JPH0753891B2 - 面内異方性の小さい深絞り用高張力冷延鋼板の製造方法 - Google Patents

面内異方性の小さい深絞り用高張力冷延鋼板の製造方法

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JPH0753891B2
JPH0753891B2 JP1160674A JP16067489A JPH0753891B2 JP H0753891 B2 JPH0753891 B2 JP H0753891B2 JP 1160674 A JP1160674 A JP 1160674A JP 16067489 A JP16067489 A JP 16067489A JP H0753891 B2 JPH0753891 B2 JP H0753891B2
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東至朗 池田
純一 間野
佐藤  進
岡田  進
範男 太田
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川崎製鉄株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、面内異方性の小さい深絞り用高張力冷延鋼
板の製造方法に関し、とくに自動車の外装板や各種内部
部品の用途に供して好適なものである。
(従来の技術) 自動車の燃費向上を目的とした車体軽量化に伴ない、T.
S.≧35kgf/mm2クラスでかつ深絞り性をそなえる高張力
鋼板が、ボディを初めとして各種内部部品に至る広い範
囲にわたって使用されている。
深絞り性をそなえる高張力鋼板は、当初、低炭Alキルド
鋼に主要強化元素としてPを添加した成分系で、箱焼鈍
法により製造されていた。
この点最近に至り、C量60ppm以下の極低炭素鋼の溶製
が可能となったことから、NbやNi等の炭窒化物形成元素
を添加した鋼をベースにPやMnを添加した成分系を用
い、連続焼鈍法で製造する技術が開発された(例えば特
公昭61−6133号公報、特公昭61−11294号公報等)。
上記の技術に従えば、高値、高El値の高張力鋼板の製
造が可能である。
(発明が解決しようとする課題) ところで従来から、高値、高El値の高張力鋼板に特有
の問題とし、深絞り性が良好であると面内異方性が大き
くなる、つまり値、El値につきL方向及びC方向の特
性値が優れている反面でD方向の特性値が極端に悪くな
点が、指摘されてしたのであるが、上記の高、高El高
張力鋼板についてもなお、この点を打破できず、依然と
して面内異方性が大きいところに問題を残していた。
かような面内異方性は、箱焼鈍法のばあいも同様な傾向
を示すが、鋼板の用途が、円筒あるいは円すいタイプの
深絞り部品である場合に大きな問題となる。
この発明は、上記の問題を有利に解決するもので、値
およびEl値に優れるのはいうまでもなく、面内異方性が
極めて小さい高張力鋼板の有利な製造方法を提案するこ
とを目的とする。
(課題を解決するための手段) 異方性改善の一つの方法として、Nb添加による細粒化が
提唱されてるが、発明者らは、このNb添加による特性の
改善を踏襲して鋭意研究を重ねた結果、成分調整に併せ
て、連続焼鈍時における板温を適正範囲に制御すれば、
高値および高El値を維持しつつ、面内異方性を大幅に
改善できることの知見を得た。
この発明は、上記の知見に立脚するものである。
すなわちこの発明は、 C≦60ppm、 Mn:0.35〜1.00wt%(以下単に%で示す)、 P:0.050〜0.120%、 Nb:0.0010〜0.0200%、 B:0.0005〜0.0030%および を含み、残部鉄及び不可避的不純物からなる鋼を、常法
に従って熱間圧延及び冷間圧延を施し、ついで(再結晶
温度+60℃)≦板温≦(再結晶温度+160℃)の温度範
囲において連続焼鈍を施すことからなる面内異方性の小
さい深絞り用高張力冷延鋼板の製造方法である。
以下、この発明を由来するに至った実験結果について説
明する。
C:0.0032%、P:0.065%、S:0.008%、Mn:0.35%、N:0.0
023%、Nb:0.0090%、Ti:0.038%およびB:0.0010%を含
み、残部鉄及び不可避的不純物からなる鋼を、常法に従
い、熱間圧延、酸洗ついで冷間圧延して、板厚0.80mmに
仕上げた。その後板温を、再結晶温度から950℃まで変
化させて連続焼鈍を行ない、得られた鋼板の材質につい
て調査した。
その調査結果を第1図に示す。
ここに値およびEl値の面内異方性は、次式に示す、Δ
rおよびΔElで評価するものとし、かかるΔrやΔElが
小さいほど面内異方性は良好といえる。
同図においてΔEl,Δrに注目すると、板温が再結晶温
度(770℃)〜830℃の領域では、ΔEl:約4〜5%、Δ
r:約0.5〜0.6と異方性は供に大きく、従来鋼とほぼ同じ
傾向を示している。
しかしながら830℃以上では、El値、値の劣化がな
く、しかもΔEl,Δrは大幅に低下していることがわか
る。
この理由はまだ明確に解明されたわけではないが、板温
が830℃以上の領域では、TiN,TiS,TiC等の析出物以外
に、FeTiPが析出し、これによって結晶構造が変化し
て、良好な深絞り性が維持されつつ面内異方性が大幅に
改善されたものと推察される。
なお板温830℃以上では、ΔEl,Δrは共にほとんど変化
しないけれども、930℃を超えると結晶粒の粗大化現象
が認められ、T.S.値、El値および値が急激に低下し
た。この理由は、焼鈍中に一部オーステナイト相が析出
したためと推察される。
以上、板温を830〜930℃の範囲、すなわち再結晶温度よ
り60〜160℃高い温度範囲にコントロールすれば良好な
深絞り性を維持しつつ、面内異方性を大幅に改善できる
ことが判明した。
(作 用) この発明において、素材の成分組成範囲を前記のとおり
に限定したのは次の理由による。
C:C量は、低いほど深絞り性の向上に有利であり、とく
に連続焼鈍の場合、60ppmを超すと値が大幅に劣化す
るため、60ppmを上限とした。
Mn:Pと同様、強化元素として添加するが、0.35%未満で
は強度上昇がほとんど期待できず、一方1.0%を超える
と化成処理性の劣化やテンパーカラーを誘発する危険性
があるため、0.30〜1.00%の範囲に限定した。
P:P量が0.050%未満では、T.S.≧35kgf/mm2を確保する
のが難しく、一方0.120%を超えると中心偏析が顕著に
なり、プレス成形後の外観を損なわれるので、0.050〜
0.120%の範囲に限定した。
Nb:Nbは、鋼中の固溶C、固溶Nを固定して、深絞り性
を向上させる作用があるが、この発明では、かかる作用
のみを目的として添加するのではなく、結晶粒の微細化
による異方性改善をも目的として添加するものである。
ここに含有量が0.0010%未満ではその効果がほとんど期
待できず、一方0.0200%を超えると深絞り性が劣化する
ため、0.0010〜0.0200%の範囲で含有させるものとし
た。
B:Pの粒界偏析による加工後の脆性を改善するために添
加するが、含有量が0.0005%未満ではその効果が十分で
なく、一方0.0030%を超えるとNbと同様深絞り性の劣化
を招くため、0.0005〜0.0030%の範囲に限定した。
Ti:Tiは、Nbと同様、鋼中の固溶C、固溶Nを固定して
深絞り性を向上させる作用がある。また、C,N以外にS
とも析出物を形成する。Ti量が、次式で導かれる実績C
量、N量およびS量から計算した値 に満たないと、固溶C、固溶Nが残存して、深絞り性が
劣化し、さらにはFeTiPの析出もないため、満足いく面
内異方性の改善も望めない。一方、0.080%を超えると
表面性状や化成処理性が劣化すると共に、過剰なFeTiP
が析出して硬質化し、成型性を損なう。
よって下限を とし、上限を0.080%とした。
さて上記の好適成分組成に調整した溶鋼を、造塊−分塊
法または連続鋳造法によってスラブとする。ついで常法
に従って熱間圧延および冷間圧延を施す。好適処理条件
は、熱間圧延の場合、仕上げ温度は850〜950℃程度、冷
間圧延の圧下率は65〜90%程度である。
ついで連続焼鈍を施すわけであるが、この発明では、こ
の連続焼鈍を、成分組成に依存する再結晶温度に応じた
所定の温度範囲で行うことが肝要である。
すなわち、前掲第1図に示したところからも明らかなよ
うに、焼鈍温度が板温よりも60〜160℃高い温度範囲で
あれば、高値および高El値を維持しつつ、面内異方性
を大幅に改善できることから、この発明では、焼鈍温度
範囲を (再結晶温度+60℃)≦板温≦(再結晶温度+160℃) の範囲に限定した。
以上述べたとおり、この発明では、FeTiPを析出させる
に必要なTi量と焼鈍条件との組み合せによって、面内異
方性の小さい鋼板の製造を可能あらしめたものである。
(実施例) 表1に示す種々の成分組成になる鋼スラブを、仕上げ温
度:870〜900℃、巻取温度:530〜570℃の条件下で熱間圧
延し、ついで酸洗後、圧下率:75%の冷間圧延を施して
板厚:0.80mmの冷延板に仕上げた。その後、表1に示す
板温で連続焼鈍を施した。
かくして得られた鋼板の材質及び耐脆化特性について調
査した結果を表2に示す。なお耐脆化特性は、絞り比1.
8でカップ成形し、成形品の温度を変化させながら質量5
kgの重錘を80cmの高さからカップの側壁に落下させ、割
れの発生した温度によって評価した。割れの発生した温
度が−50℃以下の場合には実用上問題ないレベルと判断
し合格とした。
(発明の効果) かくしてこの発明によれば、高い値およびEl値をそな
えるのみならず、面内異方性が極めて小さい高張力鋼板
を得ることができ、ひいてはたとえば自動車用鋼板とし
て使用した場合には、今まで以上の軽量化が達成でき
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は、連続焼鈍時における板温とT.S.、El、ΔEl、
値およびΔrとの関係を示したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡田 進 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社技術研究本部内 (72)発明者 太田 範男 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社千葉製鉄所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C≦60ppm、 Mn:0.35〜1.00wt%、 P:0.050〜0.120wt%、 Nb:0.0010〜0.0200wt%、 B:0.0005〜0.0030wt%および を含み、残部鉄及び不可避的不純物からなる鋼を、常法
    に従って熱間圧延及び冷間圧延を施し、ついで(再結晶
    温度+60℃)≦板温≦(再結晶温度+160℃)の温度範
    囲において連続焼鈍を施すことを特徴とする面内異方性
    の小さい深絞り用高張力冷延鋼板の製造方法。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6240318A (ja) * 1985-08-13 1987-02-21 Nippon Steel Corp 深絞り性の優れた冷延鋼板の製造方法
JPS6376848A (ja) * 1986-09-19 1988-04-07 Kawasaki Steel Corp 超深絞り用冷延鋼板及びその製造方法

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