JPH0753315A - 農園芸用アブラムシ剤及びアブラムシ類の防除方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、アブラムシ類防除に相乗的効果を発
揮する農園芸用アブラムシ剤を提供することを目的とし
ている。 【構成】農園芸用アブラムシ剤は、（Ｅ）−β−Ｆａｒ
ｎｅｓｅｎｅで表わされる化合物である第１成分と、ピ
レスロイド剤、有機燐剤、カ−バメ−ト剤等のアブラム
シ防除剤を第２成分とする混合組成物を含むものであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、農園芸用アブラムシ剤
及びアブラムシ類の防除方法に係り、特に、アブラムシ
類防除に相乗的効果を発揮する農園芸用アブラムシ剤及
びアブラムシ類の防除方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】農園芸用殺虫剤の中で特定の酵素系／代
謝系を阻害するタイプの殺虫剤は、当初は低薬量で殺虫
効果を発揮するが、次第に抵抗性が発達し、大量に農薬
を使わなければならなくなり、最終的には使用できなく
なる。

【０００３】また、基本活性の低い殺虫剤の場合も完全
に害虫を抑制するために大量の農薬散布が必要となると
いう問題点があった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】即ち、農薬を大量に使
用することは環境を汚染するばかりでなく、使用できる
農薬も次第に限定されていくことから、害虫の抵抗性発
現を抑制し、農薬の効力を増強させる安全な開発が望ま
れている。

【０００５】本発明者らは、アブラムシ剤の効果を増強
し、かつアブラムシ類の抵抗性発現を抑制することがで
きる農園芸用アブラムシ剤を提供することを目的として
いる。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の農園芸用アブラムシ剤は、アブラムシ類の
警報フェロモン様物質である（Ｅ）−β−Ｆａｒｎｅｓ
ｅｎｅを第１成分とし、ピレスロイド剤、有機燐剤、カ
−バメ−ト剤等のアブラムシ防除剤を第２成分とする混
合組成物を含むものである。

【０００７】又、本発明のアブラムシ類の防除方法は、
（Ｅ）−β−Ｆａｒｎｅｓｅｎｅの第１成分と、アブラ
ムシ防除剤の第２成分とを混合して用いるものである。

【０００８】なお、（Ｅ）−β−Ｆａｒｎｅｓｅｎｅ
は、単独では、殺虫活性をほとんど有しないが、各種ア
ブラムシ剤と組み合わせることにより、予期できない相
乗効果を発揮し、低薬量でのアブラムシ類の防除を可能
ならしめるものである。

【０００９】

【実施例】

試験例１ 試験場所 室温15℃〜20℃の室内 供試虫 ワタアブラムシ（ハウス内かぼちゃ寄生のも
の） ダイコンアブラムシ（ハウス内ブロッコリー寄生のも
の） 供試剤 （Ｅ）−β−Ｆａｒｎｅｓｅｎｅ（商品名Pa
nic ），ピレトリン(Pyrethrins)（商品名 除虫菊乳
剤），プロフェノホス(Profenofos) (商品名 エンセダ
ン乳剤），エトフェンプロックス（Ethofenprox)（商品
名 トレボン乳剤） 処理法 寒天ゲルに浮かべたきゅうり子葉またはダイ
コン葉にアブラムシの寄生葉をのせ、１日後に定着数を
数え、ガラススプレーにて３mg/cm²定量散布した。 区制 １区１葉（／シャーレ）２連制 調査 処理後、所定時間後に生虫数を数えた。

【００１０】結果は、図１〜図１４記載に示す通りであ
り、これより次のことが考察される。

【００１１】(1) ピレトリンに（Ｅ）−β−Ｆａｒｎｅ
ｓｅｎｅの100 、30、10ppm を混用してワタアブラムシ
及びダイコンアブラムシに対する混用効果を検討した結
果、いずれの濃度においても、効果の発現が速まり、か
つ、殺虫率が上昇した。（図１、図４、図７、図11参
照） (2) ワタアブラムシ及びダイコンアブラムシに対するピ
レトリンのＫＣ−５０値に対する（Ｅ）−β−Ｆａｒｎ
ｅｓｅｎｅの混用効果を検討した結果、処理１０分後の
ＫＣ−５０値は減少し活性の上昇が認められ、２４時間
後のＬＣ−５０値でも効果の上昇が認められた。（図
２、図５、図８、図12参照） (3) ワタアブラムシ及びダイコンアブラムシに対するエ
トフェンプロックス及びプロフェノホスと（Ｅ）−β−
Ｆａｒｎｅｓｅｎｅの混用効果を検討した結果、両剤と
も（Ｅ）−β−Ｆａｒｎｅｓｅｎｅの混用により効果の
発現が速まる傾向が認められた。（図３、図６、図９、
図10、図13、図14参照） この試験例１によれば、（Ｅ）−β−Ｆａｒｎｅｓｅｎ
ｅで表わされる化合物である第１成分と、ピレスロイド
剤、有機燐剤、カ−バメ−ト剤等のアブラムシ防除剤を
第２成分とする混合組成物を含む農園芸用アブラムシ剤
及び（Ｅ）−β−Ｆａｒｎｅｓｅｎｅで表わされる化合
物である第１成分と、ピレスロイド剤、有機燐剤、カ−
バメ−ト剤等のアブラムシ防除剤である第２成分とを混
合して用いるアブラムシ類の防除方法は、ワタアブラム
シ及びダイコンアブラムシの防除に有効と認められる。

【００１２】試験例２ 試験場所 室温15℃〜20℃の室内 供試虫 モモアカアブラムシ（実験室で継代飼育） 供試剤 （Ｅ）−β−Ｆａｒｎｅｓｅｎｅ（商品名Pa
nic ），ピレトリン(Pyrethrins)（商品名 除虫菊乳
剤），マラチオン(Malathion)（商品名 マラソン乳
剤），プロフェノホス(Profenofos)（商品名 エンセダ
ン乳剤），アセフェート(Acephate)（商品名 オルトラ
ン水和剤），エトフェンプロックス(Ethofenprox) （商
品名トレボン乳剤），ペルメトリン(Permethrin)（商品
名 アディオン乳剤），ジアフェンチウロン(Diafenthi
uron) （薬剤名 ＣＧ−１６７ＷＰ），ピメトロジン(P
ymetrozine) （薬剤名 ＣＧ−１８４ＷＰ），イミダク
ロプリド(Imidacloprid)（商品名 アドマイヤー水和
剤） 処理法 寒天ゲルに浮かべたダイコン葉にモモアカア
ブラムシの寄生葉をのせ、１日後に定着数を数え、ガラ
ススプレーにて３mg/cm²定量散布した。

【００１３】区制 １区１葉（／シャーレ）２連制 調査 処理後、所定時間後に生虫数を数えた。

【００１４】結果は、図15〜図28記載に示す通りであ
り、これより次のことが考察される。

【００１５】(1) ピレトリンに（Ｅ）−β−Ｆａｒｎｅ
ｓｅｎｅの120、60、 30、15ppmを混用してモモアカアブラ
ムシに対する混用効果を検討した結果、いずれの濃度に
おいても、効果の発現が速まる傾向が認められた。（図
15、図20参照） (2) モモアカアブラムシに対するピレトリンのＫＣ−５
０値に対する（Ｅ）−β−Ｆａｒｎｅｓｅｎｅの混用効
果を検討した結果、処理３時間までのＫＣ−５０値は約
１／２となり、活性の上昇が認められた。また、２４時
間後のＬＣ−５０値では、顕著な差は認められなかった
が、低濃度での効果の上昇が認められた。（図16参照） (3) 系統の異なる殺虫剤８剤（ペルメトリン、エトフェ
ンプロックス、プロフェノホス、イミダクロプリド、マ
ラチオン、アセフェート、ジアフェンチウロン、ピメト
ロジン）に（Ｅ）−β−Ｆａｒｎｅｓｅｎｅを混用して
モモアカアブラムシに対する混用効果を検討した結果、
いずれの場合も効果の発現が速まる傾向が認められた。
（図17、 図18、 図21〜図28参照） (4) モモアカアブラムシに対するマラチオン及びエトフ
ェンプロックスの（Ｅ）−β−Ｆａｒｎｅｓｅｎｅの混
用効果を検討した結果、両剤とも（Ｅ）−β−Ｆａｒｎ
ｅｓｅｎｅの混用により効果の発現が速まる傾向が認め
られ、特に、低濃度において顕著であった。（図19参
照） この試験例２によれば、（Ｅ）−β−Ｆａｒｎｅｓｅｎ
ｅで表わされる化合物である第１成分と、ピレスロイド
剤、有機燐剤、カ−バメ−ト剤等のアブラムシ防除剤を
第２成分とする混合組成物を含む農園芸用アブラムシ剤
及び（Ｅ）−β−Ｆａｒｎｅｓｅｎｅで表わされる化合
物である第１成分と、ピレスロイド剤、有機燐剤、カ−
バメ−ト剤等のアブラムシ防除剤である第２成分とを混
合して用いるアブラムシ類の防除方法は、モモアカアブ
ラムシの防除に有効と認められる。

【００１６】なお、本実施例では、既成剤を混用させる
形態で説明したが、本発明にあっては、これに限定され
ることなく、（Ｅ）−β−Ｆａｒｎｅｓｅｎｅで表わさ
れる化合物である第１成分と、ピレスロイド剤、有機燐
剤、カ−バメ−ト剤等のアブラムシ防除剤を第２成分と
する混合組成物を含有する農園芸用アブラムシ剤として
製剤化したものにも適用できるものである。

【００１７】そして、本発明の混合組成物を農園芸用ア
ブラムシ剤として使用する際には、必要に応じて固体坦
体、液体坦体、固体と液体との組み合わせ坦体、界面活
性剤、その他の製剤用補助剤と混合して、粉剤、粒剤、
水和剤、懸濁剤、エアゾール剤等に製剤して用いる。

【００１８】これらの製剤における本発明の（Ｅ）−β
−Ｆａｒｎｅｓｅｎｅで表わされる化合物である第１成
分と、ピレスロイド剤、有機燐剤、カ−バメ−ト剤等の
アブラムシ防除剤である第２成分との配合比は、重量比
で１００：１〜１：１００で好ましくは２０：１〜１：
２０である。又、両成分の合計が製剤中で占める割合
は、重量比で０．００１〜８０％で好ましくは０．００
１〜５０％である。

【００１９】前記の固体坦体としてはクレー（カオリン
クレー、アタパルジャイトクレー等）、ベントナイト、
酸性白土、バイロフィライト、タルク、珪藻土、ケイ酸
土、方解石、クルミ粉、尿素、硫酸アンモニウム、含水
無晶系酸化ケイ素等の微粉末あるいは粒状物が挙げられ
る。

【００２０】又、液体坦体としては、水、ベンゼン、ト
ルエン、キシレン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水
素類、イソプロパノール、エチレングリコール、セロソ
ルブ等のアルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、
イソホロン等のケトン類、大豆油、綿実油等の植物油、
ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、シクロヘキサ
ン等が挙げられる。

【００２１】界面活性剤としては、アルキル硫酸エステ
ル、アルキル（アリール）スルホン酸塩、ジアルキルス
ルホこはく酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリール
エーテルリン酸エステル等の陰イオン界面活性剤および
ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチ
レンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンポ
リオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂
肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル等
の非イオン界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤は、
乳化、分散、湿潤等の作用を示す。

【００２２】その他の製剤用補助剤として、乳化剤、安
定剤、分散剤、懸濁化剤、展着剤、浸透剤、湿潤剤等を
加えることもでき、リグニンスルホン酸塩、アルギン酸
塩、ポリビニルアルコール、アラビアゴム、ＣＭＣ（カ
ルボキシメチルセルロース）、ＰＡＰ（酸性リン酸イソ
プロピル）、ポリオキシエチレン樹脂酸（エステル）、
アビエチン酸塩、ジナフチルメタンジスルホン酸塩など
を施用目的に応じて用いても良い。

【００２３】

【発明の効果】以上のことより、（Ｅ）−β−Ｆａｒｎ
ｅｓｅｎｅで表わされる化合物である第１成分と、ピレ
スロイド剤、有機燐剤、カ−バメ−ト剤等のアブラムシ
防除剤を第２成分とする混合組成物を含む本発明の農園
芸用アブラムシ剤は、アブラムシ類の防除に顕著な効果
を奏した。

【００２４】又、（Ｅ）−β−Ｆａｒｎｅｓｅｎｅで表
わされる化合物である第１成分と、ピレスロイド剤、有
機燐剤、カ−バメ−ト剤等のアブラムシ防除剤である第
２成分とを混合して用いる本発明のアブラムシ類の防除
方法は、アブラムシ類の防除に顕著な効果を奏した。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、ワタアブラムシに対する（Ｅ）−β−
Ｆａｒｎｅｓｅｎｅとピレトリンとの混用効果を示すも
のである。

【図２】図２は、ワタアブラムシに対する（Ｅ）−β−
Ｆａｒｎｅｓｅｎｅとピレトリンとの混用効果を示すも
のである。

【図３】図３は、ワタアブラムシに対する（Ｅ）−β−
Ｆａｒｎｅｓｅｎｅとエトフェンプロックス及びプロフ
ェノホスとの混用効果を示すものである。

【図４】図４は、ダイコンアブラムシに対する（Ｅ）−
β−Ｆａｒｎｅｓｅｎｅとピレトリンとの混用効果を示
すものである。

【図５】図５は、ダイコンアブラムシに対する（Ｅ）−
β−Ｆａｒｎｅｓｅｎｅとピレトリンとの混用効果を示
すものである。

【図６】図６は、ダイコンアブラムシに対する（Ｅ）−
β−Ｆａｒｎｅｓｅｎｅとエトフェンプロックス及びプ
ロフェノホスとの混用効果を示すものである。

【図７】図７は、ワタアブラムシに対する（Ｅ）−β−
Ｆａｒｎｅｓｅｎｅとピレトリンとの混用効果を示すグ
ラフである。

【図８】図８は、ワタアブラムシに対する（Ｅ）−β−
Ｆａｒｎｅｓｅｎｅとピレトリンとの混用効果を示すグ
ラフである。

【図９】図９は、ワタアブラムシに対する（Ｅ）−β−
Ｆａｒｎｅｓｅｎｅとエトフェンブロックスとの混用効
果を示すグラフである。

【図１０】図１０は、ワタアブラムシに対する（Ｅ）−
β−Ｆａｒｎｅｓｅｎｅとプロフェノホスとの混用効果
を示すグラフである。

【図１１】図１１は、ダイコンアブラムシに対する
（Ｅ）−β−Ｆａｒｎｅｓｅｎｅとピレトリンとの混用
効果を示すグラフである。

【図１２】図１２は、ダイコンアブラムシに対する
（Ｅ）−β−Ｆａｒｎｅｓｅｎｅとピレトリンとの混用
効果を示すものである。

【図１３】図１３は、ダイコンアブラムシに対する
（Ｅ）−β−Ｆａｒｎｅｓｅｎｅとエトフェンプロック
スとの混用効果を示すグラフである。

【図１４】図１４は、ダイコンアブラムシに対する
（Ｅ）−β−Ｆａｒｎｅｓｅｎｅとプロフェノホスとの
混用効果を示すグラフである。

【図１５】図１５は、モモアカアブラムシに対する
（Ｅ）−β−Ｆａｒｎｅｓｅｎｅとピレトリンとの混用
効果を示すものである。

【図１６】図１６は、モモアカアブラムシに対する
（Ｅ）−β−Ｆａｒｎｅｓｅｎｅとピレトリンとの混用
効果を示すものである。

【図１７】図１７は、モモアカアブラムシに対する
（Ｅ）−β−Ｆａｒｎｅｓｅｎｅと各種殺虫剤（ペルメ
トリン、エトフェンブロックス、プロフェノホス、イミ
ダクロプリド）との混用効果を示すものである。

【図１８】図１８は、モモアカアブラムシに対する
（Ｅ）−β−Ｆａｒｎｅｓｅｎｅと各種殺虫剤（マラチ
オン、アセフェート、ジアフェンチウロン、ピメトロジ
ン）との混用効果を示すものである。

【図１９】図１９は、モモアカアブラムシに対する
（Ｅ）−β−Ｆａｒｎｅｓｅｎｅとマラチオン及びエト
フェンプロックスとの混用効果を示すものである。

【図２０】図２０は、モモアカアブラムシに対する
（Ｅ）−β−Ｆａｒｎｅｓｅｎｅとピレトリンとの混用
効果（効果発現時間への影響）を示すグラフである。

【図２１】図２１は、モモアカアブラムシに対する
（Ｅ）−β−Ｆａｒｎｅｓｅｎｅとペルメトリンとの混
用効果を示すグラフである。

【図２２】図２２は、モモアカアブラムシに対する
（Ｅ）−β−Ｆａｒｎｅｓｅｎｅとエトフェンプロック
スとの混用効果を示すグラフである。

【図２３】図２３は、モモアカアブラムシに対する
（Ｅ）−β−Ｆａｒｎｅｓｅｎｅとプロフェノホスとの
混用効果を示すグラフである。

【図２４】図２４は、モモアカアブラムシに対する
（Ｅ）−β−Ｆａｒｎｅｓｅｎｅとイミダクロプリドと
の混用効果を示すグラフである。

【図２５】図２５は、モモアカアブラムシに対する
（Ｅ）−β−Ｆａｒｎｅｓｅｎｅとマラチオンとの混用
効果を示すグラフである。

【図２６】図２６は、モモアカアブラムシに対する
（Ｅ）−β−Ｆａｒｎｅｓｅｎｅとアセフェートとの混
用効果を示すグラフである。

【図２７】図２７は、モモアカアブラムシに対する
（Ｅ）−β−Ｆａｒｎｅｓｅｎｅとジアフェンチウロン
との混用効果を示すグラフである。

【図２８】図２８は、モモアカアブラムシに対する
（Ｅ）−β−Ｆａｒｎｅｓｅｎｅとピメトロジンとの混
用効果を示すグラフである。

【図２９】図２９は、（Ｅ）−β−Ｆａｒｎｅｓｅｎｅ
の構造式を示すものである。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ａ０１Ｎ 47:06） (72)発明者 吉 野 公 啓 東京都中央区日本橋小舟町５の１ 長瀬産 業株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 （Ｅ）−β−Ｆａｒｎｅｓｅｎｅで表わ
   される化合物である第１成分と、ピレスロイド剤、有機
   燐剤、カ−バメ−ト剤等のアブラムシ防除剤を第２成分
   とする混合組成物を含むことを特徴とする農園芸用アブ
   ラムシ剤。
2. 【請求項２】（Ｅ）−β−Ｆａｒｎｅｓｅｎｅで表わさ
   れる化合物である第１成分と、ピレスロイド剤、有機燐
   剤、カ−バメ−ト剤等のアブラムシ防除剤である第２成
   分とを混合して用いることを特徴とするアブラムシ類の
   防除方法。