JPH075458B2 - 徐放性製剤およびその製造法 - Google Patents

徐放性製剤およびその製造法

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JPH075458B2
JPH075458B2 JP11079188A JP11079188A JPH075458B2 JP H075458 B2 JPH075458 B2 JP H075458B2 JP 11079188 A JP11079188 A JP 11079188A JP 11079188 A JP11079188 A JP 11079188A JP H075458 B2 JPH075458 B2 JP H075458B2
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【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、徐放性製剤およびその製造法に関する。
従来の技術 薬物を製剤から徐放させて、その薬物の薬理学的な効果
を長時間に亘って持続させる製剤はこれまでにも多種試
みられている。
その中にイオン交換樹脂を用いた徐放性製剤がある。消
化管内で薬物を徐放させるのに薬物とイオン交換樹脂と
の複合体が有効であることが報告されている(たとえ
ば、米国特許第2,990,332号明細書)。しかしながら、
この薬物−樹脂複合体は経口投与に適した細かい粒子、
例えば500μm以下の粒子とした場合、薬物の放出速度
が速くほとんど徐放性を示さない。
この欠点を改善して徐放性を付与するために薬物−樹脂
複合体に種々の被膜をほどこし、徐放性のマイクロカプ
セルとすることがこれまでに報告されている(たとえ
ば、米国特許第3,138,525号,3,499,960及び3,594,470号
明細書)。
薬物−樹脂複合体に徐放性被膜を被覆して得られる徐放
性マイクロカプセルを経口で投与すると、薬物は消化管
液中のイオンの置換によって放出され、徐放性被膜を透
過して消化管液中に到達する。そして消化管から吸収さ
れる。このとき、イオン交換樹脂は徐放性被膜を通して
消化管中の水を吸収し、膨潤する。その結果、消化管内
で徐放性被膜に亀裂か生じ(いわゆるreptureが生じ
る)、徐放性を示さなくなる事が多い。また、徐放性マ
イクロカプセルを経口用の懸濁剤として配合する場合
も、製剤中で同様の問題が生じ、従来から大きな問題で
あった。
この問題点に対して、薬物−樹脂複合体に徐放性被膜を
ほどこす前にポリエチレングリコールなどの溶媒和剤で
前処理すると効果的であるとの報告もなされている(米
国特許第4,221,778号明細書)。
発明が解決しようとする課題 本発明者らは、薬物−樹脂複合体を用いる徐放性製剤の
優れた特性に着目し、その欠点を排除すべく鋭意研究し
ていたところ、薬物−樹脂複合体の水分吸収による膨潤
は、イオン交換樹脂の架橋度およびそこに吸着した薬物
濃度に深い関係が存在し、樹脂の架橋度および薬物濃度
を選択することにより薬物−樹脂複合体の膨潤を防ぐこ
とができ、溶媒和剤等による前処理を行うことなく徐放
性被膜をほどこしてもラプチュアが生じないことを明ら
かにした。
さらに、本発明者らは膨潤を伴わない高濃度の薬物を含
有する薬物−樹脂複合体を、通常薬物が安定化その他の
目的で塩の型で存在することに鑑み、製剤薬物に有利な
方法で対応する薬物の塩から製造する方法を確立し本発
明を完成した。
課題を解決するための手段 本発明は、理論イオン吸着量の80%以上の薬物を吸着し
た架橋度6〜16%のイオン交換樹脂(薬物−樹脂複合
体)を透水性高分子被膜で被覆した徐放性マイクロカプ
セル製剤、該製剤を精製水に懸濁してなる経口用懸濁剤
および薬物の塩も遊離体も溶解しうる水性溶媒中で、該
薬物塩をイオン交換樹脂と反応させて得た薬物遊離体水
性溶液に、架橋度6〜16%のイオン交換樹脂を加えて得
られる薬物イオン交換樹脂複合体を透水性高分子被膜で
被覆することを特徴とする該製剤の製造法を提供するも
のである。
上記薬物−樹脂複合体を形成するイオン交換樹脂に関
し、イオン交換樹脂は通常の不溶性多孔質合成高分子、
例えばスチレンとジビニルベンゼンとの共重合体である
ポリマーが挙げられる。
該ポリマーは、酸性イオン交換樹脂(H型)のときはス
ルホン酸基,カルボン酸基などを有し塩基性薬物を吸着
し、塩基性イオン交換樹脂(OH基型)のときは1〜4級
アミノ基などを有し、酸性薬物を吸着する。本発明にお
いてはとりわけ強酸または強塩基イオン交換樹脂を使用
することが好ましい。
イオン交換樹脂の架橋度は、ジビニルベンゼンの使用量
により決定されるが、架橋度6〜16%、とりわけ8〜14
%のものが好ましい。
これらのイオン交換樹脂は、ダイヤイオン(三菱化成
(株)),ダウエックス(ダウ・ケミカル(株)),ア
ンバーライト(ローム・アンド・ハース(株))などの
商品名で市販さており、適宜これらから選択して使用す
ることができる。
イオン交換樹脂の平均粒径は、5〜1000μm、とりわけ
10〜300μmであることが好ましく、所望により市販の
ものをアトマイザーなどの粉砕機で細粒化して用いるこ
とができる。
理論イオン吸着量(理論飽和吸着量,総交換容量)は、
強塩基イオン(ナトリウムイオンなど)または強酸イオ
ン(塩素イオンなど)の各イオン交換樹脂への最大吸着
量を意味し、本発明においてはこれを100%とした相対
モル数で80%以上、とりわけ85〜100%の薬物を吸着し
たものが好ましい。
薬物は目的により種々の薬効を有するものを選択しうる
が、塩基性薬物としてはpKa6〜10のもの、とりわけpKa
7.5〜10のものが、酸性薬物としてはpKa2〜5のものが
好ましい。
これらの薬物は通常塩として存在し、塩基性薬物は酸と
の塩、酸性薬物は塩基との塩として入手できる。
具体的には、例えば次のようなものが挙げられる。
呼吸器管用剤:リン酸ジヒドロコデイン,リン酸コデイ
ン,塩酸ノスカピン,グアヤコールスルホン酸カリウ
ム,フェンジゾ酸クロペラスチン,臭化水素酸デキスト
ロメトルファン,塩酸クロペラスチンなどの鎮咳・去痰
剤;dl−塩酸メチルエフェドリン,dl−メチルエフェドリ
ンサッカリン塩などの気管支拡張剤、dl−マレイン酸ク
ロルフェニラミンなどの抗ヒスタミン剤、消化器管用
薬:臭化水素酸スコポラミン,塩酸メチキセン,塩酸ジ
サイクロミンなどの消化管鎮痙剤、中枢神経用薬:抗精
神病剤である塩酸クロルプロマジンなどのフェノチアジ
ン誘導体;塩酸クロルプロチキセンなどのフェノチアジ
ン類似化合物;抗不安剤である塩酸クロルジアゼポキシ
ドなどのベンゾジアゼピン誘導体;抗うつ剤である塩酸
イミプラミンなどのイミプラミン系薬剤;解熱・鎮痛剤
であるサリチル酸ナトリウムなど;催眠剤であるフェノ
バルビタールナトリウムなど、循環器管用薬:冠拡張剤
である塩酸エタフェノンなど;抗不整脈剤である塩酸プ
ロカインアミドなど;Ca拮抗剤である塩酸ベラパミルな
ど;降圧剤である塩酸ヒドラジン,塩酸プロプラノロー
ル,塩酸フロニジンなど;末梢血管拡張・収縮剤である
塩酸トラゾリンなど、抗生物質:マクロライド系のリン
酸オレアンドマイシンなど;テトラサイクリン系の塩酸
テトラサイクリンなど;ストレプトマイシン系の硫酸フ
ラジオマイシンなど;ペニシリン剤であるジクロキサシ
リンナトリウム,塩酸ピブメシリナム,カルベニシリン
インダニルナトリウムなど、化学療法剤:サルファ剤で
あるスルフイソミジンナトリウムなど;抗結核剤である
硫酸カナマイシンなど;抗原虫剤である塩酸アモジアキ
ンなど、が挙げられる。
とりわけ、リン酸ジヒドロコデイン,dl−塩酸メチルエ
フェドリン,フェニルプロパノールアミンなど塩基性呼
吸器管用薬において優れた徐放効果が得られる。
透水性高分子被膜は、天然型,非天然型の生体適合性高
分子によって形成され、たとえば、セルロース系高分子
であるエチルセルロース,ニトロセルロース,ベンジル
セルロース,酢酸セルロース,ヒドロキシプロピルセル
ロース,酢酸プロピオン酸セルロースなど、非天然型高
分子であるポリアクリレート,ポリメタアクリレート,
ポリアミド,アクリル酸−メタアクリル酸系共重合体
(例、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーな
ど)などが挙げられ、本発明においては、とりわけオイ
ドラジット(Endragit)などとして知られるアミノアル
キルメタクリレートが有利に用いられる。
本発明の徐放性製剤は、たとえば下記のようにして製造
することができる。
薬物の塩も遊離体も溶解しうる水性溶媒中で、薬物塩を
イオン交換樹脂と反応させて薬物遊離体水溶液を得る。
水性溶媒としては、任意に水に溶けうる有機溶媒、たと
えばメチルアルコール,エチルアルコール,イソプロパ
ノールなどの一価アルコール類、アセトン,メチルエチ
ルケトンなどのケトン類の水溶液が挙げられる。
該水性溶媒は、5〜95%好ましくは10〜90%の有機溶媒
を含む水溶液が挙げられ、とりわけ塩基性薬物の塩の場
合は40〜85%のエタノールもしくはイソプロパノール水
溶液を、酸性薬物の塩の場合は、5〜30%のエタノール
水溶液を用いることが好ましい。
イオン交換樹脂との反応は、水溶性溶媒に溶解した薬物
塩に前記したと同様なイオン交換樹脂を加えて撹拌する
ことにより行う。この場合、イオン交換樹脂は、薬物塩
の必要とする当量の約1.0〜2.0倍量を用いるのが好まし
い。
反応は室温で行うか、所望により70℃程度まで加温する
こともできる。反応時間は0.5〜6時間程度である。
反応後イオン交換樹脂を通常の手段で除去することによ
り、薬物遊離体水溶液が得られる。
薬物−樹脂複合体は、上記水溶液に所定の粒径,架橋度
を有するイオン交換樹脂を加えて反応させることにより
製造できる。反応は通常室温で0.5〜3時間撹拌するこ
とにより行う。
上記反応により、理論イオン吸着量の80%以上の薬物を
吸着した薬物−イオン交換樹脂複合体が定量的に得ら
れ、とりわけ85〜100%の薬物を吸着した複合体として
用いることが好ましい。
該複合体を透水性高分子で被覆して本発明のマイクロカ
プセル製剤を製造する。
透水性高分子による被覆は、高分子を溶解しうる有機溶
媒、例えばエタノール,トルエン,クロロホルム,メチ
ルエチルケトン,エチレンクロライド,イソプロパノー
ル,シクロヘキサン,メタノール,塩化エチレン,ジメ
チルホルムアミド,酢酸エチルエステルなどを用いる。
合せて、可塑剤あるいは抗酸化剤などの安定剤を任意を
量添加してもよい。可塑剤には、フタル酸エステルなど
の二塩基酸エステル,グリコールエステル,脂肪酸エス
テルなどを挙げることが出来る。また安定化の抗酸化剤
には2(3)−t−ブチル−4−ピドロキシアニソール
(BHA),3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエ
ン(BHT),酢酸トコフェロール,トコフェロールなど
を挙げることが出来る。
透水性高分子がアクリル酸−メタアクリル酸共重合物の
場合は、メチレンクロライド,クロロホルムなどに溶解
しこの中に薬物−樹脂複合体を添加して懸濁させる。こ
の懸濁物を物理的・機械的製法であるスプレードライ法
でマイクロカプセルを製造する。他の方法としては、高
分子を良溶媒に溶解し、これに、例えばポリブタジエ
ン,ポリジメチルシロキサン,フェニルメチルシロキサ
ン,メタアクリル高分子などから選ばれる相分離剤を任
意の量添加し、撹拌下、貧溶媒を加え、物理化学的方法
すなわち相分離法によりマイクロカプセルを製造するこ
とが出来る。更に、例えば化学的方法である界面重合法
などによりマイクロカプセルを製造することが出来る。
いずれの方法であっても得られる徐放性のマイクロカプ
セルの粒径は5〜1000μmのものが良く、特に好ましく
は10〜300μmにするのがよい。
徐放性マイクロカプセルの経口懸濁液剤を製造するに
は、溶媒に日本薬局方による精製水を用いることが出来
る。通常100mlの精製水に対し、上記マイクロカプセル
の総量として約0.2g〜10gを懸濁させる。必要に応じ
て、防腐剤,矯味・矯臭剤,分散剤,湿潤剤,増粘剤等
を添加することが出来る。
防腐剤として非イオン性のパラオキシ安息香酸メチル,
パラオキシ安息香酸エチル,パラオキシ安息香酸プロピ
ル,パラオキシ安息香酸ブチルなどが用いられる。矯味
剤としてしょ糖,果糖,乳糖,ソルビトール,マンニト
ールなどを用いることが出来る。湿潤剤としてポリソル
ベート80,アラセル83のようなポリオキシエチレンソル
ビタン脂肪酸エステル,HCO−50などのポリオキシエチレ
ン硬化ヒマシ油,シュガーエステルなどの界面活性剤を
配合することが出来る。分散剤あるいは増粘剤として、
ローカストビンガム,グアヤグアム,プルラン,ザンサ
ンガム,カラギーナン,トラガントガム,デギストリ
ン,ペクチン,ゼラチンなどを任意の量添加することが
出来る。これらの添加剤のほかに、必要に応じて非イオ
ン性の物質を添加することが出来る。
本発明のマイクロカプセル製剤は、経口徐放性懸濁液剤
以外に、このマイクロカプセルを直接ハードカプセルに
充填し、カプセル剤とすることも出来る。また、このマ
イクロカプセルをオリーブ油,サフラワ油などの油性物
質中に懸濁し、ソフトゼラチンカプセル剤とすることも
出来る。また、乳糖,しょ糖,コーンスターチ,ヒドロ
キシプロピルセルロースなどと混合して顆粒剤あるいは
散剤,錠剤とすることも出来る。
本発明の徐放性製剤は下記の特徴を有する。
(1) 薬物−イオン交換樹脂複合体は、塩基性薬物の
塩(あるいは酸性薬物の塩)を水性溶液中で塩基性イオ
ン交換樹脂(あるいは酸性イオン交換樹脂)と反応させ
薬物遊離体を得て、これを所望のイオン交換樹脂に吸着
させることにより一貫工程で製造される。従って従来の
平衡反応による製造法に比べ、理論飽和吸着量に近い複
合体が得られ、繰返して吸着させる必要もなく、薬物の
ロスが少ない上、マイクロカプセルの服用量を最小とす
ることが出来るので、服用しやすくなるのはもとより、
経済性が良いので製剤の設計上好都合であり、開発が容
易となる。
(2) 本発明においては、水性溶媒特に水とエタノー
ルもしくはメタノールとの組成物中では水のみを用いる
場合と比べて、イオン交換樹脂は、より膨潤するので薬
物の吸着速度が速くなり効率良く薬物−樹脂複合体を製
造する事が出来る。
(3) 薬物を高濃度吸着した薬物−樹脂複合体を透水
性の高分子徐放性被膜で被覆しているので、このマイク
ロカプセルを溶媒中に分散,懸濁させても、マイクロカ
プセルの被膜は亀裂や破壊(repture)は生じない。薬
物の分子量が大きい程、また薬物の構造が立体的にバル
キーである程reptureは生じにくい。従来技術のよう
に、被膜成分中に可塑剤などの添加物を配合することな
く合理的に製剤の設計を行うことができ、設計通りの徐
放性を示す製剤を保証する事が出来る。
作用および実施例 以下の実施例および比較例により本発明をより具体的に
説明する。
実施例1 塩酸メチルエフェドリン14gを60%メタノール溶液150ml
に溶解した後、この液にアニオン交換樹脂(OH型;ダイ
ヤイオン SAN1(三菱化成製))70gを加えて1時間撹
はんした。この後、スラリーをろ別してさらに、ろ別し
たイオン交換樹脂を300mlの60%メタノール溶液で洗浄
し洗液を先のろ液に混ぜ、60%メタノール溶液で500ml
とした。
この溶液500ml中の塩酸塩及び遊離塩基の合計含量を高
速液体クロマトグラフで、遊離塩基の含量を滴定法で定
量したところ塩酸塩としてのメチルエフェドリンは認め
られず、100%遊離塩に転換されていた。また、その含
量は塩酸メチルエフェドリン換算で13.8gであり、98.6
%の回収率であった。
次に、この溶液450mlにジビニルベンゼン含有量8%
(架橋度8%)のカチオン交換樹脂(H型;ダイヤイオ
ン SKNUPC(三菱化成))24.3g(メチルエフェドリン
の吸着がイオン交換樹脂の理論飽和の吸着量の90%とな
る量)を加え1時間撹はんし反応させた。反応後のろ液
のメチルエフェドリンを測定したところ検出されなかっ
た。したがって、溶液中の遊離塩基型メチルエフェドリ
ンは全量イオン交換樹脂に結合したことになる。
ろ別したメチルエフェドリンResinateを乾燥し、この2.
8gをメチレンクロライド5mlにアミノアルキルメタクリ
レートコポリマーRS(オイドラギット RS100(Rohm P
harma製)1gを溶解した溶液中に分散させた。このスラ
リーを噴霧乾燥してマイクロカプセルを得た。得られた
マイクロカプセルからのメチルエフェドリンの徐放性は
溶出試験(JP XIパドル法:ただし溶出液は0.05%Tween
80を含有する0.2M NaCl溶液500ml)を用いて評価した。
結果を第1表に示すが、良好な徐放性を示し、溶出試験
後の走査型電子顕微鏡観察では、マイクロカプセル被膜
の亀裂、破壊などのいわゆるreptureの発生は、まった
く認められなかった。
実施例2 塩酸メチルエフェドリン12gを50%イソプロピルアルコ
ール溶液150mlに溶解した後、この液に実施例1と同じ
アニオン交換樹脂(OH型)70gを加えて1時間撹はんし
た。この後、スラリーをろ別してさらに、ろ別したイオ
ン交換樹脂を300mlの50%イソプロピルアルコール溶液
で洗浄し洗液を先のろ液に混ぜ、50%イソプロピルアル
コール溶液で500mlとした。
この溶液500ml中で塩酸塩及び遊離塩基の合計含量を高
速液体クロマトグラフで、遊離塩基の含量を滴定法で定
量したところ塩酸塩としてのメチルエフェドリンは認め
られず、100%遊離塩器に転換されていた。また、その
含量は塩酸メチルエフェドリン換算で11.2gであり、93.
3%の回収率であった。
次に、この溶液450mlにジビニルベンゼン含有量10%
(架橋度10%)のカチオン交換樹脂(H型;ダイヤイオ
ン SK110(三菱化成製))22.1g(メチルエフェドリン
の吸着がイオン交換樹脂の理論飽和の吸着量の85%とな
る量)を加え1時間撹はんし反応させた。反応後のろ液
のメチルエフェドリンを測定したところ検出されなかっ
た。したがって、溶液中の遊離塩基型メチルエフェドリ
ンは全量イオン交換樹脂に結合したことになる。
ろ別したメチルエフェドリンResinateを乾燥し、この3.
1gをクロロホルム4mlにアミノアルキルメタアクリレー
トコポリマーRSオイドラギット RS(Rohm Pharma製)
0.7g,アミノアルキルメタアクリレートコポリマーRL
(オイドラギットRS100L(Rohm Pharma製))0.3gを溶
解した溶液中に分散させた。次に、シクロヘキサンをこ
のスラリーに徐々に10ml加え凝集が起こらない程度のコ
アセルベーションを誘起させた。このスラリーを噴霧乾
燥してマイクロカプセルを得た。得られたマイクロカプ
セルからのメチルエフェドリンの徐放性は溶出試験(JP
XIパドル法:ただし溶出液は0.05%Tween80を含有する
0.2M NaCl溶液500ml)を用いて評価した。結果を第2
表に示すが、良好に徐放性を示し、溶出試験後の走査型
電子顕微鏡観察では、マイクロカプセル被膜の亀裂、破
壊などのいわゆるruptureの発生は、まったく認められ
なかった。
実施例3 リン酸ジヒドロコデイン10gを50%エタノール溶液250ml
に溶解した後、この液に実施例1と同じアニオン交換樹
脂(OH型)30gを加えて2時間撹はんした。この後、ス
ラリーをろ別してさらに、ろ別したイオン交換樹脂を30
0mlの50%エタノール溶液で洗浄し洗液を先のろ液に混
ぜ、50%エタノール溶液で500mlとした。
この溶液500ml中のリン酸塩及び遊離塩基の合計含量を
高速液体クロマトグラフで、遊離塩基の含量を滴定法で
定量したところリン酸塩としてのジヒドロコデインは認
められず、100%遊離塩基に転換されていた。また、そ
の含量はリン酸ジヒドロコデイン換算で9.8gであり、9
8.0%の回収率であった。
次に、この溶液450mlにジビニルベンゼン含有量%(架
橋度8%)のカチオン交換樹脂(H型;ダイヤイオン
SKNUPC(三菱化成製))25.69g(ジヒドロコデインの吸
着がイオン交換樹脂の理論飽和の吸着量の85%となる
量)を加え1時間撹はんし反応させた。反応後のろ液の
ジヒドロコデインを測定したところ検出されなかった。
したがって、溶液中の遊離塩基型ジヒドロコデインは全
量イオン交換樹脂に結合したことになる。
ろ別したジヒドロコデインResinateを乾燥し、この3.3g
をアセトン8mlにアミノアルキルメタアクリレートコポ
リマーRS(オイドラギットRS100(Rohm Pharma製))
0.8gとアミノアルキルメタアクリレートコーポリマーRL
(オイギラギットRS100L)0.2gとを溶解した溶液中に分
散させた。このスラリーを噴霧乾燥してマイクロカプセ
ルを得た。得られたマイクロカプセルからのジヒドロコ
デインの徐放性は溶出試験(JP XIパドル法:ただし溶
出液は0.05%Tween80を含有する0.2M NaCl溶液500ml)
を用いて評価した。結果を第3表に示すが、良好な徐放
性を示し、溶出試験後の走査型電子顕微鏡観察では、マ
イクロカプセル被膜の亀裂、破壊などのいわゆるruptur
eの発生は、まったく認められなかった。
実施例4 リン酸ジヒドロコデイン10gを50%エタノール溶液250ml
に溶解した後、この液に実施例1と同様にアニオン交換
樹脂(OH型)30gを加えて2時間撹はんした。この後、
スラリーをろ別してさらに、ろ別したイオン交換樹脂を
300mlの50%エタノール溶液で洗浄し洗液を先のろ液に
混ぜ、50%エタノール溶液で500mlとした。
この溶液500ml中のリン酸塩及び遊離塩基の合計含量を
高速液体クロマトグラフで、遊離塩基の含量を滴定法で
定量したところリン酸塩としてのジヒドロコデインは認
められず、100%遊離塩基に転換されていた。また、そ
の含量はリン酸ジヒドロコデイン換算で9.8gであり、9
8.0%の回収率であった。
次に、この溶液450mlにジビニルベンゼン含有量6%
(架橋度6%)のカチオン交換樹脂(H型;ダイヤイオ
ン SK106(三菱化成製))26.0g(ジヒドロコデインの
吸着がイオン交換樹脂の理論飽和の吸着量の90%となる
量)を加え1時間撹はんし反応させた。反応後のろ液の
ジヒドロコデインを測定したところ検出されなかった。
したがって、溶液中の遊離塩基型ジヒドロコデインは全
量イオン交換樹脂に結合したことになる。
ろ別したジヒドロコデインResinateを乾燥し、この3.3g
をクロロフォルム5mlにアミノアルキルメタアクリレー
トコポリマーRS(オイドラギット RS100(Rohm Pharm
a製))1.0g、及びポリイソブチレン(MW.40万)0.5gを
溶解した溶液中に分散させた。次に、このスラリーを撹
はんしながらシクロヘキサン40mlにポリイソブチレン2.
5gを溶解した液を徐々に滴下した。滴下終了後マイクロ
カプセルをろ別しさらに、シクロヘキサンでポリイソブ
チレンを洗浄し乾燥した。得られたマイクロカプセルか
らのジヒドロコデインの徐放性は溶出試験(JP XIパド
ル法:ただし溶出液は0.05%Tween80を含有する0.2M N
aCl溶液500ml)を用いて評価した。結果を第4表に示す
が、良好な徐放性を示し、溶出試験後の走査型電子顕微
鏡観察では、マイクロカプセル被膜の亀裂、破壊などの
いわゆるruptureの発生は、まったく認められなかっ
た。
実施例5 臭化水素酸デキストロメトルファン31gを85%エタノー
ル溶液600mlに溶解した後、この液に実施例1と同様の
アニオン交換樹脂(OH型)75gを加えて2時間撹はんし
た。この後、スラリーをろ別してさらに、ろ別したイオ
ン交換樹脂を200mlの85%エタノール溶液で洗浄し洗液
を先のろ液に混ぜ、85%エタノール溶液で1000mlとし
た。
この溶液1000ml中の臭化水素酸塩及び遊離塩基の合計含
量を高速液体クロマトグラフで、遊離塩基の含量を滴定
法で定量したところ臭化水素酸塩としてのデキストロメ
トルファンは認められず、100%遊離塩基に転換されて
いた。また、その含量は臭化水素酸デキストロメトルフ
ァン換算で30.2gで、回収率として97.4%であった。
次に、この溶液440mlにジビニルベンゼン含有量8%
(架橋度8%)のカチオン交換樹脂(H型ダイヤイオン
SKNUPC(三菱化成製))16.25g(デキストロメトルフ
ァンの吸着がイオン交換樹脂の理論飽和の吸着量の82%
となる量)を加え1時間撹はんし反応させた。反応後の
ろ液のデキストロメトルファンを測定したところ検出さ
れなかった。したがって、溶液中の遊離塩基型のデキス
トロメトルファンは全量イオン交換樹脂に結合したこと
になる。
ろ別したデキストロメトルファンResinateを乾燥し、こ
の3.0gをメチレンクロライド20mlにエチルセルロース10
0cp 1.0gを溶解した溶液中に分散させた。次に、このス
ラリーを噴霧乾燥した。得られたマイクロカプセルから
のデキストロメトルファンの徐放性は溶出試験(JP XI
パドル法:ただし溶出液は0.05%Tween80を含有する0.2
M NaCl溶液500ml)を用いて評価した。結果を第5表に
示すが、良好な徐法性を示し、溶出試験後の走査型電子
顕微鏡観察では、マイクロカプセル被膜の亀裂、破壊な
どのいわゆるruptureの発生は、まったく認められなか
った。
実施例6 マレイン酸クロルフェニラミン20gを55%エタノール溶
液1000mlに溶解した後、この液に実施例1と同様のアニ
オン交換樹脂(OH型)35gを加えて2時間撹はんした。
この後、スラリーをろ別してさらに、ろ別したイオン交
換樹脂を300mlの55%エタノール溶液で洗浄し洗液を先
のろ液に混ぜ、55%エタノール溶液で1500mlとした。
この溶液1500ml中のマレイン酸塩及び遊離塩基の合計含
量を高速液体クロマトグラフで、遊離塩基の含量を滴定
法で定量したところマレイン酸塩としてのクロルフェニ
ラミンは認められず、100%遊離塩基に転換されてい
た。また、その含量はマレイン酸クロルフェニラミン換
算で19.5gで、回収率として97.5%であった。
次に、この溶液1000mlにジビニルベンゼン含有量6%
(架橋度6%)のカチオン交換樹脂(H型;ダイヤイオ
ン SK106(三菱化成製))17.98g(クロルフェニラミ
ンの吸着がイオン交換樹脂の理論飽和の吸着量の80%と
なる量)を加え1時間撹はんし反応させた。反応後のろ
液のクロルフェニラミンを測定したところ検出されなか
った。したがって、溶液中の遊離塩基型のクロルフェニ
ラミンは全量イオン交換樹脂に結合したことになる。
ろ別したクロルフェニラミンResinateを乾燥し、この2.
8gをメチルエチルケトン6mlにアミノアルキルメタアク
リレートコポリマーRS(オイドラギット RS100(Rohm
Pharma製))0.7g、及びアミノアルキルメタアクリレ
ートコポリマーRL(オイドラギット RS100L(Rohm Ph
arma製))0.2g,中鎖脂肪酸トリグリセリド0.05gを溶解
した溶液中に分散させた。次に、このスラリーを噴霧乾
燥した。得られたマイクロカプセルからのクロルフェニ
ラミンの徐放性は溶出試験(JP XIパドル法:ただし溶
出液は0.05%Tween80を含有する0.2M NaCl溶液500ml)
を用いて評価した。結果を第6表に示すが、良好な徐放
性を示し、検出試験後の走査型電子顕微鏡観察では、マ
イクロカプセル被膜の亀裂、破壊などのいわゆるruptur
eの発生は、まったく認められなかった。
実施例7 塩酸フェニルプロパノールアミン35gを50%エタノール
溶液400mlに溶解した後、この液に実施例1と同様のア
ニオン交換樹脂(OH型)200gを加えて2時間撹はんし
た。この後、スラリーをろ別してさらに、ろ別したイオ
ン交換樹脂を100mlの50%エタノール溶液で洗浄し洗液
を先のろ液に混ぜ、50%エタノール溶液で500mlとし
た。
この溶液500ml中の塩酸塩及び遊離塩基の合計含量を高
速液体クロマトグラフで、遊離塩基の含量を滴定法で定
量したところ塩酸塩としてのフェニルプロパノールアミ
ンは認められず、100%遊離塩基に転換されていた。ま
た、その含量は塩酸フェニルプロパノールアミン換算で
34.8gで、回収率として99.5%であった。
次に、この溶液300mlにジビニルベンゼン含有量8%
(架橋度8%)のカチオン交換樹脂(H型;ダイヤイオ
ン SKNUPC(三菱化成製))38.1g(フェニルプロパノ
ールアミンの吸着がイオン交換樹脂の理論飽和の吸着量
の100%となる量)を加え1時間撹はんし反応させた。
反応後のろ液のフェニルプロパノールアミンを測定した
ところ検出されなかった。したがって、溶液中の遊離塩
基型のフェニルプロパノールアミンは全量イオン交換樹
脂に結合したことになる。
ろ別したフェニルプロパノールアミンResinateを乾燥
し、この3.0gをメチレンクロライド6mlにアミノアルキ
ルメタアクリレートコポリマーRS(オイドラギット RS
100(Rohm Pharma製))0.70を溶解した溶液中に分散
させた。次に、このスラリーを噴霧乾燥した。得られた
マイクロカプセルからのフェニルプロパノールアミンの
徐放性は溶出試験(JP XIパドル法:ただし溶出液は0.2
M NaCl溶液500ml)を用いて評価した。結果を第7表に
示すが、良好に徐放性を示し、溶出試験後の走査型電子
顕微鏡観察では、マイクロカプセル被膜の亀裂、破壊な
どのいわゆるruptureの発生は、まったく認められなか
った。
実施例8 実施例3の方法で調製したジヒドロコデインResinate
(DVB含量8%のダイヤイオンSVNUPCに理論飽和吸着量
の85%となる量のジヒドロコデインが吸着してなる(Re
sinate)3.3gをジクロルメタン5mlにアミノアルキルメ
タアクリレートコーポリマーRS(オイドラギットRS100
(Rohm Phavma社製))0.8g,アミノアルキルメタアク
リレートコーポリマーRL(オイドラギットRS100L)0.2g
を溶解した液に分散させた。次に50%エタノール水溶液
を2ml添加し充分に均一になるように撹はんした。その
後このスラリーを噴霧乾燥してマイクロカプセルを得
た。これとは別に実施例1と同方法で遊離塩基としたメ
チルエフェドリン溶液を使用してダイヤイオンSK−112
(DVB含量12%,H型)に理論飽和の吸着量に対して82%
となる量のメチルエフェドリンを吸着させたメチルエフ
ェドリンResinate3gをジクロルメタン5mlにアミノアル
キルメタアクリレートコーポリマーRS(オイドラギット
RS100)1.0gを溶解した液に分散させた。次に50%エタ
ノール水溶液を2ml添加し充分に均一になるようにかく
はんした。その後このスラリーを噴霧乾燥してマイクロ
カプセルを得た。
実施例9 実施例8および実施例6で得たマイクロカプセルを用い
下記の経口用懸濁剤を得た。
処方 ジヒドロコデイン 徐放性マイクロカプセル 12.5g メチルエフェドリン 徐放性マイクロカプセル 45.0g クロルフェニラミン 徐放性マイクロカプセル 4.9g グアヤコールグリセリルエーテル 8 g 無水カフェイン 10 g D−ソルビトール 1.0kg 精製白糖 1.0kg ローカストビンガム 1.0kg 安息香酸 3 g パラオキシ安息香酸ブチル 0.25gTween80 0.5g 精製水を加えて全量 5 精製水2.0を85℃まで加熱し、安息香酸3g,パラオキシ
安息香酸ブチル0.25gを溶解した。次にこの液を冷却後
0.5g Tween80を溶解後ローカストビンガム10gを徐々に
分散溶解した。その後無水カフェイン10g,グアヤコール
グリセリルエーテル8を溶解し、さらにD−ソルビトー
ル,精製白糖各々1kgを溶解した。これとは別に、1
の精製水にTween80を0.5g溶解した液に処方中の3種の
徐放性マイクロカプセルを分散させ先のシロップ液と混
合し精製水を加え全量5とした。
本懸濁剤を、成人につき1回10ml量あて1日2回経口投
与する。
比較例1 グアヤコールスルホン酸カリウム5gを蒸留水500mlに溶
解した。この溶液にジビニルベンゼン含有量8%(架橋
度8%)のアニオン交換樹脂(OH型;ダイヤイオン SA
N1(三菱化成製))6.08gを加え3時間撹はんした(イ
オン交換樹脂と当量数に対して、グアヤコールスルホン
酸カリウム量が200%になるように混合した)。次に、
このスラリーをろ過してろ液中のグアヤコールスルホン
酸カリウムを定量したところ、仕込んだ量の36.3%が結
合し、ろ液には、仕込んだ量の63.7%が残存していた。
生成したグアヤコールスルホン酸Resinateには、イオン
交換樹脂交換基の71.3%にグアヤコールスルホン酸が結
合していた。
次に、生成したResinateをろ別して乾燥した。このもの
2.5gを、メチレンクロライド5.0mlにアミノアルキルメ
タアクリレートRS(オイドラギット RS100(Rohm Phar
ma製))を1.0g溶解した液に分散させた。得られたスラ
リーを噴霧してコーティングした。得られたマイクロカ
プセルを乾燥した。マイクロカプセルからのグアヤコー
ルスルホン酸の溶出をJP XIの溶出試験器を用いて、37
度で試験した。溶出液は、0.05% Tween80を含有する0.
2M NaCl500mlを使用した。結果を第8表に示した。
ruptureの発生により試験開始直後のバーストが認めら
れかつ徐放性も良好ではなかった。試験後の走査型電子
顕微鏡観察では、Resinateの膨潤に起因するマイクロカ
プセル被膜の亀裂、破壊などのいわゆるruptureの発生
が認められた。
比較例2 グアヤコールスルホン酸カリウム5gを蒸留水500mlに溶
解した。この溶液にジビニルベンゼン含有量8%(架橋
度8%)のアニオン交換樹脂(OH型;ダイヤイオン SA
N1(三菱化成製))23.9gを加え3時間撹はんした(イ
オン交換樹脂の当量数にたいして、グアヤコールスルホ
ン酸カリウムの量が50.8%になるよう混合した)。次
に、このスラリーをろ過してろ液中のグアヤコールスル
ホン酸カリウムを定量したところ、仕込んだ量の92.1%
が結合し、ろ液には、仕込んだ量の7.9%が残存してい
た。
生成したグアヤコールスルホン酸Resinateには、イオン
交換樹脂交換基の46.8%にグアヤコールスルホン酸が結
合していた。
次に、生成したResinateをろ別して乾燥した。このもの
2.0gを、メチレンクロライド5.0mlにアミノアルキルメ
タアクリレートRS(オイドラギット RS100(Rohm Phar
ma製))を1.0g溶解した液に分散させた。得られたスラ
リーを噴霧してコーティングした。得られたマイクロカ
プセルを乾燥した。マイクロカプセルからのグアヤコー
ルスルホン酸の溶出をJP XIの溶出試験器を用いて、37
度で試験した。溶出液は、0.05% Tween80を含有する0.
2M NaCl500mlを使用した。結果を第9表に示した。rup
tureの発生により試験開始直後のバーストが認められか
つ徐放性も良好ではなかった。試験後の走査型電子顕微
鏡観察では、Resinateの膨潤に起因するマイクロカプセ
ル被膜の亀裂、破壊などのいわゆるruptureの発生が認
められた。
比較例3 塩酸フェニルプロパノールアミン10gを蒸留水500mlに溶
解した。この溶液にジビニルベンゼン含有量8%(架橋
度8%)のカチオン交換樹脂(H型;ダイヤイオン SK
NUPC(三菱化成製))25.81gを加え3時間撹はんした
(イオン交換樹脂の当量数にたいして、塩酸フェニルプ
ロパノールアミンの量が74.2%になるよう混合した)。
次に、このスラリーをろ過してろ液中の塩酸フェニルプ
ロパノールアミンを定量したところ、仕込んだ量の84.0
%の結合し、ろ液には、仕込んだ量の16.0%が残存して
いた。
生成したフェニルプロパノールアミンResinateには、イ
オン交換樹脂交換基の62.3%にフェニルプロパノールア
ミンが結合していた。
次に、生成したResinateをろ別して乾燥した。このもの
2.8gを、メチレンクロライド5.0mlにアミノアルキルメ
タアクリレートRS(オイドラギット RS100(Rohm Pha
rma製))を1.0g溶解した液に分散させた。得られたス
ラリーを噴霧してコーティングした。得られたマイクロ
カプセルを乾燥した。マイクロカプセルからのフェニル
プロパノールアミンの溶出をJP XIの溶出試験器を用い
て、37度で試験した。溶出液は、0.05% Tween80を含有
する0.2M NaCl500mlを使用した。結果を第10表に示し
た。ruptureの発生により試験開始直後のバーストが認
められかつ徐放性も良好ではなかった。試験後の走査型
電子顕微鏡観察では、Resinateの膨潤に起因するマイク
ロカプセル被膜の亀裂、破壊などのいわゆるruptureの
発生が認められた。
比較例4 塩酸メチルエフェドリン10gを蒸留水500mlに溶解した。
この溶液にジビニルベンゼン含有量8%(架橋度8%)
のカチオン交換樹脂(H型;ダイヤイオン SKNUPC(三
菱化成製))34.6gを加え3時間撹はんした(イオン交
換樹脂の当量数にたいして、塩酸メチルエフェドリンの
量が48.4%になるよう混合した)。仕込んだ量の93.0%
が結合し、ろ液には、仕込んだ量の7.0%が残存してい
た。
生成したメチルエフェドリンResinateには、イオン交換
樹脂交換基の45.0%にメチルエフェドリンが結合してい
た。
次に、生成したResinateをろ別して乾燥した。このもの
2.2gを、メチレンクロライド5.0mlにアミノアルキルメ
タアクリレートRS(オイドラギット RS100(Rohm Pha
rma製))を1.0g溶解した液に分散させた。得られたス
ラリーを噴霧してコーティングした。得られたマイクロ
カプセルを乾燥した。マイクロカプセルからのメチルエ
フェドリンの溶出をJP XIの溶出試験器を用いて、37度
で試験した。溶出液は、0.05% Tween80を含有する0.2M
NaCl500mlを使用した。結果を第11表に示した。
ruptureの発生により試験開始直後のバーストが認めら
れかつ徐放性も良好ではなかった。試験後の走査型電子
顕微鏡観察では、Resinateの膨潤に起因するマイクロカ
プセル被膜の亀裂、破壊などのいわゆるruptureの発生
が認められた。
発明の効果 本発明の徐放性製剤は、高濃度の薬物を含有しており、
また製剤被膜の亀裂や破壊はなく、良好な徐放性を示
す。従って製剤設計上有利で、服用も容易である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】理論イオン吸着量の80%以上の薬物を吸着
    した架橋度6〜16%のイオン交換樹脂を透水性高分子被
    膜で被覆した徐放性マイクロカプセル製剤。
  2. 【請求項2】精製水に請求項(1)記載の徐放性マイク
    ロカプセル製剤を懸濁してなる経口用懸濁剤。
  3. 【請求項3】薬物の塩も遊離体も溶解しうる水性溶媒中
    で、該薬物塩をイオン交換樹脂と反応させて得た薬物遊
    離体水性溶液に、架橋度6〜16%のイオン交換樹脂を加
    えて得られる薬物イオン交換樹脂複合体を透水性高分子
    被膜で被覆することを特徴とする請求項(1)記載の徐
    放性マイクロカプセル製剤の製造法。
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