JPH0754051A - 加工性に優れた高強度溶融Znめっき鋼板の製造方法 - Google Patents
加工性に優れた高強度溶融Znめっき鋼板の製造方法Info
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- JPH0754051A JPH0754051A JP20323793A JP20323793A JPH0754051A JP H0754051 A JPH0754051 A JP H0754051A JP 20323793 A JP20323793 A JP 20323793A JP 20323793 A JP20323793 A JP 20323793A JP H0754051 A JPH0754051 A JP H0754051A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 延性,伸びフランジ性に優れた引張り強さ4
40N/mm2 以上の高強度溶融Znめっき鋼板を得
る。 【構成】 C:0.02〜0.10重量%,Si:0.
2重量%以下,Mn:1.0〜2.0重量%,P:0.
02〜0.10重量%,Nb:0.01〜0.03重量
%,必要に応じTi:0.01〜0.05重量%及び
S:0.005重量%以下を含む組成に調整された鋼ス
ラブを素材とし、1000〜850℃の仕上げ圧延温度
で熱間圧延した後、600℃までを40℃/秒以上の平
均冷却速度で冷却し、600℃以下を30℃/秒以下の
平均冷却速度で冷却し、550〜400℃の温度範囲で
巻き取り、次いで溶融Znめっきを施す。 【効果】 軽量,高強度で耐食性に優れ、自動車用足廻
り部品等として使用される。
40N/mm2 以上の高強度溶融Znめっき鋼板を得
る。 【構成】 C:0.02〜0.10重量%,Si:0.
2重量%以下,Mn:1.0〜2.0重量%,P:0.
02〜0.10重量%,Nb:0.01〜0.03重量
%,必要に応じTi:0.01〜0.05重量%及び
S:0.005重量%以下を含む組成に調整された鋼ス
ラブを素材とし、1000〜850℃の仕上げ圧延温度
で熱間圧延した後、600℃までを40℃/秒以上の平
均冷却速度で冷却し、600℃以下を30℃/秒以下の
平均冷却速度で冷却し、550〜400℃の温度範囲で
巻き取り、次いで溶融Znめっきを施す。 【効果】 軽量,高強度で耐食性に優れ、自動車用足廻
り部品等として使用される。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、440N/mm2 を超
える引張り強さをもち、延性及び伸びフランジ性が要求
される自動車足廻り部品等の部品として好適な高強度溶
融Znめっき鋼板の製造方法に関する。
える引張り強さをもち、延性及び伸びフランジ性が要求
される自動車足廻り部品等の部品として好適な高強度溶
融Znめっき鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、燃費の向上を図るために車体を軽
量化する研究・開発が行われており、鉄鋼材料に関して
も従来からの製品と同等のプレス成形性をもち且つ優れ
た強度を呈する材料が要求されている。この要求に応え
る材料として、フェライト+マルテンサイト組織をもつ
デュアルフェイス鋼板や残留オーステナイトを利用した
高強度鋼板が提案されている。デュアルフェイス鋼板と
しては、たとえば特公昭57−42127号公報,特公
昭61−10009号公報,特公昭61−11291号
公報,特開昭57−143433号公報等で紹介されて
いる。残留オーステナイトを利用した高強度鋼板につい
ても、多くの研究が報告されており、強度−延性バラン
スの優れた鋼材を得る方法が種々提案されている(特開
昭62−196336号公報,特開昭63−4017号
公報,特開平1−79345号公報等参照)。
量化する研究・開発が行われており、鉄鋼材料に関して
も従来からの製品と同等のプレス成形性をもち且つ優れ
た強度を呈する材料が要求されている。この要求に応え
る材料として、フェライト+マルテンサイト組織をもつ
デュアルフェイス鋼板や残留オーステナイトを利用した
高強度鋼板が提案されている。デュアルフェイス鋼板と
しては、たとえば特公昭57−42127号公報,特公
昭61−10009号公報,特公昭61−11291号
公報,特開昭57−143433号公報等で紹介されて
いる。残留オーステナイトを利用した高強度鋼板につい
ても、多くの研究が報告されており、強度−延性バラン
スの優れた鋼材を得る方法が種々提案されている(特開
昭62−196336号公報,特開昭63−4017号
公報,特開平1−79345号公報等参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来のデュアルフェイ
ス鋼板では、低温変態相のマルテンサイトを利用してい
ることから、溶接を行ったときに熱影響部の軟質化が避
けられない。また、軟質のフェライトと硬質のマルテン
サイトが混在した組織となっているため、伸びフランジ
加工すると、相界面に応力が集中して割れの起点とな
り、加工された製品に亀裂・破断等の欠陥が発生し易
い。すなわち、デュアルフェイス鋼板は伸びフランジ性
が劣る材料であり、目的形状をもった製品を高い歩留り
で製造できない現状にある。残留オーステナイトを利用
した高強度鋼板で所望の残留オーステナイトを得るため
には、圧延後の冷却条件,巻取り温度等の厳格な制御が
必要とされる。そのため、鋼板製造工程が面倒なものと
なり、熱間圧延ラインでの製造安定性や材質安定性等に
おいて多くの問題が未解決のままである。
ス鋼板では、低温変態相のマルテンサイトを利用してい
ることから、溶接を行ったときに熱影響部の軟質化が避
けられない。また、軟質のフェライトと硬質のマルテン
サイトが混在した組織となっているため、伸びフランジ
加工すると、相界面に応力が集中して割れの起点とな
り、加工された製品に亀裂・破断等の欠陥が発生し易
い。すなわち、デュアルフェイス鋼板は伸びフランジ性
が劣る材料であり、目的形状をもった製品を高い歩留り
で製造できない現状にある。残留オーステナイトを利用
した高強度鋼板で所望の残留オーステナイトを得るため
には、圧延後の冷却条件,巻取り温度等の厳格な制御が
必要とされる。そのため、鋼板製造工程が面倒なものと
なり、熱間圧延ラインでの製造安定性や材質安定性等に
おいて多くの問題が未解決のままである。
【0004】ところで、車体の軽量化のために材料を薄
肉化するに伴って、耐孔あき性等に代表される防錆,防
食に対する要求も厳しくなってきている。この関連で、
耐食性を改良した高強度溶融Znめっき鋼板を製造する
方法が特開昭63−72860号公報,特開昭63−1
49321号公報等で紹介されている。しかし、何れも
伸びフランジ性については改善されていない。特開平4
−280925号公報では、伸びフランジ性を改良した
高強度溶融Znめっき鋼板が紹介されている。しかし、
多量のSiを含有する鋼板であることからフラッシュめ
っき等の前処理が要求され、めっき方法に制約を生じ
る。そのため、良好な製造性をもつ高強度溶融Znめっ
き鋼板とは言い難い。本発明は、このような問題を解消
すべく案出されたものであり、合金設計及び熱延条件の
管理によって、溶融Znめっき前の状態で微細なフェラ
イトマトリックスにパーライト又はセメンタイトが微細
に分散した組織を作り込み、延性,伸びフランジ性等の
加工性及び溶接性に優れ且つ材質安定性も高い高強度溶
融Znめっき鋼板を製造することを目的とする。
肉化するに伴って、耐孔あき性等に代表される防錆,防
食に対する要求も厳しくなってきている。この関連で、
耐食性を改良した高強度溶融Znめっき鋼板を製造する
方法が特開昭63−72860号公報,特開昭63−1
49321号公報等で紹介されている。しかし、何れも
伸びフランジ性については改善されていない。特開平4
−280925号公報では、伸びフランジ性を改良した
高強度溶融Znめっき鋼板が紹介されている。しかし、
多量のSiを含有する鋼板であることからフラッシュめ
っき等の前処理が要求され、めっき方法に制約を生じ
る。そのため、良好な製造性をもつ高強度溶融Znめっ
き鋼板とは言い難い。本発明は、このような問題を解消
すべく案出されたものであり、合金設計及び熱延条件の
管理によって、溶融Znめっき前の状態で微細なフェラ
イトマトリックスにパーライト又はセメンタイトが微細
に分散した組織を作り込み、延性,伸びフランジ性等の
加工性及び溶接性に優れ且つ材質安定性も高い高強度溶
融Znめっき鋼板を製造することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の製造方法は、そ
の目的を達成するため、C:0.02〜0.10重量
%,Si:0.2重量%以下,Mn:1.0〜2.0重
量%,P:0.02〜0.10重量%,Nb:0.01
〜0.03重量%及びS:0.005重量%以下を含む
組成に調整された鋼スラブを素材とする。この鋼スラブ
は、更にTi:0.01〜0.05重量%を含むことも
できる。鋼スラブを1000〜850℃の仕上げ圧延温
度で熱間圧延した後、600℃までの温度領域を40℃
/秒以上の平均冷却速度で冷却し、600℃以下の温度
領域を30℃/秒以下の平均冷却速度で冷却し、550
〜400℃の温度範囲で巻き取り、次いで溶融Znめっ
きを施す。
の目的を達成するため、C:0.02〜0.10重量
%,Si:0.2重量%以下,Mn:1.0〜2.0重
量%,P:0.02〜0.10重量%,Nb:0.01
〜0.03重量%及びS:0.005重量%以下を含む
組成に調整された鋼スラブを素材とする。この鋼スラブ
は、更にTi:0.01〜0.05重量%を含むことも
できる。鋼スラブを1000〜850℃の仕上げ圧延温
度で熱間圧延した後、600℃までの温度領域を40℃
/秒以上の平均冷却速度で冷却し、600℃以下の温度
領域を30℃/秒以下の平均冷却速度で冷却し、550
〜400℃の温度範囲で巻き取り、次いで溶融Znめっ
きを施す。
【0006】
【作用】本発明で使用される熱延鋼板は、溶融Znめっ
きされる前の状態で、微細なフェライトマトリックスに
パーライト又はセメンタイトが微細に分散した組織をも
っている。この組織においては、ベーナイトやマルテン
サイトに比べて比較的軟質なパーライトを微細に分散さ
せることによって伸びフランジ性を向上させている。な
お、本願明細書でいうフェライトは、ポリゴナルフェラ
イト及びアシキュラーフェライトを包含する意味で使用
されている。微細なフェライトマトリックスにパーライ
ト又はセメンタイトが微細に分散した組織は、マトリッ
クスに粒径の小さいフェライトを分散させ、その結果フ
ェライト変態後に生じるパーライト又はセメンタイトを
微細で且つ分散させた組織である。なかでも、パーライ
トは、バンド状に連続的に生成することなく分散状態に
あるので、良好な伸びフランジ性を呈する鋼材が得られ
る。
きされる前の状態で、微細なフェライトマトリックスに
パーライト又はセメンタイトが微細に分散した組織をも
っている。この組織においては、ベーナイトやマルテン
サイトに比べて比較的軟質なパーライトを微細に分散さ
せることによって伸びフランジ性を向上させている。な
お、本願明細書でいうフェライトは、ポリゴナルフェラ
イト及びアシキュラーフェライトを包含する意味で使用
されている。微細なフェライトマトリックスにパーライ
ト又はセメンタイトが微細に分散した組織は、マトリッ
クスに粒径の小さいフェライトを分散させ、その結果フ
ェライト変態後に生じるパーライト又はセメンタイトを
微細で且つ分散させた組織である。なかでも、パーライ
トは、バンド状に連続的に生成することなく分散状態に
あるので、良好な伸びフランジ性を呈する鋼材が得られ
る。
【0007】このような組織は、合金の成分設計、特に
微細フェライトの生成に有効なNbの含有量を規定し、
且つ熱延後の冷却及び巻取りを所定温度条件の下で行う
ことによって形成される。また、Si等の成分含有量を
規定することにより、フラッシュめっき等の前処理を必
要とすることなく、常法に従った溶融Znめっきを施す
ことが可能となる。以下、本発明で規定した各種の条件
について説明する。 C:0.02〜0.10重量% 強度確保のために有効な合金元素であり、引張り強さ4
40N/mm2 以上の目標強度を得る上で0.02重量
%以上が必要である。しかし、0.10重量%を超える
多量のCを含有すると、鋼材の成形性が著しく劣化す
る。
微細フェライトの生成に有効なNbの含有量を規定し、
且つ熱延後の冷却及び巻取りを所定温度条件の下で行う
ことによって形成される。また、Si等の成分含有量を
規定することにより、フラッシュめっき等の前処理を必
要とすることなく、常法に従った溶融Znめっきを施す
ことが可能となる。以下、本発明で規定した各種の条件
について説明する。 C:0.02〜0.10重量% 強度確保のために有効な合金元素であり、引張り強さ4
40N/mm2 以上の目標強度を得る上で0.02重量
%以上が必要である。しかし、0.10重量%を超える
多量のCを含有すると、鋼材の成形性が著しく劣化す
る。
【0008】Si:0.2重量%以下 鋼板の表面層に濃縮し易く、溶融Znに対する濡れ性を
著しく劣化させる。良好な密着性をもった溶融Znめっ
き層を形成する上で、Si含有量を0.2重量%以下に
抑えることが必要である。 Mn:1.0〜2.0重量% 強度確保のために、1.0重量%以上の添加が必要とさ
れる。しかし、2.0重量%を超えて多量のMnを含く
まれると、スラブ内で中心偏析が助長され、バンドスト
ラクチャーが形成される。その結果、板材の伸びフラン
ジ性が劣化する。また、溶接性も低下する。 P:0.02〜0.10重量% 固溶強化元素であり、強度の向上に有効に寄与する。必
要とする強度を確保するため、0.02重量%以上のP
を含有させる。しかし、P含有量が0.10重量%を超
えると、スラブにおける中心偏析が助長され、靭性が劣
化する傾向がみられる。
著しく劣化させる。良好な密着性をもった溶融Znめっ
き層を形成する上で、Si含有量を0.2重量%以下に
抑えることが必要である。 Mn:1.0〜2.0重量% 強度確保のために、1.0重量%以上の添加が必要とさ
れる。しかし、2.0重量%を超えて多量のMnを含く
まれると、スラブ内で中心偏析が助長され、バンドスト
ラクチャーが形成される。その結果、板材の伸びフラン
ジ性が劣化する。また、溶接性も低下する。 P:0.02〜0.10重量% 固溶強化元素であり、強度の向上に有効に寄与する。必
要とする強度を確保するため、0.02重量%以上のP
を含有させる。しかし、P含有量が0.10重量%を超
えると、スラブにおける中心偏析が助長され、靭性が劣
化する傾向がみられる。
【0009】Nb:0.01〜0.03重量% 析出強化元素として働き、強度の向上に有効な合金元素
である。また、圧延中にオーステナイトの再結晶を抑制
し、フェライト粒を微細化すると共に、延性,伸びフラ
ンジ性の向上に有効なポリゴナルフェライトの生成を容
易にする。これらの効果を確保するためには、0.01
重量%以上のNb含有が必要である。しかし、0.03
重量%を超える多量のNbが含有されると、析出強化に
起因して強度が過度に上昇し、延性が著しく低下する。 S:0.005重量%以下 MnSを形成し、伸びフランジ性を著しく劣化させる有
害元素である。そのため、本発明においてはS含有量を
0.005重量%以下,好ましくは0.003重量%以
下に規制した。
である。また、圧延中にオーステナイトの再結晶を抑制
し、フェライト粒を微細化すると共に、延性,伸びフラ
ンジ性の向上に有効なポリゴナルフェライトの生成を容
易にする。これらの効果を確保するためには、0.01
重量%以上のNb含有が必要である。しかし、0.03
重量%を超える多量のNbが含有されると、析出強化に
起因して強度が過度に上昇し、延性が著しく低下する。 S:0.005重量%以下 MnSを形成し、伸びフランジ性を著しく劣化させる有
害元素である。そのため、本発明においてはS含有量を
0.005重量%以下,好ましくは0.003重量%以
下に規制した。
【0010】Ti:0.01〜0.05重量% 本発明の鋼材において、必要に応じて添加される合金元
素である。Tiは、Sと化合してTiSを形成し、伸び
フランジ性を劣化させるMnSの生成を抑制する。この
点で、0.01重量%以上のTi添加は、伸びフランジ
性の向上に極めて有効である。しかしながら、Ti添加
による性質改善は0.05重量%で飽和し、それ以上含
有させても逆に鋼製造時における経済性を損なう。 仕上げ温度:1000〜850℃ 熱間圧延は、仕上げ温度が1000〜850℃の温度範
囲となるように行われる。1000℃を超える仕上げ温
度では、熱延中にオーステナイトの再結晶が進行し、冷
却後に安定してフェライトが得難くなる。その結果、得
られた熱延板の延性が劣化する。逆に、850℃を下回
る仕上げ温度では、本発明のようにNbを含有する鋼の
場合、未再結晶状態で圧延が行われるために変形抵抗が
増大し、通板性が著しく劣化する。また、板厚精度の悪
化や電力原単位の増大も引き起こす。
素である。Tiは、Sと化合してTiSを形成し、伸び
フランジ性を劣化させるMnSの生成を抑制する。この
点で、0.01重量%以上のTi添加は、伸びフランジ
性の向上に極めて有効である。しかしながら、Ti添加
による性質改善は0.05重量%で飽和し、それ以上含
有させても逆に鋼製造時における経済性を損なう。 仕上げ温度:1000〜850℃ 熱間圧延は、仕上げ温度が1000〜850℃の温度範
囲となるように行われる。1000℃を超える仕上げ温
度では、熱延中にオーステナイトの再結晶が進行し、冷
却後に安定してフェライトが得難くなる。その結果、得
られた熱延板の延性が劣化する。逆に、850℃を下回
る仕上げ温度では、本発明のようにNbを含有する鋼の
場合、未再結晶状態で圧延が行われるために変形抵抗が
増大し、通板性が著しく劣化する。また、板厚精度の悪
化や電力原単位の増大も引き起こす。
【0011】冷却速度:600℃以上で40℃/秒以
上,600℃以下で30℃/秒以下 仕上げ圧延後の冷却は、目標とする微細なフェライト+
パーライト又はセメンタイトの組織を熱延板に作り込む
上で重要な製造条件である。仕上げ圧延後から600℃
までの温度領域では、フェライト及びパーライトの変態
を抑制しながら、伸びフランジ性に有害なパーライトを
微細化し分散させる。そのため、この温度領域は、40
℃/秒以上の冷却速度で冷却する。他方、600℃以下
の温度領域においては、ベーナイト変態を抑制しながら
微細なフェライトを生成させる上で、冷却速度を30℃
/秒以下にする。
上,600℃以下で30℃/秒以下 仕上げ圧延後の冷却は、目標とする微細なフェライト+
パーライト又はセメンタイトの組織を熱延板に作り込む
上で重要な製造条件である。仕上げ圧延後から600℃
までの温度領域では、フェライト及びパーライトの変態
を抑制しながら、伸びフランジ性に有害なパーライトを
微細化し分散させる。そのため、この温度領域は、40
℃/秒以上の冷却速度で冷却する。他方、600℃以下
の温度領域においては、ベーナイト変態を抑制しながら
微細なフェライトを生成させる上で、冷却速度を30℃
/秒以下にする。
【0012】巻取り温度:550〜400℃ 本発明者等は、多数の実験から、熱延板の巻取り温度を
550℃以下にするとき、粗大なパーライトの生成が抑
制され、フェライトが十分に微細化されることを見い出
した。しかし、400℃を下回る巻取り温度では、ベー
ナイトが生成し易くなり、延性の劣化を引き起こす。こ
のようにして得られた熱延板を溶融Znめっき槽に導入
するとき、良好な密着性でZnめっき層が鋼板表面に形
成され、耐食性,加工性,溶接性等に優れた高強度溶融
Znめっき鋼板が得られる。
550℃以下にするとき、粗大なパーライトの生成が抑
制され、フェライトが十分に微細化されることを見い出
した。しかし、400℃を下回る巻取り温度では、ベー
ナイトが生成し易くなり、延性の劣化を引き起こす。こ
のようにして得られた熱延板を溶融Znめっき槽に導入
するとき、良好な密着性でZnめっき層が鋼板表面に形
成され、耐食性,加工性,溶接性等に優れた高強度溶融
Znめっき鋼板が得られる。
【0013】
【実施例】表1に示した組成をもつ鋼を熱間圧延した
後、溶融Znめっきを施し、板厚3mmの溶融Znめっ
き鋼板を得た。表1におけるAグループの鋼材は、本発
明で規定した成分に関する要件を満足する材料である。
また、Bグループの鋼材は、成分が本発明範囲を外れる
材料である。熱間圧延は、表2に示した条件を採用し
た。
後、溶融Znめっきを施し、板厚3mmの溶融Znめっ
き鋼板を得た。表1におけるAグループの鋼材は、本発
明で規定した成分に関する要件を満足する材料である。
また、Bグループの鋼材は、成分が本発明範囲を外れる
材料である。熱間圧延は、表2に示した条件を採用し
た。
【0014】
【表1】
【0015】
【表2】
【0016】得られた溶融Znめっき鋼板から試験片を
切り出し、JIS 5号引張り試験機で強度試験を行っ
た。また、試験片に直径10mmの初期孔径d0 で打抜
き孔を穿設し、頂角60度の円錐ポンチで打抜き孔を孔
径d1 に押し広げ、試験片に亀裂や破断が生じない限界
孔広げ率λ%[=(d1 −d0 )/d0 ×100]を測
定する孔広げ試験によって、伸びフランジ性を調査し
た。
切り出し、JIS 5号引張り試験機で強度試験を行っ
た。また、試験片に直径10mmの初期孔径d0 で打抜
き孔を穿設し、頂角60度の円錐ポンチで打抜き孔を孔
径d1 に押し広げ、試験片に亀裂や破断が生じない限界
孔広げ率λ%[=(d1 −d0 )/d0 ×100]を測
定する孔広げ試験によって、伸びフランジ性を調査し
た。
【0017】
【表3】
【0018】試験結果を示す表3から明らかなように、
試験番号9〜12の比較例は、材料強度,延性,孔広げ
性の何れかが劣っていた。また、Si含有量が高い鋼B
1及びB2では、不めっきが発生していた。これに対
し、成分及び製造条件の両者共に本発明で規定する要件
を満足するAグループの試験片では、不めっきの発生が
なく、優れた延性及び伸びフランジ性が示されている。
試験番号9〜12の比較例は、材料強度,延性,孔広げ
性の何れかが劣っていた。また、Si含有量が高い鋼B
1及びB2では、不めっきが発生していた。これに対
し、成分及び製造条件の両者共に本発明で規定する要件
を満足するAグループの試験片では、不めっきの発生が
なく、優れた延性及び伸びフランジ性が示されている。
【0019】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、鋼材成分と熱延条件との組合せを特定することによ
り、強度が高く、加工性,延性,伸びフランジ性,溶接
性等に優れた高強度溶融Znめっき鋼板を製造してい
る。特に、Si含有量を低下させることにより、溶融Z
nに対する濡れ性が改善され、密着性の良好な溶融Zn
めっき層が形成される。その結果、耐食性も良好にな
る。このようにして得られた溶融Znめっき鋼板は、自
動車用足廻り部品を始めとする広範な分野で、440N
/mm2 を超える引張り強さをもつ軽量部品として使用
される。
は、鋼材成分と熱延条件との組合せを特定することによ
り、強度が高く、加工性,延性,伸びフランジ性,溶接
性等に優れた高強度溶融Znめっき鋼板を製造してい
る。特に、Si含有量を低下させることにより、溶融Z
nに対する濡れ性が改善され、密着性の良好な溶融Zn
めっき層が形成される。その結果、耐食性も良好にな
る。このようにして得られた溶融Znめっき鋼板は、自
動車用足廻り部品を始めとする広範な分野で、440N
/mm2 を超える引張り強さをもつ軽量部品として使用
される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C23C 2/06 (72)発明者 肥後 裕一 東京都千代田区丸の内三丁目4番1号 日 新製鋼株式会社内
Claims (2)
- 【請求項1】 C:0.02〜0.10重量%,Si:
0.2重量%以下,Mn:1.0〜2.0重量%,P:
0.02〜0.10重量%,Nb:0.01〜0.03
重量%及びS:0.005重量%以下を含む組成に調整
された鋼スラブを素材とし、1000〜850℃の仕上
げ圧延温度で熱間圧延した後、600℃までの温度領域
を40℃/秒以上の平均冷却速度で冷却し、600℃以
下の温度領域を30℃/秒以下の平均冷却速度で冷却
し、550〜400℃の温度範囲で巻き取り、次いで溶
融Znめっきを施すことを特徴とする加工性に優れた高
強度溶融Znめっき鋼板の製造方法。 - 【請求項2】 更にTi:0.01〜0.05重量%を
含む鋼スラブを使用する請求項1記載の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20323793A JP3455567B2 (ja) | 1993-08-17 | 1993-08-17 | 加工性に優れた高強度溶融Znめっき鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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