JPH075219A - 高電圧機器の常時絶縁監視システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 絶縁低下個所の特定を行えるようにする。 【構成】 接地変圧器５の高圧側中性線６に磁気的に結
合させた電流変成器７に接続された電源８から商用周波
数よりも十分高い周波数の絶縁監視電圧が供給され、そ
れが各受変電設備１０に引き込まれる各々のフィーダ２
に個別に設けた零相変流器４によって検出され、その信
号と電源８から発生する信号とによって誘電体正接、絶
縁抵抗、静電容量が絶縁監視盤２０によって演算され
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、受変電設備あるいは配
電盤等の高電圧機器系統に用いられる高電圧機器の常時
絶縁監視システムに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】高電圧機器の絶縁監視を行うものとして
従来、例えば図３に示すものがあり、図において、１は
高圧母線、２はこの高圧母線１から分岐延長された高圧
ケーブル、３は高圧ケーブルのケーブルヘッド部分、９
は高圧ケーブルにセットされた零相変流器である。また
１０は高圧ケーブルに接続された受変電設備機器群を示
し、通常これらは金属製の箱体に収容される。１１は高
圧ケーブル２の受電側ケーブルヘッド、１２は断路器、
１３は遮断器、１４は変圧器である。１５は変圧器１４
で降圧された低定電圧電力を開閉保護する低圧用開閉器
である。このような構成の装置において、零相変流器９
の出力電流ｉ０は絶縁監視盤３０に入力され、そのレベ
ルが警戒レベルを越えると例えば接点出力信号を発生し
＃１Ｆ、＃２Ｆ、＃３Ｆ・・・・の複数の高圧系の中か
ら警戒レベルを越えたフィーダの遮断器１３をとリップ
させるようになっている。

【０００３】この回路は図４および図５に１相分を示す
等価回路およびベクトル図のように任意フィーダの零相
電流Ｉ０は高圧母線電圧Ｖ０に対して対地絶縁抵抗Ｒを
経由して電圧Ｖ０と同相の電流成分ＩＲと、それより９
０度進んだ対地静電容量Ｃを経由して流れる電流成分Ｉ
Ｃからなる。３相交流の場合、３相分の電流が加算され
るが、同相分の電流値がそれぞれ等しく、９０度進み分
もそれぞれ等しければ零相電流Ｉ０は零となる。このた
め、もしある位相のフィーダが地絡あるいは絶縁劣化に
ともなう絶縁抵抗の低下が発生するとバランスが崩れ、
零相電流が検出され、異常であると判断される。しかし
各相の対地静電容量は完全には等しくないので、９０度
進み分が零にならず、しかもこの９０度進み分の値が対
地絶縁抵抗Ｒに流れる同相分よりも１００から１０００
倍程度であることから絶縁抵抗の劣化が検出できないと
いう問題がある。

【０００４】このため、例えば特開平３−８１６７１号
公報に開示されているように、母線に接続された被診断
装置の接地線に磁気誘導セットしたクランプ形変成器を
設けその１次側に商用周波数より十分高い周波数の高周
波電流を供給し、その母線上の他の機器の接地線に磁気
誘導セットしたクランプ形電流センサから高周波電流に
起因する漏れ電流を検出して被診断装置の絶縁抵抗、誘
電体損失率、静電容量を演算表示するものが提案されて
いる。この先行例によれば、漏れ電流を同相分と９０度
進み分に分解して演算を行っているので、前述の問題は
解決する。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながらこのよう
な方法では装置全体の絶縁低下は測定できても、それが
どの部分に起因するものであるかの判断を行えないとい
う問題を有していた。本発明はこのような状況に鑑みて
なされたものであり、絶縁低下個所の特定を行えるよう
にしたものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るために本発明は、零相電圧を得るための接地変圧器の
高圧側中性線に磁気的に結合させた電流変成器（７）
と、電流変成器に商用周波数よりも十分高い周波数の絶
縁監視電圧を供給する電源（８）と、各受変電設備に引
込まれる各々の高圧ケーブル（２）に個別に設けた零相
変流器（４）と、零相変流器から得られた信号と電源か
ら発生する信号とによって誘電体正接、絶縁抵抗、静電
容量を演算する絶縁監視盤（２０）とを備えたものであ
る。

【０００７】

【作用】接地変圧器の高圧側中性線に磁気的に結合させ
た電流変成器に接続された電源から商用周波数よりも十
分高い周波数の絶縁監視電圧が供給され、それが各受変
電設備に引き込まれる各々のフィーダに個別に設けた零
相変流器によって検出され、その信号と電源から発生す
る信号とによって誘電体正接、絶縁抵抗、静電容量が演
算され絶縁監視が行われる。

【０００８】

【実施例】図１は本発明の一実施例を示す回路図であ
り、図３と同一部分は同記号を用いることによってその
説明を省略している。４は従来の零相変流器よりも位相
角誤差の小さくかつ電流検出分解能の高い零相変流器で
ある。５は方向性地絡継電器等の入力信号としての零相
電圧を得るための接地変圧器であるが、この変圧器の高
圧側中性線６に磁気的に結合される分割形の電流変成器
７を設置し、この２次側から商用周波数と異なる周波数
の電源８により励磁することによって、中性線に絶縁監
視電圧ＶＳを重畳印加する。

【０００９】この絶縁監視電圧ＶＳは電流変成器７およ
び接地変圧器５を介して高圧母線１にも重畳され、これ
によって各フィーダ＃１Ｆ、＃２Ｆ・・・・は商用周波
電圧と絶縁監視電圧ＶＳが重畳課電される。各高圧ケー
ブル２に接続された受変電設備機器１０の各々にもこの
重畳電圧が加わるので、絶縁監視電圧ＶＳの大きさ、周
波数に対応した漏れ電流が各フィーダ２を通して流れる
ことになる。

【００１０】この漏れ電流は高性能の零相変流器４によ
って検出され絶縁監視盤２０に供給される。一方、絶縁
監視盤２０には基準信号として周波数ｆの監視電圧ＶＳ
ｆも入力されており、図２のベクトル図に示すような解
析が行われる。すなわち、漏れ電流ｉ０の中から絶縁監
視盤２０によって周波数ｆで弁別増幅された電流成分Ｉ
０ｆが監視電圧ＶＳｆと同相の成分ＩＲｆと９０度進み
の成分Ｉｃｆに分解され、以下の演算が行われ、絶縁監
視盤２０に表示されると同時にこれらのアナログ信号が
出力される。

【００１１】誘電体正接 ｔａｎδ＝ＩＲｆ／Ｉｃｆ 絶縁抵抗 Ｒ＝ＶＳｆ／ＩＲｆ 静電容量 Ｃ＝Ｉｃｆ／２πｆ・ＶＳｆ 以上のように誘電体正接ｔａｎδおよび絶縁抵抗Ｒを分
離して検出できる。そして、各高圧ケーブル２の各々に
変流器４を挿入し、その部分で漏れ電流を検出してい
る。更に受変電設備群１０は断路器１２、遮断器１３、
変圧器１４を備えているので、断路器１２または遮断器
１３を必要に応じてオフにすることができるようになっ
ている。このことによってどの高圧ケーブル２側の異常
であるかあるいは受変電設備群１０側の異常であるか、
あるいは受変電設備群１０が特定された場合、その内の
どの部分が異常であるかを検出することもできる。

【００１２】また、絶縁監視盤２０は電流ｉ０をスキャ
ナによって切り換え選択すればより故障個所を発見し易
くなる。なお、変流器７は常時監視することから発熱の
関係で分割形を使用しているが、放熱対策を行うなど、
発熱の問題が解決されれば貫通形のものを使用しても良
い。

【００１３】

【発明の効果】以上説明したように本発明は、母線に接
続された接地変圧器の中性線に電流変成器を挿入し、そ
の電流変成器に商用周波数よりも十分高い周波数の診断
信号を供給し、それを各受変電設備機器毎に設けられて
いる高圧ケーブルの各々に挿入した零相変流器によって
検出するようにし、更に零相変流器によって検出された
信号を電流変成器に供給して誘電体正接を検出するよう
にしたので、各受変電設備毎の絶縁抵抗劣化が９０度進
み電流によってマスクされることなく検出できるという
効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の構成を示す回路図である。

【図２】図１の電流ベクトルを示す図である。

【図３】従来装置の一例を示す回路図である。

【図４】同相成分と９０度進み成分が発生する状態を説
明するための図である。

【図５】図４の電流ベクトルを示す図である。

【符号の説明】

１ 高圧母線 ２ 高圧ケーブル ３ 端末処理部 ４ 零相変流器 ５ 接地変圧器 ６ 中性線 ７ 監視電圧重畳用変流器 ２０ 絶縁監視盤

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 断路器、遮断器、変圧器を備えた複数の
   高圧受変電設備の絶縁を監視する高電圧機器の常時絶縁
   監視システムにおいて、 零相電圧を得るための接地変圧器の高圧側中性線に磁気
   的に結合させた電流変成器と、 前記電流変成器に商用周波数よりも十分高い周波数の絶
   縁監視電圧を供給する電源と、 各受変電設備に引き込まれる高圧ケーブルに個別に設け
   た零相変流器と、 前記零相変流器から得られた信号と前記電源から発生す
   る信号とによって誘電体正接、絶縁抵抗、静電容量を演
   算する絶縁監視盤とを備えたことを特徴とする高電圧機
   器の常時絶縁監視システム。