JPH0753660A - 医療用ポリウレタンウレア及びその製法 - Google Patents

医療用ポリウレタンウレア及びその製法

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JPH0753660A
JPH0753660A JP5216826A JP21682693A JPH0753660A JP H0753660 A JPH0753660 A JP H0753660A JP 5216826 A JP5216826 A JP 5216826A JP 21682693 A JP21682693 A JP 21682693A JP H0753660 A JPH0753660 A JP H0753660A
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JP
Japan
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group
groups
polymer
polysiloxane
polyurethane urea
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JP5216826A
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English (en)
Inventor
Haruyuki Yoneda
晴幸 米田
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 生体適合性、抗血栓性に優れ、力学特性を満
足し、体内使用時に毒性が少ない医療用ポリウレタンウ
レア、及びその製法を提供する。 【構成】 特定構造のポリウレタンウレア重合体に、新
規なグラフト法によりポリシロキサンをグラフトして医
療用ポリウレタンウレアを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優れた生体適合性、特
に優れた抗血栓性を持つ医療用ポリウレタンウレアに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、医療技術の多様化に伴い、優れた
医療用材料の開発が必要とされており、高分子材料を医
用材料として利用する場合には、材料が生体組織と直接
あるいは間接的に接触するため、生体適合性が求められ
ている。医療用材料に要求される生体適合性には、組織
適合性と血液適合性とが含まれ、毒性、発ガン性、突然
変異誘発性、溶血性がないこと、抗血栓性を有している
こと等が挙げられ、特に、人工臓器及び外科的手術など
の血液と直接接触して使用される高分子材料では、生体
適合性のうち抗血栓性が最も重要となる。従来、抗血栓
性を示す材料として種々の高分子材料が提案されてい
る。そのうち、セグメント化ポリウレタン(例えば、米
国Ethocon社のBiomer)は、優れた抗血栓
性と力学的性質とを兼ね備えた材料として注目され、開
心術後あるいは心不全患者に、一時的かつ補助的に血液
を代行循環させる大動脈バルーンおよび補助人工心臓血
液ポンプ用ダイヤフラム等へ一部臨床応用されている。
これらの中で、ポリシロキサンを含有するポリウレタン
またはポリウレタンウレアとしては、特開昭58−18
8458号公報、特開昭60−236658号公報、特
開昭60−238315号公報、特公平1−52025
号公報等の記載が挙げられる。他に、ポリシロキサンを
含むマクロジオールを共重合させる方法(特開昭63−
83121号公報)、水酸基含有ポリウレタンにジイソ
シアネートを反応させ、更にポリシロキサンを反応させ
る方法(特開昭63−264070号公報)等が提案さ
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】医療用材料の血液適合
性を考える上で、凝固系や血小板系が最も重要ではある
が、その他の因子、即ち、生体内における補体系の活性
化についても注意を払う必要がある。補体の活性化は、
白血球の一過性減少を引き起こすと共に、補体を活性化
する材料は、白血球の優先粘着を経由して血栓形成にか
なりの程度関与していると考えられている〔例えば、F
ukumura H.,et.al.,Biomate
rials,,74(1987)〕。従って、血液適
合性材料として、補体系を活性化しない素材が望まれて
いる。補体系活性化能の小さい高分子素材としては、シ
リコーンエラストマーが知られている。しかしながら、
シリコーンエラストマー(ポリジメチルシロキサン)
は、力学的強度が低く、これを補うための充填剤として
シリカが用いられるが、シリカは血液適合性、細胞毒性
に悪影響を及ぼし〔Chawla,A.S.,J.Bi
omed.Mater.Res.,16,501(19
82),Asha1,B.,Ward Jr.R.
S.,Turcotte L.R.,J.Biome
d.Mater.Res.,15,663(198
1)〕好ましくない。一方、前述のセグメント化ポリウ
レタン(Biomer)は、現在、人工透析に主として
用いられているセルロースに比べて補体活性化能は小さ
いものの未だ充分でなく、更に補体活性化能の更に小さ
いものが望まれている。
【0004】従来のポリシロキサンをソフトセグメント
に使用したポリウレタンでは、ポリシロキサンの含有率
を上げると、力学特性が劣ったり、溶液重合の際に析出
が起こり、不均一な重合体しか出来ず、更に、これを成
形することは困難であった。また、ポリシロキサンジオ
ールのマクロマーを重合するポリウレタン(特開昭63
−83121号公報)では、ソフトセグメントの鎖状部
分の分子量が小さいこと、及びウレア結合を持たないこ
とからやはり力学特性が充分でなかった。更に、エポキ
シ基含有ポリウレタン、又はポリウレタンウレアのエポ
キシ基を水酸基に変換した後、ジイソシアネート次いで
ポリジメチルシロキサンを反応させる方法(特開昭63
−264070号公報)では、エポキシ基含有ジエン系
化合物にソフトセグメントが限定されてしまうため、所
望の力学特性のものが得られなかったり、充分な量のポ
リシロキサンをグラフトすることが出来ず、抗血栓性が
必ずしも満足出来るものではなかった。以上述べたよう
に、これまでにない優れた抗血栓性を示し、1次構造が
限定されず、優れた力学特性を有する従来のポリウレタ
ンウレアに簡易な方法で必要なポリシロキサンがグラフ
トされたような医療用ポリウレタンウレアは得られてい
なかった。
【0005】
【課題を解決するための手段】抗血栓性、低毒性、力学
特性の全てに優れた医療材料を提供すべく鋭意検討した
結果、従来知られているポリウレタンウレアに触媒を用
いてポリシロキサンを所定量グラフトさせたものが上記
の特性を満足することを見出し、本発明に到達した。
【0006】即ち、本発明は、実質的に
【化3】
【化4】 (式中、nは0から20の整数、mは0から10の整
数、を表わす。)とが交互に連結した構造であって、式
中 R1 は、〔1〕(1)炭素数3〜8の1種以上のアルキ
レン基がエーテル結合で連結した両末端がアルキレン基
のポリエーテル (2)炭素数2〜8の1種以上のアルキレン基がエステ
ル及び/又はカーボネート結合で連結した両末端がアル
キレン基のポリエステル及び/又はポリカーボネート から選ばれた1種以上の両末端アルキレン基100〜9
0モル%と 〔2〕両末端アルキレン基のポリシロキサン0〜10モ
ル%との混合物をR2 は、分子量500以下の2価の炭
化水素基をR3 は、炭素数1〜15の2価の炭化水素基
を、表すのポリウレタンウレアの表面にポリシロキサン
をグラフトした、抗血栓性に優れた医療用ポリウレタン
ウレア、及びその製法、に関する。
【0007】本発明のポリシロキサンをグラフトするた
めの重合体は、通常ソフトセグメントと呼ばれる構造式
(1)と、通常ハードセグメントと呼ばれる構造式
(2)とが、交互に連結したブロック共重合体である。
分子量は、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分
子量(Mw)で20,000〜500,000の範囲で
ある。この範囲未満では成形体としての力学特性が発現
出来ず、又この範囲を超えると重合体溶液の粘度が上昇
し取り扱いが困難となり不適当である。構造式(1)中
のnは、0から20の整数であり、この数は用いる両末
端アルキル基R1 の分子量により異なるが好ましい範囲
は1〜8の範囲である。nが小さいものは、重合の際に
溶媒への溶解性が悪く、nが大きいと得られた重合体の
力学特性が悪い。
【0008】R1 は〔1〕両末端アルキレン基をもつポ
リエーテル、ポリエステル、ポリカーボネートから選ば
れた1種以上のもの100〜90モル%と〔2〕両末端
アルキレン基をもつポリシロキサン0〜10モル%とで
あり、通常は〔1〕のみでグラフトすれば充分な抗血栓
性を有しており、〔2〕を混合した場合にはグラフト量
が少なくても充分な抗血栓性を有する。ポリシロキサン
の量が10モル%を超えると力学特性が悪く、又重合中
に析出が起こり好ましくない。R1 の分子量としては、
800〜5000の範囲が好ましい。この範囲外では得
られる重合体の力学特性が悪く好ましくない。
【0009】両末端がアルキレン基のポリエーテルとは
【化5】 −O−R4 − の繰り返し単位を持ち、末端が−R4 −のものである。
4 は炭素数3〜8の2価の炭化水素基であり、3〜6
が好ましい。炭素数2以下では抗血栓性が悪く、炭素数
9以上では力学特性が悪く好ましくない。R4 の具体例
としては、プロピレン基(ノルマル、イソ)、テトラメ
チレン基、ヘキサメチレン基、ネオペンチル基、等が挙
げられ、それらは単独でも混合していても良く、プロピ
レン基、テトラメチレン基が特に好ましい。
【0010】両末端がアルキレン基のポリエステルとは
【化6】 又は
【化7】 の繰り返し単位を持ち、末端が−R5 −又は−R7 −の
ものである。R5 、R6 、R7 は、共に炭素数2〜8の
2価の炭化水素基であり、具体例としては、エチレン
基、プロピレン基(ノルマル、イソ)、テトラメチレン
基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチ
レン基、ネオペンチル基、等が挙げられ、それらは単独
でも、混合されていても良く、ポリエチレンアジペー
ト、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリエチレンブチレン
アジペート等が特に好ましい具体例として挙げられる。
【0011】両末端がアルキレン基のポリカーボネート
とは
【化8】 の繰り返し単位を持ち、末端が−R8 −のものである。
8 は前述のR5 、R6、R7 と同様であり、単独であ
っても、それぞれ混合されていても良い。
【0012】両末端アルキレン基のポリシロキサンとは
【化9】 の繰り返し単位を持ち、末端が
【化10】 のものである。R9 、R10は炭素数1〜6の炭化水素基
であり、それらは同一であっても互いに異なっていても
良く、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、
ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。R
11は炭素数2〜8の2価の炭素水素であり、具体的には
プロピレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基等
が挙げられる。R9 、R10が共にメチル基の場合、抗血
栓性、力学特性が特に良好であり好ましい。
【0013】R2 は分子量500以下の2価の炭化水素
基であり、ジイソシアネート化合物からイソシアネート
を除いた残基である。炭化水素の分子量が500以下の
ジイソシアネートを用いた場合に、イソシアネート基と
鎖伸長剤との反応で形成されるハードセグメントがミク
ロドメインを形成し柔軟な力学特性を示す。本発明のポ
リウレタンウレアは、優れた生体適合性を有し医療用高
分子材料として用いられるが、特にインプラント生体材
料として用いる場合、ポリマーの生体内分解及び毒性等
を考慮すると、ポリイソシアネートとしては、脂肪族及
び/または脂環族ジイソシアネートが好ましい。
【0014】これらの炭素水素基として具体的には、
【化11】 が挙げられ、これらは1種又は2種以上混合されていて
も良い。R3 は炭素数1〜15の2価の炭化水素基を表
す。これはジアミノ化合物からアミノ基を除いた残基で
ある。
【0015】R3 としては、具体的には
【化12】 が挙げられ、これらの中で、脂肪族、脂環族が好まし
く、特に、アミノ酸、生体アミン類からアミノ基を除い
たものは、体内で分解した際に毒性が少なく好ましい。
【0016】以上述べたポリウレタンウレアに触媒の存
在下、まずジイソシアネートを反応させ、未反応物を除
去した後、更に、片末端及び/又は両末端ヒドロキシ基
であるポリシロキサンをグラフトさせたものが本発明の
医療用ポリウレタンウレアである。グラフト率はFT−
IR(全反射法)等により測定することが可能である
が、全てのポリウレタンウレアに対して正確な測定値を
示すことは困難である。
【0017】従って、X線光電子スペクトル(XPS)
によりケイ素、炭素、酸素、窒素の各々の原子のスペク
トルを測定し、相対感度で補正して
【式1】 ケイ素/(ケイ素+炭素+酸素+窒素) が4%以上、25%以下グラフトされた場合、所望の抗
血栓性が得られることが明らかになった。更に、純水と
の接触角がグラフト率及び抗血栓性と明確な対応を示
し、この接触角(グラフトしたフィルムをアセトンで充
分に洗浄した後70℃のオーブンで8時間乾燥し、これ
に純水を用いて接触角を10回測定し、その平均値で表
したもの)が95°以上のものが抗血栓性に優れ好まし
い。
【0018】次にグラフト重合体の製造法について説明
する。まず、グラフトするための重合体の製造法を以下
に説明すと、重合に使用する単量体としては、R1 の両
末端にヒドロキシル基が付加したジヒドロキシル末端化
合物(A)、R2 の両末端にイソシアネート基が付加し
たジイソシアネート化合物(B)、及びR3 の両末端に
アミノ基が付加したジアミノ化合物(C)を使用する。
ジヒドロキシル末端化合物(A)とジイソシアネート化
合物(B)との反応で得られるウレタンプレポリマーを
有機溶媒に溶解した溶液に、鎖伸長剤であるジアミノ化
合物(C)を添加することによりグラフトするための重
合体を得る。ここで、ジヒドロキシル末端化合物(A)
とジイソシアネート化合物(B)との反応で得るウレタ
ンプレポリマーを有機溶媒に溶解した溶液は、公知の方
法で調製することができる。即ち、例えば、ジヒドロキ
シル末端化合物(A)とジイソシアネート化合物(B)
とを混合し、窒素雰囲気下で加熱反応させた後、有機溶
媒に溶解させるか、あるいは、有機溶媒中でジヒドロキ
シル末端化合物(A)とジイソシアネート化合物(B)
を反応させて調製することができる。
【0019】その際、ウレタン化反応の触媒を用いても
よく、触媒としてはウレタン合成に用いられる全ての触
媒を利用できるが、最終的に得るポリウレタンウレア重
合体が医療用に適すものであることを考えると、トリエ
チレンジアミンの如きアミン類やジアザビシクロウンデ
センのように除去可能な触媒が好ましい。ジヒドロキシ
ル末端化合物(A)とジイソシアネート化合物(B)と
は、イソシアネート基とヒドロキシル基とのモル比が
1.2〜3.0の範囲で反応させウレタンブレポリマー
を合成する。イソシアネート基とヒドロキシル基とのモ
ル比が1.2未満であること、最終的に得られるグラフ
ト重合体が好ましい力学特性を示さず、モル比が3.0
を越えると溶媒への溶解性が劣り好ましくない。ウレタ
ンプレポリマー溶液に用いる溶媒としては、ウレタンプ
レポリマー及び最終的に得られるポリウレタンウレアを
溶解するものが用いられる。好ましい溶媒の例として、
ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メ
チル−2−ピロリドン等及びこれらの混合溶媒が挙げら
れる。ジヒドロキシル末端化合物(A)とジイソシアネ
ート化合物(B)とから得たウレタンプレポリマー溶液
に、鎖伸長剤の上記溶媒溶液を添加し高分子量化する
が、この時、系全体が均一な一相溶液状態であることが
好ましい。
【0020】本発明に用いる鎖伸長剤の1つであるアミ
ノ酸の場合は、ウレタンプレポリマーと共通の溶媒を持
たず、ウレタンプレポリマーの非溶媒である水または
酸、アルカリ水溶液に易溶である。かかる鎖伸長剤水溶
液をウレタンプレポリマー溶液に加えて鎖伸長反応を生
じしめる場合は、ウレタンプレポリマーが逐次高分子量
化して生じるポリウレタンウレア、ウレタンプレポリマ
ー溶液に用いた溶媒及び水の、いわゆるポリマー/溶媒
/非溶媒の3成分系が、鎖伸長反応の反応条件下で均一
な一相溶液状態であることが好ましい。該3成分系が均
一な一相溶液とならない場合、鎖伸長反応が不均一とな
り、得られるポリウレタンウレアの分子量が低すぎた
り、ゲル化したりして再現性よく重合できない。該3成
分系を均一な一相溶液状態とするには、これら3成分の
組成を適宜選定することにより達成されるが、一般に、
反応系中のポリマー濃度を低く且つポリマーの非溶媒で
ある水の量を少なくすることにより実現できる。また、
塩基性アミノ酸を鎖伸長剤とする場合は、鎖伸長剤水溶
液のpHは、該アミノ酸水溶液のpKaの最大値以上で
あることが好ましい。アミノ酸水溶液のpHを該アミノ
酸水溶液のpKaの最大値以上にすることにより、アミ
ノ酸中の2つのアミノ基がイオン化すること無く存在
し、イソシアネート基と素早く反応してウレア結合を生
成するとともに、アミノ酸中のカルボン酸とイソシアネ
ートとの反応を実質的に完全に抑制できる。アミノ酸水
溶液のpKaは、例えば滴定曲線により求められる。
【0021】このようにして製造されたグラフトするた
めの重合体(ポリウレタンウレア)は、反応溶液のまま
で、あるいは重合体を反応溶液より分離し、精製・乾燥
し固体の状態とした後、再び溶媒に溶解し溶液とし、成
形加工することが出来る。本発明の場合、グラフトした
後に溶液として成形加工することも可能であるが表面の
ケイ素原子の量(グラフト率)が低下し有利ではなく、
従って、グラフトするための重合体の段階で成形加工
し、その後にグラフトするのが好ましい。グラフトは、
まず成形加工した重合体にジイソシアネート化合物を反
応させ、その場合、溶媒を用いずにジイソシアネート化
合物の融点以上で反応させることも可能であるが、溶媒
中で反応させた方が取扱が簡単である。溶媒は、グラフ
トするための重合体を溶解するものは不適当であり、ま
た、イソシアネート基と反応するような活性水素をもつ
ものも不適当である。具体的には、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、オクタン、ジエチ
ルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ア
セトン等が挙げられる。
【0022】グラフトするための重合体を溶解する溶媒
を一部加えて表面を膨張させた方がグラフトが効率良く
行われ好ましく、具体的には、 トルエン/N,Nジメチルアセトアミド=90〜99/
10〜1重量比 トルエン/ジメチルスロホキシド=80〜90/20〜
10重量比 ヘキサン/N,Nジメチルアセトアミド=80〜95/
20〜5重量比 ヘキサン/N,Nジメチルホルムアミド=90〜95/
10〜5重量比 等が挙げられる。
【0023】この反応には塩基性化合物が触媒として有
効であり、具体的には、トリメチルアミン、トリエチル
アミン、N,Nジメチルアニリン、N,N’−ジメチル
フェニル(フェニルカルバモイル)アセトアミジン、
N,N’−ジメチルトリル(トリルカルバモイル)アセ
トアミジン等が挙げられ、N,Nジメチルアニリン、
N,N’−ジメチルフェニル(フェニルカルバモイル)
アセトアミジン、N,N’−ジメチルトリル(トリルカ
ルバモイル)アセトアミジンがグラフト効率が高く好ま
しい。グラフトするための重合体に対する溶媒量として
は、重合体のグラフト面が充分に浸れば問題はなく、ジ
イソシアネート化合物の溶媒中の濃度としては、0.1
〜50重量%の範囲であり、好ましくは、2〜30重量
%であり、反応温度は、0℃〜200℃の範囲であり、
好ましくは、10℃〜50℃であり、反応時間は、10
分〜100時間である。
【0024】上記反応の後、溶媒を除き、ヒドロキシ基
含有ポリシロキサンを反応させる。ポリシロキサンとし
ては、
【化13】 が挙げられる。nが5未満では抗血栓性が悪く、nが1
00を超えると反応が遅くなり不利である。R9
10,R11は前述と同様であり、R9 、R10は、共にメ
チル基の場合が抗血栓性が良く好ましい。R12は、1価
の脂肪族炭化水素基であり、メチル基、エチル基、プロ
ピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げら
れる。
【0025】ポリシロキサンの反応は、溶媒を用いずに
行うことも可能であるが、溶媒を用いた方が反応が進行
しやすく好ましく、溶媒、ポリシロキサン濃度、反応温
度、反応時間等は共にジイソシアネート化合物の反応と
同様である。このようにして得られたポリシロキサンを
グラフトしたポリウレタンウレアを医療用に使用するた
めに要求される力学的性質としては、一般に、抗張力3
00kg/cm2 以上、伸び率が300〜500%以上
と言われているが、本発明のポリウレタンウレアはいず
れも300〜600kg/cm2 の抗張力と300%以
上の伸び率とを有しており、優れた力学的性質を有して
いる。従って、本発明のポリウレタンウレアは、耐久性
の要求される医療用器具として使用できる。本発明のポ
リウレタンウレア重合体は、抗血栓性に優れ、補体系の
活性化能が小さく、力学的性質に優れており、実際の用
途としては、各種の血液と直接接触する医療器、大動脈
内バルーンポンプや人工心臓などの人工臓器、その他生
体インプラント材料の作製用が挙げられ、具体的には、
採血用具、血液バッグ、輸血用具、カテーテル、A−V
シャント、血液バイパスチューブ、血液ポンプ、人工心
臓、補助人工心臓、人工血管、人工皮膚等がある。
【0026】
【実施例】以下、実施例により本発明をより具体的に説
明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるもので
はない。尚、以下の実施例中に記載されている測定項目
は、次の方法で測定したものである。 (1)補体消費率 乾式製膜により得た厚さ100μmのフィルムの両面に
グラフトを行ったサンプルを細片にしてポリエチレン管
に入れ、これにゼラチンベロナール緩衝液で4倍に希釈
したモルモット補体(コーディス・ラボ)200μlを
加え、37℃で1時間攪拌しながらインキュベートし
た。補体価はマイヤー変法〔エム・エム・マイヤー
(M.M.Mayer):イムノケミストリー(Imm
unochemistry)第2版、第133頁、シー
・シー・トーマス(C.C.Thomas)出版者、1
961年、参照〕によって求め、コントロールに対する
補体消費率(%CH50)を算出した。 (2)抗血栓性 Lee−white法の全血凝固テストを行ない、コン
トロールであるガラスとの相対凝固時間を求めた。1c
mφ×10cmのガラス製試験管をコントロールとし、
N,N−ジメチルアセトアミドの3%ポリマードープを
用いて乾式法でガラス製試験管内にコートした。これら
の試験管に人の血液を1cc加え37℃における凝固時
間を求めた。
【0027】(実施例1)ペンタメチレンジオール/ヘ
キサメチレンジオール=1/1モル比とジメチルカーボ
ネートから得られたポリカーボネートジオール(PCD
L)〔数平均分子量(Mn):1950〕38mmol
及び両末端がプロパノール基であるポリジメチルシロキ
サンプロピレンジオール(SiDL)(数平均分子量:
1940)2mmolを窒素気流下、80℃で4時間脱
水し、該両ジオールと脱水したN,N′−ジメチルアセ
トアミド(DMAc)60gとを共に攪拌器つき100
0mlセパラブルフラスコに移した。乾燥空気中でヘキ
サメチレンジイソシアネート(HMDI)60mmol
を加え、更にジブチルスズラウレートを仕込み量に対し
て10ppm重量で添加し、窒素下、60℃で3時間攪
拌後、DMAc530gを追加し、プレポリマー溶液と
した。
【0028】一方、DL−リジン(Lysin)のNa
塩20mmolを30mlの水に溶解した水溶液を調整
し、更にDMAc200gを追加した。このDL−リジ
ン(Lysin)水溶液を15℃で高速攪拌下プレポリ
マー溶液に滴下し、更に15℃で2時間攪拌を続けた。
この重合溶液を、多量の水中に投入しポリマーを凝固さ
せ、得られた固形分を乾燥して、PCDLとSiDLと
の混合物がソフトセグメントを形成するポリウレタンウ
レアを得た。該ポリウレタンウレアのDMAc3%溶液
を作成し、1cmφ×10cmのガラス製試験管に乾式
でコートし、トルエン/DMAc=95/5重量比の溶
媒に、ビス(4−イソシアネートフェニル)メチレン
(MDI)を5重量%溶液となるよう溶解させ、更に、
N,N’−ジメチルフェニル(フェニルカルバモイル)
アセトアミジンを溶液に対して40ppm(重量)加え
た溶液を、ポリウレタンウレアをコートした試験管に該
溶液を満たし、窒素雰囲気下、室温で一昼夜放置し、次
に溶液を捨て、試験管をトルエンで洗浄を3回行った。
【0029】次に、トルエン/DMAc=95/5重量
比の溶媒に、両末端がプロパノール基であるポリジメチ
ルシロキサンジオール〔(SiDL)Mn:1940〕
の30重量%溶液をつくり試験管に満たし、窒素雰囲気
下、室温で一昼夜放置し、溶液を捨て、アセトンで洗浄
し、グラフトされたポリウレタンウレアを得た。試験管
にコートせずに100μm厚さ乾式フィルムを作成し、
同一条件でグラフトを行った。該フィルムをXPS測定
を行い、元素比率を測定したところケイ素の原子比率は
8%であった。該グラフトフィルムの生体適合性(%C
H50)と、試験管にコートしたグラフト品の抗血栓性
(Lee−White全血相対凝固時間)を測定し結果
を表1に示した。
【0030】(実施例2)カーボネートジオール(PC
DL)38mmolを40mmolにし、両末端がプロ
パノール基であるポリジメチルシロキサンプロピレンジ
オール(SiDL)を用いなかったこと、グラフトの際
に、ポリヂメチルシロキサンで片末端がプロパノール基
である片末端ヒドロキシポリヂメチルシロキサン(M
n:1750)を用いて以外は実施例1と同様に重合、
グラフトを行った。XPSによるケイ素の元素比率は7
%であり、測定結果を表1にまとめて示した。
【0031】(実施例3)カーボネートジオール(PC
DL)40mmolをポリテトラメチレングリコール
〔(PTMG)Mn:1890〕40mmolに変え、
HMDIに変えてビス(4−イソシアネートフェニル)
メチレン(MDI)用い、ジブチルスズラウレートを用
いない以外は実施例2と同様に重合、グラフトを行っ
た。XPSによるケイ素の元素比率は7%であり、測定
結果は表1にまとめて示した。 (実施例4)グラフト時に使用したMDIをHMIDに
変え、片末端ヒドロキシポリジメチルシロキサンに変
え、両末端プロパノールのポリジメチルシロキサン
〔(SiDL)Mn:1940〕を用いた以外は実施例
2と同様にして重合、グラフトを行った。XPSによる
ケイ素の元素比率は6%であり、測定結果を表1にまと
めて示した。
【0032】(実施例5)PCDL 40mmolにか
えてポリエチレンアジペートジオール〔(PEA)M
n:2010〕50mmolを用い、鎖伸長剤にエチレ
ンジアミン(DMAc溶液)を用いた以外は実施例2と
同様にして重合、グラフトを行った。XPSによるケイ
素の元素比率は13%であり、測定結果は表1にまとめ
て示した。 (実施例6)鎖伸長剤として、エチレンジアミン(DM
Ac溶液)を用い、片末端ヒドロキシポリジメチルシロ
キサンに変えて、両末端プロパノールのポリジメチルシ
ロキサンを用いた以外は実施例3と同様にして重合、グ
ラフトを行った。XPSによるケイ素の元素比率は13
%であり、測定結果は表1にまとめて示した。
【0033】(比較例1)MDIをグラフトの第1段階
で反応させる場合に、N,N’−ジメチルフェニル(フ
ェニルカルバモイル)アセトアミジンを用いなかった以
外は実施例6と同様にして重合、グラフトを行った。X
PSによるケイ素の元素比率は2%であり、測定結果は
表1にまとめて示した。 (比較例2)実施例2のグラフトするまえの重合体を用
いて、生体適合性、抗血栓性を測定した。結果は表1に
まとめて示した。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】本発明のポリウレタンウレアは、生体適
合性、抗血栓性に優れ、力学特性を満足し、体内使用時
に毒性が少ない医療用材料である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的に 【化1】 と 【化2】 (式中、nは0から20の整数、mは0から10の整
    数、を表わす。)とが交互に連結した構造であって、式
    中 R1 は、〔1〕(1)炭素数3〜8の1種以上のアルキ
    レン基がエーテル結合で連結した両末端がアルキレン基
    のポリエーテル (2)炭素数2〜8の1種以上のアルキレン基がエステ
    ル及び/又はカーボネート結合で連結した両末端がアル
    キレン基のポリエステル及び/又はポリカーボネート から選ばれた1種以上の両末端アルキレン基100〜9
    0モル%と 〔2〕両末端アルキレン基のポリシロキサン0〜10モ
    ル%との混合物を R2 は、分子量500以下の2価の炭化水素基をR
    3 は、炭素数1〜15の2価の炭化水素基を、表わすの
    ポリウレタンウレアの表面にポリシロキサンをグラフト
    した抗血栓性に優れた医療用ポリウレタンウレア。
  2. 【請求項2】 X線光電子スペクトル(XPS)で測定
    した表面のケイ素原子数がケイ素、炭素、酸素、窒素原
    子数の合計に対して4%以上である請求項1記載の医療
    用ポリウレタンウレア。
  3. 【請求項3】 (A)〔1〕(1)炭素数3〜8の1種
    以上のアルキレン基がエーテル結合で連結した両末端が
    ヒドロキシ基のポリエーテル (2)炭素数2〜8の1種以上のアルキレン基がエステ
    ル及び/又はカーボネート結合で連結した両末端がヒド
    ロキシ基のポリエステル及び/又はポリカーボネート から選ばれた1種以上の両末端がヒドロキシ基のポリマ
    ー100〜90モル%と 〔2〕両末端がピドロキシ基のポリシロキサン0〜10
    モル%との混合物に (B)分子量が500以下のジイソシアネートを、イソ
    シアネート基とヒドロキシ基とのモル比1.2〜3.0
    の範囲で、反応して得られたウレタンプレポリマーに、 (C)H2 N−R3 −NH2 である鎖伸長剤を反応させ
    ポリウレタンウレアを得、該重合体を所望の形に成形し
    た後、該重合体を溶解しない溶媒中で、触媒の存在下
    (B)のジイソシアネートを反応させ、洗浄した後、更
    に、(D)ヒドロキシ基含有ポリシロキサンを反応さ
    せ、ポリシロキサンをグラフトした医療用ポリウレタン
    ウレアの製法。
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