JPH0755575B2 - インクリボンサブカートリッジ及びインクリボンカートリッジ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はワイヤドットプリンタな
どインパクト方式のプリンタに使用される特にインクリ
ボンサブカートリッジ及びインクリボンカートリッジ改
良に関する。インパクトプリンタは印字素子がインクリ
ボン及び印字用紙を介してプラテンをインパクトするこ
とにより、インクリボンに含浸されているインクを印字
用紙に転写するものである。

【０００２】インパクトプリンタの代表であるシリアル
式ワイヤドットプリンタは印字ヘッドに搭載された複数
の印字ワイヤ（ニードル）を印字すべき文字等に応じて
選択的に駆動し、この印字ワイヤの先端がインクリボン
及び印字用紙を介してプラテンに衝突することにより印
字用紙上にインクのドットを形成し、このドットの集合
により文字等を表現するものである。

【０００３】

【従来技術】このようなインパクト式プリンタに使用さ
れるインクリボンはその取扱上の簡便さなどからインク
リボンカートリッジに内蔵されて使用されるのが一般的
である。すなわち、インクリボンを無端状すなわちエン
ドレス状とし、カートリッジ内に収納し、カートリッジ
内に設けられたリボン移送ローラによって印字動作に同
期してリボンを移送することにより、順次新しいリボン
を印字に供することができる。

【０００４】一方、インクリボンの長寿命化、有効利用
化のための開発が行なわれ、種々の提案がなされ実用化
されている。そのうちの１つがエンドレスインクリボン
をメビウスの輪の形状にしたものである。すなわち、１
本のインクリボンの表と裏を反転してその終端を接続す
ることによりメビウスの輪の形状をしたエンドレスイン
クリボンとしたものである。インクリボンカートリッジ
には表裏反転領域を設け、移送経路の途中においてこの
表裏反転領域を経由して移送されることにより順次イン
クリボンの表裏がここで反転される。

【０００５】したがってインクリボンの表裏が印字に供
されることになるためにインクリボンの損傷が分散さ
れ、かつ含浸されたインクのすべてを印字に供すること
ができるため、インクリボンの寿命を長くすることがで
きる。しかし、インクリボンの寿命を長くすることはで
きても、それを無限期間とすることはできない。インク
リボンの寿命の決定する大きな要因は、リボンの損傷と
インク含浸量の減少である。

【０００６】リボンは印字素子によってインパクトされ
るために損傷し、インクは印字用紙に転写されるにつれ
て減少する。インクリボンの摩耗・損傷は脱字・印字か
すれ等の現象を生じ、インク含浸量の減少は印字濃度の
低下等の現象となって現われ、いずれの場合も印字品質
の低下をもたらす。したがってこのような現象が生じる
以前にインクリボンの交換を行なわなければならない
が、インクリボンのみを交換する方法と、インクリボン
を収納したインクリボンカートリッジ全体を交換する方
法とが考えられる。

【０００７】しかし、未だ使用に耐え得るインクリボン
カートリッジも含めて交換することはコスト的に得策で
はない。その場合には前者の方法すなわちカートリッジ
はそのままとし、中のインクリボンのみを交換する方法
が採られる。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】インクリボンカートリ
ッジに対して、インクリボンのみを交換するに際しては
種々の煩雑さが伴う。それは前述の如くカートリッジ内
におけるインクリボンは表裏反転領域を経由しているの
で、先ず交換すべきインクリボンをこの領域から脱す作
業を必要としている。

【０００９】表裏反転領域は表裏反転のためにスリット
を含む反転経路を有し、この経路にインクリボンが沿う
ようにセットされているが、この通路からインクリボン
を脱すことが必要となる。同様にして新品のインクリボ
ンを充填するにはインクリボンの一部を前記通路に挿通
する作業が必要となる。この作業は煩雑であり、セット
ミスを生じやすい。特に交換を行なう人がそのメカニズ
ムを熟知していないことが多く、セットミスが多い。

【００１０】また、インクリボンを直接もって作業を行
なうためにインクによって手・衣服などが汚れないよう
に注意を払らわなければならない。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明はインクリボンの
交換が簡単に確実に行なうことができ、かつ手などを汚
すことなく交換することができるインクリボンサブカー
トリッジ及びインクリボンカートリッジを提供するもの
である。そのための手段として、本発明のインクリボン
サブカートリッジは、表裏が反転するようにその終端を
接続してなるエンドレス状の交換用インクリボンと、前
記インクリボンを挿通するスリットを有するスリットピ
ースと、前記インクリボンおよび前記スリットピースを
収納するリボンケースと、を備え、前記インクリボンは
前記スリットピースの前記スリットに挿通された状態で
前記リボンケースに収納され、前記スリットピースは前
記インクリボンをインクリボンカートリッジ内に充填さ
れる際に、該インクリボンカートリッジ内のインクリボ
ン反転領域に着脱自在に取付けられることを特徴とす
る。

【００１２】また、インクリボンカートリッジは、ケー
ス内部にインクリボン収納部とインクリボン反転領域が
形成され、且つケース外部へ突出した対のリボンガイド
部が一体に形成されているリボンカートリッジ本体のケ
ースと、前記ケースの前記収納部に収納されると共に、
該収納部から繰り出され、前記反転領域と前記リボンガ
イド部を経て一循し、且つ該リボンガイド部間に掛け渡
された部分が印字に供されるように前記ケースの外部に
露出して該ケースにセットされる、表裏が反転するよう
にその終端を接続してなるエンドレス状のインクリボン
と、該インクリボンを挿通するスリットを有するスリッ
トピースと、前記本体のケース内のリボン走行路に沿っ
て設けられたリボン反転領域と、該反転領域の中間に設
けられたスリットピース係合部と、該反転領域の入口と
出口で前記インクリボンと面接触するガイドと、を備
え、前記スリットに前記インクリボンが挿通した前記ス
リットピースが前記反転領域の前記スリットピース係合
部に着脱自在に取付られることを特徴とする。

【００１３】

【作用】インクリボンサブカセット内のインクリボンを
インクリボンカートリッジに充填するに際してはインク
リボンが挿通されているスリットピースをリボンカート
リッジにセットするだけであり、またリボンの取り出し
もスリットピースをリボンカートリッジから脱すだけな
ので、その作業は極めて簡単となる。

【００１４】また、スリットピースをもってその作業を
行なうことができるので手などを汚すことがない。

【００１５】

【実施例】図１はインパクト式プリンタの一例としてワ
イヤドット式シリアルプリンタの全面斜視図を示す。シ
リアル式ワイヤドットプリンタはキャリッジ１２，スペ
ース機構部，プラテンユニット，紙送り機構部を主構成
要素としており、これらはベースフレーム１０に搭載さ
れている。

【００１６】キャリッジ１２は印字ヘッド１１を固定し
ており、印字ヘッド１１は複数本の印字ワイヤ（ニード
ル）とこれを駆動するための電磁石機構を内蔵してい
る。キャリッジ１２はスペース機構部によってスペーシ
ングされる。スペース機構部はスペースモータ１４及び
その回転をキャリッジ１２の直線運動に変換して伝達す
るベルトなどよりなり、スペースモータ１４を順方向お
よび逆方向に回転することにより、キャリッジ１２はガ
イドステー１６に案内されてプラテン１８の軸方向に沿
って往復移動する。

【００１７】プラテンユニットはプラテン１８，ペーパ
ベイルローラ２０などを含む。プラテン１８は弾性体例
えば硬質ゴムよりなる断面円形の棒状体であり、その両
端はペースフレーム１０より垂直に伸びる一対のサイド
フレームに回転可能に支承される。ペーパベイルローラ
２０はプラテン１８に巻装される印字用紙（図示せず）
をプラテン１８の表面に密着させるものである。紙送り
機構部はペーパフィードトラクタ２２ａ，２２ｂ，ペー
パフィードモータ２４及び回転伝達のためのギア列より
なり、ペーパフィードモータ２４の回転によりギア列が
回転し、ペーパフィードトラクタ２２ａ，２２ｂを回転
し、印字用紙を移送する。

【００１８】同時にペーパフィードモータ２４の回転は
プラテン１８にも伝達され、プラテン１８もペーパフィ
ードトラクタ２２ａ，２２ｂ，と同期して回転される。
３０はインクリボンカートリッジであり、印字ヘッド１
１の往復移動路となる空間を介してプラテン１８の反対
側に設置される。ペースフレーム１０より垂直に伸びる
サイドフレームに対してこのカートリッジ３０は着脱可
能に支承されるのである。インクリボンカートリッジ３
０の詳細は後述するが、インクリボンが内蔵され、リボ
ンフィードローラによって移送される。

【００１９】移送経路の一部においてインクリボンはカ
ートリッジケースの外部に露出しており、印字ヘッド１
１と、プラテン１８に巻装された印字用紙との間を移送
し、その部分において印字に供される。図２はインクリ
ボンカートリッジ３０の構造を示し、（ａ）は一部を破
断した上面図、（ｂ）は側面図である。

【００２０】インクリボンカートリッジ３０は本体ケー
ス３１ａと上蓋３１ｂよりなり、内部に一対のローラ３
２ａ，３２ｂ及びリボン反転領域３３を有している。上
蓋３１ｂは本体ケース３１ａに対して支点３４を中心と
して開閉可能であり、解放することにより本体ケース３
１ａの内部を露出することができる。一対のローラはイ
ンクリボン３５を矢印方向に移送するものであり、支持
板３６ａに回転可能に支持されたドライブローラ３２ａ
と、支持板３６ｂに回転可能に支持され、スプリング３
７によってドライブローラ３２ａに圧接されたピンチロ
ーラ３２ｂよりなる。

【００２１】ローラによってカートリッジの内部に移送
されたインクリボン３５は収納部３８において折り畳ま
れて収納される。収納部３８から繰り出されたインクリ
ボン３５はリボン反転領域３３を経由してガイド部３９
ａを経てカートリッジの外部に露出し、この露出された
領域の一部において印字に供され、他方のガイド部３９
ｂを経て一循する。

【００２２】リボン反転領域３３とリボンガイド３９ａ
との中間に設けられた板ばね４０はインクリボン３５を
本体ケースの内側に押圧し、露出されたインクリボンに
弛みが生じることを防止する。インクリボン３５はメビ
ウスの輪形状とされたエンドレスインクリボンである。
すなわち一本のテープ状インクリボンの表面と裏面を反
転してその終端を接続してある。リボン反転領域３３は
リボンの移送に伴なってエンドレス状のインクリボン３
５の表と裏とを反転するためのものである。

【００２３】すなわち、収容部３８より引き出されたイ
ンクリボンは反転領域の入口に設けられたガイドａにお
いて本体ケースの内面に面接触するとともに、反転領域
３３の中間に位置するスリットピース４２に設けられた
スリットを挿通し、再び出口側に設けられたガイドｂに
おいて面接触される。そしてガイドａとスリットピース
４２との間においてインクリボンは９０度捻られ、スリ
ットピース４２のスリットを通過するときは水平とさ
れ、スリットピース４２とガイドｂとの間においてイン
クリボンは更に９０度捻られる。

【００２４】したがって、ガイドａにおいてはケースの
内面に対してインクリボンは一方の面にて面接触する
が、ガイドｂにおいてはケース内面に対して他方の面に
て面接触する。図３はインクリボンサブカートリッジを
示す。該サブカートリッジ１００はメビウスの輪形状と
されたエンドレスインクリボン３５０と、スリットピー
ス４２０と、これらを収納するケース３００よりなる。

【００２５】スリットピース４２０は中央部にスリット
４２１を有し、そのスリットの幅及び長さはインクリボ
ン３５０の厚み及び幅よりもわずかに広く設定されてい
る。このスリット４２１に連通するスリット４２２はイ
ンクリボン３５０をエンドレス状にした後にスリット４
２１にインクリボンを挿通させるために必要とされる
が、スリット４２１に挿通した後にインクリボンをエン
ドレス状にする工程を採れば、このスリット４２２は必
ずしも必要としない。

【００２６】いずれにしてもリボン３５０はスリットピ
ース２０のスリット４２１に挿通されてケース３００に
収納される。スリットピース４２０は更に両端に被係合
部４２３，４２４を有し、両被係合部４２３，４２４は
後述する如くリボンカートリッジの反転領域の中間に設
けられたスリットピース係合部と嵌合する穴を有する。

【００２７】しかし、一方の被係合部４２３の断面形状
は略半円形となっており、他方の被係合部４２４のそれ
は矩形となっている。この形状の違いによる機能につい
ては後で詳細に述べる。ケース３００は例えば紙製であ
り、ケース本体３０１と上蓋３０２よりなる。ケース本
体３０１は一端に係合部３０１ａを有し、該係合片３０
１ａの先端が上蓋３０２のスリット３０２ａに挿入され
た状態において生じる空間にスリットピース４２０を収
納する。

【００２８】収納された状態におけるインクリボン３５
０は折り畳まれた状態となっており、上蓋３０２に設け
られたスリット３０２ｂ，３０２ｃを介して収納部より
出てスリットピース４２０に連通している。尚、３０３
は固定バンドであり、本体ケース３０１と上蓋３０２と
を一体的にするものであり、例えば紙製である。このよ
うなインクリボンサブカートリッジのインクリボンを、
前述したインクリボンカートリッジ３０に補充すること
について以下に述べる。尚、カートリッジに対して新規
にインクリボンを装填するものと仮定する。

【００２９】まず図４に示すようにインクリボンカート
リッジ３０の上蓋３１ｂを本体ケース３１ａに対して開
放して、その内部を露出する。次に図３に示すサブカー
トリッジ１００をリボンカートリッジ３０の収納部３８
にそのまま、すなわち固定バンド３０３で固定した状態
でセットする。次にサブカートリッジ１００のケース本
体３０１の係合片３０１ａを上蓋３０２のスリット３０
２ａより脱し、開放すると上蓋３０２とケース本体３０
１により挟持されていたスリットピース４２０が露出す
る。このスリットピース４２０を手で持ってリボンカー
トリッジ３０の反転領域３３にセットするのであるが、
このときにスリットピース４２０における被係合片４２
３，４２４の形状の相違がセットミス防止に大きな効果
をもたらす。

【００３０】すなわち、前述したように一方の被係合片
４２３の断面形状は略半円形であり、他方の被係合片４
２４の断面形状は矩形となっている。一方、リボンカー
トリッジ３０の反転領域３３におけるスリットピース４
２０がセットされるスリットピース係合部は図２及び図
４に示すように、一方のガイドポスト３３ａの周囲側面
は被係合片４２３の断面形状と同じように略円形をして
おり、他方のガイドポスト３３ｂの周囲側面は被係合片
４２４の断面形状と同じように矩形となっている。

【００３１】したがって、スリットピース４２０を反転
領域３３にセットするに際してその取付方向は一義的に
定まる。換言すると、一方の被係合片４２３の穴をガイ
ドポスト３３ｂに、他方の被係合片４２４の穴をガイド
ポスト３３ａに合致するようにセットしようとしても、
スリットピース４２０をリボン反転領域３３にセットす
ることはできず、一方の被係合片４２３の穴をガイドポ
スト３３ａに、他方の被係合片４２４の穴をガイドポス
ト３３ｂに合致するようにセットしようとするときだけ
正確にスリットピース４２０をセットできる。

【００３２】次に、固定バンド３０３を脱し上蓋３０２
を取り去り、かつケース本体３０１をカートリッジ３０
の収納部３８より抜き取る。そして、インクリボン３５
０の一部をローラ対３２ａ・３２ｂ，ガイド部３９ａ・
３９ｂのリボン移送経路に沿うようにセットし、リボン
カートリッジ３０の上蓋３１ｂを閉じることにより、イ
ンクリボン３５０の充填は終了する。

【００３３】尚、この状態ではリボンカートリッジ３０
から露出されたインクリボンは弛みを生じているので、
ドライブローラ３２ａに連結された摘み３２ｃを規定さ
れた方向に回転することにより、露出されたインクリボ
ンに張力を与える。以上の説明はインクリボンカートリ
ッジがプリンタのフレームに対して着脱される据置型に
ついて述べたが、カートリッジがキャリッジ上に搭載さ
れ、印字ヘッドとともに移動するような搭載型のインク
リボンカートリッジにおいても適用できることはいうま
でもない。

【００３４】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば充
填されるインクリボンをスリットピースのスリットに挿
通させたものであるから、補充に際してはこのスリット
ピースをリボンカートリッジにセットするだけであるか
ら、メビウスの輪形状のエンドレスインクリボンの補充
作業が簡単になる。

【００３５】また、インクリボンを直接把むことがない
ために手を汚すことがない。

【図面の簡単な説明】

【図１】シリアル式ワイヤドットプリンタの全体斜視図
である。

【図２】インクリボンカートリッジを示し、（ａ）は上
部を破断した上面図、（ｂ）は側面図である。

【図３】インクリボンサブカートリッジを示す斜視図で
ある。

【図４】インクリボンの充填状態を示す斜視図である。

【符号の説明】

１１ 印字ヘッド １８ プラテン ３０ インクリボンカートリッジ ３３ 反転領域 ３５，３５０ インクリボン １００ インクリボンサブカートリッジ ３００ ケース ４２，４２０ スリットピース

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】表裏が反転するようにその終端を接続して
   なるエンドレス状の交換用インクリボン（３５，３５
   ０）と、 前記インクリボンを挿通するスリットを有するスリット
   ピース（４２，４２０）と、 前記インクリボン（３５，３５０）および前記スリット
   ピース（４２，４２０）を収納するリボンケース（３０
   ０）と、を備え、 前記インクリボン（３５，３５０）は前記スリットピー
   ス（４２，４２０）の前記スリットに挿通された状態で
   前記リボンケース（３００）に収納され、 前記スリットピース（４２，４２０）は前記インクリボ
   ンをインクリボンカートリッジ内に充填される際に、該
   インクリボンカートリッジ内のインクリボン反転領域に
   着脱自在に取付けられることを特徴とするインクリボン
   サブカートリッジ。
2. 【請求項２】ケース内部にインクリボン収納部（３８）
   とインクリボン反転領域（３３）が形成され、且つケー
   ス外部へ突出した対のリボンガイド部（３９ａ，３９
   ｂ）が一体に形成されているリボンカートリッジ本体の
   ケース（３１ａ，３１ｂ）と、 前記ケース（３１ａ，３１ｂ）の前記収納部（３８）に
   収納されると共に、該収納部（３８）から繰り出され、
   前記反転領域（３３）と前記リボンガイド部（３９ａ，
   ３９ｂ）を経て一循し、且つ該リボンガイド部（３９
   ａ，３９ｂ）間に掛け渡された部分が印字に供されるよ
   うに前記ケース（３１ａ，３１ｂ）の外部に露出して該
   ケース（３１ａ，３１ｂ）にセットされる、表裏が反転
   するようにその終端を接続してなるエンドレス状のイン
   クリボン（３５）と、 該インクリボンを挿通するスリット（４２１）を有する
   スリットピース（４２，４２０）と、 前記本体のケース内のリボン走行路に沿って設けられた
   リボン反転領域（３３）と、 該反転領域（３３）の中間に設けられたスリットピース
   係合部（３３ａ，３３ｂ）と、 該反転領域（３３）の入口と出口で前記インクリボン
   （３５）と面接触するガイド（ａ，ｂ）と、を備え、 前記スリット（４２１）に前記インクリボン（３５）が
   挿通した前記スリットピース（４２，４２０）が前記反
   転領域（３３）の前記スリットピース係合部（３３ａ，
   ３３ｂ）に着脱自在に取付られることを特徴とするイン
   クリボンカートリッジ。