明にかかわる安定な雲母は、雲母にシリコーンポリ
マーが被覆されておればよく、従って雲母被覆したプラ
スチックや紙であってもシリコーンポリマー被覆により
安定な雲母とすることができる。
シリコーン化合物が雲母に対して10重量%以上を越えて
も雲母は膨潤し、微細な粉体となる。シリコーン化合物
の量が多い程膨潤は進行し、雲母は劈開しなから被覆さ
れていく。雲母に対してシリコーン化合物95重量%程度
まで使用することができる。
表面で重合を起すためには一般に熱を用いるか又は重合
触媒を用いて、従来は150℃程度の温度が必要とされて
いたが、前記の方法によれば、雲母と環状シリコーン化
合物との放置温度は100℃以下で充分である。
前記特開昭57−200306号記載の処理方法では、ガス状噴
霧して加熱する工程をとっており、10重量%以下のシリ
コーン化合物で処理しているが、このような方法は噴霧
するシリコーン化合物の粒子が雲母表面に付着しそこで
重合するため膨張することがない。シリコーン化合物の
供給は完全に分子状態での拡散でなければならない。
シリコーン化合物を特に20重量%以上用いた場合は雲母
の剪開が生じ、フワフワした薄い雲母となる。このよう
に膨張した雲母は白化するが、特に黒雲母を処理した場
合は処理前と比較して著しく白くなる。また、劈開、膨
張した雲母は軟らかくすべり易い性質となっており、化
粧料の原料に適している。
さらに、雲母の原鉱石も劈開させることができ、劈開さ
せた後に粉砕すると、容易に粉末化することができると
いう製造上でのメリットもある。
本発明による改質雲母は塗料、インキ、化粧品の分野で
充填剤として使用されるばかりではなく、ゴムやプラス
チックに練り込んで保温防熱や電波障害防止や鋳型の付
着防止など幅広く応用できる。
生体高分子 生体高分子粉体は、安全性が高いため、医薬品や化粧料
に使用されている。しかし、生体高分子粉体の表面は、
水酸基、アミノ基、カルボキシル基等の親水性基で覆わ
れているため、油性系での分散性は良好ではない。ま
た、水系および乳化系中では、分散性は比較的良好であ
るが、長期に配合していると水との作用で生体高分子の
コンホーメーションが変化したりカビ発生によって変
質、変色、変臭等を起こし、安定性に問題があるという
欠点を有している。
従来、生体高分子粉体を医薬品や化粧品に配合するに
は、例えば特開昭55−27120号、特開昭54−70435号各公
報のように、粉体を微細化する方法のみがとられてお
り、本質的な解決には到っていない。
これに対して、本発明による改質生体高分子粉体は、油
性系、乳化系での分散が良好で、表面のシリコーンポリ
マー及び疎水性ペンダント基により内部に水が侵入でき
なくなっているため、安定性が著じるしく向上する。従
って、本発明にかかる安定な生体高分子粉体は、医薬品
や化粧料に用いた場合、経時安定性が著しく向上する。
本発明にかかる安定な生体高分子は、毛髪、獣毛、羽
毛、角、蹄等のケチチン、絹のフィブロイン、動物の
皮、腱、骨等のコラーゲン、セルロース、ヘミセルロー
ス、ペクチン、チキン、コンド、ロイチン、核酸(例え
ば、DNA,RNA)、ペプチドグルカンなどが例示される。
粒子径は特に限定的ではないが、0.01μm〜10mmであ
る。シリコーンポリマーの被覆量は0.01〜40重量%であ
ることが好ましい。
本発明にかかる改質生体高分子は、医薬品や化粧料の他
に、塗料、インキ、液体クロマトグラフ用担体などに応
用できる。
以下、本発明による改質粉体の用途について説明する。
本発明による改質粉体は、例えば顔料として、任意の塗
料例えば溶媒型、粉末型、乳剤型、および水性型の塗料
中に有利に配合することができる。塗料は一般に樹脂、
顔料、溶剤、可塑剤、およびその他の通常の塗料添加剤
からなる複雑な多成分混合系である。塗料に顔料を配合
する目的は、(i)着色、隠ぺい力、物性(例えば硬
さ、強度、接着性)、向上した耐候性、螢光、リン光、
磁性、導電性、およびその他の顔料固有の特性を塗膜に
与えること、(ii)塗液流動性を改善し、塗装時の作業
性を良くすること、ならびに、(iii)さび、かび、有
害生物の発生や付着を防止すること等がある。
このような効果を得るために、顔料と樹脂や分散剤との
相互作用などが検討されている。しかしながら、顔料は
種類によって、例えば親水性から疎水性まで種々の性質
を有しており、これが同一塗料中での色分れなどの望ま
しくない現象の原因となっている。
本発明による改質顔料はその表面がシリコーンポリマー
皮膜で均一にしかも実質的に完全に被覆されているた
め、望ましくない色分れが起こらない。
また、顔料表面の活性がシリコーンポリマー皮膜で封鎖
されているので、塗膜の経時劣化を有効に防ぐことがで
きる。更に、改質顔料表面のシリコーンポリマー皮膜が
透明でしかも薄いことから未処理顔料との色の差が事実
上なく、本発明の改質処理による色の差を後で修正する
必要がない。塗料としては、溶液形塗料の硝化綿ラッカ
ー、橋かけ形塗料の油変性アルキド樹脂塗料、メラミン
樹脂系焼付塗料、ポリイミド樹脂硬化エポキシ樹脂塗
料、不飽和ポリエステル樹脂塗料等に用いることができ
る。
本発明による改質粉体を非水系の化粧料に配合すると、
撥水性が高くなめらかな使用感で化粧くずれが少なく、
しかも安定性の高い化粧料を得ることができる。
従来、化粧料とくにメーキャップ化粧料において、撥水
性、なめらかな使用感触、優れた化粧持ちを向上させる
目的で、処方中の粉体をシリコーン油、金属石鹸シリカ
粉末等で被覆する方法が用いられてきた。とくにシリコ
ーン油による被覆は汎用されており、有機溶剤を用いる
被覆方法、メカノケミカル反応による被覆方法、他の結
合油とシリコーン油を混合しこれを粉体に吹付ける被覆
方法、結合油とシリコーン油の混合油と粉体とを混合し
た後焼付処理を行う被覆方法等が知られている。
しかしながら従来の技術では、撥水性、安定性および使
用性を必ずしも満足するものではなかった。すなわち、
従来のシリコーン被覆では必ずしも安定性が十分ではな
く、金属石けん被覆、シリカ被覆などでは十分な撥水性
は得られない。
これに対して本発明の改質粉体を配合すると、十分な撥
水性があり安定性が高くかつ使用感触の非小系優れた化
粧料を得ることができる。
本発明によって処理してから化粧料に配合することの好
ましい粉体は通常非小系化粧料において用いられる粉体
で、例えばタルク、カオリン、セリサイト、白雲母、合
成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、バーミ
キュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、珪ソ
ウ土、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸
アルミニウム、ケイ酸バリウム、硫酸バリウム、ケイ酸
ストロンチウム、タングステン酸金属塩、シリカ、ヒド
ロキシアパタイト、ゼオライト、窒化ホウ素、セラミク
スパウダー等の無機粉末、ナイロンパウダー、ポリエチ
レンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、四沸化エチ
レンパウダー、ジスチレンベンゼンピンホールポリマー
パウダー、微結晶セルロース等の有機粉体、酸化チタ
ン、酸化亜鉛等の無機白色顔料、酸化鉄(ベンガラ)、
チタン酸鉄等の無機赤色系顔料、γ−酸化鉄等の無機褐
色系顔料、黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒酸化
鉄、カーボンブラック等の無機黒色系顔料、マンゴバイ
オレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料、酸
化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等の無機緑
色系顔料、群青、紺青等の無機青色系顔料、酸化チタン
コーテッド雲母、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビス
マス、オキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタル
ク、魚鱗箔、着色酸化チタンコーテット雲母等のパール
顔料、アルミニウムパウダー、カッパーバウダー等の金
属粉末顔料、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色2
05号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、
橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号及び青色
404号等の有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106
号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙
色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203
号、緑色3号及び青色1号のジルコニウム、バリウム又
はアルミニウムレーキ等の有機顔料、クロロフィル、β
−カロチン等の天然色素等が用いられるが、これに限定
されるものではない。
表面を被覆するシリコーンポリマー化合物の分子量は20
万以上であることが好ましい。分子量が20万未満のもの
は完全な被覆が得られにくく十分な撥水性を発揮しない
ことがある。
本発明による改質粉体の配合量は非小系化粧料全量中の
1〜100重量%である。
この化粧料には本発明の改質粉体の他に必要に応じてス
クワラン、流動パラフィン、ワセリン、マイクロクリス
タリンワックス、オゾケライト、セレシン、ミリスチン
酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソス
テアリン酸、セチルアルコール、ヘキサデシルアルコー
ル、オレイルアルコール、セチル−2−エチルヘキサノ
エート、2−エチルヘキシルパルテテート、2−オクチ
ルドデシルミリステート、2−オクチルドデシルガムエ
ステル、ネオペンチルグリコール−2−エチルヘキナネ
ート、イソオクチル酸トリグリセライド、2−オクチル
ドデシルオレエート、イソプロピルミリステート、イソ
ステアリン酸トリグリセライド、ヤシ油脂肪酸トリグリ
セライド、オリーブ油、アボガド油、ミツロウ、ミリス
チルミリステート、ミンク油、ラノリン、ジメチルポリ
シロキサン等の各種炭化水素、高級脂肪酸、油脂類、エ
ステル類、高級アルコール、ロウ類、シリコーン油等の
油分、アセトン、トルエン、酢酸ブチル、酢酸エチル等
の有機溶剤、アルキッド樹脂、尿素樹脂等の樹脂、カン
ファー、クエン酸アセチルトリブチル等の可塑剤、紫外
線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、界面活性剤、保湿剤、
香料、水、アルコール、増粘剤等を配合することができ
る。
本発明の改質粉体を配合した非水系化粧料は、撥水性が
高く、肌へののびが良く化粧くずれが少ない。しかも粉
体表面の被覆が強固で緻密で均質なので、安定性の良好
な化粧料が得られる。
例えば、化粧料中に配合される香料は、しばしば粉体の
活性により分解されやすく、しばしば変臭等を起こす
が、本発明の改質粉体を配合した化粧料ではこのような
ことはない。
また、本発明の改質粉体は粉体中、油分中あるいは溶媒
中において優れた分散性を示すため、処理される粉体と
してパール顔料を使用した場合には、つやに優れた化粧
料になるし、処理される粉体として酸化チタンを使用し
た場合は、凝集することがなく紫外線防禦能に優れ、メ
ーキャップ効果良好な化粧料を得ることができる。
赤色202号はα型、β型という2つの結晶型を有してお
り、β型は水の存在下でα型に変化し色が変わる。この
ような有機顔料も本発明によるシリコーン被覆により表
面が完全に被覆されるので水の存在下でもα型に変化す
ることがなく、安定な化粧料となる。
群青は酸によって分解し、硫化水素を放出するが本発明
に被覆によりこのような問題も解消する。
更に、本発明による改質粉体の一種又は二種以上と、水
および(または)低級アルコールとを含有してなる安定
性および使用性の優れた水系化粧料を調製することもで
きる。
無機および有機粉体は従来から着色剤等として化粧料に
配合されているが、表面が親水的であったり疎水的であ
ったり、あるいは表面活性を持つ場合等があって、乳化
化粧料等の水および(または)低級アルコールを含有し
てなる化粧料中に粉体を配合する際には疎水性または親
水性表面処理を施したり、あるいは分散剤を添加すると
いったような対策を採ることが多い。
従来、水系化粧料に配合される粉体の処理法として知ら
れるものとして、 界面活性剤を吸着させる。
脂肪酸を吸着させる。
アルキルポリシロキサンで表面を被覆する。
メチルハイドロジェンポリシロキサンで表面架橋重合
を行なう。
等が知られている。
しかしながら、界面活性剤を吸着させた粉体および脂肪
酸を吸着させた粉体は、吸着される粉体が望まれている
にもかかわらず、満足すべきものがなかった。
これに対して、本発明による改質粉体を、乳化化粧料等
のように水および(または)アルコールを含有する水系
化粧料へ配合することにより、上記問題を解決し、安定
性および使用性の優れた化粧料を得ることができる。
本発明にかかる安定な粉体は、通常水系化粧料に配合さ
れる成分、特に薬剤、香料に対して分解作用がないだけ
でなく、メチルハイドロジェンポリシロキサンの表面重
合によって処理された粉体のように、水または低級アル
コールと接触しても水素が発生することはない。また、
上記シリコーンポリマーの皮膜は薄く透明性が高いた
め、本発明の表面処理を行なった粉体は、未処理のもの
と色調において差異がなく磁性を持つものについても磁
性特性の差異はない。
このような性質に加えて本発明の処理粉体は疎水性が高
く、本質的に油相中での分散が良好であり、油相に添加
し分散した後に水相へ乳化することにより安定で使用性
良好な水中油型乳化化粧料が、また油相に添加し分散し
た後に水相を乳化して安定で使用性良好な油中水型乳化
化粧料が得られる。
本発明によって改質してから水系化粧料に配合すること
の好ましい粉体は、例えば、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ
酸マグネシウム、タルク、カオリン、雲母、合成雲母、
ベントナイト、チタン被覆雲母、オキシ塩化ビスマス、
酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、二酸
化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化
鉄、群青、紺青、酸化クロム、水酸化クラム、ゼオライ
ト、窒化ホウ素、セラミックパウダー、カラミンおよび
カーボンブラック等の無機粉体、ポリアミド、ポリエス
テル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、
ポリウレタン、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹
脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル酸樹脂、メラミ
ン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ジビニ
ルベンゼン・スチレン共重合体、および上記化合物の単
量体の2種以上から成る共重合体、セルロイド、アセチ
ルセルロース、多糖類、タンパク質、硬タンパク質等の
有機粉体、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205
号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙
色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号及び青色40
4号等の有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、
赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色20
5号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑
色3号および青色1号のジルコニウム、バリウムまたは
アルミニウムレーキ等の有機顔料があげられるが、必ず
しもこれに限定されるものではない。
また、粉体の粒子径は特に制限はないが0.001〜200μの
広範囲であり、特に0.001〜0.1μの微粒子のものも均一
な薄膜におおわれて使用できる。
上記本発明で用いる表面処理粉体の水系化粧料中への配
合量は化粧料全量中の0.01〜90重量%、好ましくは0.1
〜80重量%である。
水および(または)低級アルコールの配合量は水系化粧
料全量中の5〜90重量%である。
本発明による改質粉体を配合した水系化粧料は、粉体に
よる不安定化がないので、上記の必須成分の他に通常水
系化粧料に使用される成分が安定に配合し得る。
例えば、水相成分としてプロピレングリコール、ジフロ
ピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセ
リン、マルチトール、ソルビトール、ポリエチレングリ
コール、ヒアルロン酸ナトリウム、ピロリドンカルボン
酸塩等の保湿剤、ワセリン、ラノリン、セレシン、マイ
クロクリスタリンワックス、カルナバロウ、キャンデリ
ラロウ、高級脂肪酸、高級アルコール等の固型・半固型
油分、スクワラン、流動パラフィン、エステル油、トリ
グリセライド等の流動油分、無機顔料、有機顔料、染料
等の色材、他の粉体、カチオン性活性剤、アニオン性活
性剤、非イオン性活性剤、両性活性剤等の界面活性剤、
ビタミンE、ビタミンEアセテート等の薬剤、収れん
剤、酸化防止剤、防腐剤、香料、クエン酸、クエン酸ナ
トリウム、乳酸、乳酸ナトリウム、第2リン酸ナトリウ
ム等のpH調整剤、有機変性モンモリロナイト等の増粘
剤、紫外線吸収剤等は本発明の効果を損なわない質的、
量的範囲内で配合可能である。
本発明によって得られた処理粉体は、次のような特徴を
もっている。
焼き付け処理を行わず、粉体表面で重合させている
ため、省エネルギー上有効であり、しかも色の変化がな
い。
粉砕力を用いていないため、省エネルギー上有効で
あり、しかも粒子の変化や凝集がない。また粉砕力によ
る色の変化もない。
処理が簡単で処理剤の無駄がなく、気相処理のため
均一に処理できる。
処理粉体の撥水性や表面活性の封鎖は、ほぼ完全で
ある。
本発明により、超微粉体(例えば、粒子径0.005〜
0.05μmのもの)を、望ましくない凝集を起こすことな
く、均一で薄いシリコーンポリマーで有効に被覆するこ
とができる。
〔実施例〕
次に、実施例によって本発明を更に具体的に説明する
が、これは本発明を限定するものではない。
実施例1 亜鉛華10gとヘキサメチルシクロトリシロキサン5gを別
々の容器に入れてガス滅菌器カポカライザーCL−30B(F
uji Electric Co.,Ltd.)中に装入し、アスピレーター
により内側の圧力を300mmHgまで減圧し、温度を50℃に
保った。
一夜放置後、空気を入れて常圧にもどした後、数回排気
し、処理粉体10.2gを得た。この処理粉体は著しい疎水
性を示した。
実施例2 100mlの二口フラスコに粉体としてカオリン10gを入れ
た。二口フラスコの一方の口と30mlのバブラーとを接続
し、二口フラスコの他方の口と、ドライアイス−アセト
ンで冷却したトラップとを接続した。二口フラスコとバ
ブラーとを90℃の恒温槽に3時間放置後、バブラーに処
理剤としてヘキサメチルシクロトリシロキサン5gを注い
だ。バブラーにキャリアーガスとして窒素を2.0ml/min
の流速で15時間流した。二口フラスコの各口とバブラー
およびトラップとの接続を外して50℃で3時間放置し
て、35.4gの処理物を得た。
この処理粉体は著しい疎水性を示し、リナロールの分解
能は消失していた。しかし、処理粉体はややスラリー化
していた。
実施例3 実施例2において二口フラスコとバブラーとの間に三方
コックをつけて、窒素を4.0ml/minの流速で流し、他は
実施例2と同様にして処理粉体14.1gを得た。この処理
粉体は著しい疎水性を示し、リナロール分解能は消失し
ていた。
実施例4 実施例2において粉体を白雲母、処理剤を1,3,5−トリ
ス(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1,3,5−トリメチ
ルシクロトリシロキサンとし、他は実施例2と同様にし
て処理粉体10.4gを得た。この処理粉体は著しい疎水性
を示し、リナロール分解能は消失していた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08K 9/06 KCQ C09D 7/12 PSJ 11/02 PTG (72)発明者 中田 興亜 神奈川県横浜市港北区新羽町1050番地 株 式会社資生堂研究所内 (72)発明者 難波 隆二郎 神奈川県横浜市港北区新羽町1050番地 株 式会社資生堂研究所内 (72)発明者 東久保 和雄 神奈川県横浜市港北区新羽町1050番地 株 式会社資生堂研究所内 (72)発明者 木村 朝 神奈川県横浜市港北区新羽町1050番地 株 式会社資生堂研究所内 (72)発明者 大野 和久 神奈川県横浜市港北区新羽町1050番地 株 式会社資生堂研究所内 (72)発明者 斉藤 力 神奈川県横浜市港北区新羽町1050番地 株 式会社資生堂研究所内 (72)発明者 富田 健一 神奈川県横浜市港北区新羽町1050番地 株 式会社資生堂研究所内 (72)発明者 米山 俊夫 神奈川県横浜市港北区新羽町1050番地 株 式会社資生堂研究所内 (72)発明者 小川 隆 神奈川県横浜市港北区新羽町1050番地 株 式会社資生堂研究所内 (72)発明者 諸星 英雄 神奈川県横浜市港北区新羽町1050番地 株 式会社資生堂研究所内 (72)発明者 小山 純一 神奈川県横浜市港北区新羽町1050番地 株 式会社資生堂研究所内 (72)発明者 神田 武利 神奈川県横浜市港北区新羽町1050番地 株 式会社資生堂研究所内 (72)発明者 河口 邦汎 東京都中央区銀座7丁目5番5号 株式会 社資生堂内 (72)発明者 清水 裕三 東京都中央区銀座7丁目5番5号 株式会 社資生堂内 (56)参考文献 特開 昭57−200306(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 (R2R3SiO) (I) (式中、R2およびR3は相互に独立にハロゲン原子少なく
    とも1個で置換されていることのある炭素数1〜10の炭
    化水素基である)で表される環状シリコーン化合物の少
    なくとも1種を蒸気の形で、表面上に活性点を有する粉
    体と接触させ、その粉体の実質的に全表面上でシリコー
    ン化合物を重合させてなる、実質的に全表面上にシリコ
    ーンポリマーの皮膜を担持した改質粉体。
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