JPH075323A - 調光プラスチック基材の製造方法 - Google Patents

調光プラスチック基材の製造方法

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JPH075323A
JPH075323A JP5170942A JP17094293A JPH075323A JP H075323 A JPH075323 A JP H075323A JP 5170942 A JP5170942 A JP 5170942A JP 17094293 A JP17094293 A JP 17094293A JP H075323 A JPH075323 A JP H075323A
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carbon atoms
light
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JP5170942A
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English (en)
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Masayasu Nakanishi
正泰 中西
Hiroyuki Kobayashi
博之 小林
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 プラスチック基材の厚みの変化に起因した濃
度ムラが発生せず、一旦プラスチック基材に浸透した有
機調光物質が逆に抜け出ることが少なく、また、全く融
解温度、昇華温度の異なる有機調光物質の組み合わせで
あっても、いずれかの調光物質の含浸濃度が不十分とな
ることが少ない調光プラスチック基材およびその製造方
法を提供する。 【構成】 予め定められた温度下で、有機調光物質の蒸
気が拡散している気相と有機調光物質が溶解又は分散し
ている液相とが共に存在している密閉系内に、プラスチ
ック基材を放置又は/及び浸漬して得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、眼鏡用プラスチックレ
ンズを調光サングラス・調光ファッションレンズ等に用
いるための、例えば中・高濃度に染色する染色法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】調光プラスチック基材を製造する方法の
一つとして、溶剤染色方法がある。この溶剤染色方法に
は、例えば、ジエチレングリコール等のアルコール系溶
剤中に、スピロオキサジンのような有機調光物質を溶解
して120℃に加熱した中に、プラスチックレンズを浸
漬する染色方法(特開昭55−36284号)が挙げら
れる。溶剤染色方法は、レンズ基材を後加工により調光
性を持たせる方法であるため、眼鏡レンズのように多品
種少量生産となるものの生産に向いている方法である。
【0003】しかし、従来の溶剤染色方法では、有機調
光物質が高濃度に含浸した調光プラスチック基材を得る
ことは困難であった。これはプラスチック基材を浸漬し
た溶剤を高い温度で長時間加熱するため、有機調光物質
が加熱中大気中に逸散してしまうからである。
【0004】特に、例えば、含浸時の加熱温度が有機調
光物質の融解温度又は昇華温度に比べ高くなるクロメン
等のように融点又は昇華開始温度が低い有機調光物質の
場合では、一旦プラスチック基材に浸透した有機調光物
質が加熱中に逆に抜けてしまう傾向が著しく、また部分
的にムラを生じることもあった。
【0005】また、溶剤染色法によりブラウンやグレー
等の混合色の調光プラスチック基材を製造する場合は、
単独でイエロー・オレンジ・レッド・バイオレット・ブ
ルーに発色する有機調光物質を一種類ずつ逐次含浸させ
ることにより、目的のブラウンやグレー等の混合色のプ
ラスチック基材を得る方法が考えられる。
【0006】しかしこの方法では、最初に浸透した有機
調光物質が他の種類の有機調光物質の含浸中に抜けてし
まうため、十分な調光濃度を持つ調光プラスチック基材
が得られなかった。
【0007】また、複数の有機調光物質の同時に溶解・
分散させて含浸する方法においても、最適な含浸条件が
有機調光物質それぞれにより異なるため、いずれかの調
光物質の含浸が不十分となってしまい、所望の色調で且
つ充分な調光濃度を持つ調光プラスチック基材は得られ
なかった。
【0008】一方、単独ではイエロー・オレンジ・レッ
ド・バイオレット・ブルーに発色する有機調光物質を2
種類以上混合して熱可塑性樹脂へ練り込んでプラスチッ
ク基材を得る方法(特開平4−39382号)や熱硬化
性樹脂モノマーへ有機調光物質を分散させる方法(特開
平3−121181号)が提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、有機調
光物質を熱可塑性樹脂へ練り込んでプラスチック基材を
得る方法及び熱硬化性樹脂モノマーへ有機調光物質を分
散させる方法は、プラスチック基材中に含有される有機
調光物質の濃度ムラを防ぎ高濃度な調光プラスチック基
材を得ることが可能であるが、プラスチック基材全体に
均一に有機調光物質が含有されているため、例えば、プ
ラスチックレンズ等のように基材の部分により厚みが変
化するものでは、この厚みの変化に起因した濃度ムラが
発生する。
【0010】更に、上記の有機調光物質を熱可塑性樹脂
へ練り込んでプラスチック基材を得る方法及び熱硬化性
樹脂モノマーへ有機調光物質を分散させる方法は、溶剤
染色方法に比べてコストが高く、眼鏡レンズのように多
品種少量生産となるものの生産には向いていないという
難点があった。
【0011】本発明は、係る従来の問題点を解決すべく
なされたものであり、プラスチック基材の厚みの変化に
起因した濃度ムラが発生せず、一旦プラスチック基材に
浸透した有機調光物質が逆に抜け出ることが少ない調光
プラスチックの製造方法を提供することを目的とするも
のである。
【0012】また、本発明は、二種類以上の有機調光物
質によって混合色の調光プラスチック基材を製造する場
合に、例えば、スピロオキサジンとクロメンというよう
な全く融解温度、昇華温度の異なる有機調光物質の組み
合わせであっても、いずれかの調光物質の含浸濃度が不
十分となることが少ない調光プラスチックの製造方法を
提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成すべく、
本発明の請求項1に係る発明は、有機調光物質を使用し
た調光プラスチック基材の製造方法において、有機調光
物質の蒸気が拡散している気相と有機調光物質が溶解又
は分散している液相とが共に存在している密閉系内に、
予め定められた温度で、プラスチック基材を放置又は/
及び浸漬することを特徴とするものである。
【0014】また、本発明の請求項2に係る発明は、請
求項1の調光プラスチック基材の製造方法において、前
記気相中に複数種類の有機調光物質が拡散されているこ
とを特徴とするものである。
【0015】更に、本発明の請求項3に係る発明は、請
求項1及び2の調光プラスチック基材の製造方法におい
て、前記液相中に複数種類の有機調光物質が溶解又は分
散されていることを特徴とするものである。
【0016】また、本発明の請求項4に係る発明は、請
求項1の調光プラスチック基材の製造方法において、前
記予め定められた温度が、前記気相中の有機調光物質の
蒸発又は昇華温度以上であることを特徴とするものであ
る。
【0017】
【作用】本発明では、有機調光物質の蒸気が拡散してい
る気相と有機調光物質が溶解又は分散している液相とが
共に存在している密閉系内に、予め定められた温度で、
プラスチック基材を放置又は/及び浸漬するものである
ため、プラスチック基材表面から有機調光物質が含浸さ
れて、プラスチック基材表層部に有機調光物質が含浸し
た調光プラスチック基材が効率的に得られる。
【0018】これは次のような理由による。即ち、プラ
スチック基材表面部に付着した有機調光物質の挙動は、
再度気相中に蒸発して又は再度液相中に溶解又は分散し
てプラスチック基材から離れていくか、プラスチック基
材内部に浸透するかのいづれかである。つまり、プラス
チック基材に付着した有機調光物質は、プラスチック基
材と外部の相(気相及び液相)との境界線部分で一種の
平衡状態にあることがわかる。
【0019】即ち、プラスチック基材と外部の相(即
ち、気相及び液相)との境界線部分では、有機調光物質
の存在がほぼ一定の割合となっているため、有機調光物
質の存在割合に応じてプラスチック基材表面層に含浸す
る有機調光物質の浸透割合が定まる。
【0020】更に、固相中に浸透した有機調光物質は、
時間に応じて次第にプラスチック基材中に浸透すること
となる。これによって、プラスチック基材表層部に有機
調光物質が含浸したプラスチック基材が得られる。
【0021】そのため、溶媒に使用する物質は、プラス
チック基材に対する侵食性や溶媒の沸点等を考慮しなけ
ればならない。本発明では、特に、浸透速度と浸透時間
とを考慮して、有機調光物質と溶解度パラメーター(S
P値)が離れている物質を選択して用いることが好まし
い。
【0022】また、有機調光物質が溶解又は分散してい
る溶液中にプラスチック基材部材を膨張させるような溶
剤を添加すると、有機調光物質の含浸濃度がより高濃度
化される場合がある。
【0023】更に、有機調光物質を含浸させる際の加熱
にあたっては、ムラ発生の抑止や含浸速度向上のため必
要によっては撹拌を行うとよい。
【0024】本発明では、気相中に複数種類の有機調光
物質を拡散させることができる。この場合、一色ずつ多
段階に含浸する場合に生じていた初めに含浸された有機
調光物質が他の有機調光物質の含浸時にプラスチック基
材より抜け出るというような不都合がなく、効率的に調
光プラスチック基材が得られる。
【0025】また、本発明では、液相中に複数種類の有
機調光物質を溶解又は分散させることもできる。この場
合も、一色ずつ他段階に含浸する場合に生じていた始め
に含浸された有機調光物質が他の有機調光物質の含浸時
にプラスチック基材より抜け出るという不都合がなく、
効率的に調光プラスチック基材が得られる。
【0026】更に、プラスチック基材を放置又は/及び
浸漬するための密閉系内の温度は、前記気相中の有機調
光物質の蒸発又は昇華温度以上とすることが好ましく、
これによって、気相中における有機調光物質の含浸が最
適に行われるようになる。
【0027】また、前記密閉気内の設定温度は、前記プ
ラスチック基材及び前記有機調光物質が変質しない温度
であることが好ましく、これによって変質による有機調
光物質又はプラスチック基材の量の現象や、それに伴う
浸透現象の低下等の影響を受けずに効率的に調光プラス
チック基材を得ることができる。
【0028】更に、本発明においては公知のフォトクロ
ミック化合物が何ら制限なく採用される。中でも表面含
浸が容易であるためには分子量1000以下のフォトク
ロミック化合物が好ましい。
【0029】例えば、スピロピラン化合物、スピロオキ
サジン化合物、チオニン化合物、ビオローゲン化合物、
フルギドまたはフルギミド化合物、アゾベンゼン化合
物、ジチゾン金属化合物及びクロメンはその誘導体など
を挙げることができる。
【0030】本発明のフォトクロミック成形体をフォト
クロミックレンズとして用いる場合には、グレイ、アン
バー、ブラウン等の色調が求められ、これらの色調に調
整するためには、発色色調が黄〜橙色であるクロメン又
はその誘導体、ビオローゲン化合物又は、ジチゾン金属
化合物と、発色色調が赤〜青色であるスピロピラン化合
物、スピロオキサジン化合物、チオニン化合物、フルギ
ドまたはフルギミド化合物、アゾベンゼン化合物とを組
み合わせることが望ましい。
【0031】これらの中でも、発色濃度、退色速度及び
疲労寿命などのフォトクロミック特性や、本発明による
効果が顕著であるという理由から、スピロオキサジン化
合物とクロメン又はその誘導体との組み合わせ、及び、
フルギドまたはフルギミド化合物とクロメン又はその誘
導体との組み合わせが本発明において好適に採用され
る。
【0032】本発明において好適に使用されるフォトク
ロミック化合物であるスピロオキサジン化合物を化1に
示す。更にこの化1のスピロオキサジン化合物の一部を
構成する構造式を化2及び化3に示す。
【0033】
【化1】
【0034】
【化2】
【0035】
【化3】
【0036】但し、化2の構造式は、それぞれ置換され
ていてもよい芳香族炭化水素基又は不飽和炭素環基であ
り、化3の構造式は、次の化4又は化5の構成要素であ
る。化3の構造式が化4の構造式のときは、化1の化合
物中の R1 及び R2 は水素原子、又はアルキル基であ
り、 R1 と R2 は一緒になって環を形成していてもよ
く、 R3 はアルコキシカルボニルアルキル基である。
【0037】
【化4】
【0038】
【化5】
【0039】化1の化合物中の化2の構造式で示される
置換されてもよい芳香族炭化水素基を具体的に例示する
と、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、ア
ントラセン環等のベンゼン環1個またはその2〜4個の
縮合環から誘導される二価の基が挙げられる。
【0040】また、この芳香族炭化水素基に置換基が置
換していてもよい。かかる置換基の例としては、フッ
素,塩素,臭素,沃素の如きハロゲン原子;ヒドロキシ
ル基;シアノ基;ニトロ基;アミノ基;カルボキシル
基;メチルアミノ基;ジエチルアミノ基;の如き炭素数
1〜4のアルキルアミノ基;メチル基,エチル基,プロ
ピル基,t-ブチル基の如き炭素数1〜4の低級アルキル
基;トリフルオロメチル基,2-クロロエチル基などのハ
ロゲン原子を1〜3個有するハロゲン化低級アルキル
基;メトキシ基,エトキシ基,t-ブトキシ基の如き炭素
数1〜4の低級アルコキシ基;フェニル基,ナフチル
基,トリル基の如き炭素数6〜10のアリール基;フェ
ノキシ基,1-ナフトキシ基の如き炭素数6〜14のアリ
ールオキシ基;ベンジル基,フェニルエチル基,フェニ
ルプロピル基の如き炭素数7〜15のアラルキル基;ベ
ンジルオキシ基,フェニルプロボキシ基の如き炭素数7
〜15のアラルコキシ基及び炭素数1〜4のアルキルチ
オ基などが挙げられる。尚、これらの置換基は、同種で
あっても異種であってもよく、また位置は特に制限され
ない。
【0041】化1の化合物中の化2の構造式で示された
置換されてもよい不飽和炭素環基は、酸素,硫黄,窒素
原子を含む5員環,6員環又はこれらにベンゼン環又は
シクロヘキセン環が縮合した複素環基が挙げられる。具
体的には、ピリジン環,キノリン環,ピロール環,イン
ドール環等の含窒素複素環;フラン環,ベンゾフラン環
等の含酸素複素環;チオフェン環,ベンゾチオフェン環
等の含硫黄複素環等から誘導される二価の複素環基が挙
げられる。特に、ベンゼン環と5員環又は6員環の複素
環との2環系縮合複素環である場合には、高い発色濃度
が得られる。また、不飽和複素環基の置換基としては、
前述した芳香族炭化水素基の置換基が何ら制限なく採用
される。
【0042】また、化3の構造式が前記化5の構造式の
時は、化1の化合物中の R1 及び R2 は水素原子又はア
ルキル基であって少なくとも一方は炭素数2以上のアル
キル基であり、またはこれらが一緒になって環を形成し
ていてもよく、 R3 は水素原子,炭化水素基,アルコキ
シカルボニルアルキル基又はシアノアルキル基である。
【0043】さらに、化4及び化5の構造式中のR4
R5,R6,R7,R8,R9及びR10 は、それぞれ同一又は異な
る水素原子,ハロゲン原子,炭化水素基,アルコキシ
基,シアノ基,ハロゲノアルキル基,アミノ基,置換ア
ミノ基又はアルコキシカルボニル基である。
【0044】R4 及び R5 の少なくとも一方は、シアノ
基、ハロゲノアルキル基又はアルコキシカルボニル基で
あり、化5の構造式の一つであるである次の化6は、そ
れぞれ置換されてもよい芳香族炭化水素基又は不飽和複
素環基である。
【0045】
【化6】
【0046】化4及び化5の構造式中の R4 〜R10 のハ
ロゲン原子としては、フッ素,塩素,臭素等である。ま
た、上記の炭化水素基としては、アルキル基,アリール
基,アラルキル基等である。このうち、アルキル基は特
に限定されないが、一般には炭素数1〜10、好ましく
は1〜4であることが好適である。
【0047】このアルキル基をより具体的に例示する
と、メチル基,エチル基,イソプロピル基等である。ま
た、上述のアリール基は、炭素数6〜10であることが
好ましく具体的に例示すると、フェニル基,ナフチル基
等であり、アラルキル基としては、炭素数7〜14であ
ることが好ましく具体的には、ベンジル基,フェニルエ
チル基,フェニルプピロル基,ナフチルメチル基等が挙
げられる。
【0048】次に、 R4 〜R10 のアルコキシ基は特に制
限されないが、一般には、炭素数1〜10、好ましくは
1〜4であることが好適であり、具体的には、メトキシ
基,エトキシ基,イソプロボキシ基等を挙げることがで
きる。
【0049】上述のハロゲノアルキル基中のハロゲン原
子は、フッ素,塩素,臭素等であり、アルキル基は炭素
数1〜4のものが好適である。具体的には、トリフルオ
ロメチル基,トリクロロメチル基,トリブロモメチル基
である。
【0050】また、アミノ基又は、置換アミノ基の構造
は、下記に示す化7又は化8の構造式で表わされる。化
7の構造式中のR11 及びR12 は、各々同種又は異種の水
素原子,炭化水素基であることが好ましい。該炭化水素
基は、前記 R4 〜R10 で示したものと同じものが好適に
使用される。
【0051】
【化7】
【0052】
【化8】
【0053】更にまた、化8の構造式中のR13 は、テト
ラメチレン基,ペンタメチレン基などのアルキレン基;
-CH2CH(CH3)OCH2-,-CH2OCH2CH2-,-CH2CH2OCH2CH2- ,
-CH2O(CH3)3-などのオキシアルキレン基;-CH2S2CH2-,
-CH2S(CH3)3-,-CH2CH2OCH2CH2- などのチオアルキレン
基;-CH2N(CH3)CH2CH2- ,-CH2CH2N(CH3)CH2CH2-等のア
ゾキレン基であることが好ましい。
【0054】前記アルコキシカルボニル基は特に限定さ
れないが、一般には炭素数1〜5、好ましくは1〜3で
あることが好適である。このアルコキシカルボニル基を
より具体的に例示すると、メトキシカルボニル基,エト
キシカルボニル基等が挙げられる。
【0055】そして、化1の化合物中の R4 及び R5
うち少なくとも一方は、シアノ基,ハロゲノアルキル基
又はアルコキシカルボニル基でなければならない。これ
らの基を選択することによって、本発明に使用されるス
ピロオキサジン化合物は高温域においても良好なフォト
クロミック作用を示す。
【0056】次に化6の構造式は、夫々置換されてもよ
い芳香族炭化水素又は不飽和複素環基である。これらの
基は、すでに化2について説明した基が何ら制限されず
採用される。化6の構造式は、化1の化合物中の化3の
構造式で示される縮合環の3.4-位に縮合しており、この
ために本発明で使用されるスピロオキサジン化合物は高
温域でも良好なフォトクロミック作用を示す。
【0057】次に前記化1の化合物中の一般式で表わさ
れる化3の構造式が、化4の構造式のときは、 R1 及び
R2 は水素原子、又はアルキル基であり、 R1 と R2
一緒になって環を形成してもよく、 R3 はアルコキシカ
ルボニルアルキル基である。また、化3の構造式が化5
の構造式の時は、 R1 及び R2 は水素原子、又はアルキ
ル基であって少なくとも一方は炭素数2以上のアルキル
基であり、又はこれらが一緒になって環を形成してもよ
く、 R3 は水素原子,炭化水素,アルコキシカルボニル
アルキル基又はシアノアルキル基である。
【0058】上記のアルキル基は、特に限定されない
が、一般には炭素数1〜20、好ましくは1〜6である
ことが好適である。上記のアルキル基を具体的に例示す
ると、メチル基,エチル基,イソプロピル基等である。
また、 R1 と R2 が一緒になって環を形成している場合
には特に限定されないが、一般に炭素数5〜10のシク
ロアルキル環,ビシクロアルキル環,トリシクロアルキ
ル環が好適である。
【0059】これらをより具体的に例示すると、シクロ
ペンチル環,シクロヘキシル環,シクロヘプチル環,ノ
ルボルナン環,アダマンタン環,ビシクロ[3.3.1] ノナ
ン環から誘導される二価の基が挙げられる。これら R1
及び R2 は、いずれも一方が炭素数一以上のアルキル基
であり、他方が炭素数2以上のアルキル基であるか、又
は、これらが一緒になって環を形成していることが高温
域において良好な発色濃度を示すために好適である。
【0060】前記化1の化合物中、 R3 で示される炭化
水素基は特に限定されず、前記 R4〜R10 で述べた基が
採用される。
【0061】アルコキシカルボニルアルキル基中のアル
コキシ基は特に限定されないが、一般には炭素数1〜1
0、好ましくは1〜4のものが好適である。アルコキシ
カルボニルアルキル基中のアルキレン基は特に限定され
ないが、一般には炭素数1〜10、好ましくは1〜4の
ものが好適である。
【0062】アルコキシカルボニルアルキル基をより具
体的に例示すると、メトキシカルボニルメチル基,メト
キシカルボニルエチル基,メトキシカルボニルプロピル
基,エトキシカルボニルメチル基,エトキシカルボニル
エチル基,エトキシカルボニルブチル基,ブトキシカル
ボニルエチル基等である。
【0063】また、上記のシアノアルキル基は、特に限
定されないが、一般には炭素数1〜10、好ましくは1
〜4のものが好適である。シアノアルキル基を具体的に
例示すると、シアノメチル基,シアノエチル基,シアノ
プロピル基等である。
【0064】次に前記のスピロオキサジンとの組み合わ
せで好適に使用されるクロメン又はその誘導体は、以下
に述べる化合物である。クロメンは次の化9の化合物で
ある。また、このクロメンの誘導体は、化9の構造式の
クロメン骨格を有する化合物が何ら制限なく採用され
る。
【0065】
【化9】
【0066】本発明においては、特に次の化10の化合
物で示されるクロメン誘導体が優れたフォトクロミック
性を有するために好適に用いられる。更に、化10の化
合物の一部を構成する構造式を化11に示す。
【0067】
【化10】
【0068】
【化11】
【0069】但し、化11の構造式は、それぞれ置換さ
れていてもよい芳香族炭化水素基又は不飽和炭素環基で
あり、化10の化合物中の R1 及び R2 はそれぞれ同一
又は異なる水素原子,炭化水素基,置換アミノ基であ
り、またはこれらが一緒になって環を形成していてもよ
く、 R3 及び R4 はそれぞれ同一又は異なる水素原子,
炭化水素基又は置換アミノ基である。
【0070】化11の構造式で示される芳香族炭化水素
及び不飽和複素環基は、前記化1の化合物で示されるス
ピロオキサジン化合物の化2の構造式について説明した
基が採用される。また、これら芳香族炭化水素及び複素
環基の置換基が何ら制限されることなく採用される。
【0071】更に、化10の化合物には次の化12の構
造式で示される基が、一個又は二個置換していてもよ
い。
【0072】
【化12】
【0073】次に、化10の化合物中のR1,R2,R3及び
R4で示される炭化水素基及び置換アミノ基は、化1の化
合物で示したスピロオキサジン化合物の R4 〜R10 につ
いて説明したものと同様の炭化水素基及び置換アミノ基
が採用される。
【0074】また、化10の化合物中の R1 及び R2
は、一緒になって環を形成してもよく、この場合の環
は、前記化1の化合物中の R1 及び R2 について説明し
た環が何ら制限されることなく採用される。
【0075】前記したクロメン又はその誘導体の中でも
前記化10の化合物中の化11の構造式が二環以上の縮
合環であることが発色濃度が高いため好ましい。中でも
クロメン骨格の 7,8位に環が縮合した化合物がより好ま
しい。
【0076】また、化10の化合物中の R1 及び R2
環を形成している場合には、クロメン骨格の 5,6位に環
が縮合した化合物も好適に用いられる。
【0077】次に、本発明におけるフォトクロミック化
合物として前記のクロメン又はその誘導体との組み合わ
せで好適に使用し得るフルギド化合物又はフルギミド化
合物は、次のような化合物である。各々の構造式をフル
ギド化合物は化13に、フルギミド化合物は化14に示
す。フルギド化合物又はフルギミド化合物は、フォトク
ロミック性を有する化合物が何ら制限なく採用される。
【0078】
【化13】
【0079】
【化14】
【0080】本発明においては、フルギド化合物及びフ
ルギミド化合物としては、一般に次の化15で示される
化合物が用いられる。更に、化15の化合物の一部を構
成する構造式を次の化16及び化17に示す。
【0081】
【化15】
【0082】
【化16】
【0083】
【化17】
【0084】化15の化合物中の化16の構造式は、そ
れぞれ置換基を有していてもよい芳香族炭化水素又は不
飽和複素環基であり、式中のR11 は、それぞれ置換基を
有していてもよい一価の複素環基である。
【0085】また、化15の化合物の化17の構造式
は、それぞれ置換基を有していてもよいノルボルニリデ
ン基またはアダマンチリデン基であり、式中のX"は酸素
原子又は基>N-R12 ,基>N-A1-B1-(A2)m-(B2)n-R13
基>N-A3-A4 ,基>N-A3-R14を示す。
【0086】ここで、R12 は、水素原子,アルキル基又
はアリール基、A1,A2及びA3は、同一若しくは異なり、
アルキレン基,アルキリデン基,シクロアルキレン基,
又はアルキルシクロアルカン−ジイル基である。
【0087】更に、 B1 及び B2 は、同一もしくは異な
り、-O-,-(C=O)-,-O(C=O)-,-(C=O)O-,-O(C=O)O-,-(C=O)
-NH-,-NH-(C=O)- を示し、mおよびnは、それぞれ独立
して0または1を示すが、mが0のときはnは0であ
る。
【0088】R13 は各々置換基を有していてもよいアル
キル基,ナフチル基,又はナフチルアルキル基であり、
A4 は置換基を有していてもよいナフチル基、更に、R
14 はハロゲン原子,シアノ基又はニトロ基を示す。
【0089】化15化合物の一部の構造式である化16
で示される芳香族炭化水素及び不飽和複素環基は、前記
化1の化合物で示されるスピロオキサジン化合物の化2
の構成要素について説明した基が採用される。また、こ
れら芳香族炭化水素及び複素環基の置換基が何ら制限さ
れることなく採用される。
【0090】上記化16の構造式は、ハロゲン原子,ニ
トロ基,シアノ基,アミノ基,炭素数1〜4のアルキル
チオ基,炭素数1〜4のアルキル基及び炭素数1〜4の
アルコキシ基よりなる群から選ばれた原子又は基の少な
くとも一個によって、各々の場合に置換されていてもよ
い二価の芳香族炭化水素基又は二価の不飽和複素環基で
あるのが好ましい。
【0091】また、化16の構造式が、上記した各置換
基の1〜3個によって各々の場合に置換されていてもよ
い炭素数6〜14アリール基又は窒素原子,酸素原子及
び硫黄原子を一個含有する5員環又は6員環の単環複素
環基あるいは、該複素環基にベンゼン環又はシクロヘキ
セン環が縮合した縮合複素環基であるのは一層好まし
い。
【0092】更に、前記化16の構造式が、二価のベン
ゼン環,複素原子を一個含有する5員環又は6員環の単
環複素環又はこの複素環にベンゼン環或はシクロヘキセ
ン環が縮合した縮合複素環基であるものが好ましい。こ
れらベンゼン環,単環複素環又は縮合複素環には、前記
した置換基が1〜2個含まれているものも同様に好まし
い態様である。
【0093】前記化15の化合物におけるR11 は、それ
ぞれ置換基を有していてもよい一価の炭化水素基又は一
価の複素環基である。かかるR11 の炭化水素基としては
前記化1の化合物で示されるスピロオキサジン化合物の
R4 〜R10 について説明したものと同様の炭化水素基が
採用される。
【0094】また、R11 の複素環基としては、窒素原
子,酸素原子及び硫黄原子の如きヘテロ原子の少なくと
も一種を1〜3個、好ましくは1又は2個含む5員環又
は6員環の単環複素環或はこれにベンゼン環が縮合した
縮合複素環基が好ましい。かかる複素環基の具体例とし
ては、前記化16の構造式の定義において説明した不飽
和複素環基の例示の他に更に飽和のビベリジン環,ピペ
ラジン環,モルホリン環,ピロリジン環,インドリン
環,クロマン環などの飽和複素環基を挙げることができ
る。
【0095】前記したR11 の炭化水素基又は複素環基8
環基を有していても特にさしつかえない。かかる置換基
は、炭化水素基又は複素環基に対し、多くとも5個、好
ましくは3個まで含有することが望ましく、置換基の具
体例としては、前記化16の構造式において説明したも
のと同じ置換基を例示することができる。
【0096】上記R11 として好ましいのは、ハロゲン原
子,炭素数1〜4のアルコキシ基又はフェニル基で置換
されてもよい炭素数1〜20のアルキル基;ハロゲン原
子または炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されてもよ
い炭素数6〜10のアリール基;又は、窒素原子,酸素
原子及び硫黄原子を1〜3個、殊に一個含有する5員環
又は6員環の単環複素環或は該複素環基にベンゼン環が
縮合した縮合複素環基、殊に単環複素環基である。
【0097】更に、上記R11 として特に好ましいのは、
炭素数1〜6のアルキル基,炭素数7〜10のがアラル
キル基又は炭素数6〜10のアリール基である。本発明
における前記化15の化合物において、化17の構造式
は、それぞれ置換基を有していてもよいノルボルニリデ
ン基又はアダマンチリデン基を意味する。
【0098】ここで、置換基を有さないノルボルニリデ
ン基又はアダマンチリデン基のそれぞれの骨格構造をノ
ルボルニリデン基の構造式を次の化18に、アダマンチ
リデン基の構造式を次の化19に示す。
【0099】
【化18】
【0100】
【化19】
【0101】これらノルボルニリデン基又はアダマンチ
リデン基は、化18及び化19の構造式中の水素原子が
置換基により置換されていてもよく、その数は1個又は
それ以上であってもよい。置換基を有する場合、その種
類、数及び位置は、目的及び用途によって任意に選択さ
れる。また、複数の置換基を有する場合、同一の置換基
であっても良く、また異種の置換基であっても良い。
【0102】上記ノルボルニリデン基又はアダマンチリ
デン基の置換基としては、例えば、ヒドロキシ基;メチ
ルアミノ基,ジエチルアミノ基等の炭素数1〜4のアル
キルアミノ基;メトキシ基,エトキシ基, tert-ブトキ
シ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基;ベンジルオキシ
基等の炭素数7〜15のアラルコキシ基;フェノキシ
基,1−ナフトキシ基等の炭素数6〜14のアリールオ
キシ基;メチル基、エチル基,t−ブチル基等の炭素数
1〜4の低級アルキル基;フッ素,塩素,臭素等のハロ
ゲン原子;シアノ基;カルボキシル基;エトキシカルボ
ニル等の炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基;ト
リフルオロメチル基等の炭素数1又は2のハロゲン置換
アルキル基;ニトロ基;フェニル基、トリル基等の炭素
数6〜14のアリール基;フェニルエチル基,フェニル
プロピル基等の炭素数7〜15のアラルキル基,炭素数
1〜4のアルキルチオ基等が挙げられる。
【0103】これらの置換基の好ましい例としては、ハ
ロゲン原子,ヒドロキシ基,炭素数1〜4のアルキル
基,炭素数1〜4のアルコキシ基,炭素数2〜10のア
ルコキシカルボニル基,炭素数7〜9のアラルキル基ま
たは炭素数6〜10のアリール基である。
【0104】本発明における前記化15の化合物におい
て、X"は、酸素原子(-O- ),基>N-R12 ,基>N-A1-B
1-(A2)m-(B2)n-R13 ,基>N-A3-A4 又は基>N-A3-R14
示す。また、前記化15の化合物において、 X" が、基
>N-A1-B1-(A2)m-(B2)n-R13,基>N-A3-A4 又は基>N-A
3-R14、特に基>N-A3-A4 又は基>N-A1-B1-(A2)m-(B2)n
-R13 (但し、R13 はハロゲン原子、シアノ基およびニ
トロ基よりなる群から選ばれた1〜3個の原子又は置換
されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基であ
る。)であるのが、得られる化合物のフォトクロミック
性の耐久性の点から好ましい。
【0105】この化15の化合物中の X" が、上記した
基>N-A1-B1-(A2)m-(B2)n-R13 のうち、R13 がナフチル
基またはナフチルアルキル基である場合、及び基>N-A3
-A4である場合は、R13 又は A4 で示されるナフチル基
とイミド基(>N-)との間に挟まれた主鎖の原子数が3
〜7個の範囲であることがフォトクロミック作用の耐久
性に優れた化合物が得られるために好ましい。
【0106】次に、上記 X" におけるR12 、R13 、R
14 、A1、A2、A3、A4、B1、B2、mおよびnの定義につ
いて詳細に説明する。R12 は、水素原子、アルキル基又
はアリール基を示し、該アルキル基としては、例えばメ
チル基,エチル基,プロピル基,n-,iso-又はtert- ブ
チル基,ペンチル基,ヘキシル基,オクチル基,デシル
基などが挙げられるが、これらの中で炭素数1〜20の
もの、更に炭素数が1〜10のものが好ましい。また、
アリール基としては、例えば、フェニル基,トリル基,
又はナフチル基等炭素数6〜10のものが挙げられる。
【0107】A1,A2及びA3は、互いに同一であっても異
なっていてもよく、アルキレン基,アルキリデン基,シ
クロアルキレン基又はアルキルシクロアルカン−ジイル
基であることができる。
【0108】これらの具体例としては、例えば、メチレ
ン基,プロピレン基,ブチレン基,トリメチレン基,テ
トラメチレン基,又は2.2-ジメチルトリメチレン基など
の炭素数が1〜10のアルキレン基;エチリデン基,プ
ロピリデン基,又はイソプロピリデン基などの炭素数2
〜10のアルキリデン基;シクロヘキシレン基のごとき
炭素数3〜10のシクロアルキレン基;次の化20の構
造式に示す2−メチルシクロヘキサン−α,1−ジイル
基,次の化21の構造式に示す4−メチルシクロヘキサ
ン−α,1−ジイル基の如き炭素数6〜10のアルキルシ
クロアルカン−ジイル基が挙げられる。
【0109】
【化20】
【0110】
【化21】
【0111】A1 及び A2 としては、特に炭素数1〜6
のアルキレン基,炭素数2〜6のアルキリデン基,炭素
数3〜6のシクロアルキレン基,炭素数6〜7のアルキ
ルシクロアルカン−ジイル基が好ましい。また、 B1
び B2 は、互いに同一であってもよく、また異なってい
てもよく、-O-,-(C=O)-,-O(C=O)-,-(C=O)O-,-O(C=O)O-,
-(C=O)-NH-,-NH-(C=O)- の群の7つの結合基から選ばれ
る。更に、m及びnは、それぞれ独立して0又は1を示
すが、0を示すときには-(A2)m- または-(B2)n- は結合
手を意味する。また、mが0の時はnも0を表わす。
【0112】R13 は、それぞれ置換基を有してもよいア
ルキル基,ナフチル基,又はナフチルアルキル基を示
す。上記のアルキル基の炭素数は特に制限されないが1
〜10あることが好ましく、また、ナフチルアルキル基
のアルキル基の炭素数は、1〜4が好ましい。
【0113】上記した各基の置換基は特に制限されない
が、上記アルキル基は、ハロゲン原子、シアノ基及びニ
トロ基よりなる群から選ばれた1〜3個の原子又は基で
置換されていてもよく、また、上記ナフチル基またはナ
フチルアルキル基はハロゲン原子,シアノ基,ニトロ
基,炭素数1〜3のアルキルアミノ基,炭素数1〜3の
アルキル基及び炭素数1〜3のアルコキシ基よりなる群
から選ばれた1〜3個の原子又は基で置換されていても
よい。
【0114】上記のR13 で示されるアルキル基として
は、前記R12 において例示したアルキル基と同様のもの
を使用することができる。また、ナフチルアルキル基と
しては、ナフチルメチル基,ナフチルエチル基,ナフチ
ルプロピル基またはナフチルブチル基等を挙げることが
できる。
【0115】A4 は、置換基を有していてもよいナフチ
ル基を示す。置換基の種類は特に制限されないが、該ナ
フチル基は、ハロゲン原子,シアノ基,ニトロ基,炭素
数1〜3のアルキルアミノ基,炭素数1〜3のアルキル
基及び炭素数1〜3のアルコキシ基よりなる群から選ば
れた1〜3個の原子又は基で置換されていてもよい。ま
た、R14 は、ハロゲン原子,シアノ基またはニトロ基を
表わす。前記したR13及び A4 の定義において、ハロゲ
ン原子としては、フッ素,塩素又は臭素を挙げることが
できる。
【0116】本発明において使用する溶剤は、必要に応
じて、界面活性剤,pH調整剤,酸化防止剤,紫外線吸
収剤,赤外線吸収材等の物質を用いることもできる。例
えば、界面活性剤は、有機調光物質の分散性の向上や、
ムラの発生防止、有機調光物質のプラスチック基材への
強固な付着の抑制に効果があり、好ましくは、シリコン
系,フッ素系,アルキレングリコール系等を用いる。
【0117】また、例えば、pH調整剤は、有機調光物
質の劣化を防止する効果があり、使用する有機調光物質
の種類によって相違するが、好ましくは、アルカリ調整
剤として、アンモニア水,トリエタノールアミン,酢酸
カリウム,燐酸水素二ナトリウム等を用い、酸性調整剤
として、希硫酸,シュウ酸,燐酸二水素カリウム等を用
いる。
【0118】
【実施例】
[実施例1〜11] (1)レンズの染色 溶媒X300gに溶質の有機調光物質Y1gを溶解して
分散させた溶液とレンズZとをステンレス製の円筒状の
容器(内径75φ、高さ100mm)に入れて密封し
た。表1に実施例1〜11の溶媒Xと有機調光物質Yと
レンズZとのそれぞれの組み合わせを示す。
【0119】
【表1】
【0120】ここで、表1中の有機調光物質YであるC
R1の構造式は化22に、CR2の構造式は化23に、
SP1の構造式は化24に、SP2の構造式は化25
に、FG1の構造式は化26に示す。
【0121】
【化22】
【0122】
【化23】
【0123】
【化24】
【0124】
【化25】
【0125】
【化26】
【0126】前述の密閉した円筒状の容器を70℃の恒
温槽に入れ、30分で130℃まで昇温させ、130℃
で3時間保持した。その後、15分で70℃まで冷却
し、レンズを取り出してエタノールで手拭き洗浄した。
【0127】比較例1としてステンレス製の円筒状の容
器(内径75φ、高さ100mm)を密封しなかったこ
と以外は、全て実施例1と同様にしてレンズを染色し
た。
【0128】比較例2としてステンレス製の円筒状の容
器(内径75φ、高さ100mm)を密封しなかったこ
と以外は、全て実施例6と同様にしてレンズを染色し
た。
【0129】(2)レンズの評価 それぞれ得られたレンズにキセノンランプ(紫外線強度
2000μW/cm2)を10分間照射した後、目視に
よりレンズの色調を評価し、分光光度計(大塚電子株式
会社製MDP−200)により透過率を測定した。
【0130】表2に実施例1〜11及び比較例1、2の
キセノンランプ照射前及び照射後の色調と、キセノンラ
ンプ照射後の最大吸収波長(nm)及びその波長におけ
る透過率(%)を示す。
【0131】
【表2】
【0132】[実施例12] (1)レンズの染色 34空パック用密閉袋中に下記溶媒に下記有機調光物質
を溶解して分散させた溶液と含硫ウレタン製レンズとを
入れ、熱シールにて密封した。(尚、有機調光物質の略
称は実施例2に示した略称と同様である。)
【0133】 溶媒: エチレングリコール 100g プロピレングリコール 100g グリセリン 100g 酢酸カリウム 0.5g ベンゾトリアゾール系 0.5g 紫外線吸収剤
【0134】 溶質: SP1 0.02g SP3 0.05g CR1 0.01g CR2 0.01g
【0135】次に、レンズの入った密閉袋を70℃の恒
温槽に入れ、30分で140℃まで昇温させ、更に14
0℃で6時間保持した。その後、15分で70℃まで冷
却し、レンズを取り出してエタノールで手拭き洗浄し
た。
【0136】洗浄したレンズをプラズマで前処理してか
ら、高屈折率シリコーン系ハードコートを施し、更にそ
の上に反射防止加工を施した。
【0137】(2)レンズの評価 それぞれ得られたレンズにキセノンランプ(紫外線強度
2000μW/cm2)を10分間照射した後、目視に
よりレンズの色調を評価し、分光光度計(大塚電子株式
会社製MDP−200)により透過率を測定した。
【0138】その結果、得られたレンズの色調は無色か
らブラウンに変化し、最大吸収波長(620nm)での
透過率は、55%であった。
【0139】
【発明の効果】本発明では、プラスチック基材表層部分
に有機調光物質が含浸された調光プラスチック基材を得
ることができるため、例えば、プラスチックレンズ等の
ように厚みが変化するプラスチック基材であっても濃度
ムラのないプラスチック基材を得ることができる。
【0140】また、本発明では、二種類以上の有機調光
物質によって混合色の調光プラスチック基材を製造する
場合、密閉系で含浸を行っているため、色々な種類の有
機調光物質を何度も含浸させる必要がなく、効率的であ
る。
【0141】更に、本発明では、例えば、スピロオキサ
ジンとクロメンというような全く融解温度、昇華温度の
異なる有機調光物質の組み合わせであっても、いずれか
の調光物質の含浸濃度が不十分となることなく、調光プ
ラスチック基材およびその製造方法を提供することをで
きる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機調光物質を使用した調光プラスチッ
    ク基材の製造方法において、 予め定められた温度下で、有機調光物質の蒸気が拡散し
    ている気相と有機調光物質が溶解又は分散している液相
    とが共に存在している密閉系内に、プラスチック基材を
    放置又は/及び浸漬することを特徴とする調光プラスチ
    ック基材の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記気相中に複数種類の有機調光物質が
    拡散されていることを特徴とする請求項1に記載の調光
    プラスチック基材の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記液相中に複数種類の有機調光物質が
    溶解又は分散されていることを特徴とする請求項1及び
    2に記載の調光プラスチック基材の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記予め定められた温度が、前記気相中
    の有機調光物質の蒸発又は昇華温度以上であることを特
    徴とする請求項1に記載の調光プラスチック基材の製造
    方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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