JPH0755461B2 - 吸着ハンド - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は、シャフト外周に永久磁石を固着したロータ
またはハウジング内周に永久磁石を固着したステータを
吸着保持するための吸着ハンドに関するものである。

（従来技術） ワークをハンドにより吸着保持する方式として、エアや
電磁石による強制吸着方式がある。しかしながら前記ワ
ークが前述のように永久磁石付きのロータやステータと
なると、前記電磁石を利用した強制吸着方式の採用は無
理である。また前記エアによる方式では圧力源、配管等
を要し、装置全体が大がかりとなる。

（解決しようとする課題） そこで前記装置全体を簡素化するため、前記ワークに永
久磁石が固着されていることに着目して、前記ハンドの
先端部を磁性体構造とし、前記永久磁石の磁力を利用し
て前記ロータやステータを吸着することを考えた。

しかしながら該ロータやステータを精密機器に組み込む
場合にあっては、前記ハンド先端部の磁性部に前記永久
磁石が吸引接触する際に磁性粉塵が発生し、これが該永
久磁石等に付着して前記機器に悪影響を及ぼすことがあ
る。

この発明は前述事情に鑑み、吸着ハンドは前記永久磁石
の磁力を利用した構造としながらも、永久磁石を前記ハ
ンド先端部の磁性部に直接当接させないようにして吸着
し、前記磁性粉塵の発生を防止したものを提供せんとす
るものである。

（課題を解決するための手段） この発明の１つは、永久磁石付きのロータまたはステー
タを吸着保持するための吸着ハンドであって、本体の下
面に形成され、前記ロータのシャフトまたは前記固定子
のハウジングと接触可能に対面する接触部、および前記
永久磁石と非接触で対面する磁性部と、前記本体に同一
円周上に複数本挿入され、かつ上下方向に摺動自在のロ
ッドと、該各ロッドと同軸下方において摺動自在に挿入
されるとともに該ロッドとの間に介設された弾機により
下方へ突出付勢され、しかも少なくとも下端部は非磁性
体とした前記永久磁石の押えロッドとを備えた、前記吸
着ハンドである。またもう１つは、前記シャフトまたは
前記ハウジングと接触可能に対面する前記接触部を非磁
性体とした、前記吸着ハンドである。

（作用） 吸着時は、前記シャフトまたはハウジングが前記接触部
と接触し、前記永久磁石と前記磁性部との間の吸引力と
前記弾機の弾発力との差で前記ロータまたはステータを
吸着する。切離し時は、前記ロッドにより前記弾機の弾
発力を強め、前記永久磁石と前記磁性部との間の吸引力
より大とすることにより前記ロータまたはステータを吸
着ハンドから切り離なす。

（実施例） なおこの実施例では中空のシャフトＳの外周に永久磁石
Ｍを固着したロータＲ用の吸着ハンドとして説明する
が、ハウジングの内周に永久磁石を固着したステータ用
の吸着ハンドとしても応用でき、この発明をこの実施の
形態に限定するものではない。

１は三次元で位置決めされる吸着ハンドの本体であり、
筒形に形成されている。本体１の下端部には、シャフト
Ｓの上端面と接触可能に対面する環状の接触部２（非磁
性体が望ましい）が、またその接触部２の外周側におい
て永久磁石Ｍと非接触で対面し得る環状の磁性部３が、
それぞれ取り付けられている。

４は本体１中央において動力装置５により上下方向摺動
自在に挿入した案内ロッドであり、その下端は接触部２
から出没可能である。

６は案内ロッド４の外周側において本体１の同一円周上
に上下方向摺動自在に複数本（実施例では２本）挿入さ
れ、動力装置７により作動されるロッドである。

８は各ロッド６と同軸方向において本体１に上下方向摺
動自在に挿入され、かつロッド６との間に介設された弾
機９により下方へ突出付勢された永久磁石Ｍの押えロッ
ドである。押えロッド８の下端部には弾性体10（非磁性
体）が取り付けられている。

次に吸着ハンドの動作を説明する。

今動力装置５は収縮して、案内ロッド４の下端は第１図
二点鎖線のように接触部２内に没入した状態にあり、ま
た動力装置７は収縮して弾機９を圧縮し、その弾発力で
押えロッド８の下端部は第１図のように磁性部３から下
方へ突出した状態にある。

そこで所定位置に載置されたロータＲの上方に吸着ハン
ドを位置させ、かつ動力装置５を伸長して案内ロッド４
の下端部を第１図実線のように接触部２から突出させ
る。そして本体１を降下させると、まず非磁性の弾性体
10が永久磁石Ｍ上に当接、さらには第２図のように、弾
機９を圧縮しつつ押えロッド10が押し上げられるととも
に、案内ロッド４の下端部がシャフトＳの中空部に挿入
され、そして接触部２がシャフトＳに当接する直前で本
体１停止させる。この第２図の状態においては、磁性部
３と永久磁石Ｍとの間に作用する吸引力よりも弾機９の
弾発力の方が大であるため、ロータＲは押えロッド８に
より押え付けられ、浮き上がることはない。

そして動力装置７を伸長し、弾機９の弾発力を弱める
と、その弾発力が磁性部３と永久磁石Ｍとの間の吸引力
よりも小となって、第３図のようにロータＲは吸引浮上
し、シャフトＳ上端面が接触部２に当接して吸着され
る。

また吸着したロータＲを切り離なす場合は、第３図の状
態から動力装置７を収縮し、弾機９の弾発力を強める
と、その弾発力は磁性部３と永久磁石Ｍとの間の吸引力
よりも大となる。従って押えロッド８は下方へ突出付勢
され、ロータＲは落下し、その吸着は解除される。

（発明の効果） この発明ハンドは前述したように、ロータＲやステータ
の吸着、切離なしを簡単確実に実行できることはもちろ
ん、（イ）永久磁石Ｍと磁性部３とを非接触状態でロー
タＲやステータを吸着できるので、従来のように接触に
よる磁性粉塵の発生のうれいはない。（ロ）またシャフ
トＳやハウジングと直接接触する接触部２は非磁性体の
ため、これからの磁性粉塵の発生もない。

よって従来のように磁性粉塵が永久磁石等に付着して、
機器に悪影響を及ぼすという可能性は極小である。

【図面の簡単な説明】

図はいずれもこの発明ハンドの一実施例を示し、第１図
は縦断面図、第２、３図は作用説明図である。 Ｒ……ロータ、Ｓ……シャフト、Ｍ……永久磁石、１…
…本体、２……接触部、３……磁性部、４……案内ロッ
ド、５……動力装置、６……ロッド、７……動力装置、
８……押えロッド、９……弾機、10……弾性体。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】永久磁石付きのロータまたはステータを吸
   着保持するための吸着ハンドであって、本体の下面に形
   成され、前記ロータのシャフトまたは前記固定子のハウ
   ジングと接触可能に対面する接触部、および前記永久磁
   石と非接触で対面する磁性部と、前記本体に同一円周上
   に複数本挿入され、かつ上下方向に摺動自在のロッド
   と、該各ロッドと同軸下方において摺動自在に挿入され
   るとともに該ロッドとの間に介設された弾機により下方
   へ突出付勢され、しかも少なくとも下端部には非磁性体
   とした前記永久磁石の押えロッドとを備えてなる、前記
   吸着ハンド。
2. 【請求項２】前記シャフトまたは前記ハウジングと接触
   可能に対面する前記接触部を非磁性体とした、請求項１
   記載の前記吸着ハンド。