JPH0752000B2 - メンブレン式タンクの検査ガス封入方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は、LNGやLPGなどの低温液などが貯蔵されるメ
ンブレン式タンクのメンブレンの気密漏洩検査を行うた
めの検査ガス封入方法に関し、メンブレンの裏面から大
きな圧力をかけること無く、能率良く検査ガスを封入で
きるようにしたものである。

［従来の技術］ LNGやLPGなどの低温液を貯蔵する低温タンクの形式の一
つにタンク本体を地面に埋設した地下式や半地下式など
のメンブレン式タンクがある。

このメンブレン式タンク１は、第１図に示すように、地
面２に形成した穴の周囲にコンクリートなどで外槽３を
構築し、この外槽３の内面にステンレスなどの１〜3mm
の薄板で形成されたメンブレン４を張り付けて気密構造
の内槽とするとともに、これらの上部を屋根５で覆って
密閉構造としている。

このようなメンブレン式タンク１では、構築後使用前
に、メンブレン４のリークの有無を検査する必要があ
る。

このメンブレン４の検査を行う場合、通常の二重殻タン
クのように貯蔵状態と同様に検査ガスでメンブレン４内
を加圧してもメンブレン４の裏側（外槽３とメンブレン
４との間）で検査することができない。

そこで、メンブレン４の裏側に検査ガスを封入してメン
ブレン４の内側で検査することが行われているが、メン
ブレン４の内側から加圧する場合と異なり、メンブレン
４自体が１〜3mm程度の薄板であるため高い圧力をかけ
ることが出来ず、15mmAq程度しか圧力をかけることがで
きない。

このため、メンブレンの裏面への検査ガスの封入に当た
っては、メンブレン裏面の少なくとも一箇所を大気に開
放状態とし、対角位置などの別の少なくとも一箇所から
アモニアガスやハロゲンガスなどの検査ガスをわずかな
圧力をかけてメンブレン裏面に加わる圧力が許容圧力
（≦15mmAq）以上とならないようにして供給するように
している。

［発明が解決しようとする課題］ このような検査ガスの封入方法では、検査ガスにわずか
な圧力しかかけることができないため、検査ガスをメン
ブレン裏面に拡散させにくいという問題がある。

また、メンブレンの裏面に検査に必要なガスを入れるの
に相当長時間かかるという問題もある。

この発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みてなされた
もので、メンブレンの裏面に過大な圧力をかけること無
く、短時間に能率的に検査ガスを封入することができる
メンブレン式タンクの検査ガス封入方法を提供しようと
するものである。

［課題を解決するための手段］ 上記従来技術が有する問題点を解決するため、この発明
のメンブレン式タンクの検査ガス封入方法は、メンブレ
ンの裏面を加圧状態とする場合には、その許容圧力は極
めて低いが、負圧状態とする場合には、低温液によって
加わる圧力にも耐えるように設計されていることから格
段に許容圧力が高いことを着目し、メンブレン式タンク
のメンブレン裏面に検査ガスを封入するに際し、メンブ
レン裏面の空気を吸引して負圧状態にした後、検査ガス
を吸い込ませてメンブレン裏面に拡散させ、次いで所定
の検査ガス圧力に加圧保持するようにしたことを特徴と
するものである。

［作用］ このメンブレン式タンクの検査ガス封入方法によれば、
メンブレンの裏面を真空吸引などによって負圧状態に
し、この負圧状態の部分に検査ガスを入れるようにし、
検査ガスに正圧をかけること無く、メンブレンの裏面全
体に拡散させるようにし、この後、所定の検査圧力に加
圧するようにしており、短時間に能率的に検査ガスの封
入ができるようにしている。

［実施例］ 以下、この発明の一実施例を図面を参照しながら詳細に
説明する。

第１図はこの発明のメンブレン式タンクの検査ガス封入
方法の一実施例にかかる原理説明図である。

このメンブレン式タンク１には、メンブレン４のリーク
の有無を検査するため構築段階で、外槽３内に真空吸引
用の吸引管６が埋設配管され、その先端部がメンブレン
４の裏面4aの側部下方に位置するようになっており、他
端部が外槽３の上部から地面２上に導出され、真空吸引
弁７を介して真空吸引装置８に接続されている。この真
空吸引用の吸引管６は、外槽３の円周方向に複数本（例
えば円周12箇所）埋設され、均一にメンブレン４の裏面
の空気の吸引ができるようになっている。

また、外槽３内には、検査ガスを入れるためのガス封入
管９が埋設配管され、その先端部がメンブレン４の底部
中央付近に開口するようになっており、他端部が外槽３
の上部から地面２上に導出され、検査ガス供給弁10を介
して検査ガス供給装置11に接続されている。このガス封
入管９も外槽３の円周方向に複数本（例えば円周12箇
所）埋設され、均一にメンブレン４の裏面4aに検査ガス
を封入することができるようになっている。

このようなメンブレン式タンク１において、メンブレン
４のリークの有無の検査を行う場合には、次のようにし
て行われる。

メンブレン４の裏面4aに連通するガス封入管９の検
査ガス供給弁10を閉じて、メンブレン４の裏面4aを密閉
状態とし、真空吸引弁７を開いて吸引管６を介して真空
吸引装置８でメンブレン４の裏面4aの空気を吸引し、負
圧状態にする。

このメンブレン４の裏面4aを負圧状態にする場合には、
加圧状態にする場合と異なり、メンブレン４内側に加わ
る圧力として考えることが出来、例えば、10,000mmAq程
度の負圧にまで高めることが可能であることから、これ
以下の適当な負圧状態にする。

こうしてメンブレン４の裏面4aの空気が排出されて
負圧状態となったところで、真空吸引弁７を閉じて、検
査ガス供給弁10を開き、ガス封入管９を介して検査ガス
供給装置11からアモニアガスやハロゲンガスなどの検査
ガスを吸い込ませる。

この検査ガスの封入に当たっては、検査ガス供給装置11
から検査ガスを高い加圧状態で供給してメンブレン４の
裏面4aが正圧状態とならないようにし、検査ガスを微少
圧力ないし大気圧程度としてメンブレン４の裏面4aの負
圧を利用して検査ガスを入れるようにする。

このように負圧状態のメンブレン４の裏面4aに検査ガス
を入れるようにすることで、従来のように空気と検査ガ
スを置換しながら拡散させる必要がなく、短時間に検査
ガスが拡散され、メンブレン４の裏面4aに均一に入って
行く。

こうしてメンブレン４の裏面4aに検査ガスが、正圧
を生じさせること無く、封入されたところで、この検査
ガスを、メンブレン４の裏面4aからの許容圧力の範囲
で、リークの検査に必要な圧力、例えば10mmAq程度の圧
力に加圧する。

この後、メンブレン４の内側でリークの有無を検査
する。

このようにしてメンブレン式タンク１のメンブレン４の
裏面に検査ガスを封入することで、メンブレン４の裏面
4aから正圧を加えること無く、短時間に能率的に検査ガ
スを均一に拡散させて封入することができる。

なお、上記実施例では、メンブレン式タンクとしては、
地下式のもので説明したが、これに限らず、地上式や半
地下式などのメンブレン式タンクにも同様に適用できる
ものである。

また、この発明の要旨を変更しない範囲で各構成要素に
変更を加えるようにすることも可能である。

［発明の効果］ 以上、一実施例とともに具体的に説明したようにこの発
明のメンブレン式タンクの検査ガス封入方法によれば、
メンブレンの裏面を真空吸引などによって負圧状態に
し、この負圧状態の部分に検査ガスを入れるようにし、
検査ガスに正圧をかけること無く、メンブレンの裏面全
体に拡散させ、この後、所定の検査圧力に加圧するよう
にしたので、短時間に能率的に検査ガスの封入ができ
る。

また、従来のように空気と検査ガスを置換しながら拡散
させる必要がなく、短時間に検査ガスが拡散させ、メン
ブレンの裏面に均一に入れることができる。

さらに、メンブレンの裏面に正圧が加わらないので、メ
ンブレンの破損のおそれがなく、安全にリークの検査が
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明のメンブレン式タンクの検査ガス封入
方法の一実施例にかかる原理説明図である。 1:メンブレン式タンク、2:地面、3:コンクリートの外
槽、4:メンブレン、4a:メンブレンの裏面、5:屋根、6:
吸引管、7:真空吸引弁、8:真空吸引装置、9:ガス封入
管、10:検査ガス供給弁、11:検査ガス供給装置。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】メンブレン式タンクのメンブレン裏面に検
   査ガスを封入するに際し、メンブレン裏面の空気を吸引
   して負圧状態にした後、検査ガスを吸い込ませてメンブ
   レン裏面に拡散させ、次いで所定の検査ガス圧力に加圧
   保持するようにしたことを特徴とするメンブレン式タン
   クの検査ガス封入方法。