JPH0755904B2 - 膀胱疾患治療剤 - Google Patents

膀胱疾患治療剤

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JPH0755904B2
JPH0755904B2 JP11018786A JP11018786A JPH0755904B2 JP H0755904 B2 JPH0755904 B2 JP H0755904B2 JP 11018786 A JP11018786 A JP 11018786A JP 11018786 A JP11018786 A JP 11018786A JP H0755904 B2 JPH0755904 B2 JP H0755904B2
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俊男 笠間
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陽子 会田
潔 渡辺
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小玉株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、オキシブチニン塩酸塩(Oxybutynin hydroch
loride)(4−ジエチルアミノ−2−ブチニルフェニル
シクロヘキシルグリコレート塩酸塩)の膀胱疾患治療剤
としての開発研究の過程で見いだされた、その類似化合
物である4−エチル−2−ブチニルフェニルシクロヘキ
シルグリコレート塩酸塩を有効成分とする膀胱疾患治療
剤に関するものである。
(従来の技術) 従来、神経因性膀胱、膀胱痙縮、神経性膀胱炎および遺
尿症などの頻尿を中心とした膀胱疾患の治療には、抗コ
リン剤および平滑筋直接弛緩剤などが使用されている
が、抗コリン剤では、特に副作用の性質と程度が問題と
され、その使用は限られている。
本発明者らは、4−エチル−2−ブチニルフェニルシク
ロヘキシルグリコレート塩酸塩(以下M−6と略記す
る)について種々研究を重ねた結果、本品が抗コリン作
用並びに平滑筋直接弛緩作用を併有する興味深い薬物で
あることから、膀胱、消化器および循環器などの種々の
疾患の治療に使用でき、特に膀胱疾患治療剤として有用
であることを見いだした。
(発明の構成) 本発明は、構造式: で表わされるM−6を有効成分として含有する膀胱疾患
治療剤に関する。
本発明の有効成分であるM−6は、融点142〜144℃の、
水、メタノール、エタノールに易溶の白色粉末で、例え
ば次の方法によって得ることができる。
(効果) 以下、本発明の薬理試験および毒性試験の結果について
説明する。
実験例1:摘出回腸および膀胱に対する作用、 摘出回腸の実験では、体重500g前後の雄性Hartley系モ
ルモットを用いて回腸を摘出し、長さ約20mmの管状標本
とした。標本は、26℃Tyrode液を満たし95%O2+5%CO
2を通気したMagnus管に、0.5gの負荷をかけて懸垂し
た。
摘出膀胱の実験では、体重3Kg前後の雄性日本白色家兎
を用いて膀胱を摘出し、縦走筋に沿って膀胱体部を切開
し、幅約5mm、長さ約20mmの標本とした。標本は、37℃
のKrebs−Henseleit液を満たし、95%O2+5%CO2を通
気したMagnus管に、2gの負荷をかけて懸垂した。
結果は、表1に示したが、M−6は、回腸および膀胱の
acethylcholine収縮に対して競合的拮抗作用を示し、そ
のpA2値は、回腸で10.11±0.21、膀胱で8.51±0.51であ
った。また、M−6は、回腸および膀胱のBaCl2収縮に
対して、用量依存的に抑制作用を示し、そのIC50値は、
回腸で1.58×10-6g/ml、膀胱で1.15×10-5g/mlであっ
た。
実験例2:骨盤神経刺激による膀胱収縮反応に対する作用 体重2.0−5.5Kgの雄雌ネコをurethane500/Kg+α−chlo
ralose50mg/Kg腹腔麻酔下で用いた。背位に固定後、腹
部を正中切開し尿道より膀胱へカテーテルを挿入し膀胱
内圧を測定した。骨盤神経は、膀胱近位部で剥離切断し
末梢端および中枢端を各々プラチナ双極電極上にのせ電
気刺激を行ない膀胱を収縮させた。刺激条件は、10CP
S、0.1msec、1.7−3.0Vで5秒間とした。被検薬は、生
理食塩水に溶解して大腿静脈に挿入したカテーテルより
投与し、対照には生理食塩水を投与した。
結果は、表2に示した。末梢端刺激による膀胱収縮反応
に対して、M−6は、3および10mg/Kg i.v.ともに有意
な強い収縮抑制作用を示した。その作用は、時間ととも
に強くなり、60分後で3mg/Kg i.v.は34%の抑制、10mg/
Kg i.v.では52%の抑制を認めた。
中枢端刺激による膀胱収縮反応に対しても末梢端刺激の
場合と同様な抑制作用を示し、60分後で3mg/Kg i.v.は2
9%、10mg/Kg i.v.は56%の抑制であった。
実験例3:Cystometrogram法における作用 体重3.0Kgの雄性日本白色家兎をurethane500mg/Kg静脈
内投与、麻酔下で用いた。背位に固定後、腹部を正中切
開し一側の輸尿管より膀胱内にカテーテルを挿入し膀胱
内圧を測定した。さらに他側の輸尿管より膀胱内にカテ
ーテルを挿入し、加温生理食塩水を2ml/minの速度で注
入した。被検薬は、生理食塩水に溶解して大腿静脈に挿
入したカテーテルより投与し膀胱内圧の変化と排尿現象
を測定した。対照には生理食塩水を投与した。
結果は、表3に示した。M−6は、1および3mg/Kg i.
v.で用量依存的に注入量、膀胱内容積および排尿閾値圧
を各々増加させた。この結果、膀胱内への尿蓄留量が増
加した。
実験例4:消化管および膀胱運動に対する作用 体重9−18Kgの雌雄雑犬をpentobarbital Na25mg/Kg静
脈内投与、麻酔下で用いた。背位に固定後、腹部を正中
切開し胃および膀胱にバルーンを、十二指腸および空腸
にストレンゲージを各々装着し各部位の運動を測定し
た。消化管および膀胱運動の誘発には、carbachol 3μg
/Kg i.v.を用い、30分間隔で投与した。被検薬は、生理
食塩水に溶解して大腿静脈に挿入したカテーテルより投
与し、対照には生理食塩水を投与した。
結果は、M−6の各臓器に対する作用の時間経過を第1
図〜第4図に示し、各臓器の運動抑制に対するED50値を
表4に示した。M−6は、10−100μg/Kg i.v.投与で、
carbacholにより誘発された胃、十二指腸、空腸および
膀胱運動に対して、用量依存的な抑制作用を示した。そ
の作用の持続は、M−6 100μg/Kg i.v.投与において、
胃、十二指腸および空腸は、120分後に20−30%の抑制
とほぼ回復したのに対して、膀胱は、投与後30−120分
までほぼ同程度で60−70%の抑制と持続性の抑制作用を
認めた。一方、ED50値では、胃、十二指腸および空腸は
ほぼ同程度の抑制作用を示し、膀胱は若干弱い作用であ
った。
実験例5:実験潰瘍に対する作用 Shay潰瘍の実験では、体重200g前後の雄性Wistar系ラッ
トを48時間絶食後に用いた。Ether麻酔下で開腹し幽門
部を結紮した。その直後に、被検薬を十二指腸内に投与
し腹部を縫合した。その後、絶食絶水下で18時間飼育
後、屠殺し胃を摘出した。摘出した胃は、ホルマリン固
定し前胃部に発生した潰瘍の面積を実体顕微鏡下で測定
し(mm2)、その重度に従って0−3の潰瘍係数で示し
た。
水浸拘束ストレス潰瘍の実験では、体重250g前後の雄性
Wistar系ラットを20−24時間絶食後に用いた。被検薬を
経口投与し、30分後にストレスケージに固定し23±1℃
の水槽に浸水した。6時間のストレス負荷後、屠殺し胃
を摘出した。摘出した胃は、ホルマリン固定し、胃体部
に発生したerosionの面積を実体顕微鏡下で測定し(m
m2)、潰瘍係数とした。
被検薬は生理食塩水に溶解して投与し、対照には生理食
塩水を投与した。
Shay潰瘍に対する結果を表5に示した。M−6 100mg/Kg
投与で有意な潰瘍抑制作用を示し、その抑制率は32.4%
であった。さらに、潰瘍発生率に対しても抑制を示し
た。
水浸拘束ストレス潰瘍に対する結果を表6に示した。M
−6は、3−30mg/Kgの用量で、用量依存的に有意な潰
瘍抑制作用を示し、30mg/Kgでは、88%の抑制率を認め
た。さらに、潰瘍発生率に対しても抑制を示した。
実験例6:血管平滑筋に対する作用 体重9−14Kgの雌雄雑犬をpentobarbital Na30mg/Kg静
脈内投与、麻酔下で用いた。背位に固定後、頚動脈およ
び大腿動脈を剥離し、各動脈に電磁流量系プローブを装
着し血流量を測定した。各動脈には針カテーテルを刺入
し、被検薬投与用とした。また、全身血圧および心拍数
を大腿動脈に挿入したカテーテルより測定した。被検薬
は生理食塩水に溶解して投与した。
結果は、第5図〜第6図に示した。M−6は、0.1−1.0
mgの動脈内投与で、用量依存的に有意な頚動脈および大
腿動脈血流増加作用を示した。その作用は持続的であ
り、1.0mgの用量では、頚動脈で6分、大腿動脈で約10
分間持続した。なお、M−6 0.1−1.0mgの動脈内投与で
は、血圧および心拍数にまったく影響しなかった。
急性毒性試験 動物は、体重20−30g、5−6週令の雌雄DDY−SLC系マ
ウスを1群10匹として用いた。経口投与の場合は、16−
20時間絶食後、被検薬の2.5%溶液を1回経口投与し
た。静脈内投与の場合は、被検薬の0.35%溶液を0.5ml/
30秒の投与速度で尾静脈に1回投与した。被検薬は生理
食塩水に溶解して投与し、投与後14日間観察し、Probit
法により50%致死量を算出した。
急性毒性の結果として50%致死量を表7に示した、経口
投与および静脈内投与ともに、雌雄の性差は認められな
かった。
上記各実験例の結果からわかるように、本発明のM−6
は副支感神経遮断作用および平滑筋直接弛緩作用を有
し、かつその作用は持続的である。
それ故、本発明の治療剤は、膀胱疾患治療剤としてのほ
か、下記に示す消化器、循環器の各種疾患の治療にも有
効であると認められる。
1)神経性頻尿、頻尿症、神経因性膀胱、不安定膀胱、
刺激膀胱、膀胱痙縮、慢性膀胱炎、夜尿症、遺尿症およ
び尿失禁等の膀胱疾患 2)胃・十二指腸潰瘍、胃酸過多症、胃酸・胆管・尿管
等の内臓平滑筋の痙攣症状および疼痛、胃炎および過敏
大腸症等の消化器疾患 3)末梢循環障害、冠循環障害、迷走神経性徐脈および
迷走神経性房室伝導障害等の循環器疾患 4)副交感神経興奮剤の中毒、有機リン系殺虫剤の中
毒、その多副交感神経機能亢進に伴なう症状。
本発明の有効成分であるM−6は、通常経口的に投与さ
れる。成人の治療量は、M−6で9mg/日程度であるが、
症状に応じて適宜増減してさしつかえない。
経口投与剤型としてはカプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤
あるいは経口用液体製剤などがあげられ、その他の投与
剤型としては注射剤、坐剤あるいは貼付剤などがあげら
れる。
(実施例) 以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの例に
限定されるものではない。
実施例1(錠剤) M−6 300g 乳 糖 15530g 結晶セルロース 1780g ヒドロキシプロピルセルロース 200g ステアリン酸マグネシウム 190g 18000g 上記配合組成のものをV型混合機を用いて10分間混合し
た後、得られた混合粉体を打錠機にて1錠180mgに成形
して錠剤を得た。
実施例2(顆粒剤) M−6 300g 乳 糖 16300g トウモロコシデンプン 3000g ヒドロキシプロピルセルロース 400g 20000g 上記配合組成のものを混合・練合して得た練合物を、EX
D−100型押し出し造粒機にて0.5mmの円柱顆粒とする。
次に、顆粒を乾燥・篩過して顆粒剤を得た。
【図面の簡単な説明】
第1図ないし第2図は実験例4の結果を示すグラフで、 第1図は胃、第2図は膀胱、第3図は十二指腸および第
4図は空腸における被検薬投与後の時間と抑制率との関
係を示し、 第5図および第6図は実験例6の結果を示すグラフで、 第5図は被検薬投与量と血流量の増加率の関係を示し、 第6図は被検薬投与量と血流増加作用の持続時間との関
係を示すグラフである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】4−エチルアミノ−2−ブチニルフェニル
    シクロヘキシルグリコレート塩酸塩を有効成分とする膀
    胱疾患治療剤。
  2. 【請求項2】神経性頻尿、頻尿症、神経因性膀胱、不安
    定膀胱、刺激膀胱、膀胱痙縮、慢性膀胱炎、夜尿症、遺
    尿症および尿失禁等の膀胱疾患のための特許請求の範囲
    第1項記載の治療剤。
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IL91377A (en) * 1988-09-14 1996-09-12 Nippon Shinyaku Co Ltd Derivatives of botinylamine glycolate
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