JPH0753632A - 耐熱性アクリル系樹脂の製造法 - Google Patents

耐熱性アクリル系樹脂の製造法

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JPH0753632A
JPH0753632A JP21688693A JP21688693A JPH0753632A JP H0753632 A JPH0753632 A JP H0753632A JP 21688693 A JP21688693 A JP 21688693A JP 21688693 A JP21688693 A JP 21688693A JP H0753632 A JPH0753632 A JP H0753632A
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polymer
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acrylic
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monoisocyanate compound
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Application number
JP21688693A
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Inventor
Shigeru Matsuo
松尾  茂
Kenichi Mihashi
謙一 三橋
Yasuaki Horikawa
靖明 堀川
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Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐熱性及び熱安定性に優れた耐熱性アクリル
系樹脂の効率のよい製造法を提供する。 【構成】 次の一般式[I] 【化1】 (但し、式[I]中のR1は、水素原子又はメチル基を
表す。)で表される繰り返し単位[I]と次の一般式
[II] 【化2】 (但し、式[II]中のR1は、各々独立に水素原子又
はメチル基を表す。)で表される繰り返し単位[II]
を有するアクリル系重合体にモノイソシアネート化合物
を反応させ、繰り返し単位[I]のカルボキシル基の一
部又は全てを該モノイソシアネート化合物と反応せしめ
る耐熱性アクリル系樹脂の製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐熱性アクリル系樹脂
の製造法に関し、更に詳しくは、アクリル酸構造とグル
タル酸無水物構造を有するアクリル系樹脂に化学的修飾
を行うことによって、耐熱性及び熱安定性の性能が改良
された耐熱性アクリル系樹脂を製造する方法に関する。
本発明の方法によって製造された耐熱性アクリル系樹脂
は、例えば、自動車部材、電気・電子機器部材、機械部
材、建材等の素材として好適に利用することができる。
【0002】
【従来の技術】アクリル系樹脂には、(メタ)アクリル
酸、即ちアクリル酸、メタクリル酸やこれらの混合物、
あるいはこれらの誘導体[例えば、(メタ)アクリル酸
メチル等のアルキルエステルなど]の単独重合体あるい
は共重合体など、各種のものが知られている。具体的に
は、 例えば、ポリアクリレート、ポリメタクリレー
ト、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリメチ
ルアクリレート等のポリアルキル(メタ)アクリレート
等やこれらの共重合系ポリマーなど様々なものがある。
また、こうした(メタ)アクリル系樹脂は、しばしば、
他のビニル系コモノマーとの共重合体として製造され、
その特性に種々の変化を与えられている。
【0003】これらのアクリル系樹脂は、その特性に応
じて、例えば、接着剤、塗料、コーティング材、フィル
ム、あるいは各種の形状のプラスティック材等として、
様々な分野に利用されている。中でも、その優れた透明
性、耐候性あるいは機械的性質を生かした用途は多く、
例えば、自動車部材、電気・電子機器部材、機械部材、
建材等の様々な産業分野に広く利用されている。
【0004】しかしながら、これら従来のアクリル系樹
脂は、熱変形温度が100℃前後と低いため、それ以上
の耐熱性が要求される環境では使用が困難であるという
問題点がある。そこで、そのような場合、透明性を有
し、比較的耐熱性の良いポリカーボネートを使用するこ
とが試みられているが、このポリカーボネートの場合に
も、実用耐熱温度は140℃未満と以外に低く、用途に
よってはまだ十分とはいえない状況にあるし、また、コ
ストや加工性など、他の点でも不利な点が多く、用途に
制限がある。
【0005】このような事情によって、アクリル系樹脂
の耐熱性を改善することが重要な課題となっている。
【0006】アクリル系樹脂の耐熱性を向上させる方法
として、従来、(メタ)アクリル酸重合体又は(メタ)
アクリル酸エステル重合体の側鎖の反応を利用して、ア
クリル系樹脂に六員環のグルタルイミド構造を導入する
方法や、グルタル酸無水物構造を導入する方法が知られ
ている。例えば、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリ
ロニトリルとの共重合体を加熱して環化イミド化せしめ
る方法(特公昭44−8743号公報)、ポリメチル
(メタ)アクリレートに一級アミンを反応させて環化イ
ミド化せしめる方法(米国特許第3,284,425号
明細書)、及び、(メタ)アクリル酸エステル重合体を
メチルアミンと反応させて環化イミド化せしめる方法
(特開昭52−63989号公報)が提案されている。
このように、各種のアクリル系重合体のポリマー側鎖に
イミド化処理や酸無水物化処理を施すことによってポリ
マー主鎖に六員環イミド構造又はグルタル酸無水物構造
の繰り返し単位を形成せしめることによって、耐熱性が
大きく向上することは注目される。
【0007】しかしながら、これらの従来の方法では、
未反応のカルボン酸(カルボキシル基)や熱分解等で生
じたカルボン酸(カルボキシル基)がポリマー鎖中に残
留し、このため熱安定性に悪影響を及ぼすという問題点
があった。また、上記の従来のグルタル酸無水物構造を
形成する方法は、(メタ)アクリル酸エステル系重合体
のエステル構造側鎖の反応を利用することから、反応性
が十分でなく、しかも耐熱性の向上効果も低いという難
点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、グル
タル酸無水物構造を導入したアクリル系重合体中に未反
応あるいは分解によって生じたポリマー鎖中のカルボン
酸(カルボキシル基)を熱安定性の良い基に変えること
によって、アクリル系樹脂の耐熱性及び熱安定性をより
一層向上させる方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために、前記従来法を含め各種の方法によっ
てグルタル酸無水物構造を導入したアクリル系重合体に
ついて、未反応及び/又は分解によってポリマー鎖中に
生じたカルボン酸(カルボキシル基)を化学反応によっ
て安定化させる方法について検討を重ねた。その結果、
そのようなグルタル酸無水物構造を有するアクリル系重
合体に、モノイソシアネート化合物という特定の化学修
飾剤を反応させることによって、該カルボン酸(カルボ
キシル基)を熱安定性の良い基に容易に変換することが
でき、これによって前記目的を達成することを見出し、
この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明は、次の一般式[I]
【0011】
【化4】 (但し、式[I]中のR1は、水素原子又はメチル基を
表す。)で表される繰り返し単位[I]と次の一般式
[II]
【0012】
【化5】 (但し、式[II]中のR1は、各々独立に水素原子又
はメチル基を表す。)で表される繰り返し単位[II]
を有するアクリル系重合体にモノイソシアネート化合物
を反応させ、繰り返し単位[I]のカルボキシル基の一
部又は全てを該モノイソシアネート化合物と反応せしめ
ることを特徴とする耐熱性アクリル系樹脂の製造法を提
供するものである。
【0013】本発明の方法において、モノイソシアネー
ト化合物を反応させる前記アクリル系重合体(以下、ア
クリル系重合体[AnAP]と称することがある)は、
前記一般式[I]で表される繰り返し単位[I]とし
て、R1が水素原子であるもののみを有しているもので
もよいし、R1がメチル基であるもののみを有している
ものでもよいし、あるいは、R1が水素原子であるもの
とR1がメチル基であるものを任意の割合で有している
ものでもよい。
【0014】また前記アクリル系重合体[AnAP]
は、前記一般式[II]で表される繰り返し単位[I
I]として、R1が水素原子であるもののみを有してい
るものでもよいし、R1がメチル基であるもののみを有
しているものでもよいし、あるいは、R1が水素原子で
あるものとR1がメチル基であるものを任意の割合で有
しているものでもよい。
【0015】本発明の方法において、前記アクリル系重
合体[AnAP]は、少なくとも、1種又は2種の繰り
返し単位[I]と1種又は2種以上の繰り返し単位[I
I]を有するものであるが、場合に応じて、これら以外
の繰り返し単位、例えば後に例示するような各種の繰り
返し単位を有しているものでもよい。
【0016】このアクリル系重合体[AnAP]として
は、どのような製法によって製造されたものでもよい
が、通常は、以下に示すように、(メタ)アクリル酸及
び/又はその誘導体、例えば(メタ)アクリル酸メチル
等の(メタ)アクリル酸エステル、あるいは(メタ)ア
クリル酸及び/又はその誘導体と他の共重合可能な各種
のスチレン系モノマーとを常法に従って重合(ビニル重
合)して得たアクリル系重合体(単独重合体又は共重合
体、以下、アクリル系重合体[AP]と称することがあ
る。)に、そのポリマー側鎖に各種の方法によって酸無
水物化処理を施してグルタル酸構造を形成させ、ポリマ
ー主鎖に前記繰り返し単位[II]を形成させたものが
好適に使用される。
【0017】より具体的に説明すると、本発明の方法に
おいて、モノイソシアネート化合物を反応させる前記ア
クリル系重合体[AnAP]の好適な例として、例え
ば、下記の(1)及び(2)に示す方法によって得た各
種の重合体を挙げることができる。
【0018】(1) 次の一般式[IV]
【0019】
【化6】 (但し、式[IV]中のR1は、水素原子又はメチル基
を表す。)で表される(メタ)アクリル酸(IV)及び
/又はその誘導体[V]をビニル重合して得られるアク
リル系重合体[AP]のポリマー側鎖に酸無水物化処理
を施すことによって、ポリマー主鎖に前記一般式[I
I]で表される繰り返し単位[II]を形成させたアク
リル系重合体[AnAP]。
【0020】(2) 上記一般式[IV]で表される
(メタ)アクリル酸(IV)及び/又はその誘導体
[V]と、これらと共重合可能な下記一般式[VI]
【0021】
【化7】 (但し、式[VI]中のR2は水素原子又は炭素数1〜
8のアルキル基を表し、R3はハロゲン原子、炭素数1
〜8のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基を表
し、nは0〜5の整数を表す。)スチレン系モノマー
[VI]とをビニル重合して得られるアクリル系重合体
APのポリマー側鎖に酸無水物化処理を施すことによっ
て、ポリマー主鎖に前記一般式[II]で表される繰り
返し単位[II]を形成させたアクリル系重合体[An
AP]。但し、このアクリル系重合体[AnAP]は、
少なくとも、前記繰り返し単位[I]及び[II]と下
記一般式[III]
【0022】
【化8】 で表される繰り返し単位とを有する。
【0023】ここで、式[III]中のR2及びR3とし
てのアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル
基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、
イソブチル基、2−ブチル基、tert−ブチル基、各
種のペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル
基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペン
チルメチル基、メチルシクロヘキシル基、フェネチル
基、2−エチルシクロヘキシル基等を挙げることができ
る。R3としてのハロゲン原子としては塩基原子が好ま
しい。R3としてのアリール基としてはフェニル基、メ
チルフェニル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル
基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ビフェニ
リル基、ナフチル基、メチルフェニル基等を挙げること
ができる。なお、上記アルキル基及びアリール基は、本
発明の目的を阻害しない範囲で、例えば、シアノ基、ア
ルコキシ基、ハロゲン原子、不飽和炭化水素基等の各種
の置換基で置換されているものであってもよい。このR
2及びR3として特に好ましい基としては、水素原子やメ
チル基等を挙げることができる。
【0024】なお、上記(1)及び(2)のアクリル系
重合体[AnAP]の製造法において、(メタ)アクリ
ル酸の誘導体[V]としては、一般には多種多様なもの
が使用可能であるが、通常は、この誘導体[V]とし
て、次の一般式[V]
【0025】
【化9】 (但し、式[V]中のR1は、水素原子又はメチル基を
表し、R4は、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6
〜14のアリール基を表す。)で表される(メタ)アク
リル酸エステルを好適な例として挙げることができる。
ここで、R4としてのアルキル基及びアリール基の例と
しては、前記R3として例示したものを挙げることがで
きる。なお、これらのアルキル基及びアリール基は、本
発明の目的を阻害しない範囲で、例えば、シアノ基、ア
ルコキシ基、ハロゲン原子、不飽和炭化水素基等の各種
の置換基で置換されているものであってもよい。このR
4として特に好ましい基として、メチル基等を挙げるこ
とができる。この(メタ)アクリル酸エステルとして
は、目的に応じて1種又は2種以上を適宜組み合わせて
用いることができる。
【0026】また、上記(2)のアクリル系重合体[A
nAP]の製造法において、共重合可能なスチレン系モ
ノマー[VI]としては、目的に応じて各種のものを1
種又は2種以上使用することができる。このスチレン系
モノマー[VI]としては、共重合(ビニル重合)が可
能なものであればどのようなものでもよい。このような
スチレン系モノマー[VI]の好適な例としては、スチ
レン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,
4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレ
ン、p−クロロスチレンなどを挙げることができる。
【0027】上記(1)及び(2)の方法において酸無
水物化処理される各種のアクリル系重合体[AP]のな
かでも、(メタ)アクリル酸[IV]、(メタ)アクリ
ル酸エステル[V]及びスチレン系モノマー[VI]
を、アクリル酸及び/又はメタクリル酸[IV]1〜1
00モル%、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル
酸エステル[V]0〜99モル%、スチレン系モノマー
[VI]0〜80モル%の割合でビニル重合して得られ
るアクリル系重合体[AP]が好ましく用いられる。
(メタ)アクリル酸[IV]を用いることにより、得ら
れるアクリル系重合体[AP]の酸無水物化による環化
反応が迅速に進み、有利となる。特に好ましいアクリル
系重合体[AP]は、アクリル酸及び/又はメタクリル
酸[IV]、(メタ)アクリル酸エステル[V]及びス
チレン系モノマー[VI]を、アクリル酸及び/又はメ
タクリル酸[IV]5〜100モル%、アクリル酸エス
テル及び/又はメタクリル酸エステル[V]0〜95モ
ル%、スチレン系モノマー[VI]0〜60モル%の割
合でビニル重合して得られるものである。ただし、アク
リル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステル[V]
を使用することによる効果を得るためには、アクリル酸
エステル及び/又はメタクリル酸エステル[V]を少な
くとも5モル%使用することが好ましい。また、スチレ
ン系モノマー[VI]を使用することによる効果を得る
ためには、スチレン系モノマー[VI]を少なくとも5
モル%使用することが好ましい。いずれの場合において
も、環化反応を速やかに進行させるために、アクリル酸
及び/又はメタクリル酸[IV]を少なくとも5モル%
使用することが好ましい。
【0028】上記アクリル系重合体[AP]の合成にお
けるビニル重合反応は、常法に従い、適当な溶媒中で、
適当なラジカル開始剤を用いて、前記所定のモノマーを
適度な温度でラジカル重合することによって得ることが
できる。このラジカル開始剤としては、通常、この種の
重合反応に常用されるものが好適に使用でき、その具体
例としては、例えば、ジ−tert−ブチルパーオキサ
イド、ジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物、アゾ
ビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスシクロ
ヘキシルカルボニトリル等のアゾ化合物などを例示する
ことができる。この重合反応は、通常、40〜150℃
の温度範囲で好適に実施することができる。また、この
重合反応における溶媒としても、常用される各種のモノ
マーが使用可能である。なお、この溶媒として、後述の
中性極性溶媒等を用いることによって、例えば、この重
合反応から、前記酸無水物化処理及びその後のモノイソ
シアネート化合物による反応を、特に溶媒を変えること
なく連続的に実施することが容易となる。この場合、該
溶媒の使用量としては、例えば、反応系のポリマー濃度
が20〜50重量%の範囲になるよう選定するのが好適
である。
【0029】上記アクリル系重合体[AP]の酸無水物
化処理は、通常、上記アクリル系重合体[AP]を10
0℃以上、好ましくは120〜300℃、より好ましく
は150〜250℃の温度で加熱することにより、行わ
れる。この温度が100℃未満では、酸無水物化反応が
十分に進まず、一方、300℃を超える高温で処理する
とポリマーの分解などの不都合な副反応が併発しやすく
なる。
【0030】この加熱による酸無水物化処理によって、
アクリル系重合体[AP]のポリマー側鎖である−CO
OHやそのエステル型の基(例えば、−COOCH
3等)のうちの隣接するもの同士の間で酸無水物化がお
こり、グルタル酸無水物構造が形成される。しかしなが
ら、先に記載したように、この酸無水物化処理では、全
てのカルボキシル基やそのエステル型の基を完全に酸無
水物化することは困難であり、また、エステル型の基が
加熱等によってカルボキシル基に分解しやすいため、こ
の酸無水物化処理の後には、ポリマー鎖中に、未反応の
カルボキシル基や、分解によって生成したカルボキシル
基が残留することになる。
【0031】本発明の方法においては、前記アクリル系
重合体[AP]を酸無水物化処理して得られるアクリル
系重合体[AnAP]に、モノイソシアネート化合物を
反応させ、少なくとも、該アクリル系重合体[AnA
P]のポリマー鎖中に残留するカルボン酸(カルボキシ
ル基)の一部又は全てを該モノイソシアネート化合物と
の反応によって他の熱的に安定な基に変換させて、該ア
クリル系重合体[AnAP]の耐熱性及び熱安定性を向
上させる。
【0032】前記モノイソシアネート化合物としては、
各種のものが1種又は2種以上使用可能である。このモ
ノイソシアネート化合物としては、通常、次の一般式
[VII]
【0033】
【化10】 (但し、式[VII]中のR5は、炭素数1〜8のアル
キル基又は炭素数6〜14のアリール基を表す。)で表
される化合物が好適に使用される。ここで、R5として
のアルキル基及びアリール基の例としては、それぞれ前
記R3について例示の各種のものを挙げることができ
る。このモノイソシアネート化合物の内の好ましいもの
をいくつか例示すると、メチルイソシアネート、エチル
イソシアネート、ブチルイソシアネート、フェニルイソ
シアネート、ベンジルイソシアネート、オクチルイソシ
アネート等を挙げることができる。なお、一般に、使用
するモノイソシアネート化合物の炭素数があまり大きく
なると、耐熱性の向上効果が低くなる傾向がある。一
方、その炭素数が大きくなると、一般に、成形性が向上
する傾向を示す。このような傾向を参考にして、使用目
的に最適なモノイソシアネート化合物を選択することが
望ましい。これらのモノイソシアネート化合物は、必要
に応じて、2種以上のものを使用してもよい。
【0034】前記アクリル系重合体[AnAP]に前記
モノイソシアネート化合物を反応させる反応条件として
は、通常、以下に示す条件が好適に採用される。
【0035】反応温度としては、通常、30〜150℃
の範囲に選定するのが適当であり、反応時間は、通常、
30分間〜10時間の範囲に選定するのがよい。反応温
度が30℃未満では、反応速度が遅くなり、反応効率が
不十分となりやすく、一方、150℃を超える高温で反
応させるとポリマーの分解や副反応が生じやすくなる。
【0036】モノイソシアネート化合物の使用割合は、
通常、反応させるアクリル系重合体[AnAP]中に残
留するカルボン酸(カルボキシル基)と等モル量〜3倍
モル量の範囲に選定するのが好ましい。
【0037】また、このモノイソシアネート化合物とア
クリル系重合体[AnAP]の反応は、通常、適当な溶
媒中で行うことが好ましい。この溶媒としては、各種の
ものが使用可能であるが、通常は、例えば、N−メチル
ピロリドン(NMP)、N−シクロヘキシルピロリド
ン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセト
アミド(DMAc)、ジメチルイミダゾリジノン(DM
I)、N−メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシ
ド(DMSO)、スルホラン等の中性極性溶媒などが好
適に使用することができる。これらの中でも、特に、N
MP及びDMFが好ましい。なお、これら溶媒は、単独
溶媒として、あるいは、混合溶媒として使用可能であ
る。この溶媒の使用量は、通常、該反応系全体の20〜
50重量%の範囲に選定するのが好ましい。
【0038】なお、本発明の方法においては、前記所定
のモノマーからのアクリル系重合体[AP]への重合反
応、このアクリル系重合体[AP]に施す前記酸無水物
化処理、及び酸無水物化処理後の前記アクリル系重合体
[AnAP]とモノイソシアネート化合物との反応のそ
れぞれの工程を、独立に行ってもよいし、これらのうち
2つ以上の工程を連続的に行ってもよい。例えば、前記
したように、溶媒を特に変えることなく、これらの重合
反応、酸無水物化処理及びモノイソシアネート化合物と
の反応を逐次的に連続的操作で行う方法も好適に採用さ
れる。もちろん、市販の(メタ)アクリル系重合体や酸
無水物化(メタ)アクリル系重合体を出発原料ポリマー
として用いて実施してもよい。
【0039】以上のようにして、各種の酸無水物化アク
リル系重合体にモノイソシアネート化合物を反応させて
なる所望のポリマーを、効率よく得ることができる。こ
うして得られたポリマーは、ポリマー鎖中に残留してい
たカルボキシル基がモノイソシアネート化合物との反応
によって他の安定な基に変化しているので、少なくとも
耐熱性及び熱安定性が著しく向上している耐熱性アクリ
ル系樹脂である。なお、一般に、カルボキシル基はモノ
イソシアネート化合物と種々の様式で反応し、各種の基
に変化することが知られている。モノイソシアネート化
合物R5NCOとの反応の場合、カルボキシル基は、例
えば、次の一般式[VIII]で表される基に誘導され
ることが知られている。
【0040】
【化11】 本発明の方法におけるこのモノイソシアネート化合物と
の反応によって、アクリル系重合体の耐熱性及び熱安定
性が大きく向上することが確認された。
【0041】また、アクリル系重合体[AnAP]とモ
ノイソシアネート化合物との反応において、反応条件に
よっては、カルボキシル基のみならず、前記一般式[I
I]で表されるグルタル酸無水物構造の繰り返し単位も
一部又は全てがモノイソシアネート化合物と反応し、例
えば、次の一般式[IX]
【0042】
【化12】 で表される六員環イミド構造に変化することがある。こ
のような六員環イミド構造を形成されたアクリル系樹脂
は、それ自体、従来技術に示されるように耐熱性が向上
したものであることから、残留するカルボキシル基まで
モノイソシアネート化合物との反応によって安定化され
た本発明の方法によって得られるアクリル系樹脂は、著
しく耐熱性及び熱安定性に向上したものとなる。
【0043】以上のようにしてモノイソシアネート化合
物を反応せしめたポリマーは、常法に従って反応混合物
から分離され、必要に応じて、適当な精製処理を施して
所望の製品として取得される。その際、回収した溶媒は
(また、もしあれば未反応のモノイソシアネート化合物
も)、必要に応じて再利用することができる。
【0044】以上のように、本発明の方法によって得ら
れた各種の耐熱性アクリル系樹脂は、従来の(メタ)ア
クリル系樹脂はもとより、従来のイミド化(メタ)アク
リル系樹脂や従来の酸無水物化(メタ)アクリル系樹脂
よりも更に一層耐熱性及び熱安定性が向上している優れ
た樹脂であるので、前述のような各種の用途に有利に利
用することができる。その使用に際しては、従来同様に
使用目的に応じて、耐熱性アクリル系樹脂中に各種の添
加剤等の他の成分を添加若しくは配合して利用すること
ができる。
【0045】
【実施例】以下に、本発明の実施例を示し、本発明を更
に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定
されるものではない。
【0046】実施例1 (1)アクリル系重合体[AP]の合成 300mlのセパラブルフラスコに、スチレン45g
(0.43モル)、メタクリル酸45g(0.52モ
ル)、アゾビスイソブチロニトリル90mg及びジメチ
ルホルムアミド50mlを入れ、60℃で20時間加熱
した。生成物をメタノール中で析出させ、メタノールで
洗浄した後、乾燥し、ポリマー52gを得た。
【0047】このポリマーは、N−メチルピロリドン中
0.2g/dl濃度の溶液の30℃における還元粘度
[ηsp/c]が2.37dl/gであり、スチレン単位
を61モル%含有するものであった。また、このポリマ
ーのガラス転移温度は165℃、空気中での1%重量減
温度は199℃、空気中での5%重量減温度は280℃
であった。
【0048】(2)アクリル系重合体[AnAP]の合
成 (1)で得られたポリマー20g及びスルホラン100
mlをセパラブルフラスコに入れ、230℃で1時間加
熱した。生成物をメタノール中で析出させ、メタノール
で洗浄した後、乾燥し、ポリマー18.6gを得た。
【0049】このポリマー中の残留カルボキシル基の量
は、反応前のカルボキシル基の量の12%であった。ま
た、このポリマーは、N−メチルピロリドン中0.2g
/dl濃度の溶液の30℃における還元粘度[ηsp
c]が2.07dl/gであり、ガラス転移温度は16
5.5℃、空気中での1%重量減温度は294℃、空気
中での5%重量減温度は339℃であった。
【0050】(3)モノイソシアネートとの反応 (2)で得られたポリマー5g、フェニルイソシアネー
ト3g(残留カルボキシル基に対して2.3倍モル
量)、ジブチルスズジラウレート20mg及びN−メチ
ルピロリドン50mlをフラスコに入れ、90℃で2時
間加熱した。生成物をメタノール中で析出させ、メタノ
ールで洗浄した後、乾燥し、ポリマー5.1gを得た。
【0051】このポリマーは、N−メチルピロリドン中
0.2g/dl濃度の溶液の30℃における還元粘度
[ηsp/c]が2.38dl/gであった。また、この
ポリマーのガラス転移温度は179℃、空気中での1%
重量減温度は316℃、空気中での5%重量減温度は3
52℃であり、上記(1)及び(2)で得られたポリマ
ーより、耐熱性及び熱安定性において優れていることが
わかった。
【0052】実施例2及び3 実施例1と同じモル比でモノイソシアネートの種類を表
1に示すものに変えた以外は実施例1の(3)と同様の
操作を行い、ポリマーを得た。得られたポリマーのN−
メチルピロリドン中0.2g/dl濃度の溶液の30℃
における還元粘度、ガラス転移温度、空気中での1%重
量減温度及び空気中での5%重量減温度を表1に示す。
【0053】実施例4 (1)アクリル系重合体[AnAP]の合成 N−メチルピロリドン中0.2g/dl濃度の溶液の3
0℃における還元粘度[ηsp/c]が1.20dl/g
であり、ガラス転移温度が166℃、空気中での1%重
量減温度が166℃、空気中での5%重量減温度が21
2℃であるポリメタクリル酸5gをスルホラン50ml
に溶解し、200℃で3時間加熱した。生成物をメタノ
ール中で析出させ、メタノールで洗浄した後、乾燥し、
ポリマー4.3gを得た。
【0054】このポリマーは、N−メチルピロリドン中
0.2g/dl濃度の溶液の30℃における還元粘度
[ηsp/c]が2.67dl/gであった。また、この
ポリマーのガラス転移温度は165℃、空気中での1%
重量減温度は253℃、空気中での5%重量減温度は3
58℃であった。また、このポリマー中の残留カルボキ
シル基の量は、反応前の18%であった。
【0055】(2)モノイソシアネートとの反応 (1)で得られたポリマーを、実施例1の(3)と同様
にして、実施例1の(3)と同様のモル比でフェニルイ
ソシアネートと反応させ、ポリマー5.0gを得た。得
られたポリマーのN−メチルピロリドン中0.2g/d
l濃度の溶液の30℃における還元粘度、ガラス転移温
度、空気中での1%重量減温度及び空気中での5%重量
減温度を表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
【発明の効果】本発明の方法によると、グルタル酸無水
物構造を形成させた各種のアクリル系重合体にモノイソ
シアネート化合物を反応させることにより、該重合体の
ポリマー鎖中に残留する未反応あるいは分解によって生
じたカルボン酸(カルボキシル基)を熱安定性の良い基
に変えているので、従来のアクリル系樹脂はもとより、
上記のグルタル酸無水物構造を形成させることにより耐
熱性を改善させたものの耐熱性及び熱安定性を、より一
層向上させることができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の一般式[I] 【化1】 (但し、式[I]中のR1は、水素原子又はメチル基を
    表す。)で表される繰り返し単位[I]と次の一般式
    [II] 【化2】 (但し、式[II]中のR1は、各々独立に水素原子又
    はメチル基を表す。)で表される繰り返し単位[II]
    を有するアクリル系重合体にモノイソシアネート化合物
    を反応させ、繰り返し単位[I]のカルボキシル基の一
    部又は全てを該モノイソシアネート化合物と反応せしめ
    ることを特徴とする耐熱性アクリル系樹脂の製造法。
  2. 【請求項2】 アクリル系重合体が更に次の一般式[I
    II] 【化3】 (但し、式[III]中のR2は水素原子又は炭素数1
    〜8のアルキル基を表し、R3はハロゲン原子、炭素数
    1〜8のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基を表
    し、nは0〜5の整数を表す。)で表される繰り返し単
    位[III]を有するものである請求項1記載の耐熱性
    アクリル系樹脂の製造法。
JP21688693A 1993-08-10 1993-08-10 耐熱性アクリル系樹脂の製造法 Pending JPH0753632A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008143245A1 (ja) * 2007-05-21 2008-11-27 Toray Industries, Inc. 熱可塑性共重合体の製造方法および熱可塑性共重合体

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WO2008143245A1 (ja) * 2007-05-21 2008-11-27 Toray Industries, Inc. 熱可塑性共重合体の製造方法および熱可塑性共重合体

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