JPH0752121A - 陶磁器板およびその製造方法 - Google Patents

陶磁器板およびその製造方法

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JPH0752121A
JPH0752121A JP19866293A JP19866293A JPH0752121A JP H0752121 A JPH0752121 A JP H0752121A JP 19866293 A JP19866293 A JP 19866293A JP 19866293 A JP19866293 A JP 19866293A JP H0752121 A JPH0752121 A JP H0752121A
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寿雄 清水
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征雄 野田
Moichi Murata
茂一 村田
Teruki Ueda
輝基 上田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 表面に波型の凹凸変形がなく、全体の反りや
変形も少なく、強度特性も優れている薄型で大型形状の
陶磁器板を提供する。 【構成】 この陶磁器板は、軟化温度が低いシート状焼
成体と軟化温度が高いシート状焼成体とが、層状に2層
以上積層されているものである。この陶磁器板は、陶磁
器材料の粉末と繊維材料とガラス転移点10℃以下の有
機質材料から成る少なくとも2種類のスラリーから、焼
成後における軟化温度が異なるシート状成形体を抄造
し、これらシート状成形体を2枚以上積層して一体化
し、その積層体全体を焼成して製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は抄造法を利用して製造さ
れる陶磁器板とその製造方法に関し、更に詳しくは、薄
く大型形状であっても反りや変形が少なく、また強度特
性も優れ、主として、建築の外壁材、内壁材、床材など
に使用して好適な陶磁器板とそれを製造する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、大型形状の陶磁器板の市場が急速
に拡大している。この大型陶磁器板は、取扱いの容易さ
や施工のしやすさのことを考えて、軽量であることが要
求され、通常は薄板として製造されている。しかし、陶
磁器板がたとえ薄板であったとしても、その陶磁器板は
外部からの衝撃に対する充分に優れた強度特性を備え、
また、反りや変形などがなく、良好な寸法精度を備えて
いることが必要とされる。
【0003】このような薄い陶磁器板の製造方法として
は、通常、抄造法が適用されていて、例えば、特公昭6
0−3038号公報に次のような方法が提案されてい
る。すなわち、ハイ土粉末と繊維材料とを必須成分とす
るスラリーを抄造して所定量の含有水分を有する陶磁器
板シートを製造し、また、釉薬と繊維材料とを必須成分
とするスラリーを抄造して所定量の含有水分を有する釉
薬シートを製造し、両シートを重ね合わせ、それをロー
ル型プレス機を用いて一体化したのち焼成するという方
法である。
【0004】また、本発明者らは、陶磁器材料の粉末と
繊維材料とバインダ成分とから成るスラリーを抄造して
薄い抄造シートを製造し、その抄造シートを必要枚数だ
け積層したのち、全体を加圧してこれら抄造シートを一
体化し、得られた積層体を焼成して同一組成のシート状
焼成体から成る多層構造の陶磁器板の製造方法を提案し
た(特願平4−58906号参照)。
【0005】ところで、陶磁器板は、全体として反りや
変形のないことと同時に、その表面が平滑でかつ緻密な
構造になっていることが好ましい。表面が平滑であるこ
とは、表面に波型の凹凸がないことであって陶磁器板の
美観が良くなることであり、また表面が緻密な構造にな
っていることは、陶磁器板の吸水性が低く、吸水などに
よる表面の汚染や、凍害や、傷のつきやすさという問題
が発生することを抑制できるからである。
【0006】前記した抄造法を利用して表面が緻密な構
造の陶磁器板を製造しようとする場合には、通常、その
抄造シートをたとえばローラーハースキルンのローラー
上を移動させながら、焼結温度近辺の温度で抄造シート
を焼成して、抄造シート全体の焼き縮みを促進するとい
う方法が採用されている。しかしながら、抄造シートを
その焼結温度近辺の温度に加熱すると、抄造シートは全
体として軟化し、その軟化した状態でローラー上を移動
していく。そのため、たとえばキルンの温度がわずかで
あっても変動すると、軟化している抄造シートは自重で
垂れ下がり、その結果、焼成シートの表面には波型の凹
凸が発生しやすくなり、平面の平滑性が阻害されるとい
う問題が引き起こされてくる。
【0007】前記した特願平4−58906号に記載の
方法で製造した陶磁器板は、耐衝撃性や強度特性に優
れ、また全体としての反りや変形もなく寸法精度に優れ
ているものであるが、その表面を緻密な構造にしようと
すると、その表面には上記した理由で、やはり波型の凹
凸変形が発生することがある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特願平4−
58906号に記載の方法で製造した陶磁器板とその製
造方法における上記した問題を解決し、耐衝撃性や強度
特性に優れ、全体としての反りや変形がないことは勿論
のこと、表面が緻密な構造で、かつ表面には波型の凹凸
変形が発生していない陶磁器板とその製造方法の提供を
目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明においては、いずれも陶磁器材料を主成
分とするシート状焼成体が2層以上積層されている陶磁
器板であって、前記シート状焼成体のうちの少なくとも
2種は、互いに軟化温度を異にしていることを特徴とす
る陶磁器板が提供され、また、陶磁器材料の粉末、繊維
材料、およびガラス転移点が10℃以下の熱可塑性有機
質材料を必須成分とする少なくとも2種類のスラリーで
あって、それぞれのスラリーを抄造して成るシート状成
形体を焼成したときに、それぞれの軟化温度が異なる温
度になるような少なくとも2種類のスラリーを調製し、
それぞれのスラリーから少なくとも2枚のシート状成形
体を別々に抄造し、得られた各シート状成形体を積層し
て少なくとも2層構造の積層体にし、その積層体を加圧
して一体化したのち焼成することを特徴とする陶磁器体
の製造方法が提供される。
【0010】本発明の陶磁器板は、後述するスラリーを
抄造して成るシート状成形体を少なくとも2枚積層し、
その積層体を加圧することにより前記シート状成形体を
互いに圧着して一体化し、ついで全体を焼成することに
より、各シート状成形体を、陶磁器材料を主成分とする
シート状焼成体に転化して製造される。ここで、積層す
る各シート状成形体は後述するスラリーを抄造して得ら
れるものであり、それらのうちの少なくとも2枚は、そ
れらを焼成してシート状焼成体にしたときに、それぞれ
のシート状成形体の軟化温度が異なった温度になるよう
なスラリーで構成されているものである。具体的には、
組成や、主成分である陶磁器材料の種類などを調整して
得られるスラリーを抄造して成る抄造シートである。
【0011】したがって、本発明の陶磁器板は、軟化温
度が異なっているシート状焼成体が、2層以上、積層し
ている多層構造になっている。なお、本発明でいう軟化
温度は次のようにして求められた値をいう。すなわち、
まず、焼成して得られた陶磁器板の表面から染料水を厚
み方向に含浸させる。シート状焼成体の各層はそれぞれ
孔構造が異なっているのでその孔構造の違いに対応し
て、各層の染色状態に濃淡差が生ずる。したがって、こ
の各層の濃淡差をたとえばマイクロファイバースコーブ
で拡大観察すれば、各層相互間の界面を識別することが
でき、同時に各層の厚みも測定することができる。
【0012】各層の間の孔構造の違いが小さい場合は、
EPMAによって厚み方向における組成の差を求め、そ
のことによって各層を識別することができる。このよう
にして、各シート状焼成体を識別したのち、陶磁器板を
注意深くスライスして、測定対象のシート状焼成体の層
を試料として採取し、その試料を炉内で加熱して変形を
開始する温度のことをいう。
【0013】具体的には、上記した試料を、厚み2mm、
幅10mm、長さ100mmの板体に加工し、その板体を、
間隔が80mm離れている2個の支点の上に左右対称にし
て載せ、その状態のまま電気炉内にセットして昇温速度
10℃/分で加熱していき、板体の中央部における垂下
量が板体の厚みの10%の値に達した時点の温度をもっ
て軟化温度とする。
【0014】なお、上記したシート状成形体を焼成する
時に、その焼成温度を高めていくと、成形体内の熱分解
成分はそれぞれの分解温度で熱分解してガス化し揮散し
ていくが、同時にその成形体は熱収縮して緻密化してい
く。このとき、焼成温度が高温になればなるほど、緻密
化の度合いは進む。そして、焼結が完了した時点では、
成形体の表面に開口していた微細孔などは閉塞して、表
面は無孔状態に近似した緻密構造になる。
【0015】したがって、そのような表面状態になる
と、得られた焼成体は実質的に吸水しなくなるので、こ
こにシート状焼成体の吸水率はゼロとして観測される。
ここで、上記した吸水率は次のようにして求められた値
とする。すなわち、上記した軟化温度の測定時と同じよ
うにして、焼成して得られた陶磁器板を注意深くスライ
スして、測定対象のシート状焼成体の層を試料として採
取し、その試料を105℃で3時間乾燥したのちデシケ
ータの中で室温まで放冷し、試料の重量(W1)を秤量
し、ついで、試料を室温下で水中に24時間浸漬して吸
水させたのち、表面の水分を拭き取りその重量(W2)を
秤量し、次式: (W2 −W1 ) ×100/W1 に基づいて算出される値である。
【0016】本発明の陶磁器板を製造するときの焼成過
程を考えると、焼成される積層体の中には、相対的に焼
結温度が高いシート状成形体と相対的に焼結温度が低い
シート状成形体の少なくとも2層が含まれている。そし
て、これらシート状成形体の焼成温度は両者とも同一に
なっている。しかし、その焼成温度がそれぞれのシート
状成形体に与える影響は同一ではない。
【0017】すなわち、そのときの焼成温度は、相対的
に焼結温度が低いシート状成形体に対してはそのシート
状成形体が有している固有の焼結温度の影響に類似した
影響を及ぼし、また相対的に焼結温度が高いシート状成
形体に対してはそのシート状成形体が有している固有の
焼結温度の影響は比較的かけ離れた影響を及ぼしている
ことになる。
【0018】したがって、その焼成温度においては、相
対的に焼結温度が低いシート状成形体が転化したシート
状焼成体は相対的に緻密構造になっていてその強度も高
く、そのため軟化温度も相対的に高くなる。一方、相対
的に焼結温度が高いシート状成形体が転化したシート状
焼成体は相対的に粗密構造になっていてその強度も低い
状態にあり、そのため軟化温度も相対的に低くなる。
【0019】そのため、焼成過程では、相対的に焼結温
度が高いシート状焼成体(軟化温度が高いシート状焼成
体)の強度によって、相対的に焼結温度が低いシート状
焼成体(軟化温度が低いシート状焼成体)の強度の弱さ
は補完されることになり、その結果、焼成過程における
積層体の軟化に伴う垂れ下がりは抑制され、全体の表面
における波型の凹凸変形は抑制されるようになる。
【0020】したがって、たとえば、軟化温度が相対的
に低くなるシート状成形体を表面層に、また軟化温度が
相対的に高くなるシート状成形体を裏面層に用いること
により、表面が緻密な構造でかつ波型の凹凸変形が発生
していない陶磁器板を製造することができる。本発明の
陶磁器板においては、それを構成する少なくとも2層の
シート状焼成体間で、軟化温度の差が、10℃以上に調
整されていることが好ましい。とくに20℃以上に調整
されていることが好ましい。
【0021】各シート状成形体間における軟化温度の差
が10℃よりも小さいような状態の場合は、実際に適用
する焼成温度の管理が困難になり、そのため上記したよ
うな効果を得にくくなる。しかし、この温度差を過度に
大きくすると、得られる陶磁器板の特性のバランスが崩
れるようになるので、通常、300℃以内、好ましくは
100℃以内、さらに好ましくは50℃以内に設定され
る。
【0022】本発明の陶磁器板は、上記したシート状焼
成体の多層構造体として製造されているものである。そ
のときの層数は、2層以上であればよく格別限定される
ものではないが、3層は好適であり、より好ましくは5
層以上である。これらシート状焼成体の層数が多くなる
と、陶磁器板全体の均質性が高まり、また焼成過程にお
ける各シート状成形体の熱収縮も均一化して、焼成後の
陶磁器板に反りや歪みなどが発生しにくくなり、更に、
全体の強度も高くなるという利点がある。層数は2であ
ってもよいが、上記した理由で3層以上、好ましくは5
層以上にする。しかし、層数が過度に多くなると、シー
ト状成形体の積層体に後述する加圧処理を施すときに、
加圧効果が減退して各シート状成形体を全体として一体
化することが困難になり、また生産設備の関係もあるの
で、一般的には、層数の上限は20とする。
【0023】なお、後述する焼成過程で、各シート状焼
成体の界面では、それぞれの成分が互いに混在しあって
中間層を形成することもあるが、本発明においては、こ
の中間層はシート状焼成体の層として数えない。なお、
この中間層は隣接する層の成分が混在して焼成されたも
のであるため、いわば、隣接する層を接着する層として
機能するので層間剥離を抑制するという効果を発揮す
る。
【0024】これらシート状焼成体の積層状態は、陶磁
器板全体に求められている用途や性能との関係で適宜に
選定される。2層構造の場合は、表面(裏面)および裏
面(表面)は、それぞれ、上記した軟化温度が低いシー
ト状焼成体と軟化温度が高いシート状焼成体で構成され
ることになるが、3層以上の多層構造の場合は、少なく
とも表面層は軟化温度が低いシート状焼成体で構成し、
裏面層は軟化温度が高いシート状焼成体で構成すること
が好ましい。
【0025】また、表面層から裏面層にかけて軟化温度
が順次高くなっていくシート状焼成体の多層構造にして
もよい。本発明の陶磁器板における各シート状焼成体の
厚みは、目的とする陶磁器板の厚みや特性などとの関係
で適宜に決められるが、通常、0.1〜2mmにすることが
好ましい。その場合、各シート状焼成体の厚みはそれぞ
れ同じであっても異なっていてもよい。
【0026】このシート状焼成体の厚みは、用いるシー
ト状成形体の厚みによって規定される。そして、用いる
シート状成形体の厚みは、後述するスラリーの組成や抄
造条件を適宜に選定することにより調整することができ
る。また、薄く、組成が同じであるシート状成形体を所
望の枚数だけ積層して、その積層体をもって、所望の厚
みでかつ当該組成のシート状成形体として使用すること
もできる。
【0027】本発明の陶磁器板を製造するときの焼成過
程では、積層されているシート状成形体はその組成に対
応した熱収縮率で収縮する。その場合、焼成後の性質が
異なる2枚のシート状成形体の相互の界面では、各シー
ト状成形体の熱収縮率の違いに基づき、形成されてくる
シート状焼成体の界面には歪み応力が内在することにな
る。
【0028】したがって、この陶磁器板に外部から衝撃
力が加わった場合でも、歪み応力が内在している界面で
小破壊が進行してその衝撃力を吸収または分散させるこ
とになり、その結果、陶磁器板の厚み方向に向かう衝撃
力の伝播が大幅に抑制され、クラックの発生が抑制され
ることになる。また、焼成後の熱膨張係数が異なる2枚
のシート状成形体が互いに圧着した状態で焼成される
と、その焼成過程では、熱膨張係数が小さくなる層には
圧縮応力が発生し、熱膨張係数が大きくなる層には引張
り応力が発生する。
【0029】したがって、隣接するシート状焼成体に発
生するそれぞれの応力を適正化すれば、得られた陶磁器
板の反りや変形の発生を抑制することができると同時
に、陶磁器板それ自体の強度も大幅に高めることができ
る。このようなことを勘案すると、互いに隣接するシー
ト状焼成体の間では、熱膨張係数の差が、0.2×10-6
〜2.0×10-6/℃となるように各シート状焼成体の熱
膨張係数が調整されていることが好ましい。とくに、0.
5×10-6〜1.0×10-6/℃に調整されていることが
好ましい。熱膨張係数の差が0.2×10-6/℃よりも小
さい場合には、上記した効果が充分に発揮されず、また
2.0×10-6/℃よりも大きくなると、焼成過程で層間
剥離やクラックが発生しやすくなり、また焼成過程での
反りや変形などが発生するようになる。
【0030】なお、本発明の陶磁器板では、軟化温度が
低いシート状焼成体の熱膨張係数を軟化温度が高いシー
ト状焼成体の熱膨張係数よりも小さくすることが好まし
い。低軟化温度のシート状焼成体に転化するシート状成
形体の焼成過程における熱収縮率は小さいので、形成さ
れた低軟化温度のシート状焼成体には圧縮応力が発生
し、その結果、その表面では、耐衝撃性や強度特性の向
上がもたらされるからである。
【0031】なお、上記した熱膨張係数は次のようにし
て求められた値のことをいう。すなわち、焼成して得ら
れた陶磁器板の各層を前記したような方法で識別したの
ち注意深くスライスして、測定対象のシート状焼成体の
層を試料(室温時の長さl0 とする)として採取し、そ
の試料を、市販の押棒式示差熱膨張計にセットし、試料
を室温(t0 ℃とする)から所定温度(t℃とする)に
加熱して試料の長さ(lとする)を測定し、次式: α=1−l0 /l/t−t0 に基づいて算出される平均熱膨張係数αのことである。
tは通常、400℃とする。
【0032】本発明の陶磁器板は次のようにして製造さ
れる。まず、少なくとも2種類のスラリーが調製され
る。これらのスラリーは、いずれも、陶磁器材料の粉末
と繊維材料と熱可塑性の有機質材料を必須成分とする。
陶磁器材料としては、格別限定されるものではないが、
たとえば、各種の粘土類、カオリン、陶石、けい砂、け
い灰石、長石、ドロマイト、アルミナ、ジルコニア、フ
ライアッシュ、アプライト、抗火石のようなものをあげ
ることができる。これらは、それぞれ単独で用いてもよ
いし、また2種以上を適当な割合で混合して用いてもよ
い。
【0033】これらは、通常、200〜400メッシュ
(タイラー篩)程度の微粉末にして用いることが好まし
い。繊維材料としては、格別限定されるものではない
が、たとえば、各種の天然繊維、天然および合成パル
プ、レーヨンなどの再生繊維、ポリビニルアルコール
系、ポリアクリル系、ポリアミド系、ポリエステル系な
どの合成繊維のような各種の有機質繊維;ガラス繊維、
セラミックファイバ、ロックウール、チタン酸カリウム
のような各種の無機質繊維;をあげることができる。
【0034】これらは、それぞれ単独で用いてもよく、
2種以上を適宜に組み合わせて用いてもよい。本発明の
スラリーに配合する熱可塑性有機質材料としては、示差
熱分析(TGA)や示差熱走査熱量測定法(DSC)で
測定されるガラス転移点が10℃以下であるポリマーが
用いられる。このようなポリマーとしては、例えば、天
然ゴム、合成ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、ア
クリルニトリル−ブタジエン共重合体、ポリアクリル酸
エステル、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリアミ
ド、ポリアクリルアミド、ポリ酢酸ビニル、エチレン−
酢酸ビニル共重合体などをあげることができる。これら
はそれぞれ単独で用いてもよいし、また2種以上を適宜
に混合して用いてもよい。
【0035】この有機質材料は、スラリーを抄造して得
られたシート状成形体に柔軟性を与える。そして、シー
ト状成形体を積層しその積層体を加圧する過程で、各シ
ート状成形体間の結着性を高め、そのことにより、別の
結着剤を使用しなくても、各シート状成形体を均一に一
体化させることができる。その結果、加圧後の積層体の
柔軟性がよくなる。また、この有機質材料の配合量や後
述する加圧過程における圧力を調整することにより、後
述する空隙率や吸水率を適正な値に調整することができ
るようになる。
【0036】用いるスラリーとしては、それを抄造して
得られたシート状成形体の焼成後における軟化温度が目
的とする軟化温度になるように決められるが、通常、主
成分である陶磁器材料の粉末100重量部に対し、繊維
材料1〜25重量部、好ましくは1〜10重量部、熱可
塑性有機質材料1〜50重量部、好ましくは1〜10重
量部に各成分の配合割合が設定される。
【0037】これらの成分を、上記した配合割合の範囲
内で相互に変化させ、軟化温度が低くなるシート状焼成
体用のスラリー、軟化温度が高くなるシート状焼成体用
のスラリーがそれぞれ調製される。繊維材料の割合が1
重量部よりも少なくなると、スラリーの抄造が困難にな
り、抄造過程におけるシート状成形体の歩留りが悪くな
る。
【0038】また、繊維材料として前記した有機質繊維
を用いた場合、その割合が25重量部よりも多くなる
と、この有機質繊維が後述の焼成過程で熱分解して消失
するときに、シート状成形体の熱収縮が大きくなり、形
成されたシート状焼成体における反りや変形が大きくな
って、満足すべき陶磁器板が得にくくなる。繊維材料と
して前記した無機質繊維を用いると、この繊維材料の場
合は焼成過程で消失することがないので、シート状成形
体の収縮量を抑制し、更には得られたシート状焼成体の
耐火度を高め、反りや変形の抑制、陶磁器板の強度向上
という効果を引き出すことができる。しかし、その割合
を10重量部よりも多くすると、得られた陶磁器板の密
度が高くならないという問題が発生してくる。
【0039】このようなことから、有機質繊維を用いる
場合は、陶磁器材料の粉末100重量%に対し1〜25
重量部、無機質繊維を用いる場合は1〜10重量部であ
ることが好ましい。また、両者の繊維を、重量比で2
0:80〜80:20程度に混合して用いてもよい。熱
可塑性有機質材料の割合が1重量部よりも少なくなる
と、この有機質材料による前記した効果が充分に発揮さ
れなくなり、また50重量部よりも多くなると、この有
機質材料の焼成過程における熱分解の影響で、得られた
陶磁器板の収縮量が大きくなりすぎて好ましくない。
【0040】本発明で用いるスラリーは、上記した3成
分を必須成分とするが、これら成分の他に、目的とする
陶磁器板の品質や性能を改良したり、また製造時におけ
る各工程を円滑に進めるために、各種の薬剤を配合して
もよい。そのような、薬剤としては、たとえば、アニオ
ン系の有機高分子電解液、カチオン系の有機電解液、カ
チオン系の無機コロイド液、多価金属塩類などの定着剤
や凝集剤、アスベスト繊維、ガラス繊維、ワラストナイ
トなどの無機質粉末のような脱水助剤をあげることがで
きる。
【0041】また、陶磁器板を着色したり、意匠効果を
発揮させることを目的として、スラリーに、たとえば、
各種の顔料や着色微粒子、天然みかげ石の微粒子などを
分散させてもよい。上記した各成分を所定の割合で水に
投入し、全体をたとえば公知のパルパーなどを用いて撹
拌混合することにより、抄造用のスラリーが調製され
る。そのとき、スラリーの固形分濃度は、通常、0.5〜
10重量%に調整される。好ましくは、1〜5重量%に
調整される。
【0042】本発明においては、少なくとも2種類のス
ラリーが準備される。すなわち、それらのスラリーを抄
造して得られた2種類のシート状成形体の焼成後におけ
る軟化温度が互いに異なった値になるような少なくとも
2種類のスラリーである。少なくとも2種類のスラリー
を、たとえば公知の長網式や丸網式の抄造機を用いて別
々に抄造し、少なくとも2種類のシート状成形体が別々
に成形される。成形体の厚みは、通常、0.1〜10mmと
なるように調整される。
【0043】得られたシート状成形体には、つぎに、た
とえば公知のロール乾燥機やトンネル乾燥機を用いるこ
とにより、乾燥処理が施される。乾燥処理後におけるシ
ート状成形体の含水率に関しては、格別限定されるもの
ではない。通常、次の積層工程における取扱いやすさの
ことや、加圧後における積層体の空隙率や吸水率を好適
な値に調整することや、加圧後におけるシート状成形体
相互間の結着効果を向上させることなどのためには、含
水率が2重量%以下、好ましくは1重量%以下となるよ
うに、乾燥処理時の条件を設定することが望ましい。
【0044】乾燥処理が終了したそれぞれのシート状成
形体は、つぎに、所望する層構成となるように積層され
たのち、その積層体は加圧され、各シート状成形体が互
いに圧着されて一体化される。このときの加圧機として
は、たとえば、公知の平プレスやロールプレスを用いる
ことができる。とくに、ロールプレスは、長尺のシート
状成形体を均一に、かつ連続的に効率よく加圧すること
ができるので好適である。
【0045】印加する圧力は、線圧で少なくとも100
kg/cm以上、好ましくは300kg/cm以上、更に好まし
くは500kg/cm以上に設定することが好適である。線
圧が100kg/cmより小さい場合は、シート状成形体相
互間の結着力が小さくなり、次段の焼成過程で、形成さ
れるシート状焼成体の間で層間剥離が発生しやすくな
り、また、後述する空隙率を0.1〜0.4の範囲に調節す
ることが困難になるからである。
【0046】なお、上記した加圧処理に先立ち、各シー
ト状成形体を予め加熱しておくと、加圧処理時における
線圧を低圧にしても緻密でゆがみのない積層体にするこ
とができるので好適である。その場合、シート状成形体
を、それに含まれている前記熱可塑性有機質材料のガラ
ス転移点よりも50℃以上高い温度に加熱することが好
ましい。このような温度にすると、熱可塑性有機質材料
が充分に軟化して粘着性が高まり、その結果、低圧であ
っても、各シート状成形体間における結着性が良好にな
るからであると考えられる。
【0047】このようにして、各シート状成形体が多層
構造をなして一体化している積層体が得られる。本発明
においては、この加圧積層体の空隙率は0.1〜0.4の範
囲に調整され、また、その吸水率は10〜30%の範
囲、とくに、15〜25%の範囲に調整されていること
が好ましい。
【0048】これら、積層体の空隙率や吸水率は、前記
したように、スラリー組成、とりわけ、ガラス転移点が
10℃以下の熱可塑性有機質材料の配合割合や、また積
層体の加圧過程における加圧力を適宜選定することによ
って調整することができる。ここでいう空隙率とは、次
式: 1−〔W0 /V0 〕/〔W1 ・ρ1 +W2 ・ρ2 〕/W
0 (ただし、式中、V0 は積層体を105℃で24時間乾
燥したのちの積層体の容積:cm3 、W0 は積層体を10
5℃で24時間乾燥したのちの積層体の重量:g、W1
は積層体を400℃で2時間乾燥したのちの積層体の減
少重量:g、W 2 は積層体を400℃で2時間乾燥した
のちの積層体の残存重量:g、ρ1 は積層体に含まれて
いる有機材料全体の密度:g/cm3 、ρ2 は積層体に含
まれている無機材料全体の密度:g/cm3 を表す)に基
づいて算出される値のことである。
【0049】また、吸水率(%)とは、積層体を105
℃で2時間乾燥し、その乾燥積層体を室温下で水中に2
4時間浸漬して吸水させたのち、表面の水分を拭き取
り、吸水試験前後における重量から、次式: (吸水試験後の重量−吸水試験前の重量)×100/吸
水試験前の重量 に基づいて算出される値のことである。
【0050】これらの特性のうち、たとえば、空隙率は
積層体の焼成過程における収縮率に影響を与える因子で
あり、従来から、陶磁器板の製造に当たっては、この空
隙率を小さくすると焼成過程で反りや変形が少なくな
り、また空隙率を大きくすると焼成過程における収縮率
も大きくなるということが知られている。したがって、
空隙率を小さくする方が反りや変形の少ない陶磁器板を
製造する際には好適であるが、しかし、空隙率の小さい
積層体は相対的に無機材料が多量に含まれているので、
可撓性に乏しく、また脆性でもあり、薄く大型形状の陶
磁器板用の積層体としては、取扱いにくい不適当な材料
になる。
【0051】しかしながら、本発明で用いる積層体は、
比較的多量の陶磁器材料や繊維材料が含まれていて、空
隙率が小さくても、同時にガラス転移点が10℃以下の
熱可塑性有機質材料も所定量配合されているので、その
積層体は柔軟性に富み、全体としての取扱いが容易にな
る。したがって、従来の陶磁器板の製造に用いる積層体
では不適当とされている空隙率0.4以下であっても、本
発明で用いる積層体の場合は、それを焼成する過程で、
大きな熱収縮があまり起こらず、その結果、反りや変形
の発生も抑制され、全体の表面が平滑である陶磁器板に
することができる。しかし、空隙率が0.1よりも小さい
ような場合は、その積層体はあまりにも過度に圧縮され
た状態にあるため、加圧時に発生した残留応力の影響
で、焼成過程でワレや反りが多発するようになってしま
う。
【0052】このようなことから、積層体の空隙率を0.
1〜0.4に調整することが好ましい。以上のようにして
得られた積層体を、つぎに、たとえば公知のローラーハ
ースキルンを用いて、1000〜1350℃、好ましく
は、1000〜1300℃の温度で焼成して、焼成の過
程で発生してくる分解ガスを速やかに除去しつつ、各シ
ート状成形体をシート状焼成体に転化し、これらシート
状焼成体の多層構造体として本発明の陶磁器板が製造さ
れる。
【0053】この焼成過程では、250〜500℃の温
度域における昇温速度を20℃/分以下、とくに10℃
/分以下に設定することが好ましい。上記温度域におけ
る昇温速度を過度に速くすると、積層体に含まれている
有機質繊維や熱可塑性有機質材料の熱分解に伴う分解ガ
スが急激に発生したり、また異常発熱によってシート状
焼成体の間で層間剥離が多発するようになるからであ
る。
【0054】なお、以上の製造過程において、所望色彩
の顔料が配合されているスラリーを抄造して各種色彩の
シート状成形体を製造し、そのシート状成形体で全体の
表面層を構成したり、また表面層と裏面層を別色彩のシ
ート状成形体で構成したり、更には、各層を異色のシー
ト状成形体で構成したりすると、得られた陶磁器板に多
様な意匠効果を発揮させることができる。
【0055】また、加圧工程において、加圧機としてエ
ンボスロールを用いて表面に所望の凹凸模様を付与した
り、更には、釉薬紙や模様印刷のフィルムを添着するこ
とにより、陶磁器板の表面に各種の模様を付与すること
もできる。更に、本発明においては、加圧後の積層体
を、たとえば800〜1350℃の温度で一旦仮焼成し
たのち、その表面に所望の釉薬を施釉し、ついで、50
0〜1350℃の温度で焼成することにより、施釉陶磁
器板を製造することができる。
【0056】
【実施例】
実施例1〜4、比較例1、2 長石35重量部、けい石35重量部、カオリン5重量
部、セルベン20重量部、ワラストナイト5重量部とか
ら成る陶磁器材料粉末と、クラフトパルプ5重量部と、
アクリル系エマルジョン(ガラス転移点:−5℃)5重
量部とを水に投入したのち全体を充分に撹拌し、固形分
濃度が2重量%のスラリー(A)を調製した。
【0057】また、長石30重量部、けい石35重量
部、カオリン10重量部、セルベン20重量部、ワラス
トナイト5 重量部から成る陶磁器材料粉末と、クラフ
トパルプ5重量部と、アクリル系エルマジョン(ガラス
転移点:−5℃)5重量部とを水に投入したのち全体を
充分に撹拌し、固形分濃度が2重量%のスラリー(B)
を調製した。
【0058】また、長石25重量部、けい石35重量
部、カオリン15重量部、セルベン20重量部、ワラス
トナイト5重量部から成る陶磁器材料粉末と、クラフト
パルプ5重量部と、アクリル系エマルジョン(ガラス転
移点:−5℃)5重量部とを水に投入したのち全体を充
分に撹拌し、固形分濃度が2重量%のスラリー(C)を
調製した。
【0059】これらのスラリー(A)、(B)、(C)
から、長網式抄紙法機を用いることによって幅120cm
のエンドレスシートを別々に抄造し、更に、各シートを
多筒式乾燥機に通し、いずれも含水率が0.5重量%に調
整されているシート状成形体(A)、シート状成形体
(B)、シート状成形体(C)を別々に製造した。これ
らのシート状成形体(A)、(B)、(C)の厚みはそ
れぞれ、2.2mm、2.4mm、2.1mmとなるように調整し
た。
【0060】これらの各シート状成形体を、ローラーハ
ースキルンを用いて温度1200℃で焼成し、得られた
焼成シートを加工して、厚み2mm、幅10mm、長さ10
0mmの試片とし、これら試片をスパン長80mmの支点の
上に載せて電気炉内にセットし、10℃/分の昇温速度
で加熱し、試片中央部の垂下量が0.2mmに達した時点に
おける温度を求めた。
【0061】その結果、シート状成形体(A)の軟化温
度は1200℃、シート状成形体(B)の軟化温度は1
210℃、シート状焼成体(C)の軟化温度は1245
℃であった。ついで、これらのシート状成形体を表1で
示したような態様で積層して積層体にしたのち、全体を
線圧が350kg/cmの油圧式カレンダーロールに通して
加圧した。
【0062】加圧後の積層体を長手方向に切断して、長
さ3m、幅1.2mのグリーンを得た。このグリーンの空
隙率と吸水率を測定した。ついで、このグリーンをロー
ラーハースキルンにより温度1200℃で60分間焼成
して、シート状成形体(A)の焼成体であるシート状焼
成体(A)と、シート状成形体(B)の焼成体であるシ
ート状焼成体(B)と、シート状成形体(B)の焼成体
であるシート状焼成体(C)とが積層一体化している陶
磁器板にした。
【0063】得られた各陶磁器板の表面から染料水を含
浸させ、断面をマイクロファイバースコープ(倍率10
0倍)で観察したところ、陶磁器板の各層を識別するこ
とができた。その後、各陶磁器板におけるシート状焼成
体(A)、シート状焼成体(B)、シート状焼成体
(C)の吸水率を測定した。ついで、各陶磁器板の表面
につき、光沢度の5段階評価(級:評価点5が最良)に
より表面の緻密性を、波型の凹凸変形度合の5段階評価
(級:評価点5が最良)により表面の平滑性を、水平曝
露6ヶ月試験後における表面汚染の5段階評価により表
面の防汚性(級:評価点5が最良)をそれぞれ判定し、
また、陶磁器板全体の反りや変形を5段階評価(級:評
価点5が最良)した。
【0064】以上の結果を一括して表1に示した。
【0065】
【表1】 実施例5、比較例3、4 実施例4において、アクリル系エマルジョンの配合量と
カレンダーロールの線圧を表2で示したように変化させ
たことを除いては、実施例4と同様の条件で5層構造の
陶磁器板を製造した。
【0066】これら陶磁器板に用いたグリーン、および
陶磁器板の特性を実施例1〜3と同様にして測定し、ま
た、JIS A5209で規定する方法に準拠して各陶
磁器板の曲げ強度を測定した。その結果を一括して表2
に示した。
【0067】
【表2】 表2のデータから明らかなように、空隙率を0.4以下、
吸水率を30%以下に調整したグリーンを用いて製造し
た本発明の陶磁器板は、曲げ強度、表面の平滑性、反り
や変形、表面の防汚性のいずれもが優れている。 実施例6 実施例4におけるスラリー(A)に、更に、酸化コバル
ト系青色含量を2重量部配合したスラリーを用いて抄造
したことを除いては、実施例4と同様にして陶磁器板を
製造した。
【0068】得られた陶磁器板の表面は、緻密で、青色
に輝いており、建築の内装材や外装材として好適な材料
であった。 実施例7 実施例4におけるスラリー(A)に、更に、みかげ石の
微粉末3重量部を配合してシート状成形体を製造し、そ
のシート状成形体を表面に積層配置したことを除いて
は、実施例4と同様にして5層構造の陶磁器板を製造し
た。
【0069】得られた陶磁器板の表面は、緻密で、しか
もみかげ石調の模様が輝いており、そのまま、建築の内
装材や外装材として使用できるものであった。
【0070】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
陶磁器板は、軟化温度が異なるシート状焼成体の多層構
造体であるため、表面層として軟化温度が低いシート状
焼成体を配置することにより、焼成時における表面の焼
成の度合いを高め、もって、表面を緻密な構造にし、ま
た波型の凹凸変形のない平滑な表面にし、同時に耐衝撃
性や強度特性に優れた陶磁器板にすることができる。ま
た、製造に際しては、焼成後における軟化温度が異なる
薄いシート状成形体を必要枚数積層したのち、その積層
体を焼成するので、たとえば、各シート状成形体の組成
を変えて焼成過程における各層間の熱膨張量を調節する
ことにより、焼成後におけるシート状焼成体に発生する
応力を制御し、もって、陶磁器板全体の強度特性を高め
たり、また全体の反りや変形を抑制することができる。
【0071】また、シート状成形体の原料であるスラリ
ーには、ガラス転移点が10℃以下の有機質材料が配合
されているので、得られたシート状成形体は柔軟であ
り、また、積層時には、各シート状成形体は相互に良好
に結着することができる。更に、本発明の陶磁器板の製
造方法では、用いるシート状成形体の積層状態を任意に
変化させることができるため、多様な製造設計が可能と
なり、多様なニーズに対応することができる。たとえ
ば、表面層のシート状成形体に着色材を添加したり、各
種の模様を付与したりして、所望する意匠効果を与える
こともできる。
【0072】本発明の陶磁器板は、建築の外壁材、内装
材、床材、家具の天板、カウンター、各種インテリア素
材、土木関係など、広汎な各種の用途に供することがで
き、その工業的価値は大である。
フロントページの続き (72)発明者 野田 征雄 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株 式会社滋賀事業場内 (72)発明者 村田 茂一 滋賀県滋賀郡志賀町小野朝日1丁目2番4 号 (72)発明者 上田 輝基 滋賀県野洲郡野洲町永原388番地

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 いずれも陶磁器材料を主成分とするシー
    ト状焼成体が2層以上積層されている陶磁器板であっ
    て、前記シート状焼成体のうちの少なくとも2種は、互
    いに軟化温度を異にしていることを特徴とする陶磁器
    板。
  2. 【請求項2】 各シート状焼成体における軟化温度の差
    が10℃以上になっている請求項1の陶磁器板。
  3. 【請求項3】 シート状焼成体が3層以上積層されてい
    る請求項1の陶磁器板。
  4. 【請求項4】 各シート状焼成体の厚みが0.1〜2mmで
    ある請求項1の陶磁器板。
  5. 【請求項5】 少なくとも表面層は、相対的に軟化温度
    が低いシート状焼成体で形成されている請求項1の陶磁
    器板。
  6. 【請求項6】 前記表面層には着色材が添加されている
    請求項5の陶磁器板。
  7. 【請求項7】 軟化温度が低いシート状焼成体の熱膨張
    係数の方が軟化温度が高いシート状焼成体の膨張係数よ
    りも大きく、両熱膨張係数の差が、0.2×10-6〜2.0
    ×10-6/℃である請求項1の陶磁器板。
  8. 【請求項8】 陶磁器材料の粉末、繊維材料、およびガ
    ラス転移点が10℃以下の熱可塑性有機質材料を必須成
    分とする少なくとも2種類のスラリーであって、それぞ
    れのスラリーを抄造して成るシート状成形体を焼成した
    ときに、それぞれの軟化温度が異なる温度になるような
    少なくとも2種類のスラリーを調製し、それぞれのスラ
    リーから少なくとも2枚のシート状成形体を別々に抄造
    し、得られた各シート状成形体を積層して少なくとも2
    層構造の積層体にし、その積層体を加圧して一体化した
    のち焼成することを特徴とする陶磁器体の製造方法。
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