JPH0754319Y2 - 紙の光沢仕上設備 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は紙の光沢仕上設備に関するものである。

［従来の技術］ 従来の紙の光沢仕上設備を第５図を用いて説明する。

図中１は１階フロア、２は２階フロアである。

３は１階フロア１に設けられた、弾性ロールや金属ロー
ル等のロール４を上下に複数交互に積重ねて成るスーパ
ーカレンダであり、２階フロア２に設けられた図示しな
いアンワインダから巻戻される紙５を、上端にある初段
のロール４′,4′間に入れ、各ロール４間を下方へジグ
ザグに通して、紙５の表面をロール４の圧縮力により光
沢仕上した後、下端にある最終のロール４″,4″間から
取出すようになっている。

６は２階フロア２に設けられたワインダであり、スーパ
ーカレンダ３の最終のロール４″,4″間から出た紙５
を、ガイド台９に沿って移動可能な巻取台車７を用いて
芯体12に巻取って行きコイル８を形成するようになって
いる。

10はガイド台９に設けられた張力計、11はスーパーカレ
ンダ３の最終のロール４″,4″から出た紙５を２階フロ
ア２のワインダ６まで導く案内ローラである。

２階フロア２に設けられた図示しないアンワインダから
巻戻された紙５は、１階フロア１に設けられたスーパー
カレンダ３の上端にある初段のロール４′,4′間に入れ
られ、次いで各ロール４間を下方へ向けてジグザグに通
され、隣接ロール４間で圧縮力を掛けられることにより
外表面に光沢仕上を施された後、下端にある最終のロー
ル４″,4″間から取出される。

スーパーカレンダ３から取出された紙５は、案内ローラ
11により２階フロア２の高さまで導かれ、２階フロア２
でワインダ６の巻取台車７によって芯体12に巻取られて
行きコイル８とされる。

紙５をコイル８へ巻取る際の張力はガイド台９に設けら
れた張力計10で検出する。

［考案が解決しようとする課題］ しかしながら上記従来の紙の光沢仕上設備では、以下の
ような問題があった。

アンワインダとワインダ６は、同一のフロアに設置した
方が紙５の扱いが容易となるので、２階フロア２に設置
し、且つスーパーカレンダ３は高さ寸法が大きいので、
アンワインダから巻戻された紙５が上端の初段のロール
４′,4′間に通し易いように１階フロア１に設置するこ
とが通常行われている。

ところがこのようにすると、スーパーカレンダ３の下端
にある最終のロール４″,4″間を出た紙５は、ワインダ
６のある２階フロア２の高さまで持ち上げてからワイン
ダ６に巻取るようにしなければならず、そのために立上
り区間13が必要となってしまう。

ところがこのような構成にすると、ワインダ６には、立
上り区間13の部分の紙５の重量と、立上り区間13内に設
けられた案内ローラ11が紙５に与える荷重とが、ワイン
ダ６に直接掛って、ワインダ６における紙５を巻取る際
の張力を増大させてしまう。

すると、この張力の増大によりワインダ６で巻取られた
コイル８は巻きがきつくなって、コイル８の巻取りが乱
れていわゆる筍状のテレスコ巻きになったり、巻取られ
たコイル８に張力による引張りじわが生じたりしてしま
う。

本考案は上述の実情に鑑み、ワインダで巻取られる紙に
掛かる張力を低減し得るようにした紙の光沢仕上設備を
提供することを目的とするものである。

［課題を解決するための手段］ 本考案はスーパーカレンダの最終のロールとワインダと
の間の立上り区間に紙を吸引支持可能なサクションロー
ルを配設し、サクションロールとスーパーカレンダの最
終のロールとの間に張力計を設け、該張力計からの張力
と設定器からの張力設定値とを入力して両者の偏差を取
り、該偏差に基づいて前記吸引ファンに吸引力を調整す
る指令を送る演算制御装置を設けたことを特徴とする紙
の光沢仕上設備にかかるものである。

［作用］ スーパーカレンダの最終のロールを出た紙は途中で上方
のサクションロールに吸引された後、更に上方のワイン
ダへ導かれる。

このようにすると、紙はサクションロールよりも下の部
分が、サクションロールによって吸引支持されるので、
サクションロールよりも下の部分における、紙の重量や
案内ローラが紙に与える荷重の一部が軽減され、その分
ワインダにおける紙を巻取る際の張力を軽減することが
できる。

［実施例］ 以下、図面に基づいて本考案の実施例を説明する。

第１図〜第４図は本考案の一実施例であり、図中第５図
と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。

スーパーカレンダ３の最終のロール４″とワインダ６と
の間のワインダ６寄りの位置に、回転駆動されるサクシ
ョンロール14を配設する。

該サクションロール14は以下の構成を備えている。

胴部15に多数の貫通孔16を有する中空円筒状のロールシ
ェル17を設け、該ロールシェル17の中空の軸端部18外周
の一方に駆動プーリ19を設けて、ロールシェル17を図示
しない駆動装置により回転駆動し得るようにする。

ロールシェル17の内部に中空円筒状のサクションボック
ス20をロールシェル17内周と所定の間隔を有するよう配
置し、サクションボックス20の中空の両軸端部21を前記
ロールシェル17の軸端部18から外部へ貫通させて、軸端
部21を固定軸受22を介して外部に固定すると共に、軸端
部21を軸受23を介してロールシェル17の軸端部18を回転
させ得るよう支持する。

ロールシェル17内周とサクションボックス20外周間の、
サクションロール14に対して紙５が接触する範囲の部分
に、該部分を囲うようにデッケル24を配設すると共に、
デッケル24をホルダ25を用いてサクションボックス20外
周に固定し、且つロールシェル17内周に対し摺動自在に
接触させるようにして、デッケル24で囲まれた部分に吸
引領域26を形成する。

サクションボックス20の吸引領域26の部分に貫通孔27を
形成し、サクションボックス20の両方の軸端部21に吸引
ファン28からのダクト29を接続する。

又、サクションロール14とスーパーカレンダ３の最終の
ロール４″との間に張力計30を設け、該張力計30からの
張力31と設定器32からの張力設定値33とを入力して両者
の偏差を取り、該偏差に基づいて前記吸引ファン28に吸
引力を調整する指令34を送る演算制御装置35を設ける。

尚、36はダクト29の途中に設けられたダンパである。

次に作動について説明する。

スーパーカレンダ３による紙５の光沢仕上加工及びワイ
ンダ６による紙５の巻取については第５図と同様に行
う。

このとき、スーパーカレンダ３の最終のロール４″,4″
間を出た紙５は、２階フロア２まで引上げられる途中、
図示しない駆動装置によってロールシェル17が回転駆動
されるサクションロール14により吸引されてからワイン
ダ６に導かれる。

サクションロール14は以下のように紙５の吸引を行うよ
うになっている。

即ち、吸引ファン28を作動することにより、ダクト29、
軸端部21を介してサクションボックス20内部が吸引さ
れ、サクションボックス20に形成した貫通孔27からサク
ションボックス20及びロールシェル17間のデッケル24で
囲んで成る吸引領域26内が吸引され、その結果回転駆動
されるロールシェル17に形成した貫通孔16のうち吸引領
域26上を通過する貫通孔16のみから紙５が吸引される。

このため、紙５は、サクションロール14よりも下方の部
分における、紙５の重量や案内ローラ11が紙５に与える
荷重の一部が、サクションロール14の吸引力により支持
されるようになり、その分サクションロール14よりも上
方の紙５の張力が軽減されるので、軽減された分だけワ
インダ６によって紙５を巻取る際の張力を削減すること
ができる。

これによりワインダ６は紙５に対していわゆるソフト巻
きを行うことができるようになる。

このように、ソフトに巻かれたコイル８は、巻きがきれ
いで巻きじわのない優れた製品となる。

このとき、ワインダ６の入側に加えられるべき紙５の張
力を設定器32に予め張力設定値33として設定しておく
と、演算制御装置35はサクションロール14より下方に設
けられた張力計30が検出した張力31から張力設定値33を
減算して偏差分の吸引力をサクションロール14が与えら
れるように吸引ファン28に吸引力を調整する指令34を送
るので、サクションロール14より上方の紙５がワインダ
６に掛ける張力を常に張力設定値33と等しい値に保つこ
とができる。

尚、本考案の紙の光沢仕上設備は、上述の実施例にのみ
限定されるものではなく、本考案の要旨を逸脱しない範
囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。

［考案の効果］ 以上説明したように本考案の紙の光沢仕上設備によれ
ば、下記の如き種々の優れた効果を奏し得る。

スーパーカレンダとワインダの間の立上り区間にサ
クションロールを設けて紙を吸引支持させるようにした
ので、ワインダに掛かる紙の張力を軽減することができ
る。

ワインダに掛かる紙の張力を軽減することができる
ので、紙をソフト巻きにして巻きがきれいで且つ巻きじ
わのない品質の良い製品を作ることができる。

サクションロールとスーパーカレンダの最終のロー
ルとの間に張力計を設け、該張力計からの張力と設定器
からの張力設定値とを入力して両者の偏差を取り、該偏
差に基づいて前記吸引ファンに吸引力を調整する指令を
送る演算制御装置を設けたので、ワインダに掛かる紙の
張力を自由に設定して、紙の巻き具合を自在に調整する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の側面図、第２図は第１図の
サクションロールの側面図、第３図は第２図のサクショ
ンロールのIII−III矢視図、第４図は本考案に用いる制
御系のブロック図、第５図は従来例の側面図である。 図中３はスーパーカレンダ、４″はスーパーカレンダ３
の最終のロール、５は紙、６はワインダ、13は立上り区
間、14はサクションロールを示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】スーパーカレンダの最終のロールより上方
   にワインダが設けられた紙の光沢仕上設備において、ス
   ーパーカレンダの最終のロールとワインダとの間の立上
   り区間に紙を吸引支持可能なサクションロールを配設
   し、サクションロールとスーパーカレンダの最終のロー
   ルとの間に張力計を設け、該張力計からの張力と設定器
   からの張力設定値とを入力して両者の偏差を取り、該偏
   差に基づいて前記吸引ファンに吸引力を調整する指令を
   送る演算制御装置を設けたことを特徴とする紙の光沢仕
   上設備。